北朝鮮による拉致 1/5

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昭和38年01月26日 参議院 本会議
日本共産党 野坂参三
日朝両国の関係でわれわれが特に銘記しなければならないことは、日本の軍国主義者が朝鮮を植民地化し、36年にわたって徹底的な略奪を行なった上に、関東大震災では多数の在日朝鮮人を虐殺し、太平洋戦争においては、300万の朝鮮人を拉致して、奴隷労働を強制するなど、数限りない犯罪行為を行なってきたことであります。この事実を朝鮮人民は永久に忘れないであろうし、またわれわれ日本人民も忘れてはならないのであります。朝鮮人民に対するこのような非道の数々について、総理は真剣に反省しておられるかどうか。この壇上からはっきりと答えていただきたい。





昭和63年01月28日 衆議院 本会議
民社党 塚本三郎
去る1月15日に行われた蜂谷真由美こと金賢姫の記者会見と韓国捜査当局の発表は、我々に大きな衝撃を与えました。北朝鮮の工作員であった金賢姫は、自殺した蜂谷真一こと金勝一とともに、金正日書記の指令によって大韓航空機に爆弾を仕掛け、これを爆破したというのであります。しかもその目的は、大韓航空機を爆破することによってソウル・オリンピックへの各国の参加を妨害することにあったと言われます。

今回の事件は、決して韓国だけの問題ではなく、我が国にも大きな関係を持っております。彼らが日本人を装い、日本の旅券を偽造したというだけでなく、特に重大なのは、金賢姫に日本の習慣を教えたのは、日本から拉致された女性だったとされた点であります。昭和53年の夏、数組の若い男女が海岸近くで突然行方不明となり、現在に至るまで何の手がかりもないという事件が発生しております。もしこれが北朝鮮のしわざであり、その中の一人が金賢姫の教育に充てられたとすれば事は重大であります。それは我が国に対する重大な主権侵害であり、人道的にも断じて許されない行為だからであります。政府は、全力を挙げてこの事件を捜査し、事の真相を国民の前に明らかにすべきであります。



日本共産党 村上弘
我が党は、115人の痛ましい犠牲者を出した大韓航空機爆破事件は、一連の中心的事実から見て北朝鮮の工作員による犯行であると判断しています。





昭和63年03月26日 参議院 予算委員会
日本共産党 橋本敦
これは、警察としてはこの恩恵なる人物は日本女性で、日本から拉致された疑いが強いと見ているんじゃありませんか。

警察庁警備局長 城内康光
お答えします。そのように考えております。

日本共産党 橋本敦
それが事実はっきりいたしますと、これはまさに外国からの重大な人権侵犯事件であり、我が国の主権をも侵害する重大な事犯の可能性を含んでいる重大な事件である。ですから、これがはっきりしますと、当然本人の意思を確認して、主権侵害の疑いがあれば原状回復を要求するなど、政府としての断固たる措置をとる必要がある。

日本共産党 橋本敦
拉致事件について言いますならば、単に問題はこれだけではなくて、昭和53年7月と8月、わずか2カ月間に4件にわたって若い男女のカップルが突然姿を消すという事件が立て続けに起こっているのであります。これは極めて重大な事件でありますが、福井、新潟、鹿児島そして富山、こうなりますが、1件は未遂であります。

警察庁、簡単で結構ですが、この3件の事件の概要について述べてください。

警察庁警備局長 城内康光
お答えいたします。

まず、53年の7月7日に福井県の小浜市で起きました男女の行方不明事件についてでございますが、当該男性は7月7日に同伴者とデートに行くと言って軽貨物自動車で家を出たまま帰宅しなかった。自動車はキーをつけたままの状態で発見されております。当該女性はデートに行くと言ったまま帰宅しなかったけれども、この同伴者と結婚することになり大変喜んでいた状況がございまして、自殺することは考えられません。

それからまた、同年7月31日に新潟県の柏崎市で起きた事件でございますけれども、やはり当該男性が家の者に、ちょっと出かけてくる、自転車を貸してくれと言って自転車で出かけたまま帰宅しなかった。自転車は柏崎の図書館前に置いてあったのが発見されたわけであります。当該女性は、勤務先の化粧品店で仕事が終わった後、同伴者とデートすると店の従業員に話しておりまして、これも家出などの動機はございません。

それから3つ目に、同年8月12日に鹿児島県で起きた事件でございますが、当該男性は同伴者を誘って浜に、海岸に夕日を見に行くと言って出たきり帰宅しなかったということでございます。14日の日に、その浜のキャンプ場付近でドアロックされたまま車両が発見されております。女性も家の者に、同伴者と浜へ、海岸に夕日を見に行くと言って出たままであるということで、これも動機はございません。

それから、富山県で起きました未遂事件のことでございますけれども、この事件につきましては、8月15日の午後6時30分ごろ、海岸端を歩いていた被害者である男女が自分たちの乗車してきた自家用車の駐車場に帰るために防風林の中を歩いていたということで、そうしたら前方を歩いていた4人組がいきなり襲いかかって、防風林内に引きずり込んでゴム製猿ぐつわあるいは手錠、タオル等を使用して縛り上げて、それぞれ寝袋様のものに入れたと。そして現場から数10メートル離れた松林内に運んで放置したということで、原因はわかりませんがその4人組はいなくなりまして、その後その男女は別々に自力で脱出いたしまして110番した、こういう事件が発生しております。

日本共産党 橋本敦
ところで話は変わりますが、大阪でコックをしていた原さんという人が突然誘拐されたらしくて所在不明になった。ところが、この原氏と名のる、成り済ました人物が逮捕されてこのことがはっきりしてきたという事件があるようですが、警察庁、説明してください。

警察庁警備局長 城内康光
お答えします。

ただいま御質問にありました事件は、いわゆる辛光洙事件というものでございます。これは韓国におきまして1985年に摘発した事件でございます。その事件の捜査を韓国側でやったわけでございますが、私どもはICPOルートを通じてそういったことを掌握しておるわけでございまして、それによりますと、1980年に、大阪の当時43歳、独身の中華料理店のコックさんが宮崎の青島海岸付近から船に乗せられて拉致されたというような状況がわかっております。

日本共産党 橋本敦
辛光洙とはどういう人物ですか。

警察庁警備局長 城内康光
お答えいたします。

本件につきましては、私どもの方で捜査をしたわけではございませんので十分知り得ませんが、私どもとしては恐らく不法に侵入した北朝鮮の工作員であろうというふうに考えております。

日本共産党 橋本敦
共犯があると思いますが、共犯者はどういう名前ですか。

警察庁警備局長 城内康光
お答えいたします。

共犯者としては、名前が出ておりますのは、同じく北朝鮮工作員の金吉旭という名前が出ております。

日本共産党 橋本敦
その金吉旭は、日本女性の拉致という問題について何らか供述しているという情報に接しておりませんか。

警察庁警備局長 城内康光
お答えいたします。

この北朝鮮工作員金吉旭が1978年に次のような指示を上部から受けておるということを承知しております。すなわち、45歳から50歳の独身日本人男性と20歳代の未婚の日本人女性を北朝鮮へ連れてくるようにという指示を受けていたということでございます。

日本共産党 橋本敦
それらが事実とするならば、恐るべき許しがたい国際的謀略であると言わなければなりません。

日本共産党 橋本敦
外務大臣、自治大臣にお聞きいただきたいんですが、この3組の男女の人たちが行方不明になってから、家族の心痛というのはこれはもうはかりがたいものがあるんですね。

実際に調べてみましたけれども、6人のうちの2人のお母さんを調べてみましたが、心痛の余り気がおかしくなるような状態に陥っておられましてね、それで、その子供の名前が出ると突然やっぱりおえつ、それから精神的に不安定状況に陥るというのがいまだに続いている。それからある人は、夜中にことりと音がすると、帰ってきたんじゃないかということで、その戸口のところへ行かなければもう寝つかれないという思いがする。それからあるお父さんは、突然いなくなった息子の下宿代や学費を、いつかは帰ると思って払い続けてきたという話もありますね。

それから、御存じのように新潟柏崎というのは長い日本海海岸ですが、万が一水にはまって死んで浮かんでいないだろうかという思いで親が長い海岸線を、列車で2時間もかかる距離ですが、ひたすら海岸を捜索して歩いた。あるいはまた、一市民が情報を知りたいというのは大変なことですけれども、あらゆる新聞、週刊誌を集めまして何遍も何遍も読んで、もう真っ黒になるほどそれを読み直している家族がある。こう見てみますと、本当に心痛というのはもう大変なものですね。上海でああいう悲惨な事件も起こりましたけれども、家族や両親にとっては耐えられない思いです。

こういうことで、この問題については、国民の生命あるいは安全を守らなきゃならぬ政府としては、あらゆる情報にも注意力を払い手だてを尽くして、全力を挙げてこの3組の若い男女の行方を、あるいは恩恵を含めて徹底的に調べて、捜査、調査を遂げなきゃならぬという責任があるんだというように私は思うんですね。そういう点について、捜査を預かっていらっしゃる国家公安委員長として、こういう家族の今の苦しみや思いをお聞きになりながらどんなふうにお考えでしょうか。

国務大臣(国家公安委員会委員長) 梶山静六
昭和53年以来の一連のアベック行方不明事犯、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚でございます。解明が大変困難ではございますけれども、事態の重大性にかんがみ、今後とも真相究明のために全力を尽くしていかなければならないと考えておりますし、本人はもちろんでございますが、御家族の皆さん方に深い御同情を申し上げる次第であります。

警察庁警備局長 城内康光
まず、一連の事件につきましては北朝鮮による拉致の疑いが持たれるところでありまして、既にそういった観点から捜査を行っておるわけであります。

一般論としてお答えいたしますと、被疑者が国外に逃亡している場合には時効は停止しているということが法律の規定でございます。





昭和63年04月20日 衆議院 決算委員会
警察庁警備局長 城内康光
昭和53年に福井あるいは新潟、鹿児島、富山、7月、8月と続いて3件ほどいわゆるアベックの蒸発事件がございましたし、最後の富山の事件は未遂であったわけでございます。この事件などを見ますと、沿岸周辺で突然いなくなっているというようなことから拉致されたという疑いが持たれるわけでございます。

それからまた石川県の宇出津海岸から東京の三鷹の市役所に勤めております警備員が北朝鮮のスパイと思われる者にいろいろだまされまして海岸から運び出されるというようなことが起きております。

また、韓国で摘発した辛光洙事件などにつきましては、大阪に勤めているコックさんが宮崎の海岸から拉致されるというような事件が現に起きておるわけでございます。





平成01年10月31日 衆議院 予算委員会
自由民主党 小里貞利
時間がありませんから要点をひとつ簡潔に御答弁願いたいのでございますが、ただいま答弁の中でございますように、これはただ単なる強制連行事件ではありません。拉致事件である、拉致されたんだ、自分の意思に反して強行に拉致をされたんだ、連行されたんだという言明であります。

しからばお伺いいたしますが、その拉致事件を起こしました国民あるいは国家はいずこでございましょうか。時間もありませんから、私の方からもう前もってちょっと一部申し上げておきますが、ただいま連れ去り事件の話がございましたが、その中におきまして富山県のアベック拉致事件の問題、これはその後の私の仄聞するところによりますと、被疑者が日本人の拉致と北朝鮮への送り込みを自供したということを巷間承るのでございますが、この一点をきちんとお答えをいただきたいと思います。

警察庁警備局長 城内康光
結論の方から先に申し上げれば、一連のアベック行方不明事件は北朝鮮による拉致という疑いが濃厚でございまして、そうした角度から捜査しているところでございます。いろいろな事件がございますので、そういったものの上に立ってそういう判断をしております。

自由民主党 小里貞利
その次に、盗籍、戸籍盗用、いわゆる私どもの戸籍、日常の戸籍を盗用する、盗み用いる、戸籍を盗用したりあるいは住民票を悪用していろいろと日本人に成り済ましたり、あるいは北朝鮮に連行してそして日本人教育をするための、一つの教育をするための手段に使っておるというようなうわさもあるわけであります。

具体的に申し上げますと、例えば大韓航空機爆破事件におきましても、犯人の北朝鮮工作員は日本人名義の偽造旅券を使っておりました。これは明らかになっております。一歩間違えばこの大韓航空機を爆破したのは日本人ではないか、そういう誤解を与えていたかもしれないのであります。北朝鮮スパイのこのようなやり方は、日本の国内問題のみならず国際問題をも引き起こしかねない悪質きわまるものでありまして、北朝鮮スパイが日本人を拉致したり、あるいは今申し上げましたように戸籍を盗用したりする目的につきまして、捜査当局はどのように把握をいたしておりますか。これは簡単に御答弁を願います。

警察庁警備局長 城内康光
これまでに北朝鮮によるスパイ事件を多数検挙しておりますが、そういう事件の中で、ただいま委員から御指摘がありましたように、日本人の戸籍を盗用して日本人に成り済まして旅券などを取得して海外旅行をしてスパイ活動をする、そういった事件が幾つもございます。





平成03年06月05日 参議院 決算委員会
自由民主党 尾辻秀久
今、いろんなことから海外へ拉致されたのではないかというふうに思うとおっしゃったわけでありますけれども、ちまたでは、いろんなことがあって、一連の事件として北朝鮮との関与をうわさするわけでございますけれども、警察はどのように見ておられるのでありますか。

警察庁警備局外事第一課長 漆間巌
まず、一連の事件はいずれも失踪場所、発生場所が海岸に近い場所でありまして、突然失踪し、先ほど申し上げましたように家出、自殺等の動機が全くないということがございます。

次に、その前年の昭和52年9月、石川県警察において検挙いたしました宇出津事件というのがございますが、この事件の北朝鮮工作員が北朝鮮から45歳から50歳の日本人独身男性を北朝鮮に送り込めという指令を受けまして、東京の三鷹市役所に勤めていました警備員、これをだましまして石川県の宇出津海岸に連れ出しまして、ここから拉致して北朝鮮に送り出したと自供しております。

さらに、昭和60年に韓国で検挙されました辛光洙事件というのがございますが、この事件で検挙されました北朝鮮工作員が、昭和55年に当時43歳の独身日本人男性を宮崎県の海岸から北朝鮮に送り出したということを自供しております。また、この工作員は、昭和53年に北朝鮮上部から、45歳から50歳の独身日本人男性と20歳代の未婚日本人女性を北朝鮮に連れてくるようにという指示を受けていたということを自供しております。

これらを総合的に判断しますと、一連のアベック行方不明事案は北朝鮮による拉致という疑いが強いというふうに考えております。





平成03年08月22日 衆議院 予算委員会
公明党 草川昭三
それで、警察当局の発表のお話が今外務大臣からございましたが、この際、警察当局の見解を再度確認をしておきたいと思うのでありますが、この李恩恵と呼ばれる女性というのは北朝鮮に拉致された者かどうか明らかにされたいということと、またこの一連の、先ほど来答弁がございました男女失瞭事案というもの、事件というものがあるわけでございますが、これは果たして北朝鮮と関連があるのかないのか、これもひとつ明確にこの際お答えを願いたい、このように思います。

警察庁警備局長 吉野準
お答えいたします。

まず第一の李恩恵の関係でございますが、この女性の身元特定につきましては、昭和63年の2月に全国の警察を督励いたしまして調査を進めた結果、本年の3月になりまして埼玉の警察が有力情報を得まして、非常にこの李恩恵の特徴に酷似した女性が出てまいりましたのでさらに調査を進めましたところ、一定の裏づけがとれましたので、本年の5月15日でございますが、警察庁の係官を韓国に派遣いたしまして金賢姫自身にこの写真を見せたところが、これが李恩恵であるという供述が得られましたので、こういう点を総合いたしまして、この女性が李恩恵であるとの可能性が非常に高いと判断するに至ったものでございます。

なお、この金賢姫の供述によりますと、李恩恵は日本から船で引っ張ってこられたと語っておりましたので、そういう点からしましても北朝鮮に拉致された疑いが非常に濃いというふうに判断をいたしておりまして、自後の捜査を現在進めているところでございます。

それから、そのほかにも御指摘のいろいろ事案がございます。これは事案によりましていろいろ状況が違うわけでございますけれども、概して申し上げますと、北朝鮮に関係する疑いが非常に濃いというふうに私ども見ておりまして、そういう。点から捜査を進めておるところでございます。





平成08年04月09日 衆議院 予算委員会
自由民主党 米田建三
ところで、警察当局にちょっとお尋ねをいたしますが、古い事件ではありますが、大韓航空機の爆破事件というものがございました。この爆破犯の金賢姫が暴露した、彼女に日本語教育を施した李恩恵という女性、この女性の存在については、日朝交渉のさなかでも相当日朝両国が相対立をした問題だったはずでございますが、この女性が実は拉致された日本人である、この件はどこまで捜査が進んでいますか。判明している事実を改めて明確にしていただきたいと思います。

警察庁警備局長 杉田和博
御指摘の李恩恵なる女性につきましては、これまで日本国内の捜査及び警察庁の係官を直接韓国に派遣をいたしまして金賢姫から得た供述、こういうものを総合いたしますと、昭和30年生まれの埼玉県出身の女性である可能性が高いと判断をいたしております。また、金賢姫の供述によれば、この李恩恵は日本から船で引っ張られてきたと語っておりまして、拉致された疑いが強いということで、現在引き続き捜査をしておるところでございます。





平成08年05月31日 衆議院 安全保障委員会
公明党 平田米男
警察庁は余り触れられなかったのですが、日本人の拉致事件というのも随分ございまして、しっかりした証拠はないけれども、そうではないかというふうに推測される事件が10件以上起きている。未遂事件もある。我々の同胞が誘拐をされて、北に連れられていって、その消息さえわからない、こういう事件も起きているわけでございます。

我々はもっとこういう情報を、とりわけ我々国の安全を考える国会議員は十分な認識をしなければ本当の議論というのが深まらないのではないかというふうに思います。