尖閣諸島中国漁船衝突事件 6/7 ~ 衝突ビデオ非公開密約疑惑、海上保安官・一色正春氏による内部告発

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本当の尖閣 海上保安庁1
本当の尖閣 海上保安庁2
本当の尖閣 海上保安庁3


本当の尖閣 海上保安庁6





平成22年11月05日 衆議院 国土交通委員会
[096]
みんなの党 柿澤未途
まず冒頭に、先ほど来取り上げられておりますが、尖閣衝突ビデオの流出問題について取り上げさせていただきたいというふうに思います。

今回の尖閣諸島の漁船衝突事件のビデオがインターネット上で、ユーチューブで流出をした、この問題は、日本の国家としての威信を二重の意味で低下させるゆゆしき事態だというふうに思っております。

そもそも、このビデオは最初から公開すべきものだったんだと思います。これを隠して、公開をしない、こういう判断をして、予算委員会の議決によって国会に提出をされた後も、仙谷官房長官は要請書まで出して、極めて慎重な取り扱いを求める。そして、先日も記者会見で全面公開の可否について問われて、仙谷官房長官は、いろいろな配慮から、よくないと考えている、こういうことをおっしゃっております。こんなに中国に対して配慮をしなければならないのか、こういうふうに国民の皆さんから疑問を持たれるような対応をとっておいて、それで、結局こういう形で流出をしてしまう。

今度は、日本の政府は国家機密というか、そうしたものを管理もできない国なのかというふうに今思われてしまっている。まさしく、二重の意味で日本の国の国家としての威信を低下させてしまっているのではないかというふうに思っております。





平成22年11月09日 衆議院 予算委員会
[305]
みんなの党 柿澤未途
さて、尖閣衝突ビデオの問題ですけれども、これは二重の意味で国家の威信を傷つけたと思います。もともと、ビデオを最初から見せればよかったんですよ。それをしないで、中国の漁船の非は明々白々だと言われたビデオを見せずに隠す。そこまで中国に気を使わなければならないのかと世界じゅうに思わせた。

ビデオの国会提出後も、仙谷長官の方から、極めて慎重な配慮を求める要請書、これも行政府と立法府の関係からいうとどうかと思いますが、こういうものまで出している。そうまでしても公開しない姿勢だったんですよ。

それが結局漏れちゃった。自分の権限の及ばないところまでなるべく見せるなと抑えておきながら、自分のところから流出してしまった。情報管理もできないのかという話に今なっているわけじゃないですか。

それで、中国から照会を受けて、今度はしかるべき説明を申し上げると仙谷さんはおっしゃいましたね。これはもう国家的赤っ恥ですよ。この件について、中国に一体これは何をどう説明するおつもりなんですか。仙谷長官、お答えください。

[306]
内閣官房長官 仙谷由人
どういう文脈の中で私がそういうことを申し上げましたか。(柿澤委員「記者会見です」と呼ぶ)

どの段階ですか。(柿澤委員「数日前です」と呼ぶ)

ビデオに関してですか。(柿澤委員「流出ビデオの関係で、中国から照会を受けて」と呼ぶ)

流出ビデオの関係でそんなこと言っていますか。(柿澤委員「言っています」と呼ぶ)

いつの記者会見ですか。

[307]
委員長 中井洽
ちょっと、柿澤さん、具体的な日にち、時間がわかるなら言ってやってくれませんか、記者会見の。

[308]
みんなの党 柿澤未途
報道されている中で、官房長官が記者会見で、事実解明が行われた段階で中国に対してしかるべく説明を申し上げたい、こういうふうにおっしゃっているというふうに複数社が報道しております。

[309]
内閣官房長官 仙谷由人
最近でございますれば、記者会見の模様は全部テープで一般公開しておりますので、改めて確認をさせていただきます。



[317]
みんなの党 柿澤未途
るるお話をいただきましたけれども、きょうの読売新聞の夕刊で「尖閣ビデオ「厳秘」資料パチリ」、こういう記事が出ていて、仙谷長官から菅総理に対して1枚のメモが手渡されていると。これは、尖閣衝突ビデオ映像を一般公開した場合のメリット、デメリットを比較検討した資料だと。こういうものが読売新聞の記事に写真つきで掲載をされてしまっているんですよ。一般公開のデメリットについて、映像流出の犯人の量刑が下がるおそれがあるなどとしていると。

こういうことで、映像を一般公開した場合に、どういうメリットがあって、どういうデメリットがあって、こういうことを比較検討している。もう公開をするかしないか、前提に立って、いろいろ厳秘の資料で考えておられるんじゃないですか。もう公開したらいいんじゃないんですか、ここまで来るんだったら、仙谷長官。

[318]
内閣官房長官 仙谷由人
あらゆる場合を頭の中に入れて私的なメモをつくっているわけですが、あの辺からどうも望遠レンズ、拡大レンズで撮影をされたということのようでございます。

そういう事態でありますから、これは私の私的メモとして私が私のスタッフに命じてつくらせて、私が私的にポケットに入れて持っているものでございます。

[319]
みんなの党 柿澤未途
撮影だか何だか知りませんけれども、もうここまで来ているんですから、そして、こういう形で、まさに44分のビデオの存在を国民も目で見て明らかになっているわけですから、それが海保から流出したものだと政府もお認めになられているんですから、公開されたらいいじゃないですか。何で公開できないんですか。

要するに、中国に対してこのビデオは見せませんと約束しちゃっているんじゃないですか。だからこそ、見せるという形をとれない。そして結局、見せることによってAPECで首脳会談が行われないことを恐れている。こういう形で二重三重の失態を重ねて、結果として、中国の胡錦濤さんが菅総理に会ってくれるかくれないかが相手の外交カードになってしまっているじゃないですか。





平成22年11月10日 衆議院 予算委員会
[189]
自由民主党 菅原一秀
そこで、今回のこの9月7日に起きた衝突事件、若干経緯をひもといてみますと、まず7日に事件が発生した。その後、船長を逮捕した。そして、25日の未明に処分保留で中国に帰した。その後に、9月の29日と30日に民主党の細野豪志衆議院議員が中国に行っていらっしゃる。9月30日には、この予算委員会でいわばビデオを公開すべき、いわゆるこの当委員会に提出すべきであるということを全会一致で決めたわけですよね。そのときに、同じ日に、フジタの4人、拘束されていた3人が無事に解放された。

ところが、細野議員が帰ってきてそのまた翌日、10月1日にビデオの提出の取り扱いが官房長官に一任をされたわけですよ。その一任をされた後、今日に至るまで非公開になっている、こういう状況がまずあります。

ところで、官房長官、一昨日、この予算委員会の答弁の中で、ユーチューブで流れた44分間ビデオは、専門家が見れば国家機密のところがある、こういう答弁をされました。具体的にどこが国家機密なのか。多分、こういう質問をすると、それは国家機密だから答えられない、こう言うんだと思いますが、どこが国家機密なんですか。

[190]
内閣官房長官 仙谷由人
多分、専門家、つまり海上の警備・取り締まり活動に従事する専門家等の目から見ると、追跡や規制や捕捉に係る一連の方法、あるいは証拠をとる採証用の資機材の種類やその取り扱いの方法等に関する情報、あるいは職務に従事している海上保安官を特定する情報、そういうものが、これは専門家が見ればわかる部分が大分あるわけでございまして、多分これは秘匿を要する情報ということになろうと思います。





平成22年11月12日 衆議院 内閣委員会
[038]
自由民主党 中川秀直
9月21日、中国外務省の報道局長が、ビデオを最初から最後まで一部始終公表すべきだと、これはちゃんとしたプレスに対しての報道局長の公式発言として出しているのであります。日中関係を配慮するならば、このときに公開しておけばよかったのではないかと思います。

中国が公式的に公開を求めているにもかかわらず、日中関係への配慮をする菅政権がなぜ映像公開をしないのか。こういう表現はなるべく使いたくはないんだけれども、でも、あえて質問だから聞かなければなりません。実は、秘密裏に映像を非公開にすることを求められていたのではないのかという疑惑があります。

具体的に聞きますが、9月29日に細野さんが訪中していますね。この訪中には、篠原令さんという民間コンサルタントと須川清司内閣官房専門調査員が同行していますね。

官房長官は篠原令さんと面識があるんですか。今回の細野訪中は、官房長官が篠原氏に依頼してセットしたものなんですか。

[039]
内閣官房長官 仙谷由人
篠原さんとは面識がありますが、後段中川議員が言われた、そういうふうにセットされたのかという問いについては、全く私のあずかり知らないところでございます。

[040]
自由民主党 中川秀直
これも事実として、答弁として議事録に残りますよ。官房長官、御覚悟の上で御発言いただきたいと思います。

内閣官房専門調査員須川清司氏は、官房長官の指示で同行させたんですか。

[041]
内閣官房長官 仙谷由人
私の指示でもございませんし、須川専門調査員が中国に行かれたことは承知しておりません。

[042]
自由民主党 中川秀直
ことしの3月16日の政府答弁書で、須川さんは、公務としてそれまで米国には、意見交換と、それから当時の松野内閣官房副長官等に随行していますね。沖縄県には2度行っています、平野官房長官に随行している。これは政府の答弁書で出ている事実です。

では、須川さんは、9月29日と30日、公務で訪中したんですか、休暇扱いですか、公用パスポートを使ったんですか、都心と成田空港の往復は公用車を使っているんですか。

[043]
内閣官房長官 仙谷由人
いろいろな質問や問い合わせがありますから、調べてみました。

当時、須川専門調査員が行かれたのは、公務としてではなくて、公用旅券の申請も行われていないとのことでございます。

それから、当然のことながら、公用車も使用していないということであります。

それから、この専門調査員は非常勤でございます。当然、国から給与は出ておりません。したがいまして、国家公務員法の規定に基づく職務専念義務は免除されておることから、休暇をとって行かれる場合も、そういうふうな動き方をされる場合にも、休暇取得の申請は必要としないということであります。この間、休暇取得の申請も出ておりません。

[044]
自由民主党 中川秀直
渡航申請は出したはずですね。どのような渡航申請をし、どのような観点から須川さんの渡航を認めたんでしょうか。また、これについて官房機密費を出した事実はありますか。

[045]
内閣官房長官 仙谷由人
渡航申請というのは、内閣官房に対するですね。

海外渡航承認ということでありますが、内閣官房においては、これは一般職の常勤職員を対象に運用しておりまして、非常勤の諮問的官職である内閣官房専門調査員を対象としておりませんので、申請も受けておりません。

それから、後段の話、費用関係についても、一切私どもは関知しておりません。

[046]
自由民主党 中川秀直
一部新聞報道ですが、細野さんが9月30日に帰国した後に官房長官らに報告したとございますね。

長官は、細野さん、篠原令さん、須川さんが帰国後、訪中報告をいつどのような形でお受けになりましたか。

[047]
内閣官房長官 仙谷由人
報告というふうなものは受けておりません。

ただ、細野さんとは友人でございますから、その後、事実上、電話で事情を聞いたことはありますが、それは細野さんの報告をいただいたとは私は受けておりません。

[048]
自由民主党 中川秀直
何となく私は印象として強く思うのは、お帰りになったのが30日ですね、何か、そのころから政府はビデオ提出に慎重になったんじゃないかと思いますね。細野さんが行って帰ってきた、そして、それからビデオ提出にいろいろ慎重な御発言が長官からも出るようになった。

では、細野さん、篠原さん、須川さんは、北京でだれと何の会話をしたのか。そして先ほど、電話で事情を聞いた、事情は報告を受けた、友人であるからという御答弁ですが、その中で、だれと何の会話をしたのか、ビデオ非公開の要請、そういうものはなかったのか。それについて、その電話のやりとり、その他ある種の報告かもしれませんが、どういう事実関係ですか。

[049]
内閣官房長官 仙谷由人
ビデオがどうのこうのという話は、私は細野君から、先ほど申し上げた電話で話をしたときも、一切受けておりません。





平成22年11月17日 参議院 本会議
[013]
自由民主党 浜田和幸
まず、APECの日中首脳会談でも取り上げられた尖閣諸島をめぐる問題について。

9月7日、中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突して以来、政府は一貫してビデオの全面公開を拒んできました。しかし、11月5日、ユーチューブに44分23秒もの映像が流出。大勢の国民がこの衝撃的な映像を目にして海上保安庁の行動を支持しております。それなのに、政府は依然として事実を隠し続けています。

全世界に日本の正当性を主張できるこのビデオを隠したことに何の意味があったのでしょうか。検察・警察当局も、ビデオを流出させた海上保安官については守秘義務違反容疑では逮捕できないとの判断を下しました。要は、問題の映像には秘密の度合いはないということではありませんか。そもそも、全編20時間を超えるビデオには、日本国民をだましても守らなければならないような、そんな中国の怪物でも映っていたんですか。

速やかにビデオを公開し、事実を示せば、総理が出席された国連総会やASEM、ホストを務められた今回のAPEC、そういった場で、尖閣諸島は日本の古来の領土であり、我が国の実効支配が及んでいるということを疑いの余地なく納得させることができたはずです。総理、あなたはそうした機会をみすみす逃してしまいました。

菅政権の隠ぺい体質そして柳腰ならぬ腰砕け外交が、日々、日本の国益を損なっているのです。中国との間に領土問題を抱えるアジア諸国の間にも、日本の外交姿勢に対する失望感が広がっています。

このビデオ映像は、海上保安庁の一職員ではなく、本来政府の手で公開され、戦略的に使われるべきものでした。海上保安庁には激励の電話やメールが続々と入っているようですが、こうしたほうふつと沸き上がっている国民の声をどう受け止めておられますか。

いずれにせよ、ビデオ流出に関し総理は、管理責任が不十分だった、このことについては最終的に私自身にも当然責任があると認めておられます。さすが総理です。また、流出を防げなかった意味も含め、直接的にはそれぞれの部局にそれなりの責任があると、海上保安庁を所管する馬淵国土交通大臣の責任にも触れておられます。

しかしながら、黒を白と言いくるめるのがお上手な仙谷官房長官は、国家公務員の気の緩みを強調し、政治職と執行職のトップの在り方は違うと詭弁を弄し、鈴木海上保安庁長官にすべてを押し付け、逃げようとしています。

思えば、東工大の学生のころ、菅総理は学生運動のリーダーでした。小生も国際反戦デーのデモに参加したものです。その当時、菅総理は4列目の男と呼ばれていましたね。デモ隊の4列目にいれば、機動隊とぶつかっても捕まる可能性は少ないから。留年までして学生運動の指導者であり続けていながら、あなたはいつでも逃げることを考えていたようでした。

幾ら何でも、今でもそんな体質を引き継いでいられるとは思いたくありません。陰の総理と呼ばれる仙谷官房長官の後ろに逃げ込むような見苦しいまねはやめていただきたい。ましてや、石にかじりついても総理を続ける、この発言、何ですか。総理がかじりつこうとする石は、仙谷という石ですか。御自分の信念や国家観はどこに行ったんですか。正々堂々と最前列に出て、自らの言葉で国民にも世界にも向き合ってほしいものです。

もし今回のビデオ流出問題で閣僚のだれ一人も責任を取らなければ、政治主導という看板が泣きます。何か失敗すれば役所のせい、マニフェストが達成できないのは前自民党政権のせいと言い張る言い訳内閣であることを改めて内外に示すことになります。国民はそんな言い訳内閣にほとほと愛想を尽かしています。

政府はこれまで、ビデオの管理は厳重にしてきたと繰り返し説明し、何本のビデオが存在するかは明らかにしませんでした。教材用にダビングされた複数のビデオが存在し、神戸の海上保安官が簡単に見られる状態になっていたことは、情報管理がなっていなかっただけではなく、我々にうその説明を重ねてきたということになります。言い訳が多く、ひきょうなだけではなく、菅内閣はうそつき内閣でもあるわけです。

(中略)

アメリカの海軍情報分析センターでは、今回、漁船に偽装した中国の工作船が意図的に起こした衝突事件とみなしています。そうした中国船が再度日本の領海を侵犯した場合、どうするおつもりですか。東シナ海のガス田についても、中国側は日本の海底資源を盗掘している可能性があります。そうした動きを止めるにはどうすればよいとお考えですか。

[014]
内閣総理大臣 菅直人
さて、まずビデオ映像に関する質問をいただきました。

中国漁船衝突事件のビデオ映像の取扱いについては、国会からの所定の手続による要求があれば、捜査の状況等を踏まえ、適切な判断がなされ、またなされるべきものと考えます。

映像流出に関する国民の皆さんの率直な感想は分かりますが、海上保安庁は捜査権を有する行政機関であり、海上保安官はその一員であります。仮に捜査中の資料を意図的に漏えいすることができるとするなら、それは公務員の服務規程の否定、捜査機関としての機能と規律の喪失を招くものと認識をしております。

また、流出に係る閣僚の責任いかんとの御質問でありますが、本件については現在捜査中であり、まずは真相究明が必要であります。そして、再発防止策の確立が政治の責任として急務と考えております。





平成22年11月17日 参議院 予算委員会
[101]
自由民主党 衛藤晟一
いわゆる「みずき」に故意に衝突させたことは証拠上明白であると。ところが、その後言っていることがころっと変わるんですよ。「みずき」の損傷の程度は直ちに航行に支障が生じる程度のものではないということがありました。しかし、それが一体どうしたんですか。沈没しなくて良かったですね、本当に。

海の衝突というのは大変な危険が伴う。だから「みずき」自身が、私は初めてこの両方のビデオを見て分かったけれども、後で特に44分物を見て分かりましたけれども、必死で「みずき」が相手の漁船から逃げている。取り締まる方の海上保安庁の船がぶつけられて逃げている。

関係者にお聞きしますと、船の衝突というのは大変なことなんです。今、船の事故においても、いわゆる転覆が1番、2番が衝突なんですよ、実は。船の関係者が自らぶつけるなんということはあり得ない話なんですよ。あり得ない話で、これだけぶつけた、だから、動けるのは良かった。だからといってこれは釈放の理由になるような話じゃないんです。

具体的に、私は、じゃ、もうちょっと、どれぐらいの被害があるのか丁寧に出してくれと言ったら、これだけしか、海上保安庁から、捜査に関係があるといって見せてもらえませんでした。捜査がまだ終わっていないと言うんですよ。捜査が終わっていなかったら、よくこれ釈放したねと思うんだけれども。ふざけた話だよ、本当に、何もかもね。これだけしかもらえないんです。その程度も書いてもらえない。ただ、「よなくに」手すり1本破損、それから、ヘリ甲板支柱の1本破損、「みずき」云々と。これでも相当な被害ですよ。金額についてもまだ言ってくれない。こんなばかなことがありますか。

捜査がまだ済んでいない。捜査がまだ済んでいないのだったら、何で釈放したんだ。むちゃくちゃですよ、あなた方の言っていることは。だから、国民の皆さん方はあなた方の言っていることを全く信用してないんですよ、それが世論調査でも明確に出ているじゃないですか。

いいですか。いつの間にか、言っている中身は、「みずき」の損傷は直ちに航行に支障が生じる程度のものではない、「みずき」乗務員が負傷するなどの被害の発生はないと。そのことが、たまたまこうなったかもしれないけれども、何をこんなことを挙げて言っているんですか。計画性が認められない、本当にそうですか。あの船の状況を見てください。明らかに意図的に、「よなくに」に対して意図的に、故意にあえてぶつけているということは一目瞭然ですよ。

そして、1300トンの「よなくに」の方に被害が出て、漁船の方には何も出ていない。そうすると、あのへさきには何か強化している、意図があったのではないのかということで当然見られるでしょう。1300トンと166トンが衝突をして、そして大きな方に大きな被害が出て、小さい方には何も出ていない。しかも、意図的にぶつけていることは分かる。普通はこんなときには船は何とかして衝突を避けようとするものですけれども、この漁船は意図的にぶつけてきているんですよ。44分のビデオを見てから、あの動きをずっと見てよく分かりましたよ。

そして、その後出てくるのが、我が国国民への影響や今後の日中関係と出てきています。しかし、上のところを釈放理由に挙げるということは、今まで言ってきたことと違うんですよ。またまた大阪地検でやったあの証拠改ざんと同じようなことを、いつの間にか言うことが変わっているんですよ。まだ分かりませんか。こんなうそを言ってまで、言い逃れをしてまで何ゆえに、法を犯してまで、法で許されていないところ、越権行為をしてまでこんな処置をしたのか、これが分からない。

それから、ビデオについてももっと早く公開していた方が、真実ほど強いものはないんですよ。中国が一時的に文句言うかもしれない。しかしながら、あのビデオをちゃんと見たらどちらが意図的にぶつけたかというのははっきり分かります。分かるということを仙谷さんのメモでもちゃんと言っているんですよ。そしたら、次第次第に、ああ、自分たちは騒いでいたかもしれないけれども、これは今まで政府が言っていたのと違うんだなということで必ず分かってくる。むしろ、この行為が、真実を明らかにしていなかった行為が日中間の溝を深めてしまうという皮肉な結果になった。このことの責任を本当にあなた方は感じなければいけないんです。

総理、これについてあなたは本気でどう思うのか。私は、今までのずっとの動きを見ていると、是非、ひょっとしたらあなたは本当にこの国を愛していないんじゃないのか、この国の主権を大事にしようとしていないんじゃないのかとか、そんなことを思わざるを得ないんですよ。言葉では大事だと言いますよ。しかし、やっていることは違うから。だから、本当に今の私の言葉に対して真摯に答えていただきたい。

[102]
内閣総理大臣 菅直人
衛藤議員から大変厳しい指摘をいただきました。

私は、今回のこの衝突事件、それをめぐってどのような形でこれが推移してどうなっていくのか、当然ながら私自身、自分自身としても考えましたし、また関係者とも相談をしながら方向性を決めてきました。

つまりは、この日本の主権の問題、そのことについてしっかり守っていくということは当然やらなければならないことです。と同時に、と同時に、日中の関係に関してそのことがどのような形で展開するかということも、当然ながらいろいろと予測をしなければいけない立場に私はあると、そう思っております。

そうした中で、今回の経緯に関して言えば、今るる議論がありましたけれども、最終的といいましょうか、少なくとも刑事訴訟法に基づく一つの判断の中で釈放ということが一定のルールにのっとって決まったことについて、もちろんそのことがいろいろな議論を現に生んでいるわけですけれども、私は、3年後、5年後に翻ってみたときに、この一連の経緯が、私は、日本の主権にとってもあるいはアジアにおけるいろいろな問題に関しても、歴史に堪え得る一つの方向であったことはまさに歴史が証明してくれるものと、このように確信をいたしております。

[103]
自由民主党 衛藤晟一
総理、あなたは本当に歴史認識も何もないんだということがよく分かりました。あなたの言っていることは逆ですよ。

今回どういう状況が起こったかというと、今まで我々が長い間、例えば中国が1992年に領土法を決めて、尖閣も自分のものだとか言いながら、本気でそんなことはしないだろうという具合にみんな思ってきたんです。だから、領海内に船が来ても、漁船が来ても、帰れと追っ払っていた。

言わば、こそ泥が来るけれども、それを追っ払っていた。今回ははっきりと強盗に変わったんですよ、これは。船をぶつけてきたんですよ、最も危険な行為に出てきたんですよ。

海の上の衝突ということがどれだけ危険かということは私も海上保安庁の方にも聞きましたし、海の関係者にもそれから漁業関係者にも聞きましたよ。ああ、なるほどなと。だから、あの「みずき」も必死で、黒煙をいっぱい上げて、エンジンをばっと吹かして、離れろ離れろと言いながら逃げていたんですよ。それぐらい危険なことなんですよ。しかしながら、そのことは分かった上であれだけぶつけた漁船の方は何ら傷も一つも受けていない。大きい方の「よなくに」にしろ、あるいは「みずき」にしろ、大変な被害を受けている。

そういう状況だからこそ、国内法にのっとってちゃんと処理する、いいなと思っていたんです。そして、中国から言われる。そのときには、真実はこうですよと、真実はこうですよと何でちゃんと言わないんです。そして、真実はこうですよということを何ではっきり言わないの。そして、ビデオも見てください、こうですよ。我々は当然の権利を行っただけです。あなた方も国際法をちゃんと守ってやってくださいね。私どもは、私どもからけんかを売っているわけじゃありませんよ、中国漁船の方からこういう不当なことをされたんですよ、あなた方は逆にこの中国漁船を取り締まるべき立場でしょうと中国にちゃんと言わなきゃいけないんですよ。

それを、今回の後の動きもずっと見ていても、強盗に入られたら、いつの間にか、証拠もちゃんと調べないで終わったまま、ぱっと無罪釈放して、それで終わりだと。法にのっとっていないんですよ、ちゃんと。そして最後は、悪いことをしている中国に対して、強圧的な中国に対して、あなたはずっともみ手をしながら一生懸命会ってくれ会ってくれと言っただけなんですよ。

これが5年、10年に何で堪えます。全く堪え得ないんです。だから、歴史観がちゃんとない、この国家に対する主権や領土の意識や、あるいは国民に対する愛情がないと言っているんですよ。そのことで終わります。





平成22年11月27日 参議院 本会議
[004]
みんなの党 小野次郎
みんなの党の小野次郎でございます。

私は、みんなの党を代表して、馬淵国土交通大臣問責決議案に賛成の立場から討論を行います。

以下、簡潔に賛成の理由を申し述べます。

第1に、国土交通大臣馬淵澄夫君は、尖閣諸島沖中国船衝突事件に関し、我が国の主権や領土の保全に大きな影響を与える事案であることの認識を忘れ、海上保安庁当局による速やかな情報公開を妨げ、国民に対する説明責任を怠った。

第2に、馬淵大臣は、本事件への対応に関して、広く我が国に対する国際世論の理解と支持を得るべき重要な局面において、我が国のとった措置の正当性を説明できる記録映像の公開を妨げた。

第3に、国会審議の過程で、海上保安庁の保有するビデオ情報の提出を求められた後に、その後になって、その要請を無視して、あろうことか、馬淵大臣自らが指示して、海上保安庁の複数の部署に保有されていたビデオ情報を不当に消去、廃棄させた。

第4に、馬淵大臣は、国会の一致した記録映像の提出要求に対して、那覇地方検察庁が国会に提出する記録映像の編集に部下職員を不当に関与させ、刑事訴訟法47条の趣旨を無視して、保有されていた記録映像の何と95%以上を削除させるなど、国政調査権の円滑な行使を妨げた。

第5に、政府の対応に対する内外の批判を抑え込むため、海上保安庁部下職員に対して実質的な秘密に当たらない記録映像まで公表を禁止するなど、不当な情報統制を企てた。しかし、憤りを持った身内からビデオ情報を流出させるという失態を招き、結果として海上保安行政に対する国民の信頼を二重に損なった。

国務大臣として、国会と国民に対する説明責任を全く自覚せず、国会での審議を妨げ、政府の失態や自らの怠慢を内部の情報統制によって切り抜けようとして、結局失敗した。

無責任かつ管理能力に欠ける馬淵澄夫君が、国の危機管理にかかわる国土交通行政の最高責任者の座に座り続けることは、国益と国の安全を損なうおそれがあり、断じて受け入れることができないことを申し上げ、馬淵大臣問責決議案に対する賛成討論といたします。(拍手)





平成23年01月28日 参議院 本会議
[002]
公明党 山口那津男
民主党政権になって確実に弱体化したのが日本の外交力です。言うまでもなく、鳩山前総理の無責任な対応で混乱する普天間移設問題に端を発した日米関係の揺らぎが東アジア地域の不安定化を招きかねない状況を生んでいます。日本外交の基軸は日米関係です。強固な日米関係に韓国を加えた連携で東アジアの安定に責任を持つ視点から、菅総理の基本的な外交姿勢をただします。

尖閣諸島沖中国漁船衝突事件における政府の対応に国民の多くは失望しました。那覇地検が船長釈放理由に日中関係を考慮したと外交の当事者のように説明する一方で、地検からの報告を了としたと無関係を装う仙谷前官房長官。政権が幾ら政治介入を否定しても、国民の違和感は拭い難いものがありました。

その後、衝突時のビデオ映像が流出し、漁船の非を裏付ける決定的な証拠を見せ付けられた国民はこう感じたでしょう。この政権は信用できないと。国民の不信は、あなたの場当たり的な政権運営から芽生えたものです。

総理の外交姿勢は、さきの臨時国会冒頭で所信表明された国民全体で取り組む主体的な外交どころか、国民を蚊帳の外に置く場当たり外交と言わざるを得ません。総理の答弁を求めます。

[003]
内閣総理大臣 菅直人
外交姿勢についての質問をいただきました。

さきの臨時国会の所信表明では、主体的な外交の展開を重要政策課題として掲げました。これは、外交とは、一部の専門家によるものではなく、国民一人一人が自分の問題としてとらえ、国民全体で考えることにより、強い外交を推進できると確信しているからであります。

昨年の尖閣諸島周辺領海内における中国漁船衝突事件は、我が国の国内法にのっとり粛々と処理したものではありますけれども、必ずしも国民の皆さんに対して十分納得のいく説明がなされなかったという指摘があることは認識をしており、今後十分配慮してまいりたいと考えております。

いずれにしても、国際社会が地殻変動ともいうべき大きな変化に直面している中、現実主義を基調として世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策を推進してまいる所存であります。



[026]
自由民主党 有村治子
次に、尖閣問題について伺います。

中国漁船衝突事件の全貌を記録したビデオは、日本の対応が国際法の観点からも正当性があることを明示する決定的証拠です。国民の安全確保に尽くす日本政府の最高責任者として、総理が国家の主権を堅持し、国民と真実を共有し、我が国固有の領土、領海を守るという使命を全うできる確かなあかしなのです。

総理、なぜ公開を決断されないのですか。私たち自由民主党は、国民の知る権利を尊び、主権者たる国民に対する当然の説明責任として、日本の尊厳が懸かったビデオの全面公開を改めて強く求めます。主権や領土を守ること以上に大事な理由があってビデオを公開しないと総理が主張されるのであれば、非公開によって得られる国益の内容を今質問を聞かれている全国の皆さんが納得できるよう具体的に示してください。

先月21日、東京新聞は、「尖閣「秘密外交」の内幕」と題した記事を掲載しました。衝突事件の際、民主党幹部であった細野議員が訪中し、戴秉国国務委員と会談できるよう道を付けた中国通、篠原氏の記者会見の内容を報じています。記事には、漁船衝突ビデオを公開しない、中国への非難を控えるという条件で、中国が拘束していた建設会社フジタ社員4人を解放すること、日中首脳会談を実現する約束ができたとあります。これを中国との裏取引、密約と言わずして、一体何と言うのでしょうか。

菅総理は、日中間の密約や裏取引は一切ないと何度も強弁されてきました。では、国民は、総理の言葉と秘密外交を担った篠原氏の発言と、一体どちらを信じればよいのでしょうか。中国と密約があったのか、なかったのか、私たち国民に真実を語ってください。もし、密約などないと従来の答弁を繰り返されるのであれば、東京新聞に報道の訂正を申し込まれるか、篠原氏を国会に招致されるのが国民に対する説明責任であるはずです。はぐらかさず、正々堂々とお答えください。

そもそも、フジタ社員は、旧日本軍がさきの大戦後、中国に引き渡し、一部遺棄したとされる化学兵器を安全に処理するための施設予定地を視察していたさなか、突如中国当局に拘束されました。このプロジェクトは、日中友好のため、日本の莫大な税金、726億円もの資金を使って進められています。兵器処理のために働く民間人を拘束するのであれば、プロジェクト自体の見直しもやむを得ないですよと外交テーブルに上げればよいのではないですか。総理の見解を伺います。

[027]
内閣総理大臣 菅直人
尖閣衝突ビデオの公開について御質問をいただきました。

インターネットに流出した映像とほぼ同一の映像記録については、参議院から提出を求められ、海上保安庁が既に参議院に提出をしているところであり、参議院からその提供を受けた方々により実質的に公開されている状況にある、このように理解をいたしております。

今回の事案については、必要な場面において国際社会に対ししっかりと我が国の立場を説明してきたところであり、国際社会においても理解が得られているものと認識をいたしております。

昨年の中国漁船衝突事件についての御質問をいただきました。

御指摘のような中国との間での密約というものは一切存在をいたしません。政府として、御指摘の訪中については関与をしておりませんので、それについてコメントすることは控えたいと思います。

中国における邦人拘束事案についての御質問にお答えします。

フジタ社員4名の拘束については、我が国は中国側に対し、一貫して身柄の安全確保とともに、人道的観点からの迅速な処理を求め、その結果、全ての方が釈放され、無事帰国されております。本件事案の詳細については、中国側に対し更なる説明を求めているところであります。

中国における遺棄化学兵器処理事業については、化学兵器禁止条約に基づくものであり、引き続き政府全体として誠実に取り組んでいく考えであります。





平成23年04月19日 参議院 外交防衛委員会
[061]
自由民主党 宇都隆史
これは今朝の新聞です。実際の報道は昨日の18日に行われていますけれども、尖閣問題の件です。今回の中国漁船問題に関連してここで述べさせていただきますが、沖縄尖閣諸島沖の中国船衝突事件において、那覇検察審査会が昨日、処分保留のまま釈放され、公務執行妨害罪で不起訴処分となった中国人船長、あの船長に対して起訴相当と議決をし、公表したと。議決を受けて那覇地検は再捜査をする、再び不起訴としても、検察審査会が再び起訴議決をした場合、船長は強制起訴されると、このようなニュース報道が出ていますけれども、前回不起訴となったこの件に関して、政府の対応に対して国民がまだ納得していないことの表れだと思うんです。

そこで大臣に再度お伺いしたいんですけど、あの尖閣の事件も、今改めて考えてみて、当時は外務大臣ではなかったですが、国の外交問題にかかわる所掌の問題を一地方の地検に預けてしまったことによる失敗、政府の間違いであった、このような認識はございませんか。

[062]
外務大臣 松本剛明
我が国の領土であり、我が国の領海であり、そして我が国の法律が適用されるところであるから、我が国の制度に基づいて処理をされたものと私は理解をしております。

[063]
自由民主党 宇都隆史
今回の検察審査会の出した資料を見ますと、我々が当時の尖閣問題で認識していた以上のことがいろいろ出てきております。

あのときに那覇地検が釈放した理由の1つとしては、計画性がない、あるいは乗組員に対して傷害がなかった、あるいは航行がすぐできないような大きな損傷を受けていないと、こういう理由も挙げられていたわけですが、実際に今回の検察審査会の中では、「みずき」の乗組員の証言によると、自分たちも乗組員も、本件漁船に衝突して死んでしまう、このまままともに船首が乗組員に当たったら死んでしまう等と不安や焦りを述べている、このような記述もなされております。

あるいは、本中国人船長です、この被疑者に関しては、どのような発言を当時していたか。我が国の漁船が日本に捕まったことはない、撃ってこない、巡視船に撃つ勇気なんて絶対ないと述べ、逃走を継続。この巡視船から逃げることができるのであれば、私の船を巡視船にぶつけさせても関係ないし、それでも構わないと思っていたと、このように述べているという話なんです。そこで、検察審査会の方ではこれは起訴相当というふうな判決を下したわけなんですけれども。

外務大臣、これでも、我が国の主権の及ぶ範囲で我が国の法律にのっとってやられていることであるから外務大臣としてそれに対して抗議等をする必要はないと、このようにお考えですか。

[064]
外務大臣 松本剛明
我が国の法律に基づいて検察当局が行っていること、また検察審査会がされていることに私から抗議をする立場にはないと理解をしております。

[065]
自由民主党 宇都隆史
当時、那覇地検はこのように言っているんですね。我が国の日本人に対する影響と日中関係を考慮して不起訴処分とすると、釈放するというふうな判断をしているんですけれども、まさに日本人に対する影響、それから今後の日中関係の影響を考えるのは外務大臣の職責ではないですか。

[066]
外務大臣 松本剛明
外交については私もしっかりと責務を果たしていきたいと思っておりますが、検察当局の独立性について私どもから何かコメントする立場にはないと承知をしております。





平成23年04月26日 参議院 外交防衛委員会
[126]
公明党 山本香苗
まず最初に、沖縄尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件についてお伺いしますが、今月の18日、那覇検察審査会は、処分保留のまま釈放され公務執行妨害罪で不起訴処分となった中国人船長を起訴相当と議決し、公表しました。

あの事件から半年以上がたちました。今、どうあの事件を振り返るのか、外務大臣としての所見をお伺いします。

[127]
外務大臣 松本剛明
我が国の領土をしっかり守るということが国として最も大切な責務の1つであるということは申し上げるまでもないということをまず申し上げておかなければいけないのではないかと思いますが、昨年の中国漁船の衝突事件については検察当局が国内法に基づいて適切に対応、処理をしたものだということでありますし、私もそのように、当時外務副大臣でありましたけれども受け止めておりますし、現在も同じようにそれは理解をいたしております。

もちろん、今お話がありましたように、御指摘の議決がなされたということは私どもも承知をいたしておりまして、これについては言わばボールが検察当局に今行っているんだと思いますが、適切に処理をされるものだというふうに理解をしております。

[128]
公明党 山本香苗
大臣、本当に今の時点でもあの対応は適切だったとお考えなんですか。非常に残念です。

19日の当委員会で松本大臣は検察当局の独立性に言及されて、今もおっしゃいましたけど、政治の関与というものを否定されました。しかし、あの事件に政治が関与していないということなんかあり得ないわけですよ。検察が外交問題まで、関係まで考慮して総合的な判断をすることはあり得ません。にもかかわらず、政治が一切関与を認めない。

これがどういうことを生じているか、どういう事態を招いているかといいますと、そのことによって、誰がいつどのような判断をしたか、決断をしたかを含めて、事件の経緯を検証することができないわけです。事実上、検証が封印されているわけなんですね。

あの事件の経緯を検証できなければ、そこから教訓を引き出して、そして、あのときどういう措置をとるべきだったのかとか、また同様な事件が起きた場合どういう措置をとるべきなのかと、そういうことを建設的に議論することができるはずなのに、それすらできていないわけなんです。

我が国の外交当局のトップとして、この事態をどう受け止められますか。

[129]
外務大臣 松本剛明
国内法に基づいて適切に対応、処理するというものであると思います。

外交は外交で、当然、日中間で生じたことも含めてしっかり対応をしたいと思いますし、また、この事案を発端として発生をした外交問題に対しては私どもとしても対応をさせていただいたというふうに思っております。

その上であえて申し上げれば、一般的に、日中に限りませんけれども、二国間で誤解や摩擦が生じないように常日ごろから意思疎通を強化をする、また、不測の事態が発生をした場合に備えて重層的な危機管理のメカニズムを設けることが重要だということは申し上げるまでもないことでありまして、しっかりとそういうことができていくように私どもとしても努力をしていきたいと思います。

[130]
公明党 山本香苗
大臣、政策決定のプロセスを検証しなければ教訓というものは引き出されないんです。言葉だけなんですよ。そして、教訓を学ばなければ同じような過ちを繰り返すことになるんです。





平成23年05月27日 衆議院 法務委員会
[004]
自由民主党 平沢勝栄
まず、法案質疑に入る前に大臣に御質問させていただきたいことがあるんですけれども、西岡参議院議長がいろいろと御発言されておられます。

まず、5月18日の産経新聞のインタビューではこういうことを言っておられます。菅内閣はすべてが先延ばし、先送りだ、戦後最大の国難に菅さんが首相でいることが最大の不幸だ、それから、このまま行けば菅さんと一緒に日本の国がおかしくなってしまう、サミットの前に不信任案を出すのが常道だと。これは産経新聞。

それから、今度は読売新聞に翌日寄稿されていまして、この中で西岡参議院議長は何て言っておられるかというと、菅総理は首相としての責務を放棄し続けてきた、首相の政治手法はすべてを先送りするということだ、我が国は多くの難題を現に抱えているけれども、私は菅首相にはそれを処理する能力はないと考える、野党が衆議院に内閣不信任決議案を出す以外に道はないのですと、大臣も読まれたと思いますけれども、こういった趣旨の発言をされておられるわけで、記者会見では、すべてがだめだということも言っておられるわけです。

参議院議長というお立場にあられる方がここまで言っておられる。相当の覚悟を持って言われたんだろうと思います。

私はよく言ってくれたと思いますし、実際、読売新聞では、おおむね妥当な見解だ、多くの国民の声を代弁するものとも言える、こういった社説が出ているわけですけれども、その一方で、三権の長が行政府の長にこういった発言をするのはいかがなものかという声があることも事実でございまして、議長というのは中立的でなければならない、その議長の権威が揺らぐんじゃないかという声もあることも事実です。

大臣は参議院議長も御経験されておられますけれども、今回の西岡発言についてどうお考えになられるか、御所見をお聞かせください。

[005]
法務大臣 江田五月
西岡現参議院議長がいろいろとお話しになったり、あるいは投稿されたりしていることは承知をしております。

私は、もちろん菅内閣の閣僚の一員でございまして、大変な、未曽有の震災、津波、そして原発事故、ここへ直面して、今、国民みんながこの被災地の皆さんに心を寄せて、国民だけではありません、世界じゅうが心を寄せて何とかこの危機を乗り越えようとしているときに、私ども内閣としても精いっぱい頑張っているつもりでおります。その点において、私は西岡議長と全く見解を異にしております。

それと、議長としてああいうことをおっしゃるのがどうかというお尋ねも今の中に含まれていると思うんですけれども、私も議長を3年間務めてまいりました。その間、至らぬことも多かったと思いますが、精いっぱい、与野党意見の違う中、中立、公平、公正に議事運営を進めよう、このことに努めて、さらに、いろいろ物議を醸すようなテーマについての発言は控えてきたつもりでございます。

それが私の議長のあり方だと思ったからそうしたのでありまして、しかし、議長のあり方というのは、それぞれの議長でいろいろなものがあるのかもしれません。世界じゅうを見ましても、議長がかなりのリーダーシップを持って一定の方向に政治を引っ張る、そういう国がないわけではない。私は日本はそういう国じゃないと思っておりますが、西岡さんの目指す議長像と、私のこれが議長だと思う姿とはかなり違うと思っております。

それ以上に、この問題に私自身が参戦をするつもりはありません。

[006]
自由民主党 平沢勝栄
やはり、議長という立場にありながら、恐らく西岡さんも議長というのはニュートラルでなきゃならないということは十分おわかりの上でここまであえて発言されるというのは、相当の覚悟を持っておられるんじゃないかなという気がします。

そこで、もう1つ、西岡議長が読売に寄稿した文章の中にこういったことも書いてあります。昨年、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のときも首相としての責任を放棄されたと。

恐らくこれは、政府が責任をとらないで、全部検察庁に責任を転嫁した、このことを言っているんじゃないかと思います。

西岡議長は、断定的に、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のときも首相としての責任を放棄されたと菅首相に言っているんですけれども、これについては、大臣、どういうふうにお考えになられますか。

[007]
法務大臣 江田五月
この点について、西岡さんの御意見がどういう御意見なのかはよく承知をしておりません。

ただ、日本の法制上、あれはもう全くの刑事事件でございまして、公務執行妨害という事件で、これは、日本の場合には、捜査当局がすべての権限を持って処理する、その捜査当局に対して、法務大臣が具体的な事件においては検察庁法14条で検事総長のみを指揮できる、こういう立て方になっておりまして、当時の法務大臣も、あるいは法務大臣の任命権者である内閣総理大臣も、その日本の法律の仕組みというものをしっかり踏まえて、ぐっと歯を食いしばって現地の検察にすべての処理をゆだねた。

ただ、検察の処理の仕方がどうだったか、これはいろいろな意見はあるとは思いますが、そこはもうゆだねる、そして、その結果起きてくる外交問題があるいはあるならば、それは政府としてしっかり責任をとりながら外交関係は処理していくということで、私は、西岡さんがどの点をとらえて言っているのか存じ上げておりませんが、西岡議長の言われるような批判は当たらないものと思っております。

[008]
自由民主党 平沢勝栄
これはまた別の機会にやりたいと思いますけれども、あのときの那覇地検の対応というのは、どう考えても那覇地検が単独で判断できる話ではないし、検察だけで判断できる問題ではないし、だからこそ、あの中に日中関係を考えたというような文言が入ってくるわけでございまして、恐らく、そういったことをとらえて西岡さんは言われているんじゃないかなと思いますけれども、これはまた別の機会にやりたいと思います。





平成23年06月10日 参議院 予算委員会
[199]
公明党 山本香苗
昨年9月の尖閣諸島沖中国漁船衝突事件では、公務執行妨害容疑で逮捕された中国人船長は起訴猶予処分となりました。しかし、4月18日、那覇検察審査会は検察判断を覆して起訴相当の議決を行いました。

かつて菅総理は、この事件の対応について世論に批判があることは重々承知をしているが、歴史は必ず菅内閣の対応は適切だったと評価すると言われていましたけれども、検察審査会は明確にノーを突き付けたんです。やはり国民は納得していないんです。

時が過ぎれば過ぎるほど、ますます菅総理の判断はおかしい、歴史の審判に堪えられるものではないということがはっきりしてくると思いますが、総理、いかがですか。

[200]
内閣総理大臣 菅直人
そこは見解の相違ということだと思います。

御指摘の中国漁船衝突事件については、検察当局が法と証拠に基づいて適切に対応したと承知をしております。その上で、いろいろな手続が進んでいることは聞いてはおりますけれども、私が申し上げているのは、この尖閣諸島という我が国固有の領土の問題をしっかりやるということ、もちろん重要であります。そのことを含めて、5年、10年先にこのことが、歴史の上で、しっかりとした対応であった、適切な対応であったと、このように私は評価されると今でも考えております。

[201]
公明党 山本香苗
中国漁船は我が国の海上保安庁の巡視船に2回も衝突を繰り返しました。だから逮捕した。ここまではいい。しかし、なぜ主権にかかわる事案を起訴猶予にしたのか。その理由がおかしい。法と証拠に基づいてのみ対処するという検察が、その原則を曲げて、日中関係を考慮したといった外交判断、つまり政治判断ですよ、これを持ち込んでいると。これは絶対におかしいんですよ。

さらに、主権にかかわる問題なのに、主権にかかわる問題なのにですよ、総理自身の判断がないんです、見えないんです、伝わってこないんですよ。専ら検察の判断を隠れみのにして対応しただけでした。こんな対応が歴史の審判に堪えられるわけないじゃないですか。





平成23年07月27日 衆議院 外務委員会
[220]
民主党(民進党) 中津川博郷
それでは、尖閣中国漁船の衝突事件について質問をさせていただきます。

昨年9月に尖閣諸島近海で衝突事件を起こし、同月25日に那覇地検が今後の日中関係を考慮して処分保留のまま、中国人船長、センキユウとかいう人でありますが、先週の木曜日の21日に那覇検察審査会が2度目の起訴相当を議決して、同船長の強制起訴が決定いたしました。

当時、私、民主党の仲間73名と、この真相究明と、それから政府の対応のまずさ、批判を込めて抗議声明を出しました。その後、経過をずっとウオッチしていたわけでありますが、ようやく、起訴相当2度目が出て、強制起訴というふうになったわけであります。とにかく、これは中国人の船長の罪、罰、巡視船の「よなくに」と「みずき」にビデオを見れば体当たりしているわけですから、これはもう悪質きわまりないわけであります。

問題は、それもそうなんですが、逮捕から処分保留、不起訴に至った検察及び政府の対応のあり方なんですね、国民が納得できないのは。本来は法と証拠に基づいてのみ判断をすべき検察が、今後の日中関係を考慮して同船長を処分保留のまま釈放して、これはどう考えても政府の介入、政治の介入があっただろうと国民は全員思っている中で、あくまでも地検の判断ということで押し通しました。

もしそのとおりであれば、僕はずっと疑問に思っているんだけれども、政府は越権行為として厳しく那覇地検を断罪すべきじゃないですかね。検察はあくまでも法と証拠をもとにして決めるわけで、外交的配慮なんというのを、検察にはそんな権限ないんですよ。それを政府も了としたというわけでありますから、これは本当に大変恥ずべきこととして歴史に残ってしまうと僕は思うんですね。

法務副大臣、御見解をお願いします。

[221]
法務副大臣 小川敏夫
まず1点、ちょっとお時間をいただきまして。

先ほど、在留カードで地域を記載しているというふうに述べましたが、記載することとなっているということで、これからのことでございます、訂正させてください。

尖閣の点でございますが、これはやはり、これまでもずっと一貫して述べておりますとおり、検察の判断、政治は特に介入していないという考えでございます。