徴兵制 3 ~ 岸信介内閣(1241日)

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昭和32年03月07日 衆議院 内閣委員会
[100]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
私はこの自衛隊の中に、特に志願兵制度でできた自衛隊という以上は、かつての権力乱用がほしいままにされた旧軍隊とは違った要素が必要だと思うのです。しからざれば自衛隊はやがて権力乱用の犠牲者が相次いで現われて、徴兵制度をしかざれば自衛隊が存在できないような状態に立ち至ると私は思います。いかがでございましょうか。





昭和32年03月28日 参議院 予算委員会
[131]
日本社会党(社会民主党) 湯山勇
それで、ぜひ一つ関係大臣、これらの問題を、これは党派の問題じゃなくて、国に課せられたものとして、今の貧困、それから低賃金、これからの解放、完全雇用の実現のために早く実現していただきたい。これを実施していただいて困られるのは防衛長官だと思うのです。それは、ニクソン副大統領が、仕事のないものは自衛隊に入れというような発言をかつてしたことがあります。この間、自衛隊員のいろんな放送の中に、仕事がないから仕方なく入ったのだということが非常に多うございました。

それで、そういう状態になれば、防衛庁長官は、徴兵制度というようなことをお考えになるかどうか。完全雇用ができれば、自衛隊は減るというようなことはお考えになりませんか。最後にそれだけお聞きして終ります。

[132]
国務大臣(防衛庁長官) 小滝彬
防衛力の充実は、ただ部隊を作るだけではございません。国家の経済力が伸びなければ、この国力の基盤というものはよくならないのであって、その意味では、失業者が減る、雇用が増加するということは決して悪いことではない、また、いろいろ新聞などでは書かれているかもしれませんが、去年なども、平均いたしまして5倍以上の応募者を持っております。

そして、いよいよ入隊のときに、入るものは少いというようなことも指摘せられておる節がございますしするけれども、これは、募集いたしましたときと入隊いたします際の時間的なずれもありまするので、年々大体20%ぐらいは、通知を出したもので入らないものがあることを予定してやっておりますので、最近特に悪くなったとは思わないのでありまして、私はむしろ、よほど多数、何倍もあるのを、たとえば、5倍あるのを、そのうち5分の1しか採用しないということになると、ぜひ入りたいという意欲を持った人がかえって自衛隊に対して反感を持つというような場合もございまするから、私は、これは、ふえましても何ら差しつかえないと確信いたしております。





昭和32年05月17日 衆議院 本会議
[005]
日本社会党(社会民主党) 河上丈太郎
次に、岸内閣を不信任する第2の理由は、岸内閣の反動性にあるのであります。岸君は、その半生の経歴の示すように、商工官僚として出発し、軍閥と妥協し、これと結びついてその政治的進路を開拓してきた政治家であるのであります。(拍手)岸君にまつわるものは、抜くべからざる官僚性とその反動性にあると、私は言いたいのであります。(拍手)最近わが国の政治がややもすれば統制経済時代の陰うつな空気に包まれんとしているのは、主として岸内閣の官僚性、反動性によるものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)

憲法を改悪して、再軍備、徴兵制への道を驀進せんとするがごときはその一例であり、核兵器の保有を合理化せんとするのもその一例であり、労働法規を改悪して労働運動の取締りを強化せんとするがごときこれらの事態は、みなその現われであると私は思うのであります。(拍手)

しかも、今回、岸君が、国民に諮ることなくしてアメリカに参り、アメリカの新国防政策の一翼をになわんとしておることは私たちとして断じて許すことができないのであります。われわれは、岸君の過去の閲歴に徴して、すでに何をなしたかというよりも、これから何をなさんとしているのかということが、岸内閣のこれからの政治的路線に対してより多く不信任を生ぜざるを得ないのであります。(拍手)





昭和32年10月08日 衆議院 内閣委員会
[244]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
それでは今時間が迫っておるという通報でございますので、いま一点長官にただしたい点を急ぎお尋ねします。あなたは御存じかと思いまするが、保安庁初代の長官木村さんが第19回国会で参議院予算委員会において次のごとき発言をしておられます。自衛隊のあり方についてでございます。「志願制度には人員の点において限度があります。私の調査したところによると正確には申上ぐることはできませんが、先ず今の状態においては20万或いは22、3万までが限度と考えております。それ以上につきましてはお説の通り徴兵制度を布かなければならんと思っております。」という答弁をしておられるわけです。これについてそのあとお引き受けになっておられます津島防衛庁長官は初代の長官の見解と同一の見解を持っておられるかどうか、お答え願いたいのであります。

[245]
国務大臣(防衛庁長官) 津島壽一
当時の木村長官が今仰せのような答弁をなすったということは初めて承わりました。その点は別といたしまして、今日の防衛整備計画と申しますか目標においては20万というものを目標にいたしておりません。でありますからその数字自体が直接に関係あるということで御答弁申し上げるわけにはいきません。ただ私どもは18万という目標は一応決定いたしております。これも年度の実行の時期の問題もございましょう。また募集計画のやり方にもよりましょう。

しかし、ただ一点いえることは、今のお話の木村長官の答弁にありましたように、それ以上は徴兵制度によらなくちゃならぬという意見には私は同意いたしません。そういった制度によらないで、今日の防衛制度というか、募集制度を活用することによって、自衛隊の隊員の充足は可能である、また可能な限度においてやろう、こういう趣旨に考えております。

[246]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
時の流れとともに防衛庁長官の見解もだんだん変っていく。さっき石橋委員のお尋ねについても、行政協定の解釈もだんだん変っていく。こういうふうになってきますると、これははなはだわれわれは安心できない防衛庁の考え方だと思わざるを得ません。

現に自衛隊の応募状況は優秀な隊員を募るのには限界にきておると聞いておるのです。りっぱな者は採れない。従って志願兵の制度をとる以上は、たとえば志願者が募集人員の3倍とか5倍とかおらなければ優秀なのがよれないのです。

そうすると自然にこの限界がきて、ここに木村前長官が言われたような徴兵制度施行へおもむかざるを得ない立場に私は立ち至ると思うのですが、この状況について応募状況からあわせて優秀な志願兵が得られないという段階にきてはいないか、お答えを願いたいのです。

[247]
国務大臣(防衛庁長官) 津島壽一
今の隊員の募集状況はどうかということ、それがどういった情勢にあるか、今後の情勢と勘案してという御質問だったと思います。それで昨年度に比しては本年度は多少の応募者の数の減退を見ておるのは事実でございます。

しかし今年度行いました第一次の募集の計数は、もう締め切って現実にこれが実行されておるものでございますが、1万1800名募集の計画目標でございます。応募者の数は5万1286人、すなわち4.3倍、4倍強でございます。そういった意味において、ただいま御質問中にありましたように3倍、4倍なければいけないというその倍数には――本年度の過去の第一次の募集は1万1000名に対して5万1000名の応募者があったという事実でございまして、4倍を越しております。4倍以上でございます。

最近行なっている第二次の応募状況、まだ正確なる計数はまとまっておりませんが、これも募集すべき人員に対して4倍に近くなっております。そういった状況でございまして、昨年の第一次のごときは5倍以上、6倍に近い応募者があったわけでございます。

そういった意味において、募集のやり方その他についてもいろいろ工夫をする必要があるものがあるということは十分認めておりまして、また従来の不備な点に十分改善を加えていって、優秀なる隊員を募集をするということに大いに力を入れたい、こういう方針になっておるわけでございます。





昭和33年02月21日 衆議院 予算委員会
[067]
日本社会党(社会民主党) 松前重義
そうして各国は、どんどん姿を一変しつつあるというのであります。こういうときに当りまして、日本の自衛隊の1万名の増強、これはまた逆行であります。英国は、70万を35万に昨年減らしたばかりです。しかも英国におきましては、もう頭数が要りませんから、すでに昨年の国会におきまして、従来英国の労働党が主張しておりました徴兵制度の撤廃の問題を、保守党も一緒に取り上げて、全会一致をもって、実は徴兵制度の撤廃を決定しました。1962年には、英国から徴兵制度はなくなります。

日本はこれに対して、憲法を改正して徴兵制度をしこうと思っておられるのではないかと思うのでありますが、これは、まことにこの新しい原子力時代、そしてまた人工衛星時代において、この新しい現代科学の進歩の姿を現実に直視しない政治の姿ではないかと私は思って、非常に憂えるのであります。こういう意味におきまして、とにかくこのような原子力の前に何の役にも立たないようなものを、どこもここも減らしておるのに日本だけはふやすというような昔の考え方では、私は、これは非常な日本の税金の浪費になるのじゃないかと思う。

これを私は非常に心配するのでありまして、ことに頭数をふやす、そうしてまた徴兵制度を、場合によったら憲法を改正して復活させる、こういうような問題につきまして、特に一つ総理の御答弁を願いたいと思います。徴兵制度の問題のごときは、英国では、もうすでに撤廃しておるという現実の上に立ってお考え願うと同時に、これに対して御答弁を願いたいと思うのであります。

[068]
内閣総理大臣 岸信介
憲法改正の問題は、今憲法調査会で、その必要ありやいなや、必要があればどういう内容を盛っていくかということを研究、調査いたしておることは、御承知の通りであります。この憲法改正が、徴兵制度をしくための改正であるごとく、一部において反対の議論をしておりますが、これは全然事実をしいるものであります。

われわれは、今日まで憲法改正の議論をいたした場合におきましても、かつてそういうことが論じられたことはございません。





昭和33年02月22日 衆議院 予算委員会
[177]
国務大臣(防衛庁長官) 津島壽一
ただいまの御質問は2点あったと思います。1つは募集の関係において18万以上は可能であるかどうか、こういう問題と、財政上18万以上は可能であるかどうか、こういう問題、2つあったと思います。

18万以上にするかどうかということについては、何ら決定したものがないのでございます。18万までは一応の目標としてきまっておる。この程度ならば募集には相当の困難あると思いまするが、可能な限度である、こういう見通しを持っております。

また財政上の問題は、17万人の予算については、33年度はすでに御審議を願っておるわけでございます。あと1万についてどの程度の経費がかかるか、その他の問題は今後検討されるべき問題でございまして、これは財政全般と見合って決定さるべき問題だ、こう思っております。

[178]
日本社会党(社会民主党) 横路節雄
私も長官は大体そういうお考えだろうと思う。今の募集制度、志願制度では18万が限度である。私もそう思います。そうすると、18万をこえるということになると、志願制度、募集制度ではできない。従ってその段階に来れば徴兵制度でやる以外にはない。こういうように今あなたは私どもが考えている陸上自衛隊のあれと大体同じです。私も大体あなたはそう答弁するだろうと思ってお聞きしたら、そう答弁したから次に移りたいと思います。今あなたはそう答弁した……。

[179]
国務大臣(防衛庁長官) 津島壽一
ちょっと補足します。ただいまの私の答弁について多少誤解があったように思いまするから、一応補足的に説明をいたしておきます。ただいまの答弁は18万以上は困難であるから、何か他の方法を講じなければ不可能であるというようなことに了解する、その点に私は触れておりません。

18万の目標に対しては、これが募集の関係においては可能である――限度とは申しません。もしあればそれは補足してただいま答えておきます。

19万は不可能であるというようなことは申し上げません。これはやるかやらぬかというようなことは別でございます。18万は可能である、こういうことだけを申し上げた次第でございます。





昭和33年03月31日 衆議院 内閣委員会
[079]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
そうしますると、第一次長期計画で考えられているこの数字というものと、現実の日本の国力その他の自衛隊に対する国民的感情とかいうようなものをあわせ考えたときに、第一次長期計画の次にくる長期計画というものが、人的構成の上の方、すなわち人員を増強する問題については限界点に達しておるのではないかということをまず第一に考えてみたいのです。

何となれば、現在自衛隊の総数は、今度改正された数字を拝見しまして大体22万2000ということになっておる。22万をこえる現役の自衛隊員がここに陸海空でできておるわけなんです。この数字は、かつて保安庁長官の木村さんが自衛隊員の募集の限界について、志願兵制度をとる限りにおいては22、3万が限度であろう、その次にはどうしても徴兵制というようなものを考えなければならぬであろうという意味の御発言があっておるわけなんです。

従ってこれが来年度さらに陸が1万ふえ、海空がさらに増員せられることになると、23、4万という数字に現役の自衛隊員がなるわけでございます。そうしますると、もはや保安庁が出発したとき、当時の長官が志願兵制度の限界点に触れた数字を上回る数字になってくるわけです。

この実情をどうお考えになりましょうか。

[080]
内閣総理大臣 岸信介
志願制度で徴募できる人員の限界がどこにあるかということは、私は国民の防衛に対する考え方や、自衛に対する考え方の、国民一般の考えておることと非常に関連があると思います。

かつて保安庁長官時代に、当時の責任者が言いましたことは、私は国内のその当時の情勢と今日の情勢とは非常に変っておると思います。従って、その22、3万というのが限度だというふうに言うたということでありますが、内容的にも、多少今承わってみますると、それは陸上部隊としての自衛隊といいますか、保安隊の数字をそういうふうに言うたように、当時は私聞いておるのでありますが、今の陸上、海上あるいは航空のあらゆる面における人員的のこの数字の問題につきましても、もちろんこれはある限度があることは考えなければならぬと思いますけれども、私はやはりそういうものの限度というものが、今申しましたように国民、ことに若い人々の祖国の防衛に対する認識なりあるいは自衛隊そのもののあり方、これに対する国民の信頼の度合いというようなものと関連をいたしておるわけでありまして、絶対的に全人口の何%までが限度だというようなことは、これはなかなか言いにくいことであろう、こう思います。



[085]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
あなたのお示しになられた数字は、これは今年度の場合において、空が30年、31年と比べたときに漸減しているという根底をくつがえすものでないと思うのです。つまり自衛隊員の募集というものは、漸次行き詰まりつつある。30年、31年、32年と比べた年度的な比率からいって、大幅にこの数が減っておる。そして試験を受けない者の数字をごく軽く考えておられますが、試験を受けない者の数というものが、これは非常に多い。出願したけれども、試験は受けない、この数字をお示しになっておられない。今年上半期の数字を見ても、その試験を受けない者が応募者の中で約4割ある。4割というものが試験を受けていないのです。こういう数字をよくつかんでみたときに、応募状況が漸次苦境に陥りつつあるということは、私は疑うことができないと思うのです。

しかも今年度の予算案の内容を拝見してみますると、飛行機のパイロット養成に非常に多くの予算を組み、またその殉職した場合における待遇も考えておるという努力はされておる。しかしながら現実においては、自衛隊に対する総体的な国民の感情というものが、予算上において今年4900万円もPR運動に金を出された割合に実績が上らぬという、ここに私は問題があると思う。私は政府がことし大幅の募集関係経費を計上されるという気持はわかりますけれども、現実に自衛隊に対する関心が非常に窮屈になっているということだけは争うことができないと思うのです。

従って長期防衛計画をお立てになっている岸総理といたされましても、単に人間の数をふやす自衛隊の増強という計画から、この際かつて辻委員が言われたような装備という方面、そういう方面で自衛隊の政策としてもこれは考えていかれるべきものでないかと思うのです。そういう意味で人的にさらに自衛隊を増強するというには限界が来ておるし、世界各国の例を見ても、志願兵制度をとっている国はごくわずかしかない、ほとんどが徴兵制度をとっている。従って総理としてはできればこの際優秀な自衛官を採用するためには、憲法を改正して徴兵制をしくのがこれがわれわれとしては願望であるというお考えはないでしょうか。

[086]
内閣総理大臣 岸信介
私は徴兵制度を日本でしく意思は今のところ持っておりません。今お話しのように志願兵制度の前途につきましては、十分防衛庁においても考えておりますし、実情としてもこれが一つの限界にきておるという結論にはまだならぬと思いますが、これは十分考えておるつもりであります。しかし徴兵制のことは今別に考えておるわけではありません。

それから自衛隊の増強について、数よりも質といいますか、それに重きを置くということは、防衛の基本方針の中にもはっきりとうたっております。従いまして私どもはただ単に人員を増加するということだけが防衛力増強の主眼ではなしに、むしろ装備の点、質の点にうんと力を入れるべきであるということは、受田委員と同様に考えております。(拍手)





昭和33年07月04日 参議院 本会議
[029]
日本共産党 岩間正男
教え子を再び戦場にやるなをモットーにして戦いを進めている日教組50万の組織を分断しない限り、アメリカとの公約は果されない。一方、自衛隊の核装備を常に促され、そのための軍事費の膨張が、安いただの軍隊、つまりかつての赤紙徴兵令の復活を目ざす憲法改正、そうしてそのための小選挙区制あるいは全国区廃止とつながる一連の政策を考えるときに、実に波及するところは、あまりにも深刻であると言わなければなりません。





昭和33年08月01日 衆議院 内閣委員会
[053]
日本社会党(社会民主党) 飛鳥田一雄
そこで、この点について議論をしておりましてもおそらく水かけ論でしょうから、時間の節約の意味で先に進んで伺いたいと思いますが、私はたしか4年くらい前だったかと思いますが、当時の木村防衛庁長官に伺ったことがあります。一体自衛隊は何万まで志願兵制度でやりますかということを伺いました。すると木村さんはあの通り卒直な方ですから、事務当局と打ち合せの上で、ポケットに手を突っ込んで胸をそらせて、20万までやれます、こうお答えになりました。これは私は長官がおかわりになりましても責任ある御答弁だろうと思います。

ところが現実には陸海空三軍と職員等を合せますと、現在はたしか24万くらいになっているはずです。その上にさらにプラスこれから1万名の増員をなさるということになりますと、当然志願兵制度には限界があり、それにぶつかってくるのではないだろうか。

その証拠に私たちが今まで方々旅行いたしましても、自衛官募集という看板あるいはポスターをあんまり見ませんでした。ところがこの1、2年、昨年度のたしか1万名増員のときですか、あれを契機にいたしまして日本国中どこを歩いても、自衛官募集というポスターが張ってあります。沖縄にもあるそうです、今木原君の話によりますと。そうしますと、これは志願兵制度のリミットにきていることを示しているのではないか。

幸いに今はなべ底景気と申しますか、非常に不景気ですから、従って職にあぶれた農家の二、三男、あるいは都市の若い方が多うございますので、応募があるかもしれません。だがしかし、いつまでもこういう不況があるわけではないでしょう。不況によってささえられている自衛隊などというのはナンセンスですからね、卒直に言えば。私は当然志願兵制度のリミットはもうきているのではないか、こう考えます。

先ほど来1万名増員をやるかやらぬか、こういうことを伺ったのは、そういう重要な問題にもうぶつかりかかっているからで、前回の1万名増員のときには、私は徴兵制度という問題にぶつかるのではないかという質問を申し上げませんでした。しかしもう今度はぶつかるのではないだろうか。そういうことを十分にお考えになって、なおかつ1万名増員を御決定になる意思なのかどうか。そういう点で、過去4、5年の間もう国会で同じような議論が繰り返されて参りましたが、今やそのぎりぎりにきたのではないだろうか、こういうことでもう一度この問題について、1万名増員という説は徴兵制度ということまで考慮に入れてやっておるのか。志願兵制度のリミットがきておるということをちゃんと頭に入れてこの御議論が庁内で行われているのか。そうしてあなたが御裁断になろうとする場合には当然そのことを考慮をなさるべきものと思うが、その点についてあなたは御賛成かどうか、こういうことを私は一つ伺っておきたいと思うわけです、ぎりぎりですから。

[054]
国務大臣(防衛庁長官) 左藤義詮
私も速記録を見ませんから、木村元長官がどういう答弁であったか存じませんが、20万とおっしゃったのはおそらく陸上20万ということではないかと思います。

現在24万近くに充員をいたしておりますが、これには申すまでもなく制服でない者、あるいは幹部も含んでおるのでございまして、私どもはかりに1万増員をするといたしましても、現在の志願兵でまかない得る。私どもは徴兵制度をしこうというようなことは考えておりません。



[060]
日本社会党(社会民主党) 飛鳥田一雄
もうこの議論はやめますが、私は別に国防の充実などを望んでおりません。これは明確にさしていただきたいと思います。今のお話で、予備自衛官、あるいは徴兵制度についての態度がわかりました。



[084]
日本社会党(社会民主党) 飛鳥田一雄
関連ですが、今の茜ケ久保さんのお話の、3倍とか5倍とかいう数の割当を与えていることは否定できないと思うのですが、それが3倍であるか5倍であるかということは別として、これは事実上の徴兵制度ではないでしょうか。

例を言えとおっしゃれば、この次の会議のときにたくさん持ってきてごらんに入れますが、町村長に対して何名の応募者を出せ、こういう具体的な強制がございます。また現実に各町村長は、それを果さないと、法律上罰はないにしても、何か申しわけないような気がして、遊んでいる子供のところを歩き回っては、お前応募しろとかなんとかいうことをやつております。

これは法律の強制にあらずして、社会的な一つの雰囲気としての強制をあえてやりつつある。こういう点から考えると、数の割当をしていて、それをよくするために、町村長という立場の人たち、あるいはそれに類似する人たちが、事実的な強制をしている。こういう意味で、もう徴兵制度、半徴兵制度だといわなければならないと思うのですが、こういう徴兵の仕方についてどうでしょう。

[085]
国務大臣(防衛庁長官) 左藤義詮
私長く学校の教師をしておりまして、やはりたくさんの志願者の中から、入学試験で採用したときの方がどうも成績がいい。できるだけ優秀な志願者をたくさん得たい、そうして国民の税金で作っております自衛隊を少しでも精強なものにいたしたい、こういう熱心の余りだと思うのでございますが、もちろんただいま御心配のような徴兵制度でもございません。われわれ何ら法的な強制力を持っておりませんで、府県知事あるいは市町村長の自主的な御協力をいただきたいということをお願いしているわけでありまして、それが度を過ぎまして、ただいまのような御心配がありますれば、私ども自粛させたいと思います。しかしさっき申しましたように、若い人たちの御理解によりまして、少しでも優秀な志願者が多く集まりますように、この点は一つ御協力をいただきたいと思います。





昭和34年05月01日 参議院 本会議
[082]
日本社会党(社会民主党) 森中守義
よってこの際、岸総理は、日米行政協定を日米安全保障条約とともに廃棄することこそ必要であると思うのであります。

また、いたずらに、現在のまま防衛政策が進展を遂げていくとしますならば、やがて、わが国家予算に占める軍事予算は、優に2000億台にも進むでありましょうし、2500億、3000億にはね上っていくことは当然でありまして、反面、民生の安定は遂に失われ、諸般の国家施策は軍国化し、やがては新軍閥の台頭を許すことになり、徴兵制度の実施も必至であると思うのであります。

私は、しばしば述べきたったように、わが国の防衛は、武力によって行うべきものではなく、国内における産業経済の基盤の確立、民生の安定、平和外交の推進によって必ずなし遂げ得るものと思うのであります。

もちろん、戦後における国際間の民主主義は、作為的東西の緊張を必ず解くべき時期が到来することを、互いに政治に責任を持たんとする者は知るべきであります。私は、かかる観点から、徴兵制度の実施や新軍閥の台頭を助長せしめないための政策実行を確約ができるかどうか、岸総理の心境を伺って、私の質問を終りたいと思います。(拍手)

[083]
内閣総理大臣 岸信介
それから徴兵制度及び軍国主義の復活の点についてのお尋ねでありましたが、私ども徴兵制度を作る考えは持っておりませんし、軍国主義の復興なんということは毛頭考えてもいませんし、またそういうことがあってはならぬと思います。(拍手)





昭和35年04月05日 衆議院 日米安全保障条約等特別委員会
[198]
民主社会党 大貫大八
私はもう一つこの第4条に関連して重要だと思うことは、特に条約の実施として第3条における兵力の増強のこと、この問題は日本が自主的にきめるのだと先ほどから繰り返し繰り返し述べられておりまするけれども、実際は今日までも実はアメリカから要望がいろいろあったのじゃないですか。今日までこの安保条約を改定する交渉にあたって、たとえば1955年だったでしょうか、重光外務大臣が渡米したときの、重光・ダレス会談のときに、改定の条件としてアメリカは日本の自衛隊を少なくとも30万ないし35万に増強しなければだめだというダレス長官の強い要望があったということは、今日では顕著な事実になっていると私は思うのです。

ところが本条約はこの第3条によって明確に軍備増強をしなくちゃならぬ。これは義務を負っているのじゃないとおっしゃっておりますけれども、とにかく政府の答弁のように自主的なら自主的にしても、日本はこの第3条によって自衛隊を漸増しなくちゃならぬ。そういうことだとすれば、そのためには、将来当然徴兵制度というようなことも考えなければ、一体自衛隊の増強なんというのはできないじゃないでしょうか。その点はどうですか。

[199]
内閣総理大臣 岸信介
私ども徴兵の問題は考えておりません。また自衛隊の増強につきましても、今お話しのような非常な大きなものを考えているわけじゃございませんで、第一次の三カ年計画、本年をもって終わるその計画をごらん下さいましても、われわれが作り上げようとしておる目標というものは明確であります。さらにこれに引き続いて目下第二次防衛計画というものを検討いたしておりますが、それにおきましても徴兵制度というようなものを前提としたようなことは一切考えておりません。