平成03年11月18日 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会
[081]
日本社会党(社会民主党) 岡田利春
たまたまきょう新聞読みましたら、宮下さんの就任のインタビューが出ておって、自衛隊は量と質があるが、量だけを考えちゃいかぬ、これからは質を考えなきゃならぬということを述べられておりましたね。私は、きょう記事を見て、やはり専門家だなという感じが実はしました。
そこで、考えてまいりますと、この軍縮の方向は避けられないのですよ。今18歳の男子は一体幾らおりますか、日本に。105万人しかいないのであります。これが2001年、10年たった場合には34%減って69万人しか18歳の男子は存在しなくなるのですよ。徴兵制でもしかなきゃ恐らく自衛隊の隊員を集めることもできないような状況に、若い世代の人口は減っておるのであります。
これから見ても、今のような陸上15万のような体制で基盤整備をするなどという考え方は通用しないんではないでしょうか。私は、そういう先を見てきょうは防衛庁長官の発言があったのかな、こう思いましたけれども、いかがでしょうか。
[082]
国務大臣(防衛庁長官) 宮下創平
お答え申し上げます。
ただいまインタビューのことについて触れられておりますけれども、私は基本的には、今の日本の防衛力の水準というのは、防衛力大綱、これは先生御案内のとおりでございますが、51年度の平和時における基盤的防衛力構想というものを想定いたしまして、それに基づく数量的な問題もここで決めておりますけれども、おおむね前期、中期防衛力整備計画で達成したわけでございまして、水準としてはもう既に量的にはこの所要を満たしておる。
したがって、これからは軍事技術その他の発展がございますから、十分それに即応した体制をとっていかなければいけないということを申し上げておるわけでございまして、これから我が国の防衛力整備、これは今、先生御指摘の中でいろいろ御指摘がございましたように、世界の軍縮傾向その他も十分見きわめつつやっていかなければなりませんけれども、しかし基盤的防衛力構想に立っておりますので、今直ちに日本の防衛力水準を引き下げていくということは適切なことではないと私どもは考えておりますので、そういった視点で整備をやってまいりたい、このように存じております。
平成03年11月26日 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会
[252]
弁護士 山田忠行
私は、今、ある女性が詠んだ
徴兵は 命かけても はばむべし
母 祖母 女(おみな) 牢に満つるとも
という短歌を思い出しております。
今、国会で審議され、本公聴会で意見を求められている国連平和維持活動等協力法案は、それ自体憲法に違反する自衛隊の海外派遣を意図するという点で二重の憲法違反を犯すものであり、徴兵制や国家総動員体制の再現につながりかねない危険性を持つと考えるからであります。この法案を成立させ、自衛隊の海外派遣を許すことは、平和憲法の終わりの始まりになりかねないと危惧するからであります。
平成04年06月15日 衆議院 本会議
[015]
自由民主党 大島理森
私は、自由民主党を代表して、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部改正案に対し、これらに賛成する立場から討論を行います。(拍手)
今日、約45年間続いてきた東西対立の構図が崩れ、歴史は新たな平和秩序の模索段階にあります。まさに世界は今、一つの戦後史の大きな曲がり角に来ているのであります。
このような歴史的転換点にあって、我が国は、今後、西側民主主義諸国との関係の一層の緊密化を図り、友好的なアジア外交を推進し、広く軍縮を推し進めるとともに、国連を軸とする平和創造と平和維持の努力を推進していくべきであります。
我が国は、国連への協力を、このような幅広い長期的視点に立って一層推進していかなければなりません。そして今こそ、国連の旗のもとで、世界の多くの国の人々と手を携えて、平和を創造し、維持していく努力に欣然加わるべきであります。紛争に苦しむ人々を支援し、人類の福祉の増進のために積極的な役割を果たすべきであります。それこそ、世界の平和の恩恵にこれほどあずかり、そこでこれほどの繁栄を謳歌している我が国の当然なすべき義務であり、PKO法案は、この我が国の当然の義務の当然の帰結であります。(拍手)
そもそもPKOは、停戦の合意や受け入れ国の同意を前提に、中立・非強制の立場で、国連の権威と説得により紛争の再発防止をする活動であり、1988年にノーベル平和賞を受賞しております。これまでに世界の約80カ国から50万人以上が参加し、平和の維持のために多大な実績を残しているものであります。
この法案は、このようなPKOに、我が国として今日あとう限りの協力を行おうとするものであり、まさに我が国外交の柱である国連重視の観点からも、何としても成立を図らねばならないものであります。(拍手)
一部に、自衛隊を武装して海外に派遣することは憲法で禁止されているという議論がありますが、PKOは、そもそも武力行使を目的とした活動ではなく、平和を維持するための活動であります。PKOにおいて武力行使があるなどということは、PKOの実態を全く無視し、また、この法律の厳格な規定を故意に歪曲するものであります。(拍手)
PKOは、そもそも武力行使を目的とした活動ではないのであります。国連の長いこの活動の歴史がそれをまさしく証明しているものであります。武器を持っていくというが、それは護身用のものであります。
そしてしかも、それはこの法律において、万々が一にも自分の生命が現に危うくなったとき以外に使えないのでありまして、それ以外の武器の使用は全く行い得ないものであります。したがって、このような武器の使用が仮に万一生じたとしても、憲法違反だといった非難を浴びるはずは全くあり得ないのであります。(拍手)
また、PKOは徴兵制につながるという議論がありますが、これほど国民自身を愚弄するものはありません。我が国は、平和憲法のもとで専守防衛に徹し、徹底した平和国家として生きていくものであります。PKO法案はこの基本を何ら変えるものではありません。
この法案は、国連の普遍性のもとでの平和活動に参加し、国際社会の一員としてこの世界共同体に対し負っている我々の当然の義務を果たしていくのであります。これこそが我が国の真の平和主義のあり方であり、こうしてこそ真に我が国自身の平和と安全をより確実なものにし、さらにそれに世界の平和に真に貢献することができるのであります。
さらに、我が国の将来を誤らせると言われますが、世界の平和を求める潮流は、一体今日どのように流れているのでありましょうか。それは、国連が世界の普遍的な大義を体現し、平和の創造と維持にますます大きな役割を果たす。これが世界の大きな歴史の潮流の流れていくところであります。国連の平和維持活動は、まさにこのような国連の平和維持の役割の最重要なものなのであります。
しかも、それはあくまでも暴力と武力、殺傷力と武力の威嚇を全く使わずに平和維持しようとするものであります。かくして、この原則にのっとってきたからこそ、これまで幾多の成果を確実に上げてまいりました。これが世界の安全保障のシステムに一つの新しい展開をもたらしたものであります。これは、まさに人類が悲惨な戦争の惨禍に学んだ結果であり、戦争の惨禍を深く深く知るからこそ、人類社会はこの平和的手段、非暴力的手段で平和を何とか確保しようとしているのであります。
この法案は、ほかでもない、こういう世界の大きな国際協調主義の流れに依拠しようとするものであります。平和を平和的な手段で築き上げ、維持していこうという歴史の大きな流れに依拠しようとするものであります。過去43年間、ほうはいとして続けられてきたこの大きな国際協力と国際協調主義の流れの中で、当然我が国は我々の義務を果たさんとするものであります。
PKOに参加すれば、自衛隊が海外に派兵されて武力を行使するなどという社会党、共産党の言い分は、この国際協調に目をつぶり、現に世界じゅうが知っている歴史の事実を全面的に歪曲するものであります。(拍手)43年間のPKOの歴史の中で、コンゴでの不幸な一点を除き、どこでPKO参加部隊が武力を行使したのでありましょうか。PKOが軍事行動をしたという新聞の報道はどこにあったのでありましょうか。どこに海外派兵だとか軍事協力だとか軍事行動等の現実があるのでありましょうか。
去る14日の新聞各紙に「お答えください、宮沢総理。」という大きな社会党の広告が載っておりました。その中に、あなたは自衛隊を初めて戦場に送った総理として、歴史に名を残すのですか、というくだりがあります。きょう、ここに残念ながらおられませんが、私は田邊委員長に申し上げたいのです。
PKOが活動する地域、すなわち停戦が合意された地域を、社会党では戦場と言うのですか。世界のどの国たりとも、そんな曲解をしていません。だれ一人として、これが戦場だというようなことは言っていないのであります。この田邊委員長の発言は、PKO活動に対する歪曲もしくは誤解を国民の前に堂々と明らかにしたということで、あなたが歴史上に名を残すつもりですかと私は申し上げたいのであります。(拍手)
国際社会の圧倒的大多数の国々が堂々と平和のために行動しているその行動を軍事行動だと決めつけることによって、これらの国々から勇気と犠牲的精神でもって平和活動に参加している世界の青年らの誠意と献身に、冷笑と嘲笑を浴びせかけているのは一体なぜでありましょうか。(拍手)
これが一体、平和を希求し、博愛と隣人愛を事とする、反対する政党の本質でありましょうか。もしそうでないとしたら、わずかばかりの国際的な共同行動すらも、危険だからやりたくない、危険は他人にやらせて、自分は平和の恩恵だけはぬくぬくと手に入れよう、そういう精神のあらわれでなくて一体何でありましょうか。一体、このような態度で、どうして我が国が国際社会において名誉ある地位を占めることができるのでありましょうか。(拍手)
私は、たまたまこの法案の作成の過程にかかわってまいりました。時あたかも、世界情勢の構造的変革の時期に当たり、各政党は、この法律案についての議論を通じ、この世界の変革にどう対応するべきかという困難で深刻な問題に直面し、それぞれがきちっとした答えを出す責務を負ったのであります。そして、我々は、2年間余りにわたって、国会内外に真剣な、そして十分な議論をしてまいりました。
残念なことに、反対する政党においては、この変革の時期にあって、何ら新しい全体的展望と構想を打ち出し得なかったのであります。世界の変革のときには、みずからもまた変革を図らねばなりません。単に過去にとらわれて、改革をやり遂げなければ、退廃につながると思うのであります。社会党の対案は、何ら歴史的な展望にこたえようとするものではないのみならず、世界の今日的現実にも全く適合しないものでありました。すなわち、その理由は、自衛隊を違憲の存在として認めないという限界に由来しているものだと私は思います。(拍手)
それが三党合意の基本なのであります。もともとの三党合意は、自衛隊とは別個の組織をつくるはずではなかったかと言われますが、その当時の三党合意ですら、社会党は反対されたではありませんか。私は、現に社会党への説明を試み、御賛同を得ようとしましたが、私の説明を聴取することすら積極的ではありませんでした。
これが紛れもない過去の経緯であり、これが社会党が三党合意に対して示された態度であります。
[016]
議長 櫻内義雄
大島理森君、時間ですから、結論を急いでください。
[017]
自由民主党 大島理森
今回の法案は、この三党の合意に基づき、国際平和協力隊という立派な別組織をつくり、そこに自衛隊の参加を得て、総理大臣の全面的な指揮のもとに平和協力業務を行うことにしているものであります。
このようにして、自民党、公明党及び民社党は、責任ある政党として、その歴史に対する責務を果たしたのであり、このことはまた、日本の政治の新しいあり方に、一つの政治のすべを啓示するものであります。今日までの公明党、民社党の努力に対し、深甚なる敬意を表するものであります。(拍手)
以上が、この法律の歴史的意味合いであります。
我々三党は、これが我が国にとって正しい道筋であるという確信を持って、断固たる選択をしたのでありますし、そのことを歴史は記録していくでありましょう。
私は、そういう立場から、誇りを持って、この法案に対する我が党の賛成を歴史に刻印するものであります。
終わります。(拍手)