昭和54年04月11日 衆議院 決算委員会
[019]
自由民主党 國場幸昌
昨年の10月4日、最高裁大法廷においていわゆるマクリーン事件についての判決があったと承知しております。この在留期間の更新不許可処分の取り消し請求事件の概要について、各当局から次に述べることに対しましてお聞かせをいただきたい。
その第1点は、法務大臣が更新を認めなかった理由。その第2、第一審以来の争点及び裁判経過並びにこれに要した期間。第3、法務省当局は最高裁判決の意義をどのように受けとめているか。以上の諸点に対して御説明をお願いいたします。
[020]
政府委員(法務省入国管理局長) 小杉照夫
お尋ねの順番に即してお答えできない点がございますが、ただいま御指摘ございましたように、昨年10月の最高裁のいわゆるマクリーン判決は、外国人の出入国及び在留管理に関しまする私ども法務省入国管理局の基本的な考え方というものを司法の最高権威が全面的に肯定してくださった判示、判断であるというふうに私ども了解いたしておりまして、私どもといたしましては非常に心強く思い、かつ高く評価しておるものでございます。
現行の出入国管理令は、先ほども申し上げましたが、昭和26年ポツダム勅令として制定され、きわめて古色蒼然たる法律でございますけれども、このマクリーン判決によりまして実証されましたように、今日依然として十分有効に機能しているというふうに考えておるのでございます。特に在留外国人の政治活動という問題をどのようにとらえるべきであるかということは、確かに出入国及び在留管理行政の上できわめて重要な問題でございます。
しかし、今回のマクリーン判決を見まするに、最高裁の判示におきまして、結局わが国の憲法が定めておりまする基本的な人権の保障というものは、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除きまして、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであるという考え方が示されておるわけであります。さらに政治活動の自由につきましても、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみてこれを認めることが相当でないと解されるもの、これを除きまして、その憲法上の保障というものが及ぶものという判示がなされておるわけでございます。したがいまして、外国人の政治活動そのものを一般的に直接禁止もしくは規制するというようなことは、憲法のたてまえ上できないのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
しかしながら、政治活動をいたしておりまする外国人の在留期間更新等法務大臣がその許否を判断するに当たりまして、その外国人の政治活動の事実というものを消極的な事情としてしんしゃくすることは憲法も許容するものであるということが明確に判示されておりまするので、このような在留管理に関する諸制度の運用を通じまして、私ども在留外国人の管理の適正を期したいと考えておるわけでございます。
さらにまた、政治活動をするおそれのある外国人というものもまたあるわけでございまして、このような外国人につきましてはその入国を根本的に根元から拒否するということも、この判決によりまして明確に支持されておりますので、このような外国人の入国を認めないことによりまして、外国人の本邦での政治活動というものを未然に防止するよう努めておるわけでございます。
さらに、現行法令におきましては、外国人の政治活動というものがわが国の利益もしくは公安を害するというような場合には、この外国人を退去強制することができることになっておりまして、このような事態が起こりますれば、私どもとしては断固たる処置をとるつもりでおるわけでございます。
昭和54年05月08日 衆議院 外務委員会
[020]
公明党 渡部一郎
外国人登録法で、常に外国人の方が登録証というものを身に帯していないと処罰されるという状況がございまして、こういうことの好きな国家もあるのでありますけれども、わが国民の感情からいいますとこれは相当ひどいなという感じもしないではない。
また、政治活動の自由の問題について多くの論戦のあるところでありますが、参政権のような極端にわが国国民の資格と結びついているものについては、それは与えられないのが当然かとは存じますけれども、政治的意見の表明等について余り厳格に、これを参政権への参加と同じように制限するということは、本規約の趣旨から申しましてもまずいのではないかと思われます。これについては数々の判決もあることでありますし、今後は御配慮いただく中に入れていただきたいものと存じます。
昭和55年10月22日 衆議院 外務委員会
[079]
政府委員(外務省アジア局長) 木内昭胤
本邦に渡航いたします外国人につきましては、それがどのようなケースかによっていろいろ考えなければなりませんけれども、たとえばわが国として承認しておりません北朝鮮からの入国につきましては、その態様について一々検討いたしますとともに、たとえば滞日中には政治活動を行われないように念書を取るというような手続をとっておるわけでございます。
昭和56年05月22日 衆議院 法務委員会
[004]
公明党 鍛治清
議題となっております法案につきまして質問を申し上げたいと思います。
最初に、出入国管理令の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げたいと思います。
過去、この出入国管理令につきましては、4回全面改正ということで提案がなされておるようでありますが、これが廃案になったという形のいきさつがあるようでございます。
そのときに、過去4回の中で特に政治活動の規制の条項が盛られておって、これが大変問題になって廃案になるいきさつ、引き金になっておったということもお聞きしておるわけでございますが、今回その条項については削除になっておるようでございます。
こういう点について、削除された形で十分対処できることになるのかどうか、この点について最初にお尋ねをいたしたいと思います。
[005]
政府委員(法務省入国管理局長) 大鷹弘
わが国憲法のもとにおきます基本的人権の保障は、日本国民にだけ限られるべき性質のものを除きまして広く外国人に対しても適用される、こういうふうに解されております。そこで、政治活動の自由につきましても、外国人の地位にかんがみまして、たとえば意思決定とか、あるいは決定された意思の実施であるとか、こういうものに影響を与えようとするような活動を除きましては、外国人に対しても認められるべきであるというふうに解されております。
そこで、全面的に外国人の政治活動を規制しようということはどうかということで、今回は入れなかったのでございますけれども、いま申し上げましたような枠の外に出ますような政治活動につきましては現行の退去強制の対象になりますし、それ以外のものでも、在留更新制度の運用によりまして対応することができるということで、その点からも、今度は政治活動規制に関する条項は含める必要はないと判断したのでございます。
昭和56年05月29日 衆議院 法務委員会
[258]
日本社会党(社会民主党) 横山利秋
その次には、難民の政治活動であります。要約いたしますと、マクリーン判決が最高裁でありました。著名な判決でありますから多くの人が知っておるところでありますが、要するに、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみ、これを認めることが相当でないと解されるものを除き、外国人の政治活動を認める、こういう内容であることは御存じのとおりであります。わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動、これは一体どこまで含まれるかという問題でございます。
要するに、外国人が日本へ来た、たとえば金大中さんがホテルでいろいろと韓国の民主化について相談をしていろいろ議論をした、そういうことが友好国であるわが国のいまの政治的意思決定または実施に影響を及ぼすとは思わぬのですけれども、そういう人たちが日本で行うであろう諸問題をどう考えたらいいのでありましょうか。たとえばデモに加わる、ビラをまく、あるいは大衆集会でその国の事情を訴える、あるいは新聞記者会見をする、あるいは外国人同志を集めていろいろな検討をするということが、一体どの程度までわが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動であるかという点はどうお考えでありますか。
[259]
政府委員(法務省入国管理局長) 大鷹弘
どういう場合が日本の政治的意思決定あるいはその実施に影響を及ぼす活動であるかということは、やはりケース・バイ・ケースに当たってみないとわからないと思います。ただ、平穏なデモに参加したとか、そういうものはこういうものに当たらないということは言えようかと思います。
[260]
日本社会党(社会民主党) 横山利秋
大臣にお伺いをしたいと思います。
先ほどから同僚委員の質問にもあなたお答えになっておるようですが、あの中に、わが国の国民と言えども単一民族ではないという論理がありました。なるほどそうかと私も思うのですけれども、いまの日本の現状は、国際的な日本として、外国人の政治的意見の発表を聞くこと、あるいは日本人と意見の交換をすること、あるいはまた国際交流をすること等は日本及び日本国民にとっても有益である。外国人もまたわが国の政治、文化、経済、社会の中に数10万の人がいま生きておる。
だから、日本人のことだ、おまえら余分なことを言ってもらわぬでもいいというような偏狭な気持ちでは私はいけないと思う。それを取り入れるか否かは別でありますけれども、国際社会におる日本が、難民が来た、おまえは日本に厄介になっているんだから日本の悪口を言うな、あるいはおまえのところの国のことは知らぬ、そんなこと勝手に言いふらしてもらっては困るというような、偏狭な態度はいかがかと思うのであります。
ですから、私は、少なくとも今日の日本の経済社会において、難民が来たら、何を言いたいか、そして意見交換をする、意見の合わないところはしようがない、新聞記者会見をする、ビラをまく、大衆集会で話を聞く、そういうことは、私は逆説的に言うならば日本のためになる、国際的感覚を養う上において日本のためになる。
それを、マクリーン判決を狭義に解釈をして、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす行為というふうに決めてかかるのはいかがかと思うのでありますが、どうですか。
[261]
法務大臣 奥野誠亮
国際社会にはいろいろな意見また活動があるわけでございまして、やはり日本もいろいろな意見、いろいろな活動それを理解しながら日本の進むべき道を決めていくべきだと思いますので、私は、横山さんの意見、賛成です。
マクリーン判決に沿って政治活動を考えるべきだし、また、国の利益及び公安を害する場合に強制退去命令を出せることに法律上なっておりますけれども、この10数年、そういう意味で退去命令を出した者はないようでございます。
[262]
日本社会党(社会民主党) 横山利秋
マクリーン判決については、その適用については、外国人の日本における政治活動についておおらかな気持ちで見てもらいたい。希望しておきます。
平成15年03月12日 参議院 憲法調査会
[008]
参考人(弁護士) 東澤靖
日本の憲法の下で、外国人について権利性質説という考え方が判例、学説上定着していることは御存じのことと思います。これは権利の性質上、日本国民だけに認められるべき権利、例えば国政選挙権などを除いては憲法上の権利は外国人にも等しく保障されるという解釈です。その意味では、憲法上の権利を享受することについて外国人は、本来何ら欠けるところはないはずです。しかしながら、最高裁判所の判例は、こうした原則に対して幾つかの例外をこれまで設けてきました。
その1つが1978年に出されたマクリーン事件判決というものです。これは政治活動を理由にビザの更新を認められなかった外国人に対して、最高裁が、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎないとして、その訴えを退けました。言い換えれば、政治活動の自由は認めるが、それを理由に法務省が外国人を日本から追い出すことは許されるというものでした。
平成17年10月13日 衆議院 日本国憲法に関する調査特別委員会
[002]
参考人(上智大学大学院法学研究科教授) 高見勝利
次に、外国人については、1978年10月4日の最高裁判決において、以下、判決文からの引用でありますけれども、「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶもの」とされております。
したがって、この判断枠組みのもとでは、外国人が国民投票に関し憲法改正に対して国民に賛成または反対の投票をするよう働きかける活動は、我が国の政治的意思決定に影響を及ぼす活動として、憲法21条の保障の対象外にあるものとされる可能性があります。
ただ、国民の公共空間として形成される自由な討議の場においては、可能な限り、多様な見解、多角的な観点、特に日本国民では気づかないような視点、視角が外国人によって提示される可能性があり得るのであって、そして、そのことは改正案をめぐる論議の深化に寄与するであろうことなどを考えると、改正案に対する外国人の意見について何らかの制限を加えるような立法措置は決して賢明なものとは言えないでありましょう。また、それが言論内容に対する規制であることを考えれば、そのような立法にはよほど慎重でなくてはならないでありましょうし、立法技術的にも多くの困難が伴うものと思われます。
さらに申しますと、そもそも1978年判決のルールは、在留期間更新不許可処分に関する事案で示されたものであり、その事案の性格からして、憲法改正案に関する論議の深化が求められる公共空間において、外国人の立場からする論議への参入にそのままの形で妥当するものか否かは検討を要するものと思われるのであります。
[004]
参考人(香川大学大学院香川大学・愛媛大学連合法務研究科教授) 高橋正俊
次に、7番目の国民投票運動に関する規制でございます。これは2点常に問題になることでございますが、1点は外国人の国民投票運動をどうするかという問題でございまして、これにつきましては、私自身はそれは認められないだろうというふうに考えております。
先ほども引用のありましたマクリーン判決におきましては、「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす」、「これを認めることが相当でない」といったようなことが書かれております。とすれば、「政治的意思決定又はその実施に影響」というふうなことは、基本的にこれは、最大の意思決定であるところの国民投票にはそのまま適用されることになろうかと思います。ということになりますと、これはやはり判例上認められないのだろうと考えております。
もちろん、外国人に運動を認めるメリットもないわけではないということは先ほど言われたとおりでございまして、しかし、新しい視点を得るために認めようとかいうのはなかなかこれは難しいし、どこまで認めるかとなると、さらに非常に難しい。全面的に認めるのはそれはいいかもしれませんが、とてもじゃないけれども、どの程度認めるかということを決め、かつ、それを法文に落とすというのは非常な困難を来す、むしろ、それこそが訴訟の種になるのじゃないかというふうに私自身は考えております。
平成18年04月21日 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
[128]
公明党 上田勇
もう1点、選挙運動の問題ですね。公職選挙法の第13章の中には選挙運動に関する規定がいっぱい書いてあるんですけれども、これらは、当然のことでありますけれども、在外選挙人を対象とするような運動は想定はされておりません。実際に、普通私たちがやるような選挙運動のほとんどは、海外にいる有権者に対してできるかというと、これはもう事実上不可能なものが多いわけでありますので当然のことなんですが、しかし、考えられることも運動形態としてはあるんじゃないのかなというふうに思います。
例えば、ビラや政党のパンフレット、マニフェストと言われるものなどを郵送するなり、今はもうファクスも発達しておりますので、ファクスによって送信する。あるいは、電話やメール等による依頼、こういったことも手段としては不可能ではないんだろうというふうに思います。
在外選挙人を対象とした選挙運動についてはどのようなルールが適用されるのか明確にしていく必要があるというふうに思いますけれども、その辺の見解をお伺いいたしたいと思います。
[129]
政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 久保信保
委員の御指摘にございましたように、国内でやっておりますような選挙運動についてのかなり厳しい規制といったようなことは、国外でございますから、ないということを前提に今、制度を組み立てております。
それは、やはり選挙公営ということが、先ほど来お話がありましたように実施し得ないということがございますので、仮に選挙運動を規制していくといったことになりますと、選挙人から政党等の選択に必要な情報を得る機会を奪うということ、そしてまた、何よりも現実的に国外でございますので規制の実効を期しがたいといったようなことで、国外では原則として選挙運動を規制しない。そしてまた、罰則としても、買収とか重いもののみを国外犯として指定しているというのが現状でございます。
ただ、国によりましては、外国人による政治活動を禁止している、そういった国もあるようでございますし、国外における選挙運動、それはやはり、それぞれの国の、そこの国外の法令等で許される範囲内で行うといったようなことになってまいるだろうと思います。
外国の主権のもとでもございますので、外国との摩擦を生じないように行うことが求められるといったような一定の制約というのが当然あるわけでございますけれども、いずれにしても、国外で行う選挙運動につきましても、これは選挙の土俵づくりの問題でございますので、各党各会派でも十分御議論をいただきたい課題であると考えております。
平成21年11月18日 衆議院 外務委員会
[056]
自由民主党 平沢勝栄
そこで、きょうは総務省の階政務官、ありがとうございます、おいでいただきました。まず、政治資金規正法で、外国人から政治家は献金を受けちゃいけないと規定がありますね。この趣旨は何ですか。なぜ外国人から献金を受けちゃいけないんですか。
[057]
総務大臣政務官 階猛
平沢議員の御質問にお答えします。
外国人の方から寄附を受けることは、おっしゃるとおり政治資金規正法の22条の5というところで規制されていまして、この趣旨でございますが、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しよう、そういう趣旨から設けられたものでございます。
[058]
自由民主党 平沢勝栄
もう1つお聞きしますけれども、公職選挙法では、例えば公民権停止だとか未成年者は選挙運動しちゃいけませんよね。これはなぜなんですか。
[059]
総務大臣政務官 階猛
今の御質問ですが、未成年者とか公民権停止、それは、立法政策にかかわることかもしれませんが、未成年者については選挙権がない、公民権停止の人も選挙権の停止になっている、そういう方が選挙活動に携わるのはいかがなものかということで、そこは立法政策として禁止されているということだと思います。
[060]
自由民主党 平沢勝栄
今政務官が言われた、まさにそのとおりだと思うんです。要するに、公民権停止、未成年者は選挙権がないんですよ。だから、選挙活動に携わっちゃいけない、こういう規定が置かれている。
それから、外国人から政治資金を受けることによって、日本の選挙が、政治が外国の影響を受けちゃいけない。だから、そこは禁止しているわけでしょう。
そこで、今資料をお配りさせていますけれども、これは、外国人参政権の候補者、はっきり言っていますよ、民団のホームページなんかには民主党の候補者とはっきり書いていますけれども、民主党の候補者なんかに応援したと。全国で総力を挙げて初めて応援したということを書いているんですよ。もう一回言いますよ。総力を挙げて、全力、これはもう毎回のように、これは週刊ですけれども、民団の新聞に、民主党の候補者を全力を挙げて応援したということが出てくるんです。
そこで、政務官、まずお聞きしますけれども、民団の、外国人ですから選挙権はないですよね。選挙権のない人は、例えば先ほどの未成年者は選挙権がないからこれはやっちゃいけないと。外国人の選挙権のない人が一生懸命応援する、これはどうなんですか。
[061]
総務大臣政務官 階猛
まず、選挙権がないから必ず選挙運動を認めちゃいけないかということについては、論理必然的にはそうならないと思います。立法政策によるんだと思います。
では、なぜ外国人の場合は選挙権はないのに選挙運動は認めていいかということなんですが、最高裁の判例、昭和53年10月4日、マクリーン事件という非常に有名な判例があります。その中で、外国人の政治活動の自由についても、「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ」というふうに言われております。
そういった中で、この選挙運動、政治活動の自由については、特に公職選挙法上は規制がありませんので、規制がない以上は、先ほどの判例に基づいて、これはやられてもいいということになっている、こういうことです。
[062]
自由民主党 平沢勝栄
今の法律では禁止されていないことはわかっているんです。ただ、これは現実問題としておかしくないですかということなんです。
例えば、基地問題が争点になっている市長選挙があったとする。基地反対の外国人のグループがどっとそこに行って、基地反対の市長を応援するということがもし行われた場合に、これは日本の政治が外国の勢力の影響を受けるということになるでしょう。
例えば、島根県の知事選挙があった。それで、島根県は竹島の日を設けた、竹島の日を設けるのはけしからぬという人を、外国人が総力を挙げて応援する。
あるいは、北朝鮮に友好的な首長を当選させようということで、総力で外国人が応援するというようなことが現実に起こった場合、一部そういう動きはありますけれども、それが起こった場合に、それは日本の政治が特定の外国の影響を受けることによって左右されてしまうことにもなりかねないので。
今は禁止されていないことはわかります。おかしくないですか、これは特定の勢力の。だから、政治資金規正法の趣旨とか何かからして、おかしくないですかということなんです。
[063]
総務大臣政務官 階猛
今おっしゃったような問題意識があることは承知しておりますけれども、我々としましては、選挙運動の自由、政治活動の自由、どこまで認められるかということについては、まさに各党会派で御議論いただいて、必要があれば法改正していただく。
現行法のもとで、我々は、今のような、先ほど申し上げたような、外国人の選挙運動の自由、政治活動の自由は認められるということで運用しております。
[064]
自由民主党 平沢勝栄
それは全く優等生答弁ですね。
ですから、そういうことなんでしょうけれども、日本の国が、政治資金規正法で、外国の影響を受けちゃいけないということを言っているわけでしょう、先ほどの献金のところで。外国の影響を受けちゃいけないといっても、片や、政治活動で幾らでも外国の影響を受けている。そこがおかしくないかということを言っているわけですよ。
そうしたら、政治資金規正法で金だっていいじゃないですか。金は何でだめなんですか。影響を受けるからでしょう。だって、金だけじゃないんですよ。日本の政治、選挙が影響を受けるのは、ほかのいろいろなやり方でも影響を受けるんですよ。それはいいんですかと。ですから、これは要するに、今は禁止されていないことはわかっています。
では、大臣にお聞きしましょう。大臣、これはどう思われますか、今の話を聞いていて。大臣、何かコメントないですか。(発言する者あり)ちょっとやじは黙ってなさいって。ちょっと委員長、静かにさせてください。大臣。
[065]
外務大臣 岡田克也
これは外務大臣として答弁すべきかどうか、ちょっとちゅうちょしながら申し上げますが、先ほど階さんが言われたように、これは立法政策の問題だと思います、どこで切るかですね。
しかし、政治活動の自由というのは基本的人権にとってかなり根本的なものですから、それを外国人という理由だけで全面的に制限するということが果たして妥当なのかどうか。これは立法政策だけではなくて、憲法の趣旨から見ても妥当なのかどうかというところはかなり議論のあるところだと思います。だからこそ、自民党が与党の間にも、そういう議員立法は出てこなかったということじゃないかと思います。
平成22年02月09日 衆議院 予算委員会
[295]
自由民主党 高市早苗
ちなみに、公職選挙法は、135条から137条までの間で、公務員ですとか、教育者ですとか、選挙犯罪者ですとか、未成年ですとか、一定の職業や立場の方々の選挙運動を禁止いたしております。
私自身は、外国人参政権にも絶対反対でございますけれども、さらに一歩進んで、公職選挙法の改正を行い、外国人の選挙運動も禁止するべきだと考えております。
この考え方について、総理はどう思いますか。
[296]
内閣総理大臣 鳩山由紀夫
私は、今即答は必ずしもできないかもしれませんが、そこまでやる必要はないと思っておりますし、外国人でも、特に長く日本にお住まいになっていろいろと厳しい環境の中で努力してこられた方々、自分たちの命、生活を守りたいという方々がどういう人を自分たちのために応援するかということは当然許されるべきことではないか、そのように考えております。
平成22年02月15日 衆議院 予算委員会
[177]
自由民主党 下村博文
ついでに、亀井大臣にもう1つお聞きしたいんですが、永住外国人への地方選挙権付与法案でございますけれども、これも、永住している方が参政権を行使したいのなら日本の国籍を取得すればいい、このように述べたというふうに報道で出ておりますが、事実でしょうか。
[178]
内閣府特命担当大臣(金融) 亀井静香
私の属しております国民新党また私自身が、永住外国人に参政権を付与することは反対であります。参政権を得たいと思われる方は帰化という方法で解決をされるべきであって、それを阻害している合理的でない理由があるとすれば、そこらは解決していくということをすればいいだろうと私は思います。
私が恐れておりますのは、1つは、選挙になると過熱しますね。過熱する選挙運動の中で、そうした参政権を持たれた方が選挙運動を過激にやっていかれるような事態が生まれた場合、民族感情が妙な、間違った形で刺激をされる危険性がないわけではない。民族感情というのは、ヨーロッパを初め世界じゅういろいろ大きな問題を場合によっては生んでいる問題でもあるし、私はそういうことを日本でやるべきではないだろう、このように思っております。
[179]
自由民主党 下村博文
全く同感でございまして、これは我々は憲法違反であるというふうに思っております。
また、よく推進派の方々が、韓国においても外国人の地方参政権を認めているではないか、このような主張をされます。確かに、日本人300人ぐらいが選挙権があるそうでありますが、しかし、今御指摘のように、選挙運動そのものは外国人はできないんですね。これはもう粛々と、地方参政権はあるということですが、日本人が韓国で韓国の地方選挙を含めた選挙運動はできないわけであります。
我が国はそのような法律が規制されておりませんから、外国人がこれから積極的な選挙運動をしていく可能性が出てきたときに、まさに、例えば竹島の問題とかあるいは与那国島とか、そういう諸島あるいは隣接している地域の問題、これは民族間紛争に過熱をして大変なことになる可能性も御指摘のとおりであるというふうに思います。
平成22年03月12日 衆議院 法務委員会
[064]
自由民主党 稲田朋美
外国人の地方参政権について、先ほどの大臣の見解はわかったんですけれども、外国人の政治活動、特に選挙運動の自由について、大臣は、無制限とお考えなのか、それとも一定の制限があると考えられているのか、その点についてお伺いをいたします。
[065]
法務大臣 千葉景子
これも判決の御紹介を含めて御答弁させていただきたいと思っておりますけれども、昭和53年に最高裁の判決がございますが、我が国に在留する外国人に憲法上の政治活動の自由の保障が及ぶか否かについて、「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当」こういうことが判示がされております。
一般論として申し上げれば、公職選挙法上、外国人の選挙運動や政治活動について、外国人ゆえの特別の規制は設けられていないというふうに承知をいたしております。この法の運用が外国人に対する政治的活動の基本的な考え方なのかなというふうに私は承知をいたしております。
[066]
自由民主党 稲田朋美
今大臣が御指摘になったように、公職選挙法上に何らの制限がないことは御指摘のとおりであります。
ただ、法律の上に憲法があって、そして憲法の、今の大臣が御指摘になった最高裁判決、マクリーン事件ですけれども、この中で、大臣お読みになったように、「政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、」と書いてありますから、この反対解釈として、我が国の、例えば政治的意思決定ですとか、その実施に影響を及ぼすような活動についてはやはり政治活動は制限されると、この最高裁の判例で読めます。
無制限ではなくて、そういう限定つきであると思いますけれども、その点について大臣も共通の認識でしょうか。
[067]
法務大臣 千葉景子
最高裁の判例を私も解釈させていただきますと、そうだというふうに思っております。
ただ、具体的にどのようなことなのかということは、私、憲法解釈をする立場にございませんのでわかりませんけれども、最高裁の判示をそのまま読みますと、無制限ではないということは読み取れることと思います。
[068]
自由民主党 稲田朋美
総務副大臣にお伺いをいたします。
政治資金規正法は外国人からの寄附を禁止しておりますけれども、その趣旨は何でしょうか。
[069]
総務副大臣 渡辺周
これはもう何回もほかの委員会でも答えておりますけれども、献金によって、外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨で設けられている、このように政治資金規正法の第22条の5は設けられているというふうに認識をしております。
[070]
自由民主党 稲田朋美
そうしますと、公職選挙法の中には外国人の選挙活動について何ら制限はないんですけれども、今の政治資金規正法の趣旨からしますと、やはり同じような規制、例えば選挙運動について、外国人や外国勢力の影響を選挙が受けないように、政治的な意思決定について影響を受けないように何らかの規制をする必要はあるとお思いでしょうか。
[071]
総務副大臣 渡辺周
現行の公職選挙法では、外国人だからといって政治活動をさせないということはもちろん規定されていないわけでございまして、これは私ども日本人と同じように、公職選挙法の範囲内であれば政治活動あるいは選挙運動もできるというふうに解されております。
反面、先ほど、いわゆるマクリーン事件の判決の中に出てきます「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等」というものを例えばどういうふうに考えるかということは、これもまた、私よりも、いろいろな法律家の方に、例えばどういうことなんだろうかというようなことをこれから確認してまいりたいと思いますし、非常に例示をされていればいいんですけれども、こうした書かれ方をしますと、外国人のさまざまな政治活動と、このように制限をつけたことについては、これは当然いろいろな法律家のお話も聞かなきゃいけぬだろうなというふうに思っているところでございます。
最高裁のいわゆる判決による法律的なイメージを私どもとしてもちょっと確認をしたいというふうに思って、確認をしているところでございます。
[072]
自由民主党 稲田朋美
イメージを確認していただいているということなんですが、明らかに、先ほど法務大臣も御答弁なさったように、外国人の政治活動は無制限ではなくて、このマクリーン判決が言うように、「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でない」、こういった場合には、やはり選挙活動も制限をするべきではないかと思います。
その一環として、ちょっと気になることがあるんですけれども、例えば平成22年の2月1日の産経新聞では、千葉県市川市の市議会で、永住外国人への地方参政権の付与に反対する意見書の採択に委員会レベルで決議しながら、民団のロビー活動の結果、一夜にして本会議で否決されたということがわかったということで、ロビー活動が積極的になされております。
また、例えば民団新聞の、選挙期間中の新聞なんです、昨年の8月26日。ここにいかに民団の方々が選挙活動に活躍をされたかということが書かれております。
少し読みますと、公示された18日、活動を開始した、そして、民主党の鳩山由紀夫代表は、永住外国人の地方参政権について、もっと前向きに考えるときが来たと言っている、その結果、民団の支援活動は勢いづいている、「都内のある重点地区では公示日の18日午前、民団支部事務所で支援候補の事務所からこの日預かったばかりのビラ2万枚に証紙を貼った。」また、ほかのところでは、「同支部が派遣した専従支援要員の2人は選挙事務所に張り付き、他の選挙スタッフとともに公設掲示板や支援者の自宅、店舗へのポスター張り出し、支援者名簿の回収などに汗を流した。」「このほか全国各地の重点地区でも、支援者名簿の作成など継続作業のほか、証紙貼りやポスター貼りなど、具体的な支援活動を一斉にスタートさせた。」ということが書かれておりまして、選挙期間中に証紙張り、ポスター張り、それから専従支援者の派遣、かなりさまざまな支援をされているわけです。
こういった外国人の方々による選挙期間中の活動が、我が国の選挙、まさしく政治的意思決定に重大な影響を及ぼすとは考えられないでしょうか。法務大臣とそれから総務副大臣にお伺いをいたします。
[073]
法務大臣 千葉景子
今御紹介をいただいたような、そういう事態といいましょうか、そこは私は承知をいたしませんので、そのようなことにコメントをさせていただくということは困難でございます。
一般的に、必ずしも、政治的な意思決定にどのような影響を及ぼすかということ、個別どのような場合かということを私もお答えする立場にはございませんので、差し控えさせていただきたいと思います。
[074]
総務副大臣 渡辺周
私も、民団の新聞も読んでおりませんし、産経新聞の、市川市でのロビー活動というものがどのように行われたかということも、報道は知っていますけれども、実は事実を掌握しているわけではありませんので、何ともお答えしようがないんですけれども、これは一般論で申せば、私ども選挙を経験、くぐり抜けてきた者からすれば、いろいろな方に選挙を応援いただいています。その選挙の応援をいただく中で、そこで当然、自分自身の政治的な意思決定の中にどのように影響を与えたかというのはいろいろあるわけでございます。
当然のことながら、選挙の支援を受けたからといって、では、その方に恩義を感じて何でもかんでもやるかといえば、これは一般論としてですけれども、なかなかそれは、できないことは当然できませんし、別に選挙で支援を受けなくても、政治信条にのっとって、これはという思いがあれば、どなたから言われることもなくやることもあります。ですので、どこまで政治的な意思決定に影響を及ぼしただろうかということは一概に言えないことで、一般論として言えないことでございます。
ただ、今例示されたようなことにつきましては、事実としては認識しておりませんので、具体的にお答えできませんけれども、そこは政治家個人の、すべて政治信条に従って我々は行動すべきだろうというふうに思っております。
[075]
自由民主党 稲田朋美
ただ、これは政治家個人とかそういう問題ではなくて、ぜひその事実関係を調査いただいて、それが妥当かどうか、このマクリーン判決に照らして妥当かどうかということをぜひ検討いただきたいと私は思うんです。
なぜなら、この外国人地方参政権の問題は、そういった政治的な意味を非常に含んでおります。例えば、民団の新年会に農水大臣が行かれまして、自分は選挙委員長をしていたんだ、そして民団の皆さん方に大変お世話になって、選挙活動をいただいて、そのおかげで政権交代ができたんだ、そして、皆さん方に頑張っていただいたその公約として、外国人参政権をぜひ通常国会で成立させたいんだという強い決意を述べられているわけですけれども、私は、やはりそれは日本の政治家として絶対にやってはいけないことではないかと思っております。
また、韓国では外国人の選挙運動が法律で禁止をされております。それも、やはり主権国家として、日本の政治が外国人や外国勢力によってゆがめられないように、そのために選挙活動についてもぜひ規制ということを考えていただきたいと思います。
平成23年03月09日 衆議院 法務委員会
[100]
自由民主党 稲田朋美
また、民団という外国人の団体が先ごろの衆議院選にかなり応援をしたということが民団新聞から明らかになっております。ビラ配りをする、それからポスター張りをする、選挙事務所に詰める、そういった活動をして、そして政権交代に力をかしたと。そして、民主党政権の閣僚が新年会に行って、皆さん方、皆さん方というのは民団の皆さん方ですよ、皆さん方のおかげで政権交代することができた、だから、皆さん方に対する公約として外国人地方参政権の成立に向けて頑張っていきたいというようなあいさつをされておりますけれども、私はこれまた主権国家の閣僚としては非常に不適切な発言だと思っております。
大臣は、選挙活動について、公職選挙法では外国人の選挙活動について規定はありませんけれども、制限を設けるべきだと思われませんか。
[101]
法務大臣 江田五月
民団の皆さんがどういう選挙活動をされたかというのは、先ほど平沢委員の御紹介がありまして、私はそれを読んでおりませんし、また具体的には知りませんが、そうしたことはあったかなとは思います。そして、閣僚が民団の会合で述べられたということについては、これは私は論評する立場にはいないと思っております。
そして、外国人の選挙運動への参加、これは今、公職選挙法上そういうことについての規定はないのは事実でございまして、そこは立法上どうするかというのは、ちょっと、今、法務大臣という立場でそのことについての見解を述べるというのは、やや私ののりを越えるのではないかと思っております。
[102]
自由民主党 稲田朋美
それはおかしいんじゃないですか。確かに公職選挙法には規定はございません。しかし、昭和53年に、大臣も御承知だと思いますけれども、最高裁判決がございまして、外国人の政治活動というのは無制限ではないはずであります。その点についていかがですか。
[103]
法務大臣 江田五月
最高裁の判決ですか。(稲田委員「はい」と呼ぶ)
ごめんなさい、ちょっとそれは知りません。
[104]
自由民主党 稲田朋美
マクリーン判決といって、外国人の政治活動は無制限ではなくて、日本の政治や選挙に重大な影響を与えない限りにおいて自由であるという判示をしております。
それからしますと、公職選挙法にたとえ規定がなくても、日本の政治、政権交代に影響を及ぼすような政治活動、選挙運動は憲法で禁止されている、私はこのように考えておりますので、ぜひ大臣もその判決を読んでいただきたいと思います。
平成28年02月25日 衆議院 予算委員会第三分科会
[311]
自由民主党 山田賢司
適切にということなんですけれども、そもそも外国人の政治活動というのはどの程度認められるのかということでございます。
外国人であっても、当然、表現の自由というのは認められるべきということは理解しておりますし、政治活動も、例えば環境問題をやられるだとか子供の貧困だとか女性の地位向上、こういったことを堂々と主張されるのは別に理解できるんですけれども、明らかに我が国の主権を侵害しようという主張をする、我が国の主権を脅かそうという政治活動ですね、これをやることがわかっている人物、これを再入国拒否というか入国不許可にはできないものなのでしょうか。改めてお伺いできますでしょうか。
[312]
参考人(法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子
先ほどお答え申し上げましたように、日本に入国して明らかに違法活動を行うという場合は上陸拒否事由に該当いたしますけれども、外国人が合法的に自己の思想信条を表明すること、これは入管法上の上陸拒否事由には該当しないものと考えてございます。