朝鮮総連「日本人妻は朝鮮人」

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昭和56年10月13日 衆議院 行財政改革に関する特別委員会
[221]
民社党 岡田正勝
そこで今度は、北鮮におります日本人妻、現在1828人、日本国籍のままおられるはずであります。この里帰り問題につきまして、法務大臣は、法務委員会でもその訴えを聞き、承りますところによりますと、本年の7月17日、閣議で積極的な御発言をいただいたそうでございます。これは閣議に列席しておった大臣各位は聞いておられましても、われわれ国民は聞いておりませんので、大臣の生の声を、この際お聞かせいただきたいと思うのであります。

[222]
法務大臣 奥野誠亮
たまたま70幾つかの市町村の議会から、議会の決議を法務大臣あてによこしてこられたわけでございます。非常に重大な問題でございますし、法務大臣だけで処理できる問題じゃございませんので、閣議に報告をし、さらに閣議後の記者会見で申し上げたわけでございます。その趣旨は、皆さん方にこの問題についての理解を持ってもらいたい、また理解のもとに実現に向けて御協力をいただきたい、こういう気持ちからでございますが、よろしければ、その閣議のときに申し上げたものを、もう一遍ここで申し上げてもよろしいと思います。(岡田(正)委員「ぜひお願いします」と呼ぶ)

先般、北海道帯広市議会ほか全国にわたる5市43町23村の市町村議会から法務大臣あてに、朝鮮人の夫と一緒に北朝鮮へ渡航した日本人妻の里帰り実現についての意見書が提出されました。

意見書の内容は、このような日本人妻が数1000名もおり、在日の家族たちがその安否を気遣っているにもかかわらず、わが国に里帰りした者は一人もいないので、一日も早く、わが国への里帰りができるようにしてほしいというものであります。

当省で調べましたところ、昭和34年12月以来これまでに朝鮮人に随伴して北朝鮮へ渡航した日本人は6673人で、このうち朝鮮人の妻として渡航したいわゆる日本人妻は1828人(日本国籍は離脱しておりません)のようでありますが、これらの人たちが一度も里帰りしていないことは事実であります。

この問題については、外務省においても努力されていると聞いておりますが、わが政府としては、わが国に在留する朝鮮半島出身者に対して、人道的観点に立って、昭和40年から親族訪問や墓参を目的とする北朝鮮への渡航を認めており、昭和55年中だけでも3249人、本年は6月末までに1500人の者に、親族訪問等を目的とする北朝鮮への渡航、いわゆる里帰りを認めているのに、日本人妻が一人も里帰りできない現状を思いますと、出入国管理行政を所管する法務大臣として胸の痛む思いがいたします。

これまでにも事務レベルで朝鮮総連の幹部に対しまして、日本人妻の里帰りについて善処方を要望したことがあるようでありますが、これに対する朝鮮総連側の応答は、

1、日本人妻は北朝鮮に入国すれば、そのときに北朝鮮の国籍を取得し、日本国籍を喪失するので、この問題はもっぱら北朝鮮の国内問題であって、日本政府からとやかく言われる筋合いのものではない。

2、日本人妻と言われる人たちはすべて幸せな生活を送っており、里帰りを希望する者は一人もいない。

ということで終始しているようであります。

しかしながら、わが国の国籍法上、これら日本人妻が日本国籍離脱の手続をとらない限り、単に北朝鮮に上陸したことのみにより日本国籍を喪失することはあり得ない。これらの人たちが現在もなお日本国籍を保有していることは明らかであり、また、日本人妻の人たちから日本の親族に送られてくる手紙などから、この人たちが望郷の念に駆られ、一日も早い里帰りの実現を熱望していることが十分にくみ取れるところであります。

このような事情を考えますと、わが国が在日朝鮮人の北朝鮮への訪問について人道的な配慮をしているにもかかわらず、北朝鮮当局が、いまもなお日本人妻の里帰りを認めないことはまことに残念であります。

全国の市町村議会から意見書が寄せられた機会に、このような問題があるということをとりあえず御報告した次第であります。

こういうことを申し上げたわけであります。

[223]
民社党 岡田正勝
臣、ありがとうございました。大変素直に家族の声を反映し、しかもそれは、ただ向こうへ渡っております1828名の日本人妻だけではございません、男性を含めた6673名の諸君が、いまの大臣の閣議発言を聞いたら、いかばかりか涙を流して喜ぶと私は思います。ありがとうございます。