クマラスワミ報告書 マクドゥーガル報告書 ~ 性奴隷捏造文書 1/2

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クマラスワミ報告書 和訳全文(PDF)
マクドゥーガル報告書 和訳全文(PDF)





平成07年02月23日 参議院 外務委員会
[009]
説明員(外務大臣官房審議官) 梅津至
まず最初の御質問の件でございますけれども、第51回人権委員会、今、先生御指摘のとおりジュネーブで開催されております。そこにスリランカのラディカ・クマラスワミ女史が特別報告者を務めておりますけれども、その報告者からの報告が提出されております。

その報告におきましては、従軍慰安婦問題につきまして過去の事例としてではなく現在の問題として考慮されるべきであること、それから補償問題が決定されなければならない、また旧日本軍による行為は国際人道法上の犯罪として認識されねばならない、それから第3に国際法上の適切な補償の権利は十分に認められていること等の記述が存在するというふうに私どもは承知しております。

それから第2点のけさの報道でございますけれども、私ども政府といたしましては、国連人権委員会において採択された決議に基づいて任命された女性に対する暴力に関する特別報告者ラディカ・クマラスフミ女史が訪日について関心を有しておられるということは承知いたしております。政府といたしましては、同女史から訪日について正式に御要請があった場合には適切に対処してまいりたい、かように考えております。

[010]
日本社会党(社会民主党) 清水澄子
私は前からこのことを申し上げてきましたけれども、ことしは9月に第4回世界女性会議が北京で開かれますね。これに合わせて、社会開発サミットもそうですし、一連のこの人権委員会でもそうですし、女性に対する暴力撤廃という、こういうテーマが人権問題として非常に強く世界の人権の規範になりつつあります。これと日本の慰安婦問題、過去に犯した慰安婦問題が非常に連動しているわけです。

このことについては、私は毎回、外務省はこの問題を先取りして、そしてむしろ人権問題として従軍慰安婦問題について明確な処置をすべきだと主張してきましたけれども、なかなかこれまでその認識に至らないという、私たち女性議員から見るととても国際的にもつらい立場に立たされてきました。ですから、今度は今お答えいただいたそういう基本理念で外務省もこの問題にぜひ積極的に取り組んでくださることを私は要望しておきたいと思います。





平成07年03月13日 参議院 予算委員会
[007]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
3月8日、国連人権委員会では、国連人権委員会対女性暴力特別報告者ラディカ・クマラスワミ女史の従軍慰安婦問題を含めた予備報告書が全会一致で採択されています。

この予備報告書の従軍慰安婦問題に触れているパラグラフの287、290、291の内容をまず明らかにしてください。

[008]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
予備報告書のまずパラ287の内容は以下のとおりでございます。

日本軍は、1932年から1945年まで、軍人のための性的奴隷とする目的で、植民地、占領地の女性を強制、偽装、誘拐の方法で組織的に動員する政策を実施していたと伝えられているが、ほとんどの女性は、11歳から20歳までの間の若い女性であった。

次に、お尋ねのパラ290の内容でございます。

1992年7月、日本の総理大臣は、日本軍が日本政府の運営する多くの施設で大量の女性を性的奴隷として強制的に働かせていたことを認め、謝罪した。しかし、補償の問題は未だ決定されなければならず、日本軍の行為は、国際人道法上の犯罪と認識されなければならない。

次に、お尋ねのパラ291でございます。

第二次世界大戦が終了してから50年近くが経過した。しかしながら、この問題は過去の事例ではなく、現在の問題として認識されなければならない。この問題は、武力紛争下の組織的強姦や性的奴隷の犯罪行為者の訴追について国際的なレベルで法的先例を確立し得る重要な問題である。象徴的な補償をすることにより、武力紛争下の暴力による女性被害者に対する補償という救済を導入したことになる。

以上でございます。

[009]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
私はここに本文を持っております。そして、それを訳した文書も持っているんですが、ちょっと違うんですが、それは後ほど突き合わせをさせていただきます。

そこで、この予備報告書は日本選出の人権委員も加わって全会一致で採択されたものでございますので、当然日本政府にとっても異論のないものと思いますが、いかがですか。

[010]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
まず今、議員御指摘の8日に採択されました決議案でございますが、これは慰安婦問題に対する決議案では必ずしもございませんで、紛争下における女性に対する暴力の問題という議題がございまして、それに関する決議案でございます。ただ、この決議案の中に、先ほど来のクマラスワミ女史の予備報告書が言及されておりまして、予備報告書の内容については一般的に歓迎するという文言になっております。

お尋ねの、その点について日本政府に異議はあるのかというお尋ねでございますが、私どもの方では、同女史の予備報告書の基本的内容であります女性に対する暴力全般についての見解、これについては日本政府として一般的に歓迎しております。

ただし、その中のいわゆる従軍慰安婦問題に関する部分について言えば、先ほど読み上げましたとおり、例えば補償の問題がいまだ決定されなければならないとの記述、あるいは国際法上の補償を得る権利に関する記述が存在しておりまして、これらの点につきましては日本政府として必ずしも同じ見解を有しているわけではございません。

[011]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
聞き取りにくいのですけれどもね。

[012]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
もう一度申し上げます。

この報告書の中で、補償の問題がいまだ決定されなければならない、あるいは国際法上の補償を得る権利に関する記述が存在しておりまして、これらの点につきましては政府として必ずしも同じ見解を有しているわけではございません。

[013]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
そこで、このラディカ・クマラスワミさんは従軍慰安婦問題に関しての日本における調査を希望しておられると伺っていますが、日本政府の招待による調査団の来日予定はどのようになっていますか。

[014]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
来日日程につきましては、いずれ人権センターの方から日本政府に対して打診が来るものと承知しております。現在のところまだその打診がございませんので、来日日程につきましては承知しておりません。

[015]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
来日日程は承知していないと。しかし、来日されるということは、希望されているということは間違いありませんか。

[016]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
同女史の方から日本政府に対しまして来日したいという意向表明が先月ございまして、私どもその際、喜んで受け入れたいということを同女史に申し上げております。

[017]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
招待をするということになるわけで、具体的に日程の調整が行われると思うんですが、その調査団が訪日をされたとき、いろいろと今、慰安婦の問題について予備報告書の中身と見解の相違もあるということでもございましたので、そうしたことについて調査団と十分話し合ってもらわなければなりませんし、また関係NGOの話し合いとか、また調査団がいろいろと調査をするに当たって希望が提示されると思いますが、その意向を十分尊重をして実施してもらいたいと思います。いかがですか。

[018]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
今後の日程の調整に際しましては、国内のNGO等より要望がございました場合は、それらを踏まえまして日程調整をいたしたい、かように考えております。

[019]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
この従軍慰安婦問題については、昨年11月にICJ、国際法律家委員会、ことしの1月に日本弁護士連合会、日弁連と、それぞれ権威のある法律家の団体が勧告や提言をしています。

この両団体に共通している意見や提言は、元従軍慰安婦被害者に対する加害行為は女性に対する暴力の極限であり、国家的、組織的犯罪で、当時の日本政府に責任があったとしています。さらに、国際法に違反し、個人の人権請求権は何人といえども消滅させることはできないとした上で、真相の徹底究明、被害者への被害回復措置、国際仲裁裁判所の利用等を日本政府に求めております。

この国連人権委員会の女性の暴力に関する特別報告者であるラディカ・クマラスワミさんの予備報告書にもあるように、この従軍慰安婦問題は決して過去の問題でなく、今日の問題として解決していかなければならぬ問題だというふうに私も考えております。

ICJや日弁連の勧告や提言を真正面から受けとめ、国際的に誤りのないよう正しい決着を図ることを求めるものでありますが、このICJ、日弁連の意見、提言について政府の考えを聞かせていただきたいと思います。

[020]
政府委員(外務省アジア局長) 川島裕
お答え申し上げます。

元従軍慰安婦に対しまするいわゆる補償の問題を含め、さきの大戦に係る請求権の問題につきましては、我が国としてはサンフランシスコ平和条約その他の関連条約等により誠実に対応してきたところであり、政府といたしましては従軍慰安婦に対して個人補償を行うことは考えていない次第でございます。

いわゆる従軍慰安婦問題に関しましては、政府は昨年、本問題に関する調査結果をまとめてこれを発表いたしますとともに、その出身地のいかんを問わず、従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたりいやしがたい傷を負われたすべての方々に対し心からおわびと反省の気持ちを表明した次第でございます。

また、この問題につきまして我が国として、歴史を直視し正しくこれを後世に伝えるとともに、関係諸国との相互理解の一層の推進に努めるということが我が国のおわびと反省の気持ちをあらわすことになると考えておりまして、このような気持ちを踏まえて、昨年8月31日、総理の談話をもって平和友好交流計画を発表した次第でございます。

そして、同談話におきまして、この平和友好交流計画と相まって、従軍慰安婦の方々に対するおわびと反省の気持ちを国民の皆様にも分かち合っていただくため、幅広い国民参加の道をともに探求してまいりたい旨表明がなされた次第でございます。

以上のような取り組みにより従軍慰安婦の問題に対応することとしている次第でございます。

そこで、御指摘のICJ、日弁連等々いろいろな見解が出ておることは私どもも承知しておりますし、これはいろいろ勉強させていただきたいと思っております。ただ、個々のいろいろな団体の見解について法的に政府として一つ一つコメントをするということは考えておりませんで、要は今申しましたとおり、従軍慰安婦の問題を含めまして請求権の問題については、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約等、関係条約によって誠実に対応してきているというのが政府の立場でございます。

[021]
日本社会党(社会民主党) 本岡昭次
私が先ほど言いましたように、ここに大きな見解の相違があります。

要するに個人の請求権の問題はもう既に決着済みだというのと、決着がついていないとするこの考え方、これが国連人権委員会の中の議論もそこのところで大きく食い違っているのであります。しかし、これをここで議論する時間がありませんので、それはまた別の場で議論をさせていただきます。





平成07年05月11日 参議院 外務委員会
[242]
日本社会党(社会民主党) 清水澄子
次に従軍慰安婦のことですけれども、この5月23日に国連人権委員会特別報告官のクマラスワミさんが来日されます。政府はクマラスワミさんの来日目的についてどのような認識をお持ちでしょうか。

[243]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
今お話がありましたように、この23日に国連人権委員会のクマラスワミ女史が訪日されます。同女史から私どもの方に訪日の連絡がございましたときにお手紙をいただいております。その手紙によりますと、そもそもこの訪日の目的というのは女性に対する暴力、とりわけ戦時における性的奴隷の分野に関する情報収集及び建設的対話ということにたっております。

私どもといたしましては、そういうことで来日される同女史に対してできるだけ協力申し上げたい、そういうことによって従軍慰安婦問題についての同女史の理解が深まれば結構なことではないかというふうに考えております。

[244]
日本社会党(社会民主党) 清水澄子
私が聞いていますのは、クマラスワミさんの来日目的には、日本の従軍慰安婦問題の法的違法性について明らかにしたいというふうに伺っております。

政府は、1993年の7月下旬にソウルで元従軍慰安婦であった人たち16名から聞き取り調査をなさったわけですが、これは日本国内にはみんなが公表すべきだと言っていましたけれども、公表されておりません。

こういうものも含めて、このクマラスワミさんの調査に対して協力をなさる意思がおありなんでしょうか。

[245]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては、同女史が滞日中、その本来の目的を果たされるようにできるだけ御協力申し上げたいというふうに考えております。そういう観点からいたしまして、同女史が来られて具体的にどういう資料の入手を希望されるか、それを承知した上で具体的には私ども判断させていただきたいとは思いますが、一般的に言えばできるだけ協力させていただきたいというふうに考えております。

[246]
日本社会党(社会民主党) 清水澄子
もう一度確認しますけれども、これは慰安婦問題で調査に来られるんですよね。

[247]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
同女史の御関心がいわゆる従軍慰安婦問題にあるというふうに私どもは認識はしております。

ただ、先ほども申し上げましたように、繰り返しで恐縮でございますが、同女史のもともとのお立場というのは、議員御承知のとおり、人権委員会におきます議題の一つであります女性に対する暴力、これの特別報告者で3年間の任期で活動しておられます。

その同女史の本来任務の中で従軍慰安婦問題も御関心の一つである、そのこととの関係で訪日されるというふうに理解しております。

[248]
日本社会党(社会民主党) 清水澄子
そうすると、慰安婦問題は一つの関心であって、あとの性的奴隷というと何でしょうか、日本で。

[249]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 高野幸二郎
今のところ、私どもといたしましては、それ以外に御関心事項があるというふうには承っておりません。





平成08年02月16日 参議院 予算委員会
[090]
日本共産党 吉川春子
総理、このクマラスワミさんの特別報告の第4章に元慰安婦であった方々の証言が載っているんですけれども、それをお読みになられて感想をお聞かせいただきたいと思います。

[091]
政府委員(外務省アジア局長) 加藤良三
政府としても、多数の女性がいわゆる従軍慰安婦としてあまたの苦痛を経験されて、心身にわたりいやしがたい傷を負めれたという認識を持っておりまして、これに胸が痛む思いがするという気持ちを表明してまいっておるところでございます。

他方、本件の附属文書に引用されている個々の証言については、これは報告者の側において聴取したものでございまして、政府としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

[092]
日本共産党 吉川春子
この証言を政府が聴取したものでないことは明らかですが、それに対する感想をぜひ総理の口からお聞かせいただきたいと思います。

[093]
内閣総理大臣 橋本龍太郎
特別報告者として聴取をされましたそれぞれの内容について、個別の御証言に対してコメントをすることは控えるべきことだと思います。

[094]
日本共産党 吉川春子
総理、この勧告についてぜひ受け入れていただきたいと思います。

私は、去年、世界女性会議に参加するために北京に行きましたけれども、NGOフォーラムにおいても、従軍慰安婦問題に対する日本政府の対応について本当に批判が爆発的に起こったわけなんです。そして、アジア女性平和基金で対応しているという答弁がありましたけれども、クマラスワミさんは、道徳的問題では確かにそういうふうに言ったけれども、女性の状況に対する一切の法的な責任をはっきり否定するものだということもここの報告書で書いています。糾弾されているわけです。

この報告書について国連で日本政府が反論するなどということになれば、一層国際世論を敵に回すということになると思います。何よりも日本の犯した戦争責任に対して真蟄な態度で責任をとるように、そのことを私は強く主張したいと思います。





平成08年02月19日 衆議院 予算委員会
[129]
新進党 川島實
次に、国連人権委員会におきまして、我が国の女性に対する暴力特別報告官の報告書が発表されました。これは、旧日本軍の従軍慰安婦問題について、第二次大戦中の旧日本軍の行為を「人道に対する罪」であると断定、元慰安婦への国家としての補償と加害者の謝罪など6項目を「勧告」として列記した。そして、国際司法裁判所に提起をするとまで発言をしておるわけでございますけれども、このことについて、どのように外務省は扱っておりますか。

[130]
外務大臣 池田行彦
政府といたしましては、いわゆる従軍慰安婦問題につきましては、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけただけではなくて、多くの方々が大変な苦痛を経験され、そしてそのことが心身にわたりいやしがたい傷を負わせることになった、そういったことで、そういった方々には心からおわびと反省の気持ちを申し上げてまいったところでございます。

ただし、ただいま御指摘の報告書、いわゆるクマラスワミ特別報告者という方がお出しになりました報告書でございますが、この報告書の附属文書の中で、国家による補償等を行うべきであるとする立場からいろいろな議論を展開しておられるところでございますけれども、私どもは、その議論の内容並びに主張は、国際法上の立場から見て法的に成り立たないものである、このように考えておりまして、我が国として受け入れる余地がない、このように考えております。

しかしながら、私ども政府といたしましては、昨年、女性のためのアジア平和国民基金というものをつくったわけでございまして、この基金の事業を通じまして誠心誠意対応をしてまいりたい、こう考えております。

なお、委員御指摘の、この問題を国際司法裁判所へ提訴してという御指摘につきましては、私どもはそのような事実はないものと承知しております。

[131]
新進党 川島實
いずれにしましても、私もこれらの戦後処理問題については、我が国としては韓国、フィリピン等、処理はなされておる、こういう建前はとっておりますけれども、現実的にはその国々で非常に問題になっておりまして、個々の慰安婦の人たちからは裁判を提起されている、こういう状況にございますし、さきの村山政権におきましても、民間基金を募ってそれらの問題に対処する。しかし、民間基金の方は残念ながら10分の1も集まっていないようでございますし、さらに、橋本総理もこのことについて反論をするということで毅然たる態度を示しておるわけでございますけれども、私は、やはりこれらの国際上の問題については、みずからかかってくる火の粉はきちっと処理すべきだと思いますけれども、費用的にも大した問題でないことでございますから、きちっとやるべきだと思いますけれども、いかがなんでございますか。

[132]
外務大臣 池田行彦
ただいま委員も御指摘になりましたように、政府といたしましては、サンフランシスコ条約その他のいろいろな条約、協定等におきまして、こういった問題につきましては誠実に対応してまいりまして、法的には処理は終わっている、こう考えているところでございますし、先ほど申しましたように、クマラスワミ報告者の展開されました議論というのは受け入れられない、こういう立場でございます。

しかしながら、先ほども申しましたように、女性のためのアジア平和国民基金、この事業を通じまして誠心誠意対応してまいりたい、こう考えております。

そういった意味で、今委員も御指摘になりましたように、まだ十分その基金の事業が所期の目的を達成し得るような姿になっていないじゃないか、こういう御指摘もあるところでございますから、政府といたしましても、これからも必要な協力に努めてまいりまして、所期の目的が達成されるように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

[133]
新進党 川島實
私は、やはり国連でこういう問題が議題として取り上げられ、そして、我が国の非が認められた形で報告書が出てくる。これはやはり国連の場できちっと反論をして、世界各国からこれらの問題を認めてもらうという姿勢が必要だと思うのですよ。特に、官房長官も総理と同じように、法的に我が国政府が受け入れられる余地のないものだとして拒否する姿勢を示したという報道をされているわけでございますけれども、今後、政府としてこの問題についてきちっと処理に向かって努力をされるかどうか、その決意を聞かせていただきたいと思います。

[134]
外務大臣 池田行彦
先ほど申しましたクマラスワミ報告者の報告書がこれから国連の機関等でどういうふうな取り扱いになっていくのか、そういう様子を見ながら、政府としては先ほど申しました基本的な立場に立った主張は展開してまいる、こういうつもりでございます。

[135]
新進党 川島實
官房長官の談話について、総理と両方出ておりますので、その件について決意を聞かせていただきます。

[136]
内閣官房長官 梶山静六
従軍慰安婦問題、法的な解釈は今外務大臣が申し上げられたとおり、さきの大戦に係る賠償財産請求権等の問題は、我が国としては関係する条約に従って誠実に実行した、この認識は前からずっと変わっておりません。しかしながら、いわゆるその従軍慰安婦問題、これは女性の名誉と尊厳を著しく傷つけた問題でもあることにかんがみまして、政府はこれまでも心から深い反省とおわびの気持ちを重ねて表明をいたしてまいったわけであります。

この気持ちを国民の皆様とともに分かち合っていただくために、長い間のいろいろな検討の結果、国民参加の道を探り、それがいわゆる基金問題に発展をしたわけであります。ですから、従軍慰安婦の方々に国民的な償いを表することを目的とした女性のためのアジア平和国民基金を発足し、現在まで1億4000万を超える募金が集まっていることは御承知のとおりであります。アジア女性の基金の事業は政府と国民の協力により実施されるものであり、これは国民の意思をもあらわすものでございますので、これの拡充強化に努めながらこの問題の対処をしてまいりたい、このように考えております。

[137]
新進党 川島實
この問題は、民間にゆだねるだけでなく、やはり堂々と国連の場で我が国の主張を続けていただきたいと要望しておきたいと思います。





平成08年02月27日 参議院 法務委員会
[180]
民主改革連合 本岡昭次
1930年代の初めから第二次世界大戦が終わるまで、日本政府は軍部の要請により、国内からアジアの各地で慰安所と呼ばれる軍人向けの売春施設を運営してきました。そこには、日本の将兵たちに性的慰安を与えるためにだまされ、強制され、また誘惑されたアジア各地の若い女性たちが置かれていました。これらの不幸な女性たちは、慰安婦または従軍慰安婦と呼ばれていました。このように大規模で重大な人権侵害を私たちはこれまで40年以上にわたって放置してきたのです。

なぜでしょう。これは女性の問題であるからです、アジアの問題であるからであります、と私は思っております。

1993年4月、国際法律家委員会、ICJの調査団が日本を訪れました。8月に日本政府は初めてその事実を認め、日本軍の行為が多くの女性の名誉と尊厳を深く傷つけた行為であったことを認め、これらの女性すべてに謝罪しました。ICJ調査団は、これらの女性は国際法において認められる最大限の救済を受ける権利を有するものと考えると、日本政府に対し可及的速やかに犠牲者となった女性たちに正義をもたらすことを求めました。

1995年7月に、国連人権委員会における4年間の日本軍強制慰安婦問題論議を踏まえ、国連人権委員会は公式の調査団を日本に派遣しました。その団長であるラディカ・クマラスワミ女史は、人権委員会の女性に対する暴力とその原因及び結果に関する特別報告者として、ことしに入ってその報告書を人権委員会に提出いたしました。

その報告書は、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国及び日本への訪問調査に基づく戦時の軍事的性的奴隷制問題に関する報告書というものでございます。

そこで、法務大臣にお尋ねいたします。

このクマラスワミ報告が人権委員会に提出された事実経過、私が今若干述べましたが、このことについて大臣も女性の大臣として御存じでございますか。

[181]
法務大臣 長尾立子
承知しております。

[182]
民主改革連合 本岡昭次
そこで、この報告書は人権を担当する閣僚としてお読みになったことと思います。

後ほど大臣の御見解を伺います。

その前に、この報告書がどういう中身のものであるかということの要点を私の方から申し上げてみます。

報告書では、まず、旧日本軍が朝鮮半島出身者などに強制した従軍慰安婦は性奴隷であると定義し、奴隷の移送は非人道的行為であり、慰安婦の場合の女性や少女の誘拐、組織的強姦は明らかに一般市民に対する非人間的行為であり、人道に対する罪に当たるとしています。

その上で、現代にも通じる女性に対する暴力と見る観点から、6項目を日本政府へ勧告を行っています。

1、日本帝国陸軍がつくった慰安所制度は、国際法に違反する。政府はその法的責任を認めよ。
2、日本の性奴隷にされた被害者個々人に補償金を支払え。その目的達成のために特別行政審査会の設置を求める。
3、慰安所とそれに関連する活動についてすべて資料の公開をせよ。
4、被害者の女性個々人に対しては公開の書面による謝罪をせよ。
5、教育の場でこの問題の理解を深めるようにせよ。
6、慰安婦の募集と慰安所の設置に当たった犯罪者の追及と処罰を可能な限り行うこと。

また、この勧告とは別に、女性のためのアジア平和国民基金、通常国民基金と言われているものですが、これについても言及し、日本政府の道徳的懸念のあらわれであるが、法的責任の否定の表明である。道徳的観点からはこれを歓迎するが、国際慣習法に基づく慰安婦からの法的な主張を認めたものではないとしております。

随分厳しい勧告の中身でありますが、法務大臣としての御所見を伺っておきたいと思います。

[183]
法務大臣 長尾立子
多数の女性が数多くの苦痛を経験され、心身にいやしがたい深い傷を負われたいわゆる従軍慰安婦問題につきましては、私も大変に胸が痛む思いがいたしております。

[184]
民主改革連合 本岡昭次
私は、今、大臣にお伺いしましたのは、人権を担当する閣僚としてはあなたがただ一人なんです。その大臣がその程度の感想的なことではちょっと私は納得しかねます。事は、女性の重大な人権侵害にかかわる問題について国連の人権委員会のある責任者が、先ほど申し上げたような勧告を日本政府に突きつけているというこの状況でございます。

[185]
法務大臣 長尾立子
感想だけを申し上げたわけでございますが、私は、この従軍慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるということは深く認識をいたしております。

人権擁護機関を所管する法務大臣としてこれに対してどう対応するのかという御質問でございますが、こういった過去の反省、経験にも十分に我々は心をいたしまして、女性の名誉と尊厳を脅かす今日的な問題につきまして、啓発活動、人権相談、人権侵犯事件調査、こういった事柄を通じまして積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。

[186]
民主改革連合 本岡昭次
大変不満であります。納得できませんけれども、だからといって審議を拒否するわけにもいきませんし、順次中身に触れながら、さらに大臣の考えを聞いていくことにします。



[210]
民主改革連合 本岡昭次
しかも、このクマラスワミ報告にも書いてありますけれども、日本は今まで国際条約をたくさん批准してきております。法務大臣が女性であるからといってあえてそういうものだけを取り上げるわけじゃありませんけれども、1904年に醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売買取締二関スル国際協定、1910年には婦女売買禁止ニ関スル国際条約、1921年には婦人及児童ノ売買禁止二関スル国際条約というようなものを全部批准しているんです。

その中には、「何人タルヲ問ハス他人ノ情慾ヲ満足セシムル為醜行ヲ目的トシテ未成年ノ婦女ヲ勧誘シ誘引シ又ハ拐去シタル者ハ本人ノ承諾ヲ得タルトキト雖」「罰セラルヘシ」、これは第2条に同じように、成人でもこういう醜業につかせることを強制的にやったら罰せられるべし、とこうなっておるんですよ。

そうすると、従軍慰安婦制度の従軍慰安婦にさせられた人たちは、これは明らかに醜業につくことを強制的に軍の力によってやらされたわけでしょう。そして、そのことはクマラスワミさんは奴隷だと、奴隷状態だ、性奴隷だ、軍事的性奴隷だと、こういうふうに言っているんです。私は、これほど厳しい女性に対する人権侵害の状況は最近ないんではないかと思うんです。

だからこそこのことをきちっと日本の法務省が人権擁護の立場から受けとめて、過去の清算を国の責任によってきちっとやって、そして以後こうしたことが再び起こらないように一体どうするかということを国際社会の中で、憲法にも書いてあるように名誉ある地位を占めるために、日本は経
済大国であるけれども人権大国でもありますと。

そして、アジアの中の日本としていくためには、50年前のアジアの女性に対して行ったこの奴隷的な性搾取のこの問題に対してきちんとして国が逃げることなくけじめをつける。そのことによって、初めてアジアの皆さんから日本は尊敬されることにもなり、信頼を私は回復することになると思うんです。私は瀬戸際だと思っているんです、これ、これから国際社会の中で日本が生きていくために。法務大臣が文字どおり人権という立場で力いっぱい頑張ってもらわにゃいかぬと思うんです。





平成08年06月13日 参議院 外務委員会
[074]
新社会党 矢田部理
ACSAの問題に入る前に、軍隊慰安婦の問題について1、2点質問しておきたいと思います。

奥野元法務大臣が6月4日の記者会見で、慰安婦は商行為に参加した人たちで、強制はなかったという発言をされております。また、同じ時期に板垣正参議院議員も訪れた韓国の慰安婦の方に対して、お金が支払われないという例があったとは全く信じられない、強制的に連行したという客観的証拠はあるのかとただしたと伝えられております。

このような発言と認識というのは私は大変驚きでありまして、日本軍の行った蛮行と暴力の犠牲となった多くの女性に対して、再びそのような人権がじゅうりんされるようなことがあっては断じてならないと考えておるのであります。

外務大臣及び防衛庁長官、両者にお聞きをいたしますが、まさかこれと同じ認識に立つということにならないと思いますが、この発言に対してどうお考えでしょうか。

[075]
外務大臣 池田行彦
御指摘の発言あるいは認識は、政府の認識とは異なるところでございます。

私どもといたしましては、平成5年に官房長官が談話を出しておりますが、そのときの政府の認識、また考え方を現在の内閣においてもきちんと堅持しているところでございまして、過去に大変な苦しみを味わわれ、いまだに深い傷を持っておられる方々に対しましては、我々は深い反省の気持ちとそしておわびの気持ちを持っているところでございます。そして、御承知のとおり、少しでもそういった方々のお気持ちを和らげることはできないのかということで基金をつくりまして、その事業を今進めるべく鋭意努力しているところでございます。

[076]
新社会党 矢田部理
一言だけ申し上げますが、当時の日本軍が直接関与した蛮行だという指摘もかねてからなされておるわけでありますが、防衛庁長官として、ただいまの奥野発言等についてどんなふうに受けとめておられるか。

[077]
防衛庁長官 臼井日出男
ただいま外務大臣からお話しいただきましたとおり、当時大変厳しい環境の中で大変な思いをされた方々に対して申しわけない、こういうふうに思っておりまして、国としてそのお気持ちに対して慰謝をする努力というものはすべきである、こういうふうに考えておりまして、現在、基金等をつくって努力をいたしているところでございます。

[078]
新社会党 矢田部理
外務省、外務大臣で結構でありますが、そういう立場をより積極的に明確にするために私は申し上げたいのでありますが、先般、国連の人権委員会に対してクマラスワミ報告書とそれに明記された勧告につきまして日本外務省は、人権委員会はそれに留意しただけであって、支持したり人権委員会の意思となったわけではないと。勧告、報告書をできるだけ減殺しよう、問題をそらそうという動きを示しておりますけれども、この報告書は、特に報告者は日本の政府に協力を期待するということで、日本政府に対して数項目の強い要請をいたしております。

そういう点で、日本が犯したいわば深刻な戦争犯罪、性犯罪という人権じゅうりんに対して、国としての責任を明確にして、被害者個人に対して損害賠償を支払うべきだというのが私どもの立場、主張であります。

今、防衛庁長官も申されたように、基金論ということで対処しようとしている。国民から基金を集めて、これで問題を処理しょう、そういうことに対しても激しい怒り、納得できないという声が強まっているのでありますが、外務大臣としてはどんなふうにお考えでしょうか。

[079]
外務大臣 池田行彦
先般の人権委員会におけるクマラスワミ報告書の扱いといいましょうか、それにつきましては、かつてこの委員会でも御答弁申し上げましたけれども、それはテークノートということでございまして、この問題についての我が国の国としての責任あるいは特定の行動を求めているものとは理解しておりません。

それからまた、政府としての立場は、先ほど申しましたように、過去に大勢の方々の名誉と尊厳を深く傷つけ、いまだに心に傷をお持ちになっているということに関しましては、反省をし、またおわびの気持ちを持っているわけでございます。そして、我々としては、あくまで先般設立いたしました基金の事業を通じて対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。

委員御指摘の国としての責任、損害賠償というお話でございましたけれども、それは法律的な観点から申しますならば、これは既に解決済みの問題でございまして、政府の立場は委員の御主張とは異なるところでございます。

[080]
新社会党 矢田部理
この議論はかねてからあるわけでありますが、国家間ではある種の整理がついたとも言われておりますが、個人が持つ損害、被害についての賠償請求権、これは依然として残っていると。それに見合った政府サイドの答弁もかつてあったわけでありまして、そういう点でやっぱり政府の責任を明確にすると。それから、損害賠償という立場に立つということが、今後のアジア外交を考える上においても、それから戦後責任を果たす意味でも非常に大事だということだけを申し上げて、次の質問に入ります。