クマラスワミ報告書 マクドゥーガル報告書 ~ 性奴隷捏造文書 2/2

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クマラスワミ報告書 和訳全文(PDF)
マクドゥーガル報告書 和訳全文(PDF)





平成08年06月14日 衆議院 安全保障委員会
[048]
新進党 西村眞悟
いわゆる従軍慰安婦に関して、クマラスワミ、どういう人か、女史かわかりませんけれども、この方の報告書がことしに入って国連の人権委員会に提出されまして、私としては、内容を読みましたが、これを盲目的に歓迎する一部日本人の言動に唖然としております。

東京でクマラスワミ女史ほか2名の随員に対して、歴史学者、千葉大の秦郁彦教授が説明したわけですけれども、秦教授によりますと、国連にクマラスワミ報告書が出されてから異議申し立て書を提出されまして、秦教授がクマラスワミ女史に説明した趣旨が正確に要約されていないという異議申し立て書を配付された。

また、文芸春秋5月号に、秦教授が、「従軍慰安婦問題 歪められた私の論旨 誤認と誤断に満ちた国連の報告書に異議あり」の中で、この報告書は「学生レポートなら落第点」であるというふうにまで決めつけた報告書を出されております。


これと並行して、日本政府は50ページに上る反論書を国連に提出し、20カ国以上に配付された。これは報道で私は知っておるのですけれども、この反論書を見たいと思っておるのですけれども、報道による要約では、この反論書は、50年、60年前の問題を正確に調査するのは難しい、事実関係の情報収集に誠実な努力がなされていない、したがって、このクマラスワミ報告書が国連で採決されれば委員会は信頼性を失うとまで断定された反論書でございます。そしてまた、客観的、公正であるべき報告書の基準に合わない、極めて強い断定の反論書を日本国政府は送られた。

この評価はともかく、一国の政府がこれほどまでに断定的な反論書を各国に配付された以上、その反論書の主張を裏づける資料はお持ちであろうと私は確信するのです。

それで、一点だけお聞きいたしますが、政府がこのような反論書を書かれる前提としての資料、日本国政府がいわゆる慰安婦を戦争中において強制的に組織的に連行したことを示す資料が存在するのか否か、その反論書を書かれた時点に存在しているのか、存在していないのか、ちょっとお伺いいたします。

[049]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会) 朝海和夫
クマラスワミ特別報告者の報告書に関しましては、事実に関連する部分と法律関係にかかわる部分、いずれにおいても大きな問題があると私どもは考えております。

御質問の事実関係の部分につきましては、私どもが提示しました文書の中にも言及がございますけれども、平成5年8月4日に政府としまして調査の結果を発表してございます。

それによれば、例えばでございますけれども、御質問の点に関しては、慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧によるなど、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲などが直接これに加担したこともあった、そのようなことが判明いたしております。

ただ、私どもの基本的考え方は、このクマラスワミさんの報告書に関する限り、あの方の調査は2週間に満たない短期間のものでございますし、いわゆる従軍慰安婦の状況は、場所、時期によって異なっておるのであって、事実関係を確認することは困難である、そういった意味で、私どもも注意深く歴史的な資料などを検討しましたけれども、この報告者の事実面における記述については重大な留保を付している、そういうことでございます。

[050]
新進党 西村眞悟
私がお聞きしているのは、平成5年8月4日時点の政府の評価ではなくて、資料があるか否かをお聞きしているわけです。

その資料というのは、今お答えになったことではなくて、日本国政府が慰安婦を組織的に強制的に連行をしたことを示す資料があるのか否か、これをお聞きしているわけです。

[051]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会) 朝海和夫
ただいま御質問のような事実についての詳しい資料を持ち合わせておりませんけれども、先ほど申しましたとおり、例えば募集の問題に関しては、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たった。その場合、意思に反したこともあった、そういう事実は把握しておるわけでございます。

[052]
新進党 西村眞悟
募集と強制は違う、募集は任意的であり、強制は文字どおり強制的だ。

私が聞いておるのは、昨日このことについてお答えいただきたいといって質問予定事項を提出しておりますのは、日本国政府が強制的に連行した事実はあるのかということを聞いておるのです。その資料があるのか。評価はよろしい。その資料はあるのかということを聞いておるのです。

[053]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会) 朝海和夫
政府といたしましていろいろな調査をいたしたわけでございますが、その結果として、先ほど来申しておるとおりでございますけれども、官憲等が直接これに加担したこともあったということでございまして、そういった点は平成5年8月4日の官房長官談話において明らかにしたとおりでございます。

[054]
新進党 西村眞悟
お答えになっていないのです。

平成5年8月4日の官房長官談話というのは、やはり歴史の審判を受けるべきものである。私は、我が国の歴史、我々の祖父、父親の代に対する歩みに対して、同じ日本人なら温かい思いを持って暮らしたいし、また、私どもの子供たちにもそのように歴史を認識してもらいたいのですけれども、このような報告書が出て、そして何か傷つけられたという思いがするのですね。

したがって、この点は、今のお答えはお答えになっていないと思うのです。募集とか業者に頼んでとかというレベルではない。募集は任意的に来る、業者に頼んだというのは文字どおり頼んだのだ、断られる場合もある。

私が聞いているのは、繰り返しになりますからよろしいですが、日本政府のこの50ページに及ぶ反論書と平成5年8月4日時点での官房長官談話を出された前提としての資料。これはクマラスワミ報告書が国際社会にばらまかれた以上、私どもはそればかりが目に入るわけですけれども、それに対する日本国政府としての反論書と平成5年8月4日時点で政府があの談話を出すに至る前提としての資料は、日本国民は知る必要があると思うのですが、この委員会に対しても議院に対しても提出されることはできないのですか。

[055]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会) 朝海和夫
政府の側でこの件につきましていろいろ調査しました結果に関しましては、関係者のプライバシーを保護するための適切な措置をとった上で公開してございます。したがいまして、内閣官房においても、これらの写しを一括して整理して、プライバシーを保護するための適切な措置をとった上で公開しておると承知しております。

反論書につきましても、これは国連に私どもが正式に提出した文書でございまして、提出とともに公開してございます。

[056]
新進党 西村眞悟
わかりました。初めにこれをお聞きしたかったのです。





平成10年08月21日 参議院 予算委員会
[366]
自由民主党 依田智治
次に、新聞等に出ておって、早速外務省から取り寄せて読ませていただいたんですが、国連の人権小委員会で最近マクドガル報告というのが出ている、従軍慰安婦問題に関する勧告というようなもの。これをちょっと読んでみますと、どうもルワンダとか前のユーゴスラビア等において人種的な面から相当ひどいことが行われていた。それと同列の認識のもとに、附属書の方で我が国の従軍慰安婦問題が取り上げられた。これはとんでもないことです。

そして、これを読んでいくと、レイプキャンプとかレイプセンターとかいって、日本の軍が慰安所として設けてやっておった、こういうのがレイプセンター、レイプキャンプというような表現の中で、我が国としてそういう犯罪者を捜し出して対応せよなんて、こんなような、私は、中川さんが発言されたのがいろいろ問題になっておって、閣僚としては今その発言でやむを得ないのかなと思っておりますが、しかし、私はいろいろ内閣等で調査した結果その他、河野官房長官談話というようなものもやや政治決着を急いだなという感じもしておりまして、これは長期にわたって我が国の民族の名誉にもかかわる極めて重大な問題ですので、今後とも明らかにしていく必要があると思っております。

これはこれとして、この問題はまた正規に委員会で審議があるやに聞いておりますが、外務省としてこれについてはしっかり的確に対応しておっていただく必要があると思いますが、外務大臣、この点についての見解をお伺いしたい。

[367]
外務大臣 高村正彦
いろいろありますけれども、このマクドガル特別報告者の報告書で、法的賠償を勧告するというような点が中にあります。ただ、これは我が国の従来の立場に反するものでありますから、同報告書の論理及び結論を我が国としては受け入れられないということを同小委員会においても我が国として既に表明しているところでございます。

我が国は、政府としては今お触れになった河野官房長官談話、そういう認識のもとに、国民の本問題に対する真摯な気持ちのあらわれであるアジア女性基金の事業に対し政府は最大限の協力を行ってきているわけでありますが、こうした努力は昨年の同小委員会でも評価しているということを一言申し添えておきたい、こう思います。

[368]
自由民主党 依田智治
いろいろ意見はありますが、少なくともレイプキャンプとかセクシャルスレイバリーとか、こういう性的奴隷という表現で扱われるべき状況ではないということでございますから、この点しっかり対応していただくようにお願いしたい。





平成12年08月09日 参議院 総務委員会
[086]
日本共産党 吉川春子
「従軍慰安婦」という言葉は国際的には余り通用していない。むしろ国連は「慰安婦」という言葉を否定しているんですね。

それは例えばクマラスワミ人権委員会の特別報告者は、「「慰安婦」という語句が、女性被害者が戦時下に耐えなければならなかった、強制的売春並びに性的服従及び虐待のような、毎日行われる複数の強姦及び過酷な肉体的虐待の苦痛を、少しも反映していない」という理由で「「軍隊性的奴隷」という語句の方がより正確かつ適切な用語であると確信を持って考える。」、こういうふうに言っているんですが、「従軍慰安婦」という語句を云々するんであれば、この国連の指摘についてはどのように検討されたんですか、文部省。

[087]
政府参考人(文部省初等中等教育局長) 御手洗康
教科書におきまして歴史的な名称あるいは社会的な現象等をどう表記するかということにつきましては、その時々の社会的な常識あるいは学界である程度定着している用語、そういったものをバランスよく見比べながら、教科書検定審議会におきまして一般的に通用する、子供たちが学習上これで十分理解できるだろうという範囲で認めているということでございまして……

[088]
日本共産党 吉川春子
いや、検討したかどうかだけ言えばいいんですよ。国連のあれについて検討したかどうかだけ言えばいいんです。

[089]
政府参考人(文部省初等中等教育局長) 御手洗康
文部省として、そのような用語について検討する立場にございません。





平成14年07月23日 参議院 内閣委員会
[082]
民主党(民進党) 円より子
そして、現在、日本政府を相手取って訴訟を行っている被害者の方たちも、ほとんどが当時未成年者でございました。この若い女性たちが徴集されるということは様々な証言等から出ておりますけれども、大体14歳から18歳の間の女性が大きな割合を占めておりまして、多数の文書資料からの中では、13歳の初潮前の少女が被害者となっている例も少なからず報告されておりますし、また、そうした少女たちを集めるために学校組織までも活用されたというようなことがクマラスワミ報告にも記されております。

そして、被害者の数でございますけれども、これは正確に把握することは大変困難ではございますし推計もまちまちなんですが、7万人から20万人というふうに言われておりまして、1993年に発表されました政府調査の結果報告「いわゆる従軍慰安婦問題について」におきましても、「慰安婦総数を確定するのは困難である。」としながらも、「数多くの慰安婦が存在したものと認められる。」と報告されております。

特に朝鮮半島の女性の占める割合が大きく、当時被害を受けた女性全体の8割を占めたという推計もございます。





平成26年10月16日 参議院 外交防衛委員会
[332]
維新の党 小野次郎
もう一問外務大臣にお伺いしますが、これは通告しておりませんけれども、今日のニュースなものですから聞かせていただきます。

お答えいただける範囲でお答えいただければと思いますが、今日の午前の官房長官の記者会見で、官房長官が、吉田証言、例の慰安婦に関するやつですね、が誤報だったという点を踏まえて、クマラスワミ報告の一部撤回を正式に要請したけれども、クマラスワミさんからは撤回を断られたと述べておられるんですが、このてん末について、そしてこの従軍慰安婦問題に対する我が国の、内閣官房もあるでしょうし、外務省の立場もあると思うんで、その政府部内の認識が何か変更があったのかどうか、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

[333]
外務大臣 岸田文雄
御指摘の件ですが、このクマラスワミ特別報告者に対しまして、我が国の佐藤女性人権大使が会い、その上で、最近の動き、朝日新聞の誤報案件を始め最近のこの動きについて説明を行い、改めて我が国の立場を説明し、そしてこのクマラスワミさんに対して修正について働きかけを行った、こういったことであります。

今後とも、我が国としましては、我が国の活動、行動に対しまして正しい評価が得られるべく、しっかりと対外発信をしていかなければならないと考えております。





平成26年10月21日 参議院 外交防衛委員会
[006]
自由民主党 北村経夫
日本の国際的なイメージを大きく毀損しているのは、韓国との間で政治問題化しております慰安婦問題でございます。

この慰安婦問題が国際的な問題になったきっかけというのは、クマラスワミ報告書というのがあるわけであります。これは、1996年、平成8年、国連の人権委員会、当時は人権委員会と呼んでおりましたけれども、そこで慰安婦を性奴隷と認定した報告書であります。そして、この報告書を読んでみますと、この強制連行を認めた証言というのは、唯一、吉田清治氏の証言であったわけであります。証言やあるいは著書を引用しながらこれが書かれている。言わば、この報告書は吉田証言に基づいて書かれた報告書だと言ってもいいわけであります。

そして、その吉田証言は虚偽だったということになりました。虚偽だったわけです。根拠が崩れているということになろうかと思うわけであります。朝日新聞が吉田証言を虚偽だったとして記事を取り消した。

こういう事態を受けて、先般政府は、このクマラスワミ氏に対して報告書の修正を求めたわけであります。これに対して撤回に応じなかったというふうに聞いておりますけれども、このクマラスワミ報告書というのは、後の2007年、アメリカの下院における対日非難決議にもつながっているわけで、大変大きな影響を与えた報告書、それだけに修正は強く求めていかなければならないと思うわけであります。これも情報発信強化の一環として取り組むべき問題だと思うわけでありますけれども、この点、どういうふうに考えていらっしゃるか。

そして、もう一つ併せて伺いますけれども、クマラスワミ報告書が出た1996年、このとき日本政府は反論書、反論文書を作成しております。この反論書は、吉田証言が引用されている箇所について具体的事例を挙げながら反論していると聞いているわけでありますけれども、しかし、この反論書、当時の橋本内閣、自社さ政権でありますけれども、なぜか提出しないで非公開にしたわけであります。この反論文書を政府として公開する考えはないか、伺いたいと思うわけであります。

つまり、安倍政権は修正主義とも言われているわけであります。この平成8年の時点で既に政府は、間違っているという指摘をしていると、これは、公開することは大きな意味があると思うわけで、その点、どういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

[007]
外務大臣 岸田文雄
まず冒頭、先ほど、対外発信の答弁させていただいた際にちょっと勢い余りまして、予算要求増加額5000億と申し上げてしまったようですが、500億の間違いでございました。済みません。訂正し、おわびを申し上げます。500億の増加を来年度の概算要求で行っているということでございます。

そして、ただいまの御質問についてお答えさせていただきます。

今般、朝日新聞が過去の誤報を認めるといった最近の動きがございました。こういったことを受けて、クマラスワミ元特別報告者御本人に対しましてこれらをしっかり説明し、何らかの形で報告書に示された同氏の見解を修正することを促した次第でございます。

それと併せて、我が国の基本的な立場、さらには、1996年2月の同報告書の提出後に実施されましたアジア女性基金事業及び女性の人権の促進に向けた日本の取組を説明すると同時に、同報告書の事実関係及び法的議論に関し日本が同意できず留保を付していること、こういったことを改めて指摘をした次第でございます。

いずれにしましても、同氏、クマラスワミ氏がこの報告書を執筆した当時の人権委員会女性に対する暴力特別報告者の任務から現在は離れておられますので、こういったことを踏まえまして、政府としましては、国連人権理事会を始めとする国際社会に対して適切な機会を捉えて我が国の立場を説明し、理解を得るべく努力を続けていく考えであります。

そして、反論文書について御質問いただきました。

いわゆるクマラスワミ報告書に対する御指摘の文書を我が国が作成した直後、1996年のことでありますが、その直後に、同報告書に言及する、女性に対する暴力撤廃と題する決議が国連人権委員会において採択されることになりました。そして、同報告書を前向きに歓迎するという決議になるのか、あるいは単に留意するということにとどまる決議になるのか、これがこの人権委員会で問われた次第であります。

そして、各国に説明する過程で、当初作成した文書が詳細過ぎるという指摘があったことを踏まえて、我が国の立場についてできるだけ多数の国の理解を得ることが重要だと考えまして、より簡潔な文書を改めて作成し、国連文書としたということであります。結果として、その当時は、留意するにとどまる決議にとどめることができたということでありました。

これが経緯でありますが、いずれにしましても、政府としましては、今後とも、我が国の立場への国際社会の理解を得るために積極的かつ戦略的に対外発信に取り組むこととしております。国際社会の理解を得るのに何が最善の方法なのかについて引き続き検討を進めていきたいと考えております。そして、その中で、御指摘のこの文書の公開の是非についても検討することとしたいと考えております。





平成26年10月21日 参議院 内閣委員会
[057]
日本共産党 山下芳生
菅官房長官は10月16日の記者会見で、1996年の国連人権委員会におけるクマラスワミ報告について、朝日が以前の慰安婦問題に関する報道が誤報であったとし、取り消したという進展があった、このことをしっかりと本人に説明し、報告書にある同氏の見解を修正するよう求めたと述べられました。

官房長官、クマラスワミ氏の見解をどう修正するよう求めたんですか。

[058]
国務大臣(内閣官房長官) 菅義偉
まず、この朝日新聞が、過去の慰安婦問題に関する報道が誤報であったと、そういうことで取り消したという進展があったということです。

それに基づいて、クマラスワミ氏本人に対し、これらをしっかりと説明し、報告書に示されております同氏の見解を修正するように求めました。そしてまた、我が国の基本的立場や、1996年2月の同報告書の提出後に実施されたアジア女性基金事業及び女性の人権の促進に向けた日本の取組を説明すると同時に、同報告書の事実関係及び法的議論に関し日本が同意できずに留保している、このことを改めて指摘をいたしました。そして、これに対してクマラスワミ氏からは、特別報告書の任を離れて長く、報告書を修正する立場にはないと。吉田証言、これ朝日新聞でありますけれども、これは証拠の一つにすぎず、引き続き報告書の立場を維持する、そういう反応がありました。

いずれにしろ、このクマラスワミ報告書が我が国の基本的立場やこれまでの取組を踏まえていないことは遺憾でありまして、政府としては、国連人権理事会を始めとする国際社会に対して、適切な機会を捉えて、我が国の基本的立場やこれまでの取組を説明をし、理解を得るべき努力をしているということです。

[059]
日本共産党 山下芳生
確認ですけれども、朝日新聞は8月5日、6日で掲載した「慰安婦問題を考える」と題した報道検証特集で、吉田清治氏が韓国済州島で慰安婦を強制連行したとする証言は虚偽だと判断し、記事を取り消しますと訂正をいたしました。

クマラスワミ報告には、確かにこの吉田清治氏とその著書について述べている部分が3ないし4行ほどあります。その部分を修正するよう求めたということですか。

[060]
国務大臣(内閣官房長官) 菅義偉
我が国の基本的立場は、強制連行を示す資料はなかったということが我が国の基本的な立場であります。

クマラスワミのこの文の中に、今委員から御指摘がありましたけれども、朝日新聞のそうした誤報に基づいた部分がありましたので、そうしたことも含めて我が国の基本的な立場を申し上げたということです。

[061]
日本共産党 山下芳生
吉田清治氏とその著作についても含めてということでした。

ただ、このクマラスワミ報告には、千葉大学の歴史学者秦郁彦博士は、慰安婦問題に関するある種の歴史研究、とりわけ韓国の済州島の慰安婦がいかに苦境に置かれたかを書いた吉田清治氏の著書に異議を唱えるとして、秦氏の主張を10行余りにわたって紹介している部分があります。これ、官房長官、御存じですか。

[062]
国務大臣(内閣官房長官) 菅義偉
承知しています。

[063]
日本共産党 山下芳生
クマラスワミ報告には、ほかにも中央大学の吉見義明教授など、当時既に吉田清治氏の証言は信憑性に疑義があるという立場に立っていた研究者の主張も紹介されております。したがって、クマラスワミ報告というのは、こうした複数の研究者、そして日本軍慰安婦とされた女性たちへのインタビュー、豊富な資料に基づいて作られた報告であります。

朝日新聞が吉田証言を虚偽だとして取り消したことをもって、クマラスワミ報告全体が信頼できないものであるかのような誤解を招くメッセージを私は日本政府が発信すべきではないと、こう思っております。

何かあれば、どうぞ。

[064]
国務大臣(内閣官房長官) 菅義偉
まず、日本政府としては、その朝日新聞の吉田証言、そのことがクマラスワミの報告書の中に明らかに明示をされている、そこは当然取り消すべきであるということ、そしてまた、日本が、クマラスワミの中にあった証言の中で、日本の慰安婦の証言という今指摘がありましたけれども、そうした事実関係としては確認していないということ、そうした中で、日本の立場として、結論として、日本政府に勧告をこれ出しておりますので、日本としてはここについては違うということを申し上げているところであります。



[091]
無所属 浜田和幸
新党改革・無所属の会を代表して、菅官房長官に幾つか質問をさせていただきたいと思います。

先ほども話題になったんですけれども、朝日新聞、吉田証言ですね、これに関連して、今月の14日ですか、ニューヨークで我が国の人道担当の大使が国連のクマラスワミ氏に対して、吉田証言、これは過ちだった、その部分に関しての削除、修正を申し入れたんですけれども、官房長官も回答されているように、それは拒絶されました。

まず、なぜ拒絶されたのか、その経緯について御説明いただけませんでしょうか。

[092]
政府参考人(外務大臣官房審議官) 山上信吾
経緯ということでございますので、事実関係、事務方から御説明いたします。

まず、委員御指摘のとおり、先週14日に、佐藤女性人権人道大使がクマラスワミ氏に対して申入れを行ったということでございます。

この働きかけの経緯でございますけれども、朝日新聞が過去の慰安婦問題に関する報道が誤報であったとして取り消したと、こういう進展があったものでございますから、クマラスワミ氏本人に対し、これらをしっかりと説明し、報告書に示されたクマラスワミ氏の見解を修正するよう促したところでございます。また、先ほど官房長官から御答弁ございましたように、その際には、我が国の基本的立場等々、それからアジア女性基金事業、今までの取組等も説明いたしました。

これに対して、先方の説明は先ほど官房長官からあったとおりでございまして、引き続き報告書の立場を維持するという残念なものでございました。

[093]
無所属 浜田和幸
その拒絶されたということの先方の理由、その中には、吉田証言というのは数ある証拠、証言の一つにすぎないんだと、全体的に、特に慰安婦と言われる人たちの証言等を鑑みると、やはりこの日本側の修正要求を受け入れることはできないというような理由だったという具合に理解しておるんですけれども、それでよろしいんでしょうか。

[094]
政府参考人(外務大臣官房審議官) 山上信吾
はい。クマラスワミ氏本人からは、特別報告者の任を離れて長く、報告書を修正する立場にはないということ、それから、吉田証言は証拠の一つにすぎないということ、引き続き報告書の立場を維持すると、こういう趣旨の反応がございました。



[105]
無所属 浜田和幸
クマラスワミ氏の報告書だけではなくて、アメリカの議会の調査局でもこの日本の慰安婦の問題については様々調査をし、報告書を発表していますよね。その中には、やっぱり当時の日本陸軍の責任者がこの慰安婦、慰安所に関わっていたというような証言も含まれているんですね。ですから、国連の報告書だけではなくて、アメリカの議会の調査局が公表しているそういう報告書の中にも日本軍の関与というものが述べられている。

やはり対外的な広報活動を強化するということであれば、最大の同盟国であるアメリカにおいてすら、そういう誤ったというか、誤解、偏見に基づく報告がまかり通っている、こういうことに対しても積極的な修正、これを求めていく必要があるんではないかと思うんですけれども、今後の広報活動の中にそういうことも含まれていると理解してよろしいでしょうか。

[106]
国務大臣(内閣官房長官) 菅義偉
調査局でそうした事実に基づかない報告があったら、今日までも、すぐそこは否定をするように、事実誤認というものを強く訴えるシステムは構築できているというふうに思っています。まさに外務省を挙げてそこはしっかりと対応していきたいというふうに思いますし、日本政府としてそこは総合的な戦略を持ってこの慰安婦問題を始めとする問題については対応していきたいと思います。





平成27年03月10日 衆議院 予算委員会第三分科会
[228]
自由民主党 武藤貴也
御存じのように、1993年に日本政府が、河野談話と言われるもので軍の関与というものを認めて、謝罪とおわびを行いました。それを皮切りに、何度も日本政府は、謝罪とおわび、それと償い事業と言われるものを、これは間接的な支援でありますけれども、アジア女性基金というものをつくって行ってきた。恐らく、政治的に、そういう誠意ある対応をしていれば収束するだろう、慰安婦問題は終わりに向かっていくだろうという読みが当時あったんだと思います。

その後、1993年に河野談話が出された後、3年後に、国連の人権委員会においてクマラスワミ報告と言われるものが出されました。これは、御存じのとおり、昨年朝日新聞が誤報だということを認めた吉田証言が証拠として採用されたものでありまして、これをつぶさに読みますと、内容がひどいところがたくさんあります。

例えば、仲間の慰安婦をリンチして首を切り落としてゆでて無理やり食べさせられたとか、こんなことは到底日本人が行いそうにない、想像してもあり得ない内容。例えば、数10人の女性を山奥に連れていって、穴を掘って水を入れて、そこに毒蛇を放して、慰安婦を裸にして放り投げて毒蛇にかませて死なせたとか、あるいは、板にくぎをあちこち打ちつけて、そこを肉が血みどろになって破片になるまで転がして、そして最後に切断をしたとか、こういうようなものが勇気ある証言として称賛される。証拠の全くないものをそのまま、証言を事実のように受け取って、報告書の証拠に添付をしたものであります。

これに基づいて、今度はその2年後、1998年に、さらにエスカレートさせたマクドゥーガル報告というものがあります。

これも国連の人権委員会に出された報告ですけれども、これにはさらに、慰安所はレイプセンターだ、訳せば強姦所というのかな、レイプセンターであって、ここで初めて国連の文書の中で人数が登場するんです、慰安婦は20万人だったという人数が出てきます、このうち14万人以上の朝鮮人慰安婦が死亡したというふうに書かれています。

ひどい、誤報とも到底言えないような、捏造というか、歴史の歪曲とかいうレベルだと思います。例えば、日本の研究者である秦郁彦先生は、数万人の慰安婦がいたと言っていますけれども、そのうち6割は日本人だったという統計上のデータを「慰安婦と戦場の性」という本の中で示しています。

国連の人権委員会に、2つの報告、それ以降も10以上の報告が出されているんですけれども、この2つが一番有名なものであります。

その後、しばらくたって、2007年に米国下院で、今度は、日系3世の方だそうですけれども、マイク・ホンダさんという下院議員の主導によって、日本を糾弾する決議が可決をされました。

この文書の中にも、かつてないほどの残虐さと規模であった20世紀最大の人身売買の一つという断定が行われて、性奴隷にされた慰安婦とされる女性たちへの公式な謝罪、歴史的責任、あらゆる異論に対する明確な論破及び将来にわたって教育することを日本政府に要求するというふうになっています。

NGOとか民間団体がこういう決議を行うならいざ知らず、アメリカの連邦議会の下院でこういう日本政府を非難、糾弾する決議が出されたということは非常に重く受けとめなければいけないと思いますし、これに対して、日本政府は、どのように今後、これは事実じゃないということを対外発信して、日本の名誉、私たちの先人たちの名誉を回復していかなければいけないか、本当に真剣に考えていかなければいけないと思います。

その後、今日でも、アメリカだけではなく、これはオランダの議会でも可決して、アメリカでは、それぞれの州議会でも上院、下院で可決し、それから今は慰安婦の銅像や石碑、広告が次々になされて、最近では高校の世界史の教科書でも教育の一環としてなされるようになった。どんどん広がっているというふうに考えられると思うんですね。

ですから、私たちが行ってきた日本外交は過ちであったということをまず認めて、それを今後訂正して、どのように対外発信をしなきゃいけないのかというのを見直すことが私は必要だと思います。

(中略)

あるいはクマラスワミ報告に対する反論ですね。かつて、きちんと外務省が公式に作成した文書があって、国連にも提出したわけですけれども、これは認められないという国が幾つかあって、撤回をして、謝罪をしているので許してくださいというような文書に差しかえになったわけです。こういう過去の、幻の反論文書と言われていますけれども、クマラスワミ報告に対する日本政府の反論文書は公開を今されていない。まあ、公開するかどうかを検討するということでありますけれども。

こういう、謝っています、何度も謝罪していますということばかりをつらつらホームページや、あるいは公式にも言って、それに今回の対外発信の予算も費やされるんじゃないかという危惧を私はしています。

例えば、今回、アメリカで、20世紀最大の人身売買ということが、下院決議が出されたわけでありますけれども、通過されるときに当時の加藤大使が、下院議員幾人かに書簡を送っているんですね。2007年2月15日付で、原文もありますけれども、日本政府は既に慰安婦問題の責任を認めて謝罪済みだということ、慰安婦への補償に当たるアジア女性基金に政府は4000万ドル相当を拠出した、3番目、ポイントだけですけれども、学校教科書など多くの出版物が慰安婦問題を明記しているなどと日本政府の対応を説明した。下院でさっき言った決議が通過される反論として、これしか言っていないんですよ。事実関係に踏み込んだ反論は全くない。これだけ謝罪していますということを繰り返し言っているだけなんですね。

もう一回、6月22日にも書簡を送っているということなんですけれども、これも、採択される直前に、決議案が採択されれば日米両国の友好関係に長く害を及ぼすことはほぼ間違いないというような内容、それと、1993年以降全ての首相が元慰安婦に対しておわびの気持ちをあらわしてきたということ以外、事実に踏み込んだ反論なしで、語られていないんですよ。

今回の対外発信の予算をたくさん使って、こんなに謝っています、事業もしていますということを言い続けるだけでは、私たちの誇りや尊厳、先人たちの名誉を回復するということには決してならないというふうに私は思います。恐らく国民の皆さんもそう思っていると思いますよ。

お伺いしたいんですけれども、私は、過去、クマラスワミ報告が出たときの反論文というものを全文見させていただきました。これは昨年産経新聞が特集を組んでいますので、それに掲載されているんですけれども、外務省もその文書の存在はもちろん認めていますし、今後公開するかどうかを検討するという答弁なんですけれども、ずっと検討しているんですよね。

この反論文、外務省がつくってくれた反論文は、事実関係に対する反論、これもきちんと書かれています。それと、国際法に対する反論もきちんと書かれている。あれはアラビア語まで翻訳されて、国連に提出された文書でありますけれども、こういうものをしっかりホームページにアップするなり、あるいは公式文書として大使を通じて各議員に配付するなりして、日本の明確な立場というものを対外発信していただきたい。

これをしっかり検討していただけないかということをまず最初に御質問させていただきたいと思います。

[229]
政府参考人(外務省大臣官房審議官)  岡田隆
お答え申し上げます。

クマラスワミ報告書に対する非公開の反論文書の公開の問題でございますが、政府としましては、今後とも、我が国の立場への国際社会の理解を得るために積極的かつ戦略的に対外発信に取り組むということとしておりまして、その際、国際社会の理解を得るのに何が最善の方法かということについては、引き続き検討させていただきたいという立場でございます。その中で、本文書の公開の是非についても慎重に検討していきたいというふうな立場でございます。

[230]
自由民主党 武藤貴也
ずっと検討してきたと思うんですよね、数10年も。1996年に出された反論文ですから、それ以降ずっと検討してきたと思うんですね。まだ検討するというふうにおっしゃる。私は、そういう姿勢が、この予算を通過させる上でも全く国民の理解を得られないと思いますよ。数10年間やってきたその曖昧な外交方針が慰安婦問題を拡大させてきた一番の要因ではないかと私は思います。

ですから、慎重にずっと何年も検討しているわけですけれども、もうここら辺で検討結果を出して、しっかり反論する文書を翻訳して海外に発信するということをやっていただきたいと思います。



[240]
自由民主党 武藤貴也
もう時間もないので、最後ですけれども、先週、国連の人権理事会で、再度、韓国が慰安婦問題を持ち出して日本政府を批判しているという話を聞きました。クマラスワミ報告とかマクドゥーガル報告とか、10回ぐらい、日本を非難する報告、レポートが国連の人権理事会に出されているわけですけれども、こういうものをやはり再検証しなきゃいけないと思うんです。

というのも、こういうものが、クマラスワミ報告が米国下院の先ほどの決議にも影響を与えているというか、根拠の一つになっているんですね。それと、2011年に韓国の憲法裁判所において、韓国政府が慰安婦への補償を日本政府に求めない外交は違憲だと判断をされましたけれども、この判決の根拠もクマラスワミ報告が挙げられているわけです。

日本政府は、かつて、幻と言われたこの反論文の中に、クマラスワミ報告について、簡単に言いますと、極めて不当、信頼するに足りない、甚だ不誠実、無責任かつ予断に満ち、歴史の歪曲に等しい、調査と呼ぶに値しないというふうに断じているんです。これが恐らく当時の外務省の本音の見解だったと思うんですね。こういったものがどんどんと根拠として広がっている。ですから、ここを見直さないと、私は、これからクマラスワミ報告を根拠とした日本非難が広がっていくと思いますよ。

ですから、国連の人権理事会で、検証委員会を設けて、もう一回、詳細で公正公平なレポートを出してほしいというように提言をしてほしいというふうに私は思います。日本政府として、日本の名誉を回復するために、国連の人権理事会にそういう提案を行う勇気はありますか。

[241]
政府参考人(外務省大臣官房審議官)  岡田隆
お答え申し上げます。

まず、クマラスワミ報告書への我が国政府のこれまでの対応でございますが、先ほどから問題になっております非公開反論文書とは別に、日本政府が簡潔に反論をまとめた文書というものを国連文書として配付しております。

その中では、日本政府としては、特別報告者が非常に限られた情報源に頼り過ぎているということ……(武藤(貴)分科員「そんなことは聞いていないですよ。理事会に提案するかと聞いているんですよ」と呼ぶ)

申し上げたいことは、事実面及び法的側面についても重大な留保をつけているということでございます。

今後の国連場裏における対応につきましては、先ほど申し上げましたように、我が国が国際社会の理解を得るためにどのように取り組むのが最善の方法かということから、引き続き検討を進めさせていただきたいと思います。

[242]
自由民主党 武藤貴也
聞いていることに答えてほしいんですけれども、今何が必要か検討していくということでありましたので、そういうことも検討していただけるんだろうというふうに思います。

これから、やはり過去の経緯を反省して事実をきちんと反論していかないと、誤解、歪曲が広がっていくんだということをちゃんと理解して、対外発信の予算をしっかり国民に理解されるように使ってほしいと思います。

時間が来たので、これで終わります。ありがとうございました。