平成27年04月01日 衆議院 外務委員会
[103]
維新の党 木内孝胤
先週に引き続き、アジアインフラ投資銀行についてお話をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
昨日、31日が創設メンバーを決めるデッドラインとされておりました。先週質問した時点でも、想定外の英国の参加、その後の独仏伊の参加表明、こうした問題がある中で、その後も、韓国、オーストラリア、さまざまな国が参加表明をされています。
昨日、テレビや新聞等の報道を見ていましても、日本は参加見送りということで、私は現時点で、他国との交渉経緯等も存じ上げておりませんので、参加するべきだとか参加するべきでないという論評は差し控えたいと思いますけれども、やはり英国が参加をしたということ、独仏伊が参加をしたということ、これは米国でも、完全に見立てというか見通しを見誤った、孤立したのではないか、失策ではないか、そのような声が出ております。
現在、外務大臣としてはどのような認識をお持ちでしょうか。
[104]
外務大臣 岸田文雄
まず、我が国の立場は、従来から申し上げておりますように、AIIBに対しまして、ガバナンスが確立できるか等幾つか慎重に検討しなければならない点があるという認識に立ち、慎重な立場に立っている、こうした立場は全く変わっておりません。
そして、各国の動きですが、さまざまな関係各国との連携、意見交換、情報交換、こういったものが重要であると認識をしています。
英国につきましても、従来から情報交換を行ってきましたし、英国がAIIBの参加を表明する前に、英国から日本に対しまして事前に通告というものがありました。そういった形で、ずっと情報交換、意思疎通は図ってきております。
そして、英国に続いて、ドイツですとかフランス等においても協定交渉入りが発表されているわけですが、こういった国々におきましても、AIIBにおいてガバナンスあるいは債務の持続可能性等の原則が確保されるよう引き続き取り組んでいくことが重要である、こういった認識が明確にされています。
我が国を含む関係国の間で、交渉に入るか、あるいは外側から働きかけるか、これはアプローチの違いはあるかと思いますが、AIIBに関する基本的な問題認識は引き続き共有されていると思いますので、引き続き関係国と緊密に連携をしながら中国側に働きかけを行っていく、こういった努力は続けていきたいと考えております。
[105]
維新の党 木内孝胤
ガバナンスが確立されるのを確認してとか、あるいは審査基準がしっかりしたものだというのを確認してから参加をする、これはごもっともなことだと思うんですが、よくよく考えてみますと、AIIBというのは、一定の資本金というものができて、それ以外に、貸し出しをする際は、市場から多くの資金を調達した上で貸し出しを行うわけです。したがいまして、そもそもこの金融機関が存在するということ自体が、ある意味、一定のガバナンスがないと資金調達すらできない金融機関なんですね。
したがいまして、ガバナンスが確立できないとと言っている理由は一見もっともらしく聞こえるわけですけれども、英独仏伊が入って韓国が入ってオーストラリアが入って、それでガバナンス云々と言っているということ自体が、ややお粗末な気がするというのが1点。
それに加えて、昨日、安倍総理が、党内でしっかり議論を進めてほしいと指示を出されたと認識しております。これは1年半ほど前に発表された構想であり、昨日、党内でしっかり議論してほしいという指示を出すというのは、いかにも動きが遅過ぎるというふうに感じるわけでございますけれども、それでも大臣は、これは仕方ないんだというふうにお考えなのか。
あわせてお伺いしますけれども、官房長官も、創設メンバーにならないリスクというのはそんな大した不利益はないというような談話を出しております。
私は、創設メンバーに入る入らない、これは大きな差があると思います。
TPPに関してはもちろんいろいろ賛否はあるかもしれませんけれども、結局、最後に呼ばれて入る立場と、みずから仕掛ける、あるいは創設メンバー、早期のメンバーで入る、これはもう全然状況が違うんですね。私もいろいろ交渉状況を聞きますと、TPPにおいてですけれども、やはりいろいろなことが固まってしまっている、後発メンバーというのは非常に不利益なんだというふうに聞いております。
当然、AIIBにおきましても、日本にとって不利益が生じる可能性があると思っております。
私は、官房長官談話、あるいは、安倍総理の今から党内で議論してほしい、今回は明確な失策だと思っておりますけれども、その点について大臣の御意見をお伺いいたします。
[106]
外務大臣 岸田文雄
AIIBに参加するということになりますと、例えば我が国が参加するということになりますと莫大な出資金が求められることになります。
我が国として、そうした対応をするということになるならば、しっかりとしたガバナンスの確立など、明らかにしなければならない点についてしっかり確認した上で取り組まなければならない、これは当然のことだと思っています。
ですから、中国側に対しましてしっかりと我々の問題意識、疑問をぶつけて、そして、中国側からそうした問題意識について回答をしっかり得た上で検討するべき問題であると思っています。
残念ながら、今、そういった問題意識が明らかになっておりません。
我が国として、慎重な立場はこのまま維持していかなければならないと思っていますが、今回、AIIBに参加を表明した国々であっても、こうしたガバナンスの確立等、物事の決定ですとか透明性ですとか、こういった問題意識をAIIBに持ち続けています。中に入って議論をするのか、外から働きかけるのか、立場は違っても、AIIBに対する問題意識はしっかり共有しながら、中国に対する働きかけはしっかり行っていかなければならない、このように思っています。
そして、これから与党において検討をするという指示が出たのではないか、あるいは参加しないリスクがないという発言が官房長官からあったのではないか、こういった指摘もありました。
しかし、基本的には、今申し上げた考え方に基づいて、慎重な立場で検討をしていかなければならないと思っていますし、官房長官の発言にしましても、政府として、特定の期限にとらわれることなく、引き続き、関係国と連携しながら、我が国の立場をしっかり中国側に働きかけていくことが何にも増して重要である旨述べたものと理解をしています。
今の段階では、まだ、入るメリット、入らないリスクなど、リスクを考える段階ではないのではないかと思います。まずは、我が国として、今持っている問題意識、問題点について明らかにされることが今の段階ではまず大事であると認識をしています。
[107]
維新の党 木内孝胤
いま一つ危機感が共有されていないということは大変残念なんですが。
いずれにしましても、日本は民主主義国家の中で世界第2位の経済大国です。恐らく、今回は、日米さえ緊密に連携をして、きちんと働きかけをしなくても何となくほかの国は参加しないだろうと勝手に油断をしたとしか私は率直に見えません。
英国が参加したというのは私は率直にショッキングでした。きょうはエープリルフールでございますので、イギリスの新聞ではよく、うその記事を冗談でやるわけですけれども、それぐらい、私にとっては英国の参加というのは非常にショッキングな事件でございました。
今回の、そうやって、さも失策がないかのごとく取り繕うことが、次へのステップへのおくれとなる可能性があると思っておりますので、これ以上の質問は差し控えますけれども、ぜひ危機感はしっかりと持って対応していただきたいというふうに思います。
[123]
維新の党 小熊慎司
今、同僚の木内議員からもありましたアジアインフラ投資銀行、AIIBについて私も質疑させていただきます。
これは、今、大臣の答弁を木内委員の質疑で聞きまして、慎重な姿勢。でも、ガバナンスの問題とかいろいろ、透明化の問題はあるんですが、福田元総理は疑問はもうないんだという発言もされていたりするんですけれども。
私は、確かにいろいろなスタンスがあるというふうに思います。ちゃんと固まってから関与するというのも一つの選択肢であると思うんですが、今回の件について、いわば問題点としては、やはり、最初ちょっと簡単に考えていたというか、参加国は少ないだろうという見立てがあったんじゃないかな。当初の日本の情報把握と今回の現状にはやはり乖離があって、結局、情報収集についてはちょっと見込みと違ったということがあるというふうに思うんですが、当初から、このぐらいの参加国があるんじゃないかというような見立てはありましたか。それとも、やはり見立てはもっと小さいものだろうということでしたか。その点についてお聞きします。
[124]
外務大臣 岸田文雄
AIIBに対する対応につきましては、当初から、関係各国との連携、意思疎通を重視してきました。中国に対する問題提起、問題意識をぶつける、こうした働きかけにつきましても各国との連携を重視してきた次第です。
ですので、参加を表明した国の数について、当初想定していたかということでありますが、参加を表明した国であっても、まだ参加を表明していない国であっても、協議に参加する、あるいは外側から働きかける、この立場の違いはあったとしても、中国の今立ち上げようとしているこのAIIBに対する問題点、問題意識については共有ができていると思っています。英国等につきましても、参加を表明する前に、我が国に対しましては事前に通告がありましたし、緊密に連携をとってきましたし、これからも連携を大事にしていきたいと存じます。
ぜひ、それぞれの立場を超えて、このAIIBに対する問題意識は共有し続けていきたいと考えています。
[125]
維新の党 小熊慎司
日本は一定程度の条件を突きつけていますから、今後、それがクリアしたら参加するということもあり得ますか。
[126]
外務大臣 岸田文雄
公正なガバナンスの確立など、問題点を中国側に提示しています。残念ながら、我が国のこの問題意識、問題点につきまして、中国側から明確な回答がない現状にあります。
引き続き働きかけは続けていきたいと思いますが、その結果どうなるかということを今の段階で、予断を持って、こうした公の場で申し上げるのは、我が国の立場として適切ではないのではないか、控えるべきではないか、このように考えます。
[129]
維新の党 小熊慎司
いずれにしろ、このAIIBについて、日本は、むちゃくちゃなことはさせないということはやっていかなきゃいけないので、中に入ってそれをしっかりやるのか、それとも、外側にいて、アメリカのように世銀で協調関係でいろいろな事業をやっていくというように、アジア開発銀行でどういうふうにAIIBに関与するか、どっちにしろ、関与はしなきゃいけないと思う。それは、どっちの選択肢をとるにしても大変なことだと思いますので、しっかりここは、地球を俯瞰して外交を展開していただくようお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
平成27年04月02日 衆議院 安全保障委員会
[028]
民主党(民進党) 小川淳也
最後に、アジアインフラ投資銀行についてであります。
きのう時点で参加50カ国ですか、ロシアやブラジルも含めて。G7、G8も完全に割れている。私は、ちょっと日本政府として、アメリカがああいう姿勢なので、たかをくくっていて、大丈夫だろうという慢心、油断があったのではないかというふうにお見受けします。なおかつ、ここまで出おくれ感が強くなりますと、非常に危機感、場合によってはこれは外交敗北、アメリカのヨーロッパに対するグリップも極めて脆弱化しているということも含めて、非常に私は懸念しております。
3月31日が創設メンバーの登録期限ということでありますので、既にその期限が切れているわけですが、その点も含めて、これはどうも、報道によれば、総理は与党に対して議論を指示したという報道もありますよ。与党側の公明党の代表も、極めていろいろな角度から議論すべきだということをおっしゃっている。ちょっと出おくれ感が強くなり過ぎているのではありませんか。
外交当局として、この間の経緯また今後の対応をお聞きして、質問を終えたいと思います。
[029]
外務大臣政務官 薗浦健太郎
お答えを申し上げます。
本件AIIBにつきましては、我が国政府の立場は一貫しておりまして、まず、中国側に対して、公正なガバナンスというのが確立できるのかということ、特に、加盟国を代表する理事会がきちんとした形で個別の案件を承認できるのかということ、それから、いわゆる債務国に対して債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにならないかという質問、問い合わせを累次行ってきております。
これに対して、まだ我が国に対して回答をいただいていないという点が1点。それから、参加した場合に、4桁億円、1000億円単位での我が国の拠出金が必要になるということから考えまして、極めて慎重な立場を今までとり続けてきております。
ただ、諸外国との連携ということでございますけれども、今御指摘をいただきましたアメリカだけではなくて、英国を初め関係国ともいろいろな話をさせていただいておりまして、事前にしかるべき形で通告をいただいているということでございます。
いずれにしても、中に入ってガバナンスに関与をするのか、外からさまざまな形でアプローチをするのかということに対してはさまざまなやり方があろうかと思いますけれども、問題意識を関係各国と共有をしながら、引き続き対応してまいりたいというふうに考えております。
[030]
民主党(民進党) 小川淳也
時間ですので終わりますが、いずれにしても、緊張感を持った対応をお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
平成27年04月06日 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会
[066]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 中野正志
3月31日に参加を締め切られました、中国が主導いたしますアジアインフラ投資銀行、いわゆるAIIB、これについて、日本は参加を見送るという、私は大変賢明な判断をされたものだと率直に評価をいたしております。
3月27日の予算委員会でも安倍総理には申し上げたんでありますけれども、このAIIB、現代の朝貢か、朝廷に対する貢ぎですね、現代の朝貢かとまでうわさされるAIIBでありますが、中国が国際秩序のまさに頂点を狙う腹だと、それであることは間違いなく、私は、現時点では日本はこのAIIBに参加する必要性があるとは思えない、中国のODA姿勢と日本のODA姿勢、これが違うように、統治の仕方あるいは融資の仕方についても、おのずと中国と私たち日本あるいはアメリカ合衆国とコンプライアンスは全く違うのだということが歴然としておりますから、あえて同調する必要はないと考えるからであります。
そこで、岸田大臣に、このAIIBについていかがお考えになられておられますか、基本的な考え方、姿勢をお伺いをいたしておきたいと思います。
[067]
外務大臣 岸田文雄
AIIBに対する立場、対応ですが、日本政府としましては、これまでも一貫して申し上げておりますとおり、公正なガバナンスを確立できるのか、特に加盟国を代表する理事会がきちんと個別案件の審査、承認を行う体制となっているのか、こういった点、さらには債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことにより、他の債権者にも損害を与えることにはならないのか、こういった点を含めて慎重な見極めが必要であるという立場を取ってまいりましたが、この方針は今現在変わっておりません。
AIIBに参加する場合、これは推計でありますが、莫大な出資金が求められることになります。推計でも1000億単位の大きな出資が必要になるというふうに言われております。こうしたことを考えますならば、政府としてこれは慎重にこの状況を把握した上で対応しなければならない、これは当然のことではないかと考えております。特定の期限にとらわれることなく、関係国と連携しながら、中国側に対しまして引き続き働きかけを考えていく考えです。
[068]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 中野正志
岸田大臣、全くそのとおりの姿勢でお願いをいたしておきたいと思います。
大臣の近辺の大先輩の方に中国と非常に仲の良いお付き合いをされておられる方もいらっしゃるとお聞きもいたしておりますし、いろいろなお知恵があっていいんでありますけれども、少なくとも私たち、日本という国家でありますから、国益、これを基本としながら、今後とも、私も岸田大臣の姿勢は評価いたしておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
平成27年04月07日 参議院 外交防衛委員会
[036]
民主党(民進党) 福山哲郎
続きまして、アジアインフラ投資銀行についてお伺いをします。お手元にお配りをした資料の3枚目を御覧いただければと思います。
日本は、このアジアインフラ投資銀行について、3月31日、参加申請の締切りでしたが、結果として参加を見送りました。当初は余り参加しないのではないかと言われていたんですが、結果的に今50を超える国・地域が申請をすることになりました。私が意外だったのは、期限近くになってアメリカとの同盟国であります韓国や豪州、そしてEUの国々が次々と参加の表明をされました。このことについては、今外務大臣としてはどのように受け止められているのか、お答えいただけますでしょうか。
外務大臣 岸田文雄
AIIBの参加に関しましては、中国財政部の発表によりますと、4月7日現在、AIIB設立協定交渉への参加国の数は申請中の国も含めて48か国であると承知をしております。
これら48か国は、現在進行中の設立協定交渉に参加している、ないしこれから参加が予定されている国であります。そして、AIIBの正式な参加国が決定するまでには、今後交渉を経て、最終的に協定文書に署名を行い、国内の承認手続が完了する必要があると承知をしています。
引き続きこうした動きについては注視をしていきたいと考えておりますし、こうした協定に参加を表明した国、そして我が国も、共にAIIBのガバナンス等に対する問題意識は共有をしております。それぞれの立場から中国側に対しては引き続き働きかけを行っていかなければならないと認識をしております。
[038]
民主党(民進党) 福山哲郎
一般論としては今のお話だと思いますが、韓国やオーストラリア、英国を含めた国々が参加表明したことについて、じゃ、理由としては外務大臣はどのようにお考えになられていますか。
[039]
外務大臣 岸田文雄
参加表明をした国の意図あるいは理由について私から何か申し上げる立場にはないとは思いますが、こういった参加表明をした国も含めて、我が国は、国際社会、様々な国々と意思疎通を図りAIIBに対する対応についても考えてきました。それぞれ参加表明をした国、表明をしていない国があるわけですが、共にAIIBのガバナンスのありよう等、問題意識を持っているという点においては共通していると考えています。
こういった共通意識の下に、AIIBのありようについては中国側にしっかりと働きかけを続けなければならないと考えます。
[040]
民主党(民進党) 福山哲郎
外務大臣、問題意識を共有しています、何ですか、その答えは。参加表明をしてこれから協定の交渉に入るのか、参加表明をしないで外側にいるのかって、問題意識を共有していれば同じですか。全く違うはずですよ、立場としては。
私が問題意識を持っているのは、豪州や韓国、これ日程見てください。韓国は3月26日に参加表明、オーストラリアは3月29日に表明で、これ、ぎりぎりです。ぎりぎりまでいろんなところと多分調整をされたはずです。そして、アメリカのルー財務長官が3月30日、31日の締切りの前の日に訪中をして会談をし、その場で、AIIBとの協力に期待をすると、中国がアジア地域のインフラ建設の分野で更に役割を発揮することを歓迎するとアメリカの財務長官が歓迎の意を表明をしています。
私は、間違いなく韓国やオーストラリアはアメリカとの関係を含めて協議をした結果、参加という結論をしたと僕は一般的には思います。事実関係は私は今野党ですから把握できませんが、一般的には韓国や豪州がアメリカの了解を得ないで参加表明をするということは考えられない。
そして、アメリカは逆に、31日の前の日にわざわざ中国に行って財務長官がこの歓迎の意を表明をしている。これまでのアメリカの立場からいえば、すぐに参加表明とはいかないかもしれませんが、行って中国とのコミュニケーションをここで図っています。
そして、英国始め、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、EU諸国の主要な国が参加表明をしていると。報道によればですが、インフラ等のこれからの需要が非常にたくさんある、そこに乗り遅れたくないと、自国の企業のプラスになるんだったらやはりこのことは参加をするべきだという判断をそれぞれの各国がやられたというふうに報道によっては出ております。
外務大臣は、先ほど私の質問に、いやいや、問題意識は共有しているけれども、相手国の理由についてはつまびらかではない。それは、建前はそうかもしれませんけど、問題意識共有しているんだったら、じゃ、このインフラの問題、インフラ投資に対して我が国がどういう立場を取っているのか。インフラ輸出というのは、我々の政権のときもそのことを懸命にやろうとしたものでございます。
私は、中国のこのAIIBに何にもなしに、外務大臣が言われるように、全く問題意識共有もせず、相手側に指摘もせずに、このことに対して何も条件もなしに入ることがいいなどと言っているわけではないし、私も参加するかどうかは慎重に検討するべき立場だと思いますが、結果として見たら、アメリカの同盟国のオーストラリアや韓国はぎりぎりに表明し、アメリカは前の日に中国にまで行って財務長官が話をしている。完全に世界から見たら日本だけ外れています。イスラエルも入っているんです。この状況は本当にいかがなものかと。
ましてや、例えばドイツのメルケル首相は日本に来日をしています。外務大臣もいろんな場所で外務大臣会合をやられていると思います。そういったときにこのAIIBについて議論をしないのか、共有をしてお互いの参加状況について調整をしなかったのか。また、このぎりぎり韓国やオーストラリアが参加するということを一体外務省はいつ把握をされていたのか。今日、財務省の審議官も来られていますが、財務省の審議官も含めて、いつこうやって韓国やオーストラリアが参加表明をすることを事前に知っておられたのか、参加表明するまで知らなかったのか、そこはお答えをいただけますでしょうか。
[041]
外務大臣 岸田文雄
いろいろ御指摘をいただきました。
まず、我が国のように交渉参加に慎重である国、そして交渉参加を表明した国、こうした国は、アプローチの違いはあるにせよ、やはり中国のAIIBの提案については問題意識は持っており、働きかけを続けていかなければならない、こういった点においては同じ認識を持っていると思っています。そして、こういった国々との連携については今日までも緊密な連携を図ってきました。
そして、交渉への参加について事前に知っていたのか等につきましても、多くの数について一つ一つ今手元に資料は持っておりませんが、私の知る限りでも、英国あるいはフランス、ドイツ、さらには豪州からも事前に通報は受けておりました。事前の通報を受けた上で、引き続き共通の認識の下で中国側に働きかけを行っていく、こうした対応を確認した次第です。
是非、引き続きこうした国々とも連携していきたいと思っておりますし、米国の対応ですが、米国の対応につきまして様々な報道がなされていますが、米国政府との間においては、米国政府の立場は全く変わっていない、これは引き続きしっかり確認をしています。こうした立場に立ちながら、それぞれがこのAIIBという金融機関の存在について中国側に働きかけを続けていかなければならないと思います。
アジアにおけるインフラ投資の重要性、御指摘のとおりです。AIIBに対する問題意識を共有しながら、他の国際機関の存在等も含めて、全体のインフラ整備について考えていく、これはこれからも重要な姿勢であると思っています。
[042]
政府参考人(財務大臣官房審議官) 吉田正紀
お答え申し上げます。
AIIBにつきましては、外交ルート、それから様々なルートを通じまして情報把握に努めているところでございます。当然、国際会議等の場でいろんな機会がございますので、その場等を通じまして、緊密に意見交換、情報交換を行ってきておりまして、情報の把握に努めているところでございます。
[043]
民主党(民進党) 福山哲郎
情報を把握した結果がこういう結果だというのは、これまた非常に残念でございますが、先ほど外務大臣はさらりと言われました、豪州は事前に参加をすることを把握していた。把握されたのはいつですか。
[044]
外務大臣 岸田文雄
把握したルートですとかレベルですとか期日、詳細については相手国との関係もあるので控えさせていただきます。
[045]
民主党(民進党) 福山哲郎
財務省はいかがですか。
[046]
政府参考人(財務大臣官房審議官) 吉田正紀
AIIBにつきましては、様々のルートを通じて情報の提供あるいは情報の把握に努めておりますけれども、個別の点につきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。
[047]
民主党(民進党) 福山哲郎
ということは、豪州については事前に把握していたけれども日時は言えないと。何で日時が言えないんでしょうかね、外務大臣。だって、もう豪州は発表しちゃっているわけですよ。発表しているわけですから、外務大臣が事前に把握をしていたとおっしゃるんだったら、いつの時点なのかぐらいはお答えいただいても、参加表明されているわけだから、差し支えないはずだと思いますが、いかがですか。
[048]
外務大臣 岸田文雄
先ほど申し上げましたように、豪州のみならず、英国、フランス、ドイツ等、どの国においても事前に通報を受けております。こういった一つ一つについて詳細を申し上げることは相手国との関係において控えなければならない、これは当然のことだと思っています。
[049]
民主党(民進党) 福山哲郎
だって、もう参加表明されているんですよ。それは、逆に言うと、外務省は事前に把握していなかったのを、事前に把握していてというふうに言いたいがゆえに何日か答えられないと取られても致し方ないと私は思いますよ。結果として、アメリカが30日に行ったと。これは相当僕は日本の立場でいうときついなと正直言って思います。
その後に、何と格好悪いことに、安倍総理は、党で協議をしてくれと。何か政府は判断しなかったので、党に責任をおっかぶせて、党で協議してくださいみたいな話をしている。麻生財務大臣におかれては、デメリットはないんだみたいな話と、まだまだ余地はあるんだみたいな、何か含みを持たせている。逆に言うと、その何か党に協議してほしいとか含みを持たせていること自身が、この交渉で日本がある意味でいうと置いていかれたことに対する証左なのではないかと私は思っていて、非常に残念に思っています。
外務大臣は、恐らくいろんな外相会談とかAIIBの後のそれぞれの首脳会談、外相会談とかで意見交換をされているはずです。しかし、何でこんなふうに、駆け込みで皆さんが参加表明して、日本だけが気が付いたら何か残りましたと、アメリカは参加をしなかったけど中国へ行きましたと、ちょっと残念だなというか、これはちょっといささかかなというふうに思います。日本の残念ながら経済同友会からも若干心配の声も上がっています。
先ほどの北朝鮮のミサイルの話も、韓国とどれほど緊密に連携取れるか、この話もそうです。中国、韓国と今首脳会談もできない状況であるということは一定理解をします、それは政権の判断ですから。しかし、そういったことが、本当に事務方同士の連携とかいろんな形の国際社会の動向の中で、日本の国益を失うようなことのないようにしていただきたい。ここで出遅れたから、後になって意地になって結局参加しないまま、本当に何かアジアのインフラマーケットの中で日本がなかなか参加ができないような状況になるなんというのは、もう余り考えたくないパターンだというふうに思っていて、私は別に何でもかんでもくさしたいと思っているわけではないんですけれども、批判をしたいと思っているわけではないんですが、このことについては、今、普通でいえばめり張りのある明確な答弁をいただける外務大臣ですら何だかよく分からない答弁が続いているので、非常に私は残念に思っております。
もういいんですけど、だってあれ以上答えてもらえないんでしょう、大臣。いや、そうしたら、大臣を私は尊敬しておりますので、どうぞお答えください。
[050]
外務大臣 岸田文雄
御指摘はしっかり受け止めなければならないと思いますが、御質問の中で日本が取り残されたというような御指摘もありました。日本としましては、先ほど申し上げましたように今日まで関係各国としっかり意思疎通を図ってきました。事前通報等につきましても意思疎通を図ってきました。そして、そういった状況を把握した上で日本としては慎重な立場をしっかり決断したわけであります。
AIIBの問題点につきましては、先ほどガバナンスの確立というお話をさせていただきましたが、加盟国を代表する理事会においてきちんと個別案件の精査、承認が行う体制となるかどうか、こうしたガバナンスの問題、さらには債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことによって他の債権者に損害を与えることにならないのか、こういった問題点につきましては多くの国々が問題点として指摘をしているところです。
我が国としましてもこういった問題点をしっかり中国側にぶつけておるわけですが、それに対するしっかりとした回答がない中にあって、これ、もし参加を表明するということになりましたならば、我が国としまして推計で1000億円単位の出資が求められることになります。こうした国のお金に関わる問題です。しっかりと確認した上で我が国の対応を決断する、これは当然のことではないかと思っています。
こうした判断の下に今現状があるわけですが、引き続きまして関係各国との連携、そして意識の共有、そして中国への働きかけ、努力は続けていきたいと考えています。
[051]
民主党(民進党) 福山哲郎
大臣がせっかく御答弁いただきましたが、大臣が言われた問題意識は各国全て共有していたはずです。共有していて、あえて協定交渉に入ることによってその懸念を払拭するというスタンスを取られたわけです。各国の首脳の中には、そういった懸念については中国側の説明でかなり払拭できたので参加表明したと言われている方々もいらっしゃいます。
だから、大臣のお話は僕は一定理解はしますが、それで主要国が入っていないから我々も入らなかったというなら分かりますけど、主要国がみんな行って我々だけ入らなかったというのはなぜかということの明快な理由には、正直申し上げると、ちょっと残念ながら説得力に欠けると思いますが、次に行かせていただきます。
[236]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
アジアインフラ投資銀行について午前中も質問がありましたけれども、3月末の創立メンバーになる、これには間に合わなかったと。しかし、次、6月に、言ってみれば最終的なスタートするチャンスがあるということで、中国の日本から行っている木寺大使が、これは3月31日のフィナンシャル・タイムズには、6月までには日本はAIIBに参加すべきだと、理由とすれば、日本の経済界から大変強い要請が来ているんだと。また、それを引用する形で4月の3日のチャイナ・デーリー、これもやっぱり日本が6月には参加すべきだという木寺大使のコメントを引用しているんですよね。
これは今、日本政府とすれば慎重に検討しているということで、まだ6月の段階でどうするか決まっていないという理解をしているんですけれども、木寺大使、中国で中国の情勢をいろいろと見ながら、やはりこれは日本としても是非とも参加すべきだということを言っておられる。フィナンシャル・タイムズやチャイナ・デーリーがそういうものを引用している。これは日本の今の政府の立場と若干違っているように受け取られるんですけれども、真意はどこにあるんでしょうか。
[237]
外務大臣 岸田文雄
まず、御指摘の報道があること、これは承知をしています。しかし、これ改めて確認をしたいと思いますが、木寺大使が日本のAIIB参加の見通しについて発言した、こういった事実はございません。
AIIBについては、我が国が中国側に提起している問題意識や必要な基準が満たされるかどうか、これについて特定の期限に関わりなく慎重に見極めていく、こうした我が国の方針は変わってはおりません。
[238]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
駐中国の日本大使の発言に関しましては、さきに丹羽大使の頃も同じフィナンシャル・タイムズで尖閣の問題について日本政府と極めて違う意見表明されて、大きな外交問題に発展しましたよね。
そこでお聞きしたいんですけれども、大使が海外のメディアに対して、今の大臣のお話だとインタビューには応じていないとおっしゃいましたよね。しかし、イギリスを代表するフィナンシャル・タイムズが大使にインタビューもしていないのにこんな大きな記事に大使の発言を載せるということはにわかには信じ難いと思うんですね。しかも、中国の英字新聞もそれを引用しているわけなんですよね。ですから、本当にインタビューはなかったのか、あるいはインタビューを受けたけれどもその真意が曲解されるような形で報道されたのか。その辺りが何かはっきりしない。
大使が海外の主要なメディアに、当然、日本の主張をアピールする意味で積極的に発言されるのは私は必要だと思うんです。しかし、それが曲解されたり誤った引用をされたということは、それは訂正する必要があると思うんですけれども、いや、インタビュー自体受けていないというようなことは、もしあったとすると、じゃ、フィナンシャル・タイムズやチャイナ・デーリーに対して、やってもいないインタビューを世界に発信する、こんなことは認められない、それこそ訴えるべき価値があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
[239]
外務大臣 岸田文雄
確認したところ、実際は、木寺大使は記者の質問に対し、AIIBの具体的な内容が固まっていくには2、3か月掛かるだろう、こうした発言をしたのみであるということでありました。報道のような発言をしたという事実はございません。
なお、フィナンシャル・タイムズには既に抗議を行っております。
[240]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
分かりました。そういう意味で、木寺大使が固まるまでに2、3か月は掛かるだろうとおっしゃったことが、この報道によると、さも日本の各企業、特に経団連の榊原会長等は、日本がアジア太平洋地域の成長を取り込むためにはこのAIIBは極めて重要である、また、経済同友会の長谷川代表幹事も、インフラビジネスで日本が不利にならないようにするためにはAIIBとどういう形で向き合うかということを前向きに考えるべきだ、昨日は福田元総理も、日本がこのAIIBには参加しない理由はないということをおっしゃっています。
そういう流れがいろいろと醸成されている中での大使の発言が、ある意味では中国に都合のいいようにフィナンシャル・タイムズでは報道された。ということは、やっぱりこれからも似たような働きかけが行われる可能性があると思うんですね。
今大臣は、フィナンシャル・タイムズに抗議を申し述べられたとおっしゃっていますけれども、それについては何か反応があったんでしょうか。
[241]
外務大臣 岸田文雄
抗議を行ったそのさらに反応ということについては、何も報告は受けておりません。
[242]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
在外公館の大使が日本の政府を代表し、日本を代表していろんなところで発言する、これはとても重要なことだと思うんですけれども、何かそういうときに、事前の、何というか、要領というか、相手方に誤解を与えないような何か事前の打合せみたいなものはあるんでしょうか。
[243]
外務大臣 岸田文雄
まず、AIIBに対する我が国の立場、考え方は、午前中の質疑の中でも申し上げましたように、慎重なものであります。それは全く変わっておりません。そして、こうした考え方については、在外公館、大使ともしっかり意思疎通を図っております。
そして、今回のこの発言につきましては、先ほど申し上げましたように、我が国の立場とか考え方を申し上げたのではなくして、AIIBの具体的な内容が固まっていくには2、3か月掛かるであろう、こうした発言をしたのみであります。これが事実であるということ、これをしっかりと確認をし、そして、しかるべき抗議など、対応はしていきたいと考えております。
[244]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
これは、引用文を見ると、全く大使がおっしゃったことと違う内容になっているんですね。ですから、これはゆゆしい問題だと思います。
それと、それはさておいて、しかし、いろんな日本の経済団体の方々は、先ほど申しました榊原会長にしても長谷川代表幹事にしても、AIIBについては結構前向きというか、発言が相次いでいるわけですね。
今、外務省は日本企業の支援ということで、官民一体となって日本企業が海外でインフラ受注を行ったり、日本の商品やサービスがどんどん売れるように応援していこうという、そういう政策を推し進めておられるわけだから、そういう観点の中で、このAIIBに対して、先ほど、午前中、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアからも事前に参加の通告が、連絡があったと、調整をした上で、問題意識を共有しながらこういった国々は参加するということが言ってみれば日本に事前に連絡があったわけですけど、日本だけがそれに対して、まだまだ透明性が足りないとかいろんな問題があって参加できない。
このヨーロッパの国々やオセアニアの国々と日本の考え方、評価の違いはどこにあるんでしょうか。
[245]
外務大臣 岸田文雄
まず、我が国としましても、アジアにおけるインフラ資金の需要の増大はしっかり認識をしております。ADBの試算によれば、2010年から2020年にかけてアジアには約8兆ドルのインフラ資金需要があると見積もられており、こうした課題に取り組むことは重要だと認識をしています。
そして、我が国がこうしたインフラ需要に対応する方途として、我が国が有する様々な経済協力の手段の効率的な活用、そしてADB、世銀等のマルチの機関との連携、民間部門の資金、ノウハウの動員、他国との協働、こういったものを考えながら、質の高いインフラ投資を通じてアジア地域のインフラ需要に応えていく考えであり、こうした考え方は、従来からAPECあるいはG20の場でも提起を行っています。
その中にあって、このAIIBの議論でありますが、公正なガバナンスの確立など確認をしなければいけない点がある、国際金融機関にふさわしい基準がしっかり満たされることが必要である、こういった問題意識を持って中国側に問合せを行い、また働きかけを行っているところであります。
推計ではありますが、もし日本が参画をしたならば、1000億円単位の大きなお金が求められるというふうにも言われています。こうした大きな国民の税金を使う以上は、しっかりとしたものを確認した上で決断をしなければいけない、こうした慎重な態度は、これは当然のことではないかと思っています。
是非、こうした我が国のAIIBに対する考え方あるいは問題点につきまして、しっかりとした答えが示されることを期待したいと思っています。
[246]
委員長 片山さつき
浜田和幸君、お時間が来ております。
[247]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
もう時間が来ました。
ADBが8兆ドルということは、800兆円のマーケットがあるわけですね。もし1000億円で800兆円取れるのであればこんなすばらしいこともないわけでありまして、是非とも、経済界からの様々な疑念というか要請もあるわけですから、そういうものを受け取っていただいて、各国と協調しながらこのAIIBに向き合っていただきたいと思います。
ありがとうございました。
平成27年04月07日 参議院 財政金融委員会
[073]
民主党(民進党) 大久保勉
続きまして、財務省浅川局長に質問したいと思います。
新聞等でよく出ていますAIIBに関する質問ですが、結局、AIIBの参加申請が48の国と地域に上ることが明らかになりました。こういった状況になったということは財務省としてどう考えているかということです。
恐らくは、官邸の方に、どうせ欧州とか若しくは先進国は入らないと、ですから大したことないですよと、こういったような意見を上げてきたんじゃないかと。
つまり、情報の入手能力が低かったんじゃないかと思いますが、浅川さん、いかがでしょうか。
[074]
政府参考人(財務省国際局長) 浅川雅嗣
お答え申し上げます。
AIIBに関しまして、その構想が発表されたのは2013年の10月だったと記憶しておりますが、それ以降、政府としては、欧州諸国を始めとして、当然、他の関係国の間でも緊密に意見交換、情報交換を行ってきたところでございます。
今、大久保委員おっしゃいました今回の交渉の参加の申請に関しましても、英国等からAIIBの設立協定の交渉の参加についてしかるべき形で事前の通知は受けておりまして、基本的な問題意識、我々と問題意識は共有しながら対応してきていると、こういうふうに思っております。
今後とも、日本としては、引き続きそうした関係国と緊密に連携を取りながら中国側に働きかけを行っていきたいと思っている所存でございます。
[075]
民主党(民進党) 大久保勉
十分にやったと言うんですが、恐らくは、一人一人は一生懸命やっているし、旧来のパイプを使っていると思いますが、恐らく、ブレトンウッズ体制が大きく変わろうとしています。BRICS諸国も台頭してきていますから、世界の在り方が大きく変わろうとしています。そこに対して十分な対応ができていないのかなと。
平成27年04月08日 衆議院 外務委員会
[008]
自由民主党 島田佳和
そういった中、先ほどAIIBの話もさせていただきましたけれども、シンガポール人の方で、国連大使を2回務められたキショール・マブバニさんという方が著書の中で指摘しているんですけれども、今アジアで、中国、インドで、膨大な数のいわゆるミドルクラス、中産階級が誕生している、そういった層が、生活水準が向上するにつれて、自動車を購入したり、冷蔵庫であったり洗濯機であったり電気製品を大量に購入して、これが一つのCO2の増加の原因になっているというふうに指摘されています。また、開発支援、そして環境支援、これは二者択一の問題ではなくて、両方同時にやっていかなければいけないというふうにも指摘されています。
そういった中、AIIBの方は、非常に注目も浴びて、報道量も非常に大きい。一方、このGCFに関しては、報道量も非常に少ないですし、きょうも取材のマスコミの方もほとんどいないという状況でございます。非常に残念な思いをしているわけです。
AIIBに参加を見送ったことを、中国外交の勝利で日本外交の敗北だみたいな論調もありますけれども、日本は、ADBなり独自のODAなりを通じて開発支援もやるけれども、環境支援もしっかりやっていくというこの日本の外交姿勢をしっかり示す必要があるのではないかと思います。
ちょっとこれは通告にはないんですが、ぜひ外務大臣からも今回のGCFの拠出の積極的な情報発信をしていただきたいと思いますし、ぜひ官房長官の会見の中にも入れていただきたいと思いますし、日本がしっかり国際社会の中で、環境問題において、アメリカに次ぐ拠出額を出して、リーダーシップをとりながら対応しているということを、ぜひ積極的な情報発信をしていただきたいと思います。大臣、その辺。
[009]
外務大臣 岸田文雄
御指摘のように、インフラ整備の分野におきまして、AIIBが大きな話題にはなっています。我が国としましても、ODA、開発協力につきましても、新しい開発協力大綱を示し、インフラ整備に向けてもしっかりと努力を続けていきたいと思いますが、一方で、ことしは環境の分野におきましても大変重要な年です。COP21に向けて多くの国々が環境分野において協力をしていかなければいけない、こうした機運が高まっています。環境分野における日本の貢献、こうしたグローバルな課題における日本の貢献の重要性を改めて感じています。
その中にあって、今お願いしております基金のありよう、全ての国が参加して公正な枠組みをつくるという意味で大変重要であると認識をしております。ぜひ、お願いしている基金の重要性を多くの方々に御理解いただきたいと思いますし、日本もしっかり貢献していきたいと考えています。
[100]
維新の党 木内孝胤
それと、1つお伺いしたいのが、ほかの国にも、全ての国に参加をしてもらう枠組みをつくるということで、COP21、目指しているということでございますけれども、今、中国がアジアインフラ投資銀行を構想しているという段階で、例えば、日本がAIIBに参加する、それとの引きかえに、逆に、こっちのCOP21に、きちっとした枠組みで中国に参加をしてもらう、こうした交渉というのは、なかなか、現実問題容易ではないというのは想像はつきますけれども、こうした交渉過程の中で、そうした枠組みというのは考えられるのでしょうか。
[101]
外務大臣 岸田文雄
そういったリンクする形での交渉というのは、現実全く考えておりませんし、なかなかそう簡単ではないとは思います。それぞれの意義があります。それぞれの課題があります。それぞれに対応しなければならないと思っています。
AIIBにつきましても、アジアにおけるインフラ需要の高まりの背景の中で、このAIIBというものが注目を集めているわけですが、やはり我が国としまして、国民の税金を拠出するということであるならば、ガバナンスの確立等をしっかり確認した上で対応しなければならない、慎重な対応を引き続き続けているわけでありますし、このGCFにつきましては、途上国に対してしっかり支援することによって全ての関係者にこの枠組みの中に参加してもらうために、重要な基金であると認識をしています。
先進国、新興国、そして途上国の気候変動におけるその重みの変化等も勘案しますときに、全ての国が参加することの意味は大変重要であると考えています。そうした枠組みづくりに資するこの基金というものについてしっかり取り組んでいく、それぞれの課題についてしっかりと対応していきたいと考えています。
[102]
維新の党 木内孝胤
時間も少しありますので、2週続けて質問してきましたAIIBについても、ちょっと追加で質問させてください。
その後、3月末の期限が過ぎまして、先週も、福田元総理が、もう少し積極姿勢でもいいのではないかというようなことを講演の中で述べられました。恐らく、自民党さんの中でも、党内でもさまざまな意見があろうかと思います。
私は、もう3月末のデッドラインが過ぎたわけですから、ここは腰を据えてじっくりと、リスクをきちっと判断してやればいいのかなというふうには思っている一方で、次のデッドラインというのがあると思うんですね。余り悠長に構えていても仕方がない。
あと、やはり今までの経緯を見ていると、緊密に連携をしてきたと言いながら、ある日突然、英国が参加をしたりということで、必ずしも情報を密にしてくることができていなかったのではないかというふうに思っております。
それの原因の1つが、もしかしたら、この間も大臣に質問したときに、主たる所管は外務省なのか財務省なのかと聞いたときに、ちょっと明確な答えでもなかったんですね。本件につきましては、やはり米国も非常に大きな影響力があるわけですから、そうすると、ある意味、アメリカ任せの交渉になっていたのではないか。2つの意味で、情報が密にというのがおくれた理由はここにあるのではないかなと推察をしているところです。
現状、米国との対話の状況、なかなか開示できない部分もあろうかと思いますけれども、主たる交渉窓口というのは、現在、財務省なのかあるいは外務省なのか、これはどちらにあるんでしょうか。
[103]
外務大臣 岸田文雄
まず、所管については、前回も最後にお答えしたと思いますが、財務省であります。
そして、アメリカとの意思疎通ですとか協議につきましては、財務省と外務省が責任を持って対応しているというのが現状でございます。
[104]
維新の党 木内孝胤
わかりました。
それと、先般の福田元総理のお話あるいは党内の議論、こうしたスケジュール感というのは、いつごろをめどにやろうとしているのか。
慎重に党内で議論を進めてほしいということで安倍総理も指示を出したというふうに理解しておりますけれども、その中で、一定程度、4月末なのか5月末なのか。あるいは、6月末を目指すのであれば、その前の調整も必要でしょうから、逆算して、いつごろをめどに党内の方針を出し、いつごろ政府としての方針を出そうとしているのか。あるいは、全ての問題点がクリアにならない限り当然参加できないという理屈は理解できますけれども、どういった段階で仮の期限を定めているのか、そのスケジュール感について教えてください。
[105]
外務大臣 岸田文雄
まず、AIIBにつきましては、今日まで多くの国々と意思疎通を図ってきました。連携不足だったのではないかという指摘がありますが、実際、さまざまな外相会談等において、私自身も各国の外相と意見交換をし、意思疎通を図ってきましたし、さまざまなレベルで、AIIBに対する意見交換、考え方の開陳等は行ってきました。
今回、多くの国々がAIIBに参加を表明しているという点が指摘をされていますが、参加の表明に関しましても、私の知っている限りで、英国、フランス、ドイツあるいは豪州、こういった国々は、参加表明する前に、事前に我が国に通告をしてきた上で参加の表明を行うということでありました。そして、こういった国々とは、従来から、AIIBのガバナンスの確立等、問題意識、問題点につきましては共有をしてきました。
今後とも、参加を表明した国、そして外側に存在する国、立場の違いはあっても、AIIBのガバナンスの確立等、問題点については問題意識を共有して、中国側に働きかけるという点においては同じ立場に立っていると思っています。今後とも、AIIBへの取り組みについては、こういった関係国としっかりと連携しながら、中国側に働きかけを続けていきたいと考えています。
そして、こうした問題点を明らかにするということは、我が国として、もし参加を決定したならば、推計ではありますが、1000億円単位の大きな国のお金が拠出されることが予想もされています。こうしたことでありますので、問題点をしっかり明らかにしなければ、我が国として慎重な立場を続けなければならない、これは、国として当然の対応ではないかと考えています。
時期につきましては、区切る、あるいはめどを立てることなく、まずは、こうした問題意識を各国とともに共有しながら、中国に対して働きかけを続けていきたいと考えています。
[106]
維新の党 木内孝胤
今、1000億円単位という話がございました。非常に大きな単位だと思うんですが、これは1000億円から、大体、幅でいうとどれぐらいを今イメージされていますでしょうか。もとの資本金の想定額もございますので、ある程度は想定ができると思うんですけれども、1000億円単位というと、1000から5000なのか、1000から3000なのか。もう少し幅のある金額を御開示お願いいたします。
[107]
外務大臣 岸田文雄
今申し上げましたように、これは推計であります。そして、推計にもいろいろな推計があります。その推計を見た上で、1000億円単位という表現を使わせていただきました。
それ以上、詳細につきましては、あくまでも推計でありますし、いろいろな推計があるのが現実ですので、こうした公の場で申し上げるのは控えたいと存じます。
[108]
維新の党 木内孝胤
私も、この件、3週目、同じことを聞いてはいるんですが、幾つか指摘はさせていただいてはいるものの、やはりアメリカときちっと歩調を合わせるということは極めて大切なことだと思っておりますので、3月末というところに合わせて駆け込みでやるよりも、この際じっくりとそのリスクを検討して、参加するべきだとかするべきでないというのは、情報が限られている中では言うべきではないとは思っておりますが、とにかく、きちっとスピード感を持って短期間で御判断をいただきたいというふうに思っております。
それと、1つ、AIIBについてお伺いしたいんですが、ガバナンスがきいていないというのが一番大きな理由だというふうに理解しているんですが、AIIBとかアジア開発銀行とかは、市場で一定程度資金を調達するわけですから、これはもう再三申し上げている話なんですが、一定程度市場原理が働くんですね。ここできちっとしたガバナンスがないと市場から資金が調達できませんので、そうすると、実質的に機能しない国際金融機関になります。
だから、ガバナンスを非常に心配するべきであるというのはそのとおりではありますけれども、ある程度ガバナンスがきく蓋然性が高いのではないかと推察されますので、そこについては、大臣、もちろん国民の税金を使っているわけですから、ガバナンスがしっかりしているかどうかを判断するべしというのは当然のことながら、私は、そこはちょっと過度に警戒をし過ぎるのもいかがなものかなと。
私は、福田元総理がコメントされていた内容というのは至極もっともだと思いますし、ある意味では、参加するしない、どちらの選択であったとしても、とにかく短期間のうちに決めていただきたいというふうに思っております。
これは全部、アジア開発銀行、AIIB、そして今回の緑の気候基金も、全て連動している話だと思います。
平成27年04月17日 衆議院 安全保障委員会
[030]
民主党(民進党) 大串博志
さて、次の質問内容でございますけれども、アジアインフラ投資銀行を外務大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。
これは、3月の当委員会のときにも、私、取り上げさせていただきました。まだ当時は、3月末の、いわゆる創設メンバーに入りますかと中国から問いかけを受けている、それが各国に問いかけが行われている状況下での質問でありました。そのときには既に、私自身非常に、ドイツ、イギリスなどが参加表明をしていたものですから、一体どうなっているんだろうという危機感も覚えながら問うたわけでございましたけれども、最近見ると、相当案件が進んでいるようにも見えます。
現状を外務大臣から御説明いただきたいと思います。
[031]
外務大臣 岸田文雄
AIIBをめぐる状況ですが、まず、中国政府によれば、現在のAIIB設立協定交渉への参加国数は57カ国とされています。今後、本年6月までに協定の交渉、署名を行い、本年末までに協定を発効させ、そして業務を開始することを目指している、このように承知をしております。
そして、現状、我が国の対応ですが、これにつきましては、これまでも明らかにしてきたとおり、AIIBにつきましては、ガバナンスの確立、あるいは債務の持続可能性、こういった点において慎重な見きわめが必要であるという立場、これは変わっておりません。
政府としましては、こうした観点に立ちながら、特定の期限にとらわれることなく、引き続き、関係国とも連携しながら、AIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう中国側に働きかけていきたいと考えております。
[032]
民主党(民進党) 大串博志
私、3月に取り上げたときもそういう思いで取り上げたんですけれども、非常に危機感が乏しくていらっしゃるような気がしてならないんです。
といいますのは、聞くところによるとということで、57カ国というふうに創設メンバーの候補者として挙がっている。相当なメンバーですね。かつ、先進国からも、イギリス、ドイツを初め多くの国がもう手を挙げている、こういう状況。G7の中でも結束が乱れてしまっている。今、アメリカと日本ですね、慎重な立場を維持しているのは。カナダもそうですけれども。そういった、非常に、ある意味外堀の埋まったような状況になっているんじゃないかという気がしてならないんですよ。
こういった状況になったのは、なぜそうなったのかというのが私は非常によくわからなくて、3月に質問をしたときに、役所の皆さんからもいろいろ聞きましたけれども、そのときは、いやまあ、3月の末に創設メンバーは手を挙げてと中国は言っているけれども、どこまでいきますかね、6月というのがAOA、設立協定の交渉の末だけれども、その段階でもどこまでいきますかね、2015年末までに業務を始めると中国は言っているけれども、これは野心的ですよね。極めて楽観的な雰囲気で私に伝わってきていたんですよ、3月の中でも。
ところが、実際、それから数週間、4月に入って、また、ふたをあけてみると57カ国、これだけの状況。日本とアメリカがある意味取り残されている、こういう状況。何でこんなふうになったのか、そこは外務大臣としてどういうふうに評価されていますか。
[033]
外務大臣 岸田文雄
AIIBにつきまして、我が国として危機感が少ないのではないか、取り残されているのではないか、こういった御指摘をいただきました。
ただ、AIIBをめぐるさまざまな状況につきましては、こうした構想が発表されてから後、関係国とは緊密に連携、情報交換はしてきました。そして、3月に、英国を初め関係国が交渉参加を発表いたしました。その際も、英国、あるいは、私の承知しているだけでもフランス、あるいはドイツ、あるいはオーストラリア、こういった主要国は、交渉参加を発表する前に、事前に我が国に対しまして通知、連絡をしてきております。こうした情報交換を行いながら、我が国としての対応については、先ほど申し上げました対応を続けているところであります。
先日、G7の外相会談に出席をしてまいりました。その際にも、東アジアをめぐる議論の中で、私の方からAIIBについて触れ、そして議論をする場がありました。そうした場においても、日本の立場を説明する、これはもちろんでありますが、関係各国とも、AIIBにつきましては、ガバナンスの確立の重要性ということについては一致をしておりますし、交渉に参加する、あるいは参加しない、この立場の違いはあるにしても、それぞれの立場から、中国側に対しまして、AIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすようしっかり働きかけをしなければならない、働きかけをしていこうということについて一致したということでありました。
我が国としましての方針は先ほど申し上げたとおりでありますが、さまざまな立場の違いはあるにしても、AIIBにつきましては、関係各国との連携を重視しながら、中国側への働きかけは続けていきたいと考えています。
[034]
民主党(民進党) 大串博志
この間も少しお聞きしましたけれども、英仏独豪から、事前に自分たちは参加しますよという通知は受けておった、だから連絡調整はあったんだということでございましたけれども、そういうのも聞くとなおさら心配になるところがあるんですよね。そういうきちんとした連絡のみならず、もっと事前の段階から、幅広い外交、情報の交換も含めて、もっともっとできた面はあったんじゃないかという気がするんです。
というのは、今から何ができるんだろうか。つまり、今外にいます。外にいる中で、このガバナンスのあり方、あるいは融資がどういうふうに行われるか、確認し、求めていくということですけれども、どういうことが今これからできるんだろうか。
というのは、国際機関をつくるというのは、ちょっと今回とは違う経路をこれまでたどってきたのが過去の歴史だと思うんですよね。
例えば、今回アジアインフラ投資銀行は、もう既に、本部の場所も中国だ、初代総裁も中国の方だ、こういったうわさが出まくっている。ところが、国際機関をつくるときに、通常は、初代総裁を誰にするか、場所をどこにするかと、これは物すごい、どういう参加国に入ってもらうかということも含めた交渉事項なんですよね。
ADBを見ていただくと、総裁は日本人です、しかし、場所はフィリピンなんですよ。これはいろいろな外交努力の結果、そうなったんです。今、条約がかかっていますAMRO、チェンマイ・イニシアチブのいわゆる事務局ですね。あれは、日本が長年かけてつくってきたイニシアチブです。だから、トップの担当者は日本人がついていますけれども、場所はシンガポールですよ。
こういったいろいろな外交努力の結果、全世界が納得するようなものをつくっていくのが私は国際金融機関だと思うんですけれども、今の中国のアジアインフラ投資銀行のつくり方は、とにかく中国が一つ手を挙げて、そこに皆さんが寄ってくる。
こういう形で、もし、非常にある意味緩い形で条件づけられた融資が行われるとすると、ADBに資金を借りる国はなくなりますよ。全部ここに行きますよ。そういった場合に中国が相当な影響力を行使することになるような大きな問題だからこそ心配しているんです。私は、だから、そういう意味からすると、既にもう外交的な敗北じゃないかというぐらい非常に心配しているんです。
大臣、これはこれから本当にどうされるのか。もう少し危機感のある御答弁をいただければと思いますけれども、どうでしょうか。
[035]
外務大臣 岸田文雄
まず、AIIBに対する我が国の対応ですが、AIIBに、もし、アジアの一国である我が国が参加するとしたならば、これは大変大きな出資を求められるという想定がいろいろ出されています。我が国の国民の貴重な税金を使うわけですので、出資、お金の使い方として、やはりAIIBというものがガバナンスがしっかり確立されているものなのかどうか、それから、他の金融機関との関係も今委員の方から御指摘がありました、債務の持続可能性という点についてどうなんだろうか、こういった点をしっかり明らかにした上で国民の税金の使い道を考える。政府として責任ある態度として、これは当然なのではないかとは思います。
そして、アジアのインフラ需要がこれからますます大きくなってくる、インフラに対する融資が大変重要になってくる、こういった御指摘は私も全く同感であり、2010年から10年間でアジアのインフラ需要は8兆ドルと言われています。これは桁外れの金額になります。
そうしますと、AIIBの議論、もちろんこれはしっかり注視していかなければなりませんが、そもそも、AIIBのみならず、従来のADB、さらには世界銀行初めマルチの国際機関が総動員され、そしてしっかり連携する、こういった考え方ももちろん重要でありましょうし、民間部門の資金ですとかノウハウ、これも総動員されなければなりません。そして、我が国自身も経済協力のさまざまなツール等も活用しなければなりません。そうしたさまざまなツールを総動員することによってインフラ投資、ぜひ、質の高いインフラ投資をアジアで実現するべく取り組んでいかなければなりません。
こうした質の高いインフラ投資をアジアで実現するために、AIIBというものがどんな金融機関になるのか、こういった関心はしっかり持っていかなければなりませんが、8兆ドルと言われる莫大な投資にどう対応していくのか、その全体がしっかりとした秩序のもとに進められる、こういった観点からあるべき対応、あるべき金融機関を考えていくというのが我が国としてとるべき道ではないかと考えます。
[036]
民主党(民進党) 大串博志
今おっしゃったことは、そのとおりです。
しかし、現在目の前にある状況を見ると、私はやはり危機感を相当覚えざるを得ない。安保外交のみならず、経済外交でも非常に厳しい状況が目の前にあるかもしれないという気すらします。ぜひ危機感を持って臨んでいただきたいと思います。
[046]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
それでは、私も、先ほどの大串委員に引き続きまして、AIIBについて質問したいと思います。
今、岸田大臣のお話を伺っていまして、私も、緊迫感というか、切迫感がもう少しあってもいいのかなと正直思います。トランスペアレンシー、透明性とか、フェアネス、公正性、公平性、こういったものを担保していくことは当然必要でありますし、G7でも各国一緒になって働きかけを中国に対してしていこう、これも当たり前だと思います。
ただ、問題なのは、仮にそういったトランスペアレンシーとかフェアネスが確保されなくても、もうこれは設立されてしまうんですね。
一番私は問題だと思うのは、国際的な基準から、特にADBなどと比べて少し緩い、あるいは恣意的な融資が行われるような体制、ルールのままで、この大きな新たな金融機関が発足してしまって、我々としては、ある意味こういうことは問題ですね、けしからぬですねと幾ら言っても、できてしまったら、それは相当のインパクトを持つのではないかと思うんです。
そこでまず、これは事実関係を聞きたいんですけれども、アメリカについてであります。
アメリカは、我が国と一緒で、参加を3月末までには表明しませんでしたけれども、聞くところによると、世界銀行に30年ぐらい勤めた経験のある、金融のプロであるアメリカの法律専門家を顧問としてAIIBに派遣するというか、AIIBが受け入れるというような報道が一部ございます。
この点について、水面下で米中が一定の歩み寄りを探っているんではないのかというふうに思われるんですけれども、こうした米国人の法律専門家を、つまり、お金は出さないけれども人は何らかの形で出していって、少なくとも情報をとっていくような、そういうことをアメリカが始めているのではないかと思うんですけれども、まず、この事実関係について教えてください。
[047]
政府参考人(財務省大臣官房審議官) 可部哲生
お答えいたします。
先生御指摘のとおり、AIIBの多国間暫定事務局で、元世銀の法律専門家であった方が勤務しているということは報道等により承知をいたしております。
なお、その方が設立後のAIIBにおいてどのような形で雇用されるのか、されないのかといったことについては承知をいたしておりません。
[048]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
私は、これは大事なことだと思うんですね。
今、暫定事務局というのがそもそもあって、そこに世銀で働いた経験のある米国人がいるということは、私はこれはすごく大事なメッセージだと思っておりまして、きょうはもうこれ以上深くはやりませんけれども、日本も、これはいろいろなやり方があると思います。公務員を出すということはなかなか難しいと思いますけれども、日本も、世銀、ADB、IMFあるいはJBIC、さまざまな国際的な金融村で働いた経験のある優秀な方はいっぱいいますので、ぜひ、金は出さなくても人は出す、あるいは口だけ出すとか、そういったことに対して積極的にそろそろ踏み込んでいくときなのではないか。
というのは、申し上げたように、これはもうできてしまうんですね。一番最悪なのは、国際ルールにのっとらない、そういった金融機関ができてしまうことはやはり日本の国益にとっては私はマイナスだと思いますし、既存の債権もそういう意味では影響を受けますから、ぜひ、そういった人的な関与、こういったことを、日本としてもこの段に至っては戦略的に進めるべきではないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
[049]
外務大臣 岸田文雄
暫定事務局の雇用の形態については私の方から何か申し上げる立場ではありませんが、米国政府から、このアメリカ人の職員について、米国政府が派遣したものではないという説明は受けていると承知をしています。
AIIBはどうせできるのだから、インフラ整備、金融に影響が出ないようにしっかりと見ていかなければならない、この点は私も委員と全く同じ考えであります。
先ほど申し上げました8兆ドルと言われる莫大なインフラ整備にどう対応していくのか、これは国際的な大きな課題であります。AIIBだけでも、これは当然のことながら対応できるような額ではありません。ADBですとか世界銀行、従来の国際金融機関が総力を挙げて連携しながら対応しなければいけない課題ですし、民間の資金も、また金融以外のさまざまな経済協力手法も総動員していかなければなりません。その全体の秩序が乱されることがないように、AIIBにも責任ある対応をとってもらわなければいけない、こういった問題意識については、世界各国、共有できているんではないかと思います。
そして、交渉参加国、57カ国と言われています。しかし、その外側にも多くの主要国がいるわけですから、立場の違いはあっても、中国に対しまして、AIIBが国際基準に沿った金融機関であるようしっかりと働きかけていかなければなりませんし、こうした全体の国際金融の秩序に影響を及ぼさないように、関係各国と連携しながらAIIBについても注視していきたいと考えます。
[050]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
国際秩序という言葉を今大臣が使われて、まさにそれがポイントだと思います。
我々は、これまで我々が従ってきた国際秩序が永遠に続くと思っているんですが、この国際秩序そのものを新たにつくり直そうとしているのが、私はある意味、あらゆる分野の中国の意図だと思っています。
もちろんその融資基準もポイントなんですが、私は、AIIB、もちろん8兆ドルの大きな市場に対するアクセスもそうなんですが、やはり人民元での決済圏をふやそうというのが一番の中国の実は狙いなのではないのか。基軸通貨はもちろんドルです。ただ、これがこれから10年、20年、30年、50年たった中で、アジアを中心に決済するときの通貨で何を使うのか。このボリューム感、これをやはり今のうちからしっかり押さえていこうというもし意図があるとすれば、こういったことにもやはり我々はしっかりと戦略的に向き合っていく必要があるのではないかと思いますので、お金は出さなくても、関与する何らかの方策をぜひ探っていただきたいというふうに私は思っております。
平成27年04月17日 衆議院 外務委員会
[012]
自由民主党 佐々木紀
ちょっと話はかわりますけれども、尖閣諸島においても、1969年に国連が周辺海域に石油などの天然資源がある可能性を指摘する前までは、中国は日本の領土とみなしていたわけであります。しかし、その周辺に資源があるとわかった途端に領有権の主張を始めたといった経緯もあるわけであります。ある意味、大変わかりやすいというか、自分勝手というか、本当に厄介な国だなということを思うわけであります。
そこで、そんな中国でありますけれども、今その中国が提唱をしているAIIBについて、少しお伺いをしたいというふうに思います。
外相会合でも、このAIIB、アジアインフラ投資銀行についても議論があったというお話がありました。そこで、今ほど御説明いただいたように、海上安全保障の分野では、G7各国が一致をして中国に懸念を示しているわけでありますけれども、このAIIBについては、G7のうちイギリス、フランス、ドイツ、イタリアが参加をすると表明をしたわけであります。一見すると足並みが乱れているように思うわけでありますけれども、また、一部報道によりますと、カナダも参加に積極的だったという報道もあったわけでありますが、その辺はいかがだったでしょうか。
[013]
外務副大臣 城内実
佐々木委員の御質問にお答えいたします。
政府は、AIIBの構想が発表されて以降、G7各国などの関係国との間では緊密に意見交換、情報交換を行いながら対応してきております。関係国間では、交渉に入るか、あるいは外側から働きかけるかというアプローチの違いはあるものの、AIIBに関する基本的な問題意識は共有されておると考えております。
15日のG7外相会合におきましても、カナダを含むG7各国は、ガバナンスが重要であるということで一致いたしました。今後もG7が連携して対応していくことをまた確認したところであります。
政府といたしましては、引き続き、関係国と連携しつつ、中国側に対してAIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう働きかけていく考えであります。
[014]
自由民主党 佐々木紀
ありがとうございます。
中国政府の発表によりますと、このAIIB創設メンバーは57カ国となっております。
今回のG7では、AIIBについて公正な統治の重要性について一致したと報じられているわけでありますけれども、今ほど御説明ありましたが、そのほか具体的に何か踏み込んだ議論が行われたのでしょうか。
[015]
外務副大臣 城内実
お答えいたします。
先般のG7外相会合では、東アジアの情勢についての議論の一環で、AIIBについても取り上げられたところであります。
他方で、議論の詳細について申し上げることは控えさせていただきますが、AIIBについてはガバナンスが重要であるということで一致し、今後もG7で連携して対応していくことを確認したところであります。
政府といたしましては、引き続き、関係国と連携しつつ、中国側に対しAIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう働きかけていく考えであります。
[016]
自由民主党 佐々木紀
どうもありがとうございました。
今後、我が国がこのAIIBに参加するかしないかといったことを引き続き検討されていくというふうに思うわけでありますけれども、その検討状況についてお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
[017]
外務副大臣 城内実
我が国の参加の検討状況ですが、AIIBにつきましては、日本政府としては、これは繰り返しになりますけれども、これまでも明らかにしてきているとおり、公正なガバナンスの確立、債務の持続可能性といった点を含め、慎重な見きわめが必要であるとの立場に変わりはございません。
政府としては、こうした観点に立ち、特定の期限にとらわれることなく、引き続き、関係国と連携しながら、AIIBが、またこれは繰り返しになりますけれども、国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう、中国側に働きかけていく考えであります。
[018]
自由民主党 佐々木紀
ありがとうございました。
一連の質問において、AIIBについての政府の御見解を伺いました。ありがとうございました。
加盟する、しないといったところだけを見ますと、何かG7でちょっと足並みが乱れているように思うわけでありますけれども、決してそうではないということだと思います。ガバナンスの透明性を求めていく姿勢は各国共通しているわけでありまして、内側から、外側からといった表現もありました、アプローチの違いがあるだけだということだと思います。今後も、連携を密にして、公正で透明な運営を求めていくことが肝要だというふうに考えます。
私、個人的には、このAIIBの加盟というのは、越えなきゃいけないハードルはたくさんあるなというふうに思うわけであります。拠出金も、何か15億ドル以上とか、また、融資の審査の透明性、公平性、そういったガバナンスであるとか、ADBとの関係性、あと環境破壊につながるような開発に対する懸念とか、本当にいろいろ乗り越えなきゃいけないハードルというんですか、フィルターがあるわけでありまして、そういったことについて明確な解がない以上、現状では慎重にならざるを得ない、賢明な判断だというふうに思っております。
また、先日発表があったんですが、中国も日本の参加を歓迎するようなコメントも出しているわけでありますから、日本が加盟するということは、むしろ大事なカードなわけであります。
米国を初めG7の諸国と情報交換、連携を密にして、公平性、透明性の担保を求めながら、特定の期限にとらわれない、加盟は慎重に判断していくべきだというふうに私は個人的に考えております。引き続きのお取り組みをお願い申し上げたいというふうに思います。
[092]
維新の党 木内孝胤
続きまして、先ほどAIIBについても話があったという御説明がございました。ちょうど14、15日にG7があり、もうワシントンでG20が始まっているということでございますけれども、審査基準とかガバナンスという御説明はいただいているのでそこは結構ですけれども、この話された内容というのは、G20に参加している麻生財務大臣なり、まあ黒田中央銀行総裁がこの件に触れるかわかりませんけれども、そういった情報はきちんと伝わっているんでしょうか。
[093]
外務大臣 岸田文雄
先ほども申し上げましたように、G20の方は、国際経済の協調について議論するフォーラム、枠組みであると承知をしております。よって、恐らくこのAIIB等についてもG20の場で議論が行われるのではないかと思います。よって、G7の状況につきましては、しっかりと麻生大臣等関係者に伝えさせていただいております。
G7外相会合においては、東アジアを議論する中にあって、その1つとしてAIIBも議論をしたということであります。我が国の立場を説明すると同時に、御指摘のガバナンスの確立が重要だということについて一致をし、そして、G7として引き続き、それぞれ、交渉に参加するしない、立場の違いはありますが、立場の違いはあるにしても、連携はしっかりとこれからも大事にしていかなければいけない、こういった点では一致したということであります。
こういった状況については、しっかり政府内で共有し、G20に出席する麻生大臣にも伝えさせていただいております。
[094]
維新の党 木内孝胤
いろいろ失敗をしたときに、ある意味、泰然としたふりをしなきゃいけないというときも世の中あるかと思います。
きのうも、菅官房長官が、57カ国、AIIBに参加したのをどう思うかということに関して、想定の範囲内だという回答をしました。一方で、アメリカのサマーズ元財務長官は、今回のAIIBのことに関して、米国が世界経済システムの引受人としての役割を失った瞬間として記憶されるかもしれない、こういうコメントをブログに書いているわけですけれども、要するに、受けとめる方次第で温度差が今あると思っています。
アメリカの場合は、政治的にも経済的にも軍事的にも、いろいろな意味で非常に強い立場にありますので、小さな失敗は大した失敗ではないかもしれませんけれども、日本は日本として、私は、今回、やはりミスはミスだったと思うんです。
それを大したことないんだと言い続けると、次のステップに向けてのよりベターな選択肢が打てないというふうな気がしておりますので、ここのAIIBの件は結構ですけれども、とにかく、余り泰然とし過ぎても私は不安感を覚えますので、ぜひこの件は引き続きお願いしたいと思います。