温家宝国務総理閣下への公開質問状

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平成19年05月25日 衆議院 外務委員会
[087]
民主党(民進党) 松原仁
次に、日中関係の問題を幾つか議論していきたいと思うわけでありますが、先般、中華人民共和国の国務総理、温家宝さんが日本に訪日をなさったわけであります。このときに、有識者、学者の方々から「温家宝国務総理閣下への公開質問状」というものが提出をされたわけであります。ちょうどこの訪問の前にこれが提出をされたわけであります。

事実関係を若干申し上げるならば、実は、これに先立ちまして、与党、野党の国会議員がおよそ30名ぐらい3回の勉強会を行いました。きょうこの場に参加している方はちょっとわかりませんけれども、その3回の30人の方が参加をした勉強会において何を勉強したかというと、南京の大虐殺と中国側が言われる事実が、これが事実と違う、実際それはなかったということを、私たちは、さまざまな観点、さまざまな文書また写真、そういったものを中心にしてこのことを解明したわけであります。

できるならば、私は、これは温家宝さんが訪日をするある程度前の段階に、きちっとこういったものに対して、もちろん訪日はそれはそれでめでたいことだし、日中の友好関係は友好関係でそれは尊重しなければいけない。しかし、中国がその一方において、北京オリンピックを前にして、今、例えば抗日記念館を拡充したり、南京のこの記述、南京大虐殺、我々からいえば事実はそうではなかったわけでありますが、そういった教科書のページ数もふやしているということに対しては、きちっと、日本国内においても問題視する議論がある、与野党の国会議員が30名集まって勉強会もしているということも、これを踏まえて何らかの行動を起こしたいという思いもありましたが、実際は時間的な制約もあって、なかなかそこまでいかなかったわけであります。

そうした中で、国会議員の我々はそこに参加をしないということで、とりあえず、学者の方々だけで「温家宝国務総理閣下への公開質問状」というのを出したというのがこの文書の経緯でありまして、内容的なものに関して、この文書を30人の国会議員がみんな精査して合意したということではありません。しかし、これをつくるに至った経緯の3回の勉強会には、30人の国会議員がまじめに、かなり熱心な議論をしてきたのは事実であります。そうした背景を持って、こういった公開質問状が出されました。

外務省としては、こういった公開質問状が出されたということを認識しておられますか。

[088]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎
お答え申し上げます。

私ども、少なくとも、4月の10日付のそういう質問状をお出しになっておられるということは承知をしております。

[089]
民主党(民進党) 松原仁
こういったものが出されたということを麻生大臣は報告は受けておられますか。

[090]
外務大臣 麻生太郎
30名の中の何人かの方はよく知っておりますので。

[091]
民主党(民進党) 松原仁
よく知っているということは、こういったものが出された経緯も知っているということでよろしゅうございますね。

それでは、6つの項目がこの公開質問状の中に書かれているわけでありますが、このことに対して、これは温家宝さんに対しての質問ですから、麻生大臣に質問しても、これは質問先が違うのはよくわかっております。わかっている中で私はこの場で発言をするわけでありますが、1つは、この中で書いてある、毛沢東が南京戦に触れているのは、南京戦の半年後の延安で講義された「持久戦論」にまとめられた、その中で、日本軍は包囲は多いがせん滅が少ないと。これは、前後の文脈を、私は中国語を読めませんが、話を聞きますと、何で日本はせん滅をしないんだ、我々だったらせん滅するのにというニュアンスで、日本軍は包囲戦はするがせん滅はしないと。せん滅をしないということは、いわゆる虐殺等をしないというのが日本軍で、恐らく私は、当時の毛沢東さんが延安でこれを言ったときの状況を考えると、彼らは国民党軍とドンパチやっている最中でありますから、日本軍が国民党軍をそのように完膚なきまでにせん滅をするならば、それはメリットがあるというニュアンスもあったのかもしれない。これは憶測ですからわかりません。

このことについてどうお考えになりますかというのは、これは温家宝さんに対しての質問状で、藤岡さんその他の学者の方々が出している。温家宝さんではないんですが、麻生大臣はどう思われるか、これをまず1つお伺いしたい。

[092]
外務副大臣 岩屋毅
今先生おっしゃった毛沢東の「持久戦論」でございますが、1938年5月、その中で、当時の日本軍が犯してきた過ちの1つとして、包囲は多いがせん滅は少ないということを挙げているということを承知しております。しかし、毛沢東氏がいかなる情勢認識のもとで包囲は多いがせん滅は少ないというふうに言ったのかについては、必ずしも定かではございません。

これは南京事件に関係することだと思いますが、いずれにしても、南京事件については、事実関係をめぐってさまざまな議論が存在しているわけでございまして、政府として一概にコメントすることは適当でないと思っております。

[093]
民主党(民進党) 松原仁
これは、毛沢東がこの南京の実態をどこまで知っていたのかということもあるかもしれませんが、仮に何10万もの虐殺があれば、それは必ず触れるだろうと私は思っております。

2つ目の、これが一番の肝の1つになるわけでありますが、1937年11月に、国共合作下の国民党は中央宣伝部に国際宣伝処を設置した。国際宣伝処の極秘文書「中央宣伝部国際宣伝処工作概要」によると、ここには、この後でも書いてありますが、ティンパーリが「戦争とは何か」という書物を出して、これが南京大虐殺と言われるものの一番先端になった事件であります。この「戦争とは何か」というのを南京の近くで出さないで、アメリカで出したというあたりが極めて意図的でありまして、簡単に言うと、現場で出せば、それはうそだよとみんなわかってしまう、うそであることが確認できないような海を渡った向こうで出せばうそだとわからないというのは、これは情報戦の当然のやり方だと思うので、ティンパーリはそうしたんだろうと私は思いますが、これも憶測であります。

私が申し上げたいのは、少なくとも、この南京戦を挟む1937年の12月1日から38年、翌年の10月24日、300回、毎日のように記者会見をやった。参加した外国人記者、外国公館職員は平均35名。何を言ったかというと、日本軍はけしからぬと。これは毛沢東とは違う、国民党の立場ですから、けしからぬ、こんなことをやった、あんなことをやったと針小棒大に、けしからぬ、けしからぬと国際社会に対してのアピールを、だから、例えば外国人記者ですよ、外国人の皆さん、日本軍はこんなひどいことをやっているんだ、だから国際世論で日本はけしからぬと言ってください、外国公館の職員に対して、こんなことをやっているから言ってくれと、南京は12月ですから、ちょうどその前後から翌年の10月24日まで300回、細かいことまで彼らは言っている。

にもかかわらず、そこで1回も南京で虐殺があったと言っていない。極めて不思議であります。簡単に言えば、なかったから言わなかったのであります。また、そこで言ってしまうと、南京近郊での記者会見でありますから、うそだというのが一瞬にしてばれてしまう。ニューヨークか何かで記者会見をやっていればそれは言えるだろうけれども、しかし、うそだというのがばれてしまうから言わなかったんだろうと考えるのが普通なんであります。

そのことで、この公開質問状では、この中で、南京の市民虐殺があった、もしくは捕虜の不法殺害があったというのは一切述べていない、本当に虐殺が行われたなら、これは極めて不可解であろうと思うが、温家宝さん、どう思いますか、こういう質問であります。

さっき岩屋さんが答えたから、こっちは麻生さんが答えてください。大臣、お願いします。極めて大事なところです。

[094]
外務大臣 麻生太郎
松原先生より私の方が年を食っていますので、それらの話というのは、やはりいろいろな長い事件に、宣伝戦というのは戦争を遂行する中に当たって大きな要素を占めるのは事実です。そのとき一緒につくられた言葉がプア・チャイナという言葉です。かわいそうな中国というのが、ルーズベルトからトルーマンにかけて圧倒的にアメリカで広まったのは、日本人はだめ、中国人はかわいそう、プア・チャイナという言葉がうわっと広まる、これはPR部隊の大成功の1つだったと思います。

そういった意味では、宣伝戦が行われたことはもう間違いない。しかし、それは当然なのであって、しない方がおかしいぐらい、そういったものだとまず基本的に認識をされておかないかぬと思っております。

次に、今南京の話が出ましたけれども、これは、南京開城をやったときには、少なくとも無血開城ということになりましたが、早い話が、武器を取り上げないで、そのまま武器を手渡して開城していますから、結果として、そこに、便衣隊というんですが、便衣隊というのは今通じる言葉じゃありませんな、今はゲリラですか、ゲリラというのが大量に残った。したがって、それは着ている服装が一般人と全く見分けがつかないということになりますので、それらの人が、ある日、鉄砲で撃たれることに、軍服を着ているわけじゃありませんから、そこでそういったことが起き得る、しかし、その中には民間人もいたかもしらぬということになり得る、それはもう事実としてあったろうと存じます。私もその現場にいたわけではありませんから、想像の域を出ない。

ただ、現実問題として、30万人という数字は、大きさでいえば、当時の南京というのは今の世田谷区ぐらいの話ですから、世田谷区で30万人の人が死ねば、それは大概そこにいた人は死なないはずはないと思いますが、そういったことは少々おかしいのではないかという事実というものは、いろいろ言われておるのは、もう私どもも、この60年間にわたっての話題ですから、決して知らないわけではありません。

ただ、そういった松原先生初めいろいろな方々の御努力等々もありまして、少なくとも今年に入って、私、外務大臣になってこの1年ぐらいの間で、北京側から30という数字が正式に出たということはなくなったというのが最近の傾向じゃないかなと思っておりますけれども、いずれにしても、こういったものはきちんと間違いは間違いとして反論していくという行為は非常に大事なことで、こういった継続は大きな力になり得る、私もそう思います。

[095]
民主党(民進党) 松原仁
この質問の趣旨は、300回のまさに宣伝戦、プア・チャイナ、貧しい中国ということを彼らは成功した。その宣伝戦をやっている、そのときに、南京において多少でも、私に言わせると、多少でも虐殺があれば触れないはずがないんですよ。針小棒大に触れるに決まっているんですよ。1行も南京で市民虐殺があったということを言っていない。30万とかというロットじゃありません。300回の外国人記者、外国公館職員の記者会見で1回も言っていない。南京大虐殺があったそのときも含めて。5人殺された、10人の市民虐殺があったと言っていないんですよ、そういうロットまで。30万なんという話じゃないんですよ。

私は、これはどういうことかと。やはり、それは言えない、いや、事実がなかった、30万なんという話じゃないし、3万という話でもないし、3000という話でもない。なかったんですよ。そういうふうに解釈するのが当たり前だということであります。

大臣にこれをもう1回聞いたところで、そういうふうな質問があったんですかぐらいで終わってしまうと思うんですが、しかし私は、このことをきちっと、30万と言わなくなったからいいという議論じゃない。大虐殺があったなら、何でこのとき言わなかったんだと。言えなかった、なかったから。そして、大虐殺を触れたのは、ニューヨークか何か海外の出版で、英語の本で触れ始める。これはもう極めて戦略的な話であります。ということは極めて不自然であるということは御認識をいただけると思うんですが、不自然だという御認識をおっしゃっていただければ結構です。それだけで結構です。

[096]
外務大臣 麻生太郎
それも、その300回の現場の状況を、伝聞情報というのは基本的には余り当てにならぬものだと。人が後々、あのときこうだった、ああだったと言って、いわゆる伝聞情報というのは余り当てにならぬので、そのとき報道されていた事実、その当時、1938年、37年にどういうものが報道されていたかという資料の方がよほど説得力のあるものだと思いますが、今おっしゃられたそれらのことごとは情報として極めて重大なものだと理解しております。

[097]
民主党(民進党) 松原仁
不自然であるということを理解していただきたい。

これは、おっしゃるけれども、それは外国人記者と専門家が相手ですから、そのときの記録が全部あれば、なかったということは、これは一般の人が聞くのと違います。

3つ目。南京安全区。御案内のとおり、安全区を設定しました。これは、当時の宣教師なんかが頑張ってやった。私、何回も外務委員会で質問しております。この問題に関して、「ドキュメンツ・オブ・ザ・ナンキン・セーフティー・ゾーン」として、国民政府国際問題研究所によって、1939年、戦前に上海から出版されている。このデータだと、南京の人口は日本軍占領直前20万、その後も20万、占領1カ月後は25万、こういうふうなデータが、1939年の「ドキュメンツ・オブ・ザ・ナンキン・セーフティー・ゾーン」、国民政府国際問題研究所のデータであるということであります。

これを見ると、日本軍の占領直前に20万。直前です。占領の前が20万、その後20万、占領1カ月後25万。大虐殺があったらこういうことはあり得ないし、小さな虐殺があっても厳しいんじゃないかな、私はこう思うんでありますが、このデータに関して御所見はいかがでしょうか。

[098]
外務副大臣 岩屋毅
今先生がおっしゃった「ドキュメンツ・オブ・ザ・ナンキン・セーフティー・ゾーン」に関する分析なども含めて、この事実関係についてはさまざまな議論が存在しているというふうに私どもは承知をしております。

ただ、先ほど大臣がお答えになられましたように、当時の状況下で何かしらの殺りく、略奪があったということは否定できないのではないかというふうに考えているところでございます。

[099]
民主党(民進党) 松原仁
副大臣のそういう答弁というのは極めて危ないと思うんですね。それは、そういうのはあったということで、こちらがあったと認めようとしている。

実際は、今言ったように、300回の記者会見でもなかったし、逆に人数が減ったというのは、これは後づけの資料ではなくて1939年の資料ですから、こういった明示的なもので、逆に人数が10万人になっていましたとかいうふうなデータが本当にあるのかと。ないんですよ。これしかないんですよ。それは、これが専門の行政だったから。南京の方の、専門のそういう機関だったから。

ほかに減ったというデータがなくて、減っていないというデータしかないということは、これはやはりきちっと押さえるべきであって、私は、こういったことを考えると、30万人という数値を中国が言ってこないなんというのは当たり前であって、1万人も1000人も100人も含めて、つまり、極端なことを言えば、南京市民の虐殺が5人でもあったら宣伝をしたと私は思う。それすら言われていないという状況は、極めて、こういった中国が喧伝するところの南京における虐殺と違った状況があったということは当然であって、これはそのことを、国益を考えるならば、きちっと主張していかなければいけないと私は思います。

これは大臣にお伺いする、副大臣にお伺いするでもいいんですが、佐渡島さん、そこにいますから、事務方でずっとやってきて、こういうことは中国側にきちっと主張しているかどうか、お伺いしたい。事務レベルで。

[100]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎
お答え申し上げます。

今、数の御議論につきましては、私、つまびらかではございませんけれども、私どもも、例えば南京の記念館、ただいま改装中ということで、修理中、何か閉鎖になっておるやに聞き及んでおりますけれども、常々どういうものがあるかというふうなことは注目をしておりまして、その中で我々としておかしいと思うものにつきましては、折に触れて議論をしてきております。

[101]
民主党(民進党) 松原仁
例えば、具体的に、この国民政府国際問題研究所の数値で、占領前20万、その後ずっと20万、占領後25万、こういったことは指摘しましたか。

[102]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎
大変申しわけございませんが、手元の資料で、それをやった、あるいはしなかった、そのいずれについても、私、今手元で確認することはできません。

[103]
民主党(民進党) 松原仁
この温家宝さんに対する公開質問状というのは、極めて事実関係だけを質問している内容であります。特に、1項目から4項目。特に私は、1から3までである程度いいと思いますが。

これに関して、温家宝さんに質問するんじゃきついということであるなら、これをどう考えるかということは、日本もこのことは今、麻生さんが言ったように、30人の国会議員が3回参加しているんですから、勉強会で。このことを、こういう疑念を我々が持っている、つまり、30万というロットではなくて、大虐殺そのものがなかったと極めて客観的に考えている国会議員もいるということを含めて、私はやはり、どういう形かわからないけれども、公開質問状の内容を向こうに問いただす必要があると思うんだけれども、事務方としてどう思うか。

[104]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎
今、私どもの事務方としての考え方でございますが、歴史の問題をめぐる議論につきましては、双方で専門家の方々にきちんと集まっていただいて、客観的な事実をもとに議論をしていただくという取り組みを進めております。したがって、御議論の方は、まずはそちらの方でやっていただくというのが適当かと思います。

政府の認識、全体としての認識というのは委員御高承のとおりでございまして、私どもとして、ただいま申し上げられる日本政府の立場はどういうことかということになりますれば、その認識の方に返っていくということだと思います。

[105]
民主党(民進党) 松原仁
場合によれば、我々議員がどういう形でこういったものに対して中国政府に対して問いただせるか、そういったものも検討しなければいけないかもしれないと思っております。

次に、たくさんあるわけでありますが、慰安婦問題も大分今言われている。慰安婦問題、前にも私、この外務委員会で申し上げましたが、作曲家のすぎやまさんという方がアメリカの新聞2社に、ワシントン・ポストとそれからニューヨーク・タイムズにある広告を出そうとして、これは失敗というか、それは受け取ってもらえなかった。

その内容は何かというと、この南京の30万が、今言ったようにいかに誤謬性があるかというふうなことも含めて主張し、また、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」の中で使われている写真がインチキであるということが明らかであります。そういったことを、この資料は今皆さんお持ちでないのかもしれない、これを明らかにしようとしたわけであります。

有名な話でありますが、50万部を超えるベストセラーとなったアイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ・南京」、1997年12月アメリカで出版の表紙となり、日本でも毎日新聞が1983年8月16日付で、南京大虐殺は事実だ、証拠写真を元日本兵が撮影したと掲載したものがある。これは、従軍兵士だった村瀬守保さんが撮影した。

ところが、掲載された写真はいずれもトリミング、一部カットされていた。これをもとに、中国と戦闘した南京戦従軍将校の高橋義彦氏は云々と書いてある。

さらに、「レイプ・オブ・南京」で慰安婦強制連行の写真、これをすぎやまさんは新聞に掲載しようとしたわけであります。あの有名な写真であります。

だらだら橋を渡っていくような写真。大体見たことは何回か皆さんあると思いますが。この写真に関して「レイプ・オブ・南京」の英文キャプションは、日本軍は何1000という女たちを家畜のように追い立て、彼女たちの多くは集団強姦され、軍用売春を強制されたと「レイプ・オブ・南京」のキャプションになっている。

いいですか、何1000人という女たちを日本軍は家畜のように追い立て、彼女たちの多くは集団強姦されるか軍用売春を強制された。

ところが、この写真は、麻生大臣も釈迦に説法で何回もこの話を聞いている、知っていると思いますが、南京事件の起きる前に撮られた写真なんですね。しかも、日本で発行されていた週刊誌アサヒグラフ、1937年11月10日のアサヒグラフに載った写真なんです。何て載っていたか。これは「我が兵士に守られて野良仕事より部落へかえる日の丸部落の女子供の群」。写真はみんな女性は笑っているんですよ。そのままこれを使ってはあんばいが悪いから、アイリス・チャンはそこを黒く塗ったんです、歯のところを。同じ写真なんです。

それが、聞くところによると、最近撤去された。さすがにやばいと思ったんでしょう。南京大虐殺記念館から撤去されたというけれども、正面にそれがでかでかと飾ってあったというふうな話であります。

こういうことを、麻生大臣、御認識しておられましたか。

[106]
外務大臣 麻生太郎
かなり詳しく知っていました。

[107]
民主党(民進党) 松原仁
詳しく知っていたと。まさに抗議をせんという強い鉄のような意思はありましたでしょうか。

[108]
外務大臣 麻生太郎
これは基本的には、事実関係というものを、先ほど申し上げましたように、伝聞情報によって当時の情況証拠をつくり出すのには基本的には無理がある。したがって、当時書かれた事実のみだけで話をしないと、その当時の話を聞いた人の話をまた聞いてなんというのでは、我々はその現場にいたこともなければその世代の感覚もない。したがって、後年の人の言う場合は、その当時出た新聞、その当時出た紀要、その当時出た記録等々のものをもとにしてやらないと、この種の話は、議論としては極めて感情的にあおられるだけのものになり得る。

これはずっと私、25年ぐらい同じことしか言っていないんですが、そういうことを言ってきておりますので、その資料の収集の方にもっと力を注いだ方がいいのではないか、伝聞情報ではなくて、ということを思っております。

[109]
民主党(民進党) 松原仁
伝聞情報ではなくて、これは実際その写真が日本のアサヒグラフでそう使われていた、それをアイリス・チャンが50万部のベストセラーで、あれで南京大虐殺は世界じゅうに定着をした。その書物の一番のでかい写真として、その写真を使っている。実態は違う。

日本のアサヒグラフが1937年にこれから強姦される女どもと使うはずがないし、そう使っていないんですよ。日の丸挺身隊どうのこうので一緒に野良仕事、後ろには綿を山のように積んだ荷車が写っているんですよ、アサヒグラフには。そこをカットしているんですよ、アイリス・チャンは。

そして、笑っているんですよ、女性はみんな。笑っているところを黒く塗って、これから強姦される写真だと。こんなわかりやすいインチキ写真。本当はアサヒグラフが訴えなきゃいけないんだけれども、わかっていても訴えないというのはどういうことかよくわからないけれども。これは大問題だ。

ただ、時間があと10分しかないので次に移りますが、だから、向こうの、中国の情報戦は、極めてしかも稚拙な情報戦であります。余り高度でもない。しかし、その高度でもないものに日本は反論しないという、より稚拙な外交上の戦略があるんじゃないかと大変に遺憾であります。

私は、今回も、今言った文化人の皆さん、例えば屋山太郎さんとか櫻井よしこさんとか、すぎやまこういちさんとか、こういった方々を中心にして、実はこれには我が民主党の国会議員も13人ぐらい、また自民党の国会議員は30人ぐらい集まって、前にニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストに出そうとしたときは、個人のすぎやまさんが出してだめだった。1000万円を出します、意見広告です、事実だけです、この写真は1937年のアサヒグラフ、ここをアイリス・チャンが使った、インチキで使っている写真だと明らかにするということでやったにもかかわらず、ニューヨーク・タイムズは、我が社の論調と違います、では論調は何なんだという話なんですよ、事実なんだから。といって却下された。

今度は、しからば議員も一緒になって出そうじゃないかということで今計画をしているわけであります。櫻井さんや屋山さんや今言ったすぎやまさん、その他文化人の皆さんと国会議員、もちろん私も喜んで名前を出しておるわけでありますが、それでやろう、こういう話をしている。慰安婦問題がアメリカでもカナダでも大変に盛んになってきている中で、私たちはやろうと。

ここで申し上げたいことは、そのものは具体的な内容も極めて興味深いわけでありますが、例えば、いわゆるこの慰安婦に関して、日本軍及び日本政府が極めてそういうふうな悪徳をやってはいけないということを書いてある記事がある。当時、朝鮮半島は日本の領土でありました。そうはいいながら、これはもちろん朝鮮における新聞の記事であります。

この記事はどういうことかというと、悪徳業者がばっこしている。「悪徳紹介業者」まで日本語でも読めます。「跋扈」も読める。農村婦女子を誘拐、誘惑をする。そして、被害女性が100名を突破している。釜山の刑事が奉天にそのことを究明するために急行した。こういう記事が出ている。

つまり、この記事は何かというと、要するに本人の意思に反して強制的に、後のデータを見るとそのほとんどは日本人ではなくて朝鮮人による婦女子狩りの女衒であったということであります。時間がないので、その数字は今は言いませんけれども。それを日本の警察が取り締まる、韓国の警察というか、警察が取り締まるという指示を出してやっている、こういうことであります。

そんな、家を家畜のように追い立ててなんということがあるはずがないことの当然これは証拠になるというか、当たり前であります。あろうはずがないわけであります。

それからもう1つは、こういったペーパーがある。これは、国立公文書館のアジア歴史資料センターにある。何かというと、書いてあるのは、慰安婦募集をするのは、これは当時は公娼制度でしたから、慰安婦はマルなんです。しかし、それに際しては国際法を遵守すること。また、婦女子売買や誘拐などは絶対やってはいかぬ。しかも、21歳以上かつその職業についている女性を対象にするように、さらに親族の承認も必要だということを、当時の日本の警察が文書で徹底しているのがここにある。

つまり、セックススレーブの慰安婦狩りなんということはあり得ないんですよ、これは、考えてみて。そういうのをやっているやつは捕まえようといって、刑事が奉天に急行したというんだから。

私は、こういう事実に関して、佐渡島さん、ちゃんと外務省は認識し、こういったことを時々言っているかどうか、それだけ確認したい。時間がないから、簡単に。

[110]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎
お答え申し上げます。

今の慰安婦の部分につきましては、御指摘の報道というのは必ずしも明らかではございませんので、具体的にお答え申し上げるのは難しゅうございますけれども、先ほどのいろいろな事実関係で、明らかに違っているような部分について、どういうやりとりをしているかというのは、委員会でもこれまでに若干のやりとりがあったやに私記憶をいたしておりますけれども、局長レベルを含めて、私どもは先方に問題提起をして議論をしているということはやっておりますので、そのたぐいのことは、今後ともきちんと情報収集を怠りなくやりながら、言うべきことはきちんと継続して議論をしていきたいというふうに考えております。

[111]
民主党(民進党) 松原仁
私、言いたいことは、伝聞情報というのがある。日本側、今私が言ったのは当時の資料に基づいています。南京の人口の問題も1939年の南京政府の資料です。300回の記者会見をやって1回も言っていないというのも資料であります。全部資料であります、これは。もちろん、アイリス・チャンのインチキ写真なんか、資料というかもうひどい話であります。

中国側は、佐渡島さん、例えば中国や韓国側でもいいですよ、慰安婦と称される女性の証言はあるけれども、こういう文書の資料、裁判になれば文書の資料、物があるというのは、これは物証というのは大きいんだ。わかりますか。それは、中国や朝鮮から出てきたものというのはありますか。

[112]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎
申しわけございませんが、今のものにつきましては、少なくとも私が承知しております限りにおきましては記憶にございません。

[113]
民主党(民進党) 松原仁
私は、これは大事なところだと思うんだよね。我々は、少なくとも国がその慰安婦、21歳以上でなきゃだめだ、既に売春婦として仕事をやっている者じゃなきゃだめだ、それをきちっと書いた資料があるんですよ、戦前の。全部資料がある。彼らが言っている慰安婦問題にしても南京問題にしても、資料がない。こっちは資料がある。伝聞だってたくさんある。向こうは物的な資料がない。私は、きちっと議論するべきだと思いますよ。とんでもない話であります。

資料がないのに、我々が人がよくて、日本人というのは昔からなんですよ、いや私が至らないためにと。これは日本の美学だけれども、至らないためにと言ったら国際社会でぼこぼこにされちゃうんだから。とんでもない話だと思っております。

そこで、例えば、余り時間がないので簡単に言いますが、元慰安婦で、ビルマで貯金返還金の請求をした文玉珠さんの話は御存じですか。簡単に言ってください、時間がないので。

[114]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎
インターネット等でそういう名前が流れているということは私は承知しておりません。

[115]
民主党(民進党) 松原仁
時間がないから私が言いましょう。彼女は4年間で2万6000円か何か稼いだんですよ。その彼女が4年間で、売春をして、公的な売春ですからそれは責められない、それによって稼いだお金というのは、陸軍大将の2倍の給料だったというふうに言われている。

それは彼女はかわいそうだったかもしれない。私たちはそこはきちっと考えなきゃいかぬ。しかし、少なくとも米側で言うようなセックススレーブではなくて、逆に言えば陸軍大将よりも高給を取っていた、結果として。その返還訴訟をしているんです。これは裁判記録に残っています。こういった事実はきちっと認識をするべきだと思う。

その上に立って、もう時間がぎりぎりだから言いますが、この慰安婦問題、南京問題、事実究明を我々がやると、中国はああだこうだ言う、韓国もああだこうだ言う。だったらば、アメリカの例えばランド研究所とかそういうきちっとした研究機関がある、彼ら研究機関がやれば、私はアメリカというのはフェアな国だと思う、今回の慰安婦決議を出したマイク・ホンダというのは私はわからないけれども、フェアな国ですから、ランド研究所なりが、慰安婦問題について日本政府から委託をされて、真実をきちっと研究してくれと。ほかにもそういった研究所はたくさんあります、それなりのものじゃなきゃだめです、いいかげんなところじゃ。そこに、真実を研究してくれと委託費を出してやれば、絶対にこれはぬれぎぬだということが明らかになる。

まず物証はこっちにあって、中国側の物証はないことからも含めて、すべて、慰安婦問題やそして南京大虐殺については真実が明らかになる。日本の手ではなくて、日本が金を出してアメリカの研究機関に委託することによって、これはアメリカの世論も一発で変わる。安倍さんがあっちへ行って広義の強制性があったとかなかったとか言うんじゃなくて、まさに一発でアメリカの世論は変わる。

私は、ぜひとも、これは少なくとも今やってほしいと思いますが、大臣の所見と決意を聞きたい。

[116]
外務大臣 麻生太郎
1つの方法として、アメリカというのは極めてフェアな国であるという判断、私も、それはいろいろフェアじゃないようなことがたまにはあるでしょうけれども、総じてこの国に関して、フェアな判断をし得る可能性の極めて高い国、アメリカというのはそういう国だと思っています。

今の御意見の点につきまして、今、日中歴史共同研究というのが始まっていますので、ちょっとここらのところでよく双方でやってみるところ、今ちょうどスタートしたばかりなところですが、今言われましたように、やはり記録、資料に基づかない話というのは説得力がないんですよ。その意味では、我々にはその資料はきちんとしたものがあるというのは、これは日中共同研究のこちら側の資料として極めて大事なものだというところからぐらいがまず第一歩かなという感じはいたします。

[117]
民主党(民進党) 松原仁
アメリカの研究機関にというのをぜひ検討していただきたいんですが、もう1回答弁いただけますか。それは前向きに検討してくださいよ。

[118]
外務大臣 麻生太郎
今の話は、1つの御提案として受けとめさせていただきます。

[119]
民主党(民進党) 松原仁
結論は、南京大虐殺もああいった形のもの、ああいった形というか、大虐殺、虐殺はなかった、間違いなく。慰安婦も、彼らが言うような慰安婦はなくて、今世界じゅうにある公娼制度のようなものはそれはあったでしょう、こういうことです。

このことは、例えば文献で、中国との二国間の研究でも物証はあるのかと、ないんですよ。物証を今にわかにつくるしかないんですよ、彼らは。物証がこっちはある。議論がもう全然違いますよ、レベルが。実際なかったんだから、そんなものは。

そして同時に、アメリカのそういう研究所に委託研究すれば、彼らはフェアにジャッジするでしょう、日本側の言っているのは物証があるじゃないかと。こっちは傍証、いわゆる証言しかない。証言は、同じような証言がこっちもある。

これは私は、きちっとそうやって国際的な判断を仰ぎながら、日本の誇り、名誉というものを回復することをぜひとも、麻生大臣以下、佐渡島さんも、これはもう男佐渡島の本当に大変な、最後の有終の美か何かわかりませんが、大きな勝負になりますから、これはきちっとやってもらわないと、これをやらないで終わったら日本国民から恨まれますよ。そういうようなことを含めて強く申し上げながら、質問時間が参りましたので、私の質問を終わります。

以上です。ありがとうございました。