違法タバコと違法パチンコ

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昭和27年03月12日 衆議院 大蔵委員会
[076]
自由党(自由民主党) 三宅則義
これは具体的な話でありますが、私の選挙区であります愛知県におきましては、パチンコ屋が一昨年あたりはやつておつた。ところがそれが伝染いたしまして、昨年東京の方にまでこれが入つて来まして――私はパチンコを一ぺんもやつたことがありませんが、人のうわさによりますと、パチンコ屋が非常にタバコを売つているという。パチンコ屋がすなわちタバコ小売人であるというふうなことも言われておりますが、そういうふうに近所にたくさんありましても、需要の多いところはパチンコ屋でも何でも、これは普通の小売人として免許する用意があるかないか。

一定の間隔もしくは需要を中心に考えまして、ある程度監督の上においてタバコの小売人を選定しておる、こう考えておつたのでありますが、私の聞く範囲におきましては、はなはだ小部分ではありますけれども、軒並に小売人ができた。これはパチンコ屋の例でありましようが、こういうふうに言われておりますが、その辺はどういうふうに監督しておりますか。監理官の御意見を承りたい。

[077]
政府委員(大蔵事務官(日本専売公社監理官)) 久米武文
パチンコ屋でタバコを景品として出すということは、これは皆さんよく御存じのところでございまして、そういうふうなパチンコの景品としてのタバコの需要量というものは、相当大きな数量に上つております。ある意味におきましてパチンコ屋というものは、大きなタバコの需要者であるというふうなことが言えるかとも思いますが、タバコの小売の免許の問題といたしましては、取締りの点もございますので、パチンコ屋からタバコの小売の免許申請が出て来ても、現在はそれは認めないというふうな取扱いで実施いたしております。





昭和27年03月13日 衆議院 大蔵委員会
[052]
日本共産党 深澤義守
もちろんそういうことも私は1つの原因だろうと思いますが、総裁も御存じだろうと思いますが、最近全国至るところにパチンコ屋がふえておりまして、このパチンコ屋がタバコを景品に出すのであります。この額は私は相当なものだと考える。そのためにその近傍の小売人は実は悲鳴をあげているのであります。おそらくこのパチンコ屋の景品にタバコを使うということが、専売局の売上げの上に非常に影響しておるのではないかと考えておるのでありますが、この点はどういうぐあいに考えておられますか。

[053]
説明員(日本専売公社総裁) 秋山孝之輔
これもなかなか見方が困難でありまして、パチンコ屋でタバコを出すから、小売屋の売れ行きが減つたという声も聞かぬでもないのであります。しかしながらパチンコ屋が正常なルートでタバコを買うということについては、何ら取締りの方法がない。これがディスカウントをするとか、あるいは違つた種類のタバコを入れて来ることがあるならば、取締りもできるのでありますけれども、普通の価格をもつて普通の小売店から買うということについては、それがパチンコ屋であろうが何であろうが、どうも方法がないのであります。その点についても小売屋の一部の声を聞いて、私どもも非常に憂慮しておりますけれども、今名案というものがないのでありまして、もし何かお気づきの点がありますれば、承つて参考にしたいと思います。

[054]
日本共産党 深澤義守
最近の日本の状態におけるパチンコ屋の氾濫というものは、植民地的な様相を反映しておる1つの現われであると考える。そのパチンコ屋の興味の中心は結局タバコであると考える。今の法では確かにこのパチンコ屋において景品としてタバコを出すこと自体は、違法ではないかもしれない。あるいは専売局はタバコが売れて喜んでいるかもしれませんが、しかしこれは風教上まことに寒心すべき現象であると考えるのであります。逆に何か名案はないかとおつしやるが、専売公社としては、このパチンコ屋がタバコの景品を出すということを、何らかの方法で禁止するというようなことをお考えになつたことがあるかどうか。その点をお伺いいたしたいと思います。

[055]
説明員(日本専売公社総裁) 秋山孝之輔
パチンコ屋の景品についてまで専売局は考えておりません。





昭和29年02月11日 衆議院 大蔵委員会
[046]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
次に、現在パチンコ屋がタバコを景品に出しておりますが、今日パチンコ屋の事業というものは、次第に経済的、社会的の基盤を持つて来たのではないかと思われますが、いずれにしても、1つのレクリエーシヨンとしての地歩を築きつつあると思います。

そこでこのパチンコ屋で景品に出されておるところのタバコなんだが、これは結局大量にタバコ屋から仕入れて来る。従つてタバコの小売販買者は、このパチンコ屋にタバコを供給することのために、いろいろと値引きをするとか、あるいは定価通り売れば何らかの反対給付をして、それによつてそのタバコ小売店からパチンコ屋がタバコを買つてくれるような、いわば競争が行われておる。このことはいなみがたい事実であろうと思う。このことは、すなわち法律に違反をしてタバコが定価より安く売られておるか、あるいは何らかの反対給付を受けることによつて、そういうつながりが現在できておると思うのであつて、これはこのまま放つておくということは好ましいことではないと思う。

ところが今パチンコ屋からタバコをとつてしまうということになると、パチンコ屋へ行つてああいう遊戯を楽しむ、都合によつてはタバコを手に入れようという1つの楽しみからなんであつて、このパチンコ屋からタバコをとるということは、敗戦国民がそんな方向にせめてもの哀れな楽しみを求めておるわけなんであつて、そういう楽しみを制限するということも好ましいことではない。

だからパチンコ屋が合法的にタバコを取扱えるような何らかの措置はないかということを、ひとつ検討を加えるべき段階に今立ち至つておると思う。

そこで地方ではいろいろと試みられておるようだが、中にはその地域におけるそのパチンコ屋の協同組合が中で1人代表者を立てて、タバコの申請を行つて、そして正当にそのタバコの配給を受けて、そして組合がそのタバコを適当に定価で販売する、そうすると販売ではないが、その組合員のところへ定価でこれを配付する。従つて値段もくずさないで、定価通りタバコの販売はそれによつて行われるわけなんで、そうすると組合員の中で指定されたところのその免許された人は、定価で売るから相当の利益がある。その利益には所得税がかかる。当然法律による任務を果すわけです。残つたところの費用は、その組合のいろいろな費用に充てて行くという、このことは協同組合をいろいろ指導助長する立場においても、あるいはタバコを法律に基いて取扱わせて行くという立場においても、一挙両得の施策のように考えられるが、これに対して今泉監理官はどういうようなお考えをお持ちになつておるか。

さらにはまた、現在パチンコ屋において景品に出されておるタバコが定価をくずして売買されておるというこの実情を、何らかの措置を講じて修正する必要があると考えてはいないかどうか、この点ひとつお伺いしたい。

[047]
政府委員(大蔵事務官(日本専売公社監理官)) 今泉兼寛
パチンコ屋に売込み競争のために、小売業者の間においてはこれを値引きして売つているという事実があることも、公社といたしましては遺憾ながら承知しております。

従つてこれを是正する方法としては、いろいろな、手を公社として考えておるわけでございますが、1つはそういつたことが発見された場合、非常に累犯的なものについてはタバコの指定を取消すというような厳重な処置を講ずることも1つであります。それから御指摘のように、そういつた場合小売業者からパチンコ業者に出すと今のようなやつが出て来るから、パチンコ業者の組合に今言つたように一括払い下げて、そこから出す方法はないか、こういう問題も従来検討はしないわけではございませんけれども、これにもまたよくよく検討してみますと、いろいろな弊害というようなものも考えられるわけでございまして、その点まだ正式に、パチンコ屋の組合の方には全然やらぬというはつきりした態度もいたしておりませんけれども、御指摘の面もありますので、今後今のような値引きの販売ということを絶滅さすにはどういう手段、方法がいいかという問題については、今の春日委員の御指摘のような点も十分考究してみたいと考えております。

[048]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
これは検討されるということであるならば、ひとつ急速に検討の上――現在タバコが値をくずして売られておるということは現実なんです。どんなパチンコ屋でも、みなタバコを山に積んで景品に出しておるわけであります。

現実は現実としてこれは認めて、それに対して合法的な処置を考えて行くということが親切なやり方だと思うのだが、いずれにしても、私は今やパチンコ屋も事業としては経済的な基礎も固まつたようだし、また大衆にあのくらい楽しまれておるレクリエーシヨンを、タバコをそこから奪うことによつていろいろ制限を加えるということも好ましくない。だからこういうタバコを合法的に供給する措置を考えるということは、専売公社の義務だと思う。法律に違反して売買されておることを等閑に付して、研究々々ということではよろしくない。

従つてその協同組合の団体に一括払い下げるというような法律はいろいろな疑義もあるようだから、なかんずく一般大衆への小売もかねて、特別申請があつた場合には、その協同組合の機関としてこれに売らせる。そうしてそこから定価でみなが配分を受ける、そうしてその利益を協同組合の費用にし、さらにはその所得に対して所得税をかけて行く、こういうような行政指導は当然必要なことと考えられますので、いずれにしても本件はひとつ急速な御処理を願いたい。いずれなお機会があろうと思いますので、次の機会までに公社側の成案を得られて、当委員会に対して何らかの御報告を願うことにいたしまして、私の質問を終ります。





昭和29年04月26日 衆議院 大蔵委員会
[024]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
さらに1箇月半ばかり前に本委員会において質問いたしましたが、今パチンコ屋が事実上タバコを扱つております。これは非合法の手段で扱われており、このタバコ専売に関する法律の運営に幾多の疑義を投げかけております。

従いましてパチンコ屋の諸君がこのタバコを合法的に扱える方法はないものであろうかと一私案を呈示して当局の返答を促しておつたのでありますが、専売当局は、その後なまけておるのかとぼけておるのか、一向これに対する返答をされるけはいも見えませんし、なお要求してあつた委員会での答弁も何らなさられておらないのであります。

従いまして、この問題も本委員会の所管事項として当然法律的に解決しなければならぬ問題であると考えますので、これまた当時の速記録等を徴されまして、適当に本問題の解決をはかるために、当局の見解とされておるところを本委員会にお示し願いたいのであります。





昭和29年04月27日 衆議院 大蔵委員会
[141]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
先般本委員会におきまして、パチンコ屋が景品に出しておりますタバコ、これは専売法に違反をして扱つておるのではないか、重大な疑義がある。しかしこれをとめるということも今ではできないであろう。

従つてこれはやはり合理的に、合法的にパチンコ屋でタバコが売り得るような何らかの方法はないものであろうか、これは私の一試案を呈して、専売公社において検討して、すみやかなる期間に本委員会にその検討されたところを御報告されるようにと、そういうぐあいに私は要請しておいたのだが、爾来2箇月をけみした今日、なおかつこのことについて何ら専売公社から意思表示がございません。まことにもつて怠慢ではないか。こういう重要な事柄についてわれわれが本委員会で意見を述べるということは、決してだてや酔狂で言つておるわけではございません。

これは専売法が現在行われておるにかかわらず、料理屋なんかで外国タバコを売つておれば、そういうものは捜査、臨検なんかやつて、大荒れに荒れておいて、そうしてパチンコ屋でタバコを売つておる事柄が見のがされておりまする。

このことは禁止するといつたところで、現実に禁止するということはそれはよろしくありますまい。庶民大衆がほんとうに娯楽としてあのくらい楽しんでおるものを取上げるなんということは、これはできることではない。またそういうことは好ましくない。

だから何か合理的に、合法的に彼らが扱えるように考えてやらなければいけないことだし、またそうすることが専売公社の義務であると考えてああいう要求をし、意見を述べておいたのだが、何ら本日までその検討したところを発表しないことはまことにけしからぬですよ。国会軽視だ。そこで、怒つておつてもしかたがないが、一体その検討されたところはどういうものであるか、この機会にひとつ公社の御意見を承りたい。

[142]
説明員(日本専売公社理事(販売部長)) 石田吉男
ただいまのお話では、何かパチンコ屋にタバコを売らせることを認めようというふうに伺いましたのですが、私が伺つておりますのは、そういう御趣旨ではございませんで、パチンコ屋をタバコの小売人に指定したらどうかというふうな御要求といいますか、そういうふうに伺つております。それでただいまお話のおりましたことではございませんで、パチンコ屋にタバコの小売を指定したらどうかという点についてお答えを申し上げたいと思います。それからただいま何の連絡もないというおしかりでございましたが、私どもはどうもそういうお答えをするのに、委員会の方からお呼出しがありませんと、そのために委員会をお開き願いたいというわけにも参りませんので、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。

私どもの方の結論から先に申し上げますと、パチンコ屋を小売に指定することについては、いろいろ研究してみましたが、どうも適当でないという結論に達しております。

理由を申し上げますと、パチンコ屋ができましてから偽造タバコが非常にパチンコ屋に出まわるようになつております。偽造タバコ、特にピースとひかりでありますが、これを扱つておりますものがほとんどパチンコ屋でございます。

それからパチンコ屋では、最近入つて来るお客が景品にタバコをとりますが、その景品をすぐまたパチンコ屋に売りもどしてしまうという事例が、非常に多いのでございまして、そのためにパチンコ屋にあるタバコはまずい、それがただ単に公社の製品がまずいのだというふうな悪評を受けることになつておりますが、非常に困つております。

それともう1つは、パチンコ屋の営業者が非常によくかわりますので、私どもが小売に指定いたしますときには、かなりいろいろな調査をいたしまして永続性のあるものを選んでおるのでありますが、そういうような見地から、パチンコ屋をタバコ屋に指定することは適当でないという結論を申し上げざるを得ないのであります。

[143]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
私はパチンコ屋にタバコ営業の許可を与えよなどということは一回も言つたことはございません。だから前の速記録をよくお読みなさい。これは、あなたの方は私どもの重要なるそういう質問に対して、十分公社自体における検討がなされていない証拠なのです。少くとも先般私が申し述べました意見は、偽造タバコの問題ではございません。これはあなたの方の当然の職権を活用して、その偽造タバコの発生は防がれるべき問題であつて、私の言うのは、専売局が製造したところのタバコが現在景品に出されておるのだが、しかしこれは、形式的には定価で買つて来たものを景品として並べておるような1つの形態はとられておるけれども、その内在するところの実際の運営は、相当の割引でその売りさばき元から買つて来て、これが景品に出されておるのではないか。もしそうだとすれば、これはまことに違法な取扱いであるので、これを合法的な措置に移さなければならない。

その方法として考えられることは、今パチンコ屋も健全娯楽、大衆娯楽としては社会的地位を持つに及んで、そうして協同組合が結成されておる。そこでその協同組合がタバコの売りさばき人としての責任ある人を選んで免許を受ける。そうするとその協同組合に対してそれが卸されると、今度はその協同組合からそのタバコをほんとうの正味の価格で、45円のピースなら45円のピースで、その協同組合からパチンコ屋が買つて行くわけなのです。そうすると、パチンコ屋は1銭の利益もないわけだが、組合に資産が残る。すなわち定価によつて売買がされるのだから、その定価を切つて売買されるというような事柄は、それによつて合法化されるでありましよう。そうすると組合に資産が残ると、その組合に所得税なら所得税の税金もかけられて、一切の責任ある管理監督がその協合組合の代表者である売りさばき免許人に対して行われるわけなんだから、それで組合自体も満足することであり、タバコ専売法の立場からも、定価を切つて販売されておるというふうなこういう事柄がそこで調整されて行くのではないか。だからその個人々々にそのタバコの販売の許可を与えるというのではなく、今その団体の責任ある一定の個人、それにそういう売りさばき元の代表を代行させて、定価でその売りさばきから買つて行つて、組合員は組合員としての所得を別の方法ではかるべきである。そういうことならば、これは一切の法律的な疑義が解消できるのではないか、こういうことであつた。

それは1つの見解であるから、検討して御答弁申し上げますということでわかれて、そのまま2箇月にたつておるから、本日国会もまさに終末に迫つておるわけだが、何ら回答がないから、本日はここへおいでを願つて、どういうぐあいに御検討を願つておるかということをお伺いしたわけです。このやり方はどうであるか、ひとつ伺いたい。

[144]
説明員(日本専売公社理事(販売部長)) 石田吉男
ただいまのお話は、結局何と申しますか、その中間に立つ人が卸売りの類似行為をやるようなことになるのでありますが、専売法に規定がございまして、タバコの販売は小売人でなければやつてはいけないという法律の規定がございます。従いまして直接消費者に売り渡す場合は、小売人を通じてでないと売れませんので、そういう制度は現在ではできないことになつております。

[145]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
法律はいろいろな基本的な1つの考え方というものの上に立つことは当然でありますけれども、これは、実情に即した処理がその法律によつて可能なものでなければならぬと思うのであります。

今全国各地において、パチンコ屋といえば、大体の目標はそこでタバコをもらううとう事柄にあるわけなんです。しかも今パチンコ屋の事業というものも相当の事業として社会的に地歩を占めて来た。しかも大衆娯楽、庶民娯楽として社会的の信用も得ておるのです。

だからこういうような庶民大衆の楽しみを奪い去るということは、好ましい政治ではない。だからパチンコ屋でタバコを景品として出すことは、法律は認めて行くべきだろうが、しかし専売法との関連において、これはやはり法律違反としての疑義があるのですから、調整をして行かなければならぬのではないか。

これが立法の府にある者と、それを管理するあなた方との共同責任なんです。それでは一体あなたはどうしたらこの問題が解決がつくとお考えになつているか、検討されているところを述べていただきましよう。

[146]
説明員(日本専売公社理事(販売部長)) 石田吉男
パチンコ屋がタバコを景品に使うということにつきましては、法律的に何ら制限がございませんので、そのこと自体は専売法に触れる問題ではございません。従いましてその点につきましては、私ども何ら取締りを加えていることもないのであります。

問題は小売屋からパチンコ屋が定価よりも安い値段で買うというところが問題なのでありますが、昨年来小売屋の方で、そういうことをお互いにしまいという自粛運動が全国的に展開されまして、そういう自粛運動の行われる前と比べますと、最近は定価より安い値段でパチンコ屋が買うということが非常に少くなつて来ております。

この運動が始まりましてから約半年ばかりたつております。もう少し続けばますますその傾向が少くなると存じます。私どもも、その取締りの面においては相当手をやいていたのでありますけれども、最近は検挙件数もあまり多くなつておりません。

[147]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
それは実情に即しない機械的な解釈なのです。たとえばタバコ専売法では、卸はやらない建前で法律がつくられているということは当然その通りでありますが、しかし現実にタバコの小売屋からピースを何百個、何千個とまとめて買つているのです。これは消費者が買つて行くのではなく、パチンコ屋が買つて行つて、景品に出すのです。こういう実態が行われているのに、これでもなおかつ専売法の卸ではない、値段さえ定価で認められておれば、その取引されるところの数量がどういうものであろうとそれは一向さしつかえないということは、あまりに官僚的、機械的な、不親切な解釈であつて、現実に何万何千というものがまとめて買われておる実態に即して何らかの対策を講ずべきではないかということは、当然考えられてもいい事柄なんです。

ただ値段さえくずさなければどういうことが行われてもいいということは、ただ単に小売屋を利するだけです。小売屋は値一ぱいで売れ、そういうことを全国で申し合せ、あたなの方も指導して行く、そうすると小売はじやんじやんもうかつて行くだけなんだが、しかし商売というものには裏に裏があつて、必然的に、じや定価で買つてちようだい、そのかわりほかのものをどうこうということで、どんなことだつてできるのです。あなた方が机の前でとうふのような脳みそをこねまわしているようなぐあいには商売というものは動いて参りません。

実際問題として1つ2つを売るということなら、それは私は文句は言わぬのだが、何万、何千というものが現実に売買されておる、そのことに対して、定価さえ1銭も切つていなければれそでよいといつて恬然としてあなたが手をこまねいておる、これでもなおかつたばこ専売法の精神がそれで保たれておるとあなたは確信を持つておるかどうか、何かそこに矛盾があるとは考えておられないかどうか、この点を明確に伺つておきたい。

[148]
説明員(日本専売公社理事(販売部長)) 石田吉男
ただいまのお話は、どうも私は頭が悪いのでのみ込みが悪いのかもしれませんが、何か小売が卸売をやつているのを認めているのじやないかという御意見のように伺いましたけれども、小売は普通の消費者にも売つているのであります。ところが先ほどお話のありましたのは、直接消費者を対象としないで、パチンコ屋だけに売らしたらどうかというふうに伺いましたので、先ほどのような御返答を申し上げたわけでありまして、卸売専門というふうに見る必要はないのじやないかと思つております。

[149]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
私の質問はそんなことではないのです。値段さえ小売一ぱいの定価で売つておれは何万、何千でも――卸売ということは数量ということなんですね、数量が多ければ値段がおのずから安くなるということが卸の取引と小売の取引との相違なんだ。それで数量と値段とはおのずから切り離すことのできない関連を持つものだが、しかし現在は小売屋が1銭も値を切つていないので、ちつともさしつかえないと言つておられる。

けれども実際に扱われておる数量は、その小売屋から何千、何万かまとまつた数がパチンコ屋によつて買われておる。そういうことは、小売屋の利益を大きく保証する形にはなるけれども、これはたばこ専売法の精神からいえば、小売屋にそういうまとまつたものを取扱わせるということは、あの法律が立法された当初の考えていなかつたことなんです。パチンコ屋がこういうように大きく繁昌して来て初めてそういう事態が起きたんだから、これは不可測の事態が新しく発生したことなんです。だから、この新しき現実の上に即した適当な法律の修正か調整かが必要ではないか、こういうことを私は考えておるのだが、この点はどうかということなんです。

[150]
説明員(日本専売公社理事(販売部長)) 石田吉男
私は別にそう不都合はないと思うのです。小売屋さんでも、たとえば会社なんかが盆暮れに使いものをいたしますときには、1軒から相当まとまつたものを買つているわけでありまして、やはりこれは小売屋の仕事としてやつておるのでありますから、特にパチンコ屋へ売る――卸すというと悪いのですが、たくさん売ることは、そう悪いことじやない、どこに不都合があるのかちよつとわかりかねるのでございます。

[151]
日本社会党(社会民主党) 春日一幸
それは定価で売られておれば文句はないが、表面は定価で売る形をとつて、実際的には反対給付が行われておる。その現実にあなた方は目をおおうて故意に知らぬ顔しておられるが、現実に反対給付が行われておるのだから、形式的にその値段が保たれておつても、実際の秩序は乱れておるのです。

それは法律に違反をすることであるから、実情に即した調整方法を考えるべきであると言つておるのです。

それではもしあなたが、定価を1銭も切つていない、それから反対給付も何も行われていないということをここで断言されるなら、われわれがいろいろと調査して――そんなものはパチンコ屋組合に行けば100も1000も資料が出て来るのだが、その資料が出て来てあなたの答弁と違つた結果が現われて来たら、あなは責任をとりますか。

[152]
説明員(日本専売公社理事(販売部長)) 石田吉男
私の方では、そういう反対給付が明瞭になつたり、あるいは定価の割引をしたりしておりますと、監視員というのがおりまして、それを専売法違反で検挙しております。これも私の仕事になつておりますが、そういうものをできるだけ検挙して法律を遵守させる。私どもの方としては、実際そういうものがあるのを、定価で売つているというように見のがしているわけではありません。

[153]
日本社会党(社会民主党) 井上良二
大分おそくなりましたが、石田販売部長に申し上げておきたいのですが、先般この問題は専売小委員会で取上げていろいろ議論をいたしました。その結果、一応専売公社としても、春日君がお話になりましたような問題についていろいろ御検討を願つた上で――パチンコ屋にタバコを販売することを全面的に禁止するか、それができない場合には、いつそのこと小売の段階は自由にする、いわゆる小売店舗というものは指定しない、政府は現金でもつて卸だけを扱う、こういうふうにすればこういう問題は起らない。またあなたの今申された、この間もそう申されましたが、取締るということでありますけれども、とうてい全国のパチンコ屋あるいは小売店舗のかどに監視員を1人ずつ全部につけるということは、実際上困難であります。実際取締りは不可能であります。そういう実情を考慮いたしまして、諸般の情勢を考えまして、最善の案を御検討願つて、一応この国会に報告をしてもらうことにお願いしておいたのです。

そこで、まだあなたの方でそういうことが十分検討されておりませなかつたならば、さらにもう一度部内で御検討願いたい。現在もう自粛運動をやつてそういう違反がどんどん少くなつておる、あなたとしてはそういう答弁をするよりしようがないでしようが、現実はそうでもない事態がありますし、また、あなたの方で締めれば締めるほどパチンコ屋の店先からタバコが少くなつたということなら話はわかるが、あなたの方は締め、小売店舗もそれに協力する。ところが依然としてパチンコ屋の店先ではこれの取扱いがされておるということになると、やみのタバコがどれだけ横行しておるか、こういう問題も別に起つて来る。

だから、そこはどうしたらうまく行くかということを双方が考えなければなりませんから、ぜひひとつあなた方の方でも専門的に御検討願つて、いずれまた小委員会を開きますが、そのときに必要な解決案を参考案としてお示しを願うようにお願いしておきたい。そうしませんと、これは、また税金の問題で皆さんの方にかかつて来る問題でありますから、さようおとりはからい願いたいと思います。

[154]
委員長代理 福田繁芳
ただいまの井上委員の御意見はしごくごもつともと存じます。専売公社もよろしく御検討されて、近きうちに本委員会に何らかの御報告を願いとう存じます。大蔵委員会は小委員会を開きまして、この問題をもう少し具体的に検討いたしてみたいと存じます。

本日はこれにて散会いたします。





昭和46年05月17日 参議院 決算委員会
[081]
公明党 二宮文造
国立大学付属小学校において入学に際して違法な寄付収納をしている問題、日本専売公社において、タバコの販売価格は定価でなければならないにもかかわらず意外にも値引きを伴う卸売り販売という異常な事態が発生している問題であります。

前者については入学金ないし寄付金として入学者全部から1人につき数万円の金を徴収している事実が明らかになったのであります。これが義務教育の無償をうたった憲法の精神をじゅうりんするものであり関係法令に反することは明らかであります。

次に、専売たばこは専売法によって定価販売が規定されていることは御承知のとおりであります。にもかかわらずパチンコ店の景品としてたばこの大量需要が起きたことに伴い、公社は従来の小売り店設置の基準をゆるめて、その需要に応じて大量販売が可能な、いわば卸売りの形態を容認しているということであります。

その結果卸売りに伴う値引きが現実に行なわれ、そしてその取り締まりはほとんど放任状態であって、公社は専売法違反をこのように放任することによって販売量の増大をもくろんでいるのが実態であるといわねばなりません。