戦後最大の巨大詐欺産業 2/2 ~ 新聞広告料の水増し請求

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昭和57年04月06日 衆議院 社会労働委員会
[155]
公明党 草川昭三
そこで、きょうは、その5人から29人までの一番零細な事業者の方々の例を少し申し上げておきたいのですが、たくさんの零細企業があるわけですけれども、その中でも新聞を配達してみえる労働者の問題というのを取り上げてみたいと思うのです。これは、使用者側は新聞販売店ということになります。そしてラインとしては新聞を発行する発行本社、日本で言うところの一流の各新聞社ということになるわけであります。

きょうは公正取引委員会にも来ていただいておるわけでございますが、私ども、新聞は毎朝自宅で見るわけであります。布団の中で新聞が手に入るというのは日本だけで、サービスが非常にいいわけでありますから、これは感謝をしなければなりません。日本の新聞というのは、情報が非常にりっぱでありますし、過度というぐらいに情報が多いわけです。社説等も、われわれが尊敬をするりっぱな社説が書いてあるわけですが、問題は、その販売ルートということになりますと、恐ろしく、もう誇りもくそも何もなく、かなりひどい販売合戦がやられておるわけであります。いわゆるなべかま合戦、あるいはトラブルの非常に多い販売軍団と称する特殊なオルグというのですか販売部隊が、流通機構の中でかなり露骨なことをしておるというので問題があるわけでありますが、結局それのしわが販売店に寄せられてくる。同時に、その販売店で働くところの従業員に劣悪な労働条件を強いておるのではないだろうか。だから、販売店労働者の実情は労働省でカバーをする以外にないと私は思うのです。それはもう少し労働省としても実態を調べていただいて対応を立てていただきたいという趣旨でいまから申し上げるわけでございます。

まず公正取引委員会にお伺いをしますけれども、公取は今日まで、新聞業界の不公正な取引の是正あるいは販売、流通の中で景品表示法違反での排除命令等もたくさん出しておるわけでございますが、過去どのような対応を立ててきておるのか、まずお伺いしたいと思います。

[156]
説明員(公正取引委員会事務局取引部取引課長) 植木邦之
お答えいたします。

公正取引委員会は、先生がおっしゃいますように、新聞の発行本社が販売店に新聞を流しますことにつきまして非常に不公正な取引方法があるということでございまして、過去不公正な取引方法ということで、たとえば押し紙というものを指定しておりますし、あるいは景品表示法に基づきまして拡材を供与するということを不当なことであるとして禁止しているわけでございます。

それで、先生御指摘のように、こういうような行為がなかなか後を絶たないということがございますので、私どもといたしましては、一昨年から販売店さんにつきまして調査を行いまして、これは4460の販売店に調査票を送ったわけでございますが、そのうちの1391、約31%でございますが、この回答がございました。

それによりますと、拡材というのは日常茶飯事に行われているというような回答もございますし、それから押し紙につきましても、販売店の注文どおりに新聞が送付されてくるというのは68%ほどございますが、本社が決定して、注文した以上の部数を送ってくるというようなのが31%ほどもございます。さらに、残紙、注文部数以上の紙が残るというのもかなりございましたわけで、それで、私どもとしましては、昨年の2月に発行本社を呼びまして、このような事態は非常に嘆かわしいことであるので抜本的な改善策をとってほしいということを申し入れた次第でございます。

それで発行本社は、私どもの申し入れもあったということでございまして、昨年の中ごろから新聞の部数増減管理センターというのをつくって、そのように新聞の部数がなぜふえたか、なぜ減ったか、ふえた場合にはこれは違反行為でふえたのじゃないのかというようなことを調べて、不当行為を是正しようというようなことを行い始められまして、現在68支部があるわけでございますが、その中の63につきまして増減管理センターというのが一応できておりまして、現在動き出しましたのが50くらいでございます。

私どもは、この発行本社さんの動きで一体どういうことになるのか、不当行為が是正されるかどうかということを注目しているわけでございますが、私どもとしましても、こういう動きを促進するという趣旨で、たとえば具体的な違反行為がありましたら警告などを行うという措置をとることにしておりますし、そのように今後もいたしていきたいと思っている次第でございます。



[160]
公明党 草川昭三
いま文部省と通産省の方のお話を聞き、また過去の国会でのいろいろな質疑なんかを聞いておりますと、どっちにしても私がこれから指摘をしようとすることを強く業界に反映できるのはやはり公取しかなくなってくるわけですよ。個別の労働条件の問題については基準局からまたやっていただくわけですけれども、また、公取も1つの事件が発生をしないと縁がないわけでありますから、私、これは非常に盲点の問題ではないか、こう思うのです。

じゃ一体なぜ新聞販売店がこのような過当競争をしてなべかまのような――なべかま実際持っておりませんね。いまはデジタル時計だとか毛布だとかかなり高額な添付なんかをしてトラブルが起きているわけでありますけれども、乱売合戦という意味で俗称なべかまという言葉を使うわけでありますけれども、非常に問題があるわけです。

そこでそれをずっと追及をしていきますと、やはりABC協会というものが出てくるわけです。これはいわゆる広告料金を決める場合に発行部数がどのようになっているのかという一種の統計をとる団体があるわけでございますけれども、ABCレポートというものとのかかわり合いが、実は新聞の押し紙がたくさん出てくる。とにかくたくさん印刷をすることによって、その量に応じて広告料というものは決まるわけですから、勢い売れても売れなくてもある一定のものは発行する。そしてとにかく押し売りというのですか、押し紙というものが出てくる。

そこで販売店は泣く泣く押し紙を承知の上店を経営する。残った分だけが残紙ということになりますが、残紙の負担分がえらくて販売店が倒産をするという例がある。

消化ができない、能力のない販売店に対しては、親会社の方が新しい販売店を近接地域に準備をする。そこである日突然その販売店は契約解除になり、新しい販売店に経営が移る。これがこわいものですから、販売店はなかなか正直なデータを公取の調査にも出していないという問題も一方ではここで出てくるわけでございます。

それがいま68%の押し紙の数字であり、あるいは本社からは注文以上のものが出るという31%になる。これを合わせた方がいいのかどうか、いろいろな意見がありますけれども、とにかく9割以上の方々は、率直なことを申し上げて、実際読者の方から集金をしてくる紙以上のものを店頭に何らかの形で引き受けておるということを言わざるを得ないと私は思うのです。これが堂々と親会社に対して文句が言えないというのは、親会社の方が一方的な契約の力を持っておりますから、能力なしと断定をするならば新しい店を選ぶという力を持っておりますから、これは公取の方にもこの点についての意見を聞かなければいけないところでありますけれども、非常に問題があるわけであります。

こういうABCレポートというのは非常に問題だと私は思うのですが、ABCレポートというものに対して公取なり通産省の商務・サービス産業室というものは影響力を持つのかどうか、2つの省からお伺いしたいと思います。

[161]
説明員(公正取引委員会事務局取引部取引課長) 植木邦之
お尋ねの点でございますが、私どもとしましては、ABCに載る部数でございますね、これがどうなるかということにつきましては一切タッチしておりません。

[162]
説明員(通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長) 江崎格
ABC協会、この団体の性格でございますけれども、これは広告の媒体であります新聞ですとか雑誌というものの正確な部数を調査いたしまして、これを公表することによって広告とか宣伝料の合理化に役立てようという団体でございまして、この団体は私どもが所管しております。

[163]
公明党 草川昭三
そうすると、これは通産で所管をしておるというならば、通産の役割りはここだと私は思うのですね。実はABCレポートによって広告料金が決まるわけですから、ここの部数が正確であれば問題がないわけですよ。

しかし、ここのABCレポートというもの、これは社団法人としての公益性というのが一応あるわけでありますから、正しい実態を評価することが大切だと思うのですが、たまたまABCレポートというものが去年の8月からでございますか、全国の47都市において口座別、すなわち店別、銘柄別の部数報告を行うというような指導をしておるようであります。これは一見非常に明らかなようですけれども、販売店にしてみれば、手の内をお互いに明らかにすることになりますから、これはもろ刃のやいばというのですか、いい面で言うならば確かに積極的な是正にはなりますけれども、逆に言うならば強者の論理で弱いところをつぶすとか、あるいは弱い力があるならばほかの方法でやるとか、片一方では拡張の軍団と言われる拡張軍団が依然として残っているわけです。この拡張軍団というのは、増減センターをつくったって、いまでもある地域においては、トラックが行く、そしてそのトラックの上には山のようにいろいろな添付する商品を積んでいく。そしてその後に数台の軍団、オルガナイザーというのがいるわけですよ。これが弱い地区へ一斉に行きますと、1日で200部、300部というのを落として、その軍団を派遣した特定の会社の本社の新聞というのが半年とか1年契約でやられる、こういうわけでありますから、その軍団が押し寄せたところの店主というのはもうつぶれてしまうわけですよ。だからそこで働く新聞配達の従業員にしわが寄るという理屈になるわけでありますけれども、このABCレポートのあり方について通産省はいま一度点検をし直してもらいたい。

たとえば東京中日という新聞がありますけれども、ここは全く正直な数を、お客さんからお金をいただく部数だけを報告した、こういうわけですね。そうしたらこのABC協会は、いや君のところは、逆に言うならばもっとたくさん売れておるにもかかわらず低い数字を報告したというので、認証保留という制裁をしておるわけです。認証しないわけですよ。君のところは神奈川県では何部売れておるということを協会が認証しない。ということになりますと、広告主との間でいろいろなトラブルがあるという、これは逆な現象なんですね。多過ぎてもいけない、少な過ぎてもいけないわけです。ここの場合には正直なことを言ったがゆえに認証が保留をされておるという1つの例であるわけです。

ABCレポート、社団法人としての公益性が議論をされておるわけでありますけれども、このレポートは一体どうなっていくのか。大変な権限を持つ協会ということになるのですが、通産省は今後このABCに対する対応をどのように考えられますか、お伺いしたいと思います。

[164]
説明員(通商産業省産業政策局商務・サービス産業室長) 江崎格
このレポートのあり方につきまして、実は昨年5月でございますが、発表されております数字の中に、これは各家庭に配達された新聞の部数の合計であるというような印象を与えるという御指摘が当時ございまして、その後私どもABC協会を指導いたしまして、これは発行本社が販売店に売り渡した部数の統計であるということをむしろレポートに明記するようにという指導をいたしました。

実は先生御指摘のように販売店から各家庭に配達されるものの合計がとれれば一番いいわけでございますが、これは全国に非常にたくさんございます販売店の集計が事実上非常にむずかしいということで、むしろ誤解を与えないようなことを明記をするということでレポートの数字を受け取っていただくというふうに指導したところでございます。

今後も調査の仕方その他につきまして、このレポートが発行本社の競争をあおることがないようにわれわれとしても十分指導してまいりたいと考えております。

[165]
公明党 草川昭三
簡単にこの協会の動きを見ることなく、事の非常に深いレポートを発行することになるわけですから、ぜひ慎重な対応をしていただきたいと思います。

これは前に聞けばよかったかもわかりませんけれども、なぜこのレポートがこわいのかということは、結局いまの新聞社の収入の中で新聞発行の収益、売り上げと広告収入との割合のバランスが崩れたからこそ問題があると思うのです。

これは公取にお伺いしますが、現在の平均的な数字でいいですから、広告収入と販売収入との比率はどのようになっておりますか。

[166]
説明員(公正取引委員会事務局取引部取引課長) 植木邦之
御指摘の点でございますけれども、これは新聞協会さんがお調べになって発表されている資料でございますが、まず55年のところまで推定という数字が出ております。これによりますと、新聞の販売収入が48.7%、広告収入が40.9%、その他の収入、これは出版とか事業の収入でございますが、それが10.4%ということでございます。

この数字は若干年によって変動するようでございますが、それほど大きな変動はないように思われます。たとえばその前年の54年について見ますと、販売収入が47.9%、広告収入が41.7%、それからその他の収入が10.4%、これは同じでございます。そのようになっております。

[167]
公明党 草川昭三
いずれにいたしましても、広告収入が新聞社の収入に非常に大きいだけに、このABCレポートというものが重大な役割りを果たすことになるわけでありますし、やはりいまのままでいきますと大きいところが勝つわけですよ。

いま宇宙時代になりまして、やがて放送衛星が打ち上がる、あるいはテレビも文字多重時代になりました。文字多重時代になりますと、自分の好きなチャンネルの中から任意に株式であろうとスポーツであろうと取捨選択ができる。しかもそれをコピーできる。だから、自分の家でやがては新聞というものが手に入る時代になるわけですよ。そういう時代になりますと、いまのように新聞販売店が競争をしておるとするならば、あるいはまた新聞販売店に競争させるような営業政策を新聞社の販売局がやっておるとするならば、これは自滅行為につながることは間違いはないと思うのです。新聞はやはり新聞の社説で、あるいは新聞社のイデオロギーで、あるいは新聞社の持つ性格で読者に購入を求める、こういう時代が来ておるので、それを忘れる限り、せっかく世界に誇るべき新聞をつくっても私はだめだと思うので、これはとりあえずは通産省の指導と、公取は過当競争防止の協議会をつくれということを言い、新聞社の間でも過当競争防止の協議会をつくっておるわけでありますから、これを徹底的に私はやっていく以外に解決はないと思うのです。

そういう意味で、公取から今後の指導についていま一度決意をお聞かせ願いたいと思います。

[168]
説明員(公正取引委員会事務局取引部取引課長) 植木邦之
先ほどもお答えいたしましたが、私どもといたしましては、新聞協会と申しますか新聞協会の中にあります新聞の公正取引協議会に抜本的な対策を講ずるようにということを申し入れておりまして、さらに個々の違反行為があれば取り締まる。

それから、増減管理センターはきちんとやっていただきたいということで再三再四要望しておりまして、その線に沿ってやっていく所存でございます。





昭和58年03月07日 衆議院 予算委員会第六分科会
[123]
公明党 草川昭三
公明党・国民会議の草川昭三でございます。

きょうは私の方から、新聞販売店を取り巻くもろもろの問題についてぜひ大臣に聞いていただきたいわけでありますし、特にきょうは通産省所管の「ABCレポート」というのがありますので、それを取り巻く問題に触れていきたいというように思います。

私は、昨年の本委員会におきましても、新聞業における取引の実態は非常に問題が多い、特に販売店に従事する方々の労働条件、あるいはまた奨学金でたくさんの販売店の配達員を募集したりしておるわけでございますけれども、その奨学金も奨学金ではなくて単なる前借制度にすぎないのではないかというようなことも申し上げてきたわけでございますが、しかし、何せ4700万、5000万近い日刊新聞というのが実際私どもの日常生活の中に溶け込んでおるわけでございます。しかも日本の新聞というのは世界でもすぐれた情報機関だと私思っておりますけれども、一たん新聞社から発送されたその後の流通過程というものは、恐ろしくこれは前近代的というのでしょうか、後ほど質問いたしますけれども、公正取引委員会もさじを投げたというような状況というのがあるわけであります。

しかも、91%が戸別に配達をされておるわけでありますが、押し紙、拡材、無代紙の提供あるいはまた悪名高き拡販団と称する別働隊の強引な勧誘というのは依然として後を絶っておりません。

新聞というのはだれが何と言ったって新聞の紙面の優劣あるいは個性によって読者に購入をしてもらうという大原則があるのでありますけれども、紙面の優劣には全く関係がないわけであります。

それで公取も56年の2月に改善案を提示をして、1年3カ月の余裕を持って昨年の6月、業界みずからが正常化を約束をし、ことしの1月どの家庭にも配布をされております「新聞の正常販売にご理解を」というこういうチラシで、無料配布はしません、スポーツ紙の土曜、日曜のサービスはしません、定価の割引販売もしません、景品類の提供もしませんと配っておみえになるわけです。

ところが、たまたまことしの2月の、もう名前を挙げたらびっくりするような優秀な新聞社ですけれども、それの請求書の中には、れっきとして拡張料の請求があったり、あるいは拡張奨励金、いわゆる景品代です、景品代の本社負担分を5万円なら5万円を持ちますよという請求書を私は持っておるのです。

1月に出しておいて2月に相変わらず舌の根も乾かないうちにやるわけです。これがもうわれわれが日ごろ尊敬するいまの日本の新聞の一流の社説なり報道記事に裏打ちをされる現場の実態かと思うと、余りにも乖離がひど過ぎると思うのです。ひとつそういうことを主題にきょうは議論を進めさせていただきたいわけでございます。

問題点を販売店にしぼります。販売店というのは非常に御苦労な立場にあるわけでありますが、最近販売店の倒産あるいは夜逃げ、私の後援会にも実は夜逃げしたいのがいるのです。非常に苦しんでおるということでお店をやめた方もおりますが、なかなか倒産、夜逃げの数というのはつかみがたい点があると思います。たとえば本社が肩がわりをしてしまうということで数字にカウントされない例がございますが、ひとつ東京都内だけでもいいので、最近の販売店の現状について報告をしていただきたい、こう思います。

[124]
政府委員(通商産業省大臣官房審議官) 斎藤成雄
新聞販売店の数でございますが、55年の商業統計で54年の6月1日現在で全国に1万8600ございます。これが御指摘のように廃業とか新規開業とかあるいは吸収合併とかいろいろ変化が激しいものですから、これについて十分ウォッチできる状況にございませんで、全国団体でございます日本新聞販売協会でも全国の状況については掌握できてないという状況でございます。

たまたま御指摘のように東京都の分につきましてはこの新聞販売協会で調べた数字がございまして、昭和50年に新聞販売店が東京都23区内でございますけれども1367ございましたのが55年には1349になっておる。単純な計算をいたしますと18店減ったということでございますが、この間における廃業というのが表に出ないかっこうでございまして、その数が429というふうに報告を受けております。

[125]
公明党 草川昭三
5年間に429店舗が廃業になったというわけであります。それで、これもパーセントで言いますと約3割、31%が廃業になっております。

これは名前を挙げた方がいいのかどうかわかりませんけれども、たとえば朝日新聞のような新聞社でも廃業が51店舗で14%であります。毎日新聞の場合でも151店舗で51%、読売新聞が74店舗で20%、日本経済新聞が30店の廃業で28%、サンケイが98店舗で56%、東京が25店で31%。

こういうようにわずか5年の間に廃業があるわけですから、これは本来は中小企業対策としても重大な関心を持たなければいけないわけです。それは、日本の中にはもろもろの産業がございますが、営業をしてわずか5年の間に3割近くがやめなければいけないというのは、どこかに欠点があるわけです。景気、不景気という問題ではないわけですから。

しかも、私がいま名前を挙げたのは全国紙で一流紙です。どの新聞を取り上げても非常にりっぱな新聞であります。だから、まずいわゆる商品という意味で言うならば、文句のつけようがないものを扱っておる。

しかし、なぜ3割の店が5年間でつぶれなければいけないのか。これを少し解明していかなければいかぬと思うのです。

そして、これをいろいろと追求してまいりますと、昨年も取り上げたわけですけれども、販売部数ということにどうしてもノルマがかかるわけですから、耐え切れなくてやめるということになるのでしょう。

ABCレポートというのがあります。これは新聞社がいわゆる広告収入を上げる場合の1つのめどになるわけでございます。ちなみに、最近の数字は変わっておるかわかりませんが、新聞社の収入というのは広告収入が46%、販売収入が43%だ、こういうわけで、大変大きいわけですから、どうしても広告に依拠しなければなりませんが、それは販売部数に当然のことながら比例をするわけです。ですから、このレポートというのはどうしても水増しになるわけです。実質売れる以上の部数になる。その差額が販売店にいわゆる押し紙というのですか押しつけになる、これに耐え切れない、こういうことになるわけですね。

押し紙の実態でございますけれども、日販協では依然8.3%は押し紙の実態じゃないか、こう言われております。ちなみに4700万部に掛けると、全国で約400万。これは相当なものになります。一部2600円ですから、2600円で計算したら、これだけの金額でも膨大なものになるわけであります。

もう1つ数字をどこで見るかというと、実は新聞の販売管理センターというのが――公取の方からもいろいろな話がありまして、親会社、いわゆる本社にもう今月はマイナス500になりましたと言って押し紙を返そうと思っても、なかなか返せませんから、いわゆる販売管理センターというのをつくって、そこを通じて発行本社に来月はこれだけの数にしてくださいよ、こういうことを言う、そういう意味で販売管理センターというのができたわけでございます。

販売管理センターで発表する数字とそれからABCレポートが発表する数字とは、おのずから食い違うわけですね。これは一体どちらを信用したらいいのでしょうね。どうです、これは。

[126]
政府委員(通商産業省大臣官房審議官) 斎藤成雄
御指摘のとおり、販売管理センターで数字が掌握しやすいわけでございます。実際に販売店の方で数字をとるわけでございますから、数字としては販売管理センターでまとめた数字が実態に近い。新聞社が販売店に送付した、要するに販売店に対する原価請求の部数というのは、御指摘のように実数を上回るというふうに受けとっております。

[127]
公明党 草川昭三
それで、いま押し紙の実態が余りにも多過ぎるので、それで販売管理センターというのをつくって正直な数字を出そうということになったわけでしょう。ところが、販売管理センター自身が数字を発表できないシステムになっているのですね。いわゆる3社立ち会いのもとでなければというのですが、その3社というのは朝日、毎日、読売の販売局長が立ち会わないと、自分たちで自主的に管理した数字が発表できないわけですよ。

だから、これもわれわれにはわからない。これは僕たちにはわからなくてもいいのですけれども、たとえば広告主に対する欺瞞になるわけですよ。広告主にしてみれば一体どの数なんだろう、こういうわけです。

これは非常に問題があるのですけれども、昨年の12月から始まりましてことしの1月、2月というところで、東京の管理センターで私どももいろいろと探してみたら、恐ろしいですね。たった2カ月で本当の正直な数字が出てきたのですね。たとえば読売は12月から1月の間で東京都内だけでマイナス1万6000部というのが出てきたのです。あるいは朝日は1月から2月でマイナス7200部というのが出てきたわけです。毎日は同じ月で約2万部というのが出てきたわけです。サンケイはマイナス1万2000部というのが出てきたのです。東京もマイナス1万5000部。合わせただけでも、本当にちょっと調べただけでも東京都内で10万出るのです。この10万というのは、販売店がお金をもらえないのだけれども本社に納めておるわけです。これはどういうことですかね。それこそ通産省の問題だと思いますけれども、販売店の負担で親会社はのほほんとしておるわけです。

たとえば10万部だけでも、2600円掛ける10万部で2億6000万です。東京都内の零細な新聞店がいままで2億6000万を抱え込んじゃっているわけです。いま申し上げたように全国で約8.3%で400万部としたって、約100億でしょう。100億を超すわけです。104億になるわけです。それがみごと新聞社の収入で入っちゃうのです、読んでない金が。これは近代国家として、文化国家として私は許されないことだと思うのです。大臣、途中ですが、ぜひ一遍答弁してください。

これは幾ら言ってもあすの新聞には絶対載らぬことになっていますから、思う存分言ってくださいよ。

[128]
通商産業大臣 山中貞則
なるほどね。そこのところにまた問題があるのじゃないでしょうかね。たとえば、いまのは別なチラシでしたが、普通の日刊紙に「購読者の皆様へ」という、これぐらいの大きさの「資材、人件費等の値上がりにより来月から値上げいたします」、それに対する抗議の投書も、新聞資本も入っていますからテレビでも、値上げには大体消費者の反対がつきまとうのですけれども、何にも表示する場所がない。そういうようなところから、いま幾ら言ったってあしたの新聞には出ないからとおっしゃったのでしょうが、そこらのところは、新聞の持つ公器性というものもあるわけで、事業税等は非課税にまでしてあるわけですから、一定のモラル、紙面創作の方のモラル、それから販売する収益の方のモラル、両方なければならぬと思います。

しかし、かく申す私も記者をしていたことがありますので、そこのところは結局広告収入といま言われた――そのからくりは後の方は実は私は知りませんでした。発行部数幾らだから横何センチ幅で広告料幾らというふうにずいぶん違います。だからそこらのところで、社の営業の方針としては計算のもとになる発行部数をなるべく多く確保したいし、あるいは見せかけるというのはおかしいでしょうが、いま言われたような押し紙ですか、そういうことが言われているとするならば、見せかけの発行部数による実際の広告の収入ということになるわけでしょうから、これは被害者は広告主、広告を出す人ということになるわけでしょうか。そこらのところで私としては、この仕組みの中に問題がありますならば、その仕組みはぜひ、公共の立場にある、ペンは武器よりも強しということで紙面をつくっておいて、裏ではあこぎな商法と言われないようにしてもらいたいものである、そういうふうに思います。

[129]
公明党 草川昭三
いま犠牲は広告主というお話もありましたが、日本の省エネルギーからいっても販売店から――御存じのとおり包み紙になっていますわな。ひもでくくってあるものを、専門の残紙屋という商売があるわけですけれども、梱包のまま販売店からパルプ会社というのですか、製紙会社にそのまま戻るわけですよ。

わが国の省資源からいっても残紙屋というようなものが存在をすること、あるいは関西では古販屋というんですね。いわゆる残紙屋のことですよ、回収業者ですね。スクラップというのは、使ってスクラップになるわけです。新聞も、読んで意味がなくなったからくず屋さんに渡すわけですが、読まないそのまま残紙屋なり故紙屋に、古販屋に回るということは、私は、これはいま申し上げたように非常に問題があると思っております。





昭和58年05月17日 参議院 商工委員会
[232]
日本共産党 市川正一
そこで、時間がないので前へ進みますけれども、公取の方は押し紙規制のためにも増減を管理する管理事務所を全国68の支部協ごとに設置するよう指導しておられるわけですね。

ところが、この管理事務所に当たる機関は全国で現在のところ20数カ所しかできてないんです。そして管理事務所がつくられているところ、たとえば、京都と滋賀が2府県合わせて1カ所、それから和歌山と奈良合わせて1カ所、こういうふうに1支部協1管理事務所というふうにはなっておらぬのです。おまけに管理が行き届かなかったためにいろいろこれはやっぱりトラブルが後で申しますが、起こっておる。早急に私は支部協ごとに設置するように公取委としては対処さるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

[233]
政府委員(公正取引委員会取引部長) 奥村栄一
確かに先生おっしゃいますように、強力な指導をいたしておりまして、形の上ではただいま68支部協の上でカバーしていないところが2カ所か3カ所ぐらいでございます。その内容につきましては、いま先生おっしゃいますように、1事務局でたとえば2支部協の範囲を管轄するというふうな点もございますから、行き届いていない面もあろうかと思いますけれども、その点につきましても業界からの回答は各支部協ごとに事務局をつくるということで回答参っておりますので、若干の時間のずれはあろうかと思いますけれども、速やかに設置するよう今後とも強力に指導してまいりたい、このように考えておるわけでございます。

[234]
日本共産党 市川正一
強力に指導してほしいんです。

それからあわせて管理事務所の運営の問題なんですけれども、たとえば、大阪の例をとってみると、新聞社から、発行本社から出向した販売担当者が管理事務所の所長になっておる。また、管理事務所の運営経費も各発行本社の負担で賄われているわけです。本来押し紙は、発行本社が一方的に押しつけてくるケースが多いことは公取委御存じの通りなんです。

私ここに持ってきたのは、奈良県の北田さんという方が数年間にわたって押し紙やその他拡材の問題をいわば資料を証拠として出されたものをまとめたやつです。この中にも、北田資料の中にもその実態が明らかになっておるんですけれども、したがって押し紙を取り締まるべき管理事務所が、これでは公取委が提言されている「違反を発見した場合、その処理を確実に行う」という内容での実効はきわめて期待しがたいおそれがあるんです。ですから私は管理事務所の役割りが実効あるものになるように、実態をぜひ調査して対処していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

[235]
政府委員(公正取引委員会取引部長) 奥村栄一
販売管理センターは、新聞販売の正常化のために重要な役割りを果たすわけでございまして、その所長、事務局長は公正な第三者に就任していただくというのを基本にいたしているわけでございます。

ほとんどは大体そういうふうになっているように聞いております。いま先生御指摘のように、かつてのOBが就任しているところも皆無ではないんでございますけれども、その場合には各社それぞれ利害関係もございまして、十分その人選については公平に対処できる人を選んでいる、このように考えているわけでございます。

以上でございます。

[236]
日本共産党 市川正一
いわば押し紙を押しつけているのが押し紙の取り締まりをやるというふうなことになるのではどないにもならぬということを言うているので、そこをやっぱりよう調べてほしい。





昭和60年03月26日 衆議院 物価問題等に関する特別委員会
[175]
公明党 草川昭三
全国の新聞の販売店の店数が約2万3000軒、従業員の方々が43万7000人、大変な事業所であり産業でもあるわけでございますけれども、こういう方々の労働条件というのは極めて劣悪であり、これは最後にお伺いをしますけれども、労働省あたりも、基準法上非常に問題があると常々指摘をしておるわけであります。

そこで、一体親会社の方の新聞というのはどの程度現在発行されているのか。朝日、毎日、読売、全国紙があるわけでございますし、その他ローカル紙、さまざまなものがございます。日本ABC協会というのが社団法人であるわけでございますが、月別のレポートというのが出ております。概略で結構でございますから、朝日、サンケイ、日経、毎日、読売、こういう中央紙の朝刊だけで結構でございます、販売部数を、ラウンドナンバーで結構でございますから、答弁を願いたいと思います。

[176]
説明員(通商産業省産業政策局サービス産業官) 菅野利徳
主要新聞の発行部数でございますが、ABC協会のレポートによりますことしの2月の数字でございます。読売新聞が朝刊で890万部、朝日新聞が750万部、毎日新聞が419万部、日経新聞210万部、サンケイ新聞199万部、こういう結果になっております。

[177]
公明党 草川昭三
こういう数字もなかなか一般には発表されないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、このような新聞を2万3000軒の方々が配達をしていただいておるわけでございますが、販売店の経営が悪くなりまして、倒産、夜逃げあるいは店を買い取ってもらうというような例はたくさんあるわけでございます。

この前私、東京都内の転廃業の方々の数が予想外に多いという数字を示しましたが、実はこの数字というのは、例えば公正取引委員会も通産省も、もちろん経済企画庁も、中小企業の現状ということでつかんでおみえになりません。

この倒産件数なりそれから転廃業、いわゆる店がかわる、私はこのことの数字だけはきちんと一遍把握をしてもらいたい、どこの省でも結構ですから。私どもがお伺いをいたしますと、5年の間に3分の1の店主がかわるというわけです。これは、平均をするとほぼこういうわけですね。それだけ実は販売店の現状というのは苦しいわけでございますが、ひとつどうでしょう、通産省本気で、ABCの統計をとっておみえになるわけでございますから、店の転廃業、どういう理由で店主がかわっていくのかということを今後調べる、あるいは販売店の組合を通じてもその資料をとって公開をすることが大切だと思うわけですが、どのような考えか、お伺いをしたいと思います。

[178]
説明員(通商産業省産業政策局サービス産業官) 菅野利徳
新聞販売店の倒産、廃業等の状況を統計として把握する可能性いかんということであろうかと思いますけれども、個別の業種について統計的に詳細な把握をするというのは、いろいろな意味でなかなか難しい問題があります。御指摘の点は一応念頭に置きまして、今後いろいろ難しい問題があるということをお含みおきの上で検討させていただければと思います。

[179]
公明党 草川昭三
どうあろうと、ひとつその数字をつかむことが非常に重要だと思いますし、この問題はそう簡単に結論がつきませんので、時間が多少かかっても結構です、業界の組合を通じてでもいいですから、転廃業の実態が公表されるよう資料を求めたい、私はこう思います。



[189]
公明党 草川昭三
それで、普通の企業が物を売るとか、先ほどおっしゃいましたように企業努力をするという場合には、本社が特別に懐にお金を持っていて、販売促進のためにPRをするとか、あるいは側面的な応援をする、これで営業活動というのは成っていくわけです。ところが、それはトータルとしてはその会社の売り上げ原価には入ってくることになりますから散らばるのでございますけれども、新聞のように明確に定価の中で、店の取り分、基本手数料は890円ありますよ。そのほかに、取った取られたの奨励金なり、あるいはまた今から申し上げますけれども、残紙という問題があるわけです。いわゆる押し紙という問題があります。その残紙、押し紙に対する補助料というのがこの中のどこかにたくさん入り込んでいるわけですね。今私が申し上げましたように、本社の手取りが580円よりない。ということになると、あれだけの大きな新聞社がどうやって経営をしておるか、用紙代にもならぬわけですから。当然のことながらそれは広告料の収入に依拠する以外にはないわけですね。

そこで一体、新聞にかかわる広告費というのはどの程度のウエートなのか。これは前回私は45%から50%を超すということを申し上げたわけでございますが、ひとつトータルの意味で、これは通産省の方に、一体新聞にかかわるところの広告費というものはどの程度のものかお伺いをしたい、こう思います。

[190]
説明員(通商産業省産業政策局サービス産業官) 菅野利徳
広告費の額でございますけれども、これにつきましても公的なデータというのはございません。ただ、電通が「日本の広告費」という本を出しておりまして、その中で媒体別にどれだけの広告費が使われているかというような統計がございますので、そこから引用をして答弁させていただきたいと思います。

一応そのデータに基づきますと、新聞媒体を通じての広告費でございますが、昭和58年で8369億円、総広告費の約3割を占めるという形になっております。

[191]
公明党 草川昭三
だから、新聞社は結局この広告費で赤字を救っておるというのですか、利益を上げておる、こういうことになるわけですね。これは当然そういうことになると思うのです。そこで、そのパーセントは、総売り上げはそれぞれ各社によって違いますので、正確にはかるわけにはまいりませんけれども、45とか50とか55という、半分は広告収入に依拠せざるを得ないということになるわけでございます。

そこで、では今度はスポンサーがいるわけです。新聞に広告を出す以上は、当然のことながらその新聞がよく読まれているかいないかによって広告料金が違うわけです。これは当たり前な話でありますね。そこで、先ほど一番最初に御質問申し上げましたABCレポートというのが社団法人によって出されまして、ここでABCレポートというのは、各新聞社がそれぞれの販売経路を通じて販売した販売部数というもの、いわゆる発行部数ではない、売った部数がここにカウントされますよというので、朝日は今月は753万売りましたといってよく読まれておりますからひとつスポンサーよ、こういうことになりますね。読売は今月890万売りましたよ、こういうことになります。こういうことで、それぞれスポンサーと新聞社との間で広告料金というのが決まることになりますから、このABC協会の、少なくとも販売経路を通じた販売部数というものは、業界にとっても大変大きな影響力を与えることになります。

そこで、これも販売正常化でかねがね言われておるわけでございますけれども、各社そろって売った部数というのを上げようとするわけです。一生懸命売るわけです。だから、例えば創立50周年だ、あるいは100年だというような記念で1年間特別に増紙のキャンペーンを張るとか、あるいは何とかの大きなお祭りがあるから、あるいは市制何とかだ、県の何とかだということで、本社が販売店に非常にプレッシャーをかけてくることになります。当然のことながら販売店は一生懸命売るのですけれども、現地では、売った買った、取った取られた、あるいは拡販団がやってきて、ごそっとどちらかに抜かれてしまったというような、切った張ったの戦争が現地ではあるわけですね。そこで、どうしても売れない、戻さなければいかぬ。ところが、戻すと、売れませんということになりますと、本社の方は困るわけですね、少なくともプラスアルファでどんどん増紙のキャンペーンをやりたいわけですから。

そこで、押し紙だとか残紙だとかという言葉で言われておりますけれども、結局新聞の売れないのを抱え込んでしまうわけですね。これが相変わらず押し紙、積み紙、いろいろな言い方をされておりますけれども、販売店の非常な悩みになっておりまして、私どもがこの国会で取り上げましてから、販売の正常化のために管理センターというのをつくって、それでふやす場合、増紙、減らす場合、減紙の場合は第三者のセンターを通じて親元の発行本社に新聞の部数を注文しようじゃないか、そうすれば親元からの圧力が加わらないからいいというような意見から管理センターというようなものもできたわけでございますけれども、これがなかなかうまく稼働をいたしておりません。そこで公取に、この残紙あるいは押し紙というものについてどのような指導をしておみえになるのか、ひとつお伺いしたい、こう思います。

[192]
政府委員(公正取引委員会取引部長) 利部脩二
まず押し紙、積み紙でございますが、これは独占禁止法に基づく新聞業の特定の不公正な取引方法というものがございまして、その中で新聞販売店が注文した部数を超えて新聞社が販売店に新聞を送りつける、それでその代金を徴収するという行為は違法行為だというふうに規定しております。これは主として、新聞社に対して弱い地位にある販売店を保護する観点から定められた規定でございます。そういうことから、今のような押し紙、積み紙が新聞社の違法行為になります。

ただ残念なことに、その違法行為であることを明確につかむことが、御指摘のとおり非常に難しいわけでございます。

そういう観点から、おっしゃいましたように、その実際の注文部数、実際に購読されている部数等を客観的に把握しようということで、販売管理センターというものを業界の中で地域ごとにつくるように指導したわけでございます。一部の地域ではそういうセンターができておりまして、ある程度機能しております。また、その他の地域では、販売管理センターという名の組織はできておりませんが、同様の機能が新聞業界の自主規制の組織である公正取引協議会の支部の組織の中につくられておりまして、ある程度機能しております。

ただ、目標とするところからは、遺憾ながら遠いといいますか、目標を達したとはまだ言えない状況だと思います。これについては、さらにこの面での自主規制を強化するように指導を続けておりますし、同時に公正取引委員会も、公取の職員、地方にもございますけれども、それを使いまして、特に問題の大きい、販売競争の激しい押し紙、積み紙等がしばしば行われるような地域につきましては、公正取引委員会の職員みずからがパトロールをして違反行為の摘発に努めるというような方法を講じております。

[193]
公明党 草川昭三
公正取引委員会の非常に数の少ない担当者の方々が、各地域で大変苦労をなさってみえることは、私は多とするものです。地方では、公取の方々というのは本当に数が少ないわけですからね。また、このほかにいろいろな訴え、さまざまなものが出てきておるわけでございますから、新聞販売のことだけにかかわり合っていられないという苦しさはよくわかりますけれども、これはひとつもっと厳重に指導していただきたいと思うのです。

私のところへたまたま山陽道の販売店の方の手紙、これは読むといいのでございますけれども切切たる手紙でございます。例えば「増減管理センターは、販売店がここを通じて発行本社へ注文することになっていましたが、店においては」、店というのは販売店ですが、「その発行の増減管理センターの電話番号さえ知らされず、新聞社がすべて」――親元ですよ、「親会社がすべて報告し、信託銀行の金庫に保管されている書類は各社立ち会いのもとに初めて閲覧が可能であります。」こういうことなんですね。それで、信託銀行の金庫に保管されている資料というのは、いわゆる管理センターの実際の増減の数の問題だと思いますね。

私は、この際これは公表を――この数はABCとしての報告があるわけでございますが、増減管理センターの数字というのは、各社が立ち会いでなければいけないとか、そうではなくて、きちっと行政指導で、毎月の増減管理はそれぞれ地区において発表しなさい。そうすると手の内は全部わかってしまうわけですから、スポンサーも安心するわけですよ。

私どももいろいろなスポンサーの方とお話をすると、それぞれ実際に地域での影響力をみんな知っていますから、それで契約をしておるわけです。だから私は、新聞店いじめみたいな形でやられるようなABCレポートだとか管理センターのあり方というのは問題があるような気がしてなりません。公取は、この管理センターなりあるいは地区の委員会に、複数で業務に従事をしろとかいろいろなことを言っておみえになりますけれども、この事務局長の身分というのは協会の身分でございますが、複数でやれと言われる事務員の方々は、その地域のところで持たなければいけないというので、雇用主が違うというようなこともございまして、問題が非常にふくそうをいたしております。

そこで、余り長くなっても問題がございますが、1つは管理センターの数字の公表化を図るということについてどのようなお考えか、お伺いをしたいと思います。

[194]
政府委員(公正取引委員会取引部長) 利部脩二
現在まで、公表化のところまでは私どもの方も検討したことはございませんが、その前に、少なくとも各販売店の実際の部数等を正確に把握できるように、その関係の帳簿、書類を必ず備えつけるとか、それから公正取引委員会ないしは公正取引協議会等の自主検査の場合に、抜き打ちで検査しても資料が得られるとか、そういう仕組みをまず考えてみたい、まずそれを徹底させたいと考えております。

[195]
公明党 草川昭三
それはそれでぜひやってもらって結構ですが、今でも、この協議会の方もパトロールをやろうということでやっておみえになるわけですよ。ところが、通知があるのが、あしたやりますよ、こういうことらしいのですね。それで翌日行かれる。その間に本社の方から販売局の方々が来て、こうだからひとつこうしろと言って、もう何か名簿ができておるのだそうですね。これを見せろということなんです。ところが、経理上はやりくりが大変ですから、複式の簿記をやっているところでは、そんなこと言われたってやれっこないわけです。ということになると、押し紙というのですか、その差のある分だけはもう1軒出張所を設ける、いわゆる下請ですね。その出張所分ですよという統計の数字を発表するんだそうです。ですから、抜き打ち検査に来た方は、実際売っておる部数と実際押し紙を受けておる差は、出張店の数字を見せられるということで、おたくの社はえらい出張店扱いが多いんですねなんという話が、私調べてみると現実にあるわけです。しかし、その人が本当に下請というのですか、出張店なのかどうかをフォローアップするという努力は、残念ながらできないわけでございまして、そこら辺の問題をいま一歩踏み込んでやっていただきませんと問題があると私は思うのです。

この増紙の問題については、さる有名な大新聞でございますけれども、大阪において物すごい水増しの申請を、その会社挙げて中央本社に報告をした。それがばれて、その会社の場合は重役が責任をとられたというような深刻な押し込み競争が、実は新聞界には行われるわけであります。こういうことについて、どうでしょう、せっかくABC協会がこういうことをやっておみえになりますが、承知をしておるのかどうか。

同時にまた、昨日この新聞の方の協会の方々で、販売正常化に対するいろいろな要求なり勉強会というんですか、理事会をやっておみえになるようでございます。そういうようなことで発行本社との販売適正化についての議論があったやに聞いておるわけでございますが、どのように承知をされておるのか、お伺いをしたいと思います。

[196]
説明員(通商産業省産業政策局サービス産業官) 菅野利徳
先生御指摘の前者の点でございますけれども、従来通産省におきましては、販売担当者がいろいろ更迭等の問題があったというようなことについて承知してはおりませんでした。

後段の点でございますけれども、昨日日本新聞販売協会の方におきまして理事会が開かれたということで、販売正常化の問題についてもいろいろ議論がなされたというようなことにつきましては報告を受けております。



[201]
公明党 草川昭三
まとめの答弁もまたいただきたいわけでございますけれども、結局今のままの過当競争が続き、そして押し紙等はなくする――公正取引委員会は2%でございましたか、3%でございましたか、押し紙はもうこれ以上はだめだと言っておるのですが、私が聞いたところでは今なお10%を超し、そして地方のローカル新聞に行けば行くほど15%ぐらいの押し紙がある、こういうわけであります。その分だけは店主が、どっちにしても払わなければいかぬわけですね。ということになりますと、労働条件は下がる、それからアルバイトも非常に劣悪な条件になる、基準局からはもう重点的に指導しなければいけない。間に入るのはいわゆる販売店の店主になるわけであります。

私のところへ来た手紙も、なお末筆に、勝手ながら文中で用いました地区名等より当店の名前が万一新聞社に漏れると、改廃を含めてどのような処置があるかもわかりません、この点を御理解の上、店名の見当がつかないよう特別の配慮をお願いするという、今どき日本でこんな手紙が来るなんというのは、よほど劣悪な労働条件のような気がしてなりません。日本の国でこんな手紙が来るようなところはないと思う。しかもそれが新聞という、日本の報道機関という、それこそ日本の、文化国家の一番のところでこういう手紙が来るわけですから、一体どうなっておるのかということを私は最後に指摘をせざるを得ません。

そういう意味で、私もこれは今後非常に長期間かかると思いますけれども、本気でやれば親会社ももうかるわけですよ。先行投資ができるわけです。1つのたらいの中の綱引きをやっているだけですから、ちり紙だってタオルだって、そんなに皆さん欲しいわけじゃないわけですよ。そんなものは、なければないで済むわけです。だったら、新聞業も安定し、販売店も安定すると思います。

そういう意味で、長官、ぜひ国民生活の立場からもこの問題は真剣に考えてもらいたいと思うのです。私が今申し上げたことについて、ひとつ今度は経企庁として、国民生活を守る立場から感想を述べていただいてこの問題は終わりたい、こう思います。

[202]
経済企画庁長官 金子一平
先ほど来の御意見を交えてのお話を承りまして、やはり日本の報道機関中の雄たる新聞の経営のあり方について、真剣に見直さなければいかぬなと考えておるわけでございまして、今後私どもも、直接介入するわけにはまいりませんけれども、そういう方向でぜひひとつ進めるように努力してまいりたいと考えております。





昭和60年12月12日 衆議院 物価問題等に関する特別委員会
[198]
公明党 草川昭三
違反の行為は減少しているのか、あるいは仮に減少していないとすればその理由はどこにあるのか、お伺いします。

[199]
政府委員(公正取引委員会取引部長) 利部脩二
遺憾ながら、少なくとも現在においてはまだ減少しているとは見られません。

公正取引委員会で消費者モニターというのを全国に持っております。740余名ございますが、この消費者モニターに対しましてアンケート調査の形で、新聞の購読勧誘を受けた際に拡材の提供あるいは無代紙の提供を受けたことがあるかという点で調査をいたしましたところ、消費者モニターからの回答数を分母に、違法勧誘を受けた回数を分子とした違反性向ということで見てみますと、全国で47%ぐらいあります。昨年の同時期37%でございましたので、10%ぐらい悪化したということになります。

違反の回数を発行本社別に見ますと、部数の多いところに部数の多い割合以上に違反が多いという傾向が見られます。消費者モニターにあらわれた違反件数のうちで、全国紙有力3紙の違反割合が9割ぐらいに達しております。

以上のようなデータから見る限りは、違反行為はまだ減少しているとは考えられませんが、理由は幾つかあろうと思います。

まず、新聞の販売部数の伸びが頭打ちになっておりまして、そのため顧客奪取の競争が激化しているということがあろうかと思います。

それから新聞発行本社も、販売店も、新聞販売の正常化を進めなければいけないという点では自覚はしておるわけでございまして、具体的な改善措置は出してきておりますけれども、その具体的改善措置の成果がまだ上がっておらない、少し時間がかかっておるということがあろうかと思います。

それからまた、特に全国紙あるいはその一部に見られますように部数の拡大志向がなお非常に強いというところで、販売正常化が販売の段階まで十分に徹底していないことも大きな理由ではないかと私どもは考えております。

[200]
公明党 草川昭三
今答弁がありましたように、全国紙3社で違反件数の90%を占めるというのは、これはもう本当にいいかげんにしないと問題だと思いますね。同時に、全国紙3つがお互いに責任があるとはいいながらも、そのしわはやはり販売店なり販売店に従事する労働者、アルバイトの方々の労働条件に寄って悪化していくわけですから、私、この新聞販売店の問題は、これはもう公取しかないと思うのですね。

もちろん役所では、ABCという発行部数の関係では通産省等がございますけれども、あるいは文化庁もそれなりの役所でありますけれども、やはり公正取引という面では公正取引委員会がしっかりと御指導願ってやらなければいけない点だと思います。



[206]
公明党 草川昭三
どうやら時間が来ましたので、通商産業省の菅野サービス産業官もお見えになりますし、それから自治省の府県税課長がお見えになりますので、これはひとつ要望だけを申し上げておきます。

今お話がありましたように、なかなか新聞の正常化ということはうまくいきません。その1つは、発行部数に比例して広告収入がある。これは通産省のABCという1つの基準というのですか、このABCという発行部数の認定によって広告収入が決まりますから、押し紙というのが依然として残っている。押し紙をなくそうではないかということを我々は随分主張をいたしまして、一部改善をされておりますが、まだ有力な新聞社の販売店においては相変わらず押し紙というのがあるわけです。その押し紙は当然販売店主の負担になる。そうすると販売店がつぶれる。3分の1が5年間にかわるわけです。というのはつぶれるからで、今度は、仕方がないから本社がまた別な形の補助金を出す、何のことかわからぬというような状況がございますので、ぜひ通産省としてもこのABCのあり方についてはもう少し知恵を出していただいて、客観的な、私が先ほど申し上げましたような実態に応ずる広告収入のスケールというものを考えてもらいたい、こういう要望であります。

それから自治省に対しては、この販売店の事業税だと思いますけれども、今まで特別措置があったわけでございますが、これがことしの4月に廃止になっております。それで、来年の1月1日から来年の12月31日、いわゆる暦の1年間分が62年の4月1日から課税をされるということでございます。この課税の限度についての特例が行われておりますけれども、私は、これはやはりいろいろな税制上の問題があると思いますけれども、新聞販売店の特殊な状況ということも考えられて、ぜひ従来の事業税の取り扱いが残るようにしていただきたい。そして、零細な新聞販売店の経営を十分認識をしていただきたいということを要望いたしまして、質問が残りましたけれども、私の質問を終わりたい、こう思います。

以上です。





平成09年06月12日 参議院 商工委員会
[064]
日本共産党 山下芳生
昨年の質問後、現地の協議会に指導したと、ところがその後も残念ながら事例が生じているというお答えだったと思うんですが、私も手元に昨年の質問以降、兵庫県相生地区で提出された申告書の写しを持っております。おっしゃるとおり、事態は全く改善されておりません。

昨年の2月22日からことしの2月19日までの1年間に公取に告発した件数というのは17回で72件です。内容も悪質化をしておりまして、洗剤も1個上げるというようなものじゃないんですね、そんなかわいいものじゃない。6個とか12個とか20個、これは1万円相当ですよ。それから、ビール1箱、24本、8400円相当あるいは商品券、1万2000円相当などが景品として渡されている。それから、その手法も非常に悪質巧妙化をしておりまして、例えば無代紙を1カ月分まず配達した後で、その後、契約を取りつけて、その契約の期間によって景品を宅急便で送ると。証拠をなくすためにそういうやり方をやる。その上、他社からそういう件に関しての問い合わせがあった場合は言わないようにと口どめをするというふうなことまでやっておるわけであります。

私がいただいた17回72件のうち、公正取引委員会が法的な措置をとったものはゼロ、皆無ですね。協議会の措置としてとられたのが14回64件。残り3回分8件については何の措置もとられておりません。公正取引委員会は業界の公正取引協議会による自主的な努力に期待をこれまでもされてきたわけですが、結局この問題は30年間ずっと続いておりまして、一貫して改善されたためしがないんですね。そのことは今あなたもお認めになった。

ですから、これは業界の自主性に期待するだけでは違反事件はなくならないということだと思うんです。もうはっきりしている、事実によって。こういう事態はもう放置できないと思うんですね。

公正な取引ルールを守らせなければならない公正取引委員会が、直接法律を守らせるように独占禁止法に基づいた法的措置、排除命令等ですね、これをもうやはりとらざるを得ないんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。

[065]
政府委員(公正取引委員会経済取引局取引部長) 山田昭雄
御指摘のとおり、若干数字は違いますが、かなりの違反、景品提供の事実があり、ただ、それに対しましては公正取引協議会というところで自主的な措置もとっているということも事実でございます。新聞の景品つき販売につきましては、私どもとして、基本的にはやはり自主規制の運用に任せ、そしてそれを徹底的にやっていただくということが必要であると考えておるわけでございます。

それと、他方、今の新聞業における景品の制限というのは、一切の景品は出してはいけないという、こういう規定になっておりまして、ほかの商品について考えてみますと、昨年4月以降、経済社会の変化から景品規制につきましては一般的には告示の見直しというのを行ってきておりまして、それに即した形で公正競争規約という業界の自主ルールも改めるようになってきているわけでございます。告示がありました公正競争規約のうち、既に24の規約につきましてはそのような見直しを行ってきております。新聞業界に対しましても、公正競争規約の見直しにつきましての検討を求めているところでございます。

また、その見直しに当たっても、一般規定の改正の趣旨に即して、原則禁止、一切だめだということではなくして、現在の経済情勢、社会情勢に合わせ、また消費者にとってもいろいろ選択の多様性を与えるということが必要じゃないかというようにも考えておるわけでございます。今、この業界におきましてルールの見直しを行っておりますが、ルールの設定にあわせまして、仮にルールを定めたらそれを守るようなこと、そういった手続とか体制とか、そういうのもきちっとつくってもらわなければいけないという、こういうこともあわせてお願いしているところでございます。

今いろいろと御指摘がございました点につきましては、業界の自主規制であります公正競争規約が適正に運営されるように指導するとともに、全国的な実情もよく把握いたしまして、自主規制が機能しないなど、必要な場合には公正取引委員会としての対応も検討したい、このように考えておるわけでございます。

[066]
日本共産党 山下芳生
自主規制がもう機能していないということを事実が証明しているんですよ。にもかかわらず、いつまでも公正取引協議会の自主的な取り組みに任せるということを繰り返して、市場の番人としての役割を果たしていけるのかと、公正取引委員会として、という私は問題提起をしているんです。

しかも、新聞というのは再販制度が維持されている分野ですよ。ここに不当な景品、不当と言っていいかどうか、景品がセットされるようなことを認めるということは、私は再販制度と相矛盾することにもなると思うんです。ですから、そういう点もよく吟味していただいて、いつまでも自主的な取り組みにゆだねるということでは、これは逆に公取の姿勢が問われてくるというふうに言わざるを得ないと思うんです。

最後に、委員長にぜひ伺いたいのですが、公正取引委員会が仮に指導するにしても、私は個々の販売店だけを対象にしていたんではだめだと思うんですね。不正常な拡販をやらせているのは発行本社です。景品やそれから拡張員にかかる費用の半分は本社が持っている。ですから、ここに厳しく対処しなければ改善はできません。

公正取引委員会として、新聞業界に対して何か弱みを握られているんじゃないのかというような疑念を晴らすためにも、厳正なこれは法的対処をすべきではないかと思いますが、委員長の見解を伺って終わります。

[067]
政府委員(公正取引委員会委員長) 根來泰周
私も個人的にそういう事実はよく承知しておりますけれども、一つ建前論を申し上げれば、やはり一般商品と新聞、雑誌等と商品が違うということをしきりに先ほどの再販問題の場合でも言われているわけでございます。私どももその議論の半分ぐらいは了承できるわけでございまして、そういうことからいうと、第4の権力といいますか、そういうマスコミの世界におきまして、やはりその自主規制というのが優先するんであろうと。そこへ役所の者がのこのこと乗り込んでいかなくても新聞界で十分規制できるものだろうと、そういう期待のもとに今まで推移してきたわけでございます。

私どものそういう態度が悪いかどうかということは、これからもう少し考えなければいけませんけれども、基本的にはそういう考え方でございますので、おっしゃることをよく踏まえましてこれからどうするかということをよく考えたい、こういうふうに思っております。





平成12年04月19日 衆議院 商工委員会
[180]
日本共産党 吉井英勝
日本共産党の吉井英勝でございます。

新聞を含めて著作物の再販制度というのは、知る権利と、それから表現の自由を物質的に支えることによって民主主義社会の発展を進めるということと、もう1つ、文化政策的見地からこれがあるわけですが、これを維持していくことは非常に重要だと考えているわけです。これに逆らって、あるいはまた、真の消費者利益を裏切って行われているのが、悪質な拡張販売、拡販と言われている問題です。

そこで最初に、新聞の不当拡販の問題、そして、独禁法、不当景品類及び不当表示防止法にかかわる問題について質問したいと思います。

新聞社が販売店に押し紙を強制していたことで、公取が調査に入って、98年2月18日に独禁法第48条第1項による勧告と審決を出したということを伺っておりますが、まず、この事例の方から伺っておきたいと思います。

[181]
政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) 山田昭雄
御指摘の点は、平成10年の2月に勧告審決いたしました北国新聞に対する件でございます。

北国新聞は、イーグル作戦という増紙計画をつくりまして、そして、販売目標数を決めまして、販売店にそれに合うような注文部数を契約させ、そして、いわば押し紙を行ったということでございまして、当時の特殊指定「新聞業における特定の不公正な取引方法」の第2項に該当いたしまして、独占禁止法19条で禁止している不公正な取引方法に当たるとしまして審決した事例がございます。

[182]
日本共産党 吉井英勝
新聞社の方が販売店に対して押し紙等を強制して、この結果として非常に経済的に困難に追い込まれていく。正常な形で新聞の読者を、販売店もあるいは新聞社そのものも、ふやしていくということで努力するのは当たり前だと思うのですが、ただ、経済的に非常に追い込まれていって、そして無理な拡販に追い込まれる、こういうことになったらやはり大問題だと思うのですね。

ですから私は、今おっしゃったように、新聞社の方が販売事業者に対して押し紙その他をやって、現に私この間も聞いてまいりましたけれども、15%から30%ぐらい常時押し紙がかなり大きい全国紙などでもやられている地域がありまして、こういうことについては、やはり地方の新聞だけではなくて、こういうことによって販売店の方が圧迫されることのないように厳しく対応していくということをやっていってもらわなければならぬと思います。

次に、新聞拡販のために、電子レンジやビデオつきテレビを長期契約者に贈ることをしていた者に対して、不当景品類及び不当表示防止法第3条に基づく公取告示違反で、排除命令を出したものがあるのではありませんか。詳しく聞いておきたいと思います。

[183]
政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) 山田昭雄
最初に、新聞販売発行本社が販売店に対して押し紙をしている点につきまして、ちょっとお答えさせていただきたいと思いますが、販売店の注文部数を超えて発行本社が押しつけてくるということにつきまして、注文契約書ということをつくりますものですから、発行本社の方であらかじめ決めた目標に合った販売数量を注文書に記載させるというような例もございまして、平成12年、昨年の7月に特殊指定を改正しております。(吉井委員「それはまた後でやります」と呼ぶ)

それで、御質問のもう1つの、過大な景品つき販売ということでございますが、これにつきましては、事例でございますが、ことしの3月に和歌山県の新聞販売店4社が非常に多額な、2500円から1万2000円くらい、4社でございます、いろいろ例がございますが、景品制限告示を大幅に超えるような多額の商品券であるとかビール券を提供いたしまして、これにつきまして排除命令を行っております。





平成18年03月24日 参議院 予算委員会
[006]
政府特別補佐人(公正取引委員会委員長) 竹島一彦
我々が議論しておりますのは、活字文化でありますとか新聞の特殊性だとか、知る権利のために戸別配達が大事であるとか、そういうことに対してそうではないということを言っているわけじゃ毛頭ございません。

今の、この特殊指定というのは分かりにくいんですが、一方で再販制度というものがございます。再販制度というのは、本来は独占禁止法によって禁止されている行為につきまして、著作物に関しては例外として再販をやってよろしいと、民民規制をやってよろしいということでございまして、これは独禁法にちゃんとそのための条文があって、適用除外の条文があって行われているものでございます。

で、この再販制度については、私どもはこれをいじるつもりはございません。したがって、それぞれの新聞本社の価格政策に基づいて、全国一律だれにもどこでも同じ値段で売るということを言っておられるその新聞各社が販売店をしてそうさせる行為は、これは正に適用除外で認められている再販制度としていいわけでございますので、これは、このことについては我々問題にしているわけじゃないわけでございます。

ところが、新聞協会が車の両輪とおっしゃっておられるもう一方の新聞の特殊指定と、これを問題にしているわけでございまして、この特殊指定というのは、釈迦に説法でございますけれども、優越的地位の濫用とか不当廉売とか、そういったこと、これ、いわゆる不公正な取引方法ということで、独占禁止法の第19条によって禁止されている行為でございます。具体的に何が不公正な取引行為に当たるかということにつきましては、公正取引委員会が指定するということに法律上なっております。

で、その具体的な指定の仕方として2つありまして、一般指定と特殊指定というのがあります。一般指定というのは、あらゆる事業者にこれは共通して適用される指定でございますので一般指定でございます。それで、それでは十分ではない、特殊な事情があるというものについては特殊指定というものを別途指定することができていると。で、今現在、最近まで7つございました。そのうちの1つが新聞の特殊指定というものでございまして、そういう位置付けの特殊指定でございます。

これは法律でも政令でもございません。法律上に根拠を置いて、公正取引委員会が公正取引委員会決定に基づく告示として、その指定をしておるわけでございます。

それで、問題の新聞の特殊指定になりますが、その新聞の特殊指定というのは何を定めているかと。3つ定めてございます。

この1つは、新聞の発行本社が地域又は売る相手によって定価を変えてはいけませんよと。要するに、値引きしてはいけませんよと。値引きをすれば独禁法違反になりますということが第1項に書いてございます。

今度は、第2項は、今度は販売店の問題でございますが、販売店が値引きをしたら、これは独禁法違反になりますよと、ことを書いてある。

3番目は、今度は販売店に対して新聞発行本社が、いわゆる押し紙と称して、要らないと言うのに、いや何部取れということを押し付けるという行為、これも禁止しております。



[009]
自由民主党 末松信介
ところで、さきおととい、知り合いのある新聞販売店にその現状を伺いました。公取委員長が今おっしゃったような話がたくさんありました。民主主義社会の基本である、国民の知る権利を支えるのが新聞であります。しかし、販売競争は大変すさまじいものでありました。関西地域では、ある新聞社が入ってきたから一層激化したとおっしゃっておられました。4年間購読したら1年間無料と、これは25%引きと一緒です。それで、1年間取ってくれたら1万円の商品券を差し上げると、20%引きと一緒なんです。冷蔵庫もくれるという話もあったそうなんですよ。新聞事業者もそれを承知しておるんですけれども、それは販売店が勝手にやったことだという話になってしまっているんですよね。

私は、こうした事実は改善されなければならないと思っておりますし、新聞協会もできるだけ改善するという、何かセンターをつくってやっているという話もあったんですけれども、こういったサービスではなくて、新聞は、記事の正確さや有意義な特集とか、社説の鋭さ、あるいは記事の見やすさ、カラー遣い、社会的公平性、そういう観点から購読されるべきであります。

物事には起承転結がありますから、始まりと終わりが大変大切だと思うんです。ですから、記事を書いてそれを読んでもらうという一連の流れにすべて新聞事業者は責任を負うべきだと私は思うんですけれども。



[011]
内閣官房長官 安倍晋三
ただいま委員が御指摘になった前段の部分なんですが、例えば、いわゆる販売店は、実態としては、1か月間無料で配るので取りあえず見てもらいたいとか、3年、4年購読するということをしていただければ1か月、2か月無料にするということを実態としてやっているのも間違いのない事実でありまして、私の秘書のところにもある新聞社が1か月間、2か月間ただで取ってもらいたいと、こういうことを言ってきたわけでありまして、私の秘書が取るわけのない新聞社が言ってきたわけでありまして、当然断ったそうであるわけでありますが。

また、いわゆる押し紙も禁止されているのに、いわゆる押し紙的な行為が横行しているのではないかと言う人もいるわけでありまして、実態としてはそういうところもしっかりとちゃんとこれ見ていく必要もあるんだろうと、こう思うわけでありまして、要は、先ほども申し上げたわけでありますが、これはいわゆる新聞業界を守るということではなくて、これはやはり国民の知る権利をきっちりと守っていく。これは東京にいようがあるいは過疎地にいようが離島にいようが、そうした、どういうことが今世の中で行われていると、そうしてそれに対してはどういう批判があり、どういう論評があるかということを知ることができるという社会をこれは維持をしていくということは、これ当然のことなんだろうと、このように思うわけでありまして、その観点からもしっかりとこれは検討を行ってもらいたいと。国民の利益のこれは確保、向上を図っていくということから検討をしていただきたいと、このように思っているところであります。

また、先ほど末松委員が御指摘になられたような、そういう価格に、いわゆるコンビニ等で売っている、駅売りも含めて、そこについてはバリエーションをある程度付けてもいいのではないかということはもちろん、それは、当然そういうことも含めて検討をして、これは業界側も検討をしていくことではないだろうかと、こんなように思っております。

[012]
自由民主党 末松信介
販売の正常化につきましては、公取委員長、これは進めていくべきだと思うんですけれども、宅配制度の維持の長官答弁ありました。あるいは、反対する議員がおっしゃっている国語文化の維持であるとか情報の共有化という点、この点だけの観点、きちっと頭の中に入れて協会と話し合っていただきたいと。十分その点お願いを申し上げたいと思うんです。

押し紙行為についても、実際押し紙行為じゃないんですけれども、3000売っていたら、目標として3050どうでしょうかという言い方をするそうですよね。やはり問題はあると。(発言する者あり)

そうですか。もう一回答弁を求めた方がいいということで、理事の御指摘でございまして、委員長。

[013]
政府特別補佐人(公正取引委員会委員長) 竹島一彦
新聞文化でありますとか著作物としての公共性とか、それは私どもも十分に理解しております。そのためにあるべき政策というのは当然議論されてしかるべきであると。

しかしながら、私どもが言っているのは、残念ながら新聞の特殊指定というものは筋が通りませんということを申し上げているわけなんで、その新聞の特殊指定が今存在するからそれを前提にと言われましても、法的根拠について説明ができないものについて続けるのは、いささか準司法機関としてはこれは問題が大き過ぎるというふうに思っているわけでございます。

何も宅配サービスに悪影響を及ぼそうとか、そういう意図は全くございません。それは大事なことであって、消費者の支持がある限り工夫されて維持されていくだろうというふうに思っております。





平成28年05月10日 参議院 経済産業委員会
[220]
日本のこころを大切にする党 和田政宗
日本の和田政宗です。

法案の質問に入る前に、最近報道されております新聞の押し紙問題について、公正取引委員会に短く聞いていきます。

押し紙は、新聞発行者が販売店に余分な新聞を買わせるものですが、この押し紙をめぐり、3月末に朝日新聞社が公正取引委員会から注意を受けたとの報道がありますが、これは事実でしょうか。また、注意の内容はどのようなものでしょうか。

[221]
政府参考人(公正取引委員会事務総局審査局長) 山田昭典
お答え申し上げます。

公正取引委員会は、調査を行いました結果、独占禁止法に違反すると認定した場合には排除措置命令等を行っておりますけれども、独占禁止法違反の疑いのある行為が認められなかった場合におきましても、違反につながるおそれが見られる場合には、違反行為の未然防止を図るという観点から当事者に注意を行っております。

今お尋ねの朝日新聞社に対する件でございますけれども、個別の事案の中身でございますので詳細は控えさせていただきますが、当委員会が朝日新聞社に対しまして、3月に販売店に対する新聞の販売方法について注意を行ったということは事実でございます。

[222]
日本のこころを大切にする党 和田政宗
個別の案件はということでありますので、それではお聞きをいたしますけれども、押し紙行為が行われていることが判明した場合には、公正取引委員会はどのように対処するんでしょうか。

[223]
政府特別補佐員(公正取引委員会委員長) 杉本和行
お答えさせていただきます。

独占禁止法は、不公正な取引方法を禁止しております。新聞紙につきましては、新聞業における特定の不公正な取引方法というものにおきまして、発行業者が販売業者に対して、正当かつ合理的な理由がないのに、販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること、又は、販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給することにより販売業者に不利益を与えることを不公正な取引方法として禁止しているところでございます。

公正取引委員会といたしましては、このような行為が行われている場合には厳正に対処してまいりたいと考えておるところでございます。





平成29年03月30日 衆議院 消費者問題に関する特別委員会
[139]
日本共産党 清水忠史
日本共産党の清水忠史でございます。

早速資料の1を見ていただきたいんですけれども、ことし1月に発行された消費者法ニュースに、新聞残紙問題、いわゆる押し紙問題の特集が組まれ、弁護士などが寄稿しておりまして、きょうはこの問題について取り上げたいと思うんです。

松本大臣、突然なんですけれども、松本大臣自身は新聞配達のアルバイトの経験はございますか。

[140]
国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全・防災) 松本純
新聞配達のアルバイトはありません。

[141]
日本共産党 清水忠史
実は、私は中学のときからずっと配達しておりまして、大学受験に失敗して予備校時代には、毎日新聞の販売所に1年間住み込みをいたしました。配達、集金、折り込み作業というのが本当に大変でして、将来こんな仕事は大変だな、やりたくないなと思っていたんですけれども、共産党に入ったら赤旗の配達、集金をやらされまして、何の因果か、本当に大変だなと思っております。

それだけに、何げなく日々新聞が届いているんですけれども、我々の手元に届くまでは、新聞本社はもちろん、それから記者の皆さんの努力、さらには配送だとか印刷だとか皆さんの努力があると思います。何といっても、やはり販売所と配達員の毎日の努力があってこそ、私たちがそうした新聞を手にとることができるというふうに思うんですね。

それで、新聞残紙、押し紙というものは、新聞本社から供給されている新聞のうち、販売店から個別の読者に配られることのない、読者のいない新聞のことでありまして、これはほとんどがごみとして捨てられます、古紙回収業として。また、販売店の営業を圧迫しているというふうに言われております。

最初に公正取引委員会の方に伺うんですが、一般的に、新聞本社が販売店に対して注文部数を大幅に超える新聞を発送していること、この押し紙行為が判明した場合にはどのような対処をされておられるでしょうか。

[142]
政府参考人(公正取引委員会事務総局審査局長) 山本佐和子
お答え申し上げます。

独占禁止法におきましては、禁止する行為といたしまして、不公正な取引方法というものがございます。新聞業につきましては、新聞業における特定の不公正な取引方法、新聞特殊指定というふうに申しております。これにおきまして、発行業者が、販売業者に対し、正当かつ合理的な理由がないのに、販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること、または、販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給すること、これによりまして販売業者に不利益を与えることを不公正な取引方法として規定しておりまして、このような行為は独占禁止法で禁止されているということでございます。

公正取引委員会といたしましては、このような行為が行われている場合には、独占禁止法に基づきまして厳正に対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。

[143]
日本共産党 清水忠史
昨年3月24日に、公正取引委員会は朝日新聞社に対して、独占禁止法違反につながるおそれがあるとして、違法行為の未然防止を図るという観点から注意を行っております。しかし、その後もいわゆる押し紙問題は解決しておりませんし、これはほかの新聞社に対しても言えることだと思うんです。

資料の2をごらんください。ちょうどきのうなんです、これ。ちょうどきのう、佐賀新聞押し紙訴訟というもので判決が出ました。その弁護団の声明をきょう皆さんに、弁護団の皆さんの了解を得てお配りさせていただいております。

この事件は、ある販売店が、押し紙の仕入れ代金の増加に苦しめられておりまして、昨年4月に、弁護士を通じて、新聞社に対して減らしてほしいという減紙の申し入れを行ったわけです。ところが、佐賀新聞社は、減紙の申し入れに応じないばかりか、押し紙の仕入れ代金700万円を払えと請求してきた。それだけではありません。この販売店との契約を一方的に解除するという通告をしたということなんですね。そのために、弁護団が契約更新拒絶の無効を求める仮処分の申請を行い、それが認められたという声明なんですね。

それで、本当にこれはリアルなんですけれども、資料の3、皆さんにお配りしている4枚目をごらんいただきたいというふうに思います。

これは、販売店の注文部数と佐賀新聞社が供給した部数の生数字です。これも了解を得て、きょう皆さんにお示しさせていただいております。

平成28年、2016年4月、販売店の注文部数が2550部であったのに対し、佐賀新聞社は、430部も多い2980部を毎日供給していたわけであります。ずっと続きまして、ことしの2月にも、2520部で注文しているにもかかわらず、2959部、439部多い、これは1~2割ぐらいですからね、そういう新聞を供給している。これはまさしく、先ほど公正取引委員会の方からも答弁ありましたけれども、独占禁止法に違反する行為だと言えるのではないでしょうか。

それで、資料の2枚目、3枚目にもつけましたけれども、この声明文にもありますように、やはり、販売店を苦境に追い込む押し紙というのは、佐賀新聞社のことだけじゃないんです。ほかの新聞にもあるんです。

実は私調べました。直接伺った朝日新聞の販売店、特定しません、読者数が約2000なんですね。それに対して予備紙が700部でした、700部。読者がいない新聞が3割以上ごみになっているんです、毎日。

さらに言いますと、読売の販売店では、管理能力を超えた残紙のせいで新聞こん包が入り乱れる。つまり、1200とか1300とか1400とかの残紙があると、もう一々販売所の中に入れないで出しっ放しにするんですよ。そこに古紙回収業者が来て積んでいくのですけれども、古紙回収業者も最近もうかりまして、夫婦2人でやっていたのを従業員を雇うようになったんですよ。そうしたら、従業員は1週間に1回休まさなあかんでしょう。休みの日にとりに来なくて、そこへ次の日に読売新聞の翌日の朝刊がどさっとおりて、混在して、前の日の新聞を読者に届けるという事件も起こっております。

毎日新聞も結構ひどいんですね。大阪地裁では今2件の訴訟、いわゆる本社と販売店の訴訟が係争中であります。

結局、300も400も500もある新聞というのはごみになりますから、ちょっとでもお金を払ってくれるんやったら配達した方がいいんですよ。ですから、これは原価割れ、まさしく再販を崩して、新聞の定価を独自に決めて、例えばスポーツ新聞に本紙をつける。昔は毎日新聞に土日スポーツニッポンをつけていたんですけれども、今は逆で、スポーツニッポンに毎日新聞の本紙をつけるというようなこともやっておりまして、まさしく読者間の負担の公平性という観点から、これは消費者問題にもつながるというふうに私は思っております。

それで、なぜこのようなことが放置されているのか。実は、これは1982年3月8日に、我が党、共産党の議員が初めてこれを取り上げたんですね。瀬崎衆議院議員でありました。35年たってもいまだにこのような状況が残されているというのは大問題だと思います。

そんなんやったら、要らぬと言うたらええやん、切ってくれと言ったらいいんじゃないの、販売店はと思われるかもわかりませんが、実は、新聞本社が優越的な立場を利用して販売店が告発させないという仕組みができ上がっているんですよ。

例えば、販売店の方が公正取引委員会に告発するとか、あるいは弁護士とか政治家に何とかしてくれとお願いしているのが知れると、もうとんでもない嫌がらせや仕打ちを受けると。例えば改廃というのがあります、強制改廃。先ほどの佐賀新聞の例ではありませんけれども、一方的に契約を解除する、そして、そこの販売店が持っていた読者を別の販売店に全部つけかえて廃業に追い込む、こういうことが行われるので物が言えないという状況があるんですね。

もう一つは、読者に配られていない新聞については補助金とか奨励金が出るんですよ、補助金、奨励金が、一部当たり幾らかというのが。ですから、新聞残紙、押し紙を減らすと自動的に補助金、奨励金も減るので販売店にとってはやはり減収になるという。

さらに、折り込み広告が持ち込まれますけれども、この折り込み広告というのは、いわゆる申請部数に基づいて基本的に持ち込まれますので、供給部数が減ると、スーパーやあるいはマンションのチラシなどが持ち込まれる、その折り込み部数も減るということでこれも減収になる。どっちにしてもジレンマに陥って、販売店の方々が余分な新聞を、大量の新聞を切ってくれというふうに言い出せないというような仕組みがあるということを、私はいろいろな方からお話を聞いてわかりました。

胸を痛めた話がありますので、紹介します。

この販売店では日本経済新聞社に対して毎月増減表を送付しているんですが、全くこれが改善されない。私は見せてもらいました、注文票とそして請求書。全くこれは反映されない。結局、この方は、立場が弱いですから、日本経済新聞社に対して仕入れ代金を納めるために泣く泣く600万円の借金を背負ったと。この方はおっしゃいます、このままでは、日本の伝統文化である新聞宅配制度がもう崩壊しますよ、やっていられないですよと。これはやはり私は危機だというふうに思うんですね。

公正取引委員会にお伺いするんですけれども、こうした販売店の方々が公正取引委員会に通報した場合、具体的にどう対応してくれるのかということですよ。個別の例はいいですよ。一般的な話なんです。

というのは、どの方に聞いても、公取は当てにならぬと言うんですよ。それは人によるかもしれませんよ。潰されるかもわからない、不利益を受けるかもしれないという決死の思いで通報しているにもかかわらず、それに応じた対処をしてもらえていないという声を私はたくさん聞きましたので、具体的にどのように対応していただけるのか、今のお話を聞いていただいて、そして、販売店の情報はしっかり守られるのか、この辺いかがか、お答え願えますでしょうか。

[144]
政府参考人(公正取引委員会事務総局審査局長) 山本佐和子
お答え申し上げます。

公正取引委員会におきましては、独占禁止法に違反すると思料される事実について申告を受ける場合には、電話、書面、こういったものだけではありませんで、必要に応じまして、申告をしたいという方々と面談をするなどによりまして、丁寧にお話を聞くこととしておるところでございます。

また、例えば、申告される方が不公正な取引方法により被害を受けている、このような事業者の方の場合には、やはり、公正取引委員会に申告を行った事実が外に漏れてしまいますと、そのことによりまして立場の強い取引先から取引を切られてしまう、こういった懸念を抱いていることは大変多いというふうに私ども認識をしております。

このため、事業者の方々が安心して公正取引委員会に情報を寄せていただけますように、申告いただいた場合には、その事実が外部に漏れることのないよう万全の管理はしているところでございます。

[145]
日本共産党 清水忠史
ぜひそうした対応をしていただきたいと思うんです。販売店の皆さん、今の答弁を聞いていらっしゃると思います。

それで、公正取引委員会さんには、この間、私の事務所を通じて、さまざまな、押し紙や残紙の実態を告発する資料についてお渡しもさせていただいております。ぜひこれを分析してほしいんですけれども、相談があれば対応するという受け身ではなくて、本当に、本社とか販売店に抜き打ちの調査とか実態調査、こういうものをやっていただくということが私は効果的ではないかというふうに思いますので、これも販売店の皆さんの思いですから、しっかり反映させていただきたいということを要望しておきたいと思います。

大臣、ほかにも、販売店が苦しむというだけじゃなくて、この残紙の問題、押し紙の問題にはさまざまな実は弊害があります。

例えば、ごみになるということですね。読まれないんですよ。大量の古紙ができるわけで、ある販売店の方は、販売所におろさないで、もうそのまま持って帰ってくれ、そのまま古紙回収業者に搬入してくれ、その方が手間が省けるというふうな話まであるんですね。これは、やはり再生紙に利用するよりも押し紙をなくした方が、CO2排出などの環境にもいい影響を与えるというふうに思います。

それから、先ほど申し上げました、新聞に入る折り込み広告です。これは、実際の読者数を超えて持ち込まれているということであれば不当な取引ですよ。不利益をこうむるわけですよ。ですから、ここも大問題だということ。

それから、これも大事な問題なんですけれども、新聞折り込みには政府が発行する広報もございます。この間、私の事務所でこれを調べたんですけれども、政府広告には、内閣府が発行しているもののほかに、各省庁独自に折り込みを広告代理店の方に委託をして行っております。ただ、私、いろいろ、ABC協会とかも調べたんですけれども、実際の読者数なのかあるいは販売店に供給している部数なのか、これは定かでないんですよね、政府広告であるにもかかわらずですよ。

つまり、これがもし残紙の分も含んで折り込みチラシが印刷されて販売店に供給されているとすれば、読者に届かない政府広報が印刷されているということになるわけで、これは国民の税金が無駄に使われているということにもつながりかねない問題だというふうに私は思っております。

大臣にお伺いします。

国民生活センターの資料によりますと、新聞勧誘トラブル、これが2006年から2016年の間で10万8000件確認されているということなんですね。とりわけ、この間は、高齢者の皆さんに対する新聞勧誘のトラブルというのが非常にふえていまして、第1位なんですよ。第2位は屋根工事なんですけれども、屋根工事の相談の10倍が新聞勧誘トラブルなんですね。

もちろん、高齢者ですから、認知症の方もおられるでしょうし、結局、何でこんなことになっているのかというと、大量に販売所に届けられる、ごみと化す、これを少しでも読者に結びつけたいという意識がこうした強引な勧誘に結びついているとすれば、これはやはり新聞残紙問題が消費者問題、消費者トラブルの要因の一つだと私は考えられると思うんですね。

ぜひ、大臣、この議論を聞いていただいて、押し紙かどうかの定義は新聞本社や販売所によって違うんです、実は。

新聞社は、我々は押し紙はやっていない、注文部数をちゃんと供給していると。

しかし、販売店の方はそうじゃないと。

定義はいろいろありますが、日本の全国に、訴訟のお話もしましたけれども、配られない大量の新聞があるということ、そして、これが新聞勧誘トラブルの一つの要因にもなりかねないということについては、きょうの私の質疑を聞いて少しは認識を持っていただけたのではないでしょうか。いかがでしょうか。

[146]
国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全・防災) 松本純
消費者庁といたしましては、どのような背景にあるかにかかわらず、また商品やサービスの種類を問わず、事業者の強引な勧誘による消費者被害が発生している場合には、法に違反する事実があれば、所管法令に基づいて厳正な対応を行うことが重要と認識をしております。

また、悪質な事業者による消費者被害に対応するためには、法執行の強化、また相談体制等の強化充実、消費者教育の推進等を行うことが重要と認識をしております。

[147]
日本共産党 清水忠史
直接、残紙の問題については触れていらっしゃらないんですけれども、私の質疑を聞いていただいて、その一つの要因になっているということについては理解していただけたというふうに思います。

やはり拡張員の方も、500部も1000部も押し紙があったら、1部、2部ふえてもうれしくないと言うんですよ。私は、我が国の組織ジャーナリズムを健全にしていくためには、やはり1社だけじゃなくて新聞業界全体でこの残紙、押し紙の制度を解消していくべきだというふうに思っています。フリーのジャーナリストの皆さんも活躍されているんですが、やはり何が正しいかというときに、組織ジャーナリズムの重要性というのは絶対必要ですよ。日本の場合は宅配率がずば抜けていますでしょう。駅売りというのも一部じゃないですか。よその国と比べたら、宅配率はすごいんですよ。これが、言論の自由を守り、平和で豊かな暮らしを求める国民に正確で必要な情報を与えるジャーナリズムの役割。

インターネットが普及していますけれども、僕は、紙媒体、新聞というのはこれからもずっと残していくべきだし、残っていくべきものだと思っています。昼夜を分かたず配達、集金に苦労されている販売所やあるいは配達員の方々の御苦労をしっかりと受けとめていくというのが、私たち政治家の役割ではないのかなというふうに思っております。声なき声にしっかり応えていくということが大事だと思っております。

誇りを持ってこの仕事に取り組んでおられる販売所の皆さん、配達員の皆さん、この汗と苦労と涙にしっかりと応えていくために、本委員会の皆様方にも、この新聞残紙問題、押し紙問題についてぜひ御理解とそして認識を持っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

ありがとうございました。





平成29年04月14日 衆議院 経済産業委員会
[121]
日本共産党 清水忠史
次に、押し紙問題について質問いたします。

新聞残紙、いわゆる押し紙問題。私は、3月30日の消費者問題特別委員会で、新聞本社が優越的地位を利用して販売店に対して読者数を大幅に上回る新聞を供給していることが全国紙、地方紙で実際に行われていることを告発いたしました。

押し紙というのは、新聞販売店の経営を圧迫するだけではなく、連日、大量の、何100万部という古紙、古新聞を生み出し、環境にも大変悪い影響を与えています。私の質問に対して公正取引委員会も、押し紙というのは不公正な取引方法であり、このような行為が行われている場合は厳正に対処すると明確に答弁をいただきました。

大臣、当たり前のように私たちの家庭や職場に新聞が届くわけじゃないですか。この新聞宅配制度というのは本当に世界に誇る制度だと私は思っているんです。この新聞宅配制度が守られている背景は、新聞本社の努力、編集者の皆さんの努力、そして記者の皆さんの頑張り、そして配送業者や印刷業者の方々の御努力、それに加えて、何よりも、毎日私たちのもとに届けていただく販売店や配達員の皆さんの汗と涙の苦労があるんですよ。私は、1年間ほど毎日新聞で住み込みで働いてきた経験がありますので、そのことはよく身にしみて知っております。

そういう点では、押し紙というのはやはりなくしていくべきだというふうに思うんです。下請対策にも熱心な世耕経済産業担当大臣、この問題についての認識をお聞かせいただけますか。

[122]
経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構) 世耕弘成
新聞社が優越的地位を濫用して、新聞販売店に対して注文した部数を超えて新聞を供給して新聞販売店に不利益を与える行為については、これは、独占禁止法において不公正な取引方法として禁止されているというふうに理解をしております。

現時点において、新聞販売店の業界団体から本件に関する相談や要望は聞いておりません。もし法に違反するような事実が発生している場合には、公正取引委員会において適切に対応されるものと理解をしております。

[123]
日本共産党 清水忠史
私は、さきの委員会で、読売、朝日、毎日、日経、各紙の押し紙の例を具体的に紹介したんですが、実は、この質問に対して共感していただいた産経新聞の販売店主から手紙と資料が寄せられました。

大量の押し紙により毎月20万円の赤字が続いていた、そして、折り込み広告も減りまして、月の赤字が50万円を超えるようになった。もうこれ以上はもたないということで、一念発起して本社販売局員の方にお願いをして減紙の申請をしたということなんです。そうすると、毎月の古紙回収代が何と7分の1に減ったというんですよ。それだけ毎日毎日大量の残紙、押し紙があったということのあらわれだというふうに思うんです。

ただ、この押し紙を切るに当たっては、本社から相当な圧力も受けたということなんです。しかし、この販売店主は、私たちは何も悪いことをしていない、真面目に正直に働いているだけですと、信念を持ち、歯を食いしばって、現在、経営を立て直すために努力を日夜続けておられます。

販売店はみずから声を上げにくいという実態があるんです。販売店などから経済産業省に対して、新聞残紙の実態がどうなっているかということをぜひ調査してほしいというのが、これは実は販売店の皆さんの要望でもあるんです。

実は私、調べましたら、過去に、公正取引委員会が販売店に対するアンケート調査、もう30年ほど前ですけれども、やったことがあるので、実績があるんですよ。

ぜひ、販売店から相談、要望があれば、経産省としても、公正取引委員会と連携して、この実態調査というものにしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

[124]
政府参考人(経済産業省大臣官房審議官) 竹内芳明
お答えいたします。

経済産業省として、新聞残紙問題に関しまして、業界団体から具体的な相談が寄せられます場合には、私どもとして、その必要性について業界ともよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。

[125]
日本共産党 清水忠史
業界団体は非常に、業界団体と言う場合は新聞本社のこともありますので、販売店のことだと思うんですけれども、販売店主の皆さんは、この残紙問題を例えばマスコミにリークしたり弁護士やあるいは政治家に相談を持ちかけようものなら、それを突きとめられるようなことになり、激しい圧力がかけられるんです。

例えば、強制改廃というのがあります。強制改廃というのは、そこの販売店の台帳を全部提出させる。しかし、この読者台帳の提出を拒むと、全ての読者を調査して、そして別の販売店をつくって、そこの販売店に全ての読者をつけかえて廃業に追い込む。こういうことも実際行われているんです。現に販売店と本社との間で訴訟も継続しているんです。

業界団体からそういう相談があれば適正に相談に応じるということでは、待ちの姿勢では私はだめだと思うんです。これは、例えば、一般的な中小企業の場合、下請企業の場合、元請から不当な取引を持ちかけられているときに、その下請業者が相談をすれば、特定されて、さらに不利益をこうむることがあるわけですよ。だからこそ、受け身になって、通報があって調べるというのではなくて、調査をするというのではなくて、明らかに、大臣も答えられたように、この残紙の問題、押し紙問題というのは独禁法違反ということなんですから、そうした実態が行われているのかどうか、声なき声を調査する上で、その調査が必要ではないかという私の提案なんです。

世耕大臣、どこまで言えるかということはあるんですけれども、やはり新聞宅配制度を維持していかないと私はだめだと思っています。

私は、各紙、主張はいろいろありますけれども、組織ジャーナリズムの重要性というのは実感しております。全て国民にとって必要なメディアだというふうに思っています。しかし、それがやはり正義と秩序のもとに健全に発展していかなければ、虚偽の部数を大量に供給して販売店の経営を苦しめ、そして毎日毎日何100万部と言われるような古紙、新聞残紙をつくる。

それで、もう一つ加えて言いますと、政府広告の折り込みだとか、いわゆるスーパー、ピザ屋さん、不動産屋さんの折り込みについても、これは読者数に応じて持ち込まれているのか、本社からの供給部数に対して持ち込まれているのか。こうした実態調査も私は必要だというふうに思うんですよ。これはやはり、消費者だとか企業が不利益をこうむっている、あるいは、政府広告の部数に虚偽があるということになれば、国民の税金が不当に使用されているということになるからであります。

ぜひ、きょう私のお話を聞いていただいて、世耕大臣自身、新しい認識をお持ちになられたというふうに思うんですが、何か所見がございましたら一言述べていただくことは可能でしょうか。

[126]
経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構) 世耕弘成
私は下請取引の改善というのに取り組んでいるんですが、残念ながら、新聞販売業というのは下請関係にはならないんですね。あくまでも、新聞社が発行する新聞を、そのまま供給を受けて、それを取引するという立場でありますから、下請法の範囲には入らないということであります。基本的には、やはり独禁法で、問題があれば公取が厳正に対処してほしいというふうに思います。

経済産業省としては、経済産業省所管の法人として日本新聞販売協会というのがありますから、本当に今御指摘のような問題が広範に存在をして、販売業界として深刻な問題であれば、この団体から我が省に申告があると思いますから、それを受けて、必要であれば対応したいというふうに思います。

[127]
日本共産党 清水忠史
これはコンビニと同様に、元請、下請の関係にはないんですが、やはり優越的な地位を持った、いわゆるフランチャイズ側、新聞でいえば本社側が不当な取引を現にもたらしているという実態はぜひ認識していただきたいというふうに思っています。

私が提案したいのは、やはり、新聞本社と販売店が、今大臣が言われたように、真に対等な立場で、そして、大量の残紙がなくても、読者数、実際の読者に配達、集金を行う中で十分経営が成り立っていくという販売店本来の役割を取り戻していくということが大事だというふうにも思っております。

ぜひ引き続き、公正取引委員会とも協力をして、この問題、是正のために努力をしていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

ありがとうございました。