平成18年11月30日 衆議院 安全保障委員会
[189]
公明党 遠藤乙彦
私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から討論を行います。
本法律案は、1954年の創設以来、庁とされてきた防衛庁を省に移行させること、及びこれまで自衛隊の付随的な業務と位置づけられてきたPKOなど海外派遣任務を、我が国防衛などと並ぶ本来任務の1つに昇格させようとするものであり、我が国安全保障政策の歴史の中でも極めて重要な内容を含んでおります。
10月の北朝鮮による核実験に象徴される新たな脅威、終わりの見えないテロとの闘いなど、我が国を取り巻く安全保障情勢の厳しさにかんがみれば、国家と国民を守る防衛庁・自衛隊に対し、政策官庁として機能強化を図るとともに、その重要な使命にふさわしい位置づけを与えることは喫緊の課題であります。
また、省移行に伴い、在日米軍基地問題など国内政策においても、これまで以上に責任を持った組織として地方自治体との調整に当たることが可能になるとされることから、防衛庁の省移行はまことに時宜にかなったものと言えます。
しかしながら、防衛庁の省移行については、国民の間に、軍事大国化するのではないか、専守防衛や非核三原則など安全保障の基本政策が変更されるのではないか、あるいは徴兵制の導入に道を開くのではないかとの不安や懸念があることも事実であります。
我々公明党は、こうした国民の不安に丁寧に答えることが、主権者である国民に対する説明責任を全うするために必要にして不可欠であると考えます。したがって、委員会質疑において、こうした問題を取り上げて政府の答弁を求めてまいりました。
例えば、徴兵制の導入につながるのではないかとの不安については、「それは全く考えられない」「憲法上も難しい、法律もない、そういう中でそういうようなことは考えられない」と明快な答弁をいただき、また、防衛費の増大についても、「そういうことには絶対ならないように、それは十分気を引き締めて注意してやっていこうと思います」との説明を聞かせていただきました。さらに、非核三原則や集団的自衛権を行使しないこと、シビリアンコントロールの徹底など、我が国の安全保障の基本政策についてもいささかの揺るぎもないことを質疑を通じて確認いたしたところであります。
このように、久間防衛庁長官を初めとする政府側の答弁は極めて明快であり、こうした質疑を通じて、かかる国民の不安は十分に払拭されたと認められることから、公明党としては、本法律案に賛成の立場をとることとした次第であります。
平成18年12月07日 参議院 外交防衛委員会
[022]
国務大臣(防衛庁長官) 久間章生
どうも最近のこういう、北朝鮮問題等が非常にクローズアップされてきているものですから、そういうときに防衛庁が省になっていくとなると、何か予算もこれによって拡大されるのか、また自衛隊も肥大化するんじゃないかとか、あるいは徴兵制までしかれるんじゃないかとか、そういうのが結構いろんな形で言われるのも事実でございまして、全く御懸念は要りませんということを申し上げているわけでございますんで、どうかその辺は御理解賜りたいと思います。
[306]
民主党(民進党) 犬塚直史
今回の防衛庁を省に昇格させるというこの法案の審議なんですけれども、私はどうしても、専守防衛の自衛隊を表に出すに当たって、今まではいろいろな形でやってきた国際平和協力業務、これを省昇格を機に本来業務にしていくんだという、こういうお話であるわけですが、どうしても今までの、今日の議論も聞いておりまして納得ができないんです。
それは、まず第1に、午前中の議論にもありましたが、国内外を含めていろんなみんなに不信感を持たれていると。それは、ゆえのあるものもあればないものもある。例えば、徴兵制や予算の歯止めの利かない拡大ですとか、あるいは核武装するんじゃないかというような不安まで持たれていると。いや、これは省昇格とは関係ないんだと、こう長官は午前中におっしゃったんですけれども、私は、どうして日本はここまで信用がされてないのかなと。庁を省にするって言われたときに、どうしてそこまで疑われるのか、しかも自国民にまで納得がされていないという人たちがかなりの数おられると。それはどうしてだと思われますか、長官。
国務大臣(防衛庁長官) 久間章生
国内外でも、私は、信用されてないんじゃなくて、防衛庁を省にしてもそういう今のような問題にはならないということは、結構信用はされていると思います。ただ、一部にはそういう方々もおられると。徴兵制がしかれるんじゃないかとか、そういうことを言う人が現に確かにおるわけですから。おられるけれども、防衛庁が省になったからといって大多数の人がそう思っているわけじゃありませんので。
それはもう、日本が今度防衛庁を省にしたからって、軍事大国になったり核武装したりというふうなことにはなりませんよということは、私たちもこれから先も努めていきますけれども、各諸外国からもそこは信用されておるし、信用はこれから先も得ていけるというふうに思っているところであります。
[487]
社会民主党 大田昌秀
つまり、国の安全保障問題について議論をするときにどうも抽象論に終わりがちで、私は去る大戦の経験というのを是非とも酌み取るべきだと考えるわけなんですが、今御説明のように、ほぼ700万余りの軍隊が残っていて無条件降伏したわけですね。そうすると、今自衛隊はたしか26万前後だと思いますけれども、日本はこの小さな島国で、しかもその小さな島国に52か所の原子力発電所を持っていますね。そういうところで一体どういうふうに安全保障を確保できるとお考えですか。
私は沖縄戦の体験を自ら持っておりまして、あの島の中で戦争が始まったときに、勝ち戦なら知らず、国民保護法を幾ら整備したところで実際には全く機能しないと、小さな島国では。前回も申し上げたと思いますが、例えば沖縄の場合ですと、国民保護法制ではその地方自治体の首長に協力を求めるという趣旨のことがありますけれども、協力したくても、負け戦の場合の沖縄の場合は、現実に県知事も逃げちゃったし、県庁の最高の役人たちも逃げちゃったし、それから学校の校長たちも逃げちゃったし、ひどいのになると連隊区司令部の司令官まで逃げちゃったんですね。これが実態だったわけです。
ですから、そういう具体的な事例を考える場合に、もうちょっとその安全保障ということを考える場合には、日本が置かれている現状と、それから現在の20数万の自衛隊しかいないわけですから、先ほどいろいろお話がありましたように、国際協力なんかにも自衛隊が出ていきますね。そうすると、いざ有事となった場合に、その20数万の自衛隊で果たして国を守れるかという問題が当然出てくるわけなんです。そうすると、今、いや日米と組んでいるからアメリカの核を頼りにするんだというお話もあると思いますが、私が懸念するのは、そういう実情下で、今、国会の中でも、徴兵も憲法に違反しないという声も出ているわけですね、現実に。
長官は、現憲法下で徴兵令を施行できるとお考えですか。
[308]
国務大臣(防衛庁長官) 久間章生
負け戦になってしまった場合はそれはもう大変なことになるわけですから、そうじゃなくて、日本もいざ防衛出動ということで、一朝攻められたときに、最低限自衛隊でディフェンスしなきゃならないわけであります。しかし、それだけで十分かと言われると、十分でないかもしれないということで日米安保条約を結んでやっているわけですから、全く日本が軍隊も何も持たずに日米安保条約といってみたってそれはなかなか難しいわけで、自分の努力である程度のことはやるけれども十分でないかもしれないというところに、あれですね、アメリカとの安保条約があるわけですね。
やっぱり、最初に何も空白状態で、いきなり占領されてしまってからそれを奪還しようとするといかに難しいかという、そこがありますから、やっぱり自衛隊として、まあ26万少ないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、私はそれで最小限の防衛はやっぱりできると、そしてそれをカバーするのがアメリカの日米安保条約に基づく支援だと、そういうふうに思っているわけですね。あるいは、一緒になって最初の初動、初期の段階からやってくる、そういうことも言えるんじゃないかと思っておりますんで、私は、そういう点では何もしないよりはそういう形で機能した方が非常にいいという、そういうような考え方で自分自身も納得しているわけであります。
それと、徴兵制についてですけれども、私は、現在の憲法上、納税の義務はあっても兵役の義務はないわけですし、そして職業選択の自由もちゃんと書いてあるわけですから、そういう点では現在の憲法では徴兵制はしけないと思っております。