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昭和30年07月04日 参議院 本会議
[007]
無所属 廣瀬久忠
私はまず第1に、新憲法成立過程の問題点について提案者にただしたい。新憲法がわが国情にそぐわないのは、その成立過程において多くの重大なる無理があったためであると私は思います。その第1の無理は、国際法的の無理であります。その第2の無理は、国内法的の無理であります。しこうしてその第3の無理は、新憲法草案作成上の無理であります。以下順を追うて提案者に所見をただします。
まず第1の国際法的の無理についてお尋ねをする。ハーグの陸戦の法規慣例に関する条約は、占領軍が被占領国においてとるべき態度について厳格なる規定を定めておるのであります。すなわち占領軍は絶対の差しつかえがない限り、占領地の法律を尊重せねばならないということが、国際法上の原則であると定められてあります。しかるにマッカーサー司令部は、この国際法の原則を無視して、国の基本法である憲法改正を、わが政府を強圧して行わしめたのであります。
これと同じことが、西ドイツ政府に対しても行われたのでありまするが、西ドイツ政府は、占領軍のこの要求せる憲法改正を拒絶しました。そうしていわゆる基本法をもってこれにかえたのであります。しかるにわが政府は、当時その挙に出でなかったのは、顧みてはなはだ遺憾であります。
この国際法の原則は、占領という正常ならざる状態において法律のごとき恒久的かつ民族的なるものを、占領軍の力で改変することが無理であり、またあやまりであるということを戒めた国際的の普遍的真理であると私は思います。しかるに占領軍があえて憲法改正を強行したことは、民主主義に反する大きな無理であり、あやまりであると言わねばならないと思います。提案者はこれに対しいかなる考えを持っておられますか。
昭和30年07月29日 参議院 内閣委員会
[252]
日本社会党(社会民主党) 田畑金光
最初に、憲法の問題について1、2お尋ねしておきたいわけですが、最近政治家の中にはいろいろ説をなすものがあるわけであります。それは現行憲法の成立の経過を見たときに、国際法の建前からいっても無理があり、違反する点がある。
何かというと1907年のへーグの「陸戦ノ法規慣例二関スル条約」に反する、こういうことを申す人があるわけであります。
そうかと思うと、また、1941年の大西洋憲章によると、各国民はその国民の選ぶ政体を樹立することができる、こうなっておるにかかわらず、戦後の日本においては国民の選ぶ政体の確立ができなかった。
また国内法的に旧明治憲法の第73条によると、欽定憲法であり、従って天皇の自由意志のもとに憲法改正の発議というものがなさるべきであったにかかわらず、そのような手続がとられていない。
こうして国内法からいっても違法であり、従って現行憲法については無効である、このような説をなす政治家がおるわけであります。
こういう説に対しまして、憲法学者や国際法学者の意見を承わりますると、たとえば憲法学者のお話によりますると、現行憲法が違法であるとか無効であるとかいう論議自体がおかしい。なるほど現行憲法は旧憲法の73条による解釈の立場をとっているが、もともと敗戦、無条件降伏、ポツダム宣言受諾という法律的ないわば革命を経てきているわけである。従ってこの憲法を戦前の憲法の規定からみて違法だとか、無効だとかいうようなことはおかしな話である。国際法学者の話を聞いて参りますと、またそのような御意見を申しておるわけであります。
政治家というものは非常に都合のいい人方が多いのでありまして、いわゆる時局に乗る便乗主義者、こういう諸君がいるわけであります。私はこういう説をなす政治家の憲法論議というものが、今後の国民の道義の問題からいたしましても、重大な影響があると考えますが、鳩山内閣総理大臣はどのような考え方を現行憲法に対してお持ちであるか、この際承わっておきたいと思います。
[253]
内閣総理大臣 鳩山一郎
現在の憲法について、ただいま田畑君が言われました通りに、全然無効だというようなことを言う人もずいぶんおりまするけれども、私は無効であるとは考えません。
ただしかしながら、占領下においてできた憲法ではあるし、比較的短い間にできた憲法であるし、今日完全に独立した形になった日本においては、今までの経験に徴しても再検討すべき時期だと考えるのであります。
昭和46年03月18日 参議院 内閣委員会
[109]
日本共産党 岩間正男
さて、この「フォト」です。これの1月1日号、これはあなたたちごらんになったでしょう。「明治憲法、教育勅語の生みの親井上毅と元田永孚」、こういう写真が巻頭に出ております。
それからその中身ですけれども、その中身に特に長谷川才次氏の文書が載っているわけですね。この文章をここで詳細にやる時間的余裕はございませんけれども、これはたいへんな問題だと思うんですね。これはごらんになっているでしょうか、どうです。
[110]
国務大臣(総理府総務長官) 山中貞則
見ました。
[111]
日本共産党 岩間正男
まあ読んだとすれば、くどく申し上げる必要はないと思いますけれども、この中で、どうなんですか、これはひどいのがありますわな。「大体占領軍が憲法まで書き改めるなどというのは、1907年陸戦法規慣例に関する条約及び規則を無視した越権の沙汰。だから神川彦松博士は国際法違反だときめつけている。」、そういうところがある。
それから「「平和憲法」などと崇め奉る諸君、おそらくこういう事情も、日本国憲法の正文もお読みになっていないのだろうとでも考えるほかはない。」、それから、「どうも日本国憲法は国体とか、歴史とか伝統とかを無視したまったくの舶来品。しかも一夜漬けのちゃんこ鍋憲法とあっては、この際どうしても真憲法の起草に着手するのでなければ、戦後紀元の幕はあかぬ」、「ちゃんこ鍋憲法」と言っているわけです。
昭和49年02月22日 衆議院 内閣委員会
[014]
自由民主党 中山正暉
条約局長おられるので、私は、陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約という、明治40年に結ばれて、日本が明治45年に批准したと思いますが、その中に、陸上戦闘の行なわれたところを占領してもいいが、その国の憲法とか法律とか、そういうものを変えてはいけない、これはドイツがいまいい例でございます。ドイツは憲法を改正しておりませんし、いまだに占領下でございます。憲法は基本法という形で、つくっておりませんことは、御承知のとおりです。フランス憲法の94条の中には、外国の軍隊が、領土の一部または全部を占領している間は、その国の憲法の改正は無効であるということがございますが、私は、日本のいまの憲法は、無効だと思っております。私は、いまの憲法はアメリカからもらったと思う。
その証拠に、共産党と社会党は、国会にこれが提案された21年には、野坂参三、志賀義雄、徳田球一、それから穂積七郎、細迫兼光、社会党ではこの2人、それから憲法29条があったのでは、社会主義政権は樹立できないといって社会党は修正案を出している。あの当時に、憲法を、これは認められないとして、特に、吉田総理が提案理由の説明をされようとしたら、そのときに野坂参三が緊急動議を出して、提案を延ばすべきであるというのをやっておる。そういう事情で、そのとき、昔、反対をした憲法に、いま賛成をして、社会党と共産党は憲法擁護、公明党まで、このごろ憲法擁護と言い出しました。この憲法さえ守っておけば、日本はつぶれるという、そういう自信があるんだろうと思います。
昭和55年10月13日 参議院 予算委員会
[194]
日本社会党(社会民主党) 和田静夫
すなわち、日本の国会において議決、承認をされたところの、言ってみれば国民の世論形成その他も十分考えられたそういう日本国憲法である。私たちはそれを自主的な憲法であると理解をして、その理解、確認の上に立ってもう少し討論を煮詰めますが、ポツダム宣言等降伏文書の法的性格についての解釈を争うことを私は余り有効、有益な議論であるとは考えていないのです。それは国会の場でやることよりも学界で十分に煮詰めるということが必要であるというふうに考えているからです。
そして、憲法学界でありますが、憲法学界では大西洋憲章の第3条の、すべての国民がそのもとに生活しようとする政治形態を選択する権利を尊重するという条文を引いて、現行憲法を無効とする説もありましたし、また、ハーグ陸戦法規慣例に関する条約43条「国ノ権力カ事実上占領者ノ手二移リタル上ハ占領者ハ絶対的ノ支障ナキ限占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ」との定めを引いて、現行憲法を国際法上違法とするそういう説もすべて憲法学界では全く退けられております。
閣僚の皆さん、そして法務大臣もこのことは十分御存じであります。特に法務大臣は、自治省の生活を通じて、事務次官などの地方自治法の論議やその他のときに、基底にあるところの憲法というものをそういうふうに理解しながら私たちにずいぶん訓示をされてきた立場でもあったわけでありますから、ここのところを否定されるとは私は思わぬ。否定されますか、それとも。
[195]
法務大臣 奥野誠亮
いまお話がございましたように、現行憲法が有効であるとか無効であるとかいう論議のあることは承知しております。しかし、私たちはこの日本国憲法を守っていろんな施策を進めてきておるわけでございますから、当然無効などという考え方は抱いておりません。
[196]
日本社会党(社会民主党) 和田静夫
すなわち、このポツダム宣言受諾と降伏文書の調印というのは、日本にとっての義務となったわけです、あのとき。その時点で神権主義が否定をされて国民主権主義が成立した、そういうふうに述べた故宮澤俊義教授のいわゆる八月革命説ともいうべき法理論的解釈が憲法学界では通説として確固たる地位を占めるに至っているわけです。
平成02年10月30日 衆議院 国際連合平和協力に関する特別委員会
[006]
自由民主党 中山正暉
なぜ吉田茂は、占領終了後の回想でこのようなことをいったのか。アメリカ製憲法草案を受入れるときには、とにかく占領さえ終れば自主的に改めることができると吉田茂は考えていた。サンフランシスコ講和条約のときにも、とにかく相手の言うがままの講和条約と安保条約を受け入れて、一刻も早く日本を独立させたい、独立さえすればどうにでも改正できるという、吉田独特の楽観主義があった。米国製憲法受け入れの時にも同様に軽く考えていたらしい。
占領憲法が発布されると間もなく朝鮮戦争が勃発したために、アメリカは日本弱体化から再武装に方針を変え、ダレスを派遣して再軍備を促してきた。吉田は、ダレスの申し出を断わるための方便として憲法を持ち出し、「これはアメリカが作った憲法だ。しかも日本の国会で承認されて発布したもので、この憲法によって軍備はできないのだ」と憲法を盾にして再三のダレスの申し出を逃げ切った。軍備と日本防衛をアメリカに押しつけたという点では、このアメリカ製憲法は大いに役立ったわけだ。
なかなか吉田茂のずるさがここに如実に出ております。
マッカーサーがまた後にジョージ・H・ブレクスリーという人に言っております。これは「極東委員会国際協力の研究」という、1945年から1952年にかけての、米国務省出版部、1953年、昭和28年でございますが、マッカーサーの談話が載っております。どんなによい憲法でも、日本人の胸元に銃剣を突きつけて受諾させた憲法は、銃剣がその場にある間だけしか保てないというのが自分の確信だとマッカーサーは語った。占領軍が撤退し、日本人の思いどおりになる状況が生まれた途端に、彼らは押しつけられた諸観念から独立し、自己を主張したいという目的だけのためにも、無理強いされた憲法を捨て去ろうとするだろう。これほど確かなことはないと彼は語った。
それから私が申し上げたいのは、陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約という条約があります。これは明治40年、ハーグで締結をされまして、明治45年に日本は批准をしております。この陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約の43条、ここには「国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶対的ノ支障ナキ限、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ」。つまり、相手の国に上陸作戦をやって、陸上戦闘をやって機関銃を撃ちまくっても、そこに自分の法律を押しつけちゃいかぬと書いてあるわけであります。私は、完全にアメリカはこの条約違反をやったと思います。
[010]
自由民主党 中山正暉
実は、この陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約が条文になっているのがフランス憲法でございます。外国の軍隊が国土の一部または全部を占領している間の法律改正は無効である。ですからそれは、サンフランシスコ平和条約は昭和26年、27年でございますか、それ以前の昭和21年にできた憲法は完全に占領下でございますね。
(中略)
ですから、法制局長官、先ほどの陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約で日本は今こんなことになってしまったわけです。これだけ、何でここにいる皆さんが一緒にやろうという気にならないのかなというのを、私は後ろで座っていて、ずっと聞いていてもう不思議でならないのです。もうテレビ見ていたらこんにゃく問答で、そして、昔ヘルメットをかぶっていたような連中がマスコミの中に、そのころ安保騒動で暴れまくったから就職できなくて、プロダクションに入ったり広告会社に入って、その連中が夜のテレビを独占していますから、みんなそれで頭がぼけてしまうのですね。情報のゼロの位置がない。情報のゼロの位置も失ってしまった。すべての誇りも失ってしまった。外国に対して顔向けできずに非常に生産性の低い日本の国会、こんな集中審議をするものすら生産性が低いようなことで、幾ら工業の生産性なんか、こんなもの上がったってガラスの城でございます。だれかが石一発投げたら、このガラスの城は崩壊します。そのもとが、いわゆるこの論議している枠からどうしても出れない。囲いの中に入っている。
その囲いを、この間から法制局長官、もうすぐ最高裁判所長官になっていただいた方がいいんじゃないかと思うほど明確な御答弁をいろいろされていますので、ひとつ一般常識として教えていただきたい。陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約という古い古い立派な条約がある。これは世界全部に及ぶ、批准をした国に全部及ぶ条約でございますから、みんながわかっているものでございます。日本が突然、本当は今、現憲法を廃棄してもいいのです、この条約に従って。そのぐらいの値打ちのあるものでございますが、答弁していただいた方がいいのかな、このままやめた方がいいのかなという悩みを持ちながら今聞いているのでございますが、余り私の意に沿えないような感じがするのなら、もうやめておきましょうか。
またいずれ、それでは総理大臣に耳打ちをする役割をしていただくことに徹したいと思いますが、実に怪しげな戦後処理をやってきた。国連の敵国条項でも、それからこの陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約でも、全部これは戦後処理をきちっとしてないのです。戦後処理をしてないうちに、さあ世界の転換に遭った。
平成03年11月14日 衆議院 予算委員会
[010]
自由民主党 中山正暉
そのアメリカとの関係というのは、日本にアメリカは憲法を押しつけました。それからソ連との関係でも、ヤルタの秘密協定というのがあります。それからもう1つは、今私どもがサンフランシスコ平和条約、宮澤喜一総理も随員として行かれましたサンフランシスコ平和条約のときの国連は51カ国、国連諸国51カ国でございましたが、それが今は166にふえております。53条と107条に敵国条項というのがまだ残っています。ですから、私はこの間アマコスト大使にお願いをして、この3つを何とか、これは12月7日50周年を記念して大統領に、何とかこの3つの問題をアメリカから物をおっしゃっていただけないだろうかと、日米議員の会合があったときに申し上げたのでございます。
これは私は、憲法を今何とかしろということを言おうと思っているんじゃございませんが、1910年にハーグ条約というのがありまして、陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約というのがあって、相手の国の陸上戦闘をやって占領をしても、その国に法律を押しつけちゃいかぬ。これは前の平和維持協力法案が昨年出ましたときにも、フランス憲法の話をいたしました。89条には、外国の軍隊が国土の一部または全部を占領している間に改正した法律は無効である。フランス憲法は、そのハーグ条約を全部憲法の中に入れています。
そんな意味で私は、これはハーグ条約に違反をしたんだということを日本もちょっと、アメリカで50周年で、日本がだまし討ちをしただまし討ちをしたと言われるときに、やはり日本もちゃんと主張すべきは主張するのが必要ではないか。ノーと言える日本なんていう言葉がありますが、ノーと言い続けている日本なんて、米の問題で言われています。全く逆の評価になっているわけでございますね。ですから私は、その3つの問題に総理大臣がどうお考えであろうか、それから外務大臣、どうお考えであろうか。
平成12年02月24日 衆議院 憲法調査会
[099]
参考人(日本大学法学部教授) 青山武憲
また、そこで自分たちで案をつくって審議したわけでもないんですね。案はだれが出したか。向こうが出してきたわけです。
ですから、憲法前文で日本国民が憲法を確定するなんか言ったのはさらさらおかしいですね。全くのうそですよ。うそでも何でも憲法に書いていいというんだったら、それはいいですけれども、やはり憲法は一種の自画像的なものもありますから、ストレートに自分を映し出すものも必要だと思いますが、前文の書き出しからうそがある。文章も前文の書き出しはおかしいですし、うそがあるというのはよくないんじゃないか、私はそのように思っているんです。
以上です。
[102]
自由民主党 保岡興治
今、青山先生のいろいろな後半の部分のお話を伺っていますと、日本国憲法制定の行為というのは、これは条約や国際法規違反である、ポツダム宣言にも違反しているが、陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則43条という国際的な約束事にも反している。しかも、極東委員会、マッカーサーの総司令部もポツダム宣言にも違背している。しかも、マッカーサーの行為が極東委員会の政策決定を侵している、大体これぐらいの御指摘の上に、憲法改正の限界を超えたという理論的なこともおっしゃったわけでございますが、このような国際法、条約違反の我が国の憲法制定行為というものは、先生のお立場からすると、一体どういう効力というか、どういう法的位置づけをすると考えていいんでしょうか。
[103]
参考人(日本大学法学部教授) 青山武憲
私は、日本国憲法は有効だと思っております。
なぜかといいますと、一応これは法理屈の問題ですけれども、大日本帝国憲法の限界を超えていますから、大日本帝国憲法から見たら違憲です。ところが、憲法違反の行為があったから有効か無効かということについては、大日本帝国憲法で、どの種のものが有効であり、どの種のものが無効とも言っていません。まず、審査する機関さえ置いていないんです。
ですから、大日本帝国憲法のもとで、22条で居住移転の自由を保障しています。保障していますが、東京に移入することを禁止する法律をつくりました。しかし、これは合憲なんです。なぜかというと、審査する機関がないんですから。司法権にいわゆる違憲立法審査権を与えていませんのでね。
残念ながらこれは、法はなぜ守られねばならないか、これも非常に重要なことなんですが、これにきちんとした回答は憲法学者も与えていませんが、法が政治の言葉という面が間々あるんです。ですから、法を徹底するんだったら、審査機関を置いて、どういう場合は有効、どういう場合は無効という形もかなりの程度に明らかにしませんと、無効と言うことはなかなか厳しいんです。じゃないと、今度は日本国憲法から見ますと、大日本帝国憲法が存在したこと自体が違憲になるわけで、これは単なる事実にすぎなくなってしまうんですね。
これは現実の現象でもよくありますが、憲法違反があったからすべて効力を失うということじゃ決してないんです。ですから、皆さん方御経験なさったと思いますが、ある内閣総理大臣がカナダなんかに予備費でいらっしゃいました。ところが、予備費を使ったことを国会に承認を求めましたけれども、承認しなかったということがありました。承認しなかったら、これは憲法に違反する行為が行われたんでしょうけれども、これは無効にしないんです。あるいは、天皇に対する財産の授受、憲法8条なんかもそうですが、やった行為自体は有効にしてしまうんです、仮に違憲な行為があったとしても。
ですから、違法があったからすべて無効となるという法理論は、必ずしも現実に行われている実定法上もありませんし、ましてや、この憲法制定権力の行為をだれが審査するんだ、こういう問題があります。
この図式のところをちょっとごらんになってほしいと思いますが、9ページの「憲法制定権力」、「憲法の基本原則」、「憲法改正権力」、それから「普通の憲法規定」があるわけです。「憲法改正権力」というのは、私どもから見たら、普通の憲法規定を改正することを予定しているのですが、これを司法権で審査できるか。できない、こういうことで、私どもは、残念ながら、違法だけれども有効という形でやっていくのです。
これは、突き詰めますと非常に難しい法哲学にもなってきますので、結論については、いろいろな違いが出てくるかと思います。
平成13年06月14日 衆議院 憲法調査会
[039]
自由民主党 中山正暉
特に、今月号の文芸春秋を見てください。文芸春秋には、おもしろいことに、「真珠湾の真実 ルーズベルト欺瞞の日々」、ロバート・スティネットという方が1999年の暮れにアメリカで上梓いたしまして、2000年6月、日本語でも訳されて文芸春秋で刊行しております。この方は戦史研究家で、BBCなんかの主要メディアの日米戦争についてのアドバイザーでございますが、この人が、御承知のように、ハワイ真珠湾の米国海軍のハズバンド・E・キンメル司令長官、それから陸軍の方はウォルター・ショート陸軍長官、この方々が、戦争が済んでから13年たってアメリカの大統領を訴えています。情報を知っていたのに自分たちには知らせなかった。それが今度は堂々とアメリカの下院でこの人たちの名誉回復がなされました。去年でございます。
これを考えていただいても、私どもは、アメリカの大戦略によって、本当は1910年のハーグにおける陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約というのがあります。これは、相手の国を、沖縄の先生もいらっしゃいますが、1万8000人アメリカ人も死んでおります。今の宝塚劇場は、アーニー・パイル劇場と私ども学生のとき言っておりました。アーニー・パイルという有名な記者が死んだ、それを記念して進駐軍は、今の宝塚劇場、帝国ホテルの前をアーニー・パイル劇場という名前をつけておりましたが、バックナーという司令官も日本の狙撃兵に撃たれています。日本人が18万死んだ。その陸上戦闘をやって占領をしても、その国の法律を変えてはいけないというのは1910年に決まっています。それをアメリカは無視して、日本にこの憲法を押しつけた。
平成14年02月14日 衆議院 憲法調査会政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会
[083]
自由民主党 中山正暉
1910年に発効した陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約、ハーグ条約には、相手の国で陸上戦闘を行って占領をしても、その国の法律や条例を変えちゃいけないという、いわゆる陸戦法規慣例条約という条約があるのに、日本にこの憲法を押しつけた。
だから、どうだろうか、長年、憲法を押しつけたことを黙秘し続けた米国のブッシュさんが来たら、一番先に、情報公開法で、ほとんどの情報は25年たつと全部公開するわけですから、永久秘密になっている真相を公開してはどうかと要求するべきだと言いました。
この憲法の問題というのは、大変、何かにつけて、不審船が来ても、何かわけのわからないことを言っています。そういうことからすると、日本の安全の問題は原点の解明にあると思います。今までいろいろな御質問がありましたが、私は安全の問題で、先生、どういうふうに考えておられるかお伺いしたいと思います。
平成17年04月01日 衆議院 本会議
[030]
自由民主党 中山泰秀
日本の防衛思想を複雑にしている憲法上の制約が呪縛として脳裏に浮かぶにつけ、世間では常識となっている、米国から与えられたとする日本国憲法に関する秘密は、米国においては永久秘密扱いとされ、通常、米国の情報公開法、情報自由法、年限の経過後公開される原則から除外されているのであります。
唯一、1953年の11月15日、アイゼンハワー大統領特使として来日したニクソン副大統領は、日米協会の東京会館で行われた歓迎昼食会における講演の中で、アメリカが日本の新憲法に非武装化、すなわち憲法9条2項を盛り込んだことは、今となっては誤りであったと率直に表明したことがあります。
環境庁は省になっても、防衛庁はなぜ省にならないのか。思うに、米国の日本占領政策11項目中、3R・3S・5Dの中の、Dの頭文字で始まる5政策中、ディスアーマメント、武装解除、ディミリタライゼーション、軍国主義排除の2項目の過去の影をいまだに引きずっているのではないかと、理解に苦しむところであります。
フランス憲法89条4項には、領土の一体性が侵害されているときは、いかなる法改正手続も着手され、あるいは継続されないと明記をしています。これは、領土が占領下にあるときの法改正を禁じたものであり、一体性が侵害されているときは、国会も国民も自由に意思を表明することができないからであります。
これは、1910年のハーグ条約、陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約を憲法に導入したものであり、占領下の日本国憲法制定はこの条約に明らかに反したものと言えるのではないでしょうか。