南京大虐殺 ~ アイリス・チャンとハロルド・ティンパーリ 1/3

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平成10年06月05日 衆議院 安全保障委員会
[133]
自由党 西村眞悟
それからもう一つ、今回も写真を使った映像効果を持った一つの意図ある記事に対処することでございましたが、これから御質問申し上げるのは、中国政府とチャイニーズアメリカンとが連携をしたアメリカ国民に対する反日キャンペーンのことについて御質問申し上げます。

つまり、「ラーべの日記」という本、日本でも刊行されました。また、アイリス・チャンという29歳のチャイニーズアメリカンの方が「レイプ・オブ・ナンキン」という本をアメリカで出版されて、ベストセラーである。

私は、産経新聞の古森特派員からの記事でいろいろ興味を持ってそろえておったわけですが、古森さんと直接電話でしゃべったところによると、これが昨年暮れに発売されてくるわけですが、これに対して在米日本大使館は何も動いていないということが伝えられました。

これは、リチャード・フィンという方が、これは日本にも紹介されますが、この「レイプ・オブ・ナンキン」は非常に誤りが多い、したがって、このまま沈黙を守れば誤りを認めてしまうことになるよという警告を産経新聞に載せておるわけです。

発売は昨年の暮れの時点でございますが、これがどういうふうにして発売されるに至ったかといえば、まず、このアイリス・チャンという方の述べたことを言いますと、ラーべという方の御子孫の方にチャンさんが手紙を出して、ラーべ家の当主オットーさんという方の保管していた日記を人民日報の中国人記者と相談して借り出す。これがとられたりまた買収されたら困るので、直ちに米国のエール大学図書館へ寄附する。こういうことから「ラーべの日記」が、抄訳ですが出版されてきて、アイリス・チャンさんの「レイプ・オブ・ナンキン」の発売に至るわけですね。

これに対して日本大使館は何の反論もせず、ただ、4月21日に斉藤大使が日本人記者と会見して、誤りが多い旨の指摘をする。

これに対して4月27日、本部をカリフォルニア州に置く世界抗日戦争史実維護総合会というものが斉藤大使の辞任を要求して、米国議会、中国政府、報道機関にその辞任要求書を送付した。そして、中国大使館員はこの間テレビに出ていろいろ発言を行っている。

日本大使館にそのアメリカのテレビ局から出席の依頼があっても、日本大使館からはだれも出席しない。

中国大使館員は、そのテレビにおいて、日本国政府は謝罪すべきである、こういうふうな公式な発言を発するに至っているわけですね。

昨年、プリンストンでシンポジウムがこの団体の呼びかけでございました。日本から出席した秦郁彦さんがその出席した体験を書いております。

その秦郁彦さんは南京の事件での事実を述べた。向こうの軍司令官は、南京死守、死んでも守れという命令を下しながらさっさと逃げ出した、それによって大混乱に陥ったんだというふうなことを述べますと、会場から非常にブーイングが上がって発言が妨害される。司会者がここは知的な討論の場ですよと言ってもブーイングがとまらない。ここで彼はどういうふうな感想を述べているかと言えば、アメリカの知的社会において知的にこの問題の真実を究明しようとする声がマイノリティーになりつつあると。謀略が、一つの一定意図を持ったこのキャンペーンが、それに対して事実を指摘してこの問題を把握しようというアメリカの知的な良質的な部分の層をマイノリティーにしつつあるというふうに伝えております。

これは、私はインディペンデント・オン・サンデーのことから出発してこの問題に至っておりますが、同じ問題なんですね。

それで、向こうのアメリカ人学者リチャード・フィンさんが指摘するように、我が国はともかく、アメリカという社会、またイギリスという社会において、指摘されたことが間違っておれば、間違っておると指摘しなければその間違いを認めたものとして、真実なものとして通用してしまうということになるんです。

日本大使館がこれに対していかなる対応をするのか。これは非常に難しい問題であるということはわかります。ただ、これだけは確かです。国益の観点から、事実に反する反日キャンペーンがあれば、これに対処しなければならない、これは国際常識でございます。

そこで、今までどういうふうな対応を身内の日本人記者に対する斉藤大使の発言が日本の産経新聞に載って、日本の産経新聞を見たカリフォルニアに本部のある世界抗日戦争史実維護総合会が抗議するという行動パターンではなくて、アメリカ国民に対するキャンペーンなんですから、我が国もアメリカ国民に対して、事実と合うところ、違うところ、その実相を堂々と説明する努力をなぜ今までしていないのかということについて御質問申し上げます。

[134]
外務大臣 小渕恵三
日本に批判的な報道や著作が、明白かつ重要な事実関係上の誤りや歪曲に基づくものであったり、日本に対する不当な批判を行っておる、または日本の名誉を著しく損なうようなものである場合には、報道機関や著者の表現の自由にも配慮しつつ、その内容及び重要性などを個別に判断し、報道機関への書簡や投稿等により事実関係訂正の申し入れや反論、抗議、さらには、日本政府の施策の説明などを従来より行ってきております。

また、政府としては、みずからの立場や政策につき、諸外国でも可能な限り広くかつ正確に理解されるようこれまでも在外公館等を通じて広報活動に努力してきたところであり、今後ともこのような努力を続けていく考え方でありますが、今、西村委員がいろいろ御発言の中に引用されました古森さんの記事とか秦さんの著作とか、私も一通りは目を通しておるつもりでございます。

そこで、GツーG、要するに、向こうの政府のやったことについては政府としては正式にコメントして、もし誤謬があればこれは正していかなきゃならぬということですが、今最初に申し上げましたように、一般的な著作やそういうものに対して政府としてどういう対応をするかということはなかなか難しい問題だろうと思います。

先ほど委員御指摘で、他国の例を一般論として取り上げれば、その国の議員とか、あるいは著名な評論活動において権威のある方とか、いろいろな形の方々がそうした誤りを指摘をすることによって正確を期していくという努力を、いろいろ間接話法で努力をしておるというさまは、私もかねて来各国の状況を見て承知をしておるところでございまして、そういった点でいろいろな工夫も必要じゃないかと正直思う気持ちもございます。

そこで、政府としてはと言われますと、今申し上げたような答弁になりますが、これも工夫の余地がいろいろあるんじゃないかと思います。特に、米国のようにオープンデモクラシーの社会では、主張する者がある意味では正義であり、正しき者として受け入れられる姿でございますから、そういうことからいうと、もっともっと積極的に発言の場をとらえて、米国における各種のTVとかマスメディアにどうアクセスするか、こういうことについては、さらにさらに努力の必要性については私も承知をしております。

本件というわけではございませんが、一般論として申し上げれば、そういう認識をし、対処していかなきゃならぬというふうに思っております。

[135]
自由党 西村眞悟
この対処についてはいろいろあると思います。中国北京政府のように、封切りもしていない映画に対して異議を述べるということまでする必要はない。ただ、事実を指摘できる能力は外交官は持たねばならない、このように思うんですね。

中国側だけの資料を言いますと、このアイリス・チャンさんは、30万人以上虐殺して、レイプして、それは天皇が皆殺しの命令をしたんだ、日本ではそのことを隠ぺいして全く教えていないし、教科書でも無視していると書いてあるわけですけれども、事実を指摘するだけの能力は、我が国の歴史、そして国益を守るために、外交官は直ちに思い起こさねばならないと思うのです。

ちなみに、中国側の資料だけでいいますと、中国軍の陣中新聞、これは1938年4月30日の日付、陣中新聞の名前は抗敵報です。ここには南京で4万2000人が日本軍に殺されたと書いてある。1943年、米中合作映画「中国の戦争」、これは、この映画からの映像が長崎の資料館に展示されて、映画からの映像で事実ではないということで騒ぎになった映画ですが、この映画では南京において4万人が殺されたと言っております。終戦直後の中国国防部発表の日中戦争における戦死者は、終戦直後、175万人と中国国防部は発表しております。1995年まで、中国人民抗日戦争記念館、これは盧溝橋にありますけれども、これには日中戦争による死者は932万人と発表されております。しかし、同年、1995年、江沢民氏がモスクワで日中戦争によって3500万人が殺されたと発表した途端に、中国人民抗日戦争記念館の932万人の数字が3500万に変わっております。中国側資料においては、大体4万人なんです。

それで、こういうことを直ちに指摘できる能力が外交官になければ情報戦に負ける。心理戦というものが平時において恐ろしい力を発揮して我が国を追い込んでいったのは、さきの大戦に至るまでの反日キャンペーン、浙江財閥の宋兄弟によるアメリカ議会における反日演説等々で我々は身にしみておるではありませんか。これに対して対処できる能力を外交官は持っていなければなりません。

ついでに言うならば、先ほどインディペンデント・オン・サンデーの写真ということを例に挙げました。アラン・ジョベールという方の「歴史写真のトリック――政治権力と情報操作」、これは朝日新聞から刊行されております、写真というものが発明されてからの近現代史で、写真ほど危険なものはないという指摘がある。

天皇陛下と犯罪者を並べて写したあの記事もそうですけれども、アイリス・チャンさんの「レイプ・オブ・ナンキン」の写真を見たら、中国軍が匪賊の首を切ってさらしものにしている写真が、日本軍がやったとなっておるのです。日本の新聞記者が撮った、平和が戻った村々で、収穫をしに行くために和気あいあいと女性と子供が橋を渡っている写真が、レイプされるために連行される中国人女性ということになっておるのです。

したがって、外務大臣にここで強く要望をいたしますが、プロジェクトチームを外務省また在外公館に勤務する方に対してはつくったらどうですか。

これは、今申し上げました南京のあの当時の安全区には、米国を初めすべての領事館が在外公館を持っておったのです。アリソンというアメリカの書記官は、2月1日に、事態は至って改善された、日本兵は優雅になったという記録を残しております。そして、ラーべ自身が、南京陥落時の住民人口を20万から25万と見積もっているのですね。それで、安全区の委員長はラーべですけれども、ほかの25人の委員はほとんどアメリカ人宣教師なんです。だから、アメリカの公的記録の中にその事件の実相を示すものがあるはずです。だから、外務省が各国在南京領事館に関する資料を収集して調べる必要があるだろう。

そしてもう一つ、今、中共軍と国民党軍の資料を調べれば、先ほど言ったように、抗敵報というその当時の記録で4万2000人という死者数をみずから述べておるわけですから、そして「中国の戦争」という1943年につくられた映画でも4万人になっているわけですから、これは事実に近い数字としてわかってくる。

それから、「ラーべの日記」の全文を我が外務省は読むべきだろうと思います。全文です。つまみ食いされたものではなくて、全文です。

そして、毛沢東のゲリラ戦術というものは何であったか、やはり事実を調べるべきです。三光作戦なんか言われていますけれども、毛沢東のゲリラ戦は、逃げるときに常に村々と食糧を焼き払っていくわけです。こういう戦法をみんな日本軍がやったということになっているのです。

それから、国共内戦の実態。あの残酷な国共内戦で何人が死んだのか、これはみんな日本人がやったと言うのでは、たまったものじゃない。

それからもう一つ、中共成立後に、毛沢東の共産党政権を維持するために何人が粛清されて死んでいるのか。スターリンの粛清の人数は出てきましたけれども、中国大陸だけはまだ出てきていない。ポル・ポトは出てきましたけれども、中国大陸と北朝鮮だけはまだ出てきていないのです。

これを調べて、反日プロパガンダというか自分たちが平和な時代の政権のもとに、自国民を何1000万も殺している政権がその罪を自国民から目をそらすために日本がやったというふうに仕向けているわけですから、これは心理戦争に対処する平時の非常に重要な国益の擁護のための外交活動でございますから、どうかプロジェクトチームをつくって、いやしくも外交官ならこの問題にぴんと反応して事実が頭から出てくるように、そして出典も出てくるように、直ちにそのような訓練、知識の蓄積が必要ではないか、このように思いますので、外務大臣に要望して、御所見をいただいて、質問をやめたいと思います。よろしくお願いします。

[136]
外務大臣 小渕恵三
いろいろの御意見を拝聴いたしました。

歴史というものは正確に受けとめていかなければならないというふうに思っておりますし、役所としていろいろ勉強することは当然でございますが、何はともあれ政治家たるもの、すなわち、私自身もさらに勉強していきたいと思っております。





平成10年06月12日 衆議院 予算委員会
[118]
自由党 西村眞悟
これは、ファイナンシャル・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、こういうことにも報道されております。ただ、総理が今、我が国、この日本の中で発言されているのは私もわかります。無視することは無視する。しかし、かの国では、やはり事実に反することを指摘されれば、明確に反論しなければその事実を認めたことになってしまう。これがそうなんです。

だから、「レイプ・オブ・南京」というふうな出版物がアメリカで出版されました。それに対してアメリカの親日家は、産経新聞にもありますように、日本はどうしているんだ、事実に反することを書かれているならば、それを明確に指摘しなければその事実を認めたことになりますよ、こういうことを言っております。





平成12年05月25日 参議院 外交・防衛委員会
[054]
第二院クラブ 佐藤道夫
現在、アメリカのカリフォルニアで行われている、ある幾つかの裁判の例を取り上げて外務大臣の御所見を承りたいと、こう思っております。法律家としてとても理解できないような裁判が行われている、そうとしか言いようのない問題であります。

この裁判の原告というのは、第二次大戦で日本軍の捕虜となって強制労働をさせられたというアメリカ人、カリフォルニア在住なんでしょう、それから日本軍によって強制連行されて日本でやっぱり奴隷労働を強いられたという中国系、朝鮮系のアメリカ人、同じくカリフォルニア在住の者だと思われます。この者たちがカリフォルニアの裁判所に損害賠償請求を起こしておると。

被告になっているのは、彼らを奴隷労働させたという当時の日本の大企業、三井、三菱系の財閥系の企業それから旧八幡製鉄、今は新日鉄ですか、それの関連の在米企業が被告になっておって、1人当たり数100万ドルとかという相当膨大な何か損害賠償を請求されておると、こういうふうに新聞でも報道されております。

実は、一昨年と昨年、カリフォルニア州は州法を改正しまして、民事訴訟の時効を延長したんです。この対象となった事件というのは、第二次大戦中にナチスドイツ、その同盟国、これは日本のことですけれども、これが犯したホロコースト、大虐殺ですね、日本の場合には南京の大虐殺なんかが対象になっておるようであります。それから、日本軍の捕虜となった、あるいは強制連行されて日本の企業から奴隷労働を強いられた、こういう人たち、これの時効を延長しようという発想なんですね。

実はこれのきっかけになったのが、アグネス・チャンではなくてアイリス・チャンという中国系のアメリカ人女性の書いた「ザ・レイプ・オブ・ナンキン」、南京の強姦事件というやつで、これはアメリカで大変な評判になりまして100万部近くも売れたと。これは南京虐殺を取り上げて、日本軍は本当にひどいということをリアルに書いておる。それを読んだアメリカ人たちは大変憤激しまして、たまたまカリフォルニア州にその犠牲者あるいは相続人たちがいるものですから、何か日本政府から謝罪の言葉でも受けたのか、あるいはまた慰謝料をもらっておるのかということを聞いたら、何もそんなことは、びた一文受け取っていないし何のあいさつもない、本当にひどいものだということになって、そうか、それならカリフォルニア州としてこの問題を取り上げて日本政府を追及しよう、とりあえず在米の企業あたりがどうだろうか、日系の企業はどうだろうかということで時効を延長するという法律をつくったんですね。

しかし、時効を延長するというのは、ある権利がありまして、これをずっといろんな人が行使してきた、それでことしいっぱいでこの時効が来る、そこでやむを得ず2010年まで、あるいはもう少し延長しようというのが時効延長の考え方なんですけれども、もともとこんな権利はだれも考えていなかったんですね。にわかに時効を延長するよと言われても、一体そんなことが本当に権利としてあるのかどうか。だれもよくわからないし、そもそもアイリス・チャンの南京虐殺に関する報道、日本の研究家たちによれば大変いかがわしい、なかなか信用できない、客観的な証拠は一切ない、こんなことも指摘されておる。その本がきっかけになってこんなものをつくって、そして日系企業を訴える。そのうち日本政府も訴えるということになるのかどうか知りませんけれども、そういうことが果たして許されるのかどうなのか。

それと、もう一つ大きい問題ですけれども、これは実は国対国の問題なんだろうと私は思うわけであります、本当にそういう犠牲者がおるとすれば。それを一地方団体が、アメリカの州というのは特殊な立場、地位は持っておりますけれども、それでも国際的な問題を取り上げてこれを扱うということが州として許されるのかと。やっぱりアメリカ政府を通じて日本政府と交渉して解決すべき問題だろう、こういうふうに思われるわけでありまして、それを時効を延長すると一言だけで、昔々の50年前のそういう大問題というのか、こっちから言わせれば何にもなかった、向こうから言わせれば大変な問題だ、そういう争いのあるようなケースを取り上げて、一州が裁判をすることができるんだろうかという疑問が法律家としてあるわけです。

そこで、外務省にお尋ねしたいのは、今何件ぐらいこういう事件が提起されておって、被告となっている日本企業にはどういう会社があるのか、それから金額的にはどれぐらいになっているのか、総計すれば。その辺のところを概略ちょっと説明していただければと思います。

[055]
外務大臣 河野洋平
お尋ねの件数、訴訟が提起されている件数は20数件と承知しております。今、議員からもお話がありましたように、政府は御指摘の訴訟の当事者ではございません。被告とされているのは日本企業でございまして、その企業名及び具体的請求額などについて政府が説明をするということは控えたいと思います。

[056]
第二院クラブ 佐藤道夫
もう遠慮はないんですよ、どんどん言ってください、公開されている裁判でやっているんですから。おかしいよ。

[057]
外務大臣 河野洋平
と申しますのは、我々が承知をしておりますものだけでそれがすべてかどうかという問題もございますので、ここで何件と明確に言い切るということは、もし間違いがあってはいけませんし、そもそも当事者でない者がこのことについてあれこれ言うことは控えるべきだと思っております。

私は、今、議員が御指摘になりました問題は非常に重要な問題だと思いますことは……

[058]
第二院クラブ 佐藤道夫
ちょっと、そこはまだ聞いていませんから。

[059]
外務大臣 河野洋平
はい。

[060]
第二院クラブ 佐藤道夫
公開の裁判で行われているんですから、裁判所に問い合わせれば件数と被告、原告名ぐらいきちっと教えてくれますよ。それをやるのが在外公館の仕事でしょう。そんなこともやっていないんですかと言いたくなりますが、よろしいです。

そこで、この問題、先ほども言いましたけれども、国対国の問題であろうかと私は考えるわけで、一地方自治団体がそんなことをできるわけはないと私は考えているわけであります。アメリカの州がそんなに偉くはないと。それから、日本とアメリカの間では、こういう戦争にかかわる賠償問題は講和条約で既に解決済みと私は考えておりますけれども、その点いかがでしょうか。

[061]
外務大臣 河野洋平
今、議員がおっしゃったとおり、さきの大戦にかかわる賠償、財産及び請求権の問題は、日本国民がとった行動から生じた個人の請求権の問題を含めてサンフランシスコ平和条約によって日米両国間で既にすべて解決済みということになっております。

そして、この点につきましては、アメリカ政府もそれから東京におられますフォーリー駐日大使も、平和条約は日本に対するすべての請求権を解決済みであるということを大使もおっしゃっておられますし、アメリカの国務省もこうしたことを対外的に言っておるわけでございまして、この解決済みとの立場は、これはもう明らかだと申し上げていいと思います。

[062]
第二院クラブ 佐藤道夫
アメリカ政府は州に対して注意を喚起する、そのような措置はとっておるんでしょうか。もしとっていないとすれば、なぜとっていないのか。とるべきであるということを我が国として申し入れるべきだと思いますよ。いかがでしょうか。

[063]
外務大臣 河野洋平
ちなみに、この手の問題で州法に書き加えた州はカリフォルニア一州でございます。現在、ロードアイランドとニューヨークで審議はされているようでございますけれども、既に審議が終わってそうした措置がとられているのはカリフォルニア州一州であり、さらにニューメキシコとミネソタではそれは廃案になったというふうに聞いております。

私は、今、議員が御指摘になりましたように、アメリカ政府が州に対してそうしたことをしているのかという御質問でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、アメリカ政府は国務省の立場としてこの問題は明確にしておりますし、フォーリー大使も公の場でこうしたことを言っておられまして、そのことはアメリカは国の立場というものをはっきりさせているということだと私は思います。

[064]
第二院クラブ 佐藤道夫
アメリカ政府に対して、法律論として厳しく申し入れをしてください。絶対に許されないことだと、法律家として私はそう考えます。

実は、ナチスのホロコーストについては時効がないというヨーロッパの考え方があるんですけれども、それにしてもきちっと国と国の間で条約を結んでこれは終わりということを約束したことでありまするから、こんなことが許されるわけはないと。もしそうならば、日本人でも原爆問題を取り上げて、あの犠牲者、その相続人が、人道上許されないことですよ、突然原爆を投下して非戦闘員である一般市民を数10万人も虐殺したわけでしょう。それをほっておいていいわけはないんですからね。もし、こんなことが許されるとすれば、広島市や長崎市が条例をつくりましてアメリカを訴える、在日のアメリカ企業を捜し出しておまえを訴えると言ってやればいいんですよ。そのとき、アメリカ政府は慌ててそれは困るということを言ってくると思いますから、同じことを君たちもやっているんじゃないかと。そういう考えだって私はあっていいと思って、こんな法律に反するようなやり方をみすみす見逃しておいていいのかということを強く外務省に申し入れまして、またこの問題を取り上げさせていただくかもしれませんけれども、質問を終わりにいたします。

[065]
外務大臣 河野洋平
委員長、最後に一言だけ。

今、議員御指摘の問題は、2月の20日に私ワシントンへ参りまして、オルブライト国務長官にこの問題については取り上げて我が国の立場を述べたところでございます。

[066]
第二院クラブ 佐藤道夫
終わります。





平成17年05月18日 衆議院 外務委員会
[076]
民主党(民進党) 松原仁
アメリカでは、例えば日本の国民の残虐性を明らかにするということで、「レイプ・オブ・南京」という著書が大変なベストセラーになった。これが日本で翻訳されるという話が、実際は出版されなかった。

幾つかの憶測を生んでいるわけでありますが、最大の理由として、ある人たちが指摘するのは、それを日本で出すとその写真がにせものであるということが白日のもとに明らかにされるがゆえに、この「レイプ・オブ・南京」は、アメリカでは大ベストセラーになったにもかかわらず、日本では翻訳、出版は結果として見送られた、こういうふうな議論もあるわけであります。

そうなりますと、実際我々は、実態と違うことをかなり中国等の教科書で書かれている、それをもって日本の弱みというか日本の侵略性の証拠として向こうは攻め込んできているということになるわけでありますが、こういう一つ一つの材料について、国際世論に対しての訴えも含め、我が国はどのように反撃するのか、それについてお答えいただきたいと思います。

[077]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 齋木昭隆
お答えいたします。

「レイプ・オブ・南京」について、先生今言及されました。この本は、出ましたときに非常に反響を呼びまして、私も、たしか英語で出たのをぱらぱら見た記憶がございます。

当時、98年でございますけれども、この本について私どもとしての見解というのも明らかにしておりますが、斉藤駐米大使が記者会見という場で、非常に不正確な記述、一方的な見解の多い本である、事実の誤認、曲解もあるんだということで、非常に強い不快感を表明しております。そういうことで、私どもとしては、この本の内容については非常に不愉快な気持ちを持っているわけでございます。

記者会見という場で、既に私どもとしての立場はこの本については表明したところでございますが、先ほどの御質問の中で述べておられました出版の中止の経緯、これは私ども、報道で承知している限りにおいては、翻訳に当たっての本の内容について、著者と出版社の間でいろいろとやりとりがあったけれども、折り合いがつかずに出版中止になったということを承知しておりますけれども、それ以上については、私どもとしても特段何か事実関係について知っているわけではございません。

[078]
民主党(民進党) 松原仁
時間もないので、最後に大臣にお答えいただきたいわけであります。

この歴史認識、その土台になる事実の問題、極めて中国側の、特に教科書、ティーチャーズマニュアルの話は前回、前々回と2回続けましたが、教科書においては、明らかに田中上奏文はおかしい、明らかにさまざまな他の部分もおかしいということが論証されてきている。

さらには、アメリカでは、日本の暴虐性を、まさにこれだけ大ベストセラーで、アメリカ人はみんな日本というのはひどい国だと思ってしまっている。この「レイプ・オブ・南京」が出版され、確かに今齋木さんがおっしゃったように、それに対してはアメリカの日本の大使が、おかしい、とんでもないと不快感をあらわにしても、それがどれだけのアメリカ国民に伝わっているか。アメリカ国民の多くは、日本というのはナチスと同じぐらいの残虐な国民だとその本で思ってしまっているかもしれない。

こういう事実に対して、中国の教科書の問題もありますが、大臣、事実はやはりはっきりとさせなきゃいかぬという観点から、内政干渉との紙一重でありますが、どのようにこれから行動するつもりか。既にそのことについては李肇星さんとの間でも議論になっておりますが、これからこのことに対して組織的なプロジェクトチームなりをつくってやるべきだと思うのでありますが、それについての御決意と御見解をお伺いいたします。

[079]
外務大臣 町村信孝
今、教科書問題等について中国側に私どもの見解を述べる作業を、これはなかなか外務省ひとりでやり切れるものでもなかろうということで、文部科学省とも相談をしながら、先方の記述等について、より正確性を高める、あるいは、例えば戦後の日本の平和活動について積極的に触れるような内容が少ないとか、幾つかの点について申し述べるような準備作業を行っているということでございまして、まとまり次第、一定の方法で先方にそのことは伝えなければいけない、こう思っているところであります。

[080]
民主党(民進党) 松原仁
これで終わりにいたしますが、中国の反日暴動が収束した理由も、国際世論というものがあったわけでありますから、特に、中国に対して申し入れるだけではなくて、国際世論に対してこのことを明らかにするための努力を、日本の国益に合致することでありますから、外務省、町村大臣中心に全力で取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質疑といたします。

以上です。ありがとうございました。





平成17年07月13日 衆議院 外務委員会
[109]
民主党(民進党) 松原仁
今回の暴動は、ウィーン条約から考えても、大使館に対しての破壊活動は客観的事実で、中国が悪いのは明らかなんですよ、初めから。だから、もちろん政府の努力がゼロだったとは私は言えないけれども、客観的事実を国際社会が見れば、それは大臣の言うとおり、これは5月25日のアジアン・ウォールストリート・ジャーナルでも書いてありますよ。

デモにより在中大使館などが被害を受けているのを許した中国は、明らかに悪い。しかし、中国政府が犯した罪はそれだけではない。先週、知名度の低い新聞サザンウィークエンドは、中国は普通の市民のふりをしたスパイ軍団を結成し、インターネット上の意見を先導したという事実が出た。反日行動の種をまいたのはだれなのかわからない。

こういう記事まで出るぐらいに、国際社会は冷静にそれを見た部分があるけれども、結局、その中でも、私は、日本政府としてはもっともっと、これはもう毅然と、北朝鮮問題も含めて戦うべきだと思っております。

歴史認識の問題でというのを李肇星さんが言ったということですが、時間がないので私の言いっ放しで終わるかもしれませんが、一番問題になっているのは、例えば俗に言う南京の虐殺事件、暴虐事件というものがあるわけであります。これに対して、私は、ぜひとも大臣も、既に御承知おきかもしれないけれども、このことはよく知っていただきたい。

これは、どれぐらいの人数がこの南京の虐殺によって失われたかというと、極東軍事裁判では、日本軍が占領してから最初の6週間に、南京とその周辺で殺害された一般人及び捕虜の総数は20万以上であることが示されている、これらの見積もりが誇張でないことは、埋葬隊その他の団体が埋葬した死骸が15万5000人に及んだ事実によって証明されている、これは東京裁判の判決ですよ、1948年11月11日。

この15万5000人という数字が一つあって、それで20万だ、もっと多いから、こういう話であります。

しかし、ここで大事なことは、南京のこの事件の後に、ベイツという南京大学の教授で宣教師、当時、今の台湾政府である国民党の顧問をやっていたベイツが、4万人の虐殺があったということを初めてここで明らかにして、たしか白人記者に、アメリカの記者かだれかにこれを言ったというのが最初のスタートだというふうに私は認識しております。

その後、ティンパーリ、有名なティンパーリでありますが、最近は、国民党からいろいろな意味でお金をもらっていたということも本の中で明らかにされたりしております、真実かどうかはまた検証が必要かもしれませんが。それが、昭和13年7月に「戦争とは何か」という本を書いた中で、このベイツの数字を恐らく引用したんでしょう、ベイツから引用したとは書いていないけれども、4万人がそういった意味で犠牲になったということをティンパーリが書いているわけであります。それが昭和20年過ぎの東京裁判でこの数字になる。

いろいろと調査しますと、当時の南京の、死体がたくさん大変無惨な形にあった、それに対して、この数字のデータ、15万5000というのは、崇善堂という団体が11万人の埋葬をした、4万人の埋葬を紅卍字会というのがやった、こういう話なんであります。トータルが約15万5000、こういうことであります。

しかし、当時、この紅卍字会を指揮して中国の亡くなった方々の埋葬をやったのは特務機関にいた丸山進さんという方で、ことし亡くなったそうでありますが、これは、中国はなかなか地主のいない土地がなく、丸山氏が乗り出してようやく埋葬がどんどん進んでいった。彼が言うには、崇善堂は当時埋葬をやっていなかったということを彼が証言しているわけですよ、つい先ごろ亡くなったわけでありますが。

そうすると、その崇善堂の11万というのは、どうもこれは事実あったかどうか極めて怪しいということを我々は感じざるを得ない。紅卍字会の4万というのは、これは実際4万より少なかったけれども、埋葬者の人数によって、言ってみれば、費用が特務機関から出されたという経緯があるんでしょう、見積もりを上乗せして4万人にしたということをこの丸山さんが証言しているわけであります。

ほかにもたくさん言いたいことはあるわけでありますが、私が申し上げたいのは、中国側はこれが30万人というふうなことも言っているわけでありますが、これについての数値に対して、外務省が把握している数値をちょっと教えていただきたい。

[110]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 齋木昭隆
お答えいたします。

南京のいわゆる虐殺問題に関連しまして、虐殺というか殺害、略奪行為があったのかどうかということからいいますと、これは累次国会等でも御説明申し上げていると思いますけれども、少なくとも日本軍が南京に入城した1937年、昭和12年でございますけれども、南京入城後多くの非戦闘員が殺害あるいは略奪行為に遭ったということは否定できないというふうに我々として思っておりますが、具体的な人数につきましては、これはいろいろな説がございまして、数1000人の規模であったという説もあれば、あるいは先ほど来松原委員がおっしゃったような30万人、40万人という数字を述べているものもございます。

日本の南京事件を研究してこられた権威の一人であられます秦郁彦先生は、不法殺害の犠牲者としては3万8000ないし4万2000という数字を挙げていらっしゃいますし、また、陸軍のOBの親睦団体偕行社が出している出版物の中では、数字はもう少し少ない数、3000ないし6000、あるいは3000という数字といったものも出ております。

いずれにしても、その辺の、実際に何人の非戦闘員が日本軍の南京入城後殺害されたのかということについては、正確な把握できる数字というものは残念ながらないというのが実態でございます。

[111]
民主党(民進党) 松原仁
結局、我々の国の歴史にかかわる問題でありまして、余りあいまいな数値がひとり歩きされても困ると私は思っているわけであります。

それは、例えば、この間も東中野さんの本をここに出して、齋木さんもそれは見たとおっしゃいましたが、あの中で、ほとんどの写真が違う、それに対してまたいろいろな疑義が出たりしていますが、明らかに違う写真というのもそこにたくさんあるわけですね。政府はこういったものに関して、全く無関係であるのか、それとも、やはり日本の歴史の中で、日本の名誉にかかわる問題ですから、きちっと間違ったものを正すという意思を持っているのか。

それは、町村さんが、例えば教科書問題で、中国の教科書のおかしな部分とかいったものもひとつ指摘しようではないかということをこの間おっしゃいましたが、あわせて、そういったものは、やはりこれも風化をする前に、例えばさっき言った丸山さんが生きていれば生の話が聞けるわけですよ。国会に呼んで、どうだったんだと聞けば、それは、いや、実際は紅卍字会しかやっていませんでしたという話をするかもしれないわけですよ。そういったことも含めて、私は、やはり日本の国の先祖や子孫に対して責任ある立場として、我々はそういったことを政府も取り組むべきだと思うんですが、町村大臣、いかがでしょうか。

[112]
外務大臣 町村信孝
歴史のいろいろな事象について政府が何か有権的な解釈をしなければならない責任は、私は、一般的にあるとは思われません。

もちろん、政府として、さはさりながら、例えば、教科書に正確な事実を書いてもらいたい、そのために検定を行う。検定をするに当たって、それではどこまでの表現が許容されるのかというようなことは、やはり、それは政府が肯定的な解釈を下すというよりは、いい教科書、正しい教科書をつくるという観点から、そういう作業が必要になるケースというものも私はあると思います。

そういう意味で、私は、例えば今のいわゆる南京の事件についての人数の問題、これについて、仮に、だれがどう見てもおかしな数字が載っていれば、検定の段階でこの数字はどういう根拠ですかといって問い合わせて、その根拠が不明確な場合には他の表現に変えてもらうような検定意見を付すということはあると思います。

ただ、それは抜きにして、では、南京事件において一体何万人の方が虐殺されたのか、殺されたのか、一般人は、軍人はということについて、政府が詳細な調査をやって、その結果を出さなければならない責務があるか。それは私は、率直に言って、どうかなと思います。

いずれにしても、例えば日中間でこういう問題があることは事実でございましょうから、日中の歴史共同研究というようなものを立ち上げるということについて合意をしておりますので、その場を通じて、それぞれの専門の方々がいらっしゃるわけでございますので、そういう場で大いにデータを突き合わせ議論を闘わせていただいて、願わくは、もし一つの方向、結論というものが出れば、それはそれで大変有意義なことである、私はかように考えております。





平成17年07月22日 衆議院 外務委員会
[121]
民主党(民進党) 松原仁
質疑時間があと5分となってしまったわけでありますが、そうしたときに、例えば、中国が日本に対して歴史上のさまざまな問題、歴史カードともいうべき問題をさまざま言ってくるわけでありますが、彼らが南京の暴虐事件に関しての数値を挙げて言う。その数値がまさに、例えば30万という数値を挙げたりすることに対して、前回の質疑の中で、私は、ベイツの言った数字、ティンパーリの挙げた数字、4万人であるということを申し上げました。

しかも、あの段階で、実際に埋葬を指揮した丸山さんという人の話を含めて、紅卍字会が埋葬した人間は実は4万人足らずだったけれども、埋葬した人数においていわゆる実費を払うということだったんでしょう、少し上乗せして4万人以上の数を挙げてきた、それで4万人だった。しかし、別の、崇善堂会ですか、こちらの方の11万というのは、実態としてはその場では見ていなかった、あり得ない、こういうふうな話があった。その4万という数字をベイツにしてもティンパーリにしても使ったのだろうと私は言っておいたわけであります。東京裁判においては、15万5000というのはその両方の団体の合わせた数字でありますが、片っ方の11万というのは極めてあいまいであるということを申し上げました。

しかし、これに関しては、30万という数字がひとり歩きしたり、20万という数字がひとり歩きをしている。日本政府としては、これに対してきちっと、30万という数字は、それは極めて現実的にあり得る数字かどうか疑問であるということを私は国として言うべきだということを申し上げましたが、そういったことは国はやらないでそれぞれの学者の方々がやることだ、こういうふうに町村さんはおっしゃったわけであります。

ただし、私が申し上げたいのは、相手は国がそういったものを主張してきて、共産主義の国ですから自由な言論がないのかもしれませんが、国がそれを主張してきている。それに対して日本は、国は言い返さない、それぞれの研究者が言う。それでは国際社会におけるこういったものの議論でどんどんと押し込められてしまうんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

[122]
外務大臣 町村信孝
一般論で申し上げるならば、先般私は、いろいろな歴史的事実、それは原爆を投下した、そしてそれによって非常に数多くの方々が命を落とされた、けがをされた、そういうことは非常に、ある意味では自明のこととして言えるんでしょうけれども、今の例えば南京の問題等々について、あるいはもっと小さな事件もいろいろあるかもしれない。そうしたことについて、一つ一つすべて政府が、これはこういう数字であるとか、これはこうであるということを解釈を下さなければならないというふうに私は思っておりません。

しかるがゆえに、今回歴史共同研究というものを日中両方で立ち上げようではないかというようなことも、時間はかかるようでも、そうした客観的な学者の検討というものが行われるのであれば、そういったところから答えを導いていく方法が賢明なやり方ではないか、このように私は考えているからであります。

[123]
民主党(民進党) 松原仁
こういった歴史的なさまざまな問題をそれぞれの歴史学者が研究をしている部分に関しては、私は、それはそうだろうと。

しかし、国がまさにこういった歴史問題を外交上の問題、政治上の問題として言ってくる場合には、国は、きちっとそれなりに予算もつけ、研究もつけ、そして、この間言ったように、丸山さんは亡くなってしまったわけでありますが、まだ生きていらっしゃる間に確認をする。そういう作業をどんどんとやっていかなければ、外交上、国益に資すること小さい、こういうふうに思うわけでありますので、それは申し上げておきたいと思います。





平成17年10月13日 参議院 外交防衛委員会
[023]
自由民主党 山谷えり子
資料3の方を見ていただきたいんですが、Q5、いわゆる従軍慰安婦問題に対して日本政府はどのように考えていますかと書かれておりまして、答えとして、日本政府としてはいわゆる従軍慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識していますと書かれておりまして、こういろいろ続いているわけでございますけれども、当時、従軍慰安婦という言葉はなかったわけでございます。

そしてまた、内閣官房長官、時の談話を発表された長官あるいは副長官も、慰安婦の強制連行があったか否かについて文書、書類を調べたけれども存在しなかったと、それからまたヒアリングについては、官房副長官は、裏付けを取るべきであったが状況として取れなかった、ヒアリングだけでの認定については甘んじて非難を受けると、平成9年、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会で発言しております。

また、平成9年3月12日の参議院予算委員会では、小山孝雄議員の質問に答えられまして、内閣総理大臣官房外政審議室長平林博政府委員が、「政府の発見しました資料の中からは軍ないし官憲による強制連行の記述、そういうものはございませんでした。」、そして、証言の裏付けは、個々の証言を裏付ける調査は行っていないというふうに答えているわけでございますけれども、こうした事実も外務省のホームページに書くべきではないかというふうに思いますが、その辺はいかがでございましょうか。

[024]
政府参考人(外務大臣官房広報文化交流部長) 岡田眞樹
委員御指摘のとおり、さきの大戦をめぐる様々な問題については国内外から様々な意見が表明されておりまして、特に今回の歴史問題QアンドAを作成するに当たりましては、私どもの考えましたことは、こういういろいろな意見の中には政府の歴史認識や戦後処理の事実関係における基本的な問題についての誤った認識に基づくものが散見されますので、そういった状況を踏まえて、こういった問題についての政府のまず基本的な立場とか戦後処理の事実関係などについて国民の理解を促すことを目的としまして、これまで様々な機会に示された政府の立場や事実関係を簡潔にまとめさしていただいたものだということで、文章的にも量はそんなに大きくないものになっております。

[025]
自由民主党 山谷えり子
事実を大切に、誤解が広がらないように対処していくことが大切だというふうに思います。事実は、国が、軍が、官憲が強制連行したという資料が見付かっていない、なかったということではないでしょうか。

[026]
政府参考人(外務大臣官房広報文化交流部長) 岡田眞樹
委員御指摘の国会答弁その他については、正に事実そのようになってございます。

取りあえず、私たちが今作っております資料は非常に簡潔なものですので、これから先我々の対応については、委員御指摘の点も踏まえましていろいろ考えさしていただきたいと思います。

[027]
自由民主党 山谷えり子
アメリカでも、保守派の間でさえ、いわゆる従軍慰安婦の強制連行説が広がっております。コンフォートウーマン、セックススレーブ、日本は性奴隷制度をしいていたというようなことが、認識が広がっております。

そのようなことはありませんでした。また、20万人慰安婦が虐殺された、このようなこともないわけですけれども、そのような本も出回っております。そして、アメリカの国会議員、国際関係の要職に就いている国会議員の間ででもそういう考えを持たれる方が出ております。

このような傾向を外務省はどうキャッチしておられますでしょうか。

[028]
政府参考人(外務大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。

従軍慰安婦の問題につきましては10年ほど前に相当問題になりまして、今先生から御指摘のあった本はアイリス・チャン氏が作られた「レイプ・オブ・ナンキン」という本だと思いますが、その本に書かれている数字につきましては全く根拠のないものだと思っております。

それから、慰安婦関係の団体のアメリカにおける動きにつきましては、大使館を始め各総領事館、いろいろ引き続き情報を収集しておる事実はございます。同時に、事実認識につきまして誤った考えを持っておられる方、ないしはいろんなセミナー等が開かれることもございますけれども、そういうところにも外務省員、館員が出掛けまして日本側の説明をきちっとするように努めております。

[029]
自由民主党 山谷えり子
10年前ではなくて、今、現在進行形で更に広がっているということを御認識いただきたいというふうに思っております。

また、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・ナンキン」のときに、外務省の方は一生懸命御説明なさっていらしたという姿も私は存じておりますけれども、しかしあのときも、アイリス・チャンが書いたあの本の事実ではない、全く事実でないことを一つ一つ丁寧に説明すべきであって、あのとき外務省は反省していますと、尊厳を傷付けましたと、それだけしか言わなかったんですね。そうすると、反省しているコメントを発表すればするほどアイリス・チャンが書いたことが、そしてまた最近書かれた20万人虐殺説が真実として独り歩きしてしまうんですよ。こんなひどいことをやったから、だから反省しているんだと。そうではありません。国は、軍は、官憲は強制連行していません。これが事実です。この一点、そしてそれを骨格にした丁寧な御説明、事実に基づいた説明で国益を損なわないようにしていただきたいと思います。

国連総会第3委員会、人権に関する委員会で、北朝鮮の人権問題、拉致問題が取り上げられようとしております。反論権を北朝鮮は行使して、強制連行や慰安婦問題を言ってくる可能性がございます。といいますのは、2年前に国連で北朝鮮の拉致問題を日本が訴えましたときに、北朝鮮は反論権を行使しまして、何を言っているんだ日本は、840万人強制連行したではないかというふうに北朝鮮は言いました。そのとき日本は更に反論すべきでした。840万という数字もでたらめであるし、そしてまた強制連行という事実はないと、国民徴用令がしかれたけれども強制連行はしていないと事実を反論すべきでしたが、日本は反論せずにそのままになってしまいました。したがいまして、国連の場では日本人が840万人強制連行した、英語で訳すと拉致と変わらないようなニュアンスで国連の場で多くの国際的な様々な代表、また関係者に認識が定着してしまったわけですね。

私はあのとき非常に慌てまして、1週間後、衆議院の外交防衛委員会で840万人強制連行していないのに何で、それはあったんですかと聞きましたところ、いや、昭和34年、外務省が調べたところ強制連行はしていないというお答えだったんですね。でしたら、なぜあの国連の場ですぐに反論権を行使しなかったのか。

今回、もしもまた2年前と同じことになってしまったら、北朝鮮は強制連行と従軍慰安婦、セックススレーブ、20万人虐殺説言ってくるかもしれません。すぐに反論をして事実に基づく日本の立場というものを説明していただきたいというふうに思います。

今回、国連大使は北岡伸一さん、日本近代史の専門家でございます。日本が反論権が行使できるようにきちんと準備し、フォローの体制を整えてさしあげてほしいというふうに思っております。





平成18年03月01日 衆議院 予算委員会第三分科会
[137]
自由民主党 大塚拓
このような方針で、しっかりやっていただきたいなというふうに考えているところでございます。

一方で、役所、政府レベルでの反論というのはやはり限界もあるのかなというふうに思っております。政府の反論投稿ですと、やはり事実がしっかり確認できる範囲で、極めてニュートラルな反論に限られてくるというところもあるのかなと思っております。そういうときに、政府が直接反論をしていくということのみならず、親日的な有識者というプールをつくって育成していって、そういうものを通じて反論していく、あるいは対日イメージの向上を図っていくというようなことも効果的なのかなと思っております。

こうしたケースで恐らく有名かなと思っているのは、アイリス・チャンという人が書いた「ザ・レイプ・オブ・南京」という、非常に反日的な、南京大虐殺についての書物がありますが、これについて、真偽は定かではないんですけれども、中国政府の支援があったのではないかという指摘もしばしばなされているところでございます。これに対して日本側からは、元防衛大学教授の秦郁彦教授が反論投稿を「ジャパンエコー」に掲載している。

それから最近聞いておる話では、中国で、北京の中国社会科学院というのが、これは国務院直属の機関ですけれども、こういうところで学位をどんどん授与していって、その学位を授与された中国人が、提携している海外の研究機関なんかにどんどん行って、200ぐらいの機関と提携しているという話でございますけれども、出ていって、執筆活動を繰り広げているという話も聞いております。

ほかにも、ちょっと毛色が違うものですけれども、フルブライト・フェローシッププログラムなんというものも、昔から、日本で親米的な研究者を育成するというのに非常に効果があったのかなと。ほかにも、いろいろなシンポジウムを開催したりとか論文に助成をしていくとか、そういう政策的にいろいろな手段が考えられると思うんですけれども、外務省として、そのような有識者を通じた対外政策広報といったものは、どのような戦略のもとに行われているのかをお伺いしたいと思います。

[138]
外務大臣 麻生太郎
これもまことに大事なところでして、何となく日本人の場合はこの種の、饒舌は銀、沈黙は金というぐらいですから、代議士なんか、べらべらしゃべるやつは大体信用しちゃいかぬとか、しゃべるやつは大体だめでしょう。我が国の風習として、べらべら弁が立つやつは大体、ガセか本当かは別にして、とにかく余りしゃべり過ぎたらいかぬわけですよ。

そういった習慣が私どもはあるんですけれども、これは海外においては、民族が違う、言葉が違うとかすると、やはりしゃべって、理屈で説得という以外にすべがないというルールになっていますから。弁が立つとか、最近日本でディベートという言葉が出てきましたけれども、いわゆるアーギュメント、口論じゃなくて、討論というのがきちんと成り立たない民族性、歴史かな、そういったものがありますから、そういったところは、ちゃんと論理的に説明ができる人をきちんと持っておくというのはすごく大事なことだと思っております。

戦争前も、プア・チャイナという言葉をあれだけざあっと広めるのに中国は成功したわけですから。そういった意味では、日本としては、この種のことは正直申し上げて余り得意ではない分野だとは思いますけれども、きちんとやっていかないかぬところだと思っております。