平成18年03月10日 衆議院 外務委員会
[164]
民主党(民進党) 松原仁
そうした議論を踏まえた上で進めていきたいと思いますが、南京大虐殺というのが一つのイメージとして、特にアメリカの多くの知識人、場合によっては親日的な政治家まで、南京はひどかったねと、その事実を肯定した上で話をするというような、大変に先人に対して顔向けできない状況が私は続いているだろうというふうに思っております。
この南京大虐殺を一つ事実あらしめた、その功績あるというか、その原因をつくった人物として、ティンパーリというマスコミ人がよく言われているわけでありますが、ティンパーリと中国国民党との関係について、ちょっとお伺いしたいと思います。
[165]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
ティンパーリ氏につきましては、日本軍の南京占領当時、これは1937年の12月でございますが、中国に駐在していたマンチェスター・ガーディアン紙の特派員でありました。
同時にということでございますが、中国側の資料によれば、同氏は中国国民党国際宣伝処顧問、同処在ロンドン事務所主任であったとされております。
[166]
民主党(民進党) 松原仁
極めて重要な指摘なんですよ。つまり、南京大虐殺を最初に報道した人間が、実は中国側の宣伝、まあ、言葉は悪いけれども、ナチス・ドイツにおいてゲッペルスがやっていたような、その宣伝担当の人間が、南京大虐殺という表現とこういったものを最初にアピールしたということですね。このことはきちっとやはり明記しておく必要があると思います。
その次に、南京大虐殺を国際的に認めさせた「戦争とは何か」というティンパーリの書物がありますが、この書物に関して、これも非常に、こういった議論がありまして、ティンパーリは、単に顧問であったということではない、この本自体が国民党中央宣伝部が作成した対敵宣伝本2種類のうちの1つであることが東中野亜細亜大学教授によって明らかにされた。
台北の国民党党史館に、極機密の判こが押された「中央宣伝部国際宣伝処工作概要―1938年から1941年4月」という文書が存在していて、このことが、つまり、南京大虐殺を世の中にアピールしたこの書物自体が、国民党中央宣伝部が作成した対敵宣伝本の1つであることが明記されているというふうに書いてありますが、このことについて御答弁いただきたい。
[167]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
今、先生から言及のありました日本の研究者の方がその論文の中におきまして、「戦争とは何か」という本が中国宣伝部国際宣伝処工作概要の中に宣伝書籍の1つであったというふうに記載されているのは承知しております。ただし、政府としましては、直接事実関係を確認しているわけではございません。
[168]
民主党(民進党) 松原仁
何か今、質疑時間を見たら、私、40分のつもりが、持ち時間の中で30分に減らされているので、急いでやらなきゃいけないので大変困っております。
このティンパーリ氏が、同時にトランスパシフィック・ニュース・サービスの責任者であったか、これについてお伺いいたします。
[169]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
今先生が言われたとおり、ティンパーリ氏がトランスパシフィック・ニュース・サービスの責任者であったという論文が存在しております。
[170]
民主党(民進党) 松原仁
その存在している論文の説明に入ると思いますが、私もここにその邦訳を持っております。
ザ・ローダウンという、1939年1月に出された、こういった雑誌があります。日本の研究家の茂木さんという方が、大変苦労してこれを入手して翻訳しておるわけでありますが、この中に、このティンパーリ氏が責任者をやっていた記事が載っておるところがあります。そのところを、時間がないので簡潔に、速く読んでいただけますか。よろしくお願いします。
[171]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
読ませていただきます。
ちょっと長くなりますが、日中戦争に関して、プロパガンダのニュースリリースにより残虐写真が新聞社にあふれ始めた。これらのほとんどは元上海の新聞人が経営するトランスパシフィック・ニュース・サービス社から出たものである。残虐写真のほとんどのものはまともな検証がされていない。また、大部分のものは20年前に連合国によってつくられリリースされたベルギー残虐事件と同じような手法でつくられたものである。最も忌まわしいものとしては信頼の高いAPに流されたものである。それが印刷物に載るとだまされやすいアメリカ人はしかるべく反応した。写真は日本軍将校が十字架に縛りつけられた中国人捕虜を使って銃剣の練習をしているのを写したものである。もう1人の日本軍将校は大げさな笑い顔でこれを見ている。APは写真は本物であると言い張ったが、その後それを取り下げ、複写したものであることを告白せざるを得なかった。
その1枚の写真の歴史は興味深いものである。というのはほとんどのその手の写真の歴史に光を当てることになるからである。最初、その写真は、1919年に上海で絵はがき用に売り出された。それは内陸地方で暴虐を働く軍閥の1人を非難するプロパガンダとして使われていた。その後、今度は北方の地域で中国の共産主義者の将校が中国人の捕虜を虐待している写真として使われた。その後、日本軍が満州へ進出すると、反日プロパガンダに使われた。満州の危機が収束しニュース価値がなくなると、今度は蒋介石が中国紅軍掃討作戦を行っているときに中国共産主義者によって行われた残虐行為を写したものとして再び登場した。
最も最近に使われたものは、お決まりの目的である、アメリカ人の同情心をかき立て、反日感情をアメリカで高めるものであった。
そういう記載がございます。
[172]
民主党(民進党) 松原仁
これは1939年に出されたものでありますが、ちょうど南京のことをティンパーリが、しかもこのティンパーリが責任者であるその雑誌において、それがここに出てくるトランスパシフィック・ニュース・サービスですよ。ティンパーリというのはどういうことをやってきたのか。それがどれほどでたらめなことをやっていたかというと、1939年のローダウンという書物の中に書いてある。
この中には、それはヒトラー、ナチスのそれこそプロパガンダのやり方と書いてある。まさに、こういうふうなことをベースにして南京大虐殺の、最初にティンパーリが数字も言っているんですから、4万幾つという数字を、4万がだんだんふえて30万になっちゃったんだけれども。
つまり、その段階で、4万という数字は、その後、この間、私、外務委員会で質問したように、紅卍字会が日本の特務機関によって遺体処理をしたとき、せいぜい水増しして1万数1000体ですよ。だから4万自体がもうあり得ない数字なんですが、ティンパーリというのはそういう人物である。そのティンパーリがこういったことを明らかにしていったんだということを我々はきちっと認識しなきゃいけない。
それでは、こういったことに対して、これは茂木さんという方がかなり頑張ってやってきたんですが、こういう我々の先人のことをまさに汚名を着せる、マイナスのプロパガンダをする、こういう動きに対して、外務省のどこがこれは担当するんですか。これに対して、茂木さんが日本国の1人の国民としてやってきたようなこと、こうやって実証したわけだ、資料をとって、大変細かくやって。こういうのは外務省、やらないんですか、やるんですか。
[173]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
外務省でやるとしますと、アジア大洋州局ないしは広報文化交流部でございます。今までのところ、今先生が指摘されたような論文の検証については実施しておりません。
以上でございます。
[174]
民主党(民進党) 松原仁
やはり我々は、日本という国は歴史があってやるわけですから、こういうティンパーリのような人間がつくり始めたことが、さらにそれが針小棒大になって今の南京大虐殺の実像をつくっている。
東中野さんは、これに関して、例えばアイリス・チャンが使っている写真とか、ほとんどにせものというか、彼は全部にせものというふうに喝破しているわけですよ。私はやはり、そういうことにエネルギーをかけるというのは、国益を考えた上で重要だと思うんですよ。
これはちょっと時間がないので、さらに先に進みます。
これは産経新聞に書いてありますが、ALPHAという団体があるんですね。このALPHAという団体がハリウッドで、これは誤報だったんですが、イーストウッド監督で映画をつくるという話があった。これはそうじゃないということが産経新聞のワシントン支局長の古森さんの報告で明らかになったわけですが、このALPHAという団体がこれに絡んでいたんですが、このALPHAというのはどういう団体でしょうか。
[175]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
ALPHAは、アジアにおける第二次大戦の歴史を保存することを目的としまして2002年に結成された団体であり、写真展やシンポジウムの実施等の活動を行っているものと承知しております。
なお、同団体のウエブサイトを見ますと、その活動趣旨としまして、日本によるアジア侵略の歴史的事実を保存することを記載しております。
日本政府として、必ずしも同団体の活動の詳細を承知しているわけではございませんけれども、今申し上げたような趣旨の事実は承知しております。
[176]
民主党(民進党) 松原仁
このALPHAという団体は、在米中国人を主体とするALPHAという団体と産経に載っていますね。日本は侵略や虐殺に対して公式謝罪も賠償もしていない、その実行を求めるとしている、中国当局が関与する世界抗日戦争史実維護連合会の傘下にある、こういうふうに書いてあります。
いわゆるこの母体となる連合会、これは中国国営の新華社通信につながるサイトを持ち、中国主要都市で当局の支援を得て集会など開いているというふうに産経新聞には書いてありますが、これは事実でしょうか。
[177]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
母体となる団体ということで、多分先生は抗日戦争史実維護会を念頭に置かれているのではないかと思いますけれども、中国政府とこの団体がどのような関係にあるかは必ずしも定かではございませんけれども、この団体は、日中戦争の苦痛に満ちた歴史の真実を保存することを目的としまして、1992年に設立されたと承知しております。
[178]
民主党(民進党) 松原仁
産経新聞には中国との関係を明記しているので、私はこういう団体を調査するというのは国益上極めて重要だと思うんですよ。さっき言ったティンパーリの問題もそうですが、こういう団体が何をしようとしているのか、日本に対して何をやろうとしているのか、何を仕掛けようとしているのか。
例えば、ここに書いてありますが、このALPHAは、90年代後半、ALPHAというか連合会だと思いますが、アイリス・チャンの書いた「ザ・レイプ・オブ・南京」、ほとんどうそ八百が書かれている。写真も、東中野さんの検証によっても、全然違うところの写真を持ってきて、日本兵にこれから虐殺される中国人の婦女子の写真とか、うそ八百を書いている、この雑誌。正式なこの本質に関する抗議文は日本は出していないんですが、こういった「ザ・レイプ・オブ・南京」という、これによってアメリカの多くの人たちが、日本はナチスと同じようなホロコーストを南京でやったと勘違いしている。こういう雑誌の宣伝、販売にこういった連合会やALPHAが協力したという事実はあるんですか、どうですか。
[179]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
アイリス・チャン氏の「ザ・レイプ・オブ・南京」という書籍に関連しましては、当時、98年の4月に斉藤駐米大使が、非常に不正確な記述や一方的な見解の多い本で、事実の誤認、恐らく曲解もあるんだということを記者会見で述べております。
それから、今先生の御指摘のあった点でございますけれども、政府としましては、同団体がそのアイリス・チャン氏の書籍の宣伝、販売に協力した実績があるかについては確認はできておりません。
[180]
民主党(民進党) 松原仁
大事なことは情報を探るということでありまして、今情報戦の時代でありますから、ティンパーリの存在一つとってみても、これは、茂木さんという方が本当に1人で苦労して、アメリカから、こういう1939年の資料を取り寄せたりして証明しているわけですよ。
こういうことを、別に民間の人もそれはやっていいわけですが、やはり国家として事実を明らかにするということはやる必要がある。
ティンパーリがどういう人間だったか、そして、そのALPHAというのはどういう団体で、そこから、例えば、今回、イーストウッドさんが主演の映画はできないかもしれないけれども、南京についての別の映画はつくるでしょう。その映画は、まさにアイリス・チャンが書いたような時代背景を伴って生まれるのではないかと大変危惧しております。
その映画が向こうでブレークすれば、ブレークすると同時に、日本人イコールナチズムと一緒という、最初、私が、李肇星さんがそういうことを言ったというのは一つの意図があるんじゃないかと言った。その意図がそこに、ALPHAとこの連合会、それからティンパーリから始まる、まさにプロパガンダですよ、こういう中で一つの渦にきっちり我々ははまっていく。しかも日本人はそのことに対して極楽トンボで何も知らない、何も反撃をしない。
私は、これは外交上、根本的な、特に先人の名誉にかかわる問題であり、我々がプライドを持ってやっていけるかどうかの問題であり、さっき冒頭言ったように、アメリカの日本びいきの知識人ですら、日本というのはかつてナチスと同じようなことをやったんだね、ナチスについては我々は知っていたけれども、日本もやったというのはようやく最近わかったよと、こんなばかなことを言われるということがあっていいのかどうかという議論を私は申し上げたいわけなんですね。
そこで、こういったものに対して、今、アメリカにいる外務省の人間が反論したと言いましたが、日本政府は、例えば新聞記事で反論するということはしているようでありますが、このことによって植えつけられたイメージをひっくり返すことができたというふうに御認識をお持ちでしょうか。
[181]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
その点につきましては非常に判断が難しいと思います。日本の言うことをきちっと理解した方もおられれば、そうでない方もおられるのは現実だと思います。
[182]
民主党(民進党) 松原仁
私は、これはほとんど認識されていないと思うんですよ。ほとんど認識されていない。
問題は、やりましたよというアリバイ証明を我々は外務省に求めているんじゃないんですよ。アメリカの日本に対して間違ったメッセージを変えることをしなければ、これは引きずっていくんです、一回決まってしまえば。
中国側と言っていいかどうかわからないけれども、意図的にそれをする情報部があって、ティンパーリ以来の歴史があって、そして南京大虐殺といえどもティンパーリがつくった一つの話の中の出来事であるし、それはいろいろなことはあったと思いますよ、戦争だから。しかし、ああいうジェノサイドをやったというインパクトをつける、ナチスと一緒だと。そして、そのためにALPHAという組織があって映画までつくる。すごいメディアミックスでアメリカで彼らは戦略を展開しているということを我々は認識するべきだと思うんですよ。
私は、日本人に対するアメリカ人の誤った南京大虐殺等の意識調査というものをやるべきだと思うんです。そういうアメリカの知識人に対してのアンケート調査、もしくは一般国民に対するアンケート調査、こういうものもぜひやっていただきたいと思うんですが、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
[183]
外務副大臣 塩崎恭久
先生の今一連の御意見については、傾聴に値することがたくさん入っていると思います。
一方で、アメリカの一般人あるいは有識者の日本に対する見方ということに関しての意識調査を見てみますと、比較的よい結果が出ていて、日本を信頼できる国というふうに見ている一般の人は多いわけですね。
ただし、今の南京の事件を初め個々の歴史の問題等についての調査をすべきかどうかということについては、我々としては余りこの意義を感じないというところでございまして、一般的には、当然、良好な対日関係、対日観を維持向上させることをやっていかなければいけないとは思っております。
[184]
民主党(民進党) 松原仁
日本に対していい国だという印象を持つのは、それは非常に当たり前で、大事なことだし、我々も貢献しているわけですよ。
彼らが日本に対して好意的であっても、いや、かつてナチスみたいなことをやったんだねと思うことが問題で、その部分に対して、南京大虐殺30万人あったみたいな話を、アンケートとかやったら、みんなあったと思ったら、これはアウトなんですよ。この部分に関して、私は、税金を使ってアンケート調査をするのは国益になりますよということを言っているんです。
もう時間がないのでまとめて麻生大臣にお伺いしますのは、ぜひともそういうアンケートをやっていただきたいということと同時に、本来、外交というのはいろいろな分野があります。しかし、相手が、まさに情報操作によってと言っていいでしょう、情報操作によって日本をこうやって悪者にすることによるメリットがあるんですよ、あるから情報操作をしてきているんですよ。
しかし、だからといって我々は悪者になる必要性はないのであって、これに関しては、金も使い、すべての我々の資源を使い、先人の名誉を守り、我々につながる後輩の誇りを保つために、アンケート調査をやって実態を調べることは必要ですが、知識人に対するアンケート調査とか、きちっと対応するべきだと思います。
そのことをやはり外務省の大きな主題として、歴史認識をまさに中国が言うんだったら言い返してやりたい、我々は真実の歴史認識を新たに確立するんだ、本当のことを言え、こういう話をするべきだと思うんですが、含めて答弁をいただきたいと思います。
[185]
外務大臣 麻生太郎
アンケート調査をするかどうかは別にして、少なくとも歴史認識の話等々は、今、アメリカも一緒にやろうという話になったりして、いろいろ、おかげさまで日韓は始まりました、日中の方はまだなかなか緒についていないところですが。
今言われたように、ヒトラーのときのゲッペルス、いろいろありますけれども、その国のための宣伝相という者というのは、これは正直言って、松原先生、日本の場合は昔から下手ですな、それは率直にそう思いますよ。
会社のPR含めて、ADとPRの、いわゆるアドバタイズメントとパブリックリレーションズの区別がついていないのが普通の人ですから、そういった意味では、日本の場合は、この種のPRは下手というまず大前提に立った上で、私どもとしてはPRというものを考えたときに、これは何も中国が中国人を使う、日本人は日本人を使う、アメリカ人はアメリカ人を使うというんじゃなくて、少なくとも日本という国のイメージを正しく持ってもらうためには、そういったメディア、PRというものにプロのなりわいとしてやっている人を雇うとか、いろいろな形のやり方は今後考えてしかるべき問題なんだと私自身は基本的にはそう思っております。
[186]
委員長 原田義昭
申し合わせの時間が過ぎましたので、御協力をお願いします。
[187]
民主党(民進党) 松原仁
はい、終わりますけれども、こういったことに民間で汗を流している方々がおられるうちに、彼らも年をとっています、ぜひともそういった方と連携して、我々の誇りを高からしめるように、向こうの変なプロパガンダに、少なくともアメリカの世論が大事ですから、アメリカの世論がそのプロパガンダに巻き込まれないように最大の注意を外務省としては払っていただきたいと思います。
以上で終わります。
平成18年03月15日 衆議院 外務委員会
[118]
民主党(民進党) 松原仁
そういう状況にあるということをまず認識した上で、その中国で、「氷点週刊」という雑誌が、先般、中国において一時停刊処分になった。なぜ氷点週刊が停刊になったか、その理由について、知っている限りで教えていただきたい。
[119]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
氷点週刊でございますが、1月の11日付の版で、「現代化と歴史教科書」と題する中国の歴史教科書を批判する論文を掲載いたしました。それがゆえに1月25日付をもって停刊処分となり、さらに李さんという同紙の編集長が更迭されたものと承知しております。
その後、氷点週刊は、3月1日、停刊の原因となりました論文を批判する論文を掲載し、復刊したというふうに承知しております。
[120]
民主党(民進党) 松原仁
その批判された論文の中身に関して、どういう中身だったか教えていただければと思います。
[121]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
少し長くなるかもしれませんが、できるだけ簡潔に述べます。
論文は、中国の歴史教科書の問題点を次のとおり指摘ということで、例えば、中国の歴史教科書については、義和団事件の記述に見られるように、多くの誤った記述があります。中国の近代史観にも、自己の近代史に対する深い反省が足りないといったような問題があります。歴史教科書の編さんに見られる共通点は、現有の中華文化が最高のものであり、外来文化の邪悪さにより現有文化が純血を侵食され、政権あるいは暴徒の専制的な暴力を用いて思想文化分野の邪悪を排除するものである。いずれにしろ、今こそ我々がみずからの歴史教科書を正視するものではないではないかといった論旨でございます。
[122]
民主党(民進党) 松原仁
つまり、1900年に起こった義和団事変において、児童53人を含む231人の西洋人が虐殺された史実を、この中国の中学、高校の歴史教科書がほとんど記述されていない、これは歴史に忠実ではないという自己批判したものである、こういう内容なんであります。そのことを載っけたことによって「氷点」は停刊処分に追い込まれ、その記事を自己批判して3月1日に再刊された、こういうことであります。
このことについて麻生外務大臣がどうお考えか。既に麻生外務大臣はウォールストリート・ジャーナルの中で、もはや中国が完全に民主化の国家へ変容するか否かではなく、どの程度の速度でそうなるかということを述べていて、中国のこの民主化の中で、こういう言論の自由というものも踏まえたお話だったと思うわけでありますが、この週刊氷点のこういった事柄について、この辺の経緯についてどのような認識を持っているか、お伺いいたします。
[123]
外務大臣 麻生太郎
これは私の主観ですから、あらかじめお断りしておきますけれども、主観として申し上げさせていただければ、やはりインターネット、携帯電話、モバイルホン、そういったようなものというのは、基本的には情報統制をするのに最も扱いにくいツールとして、道具として、3億4000万台、今中国に携帯だけで普及しておるという現実からいきますと、今言われたような紙の文化という「氷点」初めそういったものを統制しても、現実問題としては情報はすさまじく速く流れるという現代の情報機器の進歩についての基本的理解が余り足りていないかなと。日本の方もかなりおくれた政治家もいっぱいいますけれども、そこらのところの情報機器の操作が全然わかっていない人というのは、正直、この話を聞いて一番最初に、ああ、とてもそんなものやってもというのが正直なところです。
2つ目は、やはりこういった道具が出てくるということは、とりもなおさず、少なくとも日本初め報道の自由が保障されている国においては、ちゃんとどうとかしろとか、こうとかしろとかいったって、それはなかなかどうともならぬということは、これは日本に限らず、いわゆる民主主義国家の中において報道の自由というものはいろいろな形で自由にされるという大前提がありますので、そこらのところは、中国が今後さらに経済的に発展していく段階において、この情報というものはすごく今までと違ったものだ、こういうものだという理解がないとなかなか難しいなというのが正直な実感で、今言われれば、その2つが一番、私、今伺ったんですけれども、今伺った範囲ではそのような感じが率直な実感です。
[124]
民主党(民進党) 松原仁
そういうわけで、中国側が、情報統制というのはなかなかできない。実際、そうはいいながら、一つの威嚇も含めてさまざまなことが行われている可能性があるわけですが、むしろ、前回の外務委員会の質問で言ったように、情報統制ではなくてデマを流すという、このことの効果の方が、逆に言えば、今大臣がおっしゃったような情報化社会では、デマの内容を精査することなくデマがデマを呼びということは、これは、流言飛語が飛び交うというのは、情報時代の一番際立った内容だと思うんですね。
そこで私はお伺いしたいわけでありますが、日中戦争でかつて中国人は1000万人死んだと言い、そして2100万と言い、最近は江沢民さんが3500万という数字まで挙げた。この3500万という数字までどんどんと数がふえている日中戦争における中国人の犠牲者の数について、これは外務省としてどう認識しているか、お伺いしたい。
[125]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
御指摘のとおり、中国政府は、抗日戦争期間中の中国の軍と民の死傷者は3500万人余りであるとしております。この数字につきましては、昨年9月3日の日の胡錦濤国家主席の演説でも指摘されています。それから、先ほど先生からお話のありましたように、1995年以前は中国政府は2100万人という数字を述べております。
いずれにしましても、この日中戦争の死傷者の数につきましては、専門家の間でも一致した認識が得られないものと承知しております。それからまた、中国側もこれらの数字の根拠につきましてきちっとした説明をしたことはないというふうに承知しております。
[126]
民主党(民進党) 松原仁
日本側はなぜ反論しないのかの理由を簡潔に教えてください。
[127]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
中国側に対しましては、さまざまな機会に、この数字の根拠は何であるのかというようなことも照会しておりますし、それから、根拠のない数字は使わないようにということも申していることもございます。
[128]
民主党(民進党) 松原仁
問題は、今、日本側がその認定、数字的なそういったものは見方によって違うわけですね。しばしば集会でも、主催者側発表が例えば2000人でも警察発表が500人とか、こういうのはよくあるわけであります。
ところが、それは実際の実数というのはなかなかわからない。しかし、中国側は3500万と。最初2100万と言っていたのが3500万、その前はもっと少なかった。どんどん数を上げていって、3500万人、3500万人、こういう数字の刷り込みを今やっている。これはある種のプロパガンダだと思うんですよ。
国家がプロパガンダをやることは、上品な国家とは私は必ずしも思えないわけでありますけれども、中国政府が国家を挙げてこうした数字を誇張して全世界に発散をしている。そのことによって、情報化社会でその根拠は何かということよりもその数字がおもしろおかしくどんどん伝わるということは、大変に危惧するべきことだと思うんです。
こういうふうに中国側が数字を3500万にしても、例えば南京だって、実態とかけ離れた話をし、そして実態とかけ離れた数字を挙げて、何10万人も残虐に殺された、それはあたかもナチスのホロコーストのようであった、こういうふうなプロパガンダを中国がどんどんしていって、日本はまじめですから、それは日本としてはもっと数が少ないということを証明して、反論するわけではなくて、それは根拠はどうですかということを聞く程度であるならば、私は、世界のいろいろな世論とかそういったものはどんどんと中国側のデマゴーグ、中国側のプロパガンダに引きずられていってしまうと思うんです。そのことによって我々は大変な国益を損なうと思うんですが、麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
[129]
外務大臣 麻生太郎
基本的には、歴史的な事実についてはいろいろな意見がある。南京虐殺30万とか、やれ、死んだ現場をあなた見たことが何人ぐらいありますかと言うと、2人ですとか1人ですと。どうして30万と言うんですかと言うと、答えがなかった。これはいろいろ記録がいっぱい残っています。写真も、これは関東大震災の写真であって歴史的事実とは違っているじゃないか。これは全部、検証されたものは幾つもあります。松原先生も御存じのように、そういったものがあることは事実なんであって、そういった意味では、専門家と言われる方、専門家と称される方、もしくは専門家と思っておられる方の認識は、これは必ずしも一致していないというのは事実だと思っております。
ただ、私ども、今おっしゃられたように、外国の政治家とか知識層とか言われる世論に影響を与える方々の間で、ある程度バランスのとれた対日認識というようなものをつくっていくという努力は大変大事なところだと思っております。そういった意味では、プロパガンダというか広報というかPRというか、いわゆるADとは違ってPRの方が非常に重要なものなんだ、私どももそう思っております。ただ、そこらのところが、国的に挙げてやっているかというと、これは余り日本人のうまいところじゃありませんから、やるならちょっと全然別の方法を考えないかぬのかなと思っているのも正直なところです。
ただ、これは、この間BBCというところがやった、BBCによる世界の世論調査という数字が出ましたけれども、これは日本政府がやったわけじゃない、BBCがやったんですが、世界の中で最もインフルエンスの大きい国はどこかというところでは、単体で日本というのが上がってくる。1番はEUですから、EUは20何カ国ありますので、それは一概には言えないと思いますが、ジャパンというのが2番目に上がってきているというのは、これは我々なり我々の先輩なり、多くの方々が不断の努力をし続けてこられた結果がこういった評価を得ておるんであって、インドネシア、フィリピン等々、そういった地域におきましては極めて高い支持率が上がっておるという現実は、私どもとしては大変喜ばしい。現実として悪い話もいっぱい聞きますけれども、こういういい話は余り耳に入ってこないので、こういったところは大事なところだという感じがいたしております。
[130]
民主党(民進党) 松原仁
日本に対しての評判というのは、私は、この間ベトナムに行ったときも本当に悪くなかった。ただ、こういった、南京が実態と違って大虐殺があったとか3500万とかというのに関して信じているけれども、今の日本は頑張っているねという評価では、これは私は国として不十分だと思うんですよ。やはり、事実なかったものはなかったというふうにやっていかなきゃいかぬ。
きょうは時間が余りないので南京大虐殺について余り触れることはできませんが、しかし、1冊の本がありまして、これは、アメリカ人で、コロンビア大学を出て、新聞記者、コロンビア大学英文科教師を経て国務省に入って、1931年、最初に国民党軍が南京に進駐したころに上海副領事として中国におった方であります。
この本、原題は「ウエーズ・ザット・アー・ダーク」という名前でありまして、「暗黒大陸 中国の真実」という訳名で日本では発刊されているんですが、その中でラルフ・タウンゼントさんという人が文章を書いてありまして、それが「南京虐殺に関する声明文」というので、その文章の中にこういう声明をうたっているわけですね。
南京虐殺の真相を広くアメリカ人に知ってもらわんがため、外国人の生命財産に危害を加えられた3月24日
これは日本がやったんじゃないですよ、国民党軍の方がやっている話であります。日本の南京進駐の10年前であります。
我々アメリカ人は、署名のうえ、ここに声明文を記す。この残虐行為は、上官の承認の下、制服着用の兵士によって行われた。南京在住の我々アメリカ人全員がこの目で見たのであるから断言できる。彼らは、外国人の私邸、領事館、学校、病院、会社の事務所を略奪しただけではない。家にも学校にも火を放った。外国人と見ると老若男女構わず撃った。誤射ではない。殺意を持って撃った人殺しである。ある若いアメリカ人娘などは2発も銃弾を打ち込まれ重傷を負った。アメリカ女と見ると強姦する。その他、外国人女に、言葉にできないほどの侮蔑行為を加えた。こうした事件の多くをこの目で目撃した
これは北伐軍の関係とかいろいろと書いてあります。長いですから、今もう時間がないから言いませんけれども。
こういうふうな南京における虐殺は、日本が南京に入城する10年前に中国人が中国人に対する虐殺であった。いろいろと記述を読んでいくと、極めて統制のとれた、上官の承認書を持って虐殺をされていたということをこのアメリカの副領事をやっていたタウンゼントさんは書いているんであります。
こういったことも我々は検証して、その記憶がその後の10年後のものにラップされたのかもしれないし、経緯というのは、これはだんだんわからなくなるんです。ですから、私はこういったものの検証をしていかなければいけないと言っているんですが、逆の意味で反日的な検証になるようなドキュメンタリー映画が今つくられようとしているということを最後に質問したいわけであります。
それは何かというと、これは仮名が「南京プロジェクト」という題名でありますが、このプロデューサーがビル・グッテンタグ、ドイツ語でグーテンタークですから、こんにちはというような意味ですか、おはようございますですか、このグッテンタグ、彼はスタンフォード大学で教鞭をとり、ドキュメンタリー作品を撮り続けている、こういうドキュメンタリー映画監督であります。彼が中心になって、新しいパープル・マウンテン・プロダクションズというところが制作、映画をつくる、南京に関しての映画であります。ドキュメンタリー風につくる。
その作品主旨においては、大虐殺と呼ばれる状況、これは中国国民党が南京に入ったときの虐殺を映画にしているんじゃないんです、日本が南京に入ったときのことをドキュメンタリー風にしようとしている。そして、大虐殺と呼ばれる状況が起きたことにどのような社会的、文化的背景があったのか、そういったことを西洋人の目から明らかにしていこうということであります。
これをつくる経緯は、この間ALPHAという話を私申し上げましたが、どうもいろいろなかかわりが裏にあると言われているわけでありますが、こういった映画がつくられて、ある意味、さっき言った、とめられない新しい時代のデマゴーグ、プロパガンダ、反日のプロパガンダが今アメリカで起ころうとする可能性がある。
表現の自由というのはいろいろとあるわけでありますが、ある国家について全くのうそを書く表現の自由はあるのか。それは、かつて慰安婦を書いた吉田何がしが、本当のことを書いても売れないじゃないかと週刊新潮で言っている、こんなとんでもない話もありました。
しかし、我々は、くどいようでありますが、我々の国家の名誉と国益に関することですから、この映画に対して、こういったものをどういうふうにつくられるか、まさにそれは我々に対しての国益と名誉を損なう可能性もある。こういった映画がつくられようとしていることに対して、どのような情報をつかみ、どのような対策を講じようとしているのか、外務省、お伺いしたい。
[131]
政府参考人(外務省大臣官房広報文化交流部長) 岡田眞樹
お答えいたします。
お話のあるビル・グッテンタグ氏あるいはダン・スターマン氏については、南京事件を題材としたドキュメンタリーを作成したいとして、本年2月来日して、南京事件を研究している我が国の研究者と接触した経緯があるということを承知しております。
ドキュメンタリーの内容についてはつまびらかにしておりませんが、公平な見方に立った作品がつくられることを希望しております。
[132]
民主党(民進党) 松原仁
それは、日本の政府がハリウッドの映画をつくるのに注文を出すわけにいかないと思うんですよ。
しかし、ここで問題なのは、そこでつくられた映画が明らかにデマゴーグ的な内容を、彼らも、つくっている側も、自分は正しいものをつくっていると思ってやっていて、実際そこにある資料が、さっき麻生大臣が言ったように、関東大震災の写真を持ってきたり、この間言ったように、あのティンパーリが全く違うところの写真を持ってきて日本が虐殺している写真に使ったというのは、APがそれを否定したことで明らかになっているということを私は申し上げましたが、こういうふうなでたらめな材料にだまされてつくる可能性も極めて大きいと私は思うんですよね。
こういうふうなものが流れていくと、やはりそれは反日感情というのは、日本に対してはいい国だけれども、かつて日本はナチスみたいなことをやった、李肇星さんが、日本はナチスのヒトラーと同じじゃないかみたいなことを彼は言ったけれども、そういうふうなことを色濃く洗脳されていく。アメリカの世論というのは、ある意味で世界を決める世論であります。日本としては決定的な、重大な世論であります。そういう世論にこういう映画がつくられる。
だから、それは、例えば織田信長が本能寺で明智光秀に殺されたのは史実だけれども、殺されなかったということを言ったって、それはフィクションだからいいでしょうと言われてしまったら、それだけで済んでしまうかもしれない。しかし、表現の自由という問題と、それぞれの国家のプライドの問題はどういうようになっていくんだ。この辺に関して、なかなか外務省としても答えづらいと思いますが、我々はこういった映画に関してきちっとウオッチをし、言うべきことは、それは外務省が言うべきじゃなくて、ほかのだれかが言うべきかもしれないけれども、やっていかなきゃおかしいと思うんですよ。
こういうふうな一つの中国の対日プロパガンダが今や行われようとしているということに関して、危機感でも結構であります、麻生大臣、御答弁をいただきたいと思います。
[133]
外務大臣 麻生太郎
今、岡田の方からも答弁をいたしましたけれども、基本的にこの種の話は、意図的にやられるという部分もありましょうし、また、深く信じてやっておられる方もいらっしゃるでしょうし、その背景はいろいろなんだと思いますけれども、私どもとしては、こういったものは基本的、歴史的事実に基づいて書いてもらわないと甚だ公平を欠くということだけははっきりしておるし、それが国益を損なうという松原先生の御指摘は全く正しいと思っております。
日中で歴史共同を一緒にやろうという話が、アメリカも、おれも一緒にやろうということをこの間ゼーリックが言ってきたというのも一つの方向かとも思いますけれども、この種の話は、第三者の目を入れたところできちっといろいろしていくという努力は今後とも続けていかねばなりませんし、そういったプロパガンダを始めて、対日工作というのは、常にこういった世界の中では、平和であろうと戦争であろうと関係なく、いろいろ起こっているということは常に心して事に臨まねばならぬものだと思っております。
平成18年03月29日 衆議院 外務委員会
[108]
民主党(民進党) 松原仁
次に、これは「中国のマスコミとの付き合い方」といって、井出敬二さんという方が書物を出したわけであります。この井出さんというのはどういう方でしょうか。
[109]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
北京にございます中国大使館の公使で、広報文化を担当しております。
[110]
民主党(民進党) 松原仁
彼がこの書物の中で、中国人のインタビュアーに対して答える形で、幾つかあるんですが、私がここで申し上げたいのは、この本の88ページですが、「中国人は、日本の全ての教科書が、日本の中国侵略を認めていないと思っているのかもしれない。これは北京の日本人学校で使っている、東京書籍出版の歴史教科書である。この教科書は、文部科学省が検定した8つの中学校歴史教科書の中で、採用率が一番高い教科書である。この教科書には、日中間の主な歴史事実がはっきり書いてある。「日本の中国侵略」、「南京大虐殺」、「盧溝橋事件」と記述されている。日本軍がアジアの国に悲劇と損害をもたらしたことが書いてある。このように実際には日本はこれらの事実を認め、そして真実の歴史を子供たちに教えている。」ということであります。
私は、この南京大虐殺というものに対して、南京大虐殺と中国は言っているが、日本は南京事件と呼んでいるはずでありまして、南京大虐殺という中国側のこのキャッチフレーズを井出さんがこうやって使って、これが中国のマスコミとつき合う方法ということで書かれている本の中にあるというのは、私は本当に、日本の国益を代弁する外交官としての見識を疑うわけであります。
私は、きょうも南京大虐殺のいろいろなデータを持ってきております。南京のこの大虐殺というのは、今、中国側の政府は公式にどれぐらいの人間が殺されたと言っているんでしょうか。ちょっとこれ、わかれば。
[111]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
30万と存じます。
[112]
民主党(民進党) 松原仁
まず、これが大きなうそであります。
私は、ここに、当時南京において宣教師がいました、西洋、ドイツ人とかアメリカ人とか。そういう西洋の宣教師たちが南京の中に安全区というのをつくりまして、そこは守る、安全区をつくる、そのことに全力を尽くしていた、そのところのデータがあります。
後にベイツとか、この間申し上げましたティンパーリとか、かなりうそ八百を入れて日本の虐殺を捏造しておりますが、そのときに、南京で、当時の中国人を守るために命がけで活動していたこの外国の人たち、本当に率直に闘っていた人たち、国民党の意思をもって代弁していたティンパーリとかベイツではなくて、そういった人たちは、極めてここに書いてある、安全区をつくろう、日本軍が来る、一般の市民を守らなきゃいけない、安全区をつくろうと。そして、彼らはたくさんの手紙を自分の家族や自分のワイフとかに出しているんですよ。それが、今、エール大学の神学大学校の図書館に置いてある。これはもう時間がないので、私が幾つかポイントを読んでいきます。
彼らは安全区には爆弾や砲撃をされないと保証する立場にはないが、その地域が軍用目的の支那軍に使用されない限り、日本軍は攻撃をする意思はないと考えているようだった、これがミルズからの手紙です。そこで彼が書いたのが、信仰に基づいて我々は何とか守りたいと。彼らはキリスト教徒でありますから。
彼らはこのことによって、つまり、大虐殺があったとすれば、彼らの行動は無意味だったんですよ。でも、実際は、彼らは自分たちの行動を褒めているんです。これは、中国側の言うような大虐殺はなかったことをはしなくも証明しているんです。私は、安全区においてそういったことが成功したという彼らの文献をきちっと論証すれば、中国側のうそというかデマというか、これに対してのいわゆる偽証というものが明らかになると思うんですね。
時間がない中で、幾つかこれを読んでいきたいと思いますが、このミルズさんの手紙。
実際、日本軍と交渉している。安全区には爆弾を落とすなと言っている。それで、なかなか返事が遅いと書いてあるんですよ。支那軍は市政府が承認したことがはっきりわからないと主張して安全区の東南の境界線を変えるように試みてきた。中国の軍隊も、ここだと西洋人の人たちが決めた安全区の場所をずらそうとしたと。その後、この安全区において、中国の軍隊が中にいたら安全区は攻撃すると当然日本軍は言うわけですよ。だから、彼らの行動は、必死になって中国の軍隊を安全区の外に出す、こういった行動に入ってくるんです。
そこに書いてあるのが、ここでそのとき、さまざま、ほかの極めて貴重な話もあるんですが、この辺を中心に言いますと、これはスマイスという人の手紙です。
そのスマイスの手紙で、この唐、唐というのは中国軍の南京の司令官ですね。部下に兵隊を五台山付近から安全区の外に出すように懸命に交渉した、一昨日に安全区から撤去させよという約束は実現しなかった、こういうふうな苦労も書いてある。
そして、今度はヴォートリンという方の手記ですね。手記というか手紙です。国際委員会のメンバーは、常に支那軍に対して大至急安全区からあらゆる軍事施設を撤去するように求めたと。そこを安全にしよう、こういうようなことをずっと彼らはやってきている。
そして、マギー。このマギーというのはかなり日本のことを東京裁判で悪く言った人間でありますが、マギーの誤謬というのも大分論証されておりますが、そのマギーの手紙の中にも幾つかあって、例えばマギーの手紙、彼も言っているんですね。中国の兵隊が人々の家を焼いている。人々の家を焼くことは、本当に非常識な無情のことと思えます、もし1カ月も市を持ちこたえられるなら合理的かもしれませんが、今の場合には当てはまりませんとマギーも書いている。つまり、中国軍によって南京に火がつけられているということも証言されているわけであります。非常に興味深い記事がずっとある。
そして、例えば、今度はフォースターという外国人の手紙であります。このフォースターによると、太平路という道のところで支那兵がソーダ水、フルーツジュースや他の食料品など、彼らが運ぶことができて使うのに便利と思われる品物の略奪をしているのに会ったと。余り多くの兵はそのあたりにいませんでしたが、たくさんの店がこじあけられ、規律がない模様でした。兵隊は負傷者もすべて勝手に徘回しているようでした。これはフォースターの手紙に書いてある。こういう手紙がたくさんエール大学にあったわけであります。
さらに、これはスマイスからの手紙であります。我々は支那兵が安全区から出るまでだれの安全も与えることはできないと返事をしたと。
ところが、マギーの手紙に、この前後で、安全区の中だから行うべきではない鼓桜の近くの公園に支那軍は大砲を据えましたと。またこういうふうなこともやっている。この辺のいわれというのは、非常にポイントとしてあるわけですね。
そして、このスマイスの手紙の中には、タング牧師というのが一団で動いていたとき、支那の敗残兵が彼らの車を略奪しようとした、それから逃げて戻ってきた、敗走して大混乱を起こしている軍はまさに安全区を通って、興奮の極致にあった、こう書いてあるわけであります。
さらに、これを1938年の2月3日のシカゴ・デーリー・ニューズのスティールという記者が言っているのは、12月12日午後4時半ごろ、崩壊がやってきた。これは退却する中国の兵隊が100万ドル庁舎に放火した。そこは弾薬庫として使用されていた。まるで地獄に解き放たれたがごとく、爆発と炎上が続き、群衆のパニック、混乱は一層高まったと。
そして、このところに、例えば譚道平という中国人が書いている文章は、夜になるとパニック状態になり、ある門から脱出しようとする部隊と、これを崩れてくる兵隊とみなして武力で阻止しようとする中国軍との間で銃撃戦が繰り返され、大惨劇が起こった。
それから、違う蒋公穀という当時の防衛軍の人間が言っているんです。すぐ左手の路地で助けを求める鋭い叫び声、許しがたい禽獣のような漢奸が機に乗じて凶暴性を発揮し、通行人を銃撃している。漢奸というのは中国の裏切り者ということですね。つまり、中国国内における物すごいそういった騒乱があったということであります。
私は、こういうのを考えたときに、確かに戦争というのは必ず悲惨な状況がある。しかし、その中で、こういうものが起こっているということをやはり我々は認識した上で、彼らのこのうそをはっきりしていく必要があると思うんですね。
これはスマイスの記事で、日本軍が入ってきたときの記事です。人々を傷つけることはなかったというふうに書いてある。そして、ここにおもしろい、確かに100人の先遣隊が道路の南側に腰をおろし、その反対側でたくさんの支那人の群衆が彼らを眺めていた。人と見れば切り殺したんだったら、こんな状況はないんですよ。彼らを南京にいる人間は見ていたんです。そのとき、このスマイスは、日本兵に対して地図を示し、ここは安全区だからこの地域では日本兵は鉄砲を撃ったりしないようにと指示を与えているんですね。
これは、中国側が言っている南京大虐殺と全然状況は違っているわけであります。日本軍の司令官が言っているのは、彼らは南京を落とすとき大きな犠牲を払った、そして支那軍が民衆を撃ったとその日本軍の司令官は言っている。これも書いてある。
そして、時間が来てしまったので多く言えませんが、安全区は理想的ではありませんが間違いなく無数の命を救いました、これはフォースターの手紙。私たちが路上で見た死体は25人以下です、安全区の人口は、土曜、日曜、月曜日に急増し、10万人がいますということを書いてあります。
途中いろいろと極めて重要な記事があるんですが、それはあれしまして、もう時間がないので、最後にちょっとだけ申し上げますと、ここで、1月1日に、これはスマイスの手紙、朝早くから日本軍からもらった爆竹で大喜びの子供たちがいたと。これは、虐殺した後にこういうことがあるのだろうか。
それで、1月24日のミルズの手紙、上海路と寧海路は今や南京の繁華街になっている、以前は太平路や中山路だったと。こういうふうな、虐殺があったところで、半月やそこらでそこまでなるのか。
つまり、まさにこういう手紙によって、南京大虐殺は、中国側の30万という数字なんて全くのうそで、そんなのどこにも書いてないんですよ。こういうことを私ははっきり言うべきだと思うんですね。
私は申し上げたいんですが、このエール大学の文書、このことを把握していますか。
[113]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
エール大学の神学部の図書館に約300名の方の、今先生が言われたような資料が存在しているということは承知しております。ただ、外務省としまして、その資料は入手できておりません。
[114]
民主党(民進党) 松原仁
時間がないのでこれで終わりにしますが、こういったものを中国政府が、30万と政府が言ってきている。中国の民間人が言ってきているんだったら、民間対民間で闘えばいいんです。政府が言ってきたら、日本の政府が、我々の先人の誇りと名誉にかけて、こういった資料をきちっと証明して、おかしいじゃないかと。
確かにそれは戦争ですからいろいろとあります。この中にもいろいろな記事がある。それは、間違って負傷兵を日本の兵隊が縛り上げた、英語のわかる日本人に対して物を言ったらそれは釈放されたとか、そういういろいろなことはありますよ。若干のならず者は存在する、どこにでも。しかし、組織立ったこんな虐殺はなかったということに対して、日本はきちっと言うべきだと私は思うんですよ。
最後に麻生大臣にお伺いしたいのは、そういった南京大虐殺があると言った井出さん、こういう公使の発言をどう思うか。そして私は、日本の国として、やはり中国政府が30万と言っているんだったら、冗談じゃないということを言うべきだと思うんですが、この2点、お伺いいたしたいと思います。
[115]
外務大臣 麻生太郎
今、エール大学の方は、私もちょっと正直申し上げてそれは見たことがありませんので参考にさせていただければなと、今、エール大学の話でしたので、それはそう思いました。
御指摘の、井出という公使の方の書籍の内容というものは、中国の雑誌に掲載された井出公使に対するインタビュー記事というものを著者自身、井出自身が日本語に翻訳したというようなものだと承知しております。
その中で、いわゆる歴史教科書の一部を一例として紹介しておりますので、私どもとしては、内閣総理大臣の談話に盛り込まれた日本の立場等々も一応書いてあることも確かで、これは東京出版というのでしょう、たしかそれは。大体、東京出版のほか、教科書会社、6つか7つかあるんだと思いましたけれども、その東京出版関係の記事というものなんだと存じます。済みません、東京書籍、ごめんなさい。
いずれにいたしましても、この南京の話等々は、今御指摘のありましたとおりに、これはいろいろ極東軍事裁判の中でも数値が大きく分かれたところでもありますので、なかなか今の話につきましては、今後とも、南京の虐殺された人の数値につきましては、いろいろ双方で意見が違っていることは私どもよく知っているところでもありますので、この問題は、一方的に言われ続けるだけで、いつの間にかそれがどんどん固定化されるようなことは避けるべきだという御指摘はまことに正しいと思いますので、注意いたします。
[116]
民主党(民進党) 松原仁
以上で終わりますが、この南京虐殺という、虐殺という事実は、そういう意図するものはなかったということも、私はこの外国人の手紙から極めて客観的にわかると思うので、勉強を外務省にはしていただいて、私は、政府として、中国に対して言うべきは言わないといけないと思います。
以上で終わります。
平成18年05月31日 衆議院 外務委員会
[101]
民主党(民進党) 松原仁
現在、私の友人であります作曲家のすぎやまこういちさんという方がおられます。ウルトラマンのテーマとかつくってきた作曲家の方でありますが、彼が9月にアメリカのニューヨーク・タイムズに意見広告を出す、こういうふうなことを進めているわけであります。
なぜニューヨーク・タイムズに意見広告を出すのか。やはり彼らの認識において極めて間違った事実が事実として受け取られている。「THE FACT」という名称でこの意見広告を出すそうであります。私が思うに、恐らく1回これを出しますと、日本円で1000万以上のお金がかかるんではないかと思っておりますが、彼は個人で日本の名誉を復活させるためにこれをやっていくと。本来、これは国家がやるべきことだと私は思っておりますが、それをすぎやまさんという作曲家が個人でやろうとしている。大変に評価できることだというふうに思っております。
そのFACTの中で彼が語っているのは、ニューヨーク・タイムズのいわゆる社説の一面をとって、これも3人の弁護士がいて、その方々の了解が得られないと社説に載らないんです。その3人の弁護士が、例えば南京の問題に対して誤った認識を持っていて、この事実をすぎやまさんが出しても、事実としてそれを認定しなくて、これは社説としてふさわしくないというふうにすると、お金を出したくても出して載っけることができないことになるわけであります。
私は、そこでこれがどう扱われるか自体も極めて問題だと思っておりますが、彼は真っ当なことを言っていると思っております。
中国市民30万人を日本軍が殺害したとされる南京大虐殺が事実であるかのように伝えられています。日本人は事実に基づいた批判であれば、これを真摯に受けとめます。しかし、当時の中国国民党政府の謀略宣伝による虚偽をもとに非難されるのであれば、日本国民として受け入れるわけにはいきません。
こういうふうなことがありまして、内容は、ちょっと全部読むと時間がありませんので簡潔にまいりますが、南京大虐殺を証明する代表的な写真と言われるのが、南京市民の虐殺死体、写真A、ここに物を持ってきておりません。そして、南京市民の死体は、揚子江岸に引きずってこられ、川に投げ捨てられたと。
50万部を超えるベストセラー、アイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ・南京」の表紙になり、日本でも、毎日新聞が1983年8月16日付で、南京大虐殺は事実だとこの写真を掲載している。
ところが、撮影された写真は、いずれもトリミング、一部カットされ、オリジナルな写真では撮影場所を特定できる材木場が写っている。これをもとに、中国軍と戦闘した南京戦従軍将校の高橋氏は、揚子江の、時間がないのであれしますが、死体の方向が一定であることから、流されてきたものであるということがここで論証されております。その写真で、死体の方向、頭が向いている方向が一方向なんではないかと思いますが、こういうふうなことが書いてある。
そして、「ザ・レイプ・オブ・南京」の本文に掲載されている慰安婦強制連行の写真も有名になった。英文キャプションは、日本軍は何1000という女たちを家畜のように追い立てた、彼女たちの多くは、集団強姦されるか、軍用売春を強制されたとなっている。
ところが、この写真は、南京事件が起こる1カ月前、日本で発行されていた写真週刊誌アサヒグラフ、1937年11月10日の写真のトリミングであると。これも、そのちゃんとした物を載っけてニューヨーク・タイムズに載っけようとしている。
ほかにもいろいろな記事が、新聞の一面ですから、かなり量も書けるわけであります。こういうことを日本の一民間人がやって、やはり誤った事実が伝わっていることを何とかしなきゃいかぬと。
私は、これは大臣にお伺いしたいわけでありますが、例えば、1回ニューヨーク・タイムズにそういった社説を載っける。日本だって、日本の政府はそういった社説を日本の五大紙に載っけたりしているわけですよ。1回載っけて例えば1000万かかるとして、毎日載っけて、365日、36億5000万。高いといえば高いけれども、私は、日本の名誉を、日本の誇りを復活させるには、それは高い費用とは言えないと思っております。
あちらのそういった知識人に対して極めて影響のある新聞に、毎日同じ内容を出す必要はありませんよ、入れかわり立ちかわりで、それぐらいのことをしていかなければ、日本に対するかなり意図的なネガティブキャンペーンがあるということを、私は従来から、さまざまな観点からこの外務委員会で申し上げてまいりましたが、それを払拭することはできない。私は、その意味で、そういうことを外務省としては考えるべきじゃないかと思うんですが、大臣、御見解をお伺いしたい。
[102]
外務大臣 麻生太郎
今、ニューヨーク・タイムズの例を引かれましたけれども、いわゆる日本という国の持っておりますイメージというのがいろいろな形でねじ曲げられようとしているというのは、これは戦前も行われましたし、いつの時代でも世論操作等々は、国が国のために、自分の国をしょって相手国をやるという話は、いつの時代でも、どこの国でもある程度のものはあるのだと思いますが、日本として、その種のような、いわゆる広報活動というものに関しては、日本の場合はそんなに激しくやってきた例は余りありません。日本の場合は、そういうのをやってこなかった歴史なんだと思っております。
そういった状況ですから、今言われたような話を個人でなさるということに関しまして、それをどうのこうの言う立場にありませんが、いずれにしても、今、ロビー活動とかいろいろな表現が、今はまた別の表現がありますけれども、日本に対しての、ワシントンが主かな、そういったところでいろいろな国から行われているのは事実でもありますので、私どもは、そういったものに対してきちんとした対応をいろいろ考えていかないかぬというのも事実であろうと思います。
ただ、新聞に毎日広告を出すというようなものではなくて、もっと別のことを考えないかぬという感じがいたしますけれども、いずれにしても、日本の立場をもうちょっとはっきり言う、コミュニケーションをもっとはっきりさせていくという努力はさらに必要だと思っております。
[103]
民主党(民進党) 松原仁
私は、やはり政府間で遺憾の意を表明するとか、雑誌社に対して遺憾の意を表明するというのは、相手は一般の知識人であります、知識人に対して、知識人がその国家のオピニオンリーダーになりますから、そこに対してすぱっと我々が反論を掲げていく。
本来はそんなことをしなくても、麻生外務大臣率いるロビイストがアメリカの上院、下院、新聞社全部行って、日本の主義主張をきちっと耳打ちをしながら、会議をしながら、場合によってはいろいろなところで議論しながらやっていけばいいんですが、それが不十分で、完全に一方的になり過ぎている。日本に対して事実と違うことを言う。今のすぎやまさんの話にもありますが、こういうふうなものが、アイリス・チャンのような話がどんどん流れている。
だから、それに対して反撃するには、とりあえず、もうこの土俵の俵のところまで来ちゃっているんだから、こういうふうなことをアメリカの新聞に出して、それだって、1回1000万として、36億5000万ですよ。高いようだけれども、日本の名誉、先人の名誉に対して、きちっとそれを復活させ、子孫が誇りある日本をつくるために、極めてそれは安い費用だと私は主張したいわけであります。
最後にもう一問。最後に質問したいのは、前から私は指摘しておりますが、エール大学神学校に保管されている書籍や、この間も質問しました西暦2000年以降解禁された米国の機密文書、マッカーサーの文書とか、麻生大臣ももう暗記しておられるわけでありますが、自衛戦争であったというような趣旨の話であります。
こういうものを調査をきちっと体系的にしているのか。体系的に事実を調査する、それを言って、それは、議論の途中で興奮して議論にならなくなってしまう相手も中にはあるかもしれないけれども、しかし私は、そういうふうな体系的な調査をするべきだと思います。そういうふうな一つの事実をはっきりさせる対策室、我々の歴史を、きちっと事実をはっきりさせる対策室を私は外務省はつくるべきだ、もしくは外務省が主導して内閣につくるべきだと思うんですが、麻生大臣、このことについての御見解と御決意をお伺いしたい。
[104]
外務大臣 麻生太郎
先般の委員会で、先生より米側の文書について御質問がありました。私の方から調査をさせると答弁をいたしたところだと思いますが、具体的には、これまでの御指摘を受けた文書、エールの神学部図書館に保存されている文書、東京裁判に関する米弁護団発マッカーサーあて書簡、戦後の米議会での査問委員会における報告書、これは日米開戦の経緯にかかわる評価を含むもの及びマッカーサーの上院公聴会における発言を特定すべく調査を今行わさせていただいております。今やらせていただいている。
ただ、今御指摘のような文書を調査するための対策室まで設置することを考えているわけではありませんが、いずれにいたしましても、この種の資料というのはきちんと整理をしておく必要があろうと思いますので、調査をさせております。
[105]
民主党(民進党) 松原仁
ぜひ調査をしていただいて、そして、国際世論が誤った日本に対する評価を、戦前を含め誤った評価を下そうとするならば、それは我々個人だけの問題ではないんであって、我々の過去の先人たちとこれからの子孫に対しての我々の責任でありますから、毅然とした態度をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
平成18年06月07日 衆議院 外務委員会
[036]
民主党(民進党) 松原仁
そういう中で、いよいよ、アメリカの原子爆弾投下を正当化しようとするような人たちも含むこのチームと、一方では、中国の共産党の最近のさまざまな問題を愛国主義教育で乗り越えようとする、これも僕はどこかで結びつくと。
今、映画制作者ジェラルド・グリーンが、「レイプ・オブ・南京」というアイリス・チャンのあのでたらめな本がアメリカではベストセラーになって、日本はそのでたらめな本の内容を否定する。この間も、私ここで、すぎやまこういちさんの、ニューズウィークに出すという原稿をちょっと読みましたけれども、写真が全部うそっぱちですよ、ほとんど。ほとんど全部。東中野さんによれば全部うそっぱち。
そういうふうなものが、やはりアメリカの多くの知識人を含めてのマインドの中にプロパガンダとして入ってしまっていて、そのアイリス・チャンが言うような南京虐殺をバックにして、何かこの映画がいよいよつくられる、このことについて外務省は把握をしておられますでしょうか。
[037]
外務副大臣 塩崎恭久
今先生がおっしゃっている映画につきましては、ジェラルド・グリーンという冒頭出てきた名前の制作者がつくろうというふうなお話かと思うわけでありますけれども、報道自体は、先生からも教えていただいておりますけれども、外務省としても承知をしているわけでございますが、映画の中身は一体どんなことになるのやらさっぱりまだわからないという段階で、どうもこの秋ぐらいとかいう話が私どもに届いているわけでありますけれども、制作が始まるのではないのかということで、内容については何とも言えないというのが正直なところでございます。
いずれにしても、本件に関しても、今後の動向をよく注意をして、先ほど大臣からも指摘をいたしましたとおり、その中身に応じてきちっと対応すべきは対応していくということでやっていかなきゃいけないと思っております。
[038]
民主党(民進党) 松原仁
この映画はフィクションだ、フィクションだと言いながら、ノンフィクションなんですよ。今回どこかの絵が盗作というのがあったけれども、フィクションだから事実と違うことを言ってもいい。例えば、織田信長は本能寺で殺されなくてどこかへ行って大成功したとか、それがいいかどうかというのは、作家のインスピレーションだからいいじゃないかと言われたらそうですかという話だけれども、では、南京大虐殺でむごたらしく刺しまくって殺しましたと事実と違うことを映画で、南京大虐殺という名称で発表されて、これは、南京大虐殺といったってフィクションだから、ほら、歴史のあれと違うんだよと言われたって、一般の人は南京大虐殺ですよ。
そうして間違った、エバンスさんの方の決議案はその間違いを正すのは当たり前でありますが、映画において完全に、そのことによって多くのアメリカの国民が日本というのはやはり原爆を落としていい国だったと思わせるような内容の映画だったときに、これは政府としてはどうしますか。それに対して反論いたしますか。
[039]
外務副大臣 塩崎恭久
今フィクション、ノンフィクションの話がありまして、表現の自由からかんがみてなかなか難しいところがあると思いますけれども、我が国として、どういうイメージをつくられるのかということは事実との兼ね合いからきっちり見て、やはりそこで総合的に判断をした上で言うべきは言っていかなきゃいけないことではないのかなというふうに思います。
[040]
民主党(民進党) 松原仁
言うべきことは言うということで、これはぜひ、こういう映画の方がむしろエバンスさんの決議より一般大衆に影響力があると思いますから、誤った情報が伝わっちゃいかぬということです。
ただ、これもよく見ると、横道にそれますが、私が前に言ったように、あそこに20人の宣教師がいたんですよ。例のエール大学の神学校の図書館にあるという。彼らは、我々は無辜の南京市民の命を守ったと。たしか10万とかという数字ですよ、みんな逃げちゃっていてそれぐらいしかいなかったんですよ。守ったと胸を張って言っているんです。守ったなら大虐殺はなかったんですよ。大虐殺があったんだったら守れなかったんですよ。彼ら宣教師は、我々は、中国国民党軍とも話をして安全区には大砲を置くな、日本軍と話をして安全区には大砲の弾を撃ち込むな、そして10万人の無辜の命を守ったと。守ったならば虐殺はないんですよ。
ところが、この映画監督、今報道によるとおもしろいんです。米国教育者というか宣教師、有名なヴォートリン、彼の手紙もエール大学にありますけれども、攻撃中30万人の中国人を確実に迫る殺人とレイプから守ったというんですよ。30万人いなかったんですけれどもね。30万人を殺人とレイプからヴォートリンが守ったならば、虐殺はなかったんですよ。
ところが、この映画は、その30万人を守ったヴォートリンはすばらしいと喝采しながら、一方で日本人は虐殺をしたという、私に言わせればどうも自己矛盾。聞くところによると、こんなことはあろうはずがないわけでありますが、どちらにしても、私は、この場で申し上げたいのは、こういう日本に対するかなりマイナスのイメージを植えつけようという意図的な動きがやはりあるだろう。
これに対しては、やはりすぐ反撃をするだけではなくて、前の外務委員会でも私は指摘をさせていただいたように、ニューズウィークに意見広告を出すかどうか別にしても、意見広告は1回1000万ですから、365日載せたって36億5000万ですよ。国連で2000万使うんだったら、36億5000万というお金が日本人の先人の誇りと名誉と子孫の誇りのために有効であれば、私は高過ぎるということはないと思うんですよ。
そういうことを、もしかしたらきょうが、今回、この後も我が党はもう一回質疑ということで求めていくわけでありますが、最後かもしれないのであえて言わせてもらうけれども、麻生さん、これについてはそういう取り組みを系統立ててなさる決意はありませんか。
[041]
外務大臣 麻生太郎
アメリカに限らず、表現の自由というものが保障されている国々において、特定の国が特定の国に対するいわゆるプロパガンダと言われるようなものは、これは今の時代に限らず、よくこれまでも意図的に行われてきましたし、また、自国の宣伝のためのプロパガンダ、他国を陥れるためのプロパガンダ、これは戦争中に限らず、いろいろな形で行われてきたのはもう御存じのように歴史的事実であります。
ただ、そういったものに対して、日本は余り対抗するとか抵抗するとか、そういうのに断固反論するというような習慣もしくはシステムというのができ上がっていないというのも事実でしたし、今に関してもそれがうまくきちんとでき上がっていると思っているわけでもありません。
ただ、今言われましたように、そういったことに関して、自国の不利になりますことははっきりしておりますので、そういったものに対してきちんと丁寧に反論していく、事実とは違う、もしくは、その映画はたしかクリント・イーストウッドは受けるのを断ったと思うんですが、そういった話の手回しはだれがやったかはちょっと言えるところではありませんけれども、それらの事実は、一応しておるということも頭に入れておいていただければと存じます。
[042]
民主党(民進党) 松原仁
最後の部分は、麻生外務大臣になってロビイスト活動を頑張ってやっておられるのかなという期待感にも結びつくわけでありますが、やはりこれをやらないといけない。やはりそれは外交の一番重要な部分だと思うんです。