南京大虐殺 ~ アイリス・チャンとハロルド・ティンパーリ 3/3

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平成19年02月21日 衆議院 内閣委員会
[004]
自由民主党 戸井田とおる
実は先日、私は、自由民主党の日本の前途と歴史教育を考える議員の会という議員連盟の南京問題小委員会小委員長を仰せつかりました。国立国会図書館などで資料を集めていますと、ある問題に直面したわけであります。

昨年の10月27日の当委員会でやはり同じような質問をしたんですけれども、資料1を見ていただきたいと思うんです。このカラー版のものです。一番最初のは、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」の表紙と、その中に入っている写真です。この上の写真なんですけれども、それは、日本人は数1000人の女性を駆り集めた、ほとんどの者は集団暴行され、軍の売春婦に強制的にさせられたと。官房長官は英語がよくわかるんですから、このキャプションを読んでいただいたらわかると思うんですけれども。この2枚目の左上の写真ですね。

それと同じのがこのアサヒグラフに出ているんですけれども、アサヒグラフの方の3枚目です、これが初出の写真なんですね。(10月14日 熊崎特派員撮影)と、写真の左横ですか、そこに書いてあります。このキャプションの違いにも驚くんですけれども、大事なのは、この(10月14日 熊崎特派員撮影)と、日付と撮影者が書かれているということなんですね。そういうことでこの写真の信憑性というものもわかるし、同時に、これを追跡調査しようと思ったら、きちっとその事実をつかめるし、原版も突き当たることができるわけであります。

昨年の本委員会でもって、国会図書館というのは、国会議員が国政調査のための資料をそこに集めてあるわけでありますから、そこで調べていくと、間違った資料をもとに間違った考えを頭に植えつけて、結果的に間違った法律をつくるというようなことになると国民に迷惑がかかるし、ここらのことは非常にスピード感を持って解決していただきたいなと。

前回は、日本国全部の税金を使った図書館ということを申し上げたんですけれども、私は国会議員として、国会議員が調査に当たる、その中心の場である国会図書館の資料に、明らかに間違いだ、一次資料で確認できる、そういうものについてはきちっと訂正をしていただきたい。前回は、富田メモのように、写真だけでも上に張りつけたらどうだというようなことを申し上げましたけれども、今はなかなか難しいようでありますから、それだったら、インターネットでホームページでもつくって、そういう間違いの訂正というか、そういうものをきちっと出せるようにしていただきたいな。そのことをぜひお願いしたいと思うんですけれども、まず、国会図書館長ですか。

[005]
国立国会図書館長 黒澤隆雄
お答え申し上げます。

当館は、設置の根拠であります国立国会図書館法の規定に基づいて、収集した資料を最大限に国会、行政・司法、並びに国民の利用に供する任務を有していることは、先生御存じのとおりでございます。この任務は、憲法第21条の保障する表現の自由にかかわるものでございます。

これらの考えから見まして、当館がみずからの判断に基づいて資料の利用を制限したり、誤りであると判断することは、国民の人権の侵害につながるようなことになるのではないかなと思います。

先生のおっしゃるように、注意書を添付、貼付するだけであるといたしましても、当館がその資料に対して価値判断を行ったに等しいと受け取られるのではないかなと思います。

当館は、資料が明らかに間違いであることを判断する権限を持っておりません。むしろ、資料の内容に価値判断を加えず、多様な意見を国民に提供することが当館の役割であると私は認識いたしております。

御指摘のような資料については、研究者による議論等の言論活動を通じて適切な評価が与えられていくものと私は考えております。

以上でございます。

[006]
自由民主党 戸井田とおる
想像した答えなんですけれども、今、これからネット社会というのが広がっていくと、大変なことが起きてくる可能性があるわけです。中国でも、ネット人口1億4000万人、日本の国民以上、そのネットに関係する人間がいるということですね。そんな人らが集中攻撃を浴びせてくる、そういうようなことになったときに、日本はどうやって対抗していくんだという思いもあるし、確かに、言論の自由、いろいろありますよ。そういうことには慎重にならなきゃならないのはよくわかります。しかし、それで本当に正義は守っていけるのかなという思いもあるんですね。

私自身も非常に迷う部分ではありますけれども、今後とも何らかの形で、明らかに間違いだということが証明されている、逆に言ったら、これは人の写真を横取りしたということですよね。盗作にも匹敵するんじゃないかな、そういうことも思うわけですから、ぜひそんなところも対応していただきたいと思います。

では、次に移りますけれども、ことしは、南京攻略戦から70周年になります。ことし、世界じゅうで、天皇の軍隊が組織的にホロコーストをしたとの宣伝映画が7本以上もつくられると報道されています。

19日の予算委員会でも、我が党の稲田議員が従軍慰安婦の問題を取り上げておられましたけれども、慰安婦非難決議が米国の下院議会で採決されると日米同盟に少なからず悪影響を及ぼすことになると考えるんですけれども、慰安婦問題に関しては、強制連行を示す一次資料がないにもかかわらず日本人的心情で政府が謝罪したことに端を発している、私はそういうふうに思っております。これらの問題に関して、真相を戦略的に内外に発信してこなかったという政府の責任は重大だと思うわけであります。

実は、その調査をしていて、早急に、ペロシ米下院議長、マイク・ホンダ議員に翻訳して差し上げてもらいたいような資料が出てきました。

資料2を見ていただきたいと思うんですけれども、これは官報号外、昭和28年2月27日に載った第15回国会の社会党の藤原道子議員の質問の議事録です。

2ページ目の上段に線が引いてありますけれども、そこにはこのように書かれてあります。「米軍の暴行事件は、昨年12月まで独立後」独立後ですよ、「8カ月間におきまして1878件を数え、なお泣き寝入りになつておりまする件数は厖大な数であろうと想像されております。」

次に、3段目の線のところを見ていただきたいと思いますけれども、またこうも述べておられます。

私は、米軍の日本進駐に対し、この尊い母に代つて青年の純潔と健康と堕落から青年を守つた米軍をこそ、信頼し、期待していたのであります。併しこの期待はみごとに裏切られました。基地附近の百鬼夜行の有様は、学童の勉学する所まで荒らされ、幼児さえ米兵の行為の真似をして遊ぶ状態は、ひとり日本の母を悲しませるのみならず、遠く我が子の上を思うアメリカの妻が、母たちが、若しこの実情を知りましたならば、その歎きと、当局に対する不信と憤りは、どのような結果を招くでありましようか。それとも、アメリカの婦人尊重、正義人道とは、アメリカ国内だけであつて、ヨーロッパではそれは紳士道を守るが、アジアの国々においては、その国内法を無視し、何をしてもよい、軍紀も何も通用しないことになつているのでございましようか。

アメリカの若き兵士の妻、母の立場をもおもんぱかった格調高い日本女性議員の訴えは、読んでいて心を打つものがあると思うんですね。私は、戦後失われたものの一つに、正当な抗議をしなくてはならないときにしてこなかったことがあると思うんです。

官房長官、戦略的に内外に発信するということは、まさに時をとらえて発信することではないんだろうか。タイミングを外したらだめだということであります。逃してはならない時があると思うんですね。私は、まさに今がそのときではないかな、そう思うわけであります。

今、アイリス・チャン氏の「レイプ・オブ・南京」を題材にした映画が制作されておりますけれども、米国議会からは慰安婦問題の決議案が提出され、中国では、南京虐殺記念館は展示面積が3倍に拡張される、多くの抗日記念館が北京オリンピックを目指して新たに建設されるなど、海外に向けて反日運動をこれでもかとばかり繰り広げているわけですよ。その状態を放置していていいんだろうか。

南京問題にしても、70年もの間、あったなかったと論争があるにもかかわらず、国は何も調査をしてこなかった。何もと言ったら言い過ぎかもわかりませんけれども、調査をしてこなかったというその不作為は無視することができないな、私は調べれば調べるほどそう思うわけであります。

中国が言うところの国際的に認められた事実なのか。国際連盟の一次資料を取り寄せてみてびっくりしました。

これは、外務省も非常に協力してくれればいいんですけれども、持ってきた国連の決議文、これなんかでも読めないようなコピーで持ってくるんですね。読めるようになっていても、私もすべて理解できるかといったらそうじゃないから、ちゃんと訳文をつけてくれと言ったら、その訳文がついてきたのがけさ方の4時です。2時まで待っていたけれども来なかったということで、知り合いに頼んで決議文の全文を訳してもらったんです。

1938年の2月2日、国際連盟理事会第100会期第6会議、支那問題に関する決議が採択されているんですけれども、中国代表が採択に当たって行ったとされる南京攻略戦での日本軍非難演説の内容は、決議文に取り入れられていないと承知しておりますけれども、いかがでしょうか。

[007]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 伊原純一
今先生御指摘の国際連盟理事会の決議でございますが、これは、1938年の2月2日、国際連盟理事会の第100会期の第6会議において、支那問題に関する決議という名前のものが採択されております。

まさに先生御指摘のとおり、同決議の採択に当たり、中国代表の顧維鈞という人物が、日本の侵略の事実、旧日本軍の暴行、第三国に対する権益侵害等を述べた上で、連盟の行動を要求する趣旨の演説を行い、その中で、中国の代表は、第三国の新聞記事等を引用する形で、南京における旧日本軍兵士による殺害や略奪行為について言及したというふうに承知しております。

一方、決議においては、南京事件について明示的な言及はございません。中国における戦闘行為の継続、激化に遺憾の意が示されるとともに、極東に直接の利害関係を有する諸国間において紛争を解決する機会につき検討することを期待するといったようなことが、その決議の中では表明されているというふうに承知しております。

[008]
自由民主党 戸井田とおる
今言われたように、国際連盟の理事会は、中国の一方的な政治宣伝との認識を持っていたことにほかならないと思うんですね。それだけの演説をしながら、しかし、それは、今言われているような数の、30万人の虐殺と2万人の暴行が、その当時、中国の代表が2万人と数1000ということを言っているわけです。だけれども、それでも理事会はその中国の演説に対して動かずにいたということ。これはどういうことなのか、どういう意味を持っているのかということを考えたら、まさに国際連盟は相手にしていなかったということなんだろうと思うんですね。

こういう資料をずっと当たっていくと、やはり一次資料、第三者がだれでも確認できる資料を当たっていって、それを積み上げていく、そのことをやはり政府はきちっと発信していく必要があるんじゃないかなというふうに思うんです。

それ以外にも、やはり世の中には、そういうことに奮起して、一人で黙々と、何の利益にならなくても調べ回っている人というのは実はいるわけであります。

資料4を見ていただきたいんですけれども、1984年に、南京問題一筋に研究している阿羅健一さんが、南京攻略戦に従軍した外国新聞社の記事を調査したものがあるわけであります。今一般に言われているようなことなど、当時、第三国の新聞記事には載っていない。ニューヨーク・タイムズとかロンドン・タイムズだとか、そういう海外の特派員が当時、南京にいたわけですよね。しかし、本国に送った記事の中に、30万の虐殺であるとか2万人のレイプだとか、そんなものは出ていないわけであります。

それは、今から訂正するわけにいきませんし、その当時の記録として残っているそのものを丹念に当たっていくことによって、それが証明されてくるんだ、私はそういうふうに思っております。

そして、お手元に資料の5をお配りしておりますけれども、これは、1998年に雑誌に掲載された南京虐殺派の第一人者であります笠原十九司都留文科大学教授も、そのページの中に線を引いておりますけれども、「南京城内では、数千、万単位の死体が横たわるような虐殺はおこなわれていない。」というふうに明確に書いております。

もう一つ、手元に配付しております資料6の中には、水間政憲氏が朝日新聞と毎日新聞に公式見解を問い合わせたものがあります。朝日、毎日も、南京での虐殺は特定していませんと明確に回答しているわけであります。

次に、資料7も見ていただきたいと思うんですけれども、これは阿羅健一氏が南京に従軍した新聞記者、軍人などから聞き書きした「「南京事件」 日本人48人の証言」の一部であります。当時の支局長の中には、我々の政治の先輩であります橋本登美三郎さんも当時おられた。その人の証言もその本の中には入っております。朝日新聞の山本治上海支局員は、「事件と言うようなものはなかったと思います。」「朝日でも話題になってません。」とはっきり答えているんですね。

そこで、外交問題になっているこのような歴史認識問題に関して、一切の日本側の解釈を加えない形にして重要な一次資料だけでも、外務省のホームページというのはアクセス数が世界で2番目とかいうことを言っておられるわけですから、そのホームページに掲載して、日本のみならず世界にわかりやすく理解されるよう、内外に発信していく必要があると思うんですけれども、官房長官、どうでしょうか。

[009]
内閣官房長官 塩崎恭久
先生の党での活動について、いろいろと今、御教示をいただきました。

ホームページに掲載してはどうだ、こういうお話でありますが、歴史認識に関連する資料を含めて、戦前戦中の日本外交に関する資料については、外交史料館というところで個々のファイルごとに保管をいたしまして、一般に供覧に供しているという形に今なっているところでございます。

それから、内閣府所管のアジア歴史資料センターというところがありますが、国立公文書館、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所図書館が所蔵をいたします、明治初期から終戦までのアジア関係資料を電子データベース化する作業を今進めておりまして、作業が終了したものから順次インターネットを通じて既に国内外に情報を提供しているというところでございます。

今、一次資料については解釈を入れない客観的な形でというお話がありましたが、現状、今御説明申し上げたような形で供覧に供しているというところでございます。

[010]
自由民主党 戸井田とおる
大体そういう答弁が来るんだろうなと思いながら待っておりましたけれども、しかし、内外に発信する、わかりやすく発信するということはどういうことなのか。特にこの南京問題に関しては、あったことを又聞きとか、そんなうわさ話がどんどん膨れ上がっていくわけですよ。だけれども、日本としてもあったかなかったか判断はしない、しかし第三者が確認できる、そういう資料だけを集めていったときに、さあそれで皆さんどう思いますかというのが民主主義だというふうに思うんですね。

私も南京の現場を見ていないわけですよ。今ここにいる人はすべて見ていないと言ってもいいほどだと思います。ほとんどの人がそれを知らない。知らない中に、そういう宣伝のプロパガンダがぼんぼこぼんぼこ入ってきたときに、その人たちはどうなるかということを考えたときに、やはりそこは大人として正しく、一次資料はこうなんですよ、それを見て考えてくださいというようなことは、わかりやすく発信することになるんじゃないでしょうか。

これは言うだけでありますけれども、あえて返事をしてくれとは言いませんけれども、だけれども、やってほしいですね。それをやらなかったら我々はもっと別の行動をします。そのことを言っておきます。



[154]
民主党(民進党) 松原仁
さて、ことしは南京の問題が大変にクローズアップされてくるわけでありますが、実は一つは、この南京の問題を議論する場合に、先ほど戸井田さんの参考の中にもありましたが、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」という書物がある。何か聞くところによると、いろいろな国際線の飛行場にはそのペーパーバック本が置いてあるというような話もありますが、このアイリス・チャンの胸像がスタンフォード大学に寄贈された。中国人権発展基金会、こういったところから寄贈されたということでありますが、外務省の方はこれを認識していますでしょうか。

[155]
政府参考人(外務省大臣官房広報文化交流部長) 山本忠通
先生御指摘のように、2月の1日に、中国の非政府団体であります中国人権発展基金会からアメリカのスタンフォード大学に対してアイリス・チャンの胸像が寄贈されたと承知しております。

[156]
民主党(民進党) 松原仁
そのことでどこまで調べておられるのかということでありますが、スタンフォード大学というのはかなり有名な大学でありますが、そこにアイリス・チャンの胸像が寄贈された。スタンフォード大学は、このことに対しては、寄贈したいという申し出があったとき、いや、そういうのは要りませんよという話があったのか、いや、寄贈してほしいという話があったのか。その辺は把握していますか。

[157]
政府参考人(外務省大臣官房広報文化交流部長) 山本忠通
細かいところまでまだ詳しく調べたわけではありませんけれども、申し入れを受けたスタンフォード大学が受け入れを決めたということは聞いております。

[158]
民主党(民進党) 松原仁
そうした中で、米国において、サンダンス映画祭において、これはユタ州のパークシティーにあるわけでありますが、ドキュメンタリー映画「南京」というものが上映されたということであります。

これをつくったのは、インターネット接続大手AOLの元副会長のテッド・レオンシス氏。

監督がビル・グッテンターグ、前にも一回私は外務委員会でこの質問をいたしましたが、ビル・グッテンターグ。中国の中央テレビの協力を得て制作され、今後同テレビでも放送予定だ、こういうことでありますが、このことについては外務省は承知をしているのかいないのか。

さらに、当然このテーマは南京の、中国側が言う表現の虐殺ということを扱うと思われますが、このことについて、その映像資料を当然外務省は取り寄せて見ているのかどうか、確認をしたい。

[159]
政府参考人(外務省大臣官房広報文化交流部長) 山本忠通
御指摘の「南京」という映画につきましては、全くお話のとおり、サンダンス映画祭で上映されまして、内容については把握しております。

この映画はまだ公開されるに至っておりませんので、通常の市場でこれを今入手することはできませんので、そのものはまだ入手しておりません。

[160]
民主党(民進党) 松原仁
その内容について、どういう内容だったか、外務省が把握している限りをお話しいただきたい。

[161]
政府参考人(外務省大臣官房広報文化交流部長) 山本忠通
私どもは把握しておりまして、ストーリーを簡単に申しますと、ドイツ人のラーベという、当時南京に在住しておりました欧米人が、旧日本軍の南京入城に備えて国際安全区、安全地区を設置して、日本軍がいる中で同地区を守って、日本軍から中国人25万人を救ったというのが彼らのストーリーラインでございます。

[162]
民主党(民進党) 松原仁
虐殺についてはどういうふうに触れていますか。

[163]
政府参考人(外務省大臣官房広報文化交流部長) 山本忠通
内容的には、彼らは、日本軍が中国人を約20万人殺害して、2万人の女性を強姦したということを主張して映画をつくっておると承知しております。

[164]
民主党(民進党) 松原仁
まず、これは官房長官にもぜひ御認識をしていただきたいわけでありますが、当時南京に恐らく10万人ぐらいしかいなかっただろうと通常言われているわけであります。実はこれ、人数を合わせますと20万以上の犠牲者が発生したと。そうですね。25万人を助けたと。そうすると、45万人なんですよ。南京に45万人いたということはあり得ないと私は思っています、当然。

前にも私はさまざまな委員会で質問しているのは、当時の南京に宣教師がおびただしく、おびただしくといってもせいぜい20人ぐらいですかね、いて、彼らが、日本軍が迫ってくる中で南京を放棄しないで、彼らは神に仕える者として南京の無辜の命を守ろうということで安全区を設定した。

彼らの表現は、私は10万人というふうな数字がどこかであったような気がするんですが、彼らがエール大学の神学校図書館に文書を持っている。持っているというよりは、エール大学の神学校が、要するに宣教師ですから、その神学校の図書館に彼らが自分の肉親にあてたような手紙が数多く残されているわけであります。

その文章を、私も昨年外務委員会でも質問いたしましたが、例えば、我々は南京に安全区をつくり、無辜の市民の命、10万という数字があったような記憶がありますが、今ちょっとここに原文を持ってきていませんが、守ろうとしたと。そして、日本軍に対しては、南京の安全区には大砲の弾を撃ち込むなと我々は日本の将官と話をした。国民党軍に対しては、南京の安全区に大砲の砲台を設置するなと言った。なぜならば、大砲の砲台を設置すれば日本軍の標的になるからと。

しかしながら、国民党軍は安全区の中に砲台を設置したというふうな記述があったり、12月の半ばに日本軍が南京に進駐した後、1月の最初に、いわゆる中国の新年の中で、中国の南京の子供が日本軍から爆竹をもらって遊んでいるというような記述があったり、まさにその記述を見れば、虐殺はなかったということが明らかになるような記述がたくさんあるわけであります。

そういうふうな記述をかなり歪曲した形で今回の映画をつくったのではないかというふうに私は思っておりますが、問題は、ここで中国の中央テレビが協力をしているということであります。先ほどの、スタンフォード大学にアイリス・チャンの胸像が寄贈された、中国人権発展基金会ということでありますが、実体は、共産主義の国家でありまして、当然ここにも中国の国の意向というものがいろいろな形で反映をしている、プロパガンダという点において。

つまり、中国側は、南京に関して、アイリス・チャンが書いた「レイプ・オブ・南京」の中身に関しては、ほとんど事実と違うのではないかというふうに今言われているわけであります。先ほどの戸井田さんの質疑でもあったように、使われている写真は、違う写真を持ってきている。拡大して見ると、これから殺される婦子女というのはむしろにこやかに笑っていたりする、こういうふうな状況であります。まさに、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」というのは極めてためにする書物であるのではないかというふうに私は認識をしておりますが、その胸像が建つ。

アイリス・チャンの銅像というのは中国国内にもどこかありますね。どこにありますか。

[165]
政府参考人(外務省大臣官房広報文化交流部長) 山本忠通
今、改修のために閉鎖されておりますけれども、南京の、彼らが言うところの虐殺記念館にございます。

[166]
民主党(民進党) 松原仁
つまり、アイリス・チャンの、アメリカでは大変ブームになったこの書物が、これこそが日本のいわゆる国家の不名誉を世界に認識させるプロパガンダの最たる書物になったのは事実だと私は思っております。

私は、塩崎官房長官に聞きたいわけでありますが、国家の不名誉、事実に基づかないプロパガンダによってそういった不名誉がなされたとき、その汚名を晴らすのは民間人の仕事ではなく、国家のするべき仕事だと思いますが、御所見をお伺いしたい。

[167]
内閣官房長官 塩崎恭久
当然、誤った考え方があれば、この事実誤認の訂正を含めて、必要に応じてしかるべく対応しなければならないというふうに思っております。

[168]
民主党(民進党) 松原仁
時は今だと私は思っております。

昨年、私の極めて親しいすぎやまこういちさんという作曲家が、アイリス・チャンの書物の写真で明らかに違う、この写真は実際はこの写真なのに、違うことでキャプションを加え、さっきの戸井田さんの質問にあったように、おかしいと。論評したらこれは否定されるかもしれないから、おかしいという事実だけを「THE FACT」ということで意見広告で出そうとしたら、ニューズウィークにおいて、1000万円のお金をけちったわけじゃなくて、1000万円の意見広告料を払いましょうと。しかしながら、それはニューズウィークは、我が社の、このことに対する我々の一つの流れと違うからという理由で却下された。私、大変遺憾だと思っております。

事実を、例えばさっきアサヒグラフのことを戸井田さんの回であったけれども、アサヒグラフのこの写真をアイリス・チャンは転用していますよ、時系列はこっちが早いですよ、同じ写真ですよと。だから、アイリス・チャンの書いた「レイプ・オブ・南京」というのは極めて欺瞞性が高いということが結果としてその事実によってわかる。そのことをニューズウィークに意見広告で出そうとしたときに、それが却下された。

このことに対して、官房長官はどういうふうな感想を持ちますか。

[169]
内閣官房長官 塩崎恭久
ニューズウィークという民間の会社の判断だと思いますので、今我が国政府としてコメントするような話ではないと思いますが、プレスとしてそういう判断をしたということだろうと思います。

[170]
民主党(民進党) 松原仁
民間といいながら大変に影響を持ち、彼ら自身が、事実はどうであるかよりも、我々はそういう論調なんだと。その裏は何があるかわからないです。私は、かなりいろいろなどろどろとしたものがあると思う。どこかの大きなスポンサーがいるとか、恒常的に金を出しているスポンサーがいるとか、それはわからないですよ。しかし、我々は、そういったことに民間だけに頼ってやっていてはいけないというふうに思うわけであります。

これはぜひ、アイリス・チャンの胸像がスタンフォード大学に建ったというのは、かなり致命的な日本に対するマイナスのプロパガンダの大きな橋頭堡ができたと私は思っておりますので、この辺も、政府としてはしかるべき対応ができるかどうか。民間の大学だからいいだろうというふうな議論でいってしまったら、ずるずるといってしまうんだろうなということも私は申し上げておきたい。



[178]
民主党(民進党) 松原仁
アイリス・チャンの胸像ができる。さっき言ったレトリックから考えて、南京大虐殺があったなら無辜の市民を宣教師が守ったという理屈は成り立たないんですよ。宣教師が無辜の市民を守ったのはこれは事実でしょう、恐らく。守ったというのは。彼らのエール大学神学校図書館の文書でも。であれば、南京大虐殺は否定されるんですよ。両方入れた映画がオンエアされているというのは、私に言わせれば信じられない話ですよ、それは。45万人いたというんだから。

私は、そういった意味において、このことに対しては、くどいようでありますが、国の名誉にかかわる問題でありますから、それは民間人ではなく、国家としてぜひとも対応していただきたいというふうに思います。



[182]
民主党(民進党) 松原仁
私たちは、やはり中国とのつき合い方というのは考えなければいけないんだけれども、もちろん友好というのはベースにある、我々は友好はベースにあるけれども、こういった弾道ミサイルで宇宙衛星を撃ち落としたり、スタンフォード大学にアイリス・チャンの胸像をつくったり、また中国のテレビと一緒になって南京の虐殺の映画をつくったり、そして、慰安婦の問題で米国の下院の公聴会でこういうふうな戦略を練ったりするということを考えて、やはり我々は今、情報戦のただ中にある、情報戦に負けないようにこれから頑張っていかなければいけないと思うので、それに対する前向きな強い官房長官の御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

[183]
内閣官房長官 塩崎恭久
先生の問題意識は私も全く同感でございまして、国家として、やはりその公の観点からも、しっかりとした発信をしていかなければいけないし、正しくないものが流されたときは、正しくないということをきちっと言える、そういう広報をしていかなければならない、こう思っております。





平成19年02月28日 衆議院 予算委員会第四分科会
[139]
自由民主党 赤池誠章
教科書の問題から絡めて、ことしは、ちょうど南京首都攻防戦陥落70周年ということで一つの節目を迎えております。

報道によりますと、アイリス・チャンというアメリカのジャーナリストが書いた「レイプ・オブ・南京」という、我々日本人からいうとほとんど偽書に近い、事実に基づかないフィクションの世界の小説、それを下敷きにした映画がアメリカを中心に何本もつくられて、世界じゅうに日本人の残虐性とともに上映されるということがマスコミを通じて伝わっております。

その辺がどこまでどういう形で上映されるのかということはまだまだ未確認の状況だと思っておりますけれども、我々日本人としては、いわゆる南京事件といったときに、そういったものを歴史的に知らないか、もしくは知っているとしても、やはり、日本人が南京において非常に残虐な行為をしたというマイナスのイメージしか持っていないのではないかなというふうに思っております。

そういう面では、今回改めて小学校の社会科の教科書を確認してみますと、やはりほとんどの教科書が、捕虜虐待、それから女性、子供たちを日本軍が大量虐殺した、中学校の教科書では20万人ということまで明記をされているわけでございます。

しかし、最近のこの10年、日本の歴史学者の研究が相当進んで、いわゆる虐殺と呼ばれるような組織性とか大量性とか、いわゆる戦争状態でありましたから、戦時国際法違反のようなそういったものは認められないというのが最近の趨勢ともなっております。

少なくとも、ある一部の教科書だけは、占領の事実とともに、そういった事件についての論争があるということは伝えられておりますので、教科書としてはせめてそこが客観的な記述かなと。いわゆる論争があるところなのに、いかにも日本軍がとんでもないことをしたということを小学校の6年生の教科書に明記をしている。それも、私、5、6冊見ましたけれども、表現の違いはあれ、すべてそのような形で書かれている。これは、学習指導要領としてはそこまで細かく書いていないのは確認しておりますが、教科書が具体的に検定されるときに教科書調査官は一体どういう形で検定をしているのかな、いわゆる基準指導をしているのかなというふうに思わざるを得ないわけでございます。その辺、これは単に教科書の問題にとどまらず、国際的な日本の地位、名誉にもかかわる大問題というふうにも思っております。

そういう中での、国内的な、我々日本人の一番ベースになる教科書の記述がそのような状況ということは非常に憂慮すべき事態ではないかなというふうに考えております。大臣の御見解をあわせて聞かせていただいて……(伊吹国務大臣「まず事実を」と呼ぶ)では局長に。

[140]
政府参考人(文部科学省初等中等教育局長) 銭谷眞美
先ほども申し上げましたが、教科書におきまして、学習指導要領の範囲内で具体的にどのような歴史的事象を取り上げて、それをどのように記述するかは執筆者の判断にゆだねられているわけでございます。

南京事件について申し上げれば、1937年12月に日本軍が南京を占領した際、女性や子供を含む多数の中国人を殺害したこと、犠牲者の数には諸説あること、こういったことが教科書には記載をされているわけでございます。

検定に当たりましては、南京事件の犠牲者数につきましてはさまざまな学説がございまして、確定しているとは言えない状況にありますので、諸説を十分に配慮していない記述につきましては、検定意見を付し、修正を求めているということでございます。

[141]
文部科学大臣 伊吹文明
今、政府参考人が申し上げたことに尽きると思うんですが、例えば、国内で研究をしておられる方のものも私はかなり読んでみたんですが、全くそんなことはでっち上げだというのは、例えば渡部昇一先生とか何人かの方はそういうことを書いておられますし、東京裁判などは20万人とかというようなことを当時言っております。10万以上か数万だったかというのは諸説ありますから。ただし、これはお互いに戦争状態の中にいるわけですから、相手の人を殺傷していなかったということはこれはもう言えないわけでして、日本ももちろん傷ついて倒れたと思いますが、できるだけやはり客観的な記述、そして今参考人が言ったように、いろいろな説があるんだということはできるだけ教科書に反映させるべきだと思います。

[142]
自由民主党 赤池誠章
大臣が御指摘になったように、現行は、残念ながら、諸説があるではなく、一方的に、日本軍が女性や子供を含む数多くの市民を殺害しましたということのみ、小学校6年生、これは具体的にここに持っておりますけれども、書かれている。

そういう形で諸説があって、こういう説とこうじゃない説がありますならまだ子供たちもわかるんですが、諸説がないんですね。諸説がない教科書の方がほとんどだということをぜひ事実として示させていただいて、具体的に今後の検定調査会の中で、今言った基準に基づいてぜひきちっと今後やっていただきたいというふうに思っております。





平成19年03月09日 参議院 予算委員会
[033]
自由民主党 山本一太
例えば歴史認識の問題について言うと、これ大臣御存じだと思いますけれども、あのアイリス・チャンの「レイプ・オブ・ナンキン」という本がベストセラーになった。これも当然、まあ中国系の方々のネットワークがいろいろと宣伝をした結果だったと。特に今年はアイリス・チャンが亡くなったということもあって、アメリカで「南京」というドキュメンタリー映画ができたと。何か昨日ちょっとネットで調べてたら、1月に、ユタ州ですか、ユタ州のサンダンス映画祭、これインディペンデント系の映画の映画祭としてはかなりでかいです。ロバート・レッドフォードがたしかつくった映画祭だと一応映画好きの私は記憶をしているんですが、ここで「南京」が上映されると。そうすると、この「南京」は、そこに見に来た方々にやっぱりかなり歴史認識において事実誤認の印象を与えるということはあると思うんですよね。当然、このドキュメンタリー映画「南京」は、中国のテレビ局と提携をしていると。だから、こういうところは、もう大臣のおっしゃったとおり得意不得意もあると思いますし、中国ははっきり言ってメディアとか世論を気にしないでできるというところはあると思うんですけれども、是非そこは、まあ得意不得意だけじゃなくて、今おっしゃったように、黙ってちゃいけないと。私よりしゃべる人はざんざいるんであればもうどんどん使っていただいて、やはり日本の主張を是非していただきたいというふうに思っています。この件は御答弁要りませんが。





平成19年04月25日 衆議院 外務委員会
[021]
民主党(民進党) 渡辺周
ことしの12月13日で、南京虐殺と言われる、と称される、中国が言うわけですけれども、70年であると。それに合わせて、70周年に合わせて反日プロパガンダ映画、特に南京をテーマにした映画が中国、アメリカ、カナダという国で10本ほどつくられるということになりました。これの原作になりましたのは、アイリス・チャンという中国系アメリカ人の亡くなった作家の書いた「レイプ・オブ・南京」という、正直言ってでっち上げの本の中がもととなってできている映画でございます。この問題が恐らくことし大きくクローズアップされてくる問題だろう。もう既に、今この南京の問題については、民間レベルでは、民間というか学者レベルで随分これは進んで、私もそうした会に出ていろいろ見せてもらいました。

つまり、「レイプ・オブ・南京」という本の中に出てくる写真というのは、全く違う、アサヒグラフであるとか毎日新聞社が出していた上海事変の従軍記者の方が撮った写真が、そのままあたかも日本軍が当時婦女子を連行していく写真だというふうにキャプションをつけて、写真として本に載せているわけですけれども、これは実は、アサヒグラフを見ましたら、日本軍に守られて、いわゆる日の丸村という守られている村に帰る婦女子たちの帰るシーンなんだと。ところが、そこをトリミングして、後ろの綿を積んだ荷車、台車を引っ張ったおばあさんは笑っているものですから、そこのところを入れるとこれはキャプションと合わないということで、そこはトリミングしてカットされて落とされている。あるいは、鶏を買った兵士の笑顔が、これは略奪したものだということで差しかえられている。出どころはもう既に、昭和の写真の、もっと言えば、南京とは関係ないところで撮られた写真までもが、すべて南京で行ったことだということで、平気で使われているわけなんです。我々としては本当に口惜しい、悔しい話であります。

ただ、こうした本をもとにして、アメリカの脚本家なり作家なりが読んで、これから映画づくりに着手をする。そういう意味では、これは、史実としては全く疑わしい話をさも事実のように取り上げられているわけでありますけれども、この映画が上映をされる、世界で見た人にしてみると、極東の小国である日本が80年前にやったことを欧米の人間が理解するわけがない、その映画がすべてである、現実、事実であるというふうにして、これは非常に我が国の名誉をおとしめることになると思います。

これは、中国のプロパガンダとどう戦争するかということはもちろんなんですけれども、誤解をする人たちに対して、どのように我が国としてちゃんと説明をし、国として主張するか、否定をするかということについて、まず国がどうお考えかということを伺うんですが、日本の外務省のホームページを見ましたら、南京の事件についてどうお考えですかといったら、非常にさらりと書いてありました。これも、本当にこんなのでいいのかなと思うぐらい、人数はわからないけれども、そういうことがあったことは事実だろうと思います云々という形で、ちょっと今資料がここにはありませんけれども、本当に数行なんですね。

中国はあらゆる、映画を作成するに当たっても、巷間言われているのは、当然、中国側から、あるいは反日団体から資金提供も受けて、政府の協力もある中でやってきている。つまり、直接のプロパガンダというのは銃弾にまさる、これはある意味では宣伝戦争であるということを言う識者もいるわけであります。

ところが、日本の外務省を見ますと、南京のこの問題については、「歴史問題Q&A」のクエスチョン8に、「「南京大虐殺」に対して、日本政府はどのように考えていますか。」「1 日本政府としては、日本軍の南京入城(1937年)後、多くの非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。」「2 しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています。」「3 日本は、過去の一時期、植民地支配と侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことを率直に認識し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを常に心に刻みつつ、戦争を二度と繰り返さず、平和国家としての道を歩んでいく決意です。」たったの7行しか書いていない。

これが日本の外務省の、「歴史問題Q&A」とホームページに出てくる、これが見解なのかなと思いますが、やはり、この問題について、史実として認められること、認められないことについては日本としての見解をちゃんと出すべきだし、また、それを世界に向かって私たちは発信しなきゃいけないと思うんですけれども、外務省、いかがですか、外務大臣。

[022]
外務大臣 麻生太郎
南京事件、いわゆる南京事件というのが正確だと存じますが、このいわゆる南京事件というものにつきましては、今例に出されました、アイリス・チャンの書きました「レイプ・オブ・南京」という話につきましては、いわゆる歴史家の間でも、不正確な記述が多数存在し、歴史書としての信憑性に乏しいという評価があることは私どもも承知をいたしております。

少なくとも、この種の話に関しまして、今までもこの話につきましては、双方の意見の違いというのはもうずっとこれまで指摘されてきておりましたが、まず今、人数の、30万人等々の話がありますが、私どもとしては、当時の南京の大きさは大体今の世田谷区ぐらいの話で、人口が何10万あったかというところで30万というのは現実的にはいかがなものかということで、渡辺先生、少なくともこの1年間ぐらい、30という数字が中国側から出ることはなくなりましたですね。

やはりこの種の話は、伝聞に基づいた話、情報というのは幾らでも、どうにでもなりますので、その当時の世界じゅうの新聞に何と書いてあったかという史実を全部洗い出さないかぬということが最も正しいんだと思っております。

今回の日中歴史共同研究のグループの中でも、この問題等々を含めて、双方の意見の違いというのをただしていかないかぬところだと思いますので、歴史認識が一致するというのはなかなか難しいんだと思いますが、少なくとも、乖離している部分の間を狭めるという努力は、私どもとして今後していかねばならぬと思っております。

そういった意味では、この問題というものは、私らは基本的には、事実とかなり違っておるのではないか、また極東軍事裁判等々いろいろな資料がありますので、そういったものに基づいて、きちんとした対応をしておかねばならぬ。一方的なプロパガンダ、また宣伝戦、情報等々の話によって私どもの話が不必要におとしめられるというのは、これは断固戦わねばならぬところだと思っております。

[023]
民主党(民進党) 渡辺周
今、断固戦わねばならぬという御発言をいただきまして、まさにそのとおりなんですね。いずれ、この30万という数字は出てこなくても、しかし、虐殺というものはあったではないか、人数ではないんだというふうに、必ず論理が変わっていくわけでございます。

実際、確かにそこで便衣兵、ゲリラ兵を処刑したということも事実として当然あったでしょうし、実際問題として、さまざま、戦時中の話でありますから、それが、変な言い方ですけれども、正当な処刑という言葉はちょっと語弊がありますけれども、いわゆるハーグ陸戦法規に基づいた中での、これは戦場における行為としてはやむを得ない措置であったということも当然出てくるわけであります。ただ、それを理解するのは近代人にとってはなかなか難しいんですけれども。

問題は、こうしたことが、論理をすりかえながら、恐らく日本をおとしめるためにさまざまなプロパガンダが使われるということで、日本として戦うと言われますけれども、具体的にどう戦うかということについて一つ聞きたいと思うんです。

今度は、いわゆる南京虐殺記念館、中国、南京にありますこの記念館が世界遺産になるのではないか。中国側の中で世界遺産にするという動きがあるわけですけれども、果たして、この記念館の展示物も、かなり今我々が、日本で学術界の方々が研究されているように、全く違う写真が平気で、虐殺の証拠だ、あるいは日本軍が南京でやった事実であるという形で展示されているんですけれども、この展示の内容については、日本政府は把握しているのかどうなのか。

そしてまた、これを世界遺産として申請をしようということが一部中国紙で報道されていて、そのために拡張をしているのだということもありますけれども、その点については外務省はどう認識していますか、把握していますか。

[024]
外務大臣 麻生太郎
御指摘の記念館というのは、これは2つ例のある話で、両方の話だと存じますけれども、少なくとも、これを世界遺産というものにしようという話があるという報道は確かに承知をいたしておりますが、世界遺産をやるためには、各国別、希望の一覧表を出さないかぬ。その中には、今現在ですよ、今現在載っていないということだけは確認をいたしております。

それから、拡張中でありますので、工事中でありますので、今これはあいておりませんで、どういう目的でどういう程度のものをつくろうとしているかは私ども内容をつまびらかにしておりませんけれども、今、展示内容というものに問題があるのではないかという御指摘でしたので、展示内容に問題があったときには、これまで累次にわたって、最近でも、2005年の8月15日に、これは侵華日軍南京大虐殺史実展というのに、私どもの大使館員から送って、使われた写真パネルが違うじゃないかという等々の話を含めまして、いろいろなものに対して、これまでも我々としての抗議を申し込んでおりますし、意見というものを開示いたしております。

それから、最近、私の前の町村大臣のときも同じように、トウカセンとの会談の中において、あの抗日記念館の中には日中友好に資するものがあるかどうかわからぬという話も言っておるところでもありますので、今後ともこういったようなことは引き続きやっていかねばならぬと思っております。

今言われましたように、渡辺先生、歴史というのはなかなか一致しないものだというのはもう御存じのとおりです。過日もコンディ・ライスという人と話をしたことがあるんですが、少なくとも、彼女の生まれたアラバマ初め南部の通称デキシーと言われるところの学校の同じアメリカの教科書を読みましても、アメリカの南北戦争、北の方ですとシビルウオーと書いてありますけれども、南の方の教科書を読むと、ノーザンインベージョン、北部の侵略と書いてあって、同じ国家の中でもなかなか歴史認識は一致しないというのがよくある話でもあります。

しかし、それはそれとして、こちら側の意見として、そこそこの違いならともかく、一方的にこちらの方がという話になりますと、これは少し話が違うし、ましてや国が違うとなっておりますので、いろいろ意見が違うというのは当然のこととは思っても、現実として全く違う話であるなら、これは全く違うということは断固主張すべき、当たり前の話だ、私もそう思います。





平成19年05月11日 衆議院 内閣委員会
[090]
民主党(民進党) 渡辺周
外務委員会でも、先般、麻生外務大臣出席のもとで質問をさせていただきました。御存じのとおり、中国が今、我が国の戦争中の残虐行為について非常に、いわゆる南京事件からことしの12月で70年ということで、今、南京におきます記念館を増築している。たしか委員会のときには私は、世界遺産に登録をするんだというふうな中国側の報道に対して、世界遺産になり得るのかというようなお尋ねをしました。そのときには、中国の報道等を見ておりますと、これは広さが必要なので、その面積を拡大し、広さを得るためには拡張しなきゃならぬということでしたけれども、ユネスコの方の見解では面積は関係ないというような御答弁をいただきました。しかも、そこには真実性というものがやはりなきゃいけないんだということで、この点について質問したんです。

重ねての質問になりますけれども、日本政府として、この南京問題について日中間で話し合ったというこれまでの経緯はどうなっているのか。今までの、両国にまたがり、そして繰り返し言われてきたこの問題につきまして、学術界では、御存じのとおりたくさんの諸説がありまして、それぞれの先生方が研究をされているわけですけれども、中国政府と日本国の間でこの問題について話し合ってきたこと、どのようなレベルでどのように行われてきたのかということについて、ちょっとお尋ねをしたいと思います。

[091]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 伊原純一
いわゆる南京事件に関連して、例えば南京の大虐殺記念館の展示物につきまして、私どもの在外公館員が視察をして、おかしいもの、明らかに間違っていると思われるもの、そういったものがございます。

それは、例えば一つ例を挙げますと、2005年の時点で、局長レベルで、例えばパネル表示で、ライフ誌に掲載された写真は明らかにこれは対日プロパガンダに利用された写真だ、こういうものを掲示するのはおかしいのではないかとか、また、先生から以前御指摘もありました、アサヒグラフに掲載されたような、女性とか子供がずっと写っている写真ですね、あれも、連行されている写真ではない。あるいは、パネル以外に記述についても、不必要にむごたらしい記述をしているようなところもあるというふうな、個々の展示物の事案について、局長レベルで具体的な例を示して申し入れを行ったというふうなこともございます。

それから、より一般的には、当時の町村大臣、あるいは先般の安倍総理の訪中において、こういった問題全体について、中国側により配慮を求めるといったことも行っております。

さらに、これは直接政府間の話ということではございませんけれども、委員も御存じのとおり、日中の両政府間の合意の上で今、日中の歴史共同研究がスタートして、既に2回の会合を行ってきております。これは来年中には成果をまとめるということで、近現代史とそれよりも以前の歴史の2つに分けてやっておりますけれども、この中で、例えば近現代史の部分では、南京事件も含めて、大きな歴史の流れの中で、日中両国の研究者の間で意見交換をし、できるだけ認識の差を縮める努力をする、そういったことも政府の主導のもとで民間の研究者の方によって今行われている、そういうことでございます。

[092]
民主党(民進党) 渡辺周
今、民間レベルでも、一つ一つ個々の展示物について、先日も指摘したような、あるいはこの委員会でもかつて、戸井田議員でしたか、たしか指摘をされました。まさに、南京虐殺の写真で見る、あの検証をすると、これはとても証拠として採用できるような写真はない。もっと言えば、これは匪賊、いわゆる山賊の処刑シーンまでが、日本の軍の人間によって銃剣で突きつけられているというような、既に使い回しされているような写真が幾つもあるんだというようなものまで使われていた。

いわゆる「レイプ・オブ・南京」の中に出てくる写真の一つ一つについても、検証すれば、これはとてもじゃないけれども真実として認められないものがある。中には、どう見たっておかしい、影の長さが違うとか、あるいは足の向きが一つだけひん曲がっている、どう見てもこれは後からくっつけたような写真が、偽造写真というのか捏造写真というのか、こんなものまでが実は使われていたということを一つ一つ検証された本を私も丹念に読みました。

この個々のものについておかしいということについての根拠は、日本政府、日本の局長レベルで申し入れたということは、おかしいということについての根拠をかなり持っているということだと思うんですね。それに対して一つ聞きたいのは、局長レベルで申し入れた、だれに申し入れをしたのかということを伺いたいと思いますし、また、歴史の共同研究の話、今されているということは先日の別の委員会での質問でも答弁がありましたが、だとすれば、ある程度結論が出るまで、こういうものを展示することは見合わせるべきじゃないかということは当然言っているのか。

つまり、結論が出ていないものまでも一方的に、今指摘したような、この点については見合わせるべきだ、事実に基づかないとこちら側が少なくとも主張しているものに対して、あるいは物証としてあるものに対しては、これは出すべきじゃないと言うべきだと思いますが、そういう話はしているんでしょうか。いかがなんですか。

[093]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 伊原純一
先ほど私申し上げました、局長レベルで展示物の不適切な点等について申し入れを行ったというのは、平成17年の6月の日中のアジア局長間の協議でございます。

それから、例えば中国人民抗日戦争記念館というのが、これは既にリニューアルされた北京にある記念館だと思いますけれども、こういった際にも、館員が出かけていって、展示物にどういう変更があったのかとか、おかしいところがないかとか、そういうことは常にチェックをしておりますし、そういった点で明らかに真偽について疑義がある、問題があるといった点については、中国側に指摘をしているということでございます。

今後も引き続き、そういった中国側の展示物については大使館員あるいは総領事館員がフォローして、明らかにおかしいもの、そういったものについては適宜適切に中国側にも指摘をしていくということを続けたいというふうに思っております。

[094]
民主党(民進党) 渡辺周
では、その指摘した結果はどうなっているんですか。つまり、当事者間の事務レベルの協議の中だけで、これはおかしい、これはおかしいと言っても、結果、それが例えば撤回された、あるいはキャプションが変更された、あるいは写真を外した、展示物はこれはおかしいということで言ったけれども、では中国側はどう対応したのか、あるいはするのかということについて、その結果はどうなっているんですか。

つまり、一方的に言って、向こうは聞く耳を持たなかったら、結果としても、言っただけ、言うことは言いましたで終わってしまうんですね。この点について、今どうなっていますか。その辺の結果についてはどうなっているんですか。

[095]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 伊原純一
なかなか、直ちに結果を出すというのは難しい話かと思いますが、そういったこともあるので、むしろ今回のような日中の歴史共同研究等を通じて、日中双方が客観的にお互いの歴史認識を協議し、その溝を埋めていく、そういった努力が必要なのではないかというふうに思っております。

[096]
民主党(民進党) 渡辺周
歴史認識というのも、これも中国側は今までずっと一貫してやってきた歴史をひっくり返すわけがないんですよ、はっきり言って。ですから、溝は、もう多分どんなに協議していっても、太古の部分については埋まっていくでしょう、しかし、この近現代の100年に関しては、まずこれはもう埋まらないだろうなというふうに見ておくことの方が私は常識的だろうと思うんですね。指摘をした結果というものが、やはり当事者だけで議論していっていたらもういけないと思うんです。史実について、これは我が国はこうだというふうに言っているのだと。

このアイリス・チャンなる人物が書いた文章、あるいは出てくる写真についても、こうだということを当事者に言うのではなくて、やはりそれを彼らがやる理由というのは、これから北京オリンピックがまずある、そして上海のエキスポが行われる中で、いかに日本の名誉を損ねて道徳的な優位に彼らが立つか。そして、それを見に来た何も知らない日本人の青少年たちが、我が国の先祖は何とひどいことをしたのかと。

残念ながら、私もそうでありますけれども、日本の戦後教育を受けてきた中で、その辺の知識というのが極めて学校教育の中では得られていない。どちらかというと、歴史の授業というのは、年号と人の名前を覚えて入試にさえパスしてしまえば、学問というよりも、教養というよりも知識の部分。最低限知っておかなきゃいけない知識じゃなくて、何か膨大な数を覚えて、上の学校へ行くための、本当に一つのカリキュラムの中で位置づけられてしまった中で、中国側からそのような説明をされる、あるいは中国側からそのように洗脳されてしまえば、私たちの国の先祖は何とひどいことをしたんだということで、非常にこれは間違えた歴史観を日本の国民が、日本の中で知らずに中国の中で、しかも政治的な意図を持った謀略の中で歴史認識を刷り込まれてしまうという非常に悲惨な結末、我が国にとって恐ろしい結果になる。そのことを何度も指摘をしました。

ですから、この問題について、ぜひ日本の外務省のホームページの中で、ここにありますけれども、歴史問題についてどう認識していますかとなると、もう本当にわずかに、「「南京大虐殺」に対して、日本政府はどのように考えていますか。」たった2行です、「歴史問題Q&A」「日本政府としては、日本軍の南京入城後、多くの非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。」「しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています。」その根拠は何なのか。その諸説というのは例えばどういう説があるのか。そういうことについては、少なくとも何らかの形で引用してヒットできるようにすべきだと思うんですね。

これはホームページを例に挙げましたけれども、我が国として、やはり国際的に、中国側が指摘しているということに関しては、これは事実でない、これの出典は実はこういう全く違うところから出てきたもので、捏造されたものだということを私は全世界どこからでもアクセスできるようにすべきだと思うんですけれども、こういうことについてのお考えは今どうなんでしょう。

つまり、我々が個々で、幾ら館員の方が一生懸命足を運んで、これは違う、これは間違いだ、これは捏造だといったところで、当事者間でしかわからない話でありまして、そうしている間にも、そこを訪ねてきた世界各国の人間が、日本という国は何とひどい国なのかということに、まさに、我々としては、戦争というのは、銃弾でなくても、宣伝は銃弾にまさるという言葉もありますけれども、まさにこうやって謀略戦争、一日一日たつうちに敗北をしていくわけであります。

この点について日本政府はどうするか、外務省に、そして官房副長官がお戻りですので、この点についてどうお考えなのか続けてお尋ねしたいと思います。

[097]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 伊原純一
先ほど申し上げましたように、2006年の10月の安倍総理の訪中において、総理より、中国の愛国主義教育に関連して、日本関連の教育や歴史展示物について中国の適切な対処を要請していただいておりますので、そのフォローアップとして、外務省としても、今後この問題に真剣に取り組んでいきたいというふうに思っております。

[098]
内閣官房副長官 下村博文
お答えいたします。

御指摘のように、例えば「ザ・レイプ・オブ・南京」のような映画がつくられるということがあり、また、いわゆる南京事件においた記念館がつくられるということの中で、事実と違っている部分については、日本はきちっと指摘をし、また訂正を求めることは必要であるというふうに思います。

そういう中で、今御指摘の外務省のホームページ、特にこれから、注目をされるような南京事件についてのいろいろなことが映画や記念館等で出てくるでしょうから、より詳しく事実関係を踏まえて指摘をし、そして間違ったことが中国国内の中でも広がらないような努力をすることは当然であると思いますし、このことについては、今まで以上に詳しく調査をしながら、正していくところは正していくということが必要であるというふうに思います。

[099]
民主党(民進党) 渡辺周
例えば、さっき話がありましたライフ誌に掲載された写真でありますとか、あるいはアサヒグラフに出てきた写真でありますとか、いわゆるトリック写真の、見ようによってはキャプションをつければどうにでも誤解できるような、トリミングをしたり、要は、あるところだけ拡大して後ろの背景や人物が写らないようにしてしまえば、いかようにでも言うことができる。実際、もうこれは実は出典はここであるということを認めているような写真も幾つもあるわけなんですね。

それに対して、やはり私は、一つ一つの写真を、例えば、南京虐殺記念館の中に現時点でこういうものが展示してあります、しかしこれは、もとはこういうところから出たもので全くのでたらめですと。言葉はもうちょっと品のある言葉を使ってもいいと思いますけれども、これは実は違うんですよということは、見た方がわかるような形で説明をしないと、そうした、東中野先生たちが研究をされているあの分厚い本、一つ一つを見て、なかなか一般の書店で一般的に置いてある本じゃない、かなり専門的な本でしょうし、中には、目も背けたくなるような写真があることはもう御存じだと思います。

ですから、それに対して、もしこの問題に対して関心を持ったら、外務省の、あるいはどこか政府の機関があって、そこにアクセスをすればこれについてお答えしましょうということを、こんな「歴史問題Q&A」の2行や4行の話ではなくて、ぜひともそういう形で、その中国側のプロパガンダに対して、事実でないことに対してはやはり私はやるべきだと思うんです。その辺を、先ほど真剣に取り組むというふうに外務省からお答えありましたけれども、そういうことも考えるということでいいのか。

それから、官房副長官は、この問題について、外務省のホームページにまで言及されたのかどうかわかりませんけれども、やはり日本政府として、これは我々日本国民みんなそうですけれども、事実に基づく批判であるならば、それは謙虚に受けとめるし、それに対してはやはり反省すべきでありますし、謝罪もする。しかし、いわれなき問題に対しては、あるいは、もう間違いなくこれは捏造だということにまで、いつまで私たちはおとしめられなきゃいけないのかという思いは一緒だと思いますので、その点について、この一方的な内容で責められてきた問題、どのようにしてこれから、余りおどろおどろしい言葉は使いたくありませんけれども、反撃をするのかということについての官房副長官の御見解をいただきたいと思います。

[100]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 伊原純一
私ども、外務省のホームページあるいは在外公館がつくっておりますホームページというのを広報等に今後とも積極的に活用していきたいと思っておりますので、今の先生の御指摘、そのような観点から、中で検討させていただきたいというふうに思います。

[101]
内閣官房副長官 下村博文
御指摘の点は、もっともなことだというふうに思います。

今までの記念館についても、外務省の方で一つ一つについて、事実でないと思われることについては中国側に対して指摘をして、局長レベルで話し合っているという話がございましたが、これは改めて、新たな記念館ができましたら、もう一度すべてのことについて、我が国にかかわる事実でないことについては全部精査をして、まず事務レベルできちっと中国側に、もしそういうことがあれば正してもらうように、修正をしてもらうように事務レベルでやっていくということがまずは必要だというふうに思います。その上で、新たな記念館において日本の主張が反映されるのであれば、その時点で一つ一つ変えていくということが一番現実的であるというふうに思います。

また、そういう経過について、ホームページが適切かどうかというのはいろいろあるかもしれませんが、しかし、日本政府が新たな記念館について間違いは正しているということを内外にわかるような形で明確にしていくということは、当然必要なことだと思います。

[102]
民主党(民進党) 渡辺周
たまたまホームページに言及したのは、余りにも外務省の「歴史問題Q&A」というホームページが、根拠もなければ、「諸説」というふうに触れられた諸説すらも載せられていない。見たって全然わからない。ホームページというツールが、ある意味では世界じゅうからアクセスをする上で、当然のことだが一番最初に情報を得られるものだろうとして挙げたわけですけれども、これは日本政府として、あるいは日本国として、二カ国間の協議の中で指摘をしていくなんというのんきなことを言っていたら、もう膨大な反日的組織がロビイストとしてアメリカの中にもある。だからこそ、今度のような、アメリカの下院の決議が行われるようなことになってきているわけであります。

この点に対して、やはり政府として、黙っていたらいずれ落ちつく問題だ、最近ちょっと鎮静化してきたから、この機会に乗じて、余りこちら側からもう一回蒸し返すようなことをしない方がいい、だから、何となくおさまってきたので、しばらく様子を見ようなどといって通り過ぎるのを待っていれば、間違いなく、この問題、またどこかのタイミングで当然再燃をする。

そして、国際的なイベントが開かれる中において、またこうした記念館が観光施設として今度は公開されたことによって、その中身を見た人は、全くわからない。例えば、欧州や北米から来た人たちが、同じような顔をした民族の国の中で何かいろいろあるけれども、こんなことは当然歴史の中であったんだろう、日本という国が当然それぐらいのことをしたんだろう、その程度で眺めていってしまったときに、やはり、我が日本の国がありもしないことで批判を受ける、あるいは軽蔑をされるということだけは何が何でも避けたいなと思うわけであります。

これは二国間で詰めていく、ただしかし、その場合には、先送りされてしまえば、事実として認められないものがずっと蓄積されていってしまうわけであります。ぜひその点については、正しいことについては我が国としての発信をもっとすべきだと思うんですけれども、その点について政府としてどうなんですか。これはホームページに限らずですけれども、やはり世界に対して、時にはアメリカの新聞に、全国紙に意見広告を出すなり、私はそのぐらいのことをしていいと思うのです。

今回の慰安婦の問題でも、いわゆる20万人が性奴隷にされたという見出しで4月の26日に、あれはニューヨーク・タイムズだったでしょうか、私も全面広告を見ました。その中には、路上や家から強制的に連れていかれて、そして船に乗せられて各地に送られたんだというようなことが書いてあるわけなんです、これはごらんになったと思いますけれども。

こういうことを一方的に言われておいて、日本は謝罪をしていますと。きょうは時間がないからこれ以上言いませんけれども、何に対して謝罪しているかについても、残念ながら安倍総理は訪米ではっきりと言われなかった。その時間もなかったのかもしれませんけれども。

ですから、やはり日本の国として、認めるべきことと認めないことははっきりと分けて、世界に向かって発信をしていかないと、いわれなき批判だけがどんどん戦略的に波状攻撃を受けて積み重なっていく。その中で、我が国としての歴史の問題に対しての、日本側が、私たちの国が日本の名誉と誇りにかけて一生懸命積み上げてきた研究成果、学術界の方もいらっしゃる、政府としてもたくさんの資料がある、私は、やはりそれをもとにして世界にちゃんと言うべきことは言うべきだと思うんですけれども、政府としてはどうお考えですか。

慰安婦の問題に限らず、南京もそうでありますけれども、これからこうした諸外国に対して、本当に、これはこういうことなんです、我が国として、現時点ではこういう認識ですということに対して、やはり何らかの形で発信し続けるべきだと思うんですけれども、政府としてはいかがなんですか。

[103]
内閣官房副長官 下村博文
まず、南京大虐殺記念館についてでありますけれども、これは、昨年の10月、安倍総理が訪中をいたしまして、中国との間におきましても専門家による歴史研究をこれからしていこうということになりました。この中で、南京事件についても取り上げて、日中のそれぞれの歴史専門家の中でまずきちっと議論をしてもらう。当然この中で、記念館についての、史実に基づいているかいないか、どこがどうなのかということについては専門家の方々に議論していただいて、そしてそれを公表していただくということが、これがある意味では政府的な関係の中で今後やるべきことだというふうに思います。

それから、アメリカにおける従軍慰安婦問題等については、これは政府というよりは、特に中国、韓国系のNPO関係団体、世界30幾つを超える団体がネットワークを組んで、あのようなキャンペーン的なことを含めて進めてきて、そして、新聞の広告記事もそういう観点から出されているということがございます。

ですから、ぜひ、日本国内のそのような認識を持った民間団体やNPO団体等にも、日本の事実のところはきちっと世界で主張するということについてもお願いしたいなというふうに思いますが、しかし、日本としても、世界において事実でない歴史観が語られるとしたら、これは日本の国益に反することでありますから、今後、戦略を持って情報的なものも含めて取り組むということが必要になってくるというふうに思います。

[104]
民主党(民進党) 渡辺周
慰安婦の問題については、もともとの話というのは、強制連行というものがあったということから始まって政治問題化したわけです。慰安婦という方もいたし、慰安所というところもあった。当然、その移送や管理、許可に関しては、関与といえば、これはもう軍部が関与していたことは当然だ、これはだれも否定をしておりません。

ただ、そもそもの問題というのは、工場から連れ去られたり、先ほど申し上げたように、路上や家から銃剣で突きつけられてそういうことにつかされたということに対しては、いまだに証明するような事実やエビデンスは出てこないじゃないかということに対して、私たちはやはり主張すべきだというふうに思うんです。

そういう方々、戦時下とはいえ、そのような職業につかなければいけなかった女性の身の上に対しては本当に同情しますし、もう二度とこんなことがある社会であってはならないという世の中だということは、日本の一つの宣言としてやるべきだと思いますけれども、過去の問題を、政治的に真実性があるかないかという中で裁かれるという、それが政治利用されてきたことに余りにも今まで政府が事なかれ主義で来たんだということに対して、ここまで問題が大きくなったんだと私は思っております。

結びに一言言って終わりにしたいと思いますけれども、いわゆる百人切りということが報道されたことに対して、戦争時の報道とはいえ、あれは実はほら話だったということがあった。実は昨年の12月に裁判があったんですね。名誉回復は成らなかったけれども、裁判所の、東京高裁の判決の中で、百人切りが行われたという記事については信じることはできないんだというようなことを司法の場で認めたんです。そのときに、一貫して訴えてきた遺族の方の中で、百人切りが真実ならどんなことでも耐えますが、うそなのです、汚名を着せられ歴史に残るのは残念ですというコメントが、当時あるところで紹介されていました。

私たちは、あったことは率直に認めるし、謝罪をし、また当然償いをしなければいけないと思いますけれども、なかったことを、政治利用された結果によって歴史の中で汚名を着せられていくことがやはりあってはならないということを最後に申し上げまして、またこの点につきましては質問をさせていただきたいと思いますので、これで終わりにしたいと思います。

ありがとうございました。





平成19年05月25日 衆議院 外務委員会
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