平成18年05月12日 衆議院 内閣委員会
[004]
自由民主党 戸井田とおる
今回質問させていただきますのは、化学兵器禁止条約に基づく遺棄化学兵器に関する問題であります。
もう既に御存じかと思いますけれども、月刊「正論」に掲載されている「スクープ!“遺棄化学兵器”は中国に引き渡されていた」という記事がありました。私も、一瞬その表題を見てびっくりしたわけですけれども、その著者の水間政憲氏に連絡をとりまして、実は私のところに来ていただきました。
いろいろお話ししていたら、かつて一度絶版になった本なんですけれども、「パール判事の日本無罪論」というのを復刻したんですね。その後ろにこの水間氏が解説を書いているんです。だから、そんないいかげんな人ではないのかなと思いながら、いろいろお話を聞いておりました。
もともとパール判決書というのは、終戦後、東京裁判でもって、ちょうど私の父が清瀬一郎先生の秘書をしておりました。そしてその清瀬一郎先生から判決文を田中正明さんが借りてコピーをして、そして独立の日に合わせてそれを出版するということで準備をされていたという話も聞きました。何か因縁があるのかなと思いながら、実はその人のお話を聞かせていただいたわけであります。
内容は、ほとんど「正論」の中に書かれてあるとおりではあります。しかし、若干の資料もその中にいただきました。お渡ししておりますこの写真がその物であるんですけれども、こういうふうにして現物の資料が出てきた。
確認できるのはこの写真では表紙だけではありますけれども、仮にこういったものが事実であるのだとしたら、2月24日に衆議院の内閣委員会で高松明遺棄化学兵器処理担当室長が、正式に中国やソ連に化学兵器が引き渡されたという文書が発見されれば、基本的な枠組みは変わってくるという答弁をされておられます。
このジャーナリストの水間政憲氏は、今回、こういった資料が600冊、兵器引き継ぎ書の原本としてあるんだということを言われております。手元にお配りしているその写真は、水間氏に提供していただきました。
資料を見ていただくとわかるわけですけれども、引き継ぎ目録には、日本側と中国側の責任者の引き継ぎに同意した署名と捺印があるわけであります。また、この「正論」の記事には、数1000名の中国人の署名があることも明らかにしています。本人のお話を聞きましたら、もっと数が多いんじゃないかということで、推測でありますけれども、そういうことを言われておりました。
今回発見された引き継ぎ授受書を政府は徹底的に調査する意思があるのか、まず最初に官房長官にお尋ねしたいと思います。
[005]
内閣官房長官 安倍晋三
ただいま戸井田先生が御指摘になられましたこの資料は、精査すべき内容である、このように考えておりますので、政府としてしかるべき調査をさせたい、このように思っております。
[006]
自由民主党 戸井田とおる
その調査をするときに、プロジェクトを立ち上げるときには、旧日本軍の専門家とか、または防衛研究所の専門家が参加するのは当然なことだというふうに思うんですね。この書類の中の文言を見てもわかるように、やはり専門的な用語がたくさんあるし、また、当時の現物を見てわかるものとわからないものがあるということを考えれば、当然専門家が参加しなければならない、私はそういうふうに思っております。
同時に、そういった人からの聞き取り調査というものは欠かせないことだと思うんですね。こういう聞き取り調査をする意思があるのかどうか、その辺のこともちょっとお聞かせいただきたいと思います。
[007]
内閣官房長官 安倍晋三
この資料の中身を精査するに際しまして、この中身が実際にどういう性格のものであるかということも含めて、精査をするためには専門的な知見が当然必要なんだろう、このように思います。そういう意味では、やるべきことはしっかりとやらなければいけない、このように思います。
この資料を見てみますと、かなり細かく引き渡しの目録がなされておりまして、電気スタンド48個、電球が入っていないとか、本当に詳細にわたって書いてあるなという印象は受けておりますが、いずれにいたしましても、しっかりと専門的に精査をしていかなければならない、このように思っております。
[008]
自由民主党 戸井田とおる
ありがとうございます。
ということになりますと、平成10年の4月10日に、衆議院外務委員会での阿南政府委員の答弁で、「これらの化学兵器、砲弾が、終戦当時、通常の武装解除に基づいて、ソ連軍ないしは中国軍に引き渡されたものとは認められないと言わざるを得ません。そういう判断でございます。」という答弁をされているんですけれども、これはやはり、もしこのことが精査されて事実であったとしたら、間違ったということを言わざるを得ないと私は思うんですけれども、官房長官、どうでしょうか。
[009]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えさせていただきます。
今先生が御指摘のあった点につきましては、まず、やはり我々資料を見させていただいて、どういう内容で、それはどういうインプリケーションを持ち得るのかということを判断させていただきたいと思います。
その上で、今後、まさしく、それは条約との関係でどういう意味を持つのか、中国との関係でどういう交渉が可能であるのか否かという判断をさせていただきたいと思っております。
[010]
自由民主党 戸井田とおる
これを精査するのに、外務省だけでなく、やはり所轄の内閣府、特に官房長官に責任を持っていただいて、外務省だけでやらないように、当然ほかのところも一緒に精査をしていただく、防衛庁ももちろんそうですけれども、そういう形をぜひとっていただきたいと思います。どうでしょうか。
[011]
内閣官房長官 安倍晋三
先ほど御答弁いたしましたように、専門的な知見が必要であれば、当然そういう体制をとって、しっかりと精査をしなければいけない、これは十分に精査すべき重要な資料である、このように思っております。
[012]
自由民主党 戸井田とおる
ありがとうございます。
それでは、お手元の資料の1をちょっと見ていただきたいと思うんです。この1の3枚目の左のページの上に二重丸が2つついておりますけれども、「引継目録書」ということで、弾薬、品目、華語それから日語、要するに中国語と日本語の武器の名前がここに書かれているということであります。その中の九四式小発煙筒160発、それから九九式発射発煙筒30発というのをごらんいただきたいんです。
もう一つ、資料3を見ていただきたいと思うんです。これは、2枚目に書いてありますけれども、粟屋憲太郎さんという人が出版した「毒ガス戦関係資料」ということで……(発言する者あり)
[013]
委員長 佐藤剛男
資料3、ありますか。
[014]
自由民主党 戸井田とおる
さっき、資料、一緒に渡していたんですけれども、あるでしょう。
[015]
委員長 佐藤剛男
私のところには、これでしょう、違うの。
それでは配ってください。
[016]
自由民主党 戸井田とおる
資料3の右側の上の方にTYPE99というのがあるんですけれども、これの下、写真の部分、横に縦書きになっていますけれども、黒地に白く、九九式発射発煙筒と読めると思うんですね。どうでしょうか。
発射発煙筒、これが横に、物に対しては縦に書いてあるんですけれども、何となく九九式というのは読めると思うんですね。発射発煙筒といえば、確かに、へんの方しか見えない部分がありますけれども。
そうすると、この資料は、これが有毒発煙筒と称しているものであれば、これが引き継がれたということになれば、現実に化学兵器が引き継がれていたことの一つの証拠であるんじゃないかなというふうに思うんですね。その辺のことはどうでしょうか。
[017]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えさせていただきます。
まさしく今先生が指摘された点も含めて、我々は専門家の協力を得て確認をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
[018]
自由民主党 戸井田とおる
もう一つ、九四式というものですね。九九式の下のものです。これはTYPE94Aと入っているんですが、Aと入ってあるからBも当然あったのかなとは思うし、Cもあったのか、その辺は我々わかりませんけれども、しかし、非常によく似たものであって、こうした発煙筒を含めて、そういう化学兵器ということでもって処理しているのかと。
そもそも発煙筒は旧日本軍においては毒ガスに分類されていなかったわけであって、発煙筒を製造していた、瀬戸内海にあります大久野島というところに忠海製造所があるらしいんですけれども、そこの工員の危険手当は毒ガスの3分の1に当たる日給の2割だったとの資料もあるということを水間さんは言っているんですね。
現時点で、有毒発煙筒を含む化学兵器が引き継ぎされていたのであれば、わざわざ税金を使って、将来幾らになるかわからないというようなこと、そういうことをする必要がないんじゃないかな。そういうことを考えれば、まさにこれは徹底した調査というものをぜひやっていただきたいなというふうに思うんです。
さっき、官房長官からきちっとした答弁をいただきました。同時に、今これが所在するのは山形県ということを聞いております。そこに行ったら、こういう紙ですから、極端な言い方をしたら、爆弾を落とすということはないかもわからないけれども、不審火であるとか何であるという、燃えてしまったら、ただ一つのものであったとしたら、もうこれから手だてがなくなってくる。
ましてや、ただでさえもう戦後60年たって、そのときの資料がどこにあるのか。「正論」に書かれていることでいえば、ソビエトがああいう状況になって、その結果、日本に偶然入ってきていた。日本人の全抑協の会長さんがその資料を持っていた。だけれども、平成7年に亡くなられて、ちょうど条約を批准されたころなんだろうと思うんですけれども、それが10年たってここに飛び出してきたということは、やはり何か因縁が、因縁とこんなところで言うのはあれかもわかりませんけれども、そういう気がするわけですね。
だから、ぜひともこれはきちっと、おかしな事件にならないように、また、おかしなことでそれが消滅するということがないように、警察庁の方ではきちっと警備をしていただきたいなというふうに思うんですね。その辺のところ、警察庁、どうでしょうか。
[019]
政府参考人(警察庁警備局長) 小林武仁
お答え申し上げます。
御指摘の文書につきましては、委員御指摘の月刊誌に記載されている以上のことは警察としては承知しておりません。また、御指摘の文書の保管に関しまして、これまで管理者等からの相談もございませんし、また、警察としても具体的な危険性について承知しておりません。
なお、警察として、御相談があれば、しかるべく防犯上の観点から指導助言を行ってまいりたいと考えております。
[020]
自由民主党 戸井田とおる
ありがとうございます。
ただ、やはり、これがこういうふうにして世の中に知れ渡っていくと、それが表に出てきたら困るという人たちも日本の中にもいるようでありますし、そういうことを考えると、きちっと警備だけはしていただきたいな、そういうふうに思います。
また、この議論をしているときに必ず、我々もそうですけれども、有毒有毒ということで、その流れの中に入っていくわけですね。だけれども、よく考えてみると、10年前に締結した化学兵器禁止条約に基づいて有毒だということを示されているわけですけれども、しかし、通常の発煙筒とその他の分類については、当時、有毒発煙筒を遺棄した、その人たち、旧日本軍は、仮に遺棄したとしても、有毒発煙筒を遺棄したということがわかっていたんだろうか。
この分類でいうと、ただ発煙筒との認識しかないと思うんですね。今、中国で出てきているものというのは全部有毒化学兵器なのか、そこらのことをきちっと分けていくためにも、かつての陸軍の兵器の名称であるとか、それと一致させていく作業というのは非常に重要なことだろうと思うんですね。そういうことがなされているのかどうか。
そして、実際に、発煙筒のタイプの名前がこういうふうに全部はっきりわかっているわけですから、それをできたら委員会にでも出していただきたい、提出していただきたいというふうに思います。どうでしょうか。
[021]
政府参考人(内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長) 高松明
現在のところ、中国各地で3万7000発の旧軍の遺棄化学兵器が回収されております。これは中国各地の保管庫で保管している、こういう状況でございます。
この3万7000発につきましては、日本の専門家、先ほど委員御指摘のいろいろな、現在の日本における最も知見のある方々の鑑定をすべての個々の砲弾ごとにしておりまして、旧軍の遺棄化学兵器と私どもとしては確認して保管しております。
[022]
自由民主党 戸井田とおる
それと、この資料の2も見ていただきたいんですけれども、これの3ページの真ん中に、やはり頭に丸がついておりますけれども、九七式(青)発煙筒というのがあるんですね。ここに書かれているのはほとんど発煙筒なんですよ。
その青というのは何なのかなというふうに思ったら、ホームページを引いてみますと、その青という資料が出てくるんですけれども、発煙筒の頭に青いのがついているのが化学兵器だということらしいんですね。これがもしそうだとしたら、これもやはり引き渡しされているということの一つの証拠になってくるんだろうと思うんです。こういうものをあわせて考えてみると、非常にやはり重要なものだなというふうに思うんですよ。
ただ、これは見られたものだけであって、私も、ひょっとしたら今はやりのガセネタかなと思いながらも、いろいろ見てみたんですよ。自分たちでこれを見てみれば、この一つ一つ、コピーなんかでも、これはやはり一冊のものからコピーしたなと思えるのは、周りのこうしたコピーされた状況、附せんが張ってある状況とか、そういうものを見ていけば一つ一つ精査できると思うんですよ。
もう一つ、例えばこの中で、逆に疑ってかかっていったときに、九九式というのがありますよね。昔の日本のそういう事務官というかこれを精査した人たちというのは、非常に細かくきれいにやっているわけですよ。そうすると、この九九式というのはここだけ下があいているんですね。それ以外のものは大体、数が多ければ数は多いなりに、等間隔でみんなそれが書かれている。そうすると、これはどこかで修正したのかなというふうに思えなくもない。
だけれども、そういうものを一つ一つこういうふうに精査していって見れば見るほど、かつての日本軍が、水間氏の話によりますと、ほとんど全中国を網羅しているというんですよ、その資料は。
済みません、官房長官、どうもありがとうございました。
現実に我々が親から聞いたことでも、やはり武装解除というのはきちっとされていたということなんですよ。その証拠というかそのあれは資料4を見ていただくと、先ほど官房長官も言われていましたけれども、この資料4で、これは兵器じゃないんですよ、精米とか小麦粉、大豆。それで、1000単位の1けたまで全部きちっと書かれているわけですよ。訂正があれば、訂正印も押されて、文字の入れかえ何字みたいなことまで全部判こが押されている。そこに一つ一つ中国側は、全部これが墨で、筆で書かれているんですよ。最初は、後で上からなぞったのかなと思ったんですけれども、そうじゃない、中国側は全部筆なんだというんですよ。それで、こういうふうにきちっと鮮明に残ってきている。
これだけの資料があったということは、こういうものはきちっとやったけれども、後はいいかげんにやっていたなんということはあり得ない。昔の我々の親の世代というのは余りいいことをしてこなかったということを戦後の教育でもってやられてきました。だけれども、こういう事実を一つ一つ見ていったときに、その中でもって類推して、我々の先輩がどういう生き方をしてきたのかということを考えてみると、我々よりもはるかにまじめに、きちっとやるべきことをやり、責任を果たしてやってきたことが、こういうものを見ただけでもよく、見過ごしてしまえば見過ごしてしまうことかもわかりませんよ。だけれども、それをきちっと、コンピューターも何もない時代に、手書きでもってそういうものをきちっと仕上げてやってきた。それも敗戦後の、自分たちがどうなるかわからない、それこそ、満州にいた人だったら、ソビエトが入ってきて自分たちが殺されるかもわからない、そういうような状況の中にあっても、きちっとこういう引き継ぎをやってきたんだ。そういうことを考えたら、いいかげんな処理なんかできないはずなんですよ。
それは、外務省の方々はその場しのぎのことを考えるかもわからない。外交でもって今必要だ、そのせっぱ詰まったときにはそういう考えになることもあるかもわからない。だけれども、もう既に亡くなった人たちというのは、今この時代の中にあって、自分たちは発言も何もできないわけですよ。何でするんだといったら、こういう資料の中に出てくるわけですよ。その声を読み取るか読み取らないかというのは、今生きている我々の大きな責任じゃないですか。
外務省の人にはそういうことを考えて外交をやっていただきたいと思うんですよ。だから、これを精査するのにも、自分たちだけじゃなしに公平に正々堂々と、外務省だけじゃなしにほかの省も、各省も全部含めて公明正大に、だれにもわかるような形で精査をしていただきたい、それが私の本音であります。
同時に、私は兵庫県の選出議員で、かつて10何年か前に阪神・淡路大震災がありました。あのときに、もうみんなパニック状態の中でもって恐怖感にとらわれながら、その中にあっても、物を買うときにはみんなずらっと整列していた国民性なんですよ、日本は。海外の人たちは脅威的な目でそれを見ているわけですよ、日本人の国民性というものを。
戦後の教育を受けながら、60年たってもなおかつそれだけのものを維持している日本人というものを考えたときに、当時の人たちがどんな気持ちでこの引き継ぎをやったのか、ぜひそのことをしっかりと自分の胸に、あなただけじゃなしに、大臣から以下全部、そのことをもう一度胸に呼び起こしていただいて、その対応をしていただきたいと思います。
すべて、この資料の中を全部あけてみたときに、それが出てくるかどうかはわかりません。だけれども、せめてこういうことを見て、わずか1ページ、2ページのものであったとしても、そのことから読み取っていくことの重要性というのは、我々、この後生きていくのに、自分たちがこれから将来の自分たちの孫子に対して、そういう生き方をしたんだということを示す必要があるんだと思うんですね。そのためには、かつてのこういう資料を徹底的に、そこまでやったのか、そこまで読み切るのかと言えるぐらいやっていただきたい、私はそういうふうに思っております。
60年もたったものであるから、そのものが本当にあるのかどうか疑わしいこともあるのかもわかりません。だけれども、少しでもその可能性があるんだったら、かつての人たちがどんな思いでそれを残してきたかということを考えれば、そこに自分たちが心を寄せて、心を一つにしてその仕事をやり遂げる責任が我々にはあると思っております。
わずか30分のことですから、もうこれ以上私は質問は申し上げませんけれども、きちっと、後、精査をしていただきたい。
そしてまた、最後に、このことに本当に昔から気持ちを込めて対応をしておられた山谷政務官、何か一言、お言葉があったらどうぞ。
[023]
内閣府大臣政務官 山谷えり子
山形の史料館は、今、かぎがあかないような状況になっております。これをしっかりとかぎをあけさせまして、内閣府、外務省、防衛庁、そして専門家の方たちとしっかりと精査していきたいというふうに考えております。
[024]
自由民主党 戸井田とおる
どうもありがとうございました。よろしく、しっかりと心を込めてやっていただきたいと思います。
ありがとうございました。終わります。
平成18年05月26日 衆議院 内閣委員会
[004]
自由民主党 戸井田とおる
今回は、警察の集中審議ということなんですけれども、若干、時期的なこともありまして、お許しをいただいて、半分は遺棄化学兵器のことも質問させていただきたいと思っております。
山谷政務官に来ていただいているので、参議院の本会議があるということで最初にその質問だけをさせていただきますけれども、前回のこの委員会でもって私が質疑した遺棄化学兵器の資料の問題ですが、これは全体像を、その発見した水間政憲さんからいろいろなものを見せてもらうだけは見せていただきました。大変な資料がまじっておりまして、何としてもこれを政府できちっと押さえていただきたい、そういう思いでいっぱいであります。
兵器引き継ぎ書の調査、分析には、国民も第三者的オブザーバーの参加を望んでいるんじゃないかなというふうに、あの資料を見ればだれもがそういうふうに思うと思うのであります。特に、国を憂い、執念とも思えるような気持ちでこの引き継ぎ書を発見された水間政憲氏も、ぜひ参加していただきたいな、そういう意味ですべてのいろいろな知識を持っておられる方なので、そのように私自身は願っております。
山谷政務官、その調査のメンバーの中に水間氏を加えていただくことはできないでしょうか。
[005]
内閣府大臣政務官 山谷えり子
本事業の実施担当の内閣府といたしましては、この関係資料に対して大きな関心を持っているところでございます。内閣府といたしましては、外務省、防衛庁、そして専門家の皆様ときちんと精査をしていきたいというふうに考えております。近々、資料管理関係者の方ともお会いする予定にしております。
水間さんの件に関しましては、ちょっと個別のことでございますので、引き続き検討させていただきたいと思います。
[006]
自由民主党 戸井田とおる
ぜひお願いしたいと思います。
政務官、どうぞ、これで。ありがとうございました。
[012]
自由民主党 戸井田とおる
また、きょうは、外務省から梅田参事官、そして中根軍縮不拡散・科学部長に来ていただいております。
実は、私も、時期的にどうしても今このときに確認をしておきたいということで質問をさせていただくわけですけれども、化学兵器禁止条約について、基本的なことをお聞きしてみたいと思っております。
まず、定義に、遺棄化学兵器とは、「1925年1月1日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器をいう。」とあります。
この定義の中には、遺棄化学兵器がいずれかの国か他の国のものか、所有権に関して、直接的表現は記されていませんが、同意を得ることなく遺棄した化学兵器を遺棄化学兵器と定義されています。
となると、手元にお配りしました引き継ぎ書にあります日本側と中国側の授受者の署名、捺印は、引き継ぎ者側の同意を得ていたことになります。これは引き継ぎ同意書でもあります。6の資料とかほとんどの資料に、中国側と日本側の代表者のサインと印鑑があります。
現在、遺棄化学兵器処理室が中国において発掘して保管している旧日本軍の化学兵器なども、同じように引き継ぎ者側の同意を得ていたのであれば、当然、旧日本軍の化学兵器といえども、所有権は中国側に移行したものと理解しておりますけれども、外務省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
[013]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
今まさしく先生御指摘があったように、化学兵器禁止条約によりますと、ある国が他の国の領域において当該国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器というものが遺棄化学兵器なんだというふうに定義されておりますけれども、今まさしく先生が指摘いただきました資料そのものが、本当にその条約との関連で、今定義にあるようなものに該当するのかどうかというのは、これはまさしく、そのような視点も含めまして、我々、精査をこれからさせていただきたいと思っておりますので、今この時点で明確なお答えをすることはできない、その点は御容赦をお願いしたいと思います。
[014]
自由民主党 戸井田とおる
手元にお配りしました資料の1と4を見ていただきたいんですが、前回取り上げました九四式小発煙筒は、資料4の毒ガス関係資料に記載されている写真解説では1枚目の右側の写真のようにタイプAということになっております。
引き継ぎ書に出ていた九四式小発煙筒は果たしてどうかなということを前回のときに説明したんですけれども、今回新たに水間氏の方から提供していただいた資料1の2枚目には九四式小発煙筒甲というふうになっているものが出てきました。これは明らかに現在遺棄処理の対象の有毒発煙筒と称するものと思われますが、それを確認したいこと。
それから、前回九九式発煙筒を取り上げた際に、それを疑うこともできるということを私は申し上げたんですね。それは、等間隔に書かれているものが前回の分にはそれが詰まって書かれてあった、そんなことも疑おうと思ったら疑えるということでもって言ったんですけれども、そうしたら、やはり水間氏は同じように、九九式発射発煙筒であれば多数引き継ぎ書の中に出てくるということで、今回新しく出してもらいました。それが資料2ですね。資料2の左側の方に九九式発射発煙筒というのが出ております。ですから、あちこちに通常のものとしてこういうふうに出ているんだろうというふうに思うわけであります。
そもそも、旧日本軍関係者は有毒発煙筒などというのは聞いたこともないということをおっしゃっておりますし、発煙筒はあくまでも発煙筒であって、11年前に我が国が批准した化学兵器禁止条約のことは、60年前の旧日本軍の方々は当然全く知らないわけでありまして、考えてみますれば、内容が少量の場合には、先ほどごらんいただいた資料1の引き継ぎ書の甲とかそういうことが書いてありますが、大量の場合には、甲乙だとかそういう区別なく、型式表示だけでもって引き継ぎが実施されたというふうに思われるんですね。
資料1を見ていただきたいんですけれども、資料1の2枚目です。これは数量と単位のところを見ていただいたらわかりますが、済みません、資料3ですね。資料3の方を見ていただいたらわかるんですけれども、この資料3の数量のところを見ていただいたら、単位がトンということになっております。
そして、当時、中支那派遣軍の兵器廠があった南京には倉庫が20棟以上あったというんですね。その倉庫番号の13号、14号というのは、この資料3の2ページ目の真ん中にあります13号、14号の、その下に九四水上発煙筒8.7トン、それから同じように九四水上発煙筒5トンという形で、非常に量が多くなると、何発とかいうことでなしに、トンという単位でもって引き継がれてあるわけであります。当然ほかにもありますし、水間氏は、武器としてでなく、ドラム缶という表示のものもあったということを言っておられます。
一日も早くこの調査を望みたいと思っております。非常に資料を深く知れば知るほど、大変な内容のものが含まれているというふうに私も感じております。ぜひそれをお願いしたいと思っています。
また、資料の5の1枚目をごらんいただきたいと思います。私がこの間質問したのは5月12日でありました。当時、大したことないと思っていたのかもしれませんけれども、マスコミ等ではほとんど報じられませんでした。しかし、その後、こうやって「毒ガス演習計画書発見」とか、その2枚目には「米軍、毒ガス海洋投棄」ということで、この中にも日本の記述が出てきております。黒丸と横に線を引いてありますけれども、「日本近海では、主に旧日本軍が製造した嘔吐性ガス弾11万発などを、計6カ所で45年から46年にかけ投棄。」というようなことを書かれております。
こういうものを見ると、きちっとした引き継ぎというのはやはり行われていたんだ、毒ガス兵器であったとしても、それはきちっと引き継ぎをなされている。アメリカ軍にだけはしていなくて、連合軍ということでとらえていたら全部同じようにやっていたんだと思うんですね。ですから、この引き継ぎ書というものをきちっと精査していただくこと。
また、資料6を見ていただいたらわかりますが、これはそれぞれのページに、全部左側に引き継ぎの内容、そして右側の方にはそれぞれ中国側と日本側の代表者のサインと捺印がされております。この2枚目なんか、日本側、陸軍大尉今村大蔵ということで出ているんですね。非常にきれいな字でもって、それこそ、これぐらいきれいな字をよく書けるなと思うぐらいのきれいな字であります。こういうふうにして、一人用の机だとか、1ページ目の平がまとか、軍隊で使うようなものなんだろうと思いますけれども、こんなもの一つ一つまで、その品質まで書かれて引き継ぎをされている。
私は、前回にも申し上げましたけれども、かつての日本軍のこういう担当した人たちを含めて、そんなにいいかげんなことをやっていなかったんじゃないかな、やるべきことはきちっと、自分の果たすべき責任はきちっと果たしてこられたんだ、そういうことを思ったときに、いいかげんな始末の仕方はしてほしくないなというふうに思うんですね。
この資料というのは、日本にとってプラスになる資料ばかりだとは私は思いません。中を精査していったら日本にとってマイナスなこともあるのかもわかりません。だけれども、真実は何だったのかということをきちっと、そのときそのときの個人的な利害関係だけでとらえるのではなくて、日本全体、日本だけじゃなしに、当然中国も関係してくるわけですよ。
中国だってそんないいかげんな国じゃないと私は思います。かつての日中共同声明、あのときの状況、あの流れ、そういうものをすべて把握して見ていったときに、そのとき国家の代表として周恩来首相とそれから田中総理が握手をされました。非常にかたい、テレビを通じても肌身に迫ってくる、いろいろな思いのこもった握手であったと私は思っております。
元来中国の方々とも私は長いおつき合いをさせていただきました。これまで、今のトウカセンさんにしても王毅さんにしても私はよく存じ上げております。父の時代から大変長いつき合いをさせていただきました。そして、私自身も、現実に、昭和26年生まれでありながら中国で生まれてきたという経緯があるわけであります。そういうことを含めて考えてみると、自分の立場というものも大切にしていきたい。
しかし、この状況というものは、この資料は、全抑協の斉藤六郎さんという方がいろいろな状況の中にあっても、全国抑留者協会の5万人と言われる会員から5000円という会費を集めて、そういうお金をもとにしてソビエトと何度も行ったり来たりしながら、100回以上往復したということを聞いております。そういう中でもってこの資料をこつこつと集めてこられた。
それは、言ってみれば、シベリアに抑留されていた方々、私は何人かわかりませんけれども、そんな方々がいろいろな思いを込めて、無念の思いを込めて亡くなっていった方もおられるわけであります。
そんな人たちが一言もしゃべれない今の状況の中にあって、前回も申し上げましたけれども、今生きている我々がそれを調査し、そして、その中から読み解いていくことができる我々が、何をやらなきゃならないのかということを考えたら、決して個人の立場だけでもって考えるのでなく、広く、今生きている人間だけの立場でなく、かつて日本をつくり上げてきた、いいことも悪いことも含めて、そういうふうにして今日、日本があるのは、やはり、かつての我々の先輩たちがよきにつけあしきにつけ一生懸命生きてきたその結果だと思うんですね。その事実をどう我々が読み解いて把握していくか、そしてまたそれを次の世代に伝えていくか、そのことが一番大切なことだと私は思っております。
ですから、この資料は、私自身、なかなか水間さんもすべて見せてくれません。だけれども、少なくとも、かいま見る中においては大変な資料が含まれていることは間違いありません。そして、戦後の日本の歴史を書きかえるような資料も中に含まれていると思います。
そういうことをきちっと精査して、決して私利私欲にとらわれることなく、本当に、国益ももちろん考える、国益だけじゃなしに、世界のあの戦争でもって死んでいった方々がどんな思いでいるのか。決して死んでいったことがよかったと思っているわけじゃないと思います。当然、後悔の念もあったでしょう。いろいろな思いがあったんでしょう。そういうことを実現するのは何なのかということは、やはり平和に貢献していくことだというふうに思うわけであります。どうぞ、その辺の気持ちを、魂をそこに入れて活動していっていただきたいと思います。
外務省の方々、なかなか関係の方が出てきてくれません。僕は、いろいろな意味で高松さんにも申し上げたいことがあります。
内閣府の高松さんが中国でもって、2006年の4月7日に中国メディアにこの遺棄化学兵器のブリーフィングをやっております。そんな中でもって、こういうふうに答えているのがあるんですよ。「これも私の個人的な推測でありますが、化学兵器を保有することは国際法違反であるという意識が強かったため、直ちに地面に埋設したり水中に投棄したケースも少なくなかったと考えられます、これらについては、日本国内で旧日本軍人に対し聞き取り調査を行い部分的には確認している」、こんなふうな答弁をしているんですよね、向こうの中国のマスコミ、メディアに対して。全然逆のことをやっているんですよ。
今私が時間をかけて申し上げてきた、かつての亡くなった人たちのその気持ち、その思いを考えたら、こんないいかげんなそのときだけの答弁、こんなことできるわけないんですよ。私は、これを見たときには印刷間違いかと思いましたよ。
そんなことを、日本がすぐその場でもってなかなか情報が入ってこないからといって、一番それがわかっている外務省がきちっとそういうことをわきまえてやらなきゃいけないんじゃないですか。
前の阿南さんの答弁をずっと聞いていても、平成10年の4月何日かの外務委員会の資料ですよ。あれを読んでいても、どう考えたって、日本の国益に立っているというか、日本人の立場に立った答弁じゃないですよ。
そういうのは、そのときそのときはごまかせたとしても、全体を見ていったときには出てくるんですよ。私はそういうものしか見ていないんですよ。細かいことは一々調べてくるのも大変ですけれども、だけれども、その全体像というのはその中ににじみ出てくるんですよ。そういうことを見ているということを忘れないでいただきたいと思います。
[015]
委員長 佐藤剛男
戸井田委員に申し上げます。
質疑持ち時間を終了しておりますので、議事の進行を御理解お願いします。
[016]
自由民主党 戸井田とおる
はい、わかりました。
つい力が入ってしまいましたけれども、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
平成18年10月27日 衆議院 内閣委員会
[022]
自由民主党 戸井田とおる
ことしの5月、本委員会で私も取り上げました遺棄化学兵器処理の問題について質問します。
国会閉会中に、月刊誌の「正論」と週刊新潮、そして産経新聞などで検証が行われ、さまざまな問題点が表に出てきております。
遺棄化学兵器条約では、兵器を遺棄する場合、当事国の同意が必要となっていることはわかっているんですけれども、旧日本軍が中国で化学兵器を遺棄したと仮定した場合、我が国がポツダム宣言を受諾して武装解除に応じた対象国の軍隊は旧ソ連軍と国民党政府軍と認識しているのですけれども、間違いありませんか。
[023]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
昭和20年8月に連合軍最高司令官一般命令第1号というのが出ておりますけれども、その中で、まさしく今先生から御質問のあった、旧日本軍が兵器、装備を引き渡すべき相手としまして、満州を除く当時のシナ、台湾及び北緯16度以北の仏領インドシナにおける日本軍は蒋介石総帥、それから、当時の満州、北緯38度以北の朝鮮、樺太及び千島列島にある旧日本軍はソビエト極東軍最高司令官に渡すということが指定をされております。
[024]
自由民主党 戸井田とおる
そうだとしたら、現在日中間で問題になっている遺棄化学兵器処理の入り口の問題が否定されることになると思うんですね。どういうことかというと、今の中華人民共和国は1949年に成立したんですね。終戦当時は中華人民共和国はなかったわけです。だとしたら、今中華人民共和国が言う、同意をしていないと回答していることは、当然のことであり、当たり前のことだと思うんですね。だから、そのことを根拠に我が国に遺棄化学処理の責任があると答弁していたこと、これはおかしいんじゃないかというふうに思うわけです。
ポツダム宣言を受諾後、昭和20年8月21日に国民党軍と武装解除の会談の席で交付された忘備録に従って、シナ派遣軍所管の陸海空軍及び附駐部隊の弾薬など一切を引き渡すことに同意した文書の存在も明らかにされています。シナ派遣軍には台湾軍も含まれて武装解除が実行されていた。
そこで問題なのは、「正論」にも出ていましたけれども、遺棄処理の対象になっている赤筒100発、これは資料1を見て上から10行目ぐらいの右側に、赤筒100、小赤筒2500発などと記載されたこのリストが出てきたんです。これは平成16年に政府に報告されていたとのことですが、外務省は御存じですか。
[025]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
今まさしく先生から御指摘のあった「正論」に掲載されている資料、外務省も当時、平成16年になろうかと思いますが、承知しております。
[026]
自由民主党 戸井田とおる
そうしたら、本年2月に本委員会で、多分民主党の泉健太議員の質問だったのかもわかりませんけれども、正式に中国やソ連に化学兵器が引き渡されたという文書が発見されれば、基本的な枠組みが変わってくるというふうに答弁していましたけれども、それはどんなあれでしょうか。
[027]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
今先生から御指摘のありました資料は、台湾の関係する資料でございます。これは、当時の日中双方の責任者の署名、印章がございますけれども、一つには、台湾における兵器の引き渡し、その中に赤筒とかが含まれているのも事実でございます。それが条約上の適用範囲に当たるのかどうかという問題はあろうかと思います。
普通に考えればというのは変ですけれども、台湾のことは、この条約の適用の範囲に入らないのではないかなというふうにも考えられます。
[028]
自由民主党 戸井田とおる
台湾軍の総括リストが、前に言いましたシベリア史料館の中に存在するそうであります。それを含めて、トータルに全部を見ていったら、どういう形で武装解除が行われたというのがある程度わかってくると思うんですね。ぜひそれをきちっと捜してほしいと思います。
余りどなってばかりもおれませんから、冷静に言いますけれども、あの史料館にあるのは、総目録、リストは見ました、かなりのものがあると思うんですね。前回、今の総理が官房長官のときに、これは調査しますということをはっきり言いました。当時の山谷政務官が、私も行って、やりますということを言いました。行ってきちっとやったのかどうなのか。向こうから逆に情報を聞くと、向こうの人は、水間さんあたりは真剣になって真剣な目つきで捜していたけれども、役所の人は何か本気で捜しているのかどうかわからないというような言い方をしていましたよ。人は感じるんですよ、そういうものを。
だから一生懸命やっていないとは私は言いません、だけれども、非常に奇異な経過をたどって残った資料でありますから、本当にそれを解決していきたい、日本の国益を考えたいということを思ったら、もう飛んでいって、だれか専任で調べたっていいと思っているんです。ぜひそれをやっていただきたいと思います。
当時、ハーグ条約で、化学兵器というのは、開発も製造も保有も認められていた。先制攻撃以外は全部オーケーだったんですね。だから、別に隠す必要もない兵器だった。兵器としても、普通の爆弾と同じような形をしているわけでしょう。そうしたら、その中に全部まとまって、通常兵器と同じように武装解除して手渡しているわけですよ。だから、そんなもの残っているわけがない。日本には当時そういう資料がなかったんですよ、現実に、引き渡しのときの資料はソビエトにあったわけですから。
そうしたら、そんなことを考えてみれば、中国は、本当に日本にそういう資料があるのかどうか、じっと見ていたんだと思うんですよ。逆に言えば、本来、そういうふうにして処理しろと言うんだったら、この遺棄したものは全部間違いなしに旧日本軍のものですという挙証責任は、逆に向こうにあるんじゃないですか。私はそういうふうに思いますよ。
いろいろ言っていてもあれですけれども、次に行きます。
遺棄化学処理の対象になっている化学兵器の中に化学兵器禁止条約で規定されたもの以外の化学兵器まで実は入っているんですね、日中覚書の中で。それは、外務省は、赤剤とか緑剤、白剤、ピクリン酸、これが化学兵器禁止条約で規定されていない薬剤であることは認めますか。
[029]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 西正典
お答え申し上げます。
赤剤、緑剤は、その化学的性質などにかんがみて、化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当するというふうに考えられます。
また、白剤は発煙に使われる化学剤の一種でございます。化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当する青剤と混合して、青白弾として製造されておりました。この青白弾は化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当すると思いますが、白剤のみのものというのはいまだ発見されておりません。
また、ピクリン酸自体、これも火薬でございますので、それ自体は該当いたしませんが、これが他の化学兵器と一緒に使用されて、爆薬として使われております。しかるがゆえに、それ全体が化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当する、このように考えさせていただいております。
[030]
自由民主党 戸井田とおる
非常に親切なんですね。だけれども、これは笑い話みたいな話ですけれども、先日、産経新聞に出ていました。今月20日の、中国広東省シンセン市で、17日、路上での乱闘を鎮圧するために出動した警察隊が催涙ガスを使用したといってニュースに出ているんですよね。緑剤というのは催涙ガスでしょう。今でも向こうでもって、中国で実際に使っているようなものを、仮に前の計算でいったら1発3000万ということで処理されているんだとしたら、こんないいかげんなやり方はないんじゃないの、ねえ、と言ったってしようがない。
私は、今、この処理がどれくらいかかるのかわからないけれども、19年度の概算要求でも297億か何かという数字を見ましたよ。それで、現実にトータルで1兆円を超えるという話もあります。場合によったら、200万発と言っていたものが期限ぎりぎりのところでもって出てきて、日本が処理できないんだったら我々が処理するからと、1発3000万で200万発、60兆円出してくれと言われたらどうするんですか。
今の日本の状況を考えたら、財政赤字の中でもってみんながきゅうきゅう言いながらやっているわけですよ。徹底した歳出削減を言いながら、みんな、国民もつめに火をともすような生活をしながら税金を納めているわけじゃないですか。その税金を、そんな解釈でもって中国に持っていく。
それは、日中の友好というのは大事ですよ。私だって、中国で生まれて、中国にはそれなりの思いはありますよ。今までいろいろな人脈もあった、人間関係もあった。そういうものを全部捨てるつもりでこの質問をしたんですよ。だけれども、まともな中国の人だったら、そんないいかげんな相手よりも、きちっと悪いことは悪い、正しいことは正しいで主張する人間をまともな相手として選ぶんじゃないですか。そういうことを外務省は真剣に考えてほしいですよ。
自分たちが、外務省が名誉をなくすことはいいですよ、勝手ですよ、そんなのは、自分たちのやったことだから。だけれども、そのあれでもって、日本の名誉がなくなるようなことになったらどうするんですか。こんなことをやっていて何か日本の国益になるものがあるんですか。過去にそういうことを判断したのも日本の政治家でしょう。政治に携わる人間が、自分たちと同類の人間に対して言うことかもわかりませんけれども、ここらでもう少しそういうものをやはり見直す必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
だから、一番の原因になりましたああいう日中覚書、それをもう一度見直す気持ちはありますか。
[031]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 梅田邦夫
お答えいたします。
まさしく条約といいますか、処理の基本にかかわるものでございますけれども、本当にそれを見直すべき証拠が我々の方にあるのか否か。
先ほど戸井田先生も言われましたけれども、いろいろな文書が散発的に出てきているのも事実でございますし、それから、鶴岡の史料館にある資料、今もう我々調査に入らせております。
まだすべてはできておりませんけれども、そういう資料をやはり一つ一つ丁寧に見させていただいて、それを積み上げた上でできるのかできないのかという判断をさせていただくしかないと思っております。
[032]
自由民主党 戸井田とおる
鶴岡の史料館の人が言っているわけですから。本当に、さっき言った水間政憲さんというのは、やはり全部知っているんですよ。それを持っている人がどこに何を隠しているかということも、長い間に行ったりして話をしながら、心を許してくれない、そんな中でもって人間関係をつくっていって、わずかの瞬間をねらってと言ったらあれだけれども、そこでもって資料をコピーさせてもらって、帰ってきているんですよ。そういう中で出ている資料ですから。
それと、こっちが全部、当時のもの全部あるかといったら、戦争で負けたんですよ、ないことをわかって言っているのと一緒じゃないですか。だったら、申しわけありませんと頭を下げてやるんじゃなくて、じゃ、中国だって、それが旧日本軍が武装解除で渡していないということをちゃんと立証してみろということを言ったらいいじゃないですか。両方ともそういうあれがないわけでしょう。だったら、そこまで日本が譲る必要はないんじゃないですか。
非常に納得できませんけれども……(発言する者あり)
平成19年02月21日 衆議院 内閣委員会
[008]
自由民主党 戸井田とおる
もう一つ、手元に配付しております資料6の中には、水間政憲氏が朝日新聞と毎日新聞に公式見解を問い合わせたものがあります。
朝日、毎日も、南京での虐殺は特定していませんと明確に回答しているわけであります。