武装難民(マフィア・逃亡兵・便衣兵)

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昭和52年03月10日 衆議院 内閣委員会
[216]
民社党 受田新吉
軍事問題についてはいろいろ世間で不安と疑惑の中に韓国問題がさらされているわけですが、ここで変わった角度から、今後韓国に何か事態が起こった、朝鮮半島に軍事衝突が起こったというようなときに、一番近い日本の国でございますから、当然そこの難民が日本へどんどん――一番近い、すぐ対岸ですからどんどん流れてくる。その中には武装した軍人も流れてくる可能性が――これはすでにベトナムで現実に起こっている。ベトナムで、あの悲惨な戦争の終末で日本へ流れてきた避難民もまだそのまま日本におるのじゃないですか。これらを含めまして、これらの難民が日本へ逃亡してくるという事態は当然予想される問題である。その予想される問題に対して日本はどう対処しようとしているのか、外務省の見解を聞きたいのです。

特に難民が日本へ流れてきたときの扱い、日本へ流れてきた武装した軍人、戦時における中立国の軍人に対する扱いというような問題を中心にして御答弁を願いたい。

[217]
政府委員(外務省アジア局長) 中江要介
まず、御質問の中にありますベトナムの難民がまだ日本にいるのではないかという点につきまして若干御説明申し上げますと、ベトナムの難民といいますのは、いま朝鮮半島で先生が想定されますような戦乱が起きて、その戦乱の結果いわゆる戦時の難民として逃げて出てきたという形の難民ではございませんで、御承知のように統一後のベトナムにおいて、特にその南の部分に住んでおる人たちが、日本に向けてというよりも、船に乗ってどこかに逃げていきたいという難民が、ある場合には日本船により、ある場合には第三国船により人道的な見地から救助されて、それがそれぞれ難民の希望する先、それがヨーロッパであったりアメリカであったりするわけでございますけれども、そういうところに定着していくまでの過程において、日本に一時収容されて最終定着地への渡航を待っている、そういう状況でのベトナムの難民と――これを難民と呼びますればそういう人たちは、まだ日本に若干残って最終受け入れ国との折衝を続けている、こういうことでございまして、この難民の取り扱いはもっぱら人道上の見地、つまり公海上を漂っている人たちを人道上の見地から救出した、こういう観点でございます。

第2点の、朝鮮半島で何か紛争なり動乱が起きたときに難民が、あるいはそれが軍人であったり一般市民であったり、そういう人たちが日本に避難というか日本に流れついたときにどうするかという問題の国際法上の観点につきましては、これはあるいは条約局長からでも御説明があるかと思いますけれども、政策的にこれを日本としてどう見るかということは、1つにはその紛争の性格によると思いますし、もう1つはそういうことを超えた人道上の措置というものが当然考えられるだろう、こういうふうに考えます。

[218]
民社党 受田新吉
朝鮮半島に悲しい事件が――われわれは予想したくないけれども、朝鮮半島の軍事問題を論議する限りにおいては、当然軍事衝突が起こった場合におけるこうした事件はつきものであります。しかも一衣帯水の日本近海でありまして、どこへ行くよりも、北といわず南といわず、韓国といわず朝鮮民主主義共和国といわず、南北両方から日本へやってくる可能性は十分ある。そういうことは予想しておかなければならない。

それはもう国際法上の約束。つまり戦時における中立国の地位というものも参考にしながら、特に南北朝鮮の問題については、その問題もあわせてわれわれは人道的見地と国際法上の立場で考えていかなければいかぬと思うのです。

武装した軍人は武装解除してどうするか、あるいは波打ち際で一般の市民といえ軍人といえ分かちなく追い返すのか、そういうことは韓国の軍事衝突のことも予想した場合に当然起こる問題として考えておかないといかぬわけで、これは国際法上の問題としてやる場合と、人道的問題に触れてやる場合と、それから南北分かちなく、いま国交が回復している南といえども、また国交の樹立されてない北といえども同じような条件でやるというのか、お答えを願いたいです。

[219]
政府委員(外務省条約局長) 中島敏次郎
ただいまの先生の御質問の事態が具体的にどのような形で起こりますかという点につきまして私明確な考え方が直ちにできないのでございますけれども、御承知のように朝鮮におきますところの事態は国連の朝鮮における行動という形になっております。もちろん米韓の援助条約があることも事実でございますが、一般的に言って朝鮮においてまた新たな軍事紛争が発生するということがあるとすれば、基本的にはそれは国連が朝鮮において負っておりますところの平和の維持という問題、具体的には休戦協定の違反というような事態として起こり得るのではなかろうかという推定がつくのではないかと考えます。

そこで、休戦協定の違反から生ずるべき事態についてはわが国自身としてどう考えるかということも当然先生のおっしゃられるように問題になり得ると思いますが、まず国連としてその事態をどう受けとめるか、そこから派生するところの具体的な、いま先生がおっしゃられたような軍事要員が朝鮮半島からわが国なりその他近隣の所に逃れてくるという事態に対して国連としてどう対処するかという問題は、恐らくその場合に国連の枠内で討議せられることがあるだろうと思われます。

わが国自身の態度として見れば、先ほどアジア局長からお話がありましたように人道的配慮ということも考えなければなりませんし、またわが国の入国管理政策一般の問題としてもどうあるべきかという点が考慮されなければならない。一応の概論でございますが、当面そのようなことを考えます。





平成06年11月09日 衆議院 法務委員会
[132]
新生党 山田正彦
もし有事における難民の発生といった場合においては、恐らく海上保安庁も警察も処理能力なし。それで、入国管理局も一生懸命頑張ったとしても不可能だ。そのような中で、自衛隊の出動しかないと思うのです。きょう防衛庁に来ていただいておりますが、防衛庁の方にお聞きしたいと思っております。

いざ有事の対応について、特に難民問題に対しての具体的な方法ですね。例えば20万人の難民がいるとしますと、管理として一施設大体500人ぐらいが限度だと思うのです。そうしますと、400の施設が必要になると仮定いたします。そのときに、まず1施設には最低10人、3交代で30人の警官が必要になりますし、それが400カ所という施設が必要になるとしますと、1万2000人が必要だ、単純計算でこんなふうになってまいります。

その場所あるいは方法でありますが、それについて恐らく陸上自衛隊あるいはキャンプ地、そういったところで早急にその対応についてのシミュレーション、例えば移送の問題があります、移動の問題があります。そういった管理の問題を含めて、これは当然我が国にとっては、1つの我が国の国の守りとしても検討してもらわなければならない問題じゃないか、そう考えておりますが、それについて、できればひとつ具体的なお話をお聞かせ願いたい。

それともう1つ、実は55年体制、冷戦構造が終わりまして、いわゆるソ連からの軍事的脅威はなくなった、そう思われますが、今依然として北東アジアが不安定である。北東アジアの不安定要因の中、陸上自衛隊を北海道から辺境の、いわゆる武装難民のおそれもあるような対馬とか壱岐、あの辺の島の人たちというのは今大変不安に思っている。それで、陸上自衛隊の駐屯地をふやし、部隊をふやし、ひとつ島の人たちが不安な状況にならないような配慮、これを早急に陸上自衛隊としても防衛庁としても検討いただきたい。

この2つを質問したいと思います。

[133]
説明員(防衛庁防衛局防衛政策課長) 守屋武昌
朝鮮半島をめぐる情勢につきましては、防衛庁としまして、我が国の平和と安全を守るという観点から、大変な関心を有しているところでございます。

先生御質問の難民の問題につきましては、一義的には入管、警察機関により行われるものと承知しております。

具体的に防衛庁としてどんな対応が必要か、防衛庁としての対応が必要であるかどうかということにつきましては、事態の予想、難民がどのような規模で、どういう態様で発生するのかということがまずございます。それに対しまして、我が国、ただいま申し上げました関係省庁を含めまして、政府全体としてどのような方針で対応するかという問題がございまして、具体的に今ここで防衛庁の対応について一概に申し上げるということは大変困難でございます。防衛庁は、危機管理官庁でございますから、そういう我が国有事の際の必要な措置については、当然日ごろから検討しているということはございますのですが、先ほど大臣からもございましたように、この問題は大変センシティブなものでございますので、その具体的な内容を明らかにするということは差し控えさせていただきます。

それから2点目の、陸上自衛隊の配置の問題でございますが、これは、米ソ二極対立構造崩壊後の我が国の安全保障の考え方、あるいは防衛力をどうするかということにつきましては防衛庁におきましてただいま検討いたしておりまして、平成6年度じゅうにその考え方を政府部内で得たいということで鋭意作業中でありますので、御了解いただきたいと思います。





平成07年10月03日 参議院 本会議
[009]
自由民主党 岡部三郎
次に、防衛問題についてお尋ねします。

冷戦構造の崩壊により、世界的規模での戦争勃発の可能性は確かに遠のいておりますが、我が国の周辺では依然として軍縮の流れに逆らう現象が見られます。

朝鮮半島の緊張は続き、中国による軍事力の充実強化は周辺諸国の脅威となっています。特に中国と台湾との関係、南沙諸島をめぐる情勢は大きな懸念材料です。東南アジア諸国も急速な経済成長を背景に国防力の増強に努めております。こうした時期に、果たして我が国の防衛力整備はただ縮小の方向を目指すばかりでよいのでしょうか。総理の御所見を承ります。

本年は、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件など、自衛隊は本来業務以外で大いに注目を浴び、評価されました。こうした経験を踏まえ、今後は例えば武装難民、ハイジャック、テロ活動なども含めた多様な危機に対応する法制や組織、装備の見直しを検討すべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。





平成08年02月29日 衆議院 予算委員会第一分科会
[184]
新党さきがけ 前原誠司
例えば、近隣の諸国で紛争が起きた。ひょっとすれば、武装難民がこちらにやってくるかもしれない。

それは、紛争自体は他国で起きているけれども、被害がこちらに及んでくる可能性がある、またそれが察知されるという場合において、これは我が国に対する攻撃の予兆といいますか前兆というか、そういう兆しというか、そういうものとして理解がされたときに、なぜそれは集団的自衛権ということですべてをシャットアウトしてしまって、自衛のための当然の行使という解釈ができないのかということをお聞きしているわけです。もう一度お願いします。

[185]
政府委員(内閣法制局第一部長) 秋山收
憲法9条が禁止しておりますのは、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」でございまして、こういうものを発動するのは、やはり我が国に対する明白な武力による侵害があったときであり、かつそれ以外にこれを排除する手段がないとき、かつ我が国の武力の発動の態様は必要最小限のものに限定するべきである、従来から我が国の自衛権発動の3要件ということで申していることでございますけれども、それに限定される。あくまでも9条の武力の行使につきましては、そういうふうに考えられるべきものと考えております。

[186]
新党さきがけ 前原誠司
そうしたら、別の聞き方をいたしますけれども、我が国に対する明白な攻撃という明白なというのは、例えば宣戦布告がなければ明白でないのか。宣戦布告なしに、例えば敵機が来たあるいは武装難民が来た、しかしそれは明白な侵略ととられないというふうに、宣戦布告がない場合はそうなるのかどうか、どうですか。

[187]
政府委員(内閣法制局第一部長) 秋山收
これは実態の認識と判断にかかわる問題であろうと思いますけれども、必ずしも宣戦の布告というものがその要件ではございませんで、実態として我が国に対して急迫不正の武力による侵略行為があった場合は、自衛力発動の要件に該当することになろうと思います。

[188]
新党さきがけ 前原誠司
では、先ほど個別にお伺いした4点。

例えば海上封鎖。紛争自体は我が国の近隣で起きているけれども武装難民がやってきそうだ、それで海上封鎖を例えば米軍とともにやる。そして、スパイが我が国に侵入しないために臨検を行う。

また、例えば機雷を敷設されてしまって我が国の商船や海上保安庁の船が航行に支障を来す、そういうふうな場合の掃海。

この3つの点で、それは集団的自衛権の行使になるのか、それとも個別的自衛権の延長として考えるのか、どちらですか。

[189]
政府委員(内閣法制局第一部長) 秋山收
今御指摘のような問題につきましては、どのような状況のもとでそのような行動が行われるか、あるいは米軍のどのような行動に対してその共同行為を行うかといったような、個々具体的な行為の態様につきまして十分な検討が必要と思われますので、確定的なことを申し上げるのは困難な面がございます。

しかしながら、一般論として申し上げますと、まず、我が国が行うそのような行動自体が憲法の禁ずる武力の行使または武力による威嚇に当たるものであるかどうか、それから、共同行為を行います米軍の行動が武力の行使などに当たるものかどうか、それから、米軍の行動が武力の行使などに当たるような場合には、これと共同して行われる我が国の行動がこれと一体となるような行動に当たるものであるかどうかというようなことを、憲法等の関係から個々の事例に応じて十分に検討していくべきものと考えます。

[190]
新党さきがけ 前原誠司
ということは、一般論として個々の事象において判断をされるべきだということをおっしゃったということは、場合によっては海上封鎖もできるし、臨検もできるし、掃海もできるという御答弁でよろしいのですね。

[191]
政府委員(内閣法制局第一部長) 秋山收
繰り返しの御答弁になりますけれども、そのような行為につきまして、個々のケースに応じて、先ほど申し上げましたような判断基準に照らして憲法上の判断がなされるべきものと考えます。

[192]
新党さきがけ 前原誠司
もっと簡潔で結構でございます。

要は、個々の判断基準に照らし合わせるということは、全く全面的に、そういう行為自身がすべての事象においてだめですということをおっしゃっているのではないのですねということを伺っているわけで、そうですとか、いいえとかということを言っていただいたら結構です。

[193]
政府委員(内閣法制局第一部長) 秋山收
個々の事例に照らして具体的に判断されるべきものであると考えます。





平成08年05月14日 衆議院 地方行政委員会
[008]
自由民主党 栗原裕康
私がなぜそんなことを聞いたかといいますと、例えば、これはここの委員会でこういう発言をしていいかどうかわかりませんけれども、朝鮮半島の情勢なんかを大変私ども、一般国民も含めて非常に心配をしているわけですね。一説によると、ことしの夏にはもう食糧が完全に底をつくんだということも言われておりますし、この北朝鮮という国が相当ひどい状態であることは多分間違いないだろう、こう思うわけでございます。

そんな中で、いろいろ起こってはならない、あるいは起こってしまっては大変困るというような事態も想定できるわけでございまして、例えば北朝鮮が南に攻め込んでいくとか、いろいろな最悪のシナリオというのがあると思うんです。その中で、やはり1つのその最悪のシナリオの中に、北朝鮮の人たちが一部難民化して、小船でも夏とか春とか秋の、秋はちょっと波が荒れるでしょうけれども、なぎのときには日本海側にさっと難民が船に乗って、それこそ漁船に乗って押し寄せることができるんですね。しかも、その中には軍隊で鉄砲、銃器を持った人たちがあるいは紛れ込んでいるかもしれない。そういったことが起きたときに、じゃどこまで自衛隊の持ち分でどこまでが警察の持ち分かというようなことも、これはやはり相当大きな問題になってくると思うんですね。

ですから、私がこれからの各種の事件ということを申し上げた中には、海外からの脅威といいますか、武装化した難民が日本海の方に押し寄せてくるというようなこともやはりある意味では想定をしておかないと、来てから、いや実は組織が悪かったとか防衛庁との連絡がうまくいかなかったとかいうことじゃ遅いわけでございますので、大変具体的な質問でやはりお答えしにくいのかもしれませんけれども、今言いましたように、もし仮にある国から武装した難民等が日本海に押し寄せてきた場合には、これは警察はどういうふうに対処するのかということについてもある程度想定なさっていらっしゃるかどうか。想定なさっているならば、どういう対処をしようとしていらっしゃるのか、仮定の話で恐縮でございますが、御質問を申し上げます。

[009]
政府委員(警察庁警備局長) 杉田和博
警察といたしましては、従来から、半島有事の場合に起こり得る事態、ただいま委員御指摘の点も含めまして、そういう場合を想定をいたしまして、その場合にどのように効果的に対応するかという点についてこれまでも勉強をしてまいりました。

ただ、今の段階で具体的にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、そうした大きな事態の場合には、警察のみでは対応は不可能であります。したがいまして、今後とも、関係機関とも連携をとりつつ具体的に検討を進めてまいりたい、かように考えております。





平成09年02月24日 衆議院 予算委員会
[039]
新進党 石垣一夫
いわゆる朝鮮半島の危機認識の問題でございますけれども、官房長官も早急にこれは考えにゃならない、こうおっしゃるのですけれども、万一、我々はあり得べからざることとして考えたいのですけれども、こういう政治情勢ですから、どういうことがあるかわかりません。すなわちこれは有事であります。

そのときに、例えば朝鮮半島に緊張が高まった場合、考えられるケースとしては、いわゆる難民船の監視、保護、あるいはまた武装難民工作員の侵入問題、海上自衛隊の出動問題、あるいはまた海上保安庁と自衛隊の役割分担、海上自衛隊と米軍の共同行動への役割や活動内容の明確化、あるいは海上自衛隊と米軍の共同行動のその根拠や手続、こういう問題がいろいろ想定されるのですけれども、私は、有事に際して、常に、備えあれば憂いなし、これは古来のことわざであります。果たして今、日本政府にこれができておるのか、非常に危惧を抱くわけでありますけれども、さらにもう一度官房長官の御答弁をお願いしたいと思います。

[040]
内閣官房長官 梶山静六
みだりに有事を想定していろいろなことを具体的に申し上げるべき立場にはございません。政府としての役割ないしは公的な立場、これは理解をいたしているつもりでありますが、委員おっしゃるとおり、いろいろなものは想定してやっておかなければなりません。そういうものに対して準備を進めていると私は期待をいたしておりますし、これを対外的に申し上げる立場にないことをお許しを願いたいと思います。





平成09年03月14日 参議院 予算委員会
[090]
新進党 高野博師
半島有事の際には難民が出るというのは共通の認識になっておりますが、一般難民に加えて武装難民あるいは工作員の潜入等も予想されるというようなことも言われております。

アメリカの報道によれば、中国は北朝鮮との国境に約10万人ぐらい収容できる難民の収容施設を建設中というようなことが言われておりますが、この事実は御存じでしょうか。

[091]
政府委員(外務省アジア局長) 加藤良三
そのような施設の建設は確認されておりません。





平成09年05月20日 衆議院 安全保障委員会
[008]
自由民主党 阪上善秀
次に、想定の3でございますが、海上保安庁の巡視船が公海で大量の難民を発見した場合、公海から日本領海に入ってくる間際、そして、それから上陸するまで、海上保安庁、防衛庁、警察等はどのような連係プレーをされようとしておるのか、お伺いをいたします。

[009]
政府委員(防衛庁防衛局長) 秋山昌廣
大量の難民が我が領海内あるいは領土に向けて押し寄せてくる場合に、まず、海上の治安の維持という観点から、海上保安庁がこれに対応することになるわけでございますけれども、防衛庁といたしましては、その持てる装備あるいは知識、経験からいたしまして、警戒監視による情報収集というものが大きな役割になろうかと思います。そして、しばしば事例にもございますように、遭難者が出るといったようなこともございますので、遭難した避難民の捜索救難といったような業務がそこに出てくると思っております。

上陸した場合の法務省あるいは警察の対応ぶり、そういった問題もございますし、また上陸した後、この避難民をどういうふうに日本の領土内に一時的に置くかといったような問題、これは法務省ですとか、あるいは実際問題として自治体のいろいろな協力を得ながら、かつ防衛庁といたしましても、官庁間協力によりまして、いろいろな形でなし得る協力をしてまいりたいと考えているところでございます。

[010]
説明員(海上保安庁警備救難部警備第二課長) 小原正則
海上保安庁といたしましては、一般論としまして、政府全体の方針のもとで、関係省庁と連携、協議しつつ、難民の数等の具体の状況に応じまして、巡視船艇、航空機の警戒監視を強化するなどして対応していくことといたしております。

[011]
説明員(警察庁警備局警備課長) 近石康宏
御指摘の点につきましては、関係機関との間において、予想される事態について必要な検討を行っているところであります。

いずれにいたしましても、警察といたしましては、治安維持の観点から、大量に警察官を動員するなど必要な措置をとってまいる所存であります。

[012]
自由民主党 阪上善秀
その難民が武装しておりまして、攻撃を加えながら公海から領海に侵入した場合、そして上陸するまでの対応をお聞かせ願います。

[013]
政府委員(防衛庁防衛局長) 秋山昌廣
一種のテロに対する対応という問題になろうかと思います。例えば武装難民といったような問題であろうかと思いますけれども、一般的に申し上げますと、まず第一義的には、これは警察機能、海上であれば海上保安庁、陸上であれば警察がその任務に当たるというふうに承知するわけでございますが、自衛隊といたしましては、テロ事件に際しまして、こういった警察機関からの依頼を受け、必要な支援を実施することになるわけでございますし、あるいはテロによる被災者が発生した場合には、災害派遣を行う、あるいは救援活動を実施するということになるわけでございます。

さらに申し上げますと、間接侵略その他の緊急事態に際しまして、一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合におきましては、内閣総理大臣は自衛隊の治安出動を命ずることができることになっております。

さらに、これが外国の軍隊による攻撃であったといったような場合を一般的に想定いたしますと、当該外国の軍隊による攻撃が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に該当し、我が国を防衛するために必要があると認める場合におきましては、内閣総理大臣は自衛隊の防衛出動を命ずることができる、こういうふうに自衛隊法上等でなっているわけでございます。

いずれにいたしましても、自衛隊は、保有すろ装備や訓練等を通じて得た技能、知識を生かしまして、法令の定めに従い、関係機関と連携しつつ各種の事態になし得る限りの対応をしてまいる所存でございます。





平成09年06月10日 衆議院 安全保障委員会
[112]
新進党 福島豊
次に、検討項目の中の人道的活動についてちょっとお聞きをしたいと思います。

「避難民が日本の領域に流入してくる場合については、主として日本が責任をもってこれに対応」というふうに書いてあるわけでございまして、日本の責任だというふうに書かれております。

これを読みまして、責任だと言われても、日本にはそれに対応する能力がないのではないかというふうに率直に思うわけでございますが、現状も、避難民が大量に流入してきた場合にどのようなことができるのか、現在の態勢が不備であるとすればこれをどうするのか、これも法的な整備が必要なのではないかというふうに思いますけれども、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。

[113]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 朝海和夫
大量の避難民が生じた場合の対策に関しましては、昨年来でございますけれども、内閣安全保障室を中心にいたしまして、政府部内におきまして鋭意検討を進めているところでございます。

その検討の中身については、現在、具体的に申し上げる状況にございませんけれども、避難民の受け入れ態勢の問題であるとか、その他もろもろの実務面の問題につきまして、種々検討作業を行っているところでございます。

[114]
新進党 福島豊
検討だけではなくて、具体的にどうされるのか、ある程度のスケジュールを示していただかなければならないのではないかというふうに思うわけです。

また、こういう指摘もマスコミではありました、例えば武装難民が紛れ込んでいた場合にどう対応するのかと。これはどう対応されますか。

[115]
政府委員(外務省総合外交政策局国際社会協力部長) 朝海和夫
御指摘のような点も含めまして、現在、内閣安全保障室が中心になりまして、検討を進めているところでございます。





平成11年02月17日 衆議院 予算委員会
[055]
外務大臣 高村正彦
これは日米安保条約との関連で議論されていることでありますから、全く軍事的に関係ないというようなことはないんだと思いますが、例えば、大量に避難民が発生している場合、それが全く軍事的な観点も含めた日本の平和と安全に影響がないような場合は別として、ある場合も私はあり得るんだろうと思うんですね。

だから、ただ大量に避難民が発生している場合は全部周辺事態だと言っているわけではないわけで、大量の避難民が発生して、まさにその大量避難民の中に武装避難民みたいな場合があり得るし、あるいは避難民が出ることをどこかの国が阻止しようとして、逆にそれを助けようとする国との間でどうするとか、いろいろな場合が想定されて、私は余り具体的な事実は申し上げたくないわけでありますが、ですから、あくまで大量の避難民が発生することによって日本の平和と安全に重大な影響を与える場合、こういうことを言っているんで、大量の避難民が発生しても日本の平和と安全に重要な影響を与えない場合だってあるわけであります。





平成11年03月18日 衆議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
[081]
民主党(民進党) 横路孝弘
今御説明の最後のところ、ある国の政治体制が混乱して大量の難民が発生しているときということですけれども、大量の難民が発生しているときは、難民救助を国連などの協力を得てやればいい話ですよね。一体それはどこに武力的な要素がありますか。大体これが周辺事態になるというのはちょっとよくわからないんです。どうしてそれは周辺事態につながるんでしょうか。

[082]
政府委員(防衛庁防衛局長) 佐藤謙
軍事的な観点を初めとする種々の観点から見て、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるということでございます。

今先生お尋ねの、大量の難民が発生し、それによって我が国に対する流入であるとか、あるいは場合によりましたら武装難民とかいろいろなケースが考えられると思います。そういう状況でございますれば、それはまさに、我が国に対する武力攻撃の発生ということではございませんけれども、通常の警察力をもっては対応できないような、我が国国民の生命あるいは社会の平和、安定を脅かす事態ということで、当然のことながら対応が求められると思います。

[083]
民主党(民進党) 横路孝弘
ある国の政治体制が混乱しておって武装難民がやってくるというのはどういうことですか。それがどうして日本の平和と安全ということに――大体そういう可能性自身が私は非常に乏しいと思うんですね。

一つ、そういう事態で米軍はどういう行動になるんですか。内政不干渉という原則がありますよ。一国の中で混乱をして難民が出たというケースはベトナムでありましたですよ。しかし、それはベトナム難民を救助すればいい話であって、何もそこで米軍が軍事行動を起こし、それに日本が協力するという必然性はどこにありますか、今のケース。

[084]
防衛庁長官 野呂田芳成
一般的に考えまして、大量の難民が発生した場合で、我が国にその難民が大変大量に押し寄せてくるような事態になれば、それは日本の平和と安全に重大な影響を与えるもの、こういうふうに判定しなければならないと思います。

[085]
民主党(民進党) 横路孝弘
ですからそれは、従来の政府答弁は、やはり軍事的な観点、それはある意味でいうと、日本有事との関連で軍事的な観点が必要だとおっしゃっていたわけでしょう。難民が出てきたって、それは難民救助すればいいわけですよ。しかも、その難民が出てくる国は混乱しているわけでしょう。混乱しているときにそんなことが起きますか。これはどうして周辺事態になるんでしょうか。

[086]
外務大臣 高村正彦
あくまで可能性の問題でありますが、大量難民が出たらすぐ周辺事態だと言っているわけではもちろんないわけであります。

そういう場合に、中に武装難民が紛れ込んだり、そしてそういう人たちが日本国内でいろいろなことを起こそうとするというようなことが想定される場合は絶対ないとはいえない。

あるいは、難民が大量に出ると、それを阻止しようとする国とそれを助けてやろうとする国との間でいさかいがある、そういうようないろいろな発展の状況が仮に日本の平和と安全に重要な影響を及ぼすような場合には周辺事態だ、こう言っているわけで、私たちは一々これを、具体的にどうどうということをすべて予測することはできないわけでありますが、いろいろな場合が想定できて、そういう中で、その時点で日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態ができればそれは周辺事態だ、こういうふうに申し上げているわけです。

[087]
民主党(民進党) 横路孝弘
これは、まさか難民発生をとめるためにその国の政治混乱に介入するということではないんでしょうね。

[088]
外務大臣 高村正彦
あくまで国連憲章に従って行動する米軍ということを言っているわけですから、国連憲章に反するようなことを米軍がやることもありませんし、まして日本がそういうことをすることはありません。

[089]
民主党(民進党) 横路孝弘
武装難民と言いますけれども、難民なら別に何も問題がないわけですし、武装して難民を装ったというならば、そして日本に直接侵攻するというならば、それはそれで対応すればいいわけですよね。しかし、政治混乱があってというのが今前提になって話ししているわけですよ。その国の政治的な体制が混乱しているときに、国家の意思として、そんな他国へ侵略するためにというような行動になりますか。どうもいろいろなケース想定の中で出てきた話なんだと思いますけれども、これはどうもよくわからない。

つまりは、今はやらないとおっしゃったけれども、これは、ある国の中の政治的な混乱があった、内乱だ、クーデターと、何かあったというときに、それにまさか介入するということを可能とするためにこういうケースを挙げているわけじゃないわけですね。

もう一度、総理、そこを確認しておきます。国際法の原則では内政不干渉です。難民が出ようと何しようと、その中での国の内部の問題は内政として干渉しないという原則があるわけでございます。それをちょっと総理に確認をしていただきたいと思います。

[090]
外務大臣 高村正彦
国連憲章、一般国際法に反するようなことは一切いたしません。

[091]
民主党(民進党) 横路孝弘
私は、今その説明を受けたケースは、それは周辺事態と説明するのは無理だと思いますよ。それは、軍事的要素というのは必要だという従来からの答弁ですから、武装難民なんという話にしていますけれども、政治的に混乱していることと、武装難民を派遣して我が国を侵略するなんという行為とどのように関連してくるんでしょうか。





平成11年04月15日 衆議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
[149]
民主党(民進党) 横路孝弘
今までのその御答弁は、大量の難民が出た場合に、警察力では対応できない事態だから周辺事態なんだという答弁がございましたが、この場合、いわゆる軍事的観点というのはどうなのかと御質問すると、いや、武装難民もいるというお話でした。

武装難民というのは難民とは言わないわけで、これは武装兵ですからそういう対応をすればいいわけでございまして、やはり軍事的観点からいいますと、この挙げられている第3番目のケース、混乱によって大量の避難民が発生しているということが即、こういう事態が周辺事態と言うのは、軍事的観点を含むという観点からいってもおかしいのじゃないかというように思います。これは外すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。





平成11年04月26日 衆議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
[073]
自由党 達増拓也
周辺事態の定義をめぐる今までの審議の中で、私が一度、大量難民の発生については、日本に対する直接の武力攻撃に当たるケースではなく、そういう意味でこれは純粋平時と言っていいかもしれないということを言ったんですけれども、その後、審議が経過する中で、大量難民の発生というのは、いわば自衛隊法においては、治安出動やあるいは治安出動の前の待機命令をしなければならないような、そういう事態につながり得る。したがって、防衛出動にそのまま発展し得るような事態ではないけれども、そういう治安出動につながりかねないということで、大量難民の発生、特に我が国に大量流入するようなケースというのは、やはり準有事というような言葉で表現してもいいような事態ではないかと考えております。

大量難民が発生するような周辺事態、これは、その推移によっては我が国の治安に重大な影響を与えて、その後治安出動あるいは治安出動が予測される場合として待機命令を下さなければならない、そういうところに発展し得る、そういう可能性もあるというふうに考えますでしょうか。

[074]
政府委員(防衛庁防衛局長) 佐藤謙
御指摘の大量の避難民が発生した場合でございますけれども、そのときのまた状況により判断せざるを得ないわけでございますが、こういう状況でございますれば、国際的な緊張も高まるということもございましょうし、あるいは武装難民ということも考えられると思います。

そういう意味で、我が国に対する武力攻撃の発生までには至らないものの、通常の警察力をもってしては対応できないような国民の生命あるいは社会の平和及び安定を脅かし得る事態を発生させる可能性もあるなどの観点から、我が国の平和と安全に重要な影響を与えているというふうに判断される状況もあり得る、こういうふうに考えております。





平成13年10月11日 衆議院 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会
[061]
公明党 河合正智
総理の御説明にもかかわらず、この点につきましては、この国会の特別委員会の審議の中で、さらに国民の理解を得るための議論が必要であると考えます。

むしろ日本は、PKOにつきましては非常に高い評価を受けている実績を持っている国でございます。難民支援等の人道支援にこそ日本はその本来的な力を発揮して国際貢献してまいるべきだと私は考えております。

そこで、緒方貞子前国連難民高等弁務官はこのようにおっしゃっております。

日本の方々は余りにも現実を知らない、難民支援に対して、難民の実態に対しまして。それは恐らく平和の国に長くいたからだろう、政治家の方にもっと現場に見に行ってほしいと言ったこともあるくらいですという前置きをつけて、自衛隊の武器使用に関しまして、それを緩和するというこの現在審議しております新法に対しまして、「空輸だけなら武器を持たなくともいいが、陸上輸送して難民がいっぱいいる地域に行くなら、それは武器を持っていた方がいい。難民も聖人ばかりじゃないですから。」と、これは武装難民のことをおっしゃっているんだと思います。「生きた人間が集団で動くときには、隊長に判断の権限を与えるのが大切なんじゃないですか」とおっしゃって、軍事行動でテロの根源を排除して、自衛隊の派遣を含めた積極的な役割を果たすことに同調する見解を表明されているところでございますけれども、この武器使用基準につきましてお伺いさせていただきます。





平成14年03月28日 衆議院 安全保障委員会
[244]
日本共産党 赤嶺政賢
テロだとか不審船だとか武装工作員というのは、これは司法と警察の課題でありまして、そういう問題を持ち出さなければ、今の日本の国の緊急事態について説明できないということをみずから吐露しておられるようなことで、有事法制の根拠の希薄さというようなのは、今の答弁にもあらわれているんじゃないかと思います。

そこで、今回の有事法制が対象とする事態について具体的にちょっと聞いていきますが、政府は、周辺事態法の審議のときに6類型を示しました。そのときに、「ある国における政治体制の混乱等によりその国において大量の避難民が発生し、我が国への流入の可能性が高まっている場合」という類型を示しておられましたが、こうした難民の中に武装難民武装ゲリラ、特殊部隊が紛れ込んで武力攻撃を加えてくるということになれば、これも有事法制の対象になるのですか。

[245]
防衛庁長官 中谷元
これがどのような事態になるのか、今の時点で想像はできませんけれども、それが武力攻撃になる場合には対象になるわけでございます。





平成15年02月05日 参議院 本会議
[010]
自由党 平野貞夫
あらゆる事態に対して真剣に対応を考えておかなければなりません。総理、朝鮮半島で混乱が起これば、それだけで日本列島内部に波及する問題は深刻です。既に日本に潜行している工作員がいかなる行動を取るか、武装難民が押し寄せてくればどう対応するのか、これらについて状況をどうとらえ、いかなる方針で臨むかを明らかにしていただきたい。

[011]
内閣総理大臣 小泉純一郎
朝鮮半島の混乱が我が国に及ぼす影響への対応についてでございますが、政府としては、我が国の安全に重大な影響を与える様々な緊急事態に的確に対応、対処することが必要であり、不断の注意を怠らないとともに、態勢の整備に一層努めてまいります。





平成18年10月27日 衆議院 外務委員会
[022]
自由民主党 小野寺五典
さらにお伺いしたいと思うんですが、今想定をされていない、どのぐらいの人数になるかということを、今のところではそんなに多くの人数にならないのではないかというお話でしたが、政府内で、実際、この経済制裁を行うということに並行して難民の問題というのを中で議論をしている、そういうことはないんでしょうか。

[023]
政府参考人(内閣官房内閣審議官) 山浦耕志
政府としては、我が国の周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態を中心として、我が国に対する危機が発生した場合、あるいはそのおそれがある場合について、我が国としてとるべき必要な対応策について、平素から検討、研究を行っております。

その中で、御指摘の大量避難民対策についても、関係省庁が共同作業グループを設置し、政府全体としての対処の手順等について整理を行った経緯もございます。しかしながら、当該検討内容は、緊急事態対応策について今後検討が必要な事項を整理した検討途上にあるものであり、その内容についてはお答えを差し控えさせていただいております。

[024]
自由民主党 小野寺五典
再度確認しますが、そうしますと、政府内では、今回のこの経済制裁に対応して、もし大量の脱北者あるいは難民が発生した場合にどのような対応をするかという、言ってみれば備え、シミュレーションみたいなものは行っているというふうに理解していいんでしょうか。

[025]
政府参考人(内閣官房内閣審議官) 山浦耕志
もちろん検討は行っております。

ごく一般論で申し上げれば、現行法令の枠組みの中で、関係省庁が連携をして、避難民の身柄保護、上陸手続、スクリーニングと呼ばれるふるい分け等、必要な措置をとることになるものと考えております。

いずれにせよ、政府としては、我が国の安全に重大な影響を与えるさまざまな緊急事態に的確に対処することが必要であり、平素から不断の研究、検討を怠らず備えております。

[026]
自由民主党 小野寺五典
94年のいわゆる北朝鮮の核の懸念がされた時点で、以前これは新聞報道に一部出ておりましたが、政府が「大量避難民対策について」ということで、当時の石原内閣官房副長官が、内閣法制局、防衛庁、外務省、警察庁、法務省等、担当してまとめたという経緯がありますが、このような文書というのはあるんでしょうか。

[027]
政府参考人(内閣官房内閣審議官) 山浦耕志
先ほどから申し上げておりますけれども、御指摘のような大量避難民対策について、関係省庁が共同作業グループを設置しまして、政府全体として対処の手順等について整理を行った経緯はございます。

[028]
自由民主党 小野寺五典
ぜひそのようなしっかりとした対応をしていただきたいんですが、この94年の資料を見ますと、これは明確になっているかどうかわかりませんが、報道によりますと、一時的な上陸を認めて収容所に入れた上で入管当局が厳密なスクリーニングを実施、避難民は半島情勢が安定すれば速やかに帰国させる、韓国や北朝鮮に帰還していた在日朝鮮人や日本人妻らは日本在留を考慮すると書いてある。こういう検討をされています。

そこでお伺いしたいんですが、仮にこういう難民あるいは脱北者が発生した場合、当然この中に日本への希望する方も出てくると思います。もし日本人妻がこういうことを希望した場合、日本政府としてはどのような受け入れ方をするんでしょうか。

[029]
外務大臣 麻生太郎
いわゆる北朝鮮にいる日本人妻及びその子供の保護に関し、政府としては、これまでも日本の国籍を有している人の脱北者につきましては邦人保護の見地からしかるべき安全を図ってきているんですが、いずれにせよ、これがどれくらいのオーダー、数で出てくるのかというのは、ちょっと正直、いわゆる想像の域を超えない。北の方に、中国の方に大量に脱北していくと中国側は思い、韓国側の方も南の方にごそっと来ると皆思っております。

私どもの方は、船で漂着するということを想像されるんですが、自然に流れていくことになると、田中眞紀子先生あたりの新潟にごそっと、流れ着くとしては一番流れ着くことになる。というのは、今までの流木やらごみの流れから見て大体そういうことになりますので、そういうことになるだろうと思っております。

いずれにいたしましても、これは人道的な見地がありますので、スクリーニングの話については、対日工作員等々は考えないかぬところですから、そういったものも、いわゆる厳密にというふうに申し上げているのはそういうところでありまして、これは人道的な見地からも対応を急がれるところでもありまして、着のみ着のままで漂着する可能性というのは極めて高いと思った上で、どう対応するか、いろいろ検討させていただいてはおります。

[030]
自由民主党 小野寺五典
ちょっときょう政府参考人の方にお伺いしたいんですが、この日本人妻の方の国籍、もし日本人であるという場合には、そのまま日本人の国籍を有しておる場合には、例えば日本の在外公館に仮に逃げ込んだ場合には、そのまま日本に帰還することが可能なんでしょうか。

[031]
政府参考人(外務省アジア大洋州局長) 佐々江賢一郎
日本国籍を有しているわけでございますから、政府として、日本人として保護し、これを帰還するように最大限努力するというのが日本の考え方でございます。

[032]
自由民主党 小野寺五典
そうしますと、この日本人妻のお子さんとかお孫さんとか、その辺はどう考えたらいいでしょうか。

[033]
政府参考人(外務省アジア大洋州局長) 佐々江賢一郎
これはケース・バイ・ケースによって考える必要があると思いますけれども、そういう親子関係がはっきりとしているような場合には、同様の保護の対象になり得るというふうに考えております。

[034]
自由民主党 小野寺五典
日本人妻の方がどのぐらいの人数いて、リレーションズというか、お子さんとかお孫さんとかはどのぐらいいらっしゃると考えていらっしゃいますか。

[035]
政府参考人(外務省アジア大洋州局長) 佐々江賢一郎
突然の御質問で今ちょっと資料を手元に持っていないんでございますが、60年代、相当の数の日本人の方が北朝鮮に日本人妻として渡られていて、相当の数の人がまだ北朝鮮に残っておられると思います。今ここにちょっと数字を持っておりませんけれども、1000のオーダーではないかというふうに記憶をしております。

[036]
自由民主党 小野寺五典
きのう外務省の方に尋ねたんですが、9万人というふうにお話を伺いました。

それで、これは、実は同じく当時の読売新聞に一部報道されていたんですが、帰還事業で、実は法務省がもう既にこの94年の段階で、もしこういうことがあったらどのぐらい帰ってくるかということを想定していたというふうに内部の資料があるそうです。

その資料によりますと、朝鮮半島の情勢のまとめというメモらしいんですが、これで、2世、3世を加えると、この場合、帰ってくる人数というのは、日本に来るのは少なく見積もっても10万人と推定されるということ、これがいわゆる避難民ということで日本に来る可能性が高いとこの94年の時点でも推定をしています。現在、このことについて政府はどうお考えでしょうか。

[037]
外務大臣 麻生太郎
今、小野寺先生と佐々江局長との間の答弁の差の内容というのは、昭和34年にスタートした帰還事業によりまして北朝鮮に帰還をいたしました在日朝鮮人、御存じかと思いますが、戦争が終わるまでは全部日本のパスポートを皆持っていたわけですから、その中で、向こうに戻りたい人、こっちに残りたい人、いろいろ希望をとって、その上で38度線で北と南に分けたという経緯がありますので、そういった意味では在日朝鮮人は9万3340名ということになっております。

したがって、今の約9万人という数はその数字なんですが、その中には、朝鮮半島出身者である夫とかまた父に随伴して帰国、帰国というか北朝鮮に渡航したというべきか、妻とか子供というのは約6000人というのが、内地出身者が6000人いた、いわゆる一緒にくっついていった人たちが約6000人いたと言われております。この中で、いわゆる日本人妻と推定される者が、今佐々江の言いました1800人ぐらいと言われております。

[038]
自由民主党 小野寺五典
いずれにしましても、もしそうなった場合、当然、仮に日本に来なくても、この大量の脱北者あるいは避難民が中国あるいはロシアに、韓国にもたくさんいたとしても、そのことに対して日本政府がいろいろな支援をしなければいけない。それは、今回は、日本は北朝鮮の経済制裁を行う当事者になります。当事者の責任ということが当然行われると思います。

お手元にお配りした資料の1枚目があります。この横長の「難民認定手続・大量発生時の違い」ということをちょっとつけさせていただきました。

これで、実は、通常の入国の場合は、上の方の手続をとります。ですから、いろいろな手順がありまして、かなり時間がかかるということになります。これは日本では余り想定していない例ですが、下の、例えばこれは西アフリカ、大臣が昔2年間いらっしゃいましたシエラレオネの事例ですが、そこで大量発生した場合には、入国、登録、ですから、まず先ほどありました簡易のスクリーニングをしまして、そこで、戦闘員、非戦闘員、いわゆる武装難民の問題もありますので、その区分けをまず明確に、言ってみれば大ざっぱにして、それからシェルターという形で一時庇護をして、相手の国が安定して、そこで初めて、国に戻すか、あるいはまだまだ安定していないねということで難民手続を行うか、こういういろいろな手続をとる。この下のことを想定する必要があると思います。

こういう事態、なければ一番いいんですが、万が一経済制裁をすると片方でこぶしを上げた場合には、片方でその受け皿となるところも内部で想定していく必要があるのかなと。特に、もし10万人規模ということになりましたら、相当の対応策を今のうちから考えていく、こういうことも必要ではないかと思いますが、ぜひこのことの対応についてのお考えをお聞かせいただければと思います。

[039]
外務大臣 麻生太郎
これは全くおっしゃるとおりで、平時と有事というか、非常時との差を考えないかぬのは当然のことであって、この真ん中の簡易スクリーニングのところが今一番難しいところになります。しかも、この中に武器を持っていないという保証がありませんから、そういった意味では、いろいろなことを当然のこととして考えねばならぬ。その扱いがまた、本当の難民と、いわゆる、正確には便衣隊というんですけれども、兵隊さんが私服を着て紛れ込むのを便衣というんですが、その便衣隊等々の者が紛れ込んでいる可能性というのはこれは排除できませんので、そういったものを含めて、これは、日本の中において新たなテロを画策する人が拡散するということを断固避けるというのは当然のことですから、そういった意味では、ここらのところはよくよく調査が必要ということになろうと存じます。

[040]
自由民主党 小野寺五典
全くおっしゃるとおりで、事実、94年に内閣安全保障室がまとめた、内部の、あるかどうかわからないと言われていますが、大量避難民対策についてのマル秘メモという中では、万が一の場合、自衛隊がこのいわゆる警護あるいはスクリーニングに協力する必要があるということもうたっております。今後やはり、あらゆる体制、あらゆる省庁を超えて検討していくことも必要かなと思っています。





平成19年02月28日 衆議院 予算委員会第一分科会
[306]
自由民主党 遠藤宣彦
このテロの問題というのは、ともすれば、そんなことはなかなか起きないよとか、めったにあることじゃないとかという議論が出てきてしまうんですけれども、事治安に関しては想定外という文字があってはならない。1%でも0.1%でもそういった可能性が全くないようにするために、関係各機関と省庁あるいは所管の壁を超えてやっていただきたいというふうに思います。そしてまた、市民の安全を守る一番近い位置にいらっしゃる警察が機動的に情報を拾って、すぐにそこが動けるように関係各機関と一層深い連携をとっていただけるように心からお願いを申し上げたいと思います。

そして、私自身は、通信を所管する役所にいたから関心があるわけではありませんけれども、先日の共同訓練を見たときに県警本部長と自衛隊のトップにお伺いをしたんですけれども、例えば、お互いの無線通信をやりとりするときに、いわゆるテロリストがそういった通信を傍受する可能性があるかもしれない、こんなことを言った覚えがあります。

具体的には、恐らく通信兵も一緒に武装難民として上がってきたときに、どこどこで検問をしているとか、あるいはどこどこに警察と自衛隊が張っているからそこを迂回していくとか、そういったことすら考えなければならない。その際に、それぞれ警察と自衛隊がやりとりをする際に、その通信の秘密といいますか、傍受をされないような具体的な手段は講じられているのかどうか。

そしてまた、今後、国民の財産であります電波というものが、私自身は、今携帯電話の会社がいっぱいふえていますけれども、第一義的には国民の安全を守るためにこそ優先的に活用されるべきであるというふうに考えております。この通信傍受についての対策等、現在考えていらっしゃること、あるいは今までに講じられていることがございましたら、お知らせいただければなというふうに思います。

[307]
政府参考人(警察庁警備局長) 米村敏朗
お答えいたします。

共同対処における通信の関係でありますけれども、まず、自衛隊との間では、通信機材あるいは施設等の相互利用、そういったものを内容といたしました治安出動の際における自衛隊と警察の通信に関するマニュアル、こういうものを締結して連携を図っているということであります。また、海上保安庁との間では無線機の管理がえを行うというような措置をとっておるということであります。

なお、傍受の点につきましては、警察におきましては、ほかから傍受されないよう、そのものが暗号化されております。そういう通信を行っているということであります。

なお、共同対処に当たっては、事態認識を共通にするとか連携を緊密にするという意味で、やはり通信の問題は極めて重要なテーマでありますので、今後とも、連携強化を図る上で最新の技術動向等も踏まえながら努力をしてまいりたいというふうに考えております。

以上です。





平成19年06月04日 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会
[129]
自由民主党 岡田直樹
先ほど申しましたチームでいろいろ議論をしていたときに、しかし、現実に脱北者がどんどん日本へ来た場合どうするかと。昔のインドシナ難民の例も念頭にありましたし、現実にどこまで日本の国として対応することができるんだろうかと、そういう議論もあったわけであります。しかし一面では、余り、日本に入ってきたからといって日本に定住を望む北朝鮮の人というのは比較的少ないのではないか、あるいはそれを日本に定住させるということは非常に困難なのではないかと。むしろ、韓国に渡るその中継点といいますか、そういう形で日本が脱北者の保護なり支援をすることの方が現実的ではないかと、そういう議論が当時からあったことを覚えております。

今回、脱北者が、まだその意思もはっきりいたしませんけれども、韓国に渡りたいということであれば今回道を付けて、そしてこれからも日本と韓国の間にそういうチャンネルというものを一つ開いておくということが重要ではないかと私は思っております。これは法務省とかいろんな関係の省庁にもかかわることでありますけれども、今回、韓国の外務大臣とも協議をされた麻生大臣のこの問題についてのお考えを、今後についてお考えをお伺いしたいと思います。

[130]
外務大臣 麻生太郎
岡田先生、ナホトカ号事件というのを、石川県も影響を受けられましたので、ナホトカ号事件を思い出していただけると分かると思いますが、少なくとも、エンジンなしであの地域から船になりますと、いわゆる日本海流に乗って漂着するところは日本海沿岸の石川県以北というのが、この間の油の流れ方とほぼ同じというのになりますので、今回は青森県に漂着ということになっております。したがいまして、もし何かあった場合に、これ大量の難民が発生する可能性ゼロではありません。

先ほど白先生からお話があっておりました点と同じでありまして、今回はこれは武装難民じゃありませんけれども、武装難民ということもこれは十分に考えておかねばならぬということも、いろいろなことを考えておかねばならぬと。また、日本に亡命する人が、その人がスパイでないという保証はありませんから、そういった意味ではいろんなものも調査せねばならぬということで、これは難民というのは簡単にかわいそうだというようなレベルの話とは全く違うというのはもう基本だと存じます。

その上で、今きちんと対応した上で、これは人道的な見地に立って対応するというときになりましたときに、韓国に亡命をしたい、韓国側もそれを受け入れる用意があるというのであれば、それなりの対応というのは、これは人道上の見地からとかまた人権上とかいろんな表現あろうと思いますが、そういった意味から、この種の話の解決に日本政府としていろいろな対応の仕方があろうかと存じます。

[131]
自由民主党 岡田直樹
大臣おっしゃるとおり、今回も、韓国へ行こうと思ったけれども、警備が厳しいと考えていったん日本へ入ってきたということでありまして、これは本当に腹をすかせて、食料やあるいは自由を求めてきた脱北者であると思います。

しかし、中には、工作員が韓国へ潜入したいけれども、そこは非常に警備が警戒が厳しいから日本を経由して入り込もうと、こういうことも十分考えられるわけでありまして、この辺りの見極めが非常に難しいとは思いますけれども、大臣、今御答弁になりましたように、人道的なあるいは人権上の見地からこうしたチャンネルというものを韓国との間に持っておく、そのことは非常に重要なことであると思いますし、大切な御答弁をいただいたと思っております。





平成19年06月08日 衆議院 外務委員会
[071]
民主党(民進党) 渡辺周
先週の土曜日、青森県の深浦町というところに、北朝鮮からの脱北者が、約860キロの距離を、日本海を、大変粗末な船で日本にたどり着いた。5月の27日に北朝鮮の清津港を出て、約1週間、非常に我々の想像を絶するような環境の中で逃げてきた事件に、初めて脱北者が日本を目指してやってきたということに衝撃を受けたわけでございます。

けさの産経新聞に小さく、昨日浅野外務副大臣が、韓国移送は時期尚早じゃないか、その理由としては、法務省による一時庇護の上陸許可、覚せい剤取締法違反容疑で書類送検された次男の刑事処分が決着するまで、韓国側に受け入れを正式要請するのは時期尚早だというような記者会見をされたと出ておりますけれども、麻生大臣、この事件につきまして、現在、韓国との協議はどうなっているのか、それから、国内でどのようにこの人たちを保護、処遇していくのか、その点につきまして、ちょっと現状を教えていただけますか。

[072]
外務大臣 麻生太郎
この種の話というのは、そうざらにある話ではありません。直接難民、いわゆる脱北のところから日本とか、その場合は総じて日本人妻だったとか、そういった例はあるんですが、丸々そうじゃないという方が直接船で漂着というような形になろうかと思いますが、こういったのは余り例のある話ではありません。

したがって、これらの人たちが果たして本当の難民か、武装難民でなかったことは確かであろうとは存じますが、偽装難民でないという保証は、きちんとした調査というものをした上でないとなかなか難しいところだと思いますので、そこらのところはきちんとする。覚せい剤の不法所持という話も出ておるそうでありますので、そういった点はきちんと調べた上でないといかぬ。

2つ目、日本に漂着しておりますけれども、本人たちは韓国に行きたい。韓国に行かなかった理由は、韓国に対する国境線が非常に厳しいからだというように伺っておりますので、私どもとしては、この種の話というのはきちんとよく調査をいたしました上で、かつ、人道上の見地というのをよく考えなきゃいかぬところですので、こういったところを調べた上で、きちんと確証がとれた上で、改めて韓国と交渉するということになろうと存じます。

したがって、今早急に茨城にあります何とかキャンプに移送いたしておりますけれども、その移送したところで、今入管並びに当局が調べをしているところだと思いますので、その間接情報しか知っておりませんのでこれ以上申し上げられませんけれども、きちんと調査した上でないと、うかつに言うことは無責任なことになりかねぬと思っておりますので、今後とも、この種の話はこれからも多くなる可能性がゼロとはしませんので、そういったところも含めて、今回のは1つのケースとして、私どもとしてはきちんと今後のことも含めて検討しておく必要があろうと存じます。

[073]
民主党(民進党) 渡辺周
では、韓国との協議はいまだ具体的なことはしていないということで理解してよろしいでしょうか。

[074]
外務大臣 麻生太郎
韓国政府に対しましては、過日、6月3日、済州島で韓国の外務大臣との間でさせていただきましたときに、今の状況説明というのは向こうからも希望しておりましたので、私どもとしては行っておりますが、今我々の知っているのは事務レベルで、法務省等と、入管等々とやった話を説明しておりますので、新しい情報に関しまして、向こうに説明できる範囲において随時説明をさせていただいております。

[075]
民主党(民進党) 渡辺周
この問題は、今お話がありましたように、本当の困窮難民なのか。第一声が、2日に1遍しかパンを食べることができない、しかも、無能な指導者、無能と言ったかどうか、指導者の失政によって非常に民主主義も自由もないんだ、あの国にいるのは嫌だということで、初めて直接日本を目指してきた人たちが北朝鮮の現状について訴えてきた例でございまして、まさに、脱北するということは、瀋陽の日本領事館の事件あるいは中国の鴨緑江を越えて中国朝鮮族の自治区へ行って、そこで息を潜めて、東南アジアに脱北するようなルートが今非常に多い、タイやその他ラオスの方にも何100人という単位でいるということは知っていますけれども、まさに海を渡ってきたというのは、これは初めてのケースであります。

今後、今大臣がおっしゃったみたいに、命をかけて中朝国境、非常に警戒の、警備の厳しくなった中国領域に入る、そして、そこで中国当局に捕まれば強制送還、強制送還されれば、これは国家から逃げたということで、国家反逆罪の罪で本当に重罰を受けるわけであります。中には、当然、収容所に送られてリンチに遭って死ぬようなことも脱北者の手記なんかからも出ているわけであります。

正直言って、今回のこの粗末な船、こんな程度の船でよく渡ってきたものだということが随分書いてありますけれども、逆に言うと、この程度の船で日本に渡ることができる。そうすれば、危険な中国ルート、陸路ルートを行くよりは、一か八か、霧の濃い日にあの船に乗って出れば、7、8日間頑張れば、ひょっとしたら日本に着けるんだ。聞いた話、日本に行くと非常にみんな親切で、大変な待遇で扱ってくれる。北朝鮮では、御存じのとおり、日本という国は鬼や悪魔が住んでいる国で、アメリカ、日本、韓国というのはもう反共和国の、まさに敵の、もう本当に反日的教育の、まさに恐ろしい国家にされているわけですけれども、行ったらどうもそうじゃない。脱北者の世界の中ではもう伝わるでしょうから、今後もこういうルートが開拓されて来る可能性がある。

こういう点については、外務省、今回のことを契機に、どのような対応を今後はしていかれるつもりでしょうか。

[076]
外務大臣 麻生太郎
1970年代、80年代、インドシナのボートピープルというのは結構いろいろ日本でも話題になりました。あの場合は、主に九州が多かったと記憶します。

ナホトカ号というのを御記憶かと思いますが、10年ぐらい前にナホトカ号から石油が流れ出した、韓国沖で流れたんですが、あれがちょうど海流に乗っかって、漂着したのが石川県、福井県ということになりました。今回はもう少し北のところになりますので、漂着するところは青森県ということになったんだと思います。

少なくともこういった形のボートピープルというものが今後はあり得るということをある程度予想しておくというのは、これは対応の仕方として考えておかなければならぬ大事なところだと思っております。

したがって、今回は武装難民ではありませんでしたから、逮捕とか捕獲とかいろいろな表現があるんでしょうけれども、収容して、そこそこの形で今平和裏のうちに茨城県まで移送しておりますけれども、それが今言われたように、何らかの形で武装していたときにはどういう対応になるかというようなこと等々を含めまして考えておかねばならぬのが、多分警察として、また国防という点から1点。

もう1点は、収容した人たちを今度どういった形で日本の中で収容しておくかというのは、これはインドシナ難民というのは、多分茨城の収容所というのは1000人ぐらいだったと記憶しますけれども、いまだにインドシナ難民の方々も、ちょっと正確な数字は知りませんけれども、何100人かまだいらっしゃると記憶をします。

したがいまして、今回、この北朝鮮からの人たちの部分がインドシナ難民みたいなことにならないという保証はありませんから、そういったところも考えてこの問題はどうやっていくかというのは入管等と一緒に検討せねばならぬ点だ、私はそう思っております。

[077]
民主党(民進党) 渡辺周
今度は、海上保安庁に伺います。

1つは、なぜこの船が我が国領海内に入ってくるのか。深浦漁港の手前の何とかという近くの漁港に着いたときに釣り人が見つけた、ここは新潟かというようなことを片言の日本語で聞いた。要は、接岸するところまで入ってきて、衝撃的なことは、海上保安庁が全くキャッチできなかったということでございます。これが、今大臣がおっしゃったみたいに、恐らくこれは武装難民ではないだろう、ただ、しかし、微量とはいえ覚せい剤を所持していた、あるいは殺鼠剤のようなものを持って、見つかったら死ぬつもりだったんだといいますけれども、これがもし別のものであったら、これは当然密輸も可能であったでありましょうし、当然何らかの犯罪性を持っていたということも決してなかったとは言い切れないわけでありますし、たまたま今回は非常にいい方のケースだったわけです。

海上保安庁、今回のことについて、こういうことがなぜ起きてしまったのかということが1つ。

それから、今後、今この脱北ルートが、例えば日本海ルートが開拓されたことによって、ある程度のお金を用意して船外機を取りつければ、ぽんこつ船でも日本に渡れる、もしかしたら、危ない陸路を行くよりは、例えば韓国へ逃げたら、韓国に定着金というのがある、200万円ぐらい、それを後払いでいいから出してくれたら手引きしてやる、脱出の用意をしてやる、例えばとにかく公海上まで連れていってやる、そういう脱北手引きブローカーが出てこないとも限らないわけでありまして、当然こういうルートでこれから脱北者が出るかもしれない。そうしたら、北朝鮮側のそれらの船が、何らかの機銃なんかを備えた船がいて、海の上で脱北者を監視する、そうしたときに、例えば逃げて、公海上あるいは日本の領海上まで追いかけてきた、あるいはその辺で取り締まりをしたということになった場合、我が国はどういう対応をするんでしょうか。

そういうことまで考えておかないと、今回のケースは、今後のことを考えればさまざまな可能性が考えられるわけでありますけれども、これはちょっと安全保障的な観点、本来なら、防衛省に聞くのが筋なんでしょうけれども、きょうは声をかけていませんので、海上保安庁として、今回、なぜ見逃してしまったのか、我が国へ入ることをさせてしまったのかということが一つ。

そして、今後、北朝鮮当局が海上、洋上で取り締まりをした場合に、公海や我が国の領内、領域まで追跡をした、あるいはそこで拿捕しようとした場合に、我が国はどういう対応ができるのか、その点について教えていただけますか。

[078]
政府参考人(海上保安庁警備救難監) 冨賀見栄一
お答えします。

先生の質問は、2点あったというふうに考えています。小型船を発見できなかった原因、それと北朝鮮船籍の船が官憲に追いかけられた場合にどう対処するのか、この2点だというふうに理解しました。

まず第1点目ですけれども、海上保安庁では、日本海においても、不法入国事案等の不審事案発見のために、日常的に巡視船、航空機で哨戒を行っているのが現状でございます。御存じのとおり、我が国周辺は広大な海域でございまして、今回のようなレーダーに映りにくい小型の木造船を発見することは非常に困難であるというふうには考えておりますけれども、いずれにしましても、洋上で発見できなかったということは真摯に受けとめております。

まだ具体的に検証は実施していないんですけれども、この小型船につきましては、航海計器の記録もないし、その航行に関する時間的な経過とか経路が不明である状況の中で、先ほど申しましたとおり、哨戒している巡視船艇、航空機が事前に洋上で発見できなかった原因については、詳細な検証を行うことは非常に難しい点が多いというふうに考えておりますけれども、その一部でも判明するよう検証してまいりたい、このように考えております。それが第1点目です。

2点目の話については、一般論でしかちょっと申し上げられないんですけれども、北朝鮮の官憲から、明らかに北朝鮮とわかる船が追いかけられている、公海上でありますと、やはり旗国主義ということで、北朝鮮の国内法で対処していますから、多分我々は手を出すことはできないだろうというふうに考えています。

それと、領海に入ってきた場合、追いかけている北朝鮮の官憲は、我々の裁判管轄権なり領域に関することですから、当然、領海侵犯になりますから、北朝鮮の官憲はシャットアウトするということになると思います。それと、逃げ込んだ、明らかに北朝鮮の船ならば、これは外国船ですから、立入検査をするなり所要の捜査、国内法、国際法に基づいた所要の措置をとるということになるかと思います。

以上でございます。





平成22年10月12日 衆議院 予算委員会
[247]
自由民主党 石破茂
私は、北朝鮮の議論をするときに気をつけなければならないのは、中国がなぜこの事態をずっと黙認してきたか、あるいは先般の儀式においては、なぜ中朝友好があれだけ演出をされたのかということを考えなければならないと思っています。

いいですか。北朝鮮が崩壊して、あるいはあそこで軍事衝突が起こって、一番迷惑するのは中国でしょう。武装難民が来るかもしれない。何が起こるかわからない。統一朝鮮がアメリカの影響下に入るかもしれない。だから、そういうことが起こらないように経済援助をし、支えてきた。その間に、着々とミサイルの高性能化を行い、核の小型化を行って、それが実現されたときに局面は大きく変わるのだと私は思っています。

だとするならば、日米間の同盟の深化、これを具体的にやらねばならぬでしょう。総理に対して、この間提言が出ましたね。サマリーぐらいお読みだと思いますよ。それは、一般法を定めるべきだ、基盤的防衛力構想は改めるべきだ、そして武器輸出、このことも考えるべきだ、集団的自衛権の議論をきちんとやれ、このように書いてある。総理はもうお読みになったかもしれません。このことを着実に実行していかねばならないのが日米同盟の深化です。

もう1つは、中国が持っているその懸念。武装難民が来たらどうする、あるいはそこに戦火が交えられることになったらどうなるかというときに、日米同盟はどう機能するか、米韓同盟はどう機能するか、そのことをきちんと議論した上で、中国とも正面から議論をする。私は、公開の場でやってくれなんて言いませんよ。そういうことをやっていかなければ、この権力継承期の極めて危険な朝鮮半島情勢、これに対処することはできないのではないかと思っています。

軍事にも詳しい前原大臣、ぜひそうしていただきたい。そのことが、我が国がこの北東アジアに責任を持つことと、そして中国と正面から向き合うときに、この軍事の議論を離れてしてはならない。だからこそ、この尖閣の問題はおろそかにしてはならない、私はそういうことだと思っています。





平成23年10月28日 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会
[123]
みんなの党 柴田巧
まず最初に、先ほどからもいろいろ話は出ておりますが、脱北者、またその関連するものについてお聞きをしたいと思います。

御案内のとおり、先般、石川県の輪島沖で北朝鮮からの小型木造船、そこに9人かな、乗って漂着したという事件がございました。既に韓国に移送されておるわけですけれども、今回のこの事件はいろんな意味でやはり私どもに多くの教訓を与えたと思いますし、あわせて、この脱北者対策をどうするか、あるいは脱北者からの情報をどう獲得していくかということは大変これから重要なことになると思っております。そういう意味で、そういう観点から幾つかまずお聞きをしたいと思います。

御承知のとおり、あの事案が起きたときに、輪島漁協ですが、漁船がたまたま見付けて、海上保安庁が着くまでに7隻で囲んでおったということであったわけですが、これがなければやすやすと日本に漂着をしてきた。警戒網をくぐり抜けて沿岸近くまで来ているということは非常にショックなことで、監視体制のそもそも心もとなさが露呈していると言わざるを得ないと思いますが。

我が国では、2006年だったと思いますが、北朝鮮人権侵害対処法で脱北者の保護、支援の施策を講ずるよう努めると規定をしておりますが、これまでに恐らく200人近くの、場合によってはそれ以上の脱北者、あるいは北朝鮮に渡った在日日本人の妻やその家族の方々が日本に言わば帰ってきたと言われておりますけれども、しかし、これから脱北難民が増える可能性が多分にある。今回も食料事情が厳しくてやってきたのではないかといろいろ言われておりますが、あるいは、これから体制の崩壊で、こういった陸路だけではなくて海上ルートで、あるいは今回みたいに漂着をしてくるという形で増える可能性が多分にあると思っております。したがって、急増した場合の具体的な対処法、あるいはその受入れ体制といいますか、そういった対応の整備をしっかりここで構築をしていくことは大事なことだと思います。

そこで、まず、北朝鮮はまさに日本海を挟んで特に日本海側はあるわけですけれども、この現実を直視をして、今回のように、小型木造船は結局レーダーで捕捉できなかったというふうに聞いておりますが、こういったことなど海上の監視体制、領海警備の強化をしっかりこれからやるべきだと思いますが、お聞きをしたいと思います。

[124]
政府参考人(海上保安庁長官) 鈴木久泰
お答えいたします。

海上保安庁といたしましては、不審事象等の早期発見のため、日本海沿岸において巡視船艇や航空機による厳重な哨戒体制をしいておるところでございます。

ただ、御承知の広大な海域でありますので、海事関係者等の協力も不可欠であるということで、2000年から118番通報制度というのを設けておりまして、これは、私ども海の警察、消防、両方やっておりますので、110番と119番と両方合わせた番号でございます。携帯でも0と9の横に8があります。これを、海のもしもは118番ということで関係者に強力にPRしてまいりましたが、最近は大分認知度も上がってきております。このまさに118番通報で、9月13日、発見していただいた漁船から私どもの方に通報がありまして、直ちにヘリコプターと巡視船艇を現場に急行させたというような事案でありまして、これが功を奏したと思っております。

海上保安庁といたしましては、今後とも、我々自身の体制や装備の充実を図ることはもちろんでありますが、今御説明したような形で、海事関係者や地元の住民の方々の御協力もいただきながら、あるいは自衛隊、警察等の関係機関とも連携を図りながら、日本海沿岸域の警戒監視に万全を期してまいりたいと考えております。

[125]
みんなの党 柴田巧
おっしゃったように、海上保安庁としてもいろんな、例えばレーダーの性能を上げるといったこと、あるいは領海警備をしっかりやっていくということもやっていただかなきゃならぬと思いますし、今お話あったように、関係機関との連携をやっぱり強化、どうやって体制をつくっていくかということが大事なことだと思います。

そういう意味でも、この国の体制整備はもとより、国と関係自治体あるいは関係機関との協力連携体制をやっぱり急いでいくべきだと思います。日本海側、ここには日本海側沿岸の議員の関係の先生もたくさんいらっしゃいますが、日本海沿岸地帯振興連盟というところからも、青森から山口までの知事さん始め関係県が入っておるところですが、ここでもそういった水際対策の強化であるとか、あるいは迅速な初動態勢ができるような連絡体制や情報の共有体制、こういったことを求めてきているわけであって、したがってこういった体制づくりというのをしっかりこれからどうやっていくのか。

あわせて、関連があるのでお聞きをしますが、今回は武装している人たちではなかったので漁協の人たちもほっとされたわけですが、武装していた場合に、そういった難民が北から来た場合にどうするかという実は対応マニュアルは今ありません。不審船への対応マニュアルはあるのですが、こういった脱北難民への、特に武装した人たちにはどう対応するかというのはないのが現状であって、こういったことも含めて対応整備をしっかりやるべきだと思いますが、いかがですか。お尋ねをします。

[126]
政府参考人(内閣官房内閣審議官) 種谷良二
お答えいたします。

内閣官房におきましては、我が国に大量の避難民が流入した場合を想定いたしまして、関係省庁と連携して対応の方策を検討してきているところでございます。また、地方公共団体を始めとする関係機関との間におきましても、必要に応じてその対応のための検討を実施することとしてございます。

我が国に避難民が流入した場合の基本的な手順といたしましては、第1に、避難民の身柄の保護、応急物資の支給、身体検査の実施、第2に、入管、税関、検疫の上陸手続、そして第3に、収容施設の設置及び運営、そしてその上で、我が国が庇護すべき者等に当たるかどうかについて審査を行うといった対応を取ることを想定してございます。これらの対応を適切に行うためには、関係機関との緊密な連携が肝要でありまして、連携の在り方については今後も引き続き検討してまいるということにしてございます。

そして、武装の可能性のある脱北難民への対応でございますけれども、この大量の避難民流入に係る政府の検討におきましては、議員御指摘の武装の可能性のある難民を含めた偽装避難民等の上陸を防止するために、関係機関が避難民の身体及び所持品の検査等必要な措置を実施することとしてございます。

以上でございます。





平成24年08月28日 参議院 国土交通委員会
[172]
公明党 谷合正明
もう1つ、尖閣の話題とは違うんですが、朝鮮半島の有事の際に大量の避難民が発生するという想定が、これは1994年の内閣安全保障室で大量避難民対策についてというところから議論されているというふうに承知をしております。

今、差し迫って北朝鮮の方から避難民が来るという状況にはないかもしれませんが、しかしながら、大量の避難民が発生した場合に、通常、海上ルートで日本に来るということを想定するのであれば、身柄の保護から様々なステップがあるわけですね、応急物資の支給であるとか、身体検査の実施とか、上陸手続とか、入管、税関、検疫、保護施設の設置、運営、庇護すべきか否かのスクリーニングと、様々なプロセスがあるわけでありますが、大量の避難民が発生した場合に対応できるのか、まず内閣審議官の方に尋ねたいと思います。

[173]
政府参考人(内閣官房内閣審議官) 種谷良二
お答えいたします。

内閣官房におきましては、我が国に大量の避難民が流入した場合を想定いたしまして、関係省庁と連携して対応の方策を検討してきているところでございます。また、その対応方策につきましても、情勢の変化に応じ、随時見直しを実施してきているところでございます。

基本的な手順について若干具体的に申し上げますと、第1段階として避難民の身柄の保護、それから水、食料等の応急物資の支給、それから身体検査の実施等を行います。それから第2段階として、入管、税関、検疫による上陸手続を行うと。第3段階として、収容施設の設置及び運営、そして我が国が庇護すべき者等に当たるかどうかについていわゆるスクリーニングを行うといった対応を取ることを想定しているところでございます。

これらの対応を適切に行うためには関係機関との緊密な連携が肝要でありまして、連携の在り方については今後も引き続き検討してまいる所存でございます。

以上でございます。

[174]
公明党 谷合正明
そこで、海上保安庁の役割、体制であります。

北朝鮮の体制崩壊に伴って、実は毎月、例えばの話です、毎月数1000人という単位で海上ルートで避難してくるんではないかと。この毎月数1000人というのはすごい数で、実はインドシナ難民のときは年間で最大数100人規模だったわけですね、ボートピープルというのは。その規模をはるかにしのぐ数を想定しなければならないというわけであります。

じゃ、海上保安庁が対応できるのかということなのでありますが、ちょっと確認させていただきたいと思います。

[175]
政府参考人(海上保安庁長官) 鈴木久泰
今、内閣官房の方からもお話ありましたように、政府全体としてこの避難民の対応について検討しておりますが、海上保安庁としては、その第1段階の避難民の身柄の保護、身体検査、応急物資の支給といったところを、特に、今委員御指摘のように、海上からやってくるわけでありますので、海上保安庁を中心になってこれを対応せにゃいかぬと考えております。したがいまして、必要な勢力を投入して、関係省庁とも十分連携しながらこれに対応するということで考えております。

[176]
公明党 谷合正明
日本海の余りにも広大なエリアを海上保安庁の船が対応できるのかというと、まあそう簡単に、しかも小舟で来られた日にはそうそう簡単に対応できないのではないかなと思っております。

小舟の話をしましたけれども、ついここ近年においても小型の木造船で我が国の領海に入ってきたのかな、北朝鮮からですね。ところが、この小型の木造船というのは巡視船のレーダーではなかなか捕捉できないというふうに承知をしております。これ、仮に小型の木造船が不審船であったとか、あるいは領海領土に侵入を目的に来るということであれば、海上保安庁の巡視船が今後そうした小型の木造船に対してどのように捕捉、対応ができるのか、ちょっと検討状況を教えていただきたいと思いますが。

[177]
政府参考人(海上保安庁長官) 鈴木久泰
委員御指摘のとおり、我が国の周辺海域は極めて広大でありまして、レーダーに映りにくい小型木造船を発見することは困難な状況でありますが、海上保安庁では、平素から関係機関と連携して北朝鮮関連情報の収集、把握や巡視船艇、航空機による厳重な哨戒に努めております。

ただ、我々の力だけでは限りがありますので、不審な船舶をできるだけ確実かつ早期に発見できるように、海事・漁業関係者や沿岸住民等の協力も不可欠でありまして、平素から118番緊急通報という、118番に掛けると、消防とか警察のように私どもにつながるという、これを呼びかけておりまして、実際に、昨年の9月に9人の脱北者が小型の木造船で能登半島沖に流れ着いた事案では、118番通報により我々が早期に把握、対応した事態もございました。

こういうものを活用しながら、何とか早期に発見して、しっかりこれに対応するということでやってまいりたいと思っております。

[178]
公明党 谷合正明
最後に確認しますが、その避難民が純粋な避難民であればいいんですけれども、一部例えば武装避難民ということも想定しなければならないわけでありますが、その際に、最初にやはり海上保安庁がそこを、武装しているかどうかというところの確認をすることになるんだとは思うんですが、海上保安庁のそうした体制、あるいはそのリスクは大きくないのか、そういったことについて御答弁いただければと思います。

[179]
政府参考人(海上保安庁長官) 鈴木久泰
事態の個別具体的な状況によりますけれども、一般的には、相手船の外観調査等を入念に行い、不測の可能性も考慮して必要な装備、勢力を整えて、安全を確保した上で相手船を停船させ、必要な検査等を行うということでやっておりますが、北朝鮮の不審船に対応する体制としては、不審船対応ユニットというのを、2000トンと1000トンと220トンの高速船2隻、4隻をワンユニットとして3ユニット、日本海側と九州西方海域に用意しておりまして、こういうのでしっかり体制を整えて対応してまいりたいと考えております。





平成28年02月23日 衆議院 財務金融委員会
[178]
民主党(民進党) 木内孝胤
一つ、これはいろいろ議論もあろうかと思いますし、当然反対意見もあるかもしれない政策だと思っていますので、私は麻生大臣の考え方を教えていただきたいんです。

外国人労働者にもいろいろな形の職種もあろうかと思いますが、これを例えば年間30万人程度受け入れること、期間を例えば5年間にすること。これは、移民と難民、外国人労働者、いろいろあるかもしれませんけれども、あくまでも、外国人労働者を期間限定で年間30万人程度受け入れるということに関していかがお考えでしょうか。

[179]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
難民、移民、今、多分ヨーロッパ最大の問題は金融じゃありません。間違いなく難民問題ですよ、現実問題として。そういったものが、現実として今我々は、ヨーロッパで遠いから見えていませんけれども、似たようなことがもしアジアで起きたら、大量な難民を日本に受け入れてくるときにどうするかということもきちんと考えておかないと、この話はうかつに、今の話で平和なときに考えるというようなのは、そういった意味では危機対応という経験が全くありませんから、難民は武装している可能性も覚悟しておかないかぬ。

その武装難民に対してどうするかというふうなことも考えた上でこの種の話を進めないと、平和なときに平和なことしか知らない人たちが考えると危ないことになりかねぬというのを頭に入れた上で、私どもは、外国人などの受け入れにつきましては、これまでもいろいろな形で受け入れてきているのは事実でありますので、一定の海外の人材を受け入れてきているのは確かですので、ラグビーでいえば五郎丸ばかり有名になっていますけれども、実際問題、五郎丸以上に活躍した外国生まれの日本籍の人もいっぱいあの中にいらっしゃるというのが現実ですから、サッカーよりよほどラグビーの方がインターナショナルにやっている、私はあれを見てそう思いました。

ぜひそういった意味で、必要な分野にきちんと着目した上で、モンゴル人しか勝たないから相撲がおもしろくないとかつまらないことを言わないで、活躍できる人が大いに活躍できるというのはいいことだ、私どもは基本的にはそう思っております。





平成29年04月12日 衆議院 財務金融委員会
[047]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
いずれにしても、今回、例えば北朝鮮で大量の難民が発生したときにはどんなことが起きるだろうか、その難民が武装難民だった場合はとか、いろいろなことを考えておかぬと、とてもじゃないけれども、金融という面の前の話で、もう少し危機的な状況は起き得るということは十分に考えておかないかぬことなので、これは金融庁の仕事ではありませんけれども、それは十分に起こり得る可能性をもって見ておかぬといかぬので。

何となく、朝鮮動乱といったら木内さんなんかはまだ生まれておらぬ時代の話ですが、私は北九州にいましたので、昭和25年ですから、戦争が終わった後、私どもの住んでおりました北九州あたりは、空襲警報、敵機来襲、灯火管制なんというものは日常茶飯事みたいに起きていましたので、東京へ来たら動乱景気でうはうはしていたので、何と日本というのは広い国だと思った記憶がありますけれども、全く地域によって差が違いましたので、地域差も起きることも十分に考えておかないかぬだろうなと、いろいろなことを考えておかないかぬというのが正直なところです。





平成29年04月18日 衆議院 安全保障委員会
[101]
民進党 本村賢太郎
次に、難民の受け入れについてお伺いしますが、外務大臣にお伺いいたします。

朝鮮半島からの難民に対してどのように対応していくのか、また、難民の中に武装している者がいた場合、どのように対応していくのか、お伺いいたします。2点、お願いします。

[102]
外務大臣 岸田文雄
まず、難民が流入してくるような事態に対しての対応ですが、まずはこうした避難民の身柄を保護する、そして、上陸手続、収容施設の設置及び運営、そして、我が国が庇護すべき者に当たるかどうか、これを判断するスクリーニングを行う、こうした一連の対応を行っていくことを想定しております。

こうした対応を適切に、迅速に行うことができるよう、引き続き、平素から関連機関とも緊密な連携を図っていかなければならない、このように思います。

もう1点の御質問が、武装している者が含まれている、そうしたことに対してどう対応するかということですが、避難民に紛れて武装した者が我が国に入国することがないように、関係機関が緊密に連携していかなければなりません。

身体、所持品の検査の実施など、必要な措置を実施していくことになると承知をしていますが、そうした事態も想定して、具体的に関係省庁との連携を図っていかなければならないと思っています。

いかなる事態にあっても、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保、これは万全を期していかなければならない、このように認識をしております。

[103]
民進党 本村賢太郎
難民に対しての対応は、きのうの決算行政監視委員会でも総理が御答弁された内容と同じであったわけでありますが、難民の中に武装している者がいる対応に関して、もう少し具体にまた取り組みを進めていただきたいと思います。





平成29年04月28日 衆議院 財務金融委員会
[007]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
それから、今言われましたように、もし何かあったときに、体制が崩壊したときに、どのような後の体制ができるかというのは、これは今からの話でよくわかるところではないんですが、それにあわせて、いわゆる南に大量の難民が押し寄せるとか、北に大量の難民が押し寄せるとかいう点も考えなきゃいけませんけれども、同時に、船で潮流に乗っかって大体2日で日本の東北の日本海側に漂着する。これは北陸から東北にかけて漂着することは、いろいろな流出物が流れついてくる現実を見ましても間違いございませんから。

そうなってくると、それは難民ですか、武装していたらどうされますかとかいうようなことについては、これは十分な対応が我々にあるかといえば、今まで、有史この方、こういう例は過去にありませんので、それに対応するにはいかにするか等々、いろいろ今研究が各部署でされつつあるように、NSCの方から指示が出ていることも確かです。