第十八富士山丸事件、三党共同宣言 ~ 北朝鮮の人質外交

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昭和59年04月11日 衆議院 外務委員会
[188]
民社党 河村勝
それともう一つ、北朝鮮に抑留されている船員の問題なんですけれども、昭和58年の11月に第十八富士山丸という船が拿捕されて、現在も抑留されておる。乗組員5人のうち2人、船長と機関長が現在でも抑留中でございます。これはスパイ容疑だということなんですけれども、調べてみますと、これはたまたま北朝鮮の港に入港している際に閔洪九、北朝鮮の脱走兵士だということでございますが、それが逃げ込んできて、それを日本に連れてきて福岡の入国管理局に移管をした、その事実がスパイ容疑になった原因だということなんですね。

ですから、スパイ容疑だということになると、今回人道上の問題としてあっせんを依頼したりあるいは北朝鮮に要請したりするのは難しいかもしれませんが、この脱走して日本に入ってきた閔洪九という人のその後の始末というのは一体どういうふうになっておりますか。

[189]
政府委員(外務省アジア局北東アジア課長) 橋本恕
御指摘の閔氏、つまり北朝鮮から密航してまいりました閔氏につきましては、現在法務省におきまして身柄を保護しているという状況でございまして、これは外務省から答弁いたしますよりは、法的な問題につきましては法務省が入管令に基づくところのいろいろな措置をとったし、また考えているようでございますので、私が答弁申し上げるのは適当でないのでございますが、法務省が入管令に基づいて保護している、私はこういうふうに承知しております。

[190]
民社党 河村勝
ちょっと最後のところがわからなかったけれども、釈放されたのですか、送還されたのですか、どっちなのですか。

[191]
政府委員(外務省アジア局北東アジア課長) 橋本恕
現在法務省が身柄を法務省のしかるべき施設に置いている、こういうことでございます。

[192]
民社党 河村勝
この件については北朝鮮との間でもって接触は外務省としては何もないのですか。

[193]
政府委員(外務省アジア局北東アジア課長) 橋本恕
外交チャネルがございませんこともありまして、現在までのところこの閔氏についての交渉は行っておりません。





昭和59年08月01日 衆議院 法務委員会
[158]
公明党 中村巖
そこで、ちょっと話が違いますけれども、同じような種類の問題として、今係争中だと思いますけれども、北朝鮮から日本に不法に入国した閔洪九という人の事件があるというふうに思うわけであります。その閔洪九に関する事件について、係争中であるということは、すなわち強制退去の処分を争って特別在留許可をすべきである、こういう主張で原告の方はやっておるんだというふうに思いますが、その事件が現在どういうふうになっているのか、それから今どういう段階にあるのかということ、それからその閔洪九という人の現在の身柄そのほかの状況がどうなっているのかということについてお伺いをいたします。

[159]
政府委員(法務省入国管理局長) 田中常雄
お答えいたします。

御指摘の人について、今までの事件の概要をまず御説明いたします。

本人は、昭和58年10月ごろ、北朝鮮の南浦港に停泊中の日本の貨物船第十八富士山丸に潜伏した上、同年11月4日、山口県の下関市に到着し、不法入国したものでございます。同日、福岡入管局が海上保安部から本人の引き渡しを受け退去強制手続を行った結果、同年12月26日、出入国管理及び難民認定法第24条第1号、これは不法入国者は退去すべきであると書いてある条項でございますが、これに該当するものとして退去強制令書が発付されたわけでございます。

本人は現在、横浜入国者収容所に収容中でございます。



[178]
公明党 中村巖
北朝鮮における事実の調査というのはなかなか難しいでしょうから、事実認定の問題についてどうのこうのということは困難なことだと思いますので、それはその辺でやめておきますけれども、この事件に関連をして、この閔洪九が逃げてきたという第十八富士山丸という船が、日本に一たん帰ってから後、また北朝鮮に赴いたところが、その船そのものが拿捕をされてしまって船長が抑留されたというような事実があるようでございまして、それに伴って閔洪九を北朝鮮へ帰せという北朝鮮からの要求があるということを聞いておるわけでありますけれども、この第十八富士山丸の拿捕事件あるいはその船長の抑留事件、それが今現在どうなっておりますでしょうか、外務省にお伺いをしたいと思います。

[179]
説明員(外務省アジア局北東アジア課長) 高島有終
御説明いたします。

昨年11月15日に、今御指摘になりましたように第十八富士山丸が南浦港に入港いたしました際に抑留されたわけでございます。船長以下乗組員5名でございましたが、2月7日にこの5名のうち乗組員3名は帰国を許されたわけでございます。したがいまして、現在は船長と機関長の2人が依然として抑留されたままであるというのが現状でございます。

御承知のとおり、北朝鮮とは外交関係がございませんので、外務省ではこの事件が発生いたしました後、日本赤十字社を通じまして安否照会と早期帰国のための配慮を求めてきたわけでございますが、依然として船長、機関長につきましては抑留の状態が続いているということでございます。

なお、その安否に関連いたしましては、ことしの4月末から5月の初めにかけまして訪朝されました社会党の代表団の方々がこの船長、機関長と面談をされておりまして、伺いましたところでは、南浦港の船員クラブで居住を認められているようでございまして、元気であったというふうに伺っておりますが、その後の状況等につきましては、私ども正確に把握するに、至っていないということでございます。

[180]
公明党 中村巖
今のお答えでございますけれども、私たちが承知している限りでは、この第十八富士山丸の船長、機関長について、先ほどの閔洪九を北朝鮮に帰さなければ、それは帰すことはできないのだというのが北朝鮮の主張であるということのようでありまして、それはそういう真実があるのかどうかということと、外務省としては、国交はありませんけれども、何らかの形でこの閔洪九の問題と第十八富士山丸の機関長、船長の問題とを切り離して、船長、機関長を早急に日本に帰してもらうように、こういう交渉をすべきであるというふうに思うのですけれども、その点はいかがでございましょうか。

[181]
説明員(外務省アジア局北東アジア課長) 高島有終
先ほども御説明いたしましたとおり、日本赤十字社を通じて照会を行っているわけでございますが、これらの照会に対する回答においても、北朝鮮側が明示的に先ほど御指摘の閔洪九の事件と関連づけて、その釈放を船長、機関長の釈放の要件にしているという事実は承知いたしておりません。私どもといたしましては、閔洪九の事件と本件第十八富士山丸の事件とは基本的には別個の事件であるというふうに理解いたしております。

いずれにいたしましても、船長、機関長の抑留が続いているということは人道的な観点からも早期に解決されるべきであるということでございますので、私どもとしましては、今後とも赤十字社等を通じまして早期釈放のために。努力はしていきたいと考えております。

[182]
公明党 中村巖
今の点で最後の一点ですけれども、この閔洪九の問題と第十八富士山丸の問題とは別個だということでありますけれども、北朝鮮側が拿捕、抑留をした理由というのは、平壌放送によれば、閔洪九を日本に連れていったことについて、そういう行為がスパイ行為であるとか、あるいは北朝鮮に対する反逆行為に手をかしているんだとか、こういうような主張があるように思うのですけれども、そういう事実はあるのでしょうか。

[183]
説明員(外務省アジア局北東アジア課長) 高島有終
御説明のとおり、北朝鮮の平壌放送の報道等で、船長、機関長が偵察行動に従事し、したがって日本の偵察機関が関与している事実を重大視せざるを得ないといったふうな報道は承知いたしております。

さらに、船長、機関長は我が国の水域と港でスパイ活動を系統的に行ってきており、その都度入手した資料を上司に提供していたことをみずから陳述した、そして、自分らが我が公民を不法に日本に連れて帰っていった犯罪行為も日本当局者の背後操縦と関連していることを打ち明けたというような報道を行っていることを承知いたしております。





昭和62年05月21日 参議院 外務委員会
[245]
外務大臣 倉成正
ただ、私、率直に申しまして、今ちょうど第十八富士山丸の2人の、船長と機関長のお話が出ましたけれども、3年有余に及ぶ抑留、どういう理由があるか、またその国のそれぞれの立場があろうかと思いますけれども、これはズ・ダン号の前からのことでございますし、家族の方とお会いしましても、こちらから手紙を出しても返事が一切来ない。どういう状況かということはわからないということは、私どもどうしても民主主義の国家としてはちょっと考えられないことでございますので、そういう点については、北朝鮮を訪れる方にはぜひひとつ、せめて家族が出した手紙の返事なりといただくことはできないものかということをしていますけれども、それができない状況にあるということは非常に残念に思っている次第でございます。





昭和62年05月22日 衆議院 外務委員会
[129]
公明党 伏屋修治
これは協定には関係ございませんが、最後にお尋ねをしたいと思いますが、いわゆるズ・ダン亡命事件についてでございます。

この問題についていろいろと新聞紙上でも取りざたをされたわけでございますけれども、このズ・ダン号に絡みまして第十八富士山丸ですか、それの船長、機関長が北朝鮮に拉致されて20年の刑を言い渡された、こういうことでもありますし、また北朝鮮の兵士が3年前にその第十八富士山丸によって日本へ亡命をはかった、そういうような事件でありますが、この2つのズ・ダン事件と北朝鮮の丘士の日本亡命の事件が絡んでおりまして、外交上非常に微妙な問題だと思いますが、その辺の経緯、それから最後に外務大臣、いわゆる第十八富士山丸事件の御家族、また人道上の問題から、外務省、外務大臣として今後どのようにこの問題に取り組むか、そのことを最後にお尋ねをしたいと思います。





昭和62年09月04日 衆議院 外務委員会
[090]
日本社会党(社会民主党) 河上民雄
もう一つ、若干性質は違うのでありますけれども、今朝鮮民主主義人民共和国に抑留されまして3年半を超えております第十八富士山丸につきまして、大臣の格別な、少し踏み込んだ御尽力をいただきたい、このように希望をいたしております。

ところが、我が国におります北朝鮮兵士、朝鮮民主主義人民共和国の兵士が我が国に参りまして、今入管局の方の管理下に置かれておるわけでございますけれども、第十八富士山丸の船長並びに機関長のお二人の運命と非常に密接に結びついているわけでございまして、伝えられるところによりますと、10月には法務省はこのいわゆる亡命者を釈放するという方針に立っておるというようなことでございます。

しかし、私ども非常に心配いたしますのは、いわゆる亡命者が釈放された場合、法務省並びに外務省は従来のこの種の問題に関する基本方針を貫くことはできるかもしれませんが、二人の日本人はその際見捨てられるという結果になりはしないか。いわゆる棄民ということになってしまうおそれが非常にあるわけでございます。



[092]
日本社会党(社会民主党) 河上民雄
外務大臣、紅粉夫人、栗浦夫人からも、夫釈放までいわゆる北朝鮮兵士の仮放免につきましては待ってほしいという救済申し立てが出ておることもひとつ心に置いて当たっていただきたい、このように思います。





昭和62年10月15日 参議院 決算委員会
[318]
民社党 関嘉彦
これも時間がなくなりましたので、ごく簡単に私の意見を述べておきますけれども、先ほど久保亘委員からも御指摘があった問題で、いわゆる北朝鮮に抑留されています第十八富士山丸の日本人船員、2人の日本人船員、この釈放に対してはあらゆる努力をやっていただきたい。そのことは当然でありますが、一部新聞の報道するところによりますと、北朝鮮の方としては先般密航してまいりました兵士、これ何と読むんですか、ミン・ホングと読むんですか、それとの交換を希望しているというふうなことが一部の新聞に報道されておりましたけれども、私はまさかと思いますが、そういった向こうに送り返せば大変な処罰を受けることはこれは当然であります。そういった人道に反するような交渉だけは絶対にやっていただきたくない、日本の国家の品位に関する問題でありますから。その点十分心にとめていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますですね。

[319]
外務大臣 倉成正
ミン・ホングに関しまして、北朝鮮への送還、本人が北朝鮮への帰国を拒否しているということにかんがみまして、国際法上及び人道上の観点からあり得ないと考えております。





昭和62年12月04日 衆議院 外務委員会
[067]
日本社会党(社会民主党) 高沢寅男
大臣、問題の第十八富士山丸の船長、機関長です。この御家族の方なり、みんなの非常に大きな心配のテーマであります。

そこで、もうあれこれの経過は言いません。要するに、あの閔という兵士を仮釈放したというということで非常に事態が難しくなった、なったというよりは難しくした日本政府、この前提に立って、しかし、この船長、機関長が無事に早く日本へ帰る、このことのためにどういう一つの目算を持っているか、どういう御努力をされるか、ひとつ教えてください。それで私は終わります。

[068]
外務大臣 宇野宗佑
関兵士の釈放は、法務省当局に言わしめれば人道上の問題であるということになると思いますが、あくまでも日本政府の監視下にあることは事実でございます。

したがいまして、船長並びに機関長の釈放に関しましても、残念なことに日本と北鮮との間には国交がございませんから、したがいまして交渉ということはできないわけでございますが、あらゆる機会をつかまえていろいろな場所でそれぞれ話し合いを続けて、ひとつやはり人道上の問題として扱ってほしいということを強く北鮮に要求いたしておるところでございます。





昭和63年01月27日 衆議院 本会議
[017]
内閣総理大臣 竹下登
それから最後に、いわゆる第十八富士山丸問題に対しての御言及がございました。お二人の無実は疑いのないところであると私も信じております。

これまで日赤ルート、赤十字ルート、考え得るあらゆる方途を尽くしまして、北朝鮮側に対して、これら船長、機関長の早期釈放の働きかけを行ってきたところでございますが、残念ながら現在までのところ釈放、本邦帰国は実現しておりません。だから御家族及び関係者の心労はいかばかりのものか、矢野委員長御質疑のとおりでございます。

政府としては、この問題はまさに日朝間に横たわる最大の懸案である、このように考えております。したがって、人道的な問題でございますので、日朝間にまたがる最重要な課題だという問題意識のもとにこれからも努力を続けてまいります。





昭和63年02月03日 衆議院 予算委員会
[018]
自由民主党 山下徳夫
朝鮮半島に関する問題で、もう一点だけ簡単にお尋ねをいたしておきたいと思います。

それは第十八富士山丸の問題でございます。この第十八富士山丸の船長それから機関長ですか、この2人は北鮮に抑留されまして15年の教化労働刑を科せられているということを私は伝え聞いているのであります。

この種の問題は、外務省の対応といたしましても事柄の性質上非常にお骨が折れる問題だとは思いますけれども、人道上の見地からも一日も早く解決されるべき問題だと思っております。これについて大臣のお考えをお尋ねいたしたいと思います。

[019]
外務大臣 宇野宗佑
第十八富士山丸の船長並びに機関長の抑留に関しましては、私たちはこれは無実である、こういうふうに考えております。

しかし、残念にいたしまして、北朝鮮からは我が国の閔兵士を拉致した罪により、ただいま申されましたとおり15年の教化刑というものが与えられたわけでございます。

私たちは、あらゆる方途を通じまして速やかなる釈放を要求いたしております。これに関しましては、昨年の秋に社会党の土井委員長も訪朝されましたときに同様の趣旨を強く訴えていただきまして、まさに与野党挙げてこの問題に取り組んでおるような次第でございます。今後も十分、あらゆるルートを通じまして両人の早期釈放に全力を挙げたい、かように存じます。





昭和63年02月04日 衆議院 予算委員会
[032]
公明党 大久保直彦
第十八富士山丸の件について、総理にお尋ねをいたしたいと思います。

我が国がさきに行いました朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁措置に対して、同政府は報復措置を実施し、富士山丸事件の第三国での交渉は打ち切りとなりました。こういうことになるということはかねてから予想もされておったわけでございますが、今回の北朝鮮の措置を政府はどのように受けとめておられるのか、まず総理の御所見からお尋ねをいたしたいと思います。

[033]
内閣総理大臣 竹下登
一昨日でございましたか、宇野外務大臣から整理して申し上げましたが、人道上まことに遺憾である、このように率直にその富士山丸問題については受けとめております。

[034]
公明党 大久保直彦
これで紅粉船長以下お二人の方の帰国問題というのはかなり困難になったという認識でおりますが、このことについてどういう対策を今検討されておるのか。

またもう一つ、家族の方々が非常に、我々の想像を上回る御苦労をされておる。法律の上でいろいろ難しい問題もあろうかと存じますけれども、この際、その家族の方々の生活保障といいますかに対しても特段の御配慮があってよろしいのではないか、このように思いますけれども、重ねて御答弁をお願いいたしたいと思います。

[035]
内閣総理大臣 竹下登
思いは大体私も等しくいたしております。

私どもは、このお二人の無実をまず信じておるというところから始まるわけでございますが、なお、おつけ加えになりました家族の方々の心情を思いやりますときに、全く同じような感じを持っております。これらに対しましては、関係地方自治団体等を通じましていろいろな相談相手になってさしあげるということが大切であると思っております。外務大臣個人もお会いいただいたりしておりますが、その具体的な問題はさておくといたしまして、地方自治体等を通じつつ、これらの生活の面についても十分な配慮をしていかなければならない問題であるというふうに思いを等しくしております。





昭和63年02月15日 衆議院 予算委員会公聴会
[011]
自由民主党 戸塚進也
朝鮮半島の問題について認識を伺いたいと思うのですが、大韓航空機事件についてのあのテロ行為というのは、私どもは本当に許しがたいことだと思っております。しかも、それは韓国が演出したなどというような一部の議論はまことに遺憾だ、このようにも私は思っているわけでございますが、ただ、そうだからといって北朝鮮をどこまでもどこまでも追い込めるということではなくて、やはりオリンピック等には、これは平和的にみんな参加してほしい、世界じゅうが全部参加してほしいというような角度からはやはり呼びかけを続けつつ、北朝鮮のああいう暴挙に対しては断固たる措置をとる、こういう自民党や現在の政府のとっておる態度に対して、公述人はどういうふうにお考えになるか伺いたい。

[012]
公述人(杏林大学社会科学部教授) 田久保忠衛
私も同感でございます。韓国の発表を、あれは替え玉だとか人間の差しかえだ、こういうことはみだりに言うべきことではないのではないか。例えば日本で丸岡事件というのがあった。これは今逮捕されているわけでございます。これに対して韓国が、あれは替え玉だとか差しかえだと言ったら、これは日本に対する侮辱だと思うのであります。こういうことは軽々しく言うものではなかろう、かように思うわけでございます。

それから、自民党政府がとっていらっしゃる北朝鮮に対する制裁措置でございます。私、全く公平に見るわけでございますけれども、北と日本との間で迷惑を受けているのはどっちかということでございますね。貸した金は返してもらえない、人は誘拐される、その疑いが極めて濃厚である、それから第十八富士山丸事件、これは人質にとられたようなものでございます。これは幾つ例を挙げてもどうにもならない問題である。国交がございませんのでどういうふうにして交渉するか。私は、平和的解決というのはもちろん大賛成でございますけれども、できる限度があるのではないか。これは赤十字を通じて話し合いをする以外にない。

こうなりますと、私は、強い制裁措置、これは制裁措置というのは、我々の意図がどこにあるかということを相手にわかってもらうための、意図を知らせるためのものだと思うのであります。一方で私は握手をしたいと思うのでございますが、この取っかかりが得られない。北朝鮮を追い詰めてはいけないという意見は、私はそれはそのとおりだと思うのであります。ただし、追い詰めるも追い詰めないも、話し合いの取っかかりがない以上は、私は、強い制裁措置に応ぜざるを得ないだろう、かように思っております。





昭和63年03月28日 参議院 内閣委員会
[050]
日本社会党(社会民主党) 小野明
そこで法務省にお尋ねをしたいんですが、紅粉、栗浦両君が朝鮮民主主義人民共和国の法律に従って教化労働刑15年を付されましたね。

これについて社会党としては、残された家族の心情も考え早期にこの問題の解決に努力をされたいと、朝鮮労働党に昨年末の12月26日に電報で要請をしたんです。その際、早速に12月30日ピョンヤン発で朝鮮労働党中央委員会名で日本社会党中央執行委員会あてに返電が来ております。これは原文ともどもお上げしていると思います。これはお読みになったと思いますが、この中で、「日本政府は一方的にわが青年を仮釈放する不当な措置を講じました。」――これは閔洪九のことだと思います。この措置をとったので、今まで紅粉、栗浦両君は司法の手に回っておったんですが、裁判の進行をとめられておったんですね。ところが、仮釈放をしたので、こういう不当な一方的な措置を日本政府がとったので、共和国においても「一審裁判を行わなければならなくなりました。」、こういう返電の内容ですね。

閔洪九君を仮釈放した、これはどういう理由、経緯があっておやりになったんでしょうか。

[051]
説明員(法務省大臣官房審議官) 米澤慶治
今委員御指摘の仮釈放の問題でございますが、正式には仮放免と申しますのでそういうことでお答えさせていただきますが、閔洪九の仮放免は、本人に対する収容が4年にわたりまして異例の長期間になったということ、そのほかにその収容期間中に本人が心身状態が余りよくございませんで、そういった点等を考慮いたしますと、これ以上収容を継続することは人道上問題ではなかろうかというような判断に至りまして仮放免いたしたわけでございまして、朝鮮の方々の御指摘がけしからぬことであるという御指摘のようではございますけれども、我々といたしましては本人の人道上やむを得ない措置ということで放免させていただいたわけでございます。





昭和63年04月14日 衆議院 内閣委員会
[210]
民社党 和田一仁
また私は、そういう意味でコンセンサスを得るためにも、機会あるごとにこのことを申し上げていきたいと思っております。

外務省も国外との交渉事の中で大変なわけですが、その中にやはり邦人の保護をするという大変な任務がございます。にもかかわらず、第十八富士山丸というような事件が起きまして、いまだに解決されていない。これは大変ややこしいことになってきているのじゃないかと思いますけれども、現状これは、この間大韓航空機のああいう事件があって制裁措置がとられたり、あるいはそれに対するまた報復的というか反作用としてこの第十八富士山丸の解決もまた交渉の糸口がなくなるような、非常に難しい問題ではございますが、しかし、これは何としても――私は、これは経緯を見ていて不当な抑留ではないかと思うのですが、そう解釈してよろしいですね。

[211]
外務大臣 宇野宗佑
二人の船員の方は本当に不当な抑留下にいる、したがいまして、あくまで無罪である、こういうふうに私たちは常に主張して、そして、残念にして国交はございませんが、あらゆるルートを通じて我が国の主張を北朝鮮に伝わるようにいたしておるところでございます。

[212]
民社党 和田一仁
大臣の口から不当な抑留であるということでしたが、こういう事例は今ほかにございますか。

[213]
政府委員(法務省大臣官房審議官) 藤田公郎
私どもが承知している限りにおきましては、第十八富士山丸事件の両名のような事例は存在しておりません。





昭和63年04月15日 衆議院 外務委員会
[096]
日本社会党(社会民主党) 岩垂寿喜男
第十八富士山丸の船長と機関長の問題について、ここにいらっしゃる石橋前委員長も大変な御努力をいただきまして、そして前向きな方向を導き出してくれました。そして同時に土井委員長が金日成主席とも直接話をして朝鮮民主主義人民共和国と日本の政府の間で正式に交渉をするというルールが開かれたわけですけれども、閔兵士の一方的な釈放によってこれが挫折をいたしました。実はこれは私ども日本社会党の責任じゃございません。ひとえに政府がその措置によってとんざをしたというふうに言わなければなりません。





昭和63年09月06日 衆議院 内閣委員会
[014]
日本社会党(社会民主党) 角屋堅次郎
もう一点だけお伺いいたしたいと思うのは、きのう我が党の山口書記長が竹下総理に会われた。それで、朝鮮民主主義人民共和国建国40周年で山口書記長が団長で北朝鮮を訪問する。かねて社会党としては、大韓航空機事故のことで北朝鮮に対するいわゆる制裁措置というものをやっておりますけれども、それを早期に解除せよということで、これは我々のメンバーで広瀬さんが、朝特委の関係は重要な責任で、この問題は委員会でも何回か取り上げていただいた問題であります。竹下総理は非常に慎重なことでこの解除問題を言われましたけれども、第十八富士山丸のお二人の方の早期帰国の問題も人道上の問題でございまして、それに限りませんけれども、なるべく早い機会にこれを解除するというふうにぜひお願いしたいと思うのですが、いかがですか。

[015]
内閣官房長官 小渕恵三
かねて御党からも、いわゆる大韓航空機事故に関する日本政府の措置の解除、緩和につきまして御要請のあったところでございます。

政府といたしましては、この措置を発表いたしましたゆえんの問題は、あの事件に関しましていわゆる事件関係者が日本政府発行のパスポートを所持していた、いわば日本人であるがごときを称しながら行動に及んだということについて、我が国の立場として甚だ遺憾の意を表したことと、もう一点は、ソウル・オリンピックが平和裏に開催されることを目的として発表いたしておることでございます。





昭和63年11月09日 衆議院 安全保障特別委員会
[078]
日本社会党(社会民主党) 安井吉典
特にパスポート、これは、私たちがアメリカへ行こうとヨーロッパへ行こうと、あの外務大臣からもらうパスポートには、「エクセプト・ノースコリア」と必ず書いてあります。タイプでそれだけ打ってあるわけです。日本人全部にそれが打ってあるわけです。日本政府にとって世界の地図の中で唯一白紙はノースコリアなんです。昔は中国あるいはベトナムがそのエクセプトに入ったことがありますけれども、今はもうなれっこになってしまってお気づきにならぬかもしれないけれども、日本人のどのパスポートにも、北朝鮮に行こうなんということを考えていない人にまでみんなそう書いてあるわけですね。だから、北朝鮮を除くという言葉をパスポートから除くことが今の日本政府として非常に大切な問題だということだと私は思います。

ですから、これからの問題の中で、第十八富士山丸の問題もあります。社会党も一生懸命にやっているわけでありますけれども、なかなかこれも面倒だと思います。しかし私は、これだけを解決しようといったってなかなか難しいので、いわゆる関係改善をどんどん進めるというその中で、その一環として、関係改善が完全に進めばこの問題は解決しますよ、そういう筋合いのものとして取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいわけであります。





平成01年03月22日 参議院 外交・総合安全保障に関する調査会
[007]
田英夫
また、第十八富士山丸の事件の解決は、もちろん日本側にとって極めて重要なことであります。しかし、まず第十八富士山丸事件の解決を求めなければ先へ進まないという態度は、外交としてはとるべきではないと思います。それはあたかも北方領土の返還が解決しなければ日ソ間の関係改善はできないという論理と同じだと思います。





平成01年10月25日 参議院 予算委員会
[248]
日本社会党(社会民主党) 村沢牧
我が党は、国交のない政府にかわって朝鮮関係の改善のために努力をしてまいっている。国民も我が党に期待もしているんです。

ところが、自民党の一部の諸君は、パチンコ問題に関連をさして朝鮮総連問題を意図的にとらえて、非常な危険な団体であるなんというふうに政府に答弁さしている。これに対して北朝鮮側は、総連を弾圧し、破壊するための計画的な謀略であると厳しい非難声明を行っているんです。

自民党の皆さん方は、朝鮮問題を取り上げることによって社会党のイメージダウンをねらっているかもしれませんけれども、日本社会党は、国交のない朝鮮民主主義人民共和国、また朝鮮総連と友好を進めてきた誇りはあっても、指摘をされるような何らやましいことがないことは、この際はっきり申し上げておきたいと思うんですよ。朝鮮人民共和国と朝鮮総連の関係については、申し上げるまでもなく御承知のとおりであります。



[250]
日本社会党(社会民主党) 村沢牧
日朝間には早急に交渉しなければならない懸案事項があるんです。日朝友好促進議員連盟と朝日友好促進親善協会との間で締結されている日朝漁業暫定合意は12月31日で期限が切れるんです。11月中には、これは自民党も含めてですけれども、議連の代表が訪朝することになっているけれども、協定の延長や内容も厳しいものがあると聞いているんです。また、第十八富士山丸の問題もあります。

こんなときに日朝関係を悪化させるようなことはやってはいけないと思う。そんなことをやる諸君は国益や国民のことを考えておらない人だというふうに思いますけれども、こういう国際的な問題について、総理はどういうふうに思いますか。

[251]
内閣総理大臣 海部俊樹
今お触れになりましたので、具体的な2つの問題についてお答えさせていただきますが、第十八富士山丸問題が両国の間にあることは事実でございますけれども、無実の日本人2名が6年近くにわたり家族との面会さえも許されずに抑留されているというのは、人道問題ではないでしょうか。本来、政治的主張のいかんにかかわりなく人道的に早急に解決されるべき問題であると思いますし、また日朝民間漁業暫定合意の延長につきましては、右は基本的に民間の問題ではありますけれども、現在、日朝双方の関係者の間で話し合われているものと承知をいたしております。

いずれにいたしましても、これらの人道問題や民間の問題が政治問題と関連づけられるようなことがあってはならないと私は考えております。

[252]
日本社会党(社会民主党) 村沢牧
朝鮮に対する最後は、朝鮮総連を非常な危険な団体であるというような決めつけ方は、今までの政府の答弁は日朝、国際関係からも、国民のためにも私は認めることはできない。この点については後刻、我が党の田議員等を中心にして質問してまいりますので、そのことだけ私は申し上げておきたいというふうに思います。





平成01年10月31日 衆議院 予算委員会
[125]
自由民主党 山崎拓
それから、本件に関しまして社会党は、国際問題になるぞと関係当局に示唆したという記事が週刊文春等に出ていますね。社会党議員は、このカード制は国際問題だ、北を怒らせたら怖い、第十八富士山丸の船長らは帰らなくていいのかと関係当局に険しい発言をしている。

こういうことが事実であるとすればこれは大変ゆゆしきことでありまして、私も第十八富士山丸事件に関しましては深い関心を持っております。特に、栗浦機関長の御家族が福岡におられまして、私も直接御家族と何回かお目にかかって、その悲痛な御心境をよく知るものでございますために、本件が国際問題になるということであれば、これは私はそのことを心配してこの質問をやめようと思ったぐらいでございますから、大変ゆゆしき問題だと思うのですが、この事実関係について警察庁、知るところを話してください。

[126]
政府委員(警察庁刑事局保安部長) 森廣英一
お答えいたします。

社会党の関係者から私どもにプリペイドカード問題についていろいろ働きかけがあったことは事実でございますが、その内容とか、どういう働きかけ方をされたかというような点につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。





平成01年11月01日 衆議院 予算委員会
[276]
自由民主党 野呂昭彦
現在北朝鮮が抑留をいたしております第十八富士山丸、紅粉船長らお二人の釈放のことでございますけれども、これにつきましては、もしプリペイドカード等が導入されれば難しくなるぞ、こういうことを柳前全遊協副理事長が言っていると、これは文春にも書いてあります。これは事実なら人質を盾にした脅迫とも言えるようなことでございます。

それからまた社会党は、プリペイドカードは国際問題になり政府も困るんだと言って圧力をかけた。これは何度もこのことが指摘されておるわけでありますが、どうもこういうことを考えていきますと、だれのために政治、外交をやっておるのか、大変これは疑わしいと私は思うわけであります。





平成02年04月27日 衆議院 予算委員会第一分科会
[041]
日本社会党(社会民主党) 野坂浩賢
東ヨーロッパ、特に東西ドイツは、28年ぶりにベルリンの壁が取り壊されて、非常に激しい速度で統一問題が議論されておるわけでありまして、我々はそれを歓迎しております。同じように、今もお話がありましたように、南北の朝鮮は一つであるというのは南の方々もおっしゃっておりますし、北の方々もそういうふうにおっしゃっております。朝鮮は一つだという立場でありますし、朝鮮の統一について従来から政府は、統一ができ得るようにその環境の整備に御協力を申し上げたいというのが一貫した考え方であります。

したがって、北との人事往来、あるいはパスポートの一回限りというのじゃなしに数次旅券に切りかえるとか、そういうことが環境の整備になるのではなかろうかと私は思うし、そういうことがあってこそ、第十八富士山丸の船長や機関長の帰還ということにも穴があいてくるのではなかろうか、そういうことを考えるわけでありますが、官房長官はそれらについてどのようにお考えでしょうか。また、政府の態度をお聞きしたいと思うのです。





平成02年10月12日 衆議院 本会議
[019]
内閣総理大臣 海部俊樹
北朝鮮との関係については、先般の自民党・社会党代表団の訪朝の結果、昨日、懸案のお二人の帰国が実現し、第十八富士山丸問題が解決され、また、日朝間の正常化に向けた当局間対話の道筋がつけられたことを歓迎し、政府としては、朝鮮半島の平和と安定のため、韓国、米国などの関係諸国と連携をとりつつ、日朝間の話し合いを進めたいと考えます。

なお、朝鮮半島をめぐる情勢が新たな局面を迎えているこの機会に、私は改めて同地域のすべての人々に対し、過去の一時期、我が国の行為により耐えがたい苦しみと悲しみを体験されたことについて、深い反省と遺憾の意を表したいと思います。





平成02年10月16日 衆議院 本会議
[011]
日本社会党(社会民主党) 土井たか子
冒頭にも一言触れましたが、自由民主党と社会党が力を合わせて日本と朝鮮民主主義人民共和国との関係改善に努めたことは、世界の平和を前進させる近来の快挙でありました。第十八富士山丸の紅粉さん、栗浦さんのお二人は、実に7年ぶりに釈放され、無事祖国の土を踏むことができました。私は、羽田に到着した機内に迎えに来られた奥さんとお二人の、声も出ない、ただただ涙の御対面を目の当たりにして、よかった、本当によかったと胸の熱くなる思いでした。これまで懸命な努力を重ねてこられた諸先輩、今回英断をもって事に当たられた自民党の金丸元副総理、金日成主席あての親善を託された海部総理、そして、我が党のことではありますが、田邊、久保両副委員長たちも含めまして、関係者の皆さんに敬意を表し、朝鮮民主主義人民共和国の国民、朝鮮労働党の方々に衷心よりお礼を申し上げたいと存じます。(拍手)

日朝関係改善につきましては、問題はこれからであります。(発言する者あり)

[012]
議長 櫻内義雄
静粛にお願いします。

[013]
日本社会党(社会民主党) 土井たか子
朝鮮労働党、自民党、社会党、三党の共同宣言を基礎として具体的に発展させ、揺るぎない両国間の関係を樹立をすることは、両国の利益だけでなく、朝鮮半島における民族の統一に貢献することであると私は確信しております。政府の早急な取り組みを強く要請いたしますが、総理の御決意のほどをお聞かせいただきたく思います。



[019]
公明党 石田幸四郎
特に、過日、自社両党の代表団が朝鮮民主主義人民共和国を訪問し、日朝関係改善のために一定の成果を挙げられたことに敬意を表するものであります。また、懸案となっていた第十八富士山丸の船長と機関長の釈放、帰国が実現したことはまことに喜ばしいものであります。

総理は、今後予定される日朝国交正常化のための政府間交渉についてどのような方針で取り組まれるのか。また、南北統一問題の両国の努力に配慮しつつ、しかも、これまでの日韓友好関係を損なうようなことがあってはなりません。自社両党と朝鮮労働党の三党の共同宣言の中で述べられている戦後の45年償いの問題は、理解に苦しむところであります。総理はこの点をどう受けとめられているのか、伺いたいと思います。



[022]
内閣総理大臣 海部俊樹
日朝国交正常化のための政府間交渉についての基本については、今次北朝鮮側の提案は、同国の対日政策の転換を意味しておるものと認識をいたしております。我が国は、これまで北朝鮮に対し前提条件なしの当局間対話を呼びかけてまいりました。右交渉に応じて、朝鮮半島をめぐる情勢全体を視野に入れ、同半島の緊張緩和、平和及び安定に資する形で、米、韓など関係諸国とも緊密に連絡をしながら対処していく考えでおります。

また、自、社、朝鮮労働党三党による共同宣言中、戦後45年の償いについての見解ということでありますが、政府としては、累次の機会に、植民地時代の36年間にわたる朝鮮半島との過去の関係については深い反省と遺憾の意を表明してまいりました。政府としても、日朝間に請求権の問題が依然として未解決のまま残っていることは十分認識いたしております。戦後、きょうまでの45年間については、この間日朝関係が疎遠ないし不正常な関係にあり、結果として請求権問題が話し合われてこなかったことは事実として認識しております。いずれにせよ、請求権問題については、今後日朝当局間で誠意を持って話し合ってまいりたいと考えます。





平成02年10月17日 衆議院 本会議
[014]
民社党 大内啓伍
先般、与党の首脳を初め我が国の政治家が北朝鮮に赴き、話し合いをされましたが、その中で、過去の賠償とは別に、戦後45年間の謝罪と償いを取り決め、また過去の賠償についても国交正常化以前にそれを支払う中間賠償を約束してきたようでありますが、これは到底容認しがたい遺憾なことであります。戦後の南北朝鮮の分断、朝鮮戦争、さらには北朝鮮の共産化といった事態に日本がどうして責任を負わなければならないのでありましょうか。(拍手)

こうした要求に我が国がもしこたえるならば、国際ルールに違反するだけではなくて、韓国はもとより、フィリピン、インドネシアなどの賠償再交渉にもこたえなければならなくなります。そしてそれには、何兆円もの国民の血税が使われることになるのであります。総理、日朝の関係改善に努めることは今日の重要な課題ではあるが、このような国民の立場をないがしろにした無原則なことは断じてやらないと断言していただきたいと思うのであります。(拍手)



[017]
内閣総理大臣 海部俊樹
なお、戦後45年間の償いの問題について、率直に申し上げて、日朝間の請求権問題が未解決のまま残っておりますことは政府としても認識をいたします。他方、戦後今日までの45五年間については、日朝関係が疎遠ないし不正常な関係にあり、結果として請求権問題が話し合われてこなかったことも事実でございます。御指摘の中間賠償の問題については、共同宣言を読む限り、国交正常化前にも賠償を行うとの表現はございません。いずれにせよ、請求権の問題は、今後、日朝当局間で交渉を進める過程において誠意を持って解決をしていくべき問題と考えております。

先般発表された自民党、社会党、朝鮮労働党の三党共同宣言は、政党間で署名された文書であるものでありまして、私としては、自民党の総裁として、可能な範囲でその内容が実現されるように努力を続けていく考えでおります。





平成02年10月18日 参議院 本会議
[019]
民社党 田渕哲也
先般訪朝した自民、社会両党の代表団と朝鮮労働党の話し合いで両国の関係改善への扉が開かれたこと、また長年にわたり拘留されていた紅粉船長、栗浦機関長が解放されたことは喜ばしいことであり、衝に当たられた方々の御努力に敬意を表したいと思います。

しかし、自社両党と朝鮮労働党が調印した共同宣言には、植民地時代だけでなく戦後45年間に北朝鮮が受けた損失にも謝罪し償うことが明記されておりますが、これは納得できません。戦後北朝鮮が受けた損失の内容がつまびらかではありませんが、我が国が責任を負うべきものはないと思いますが、政府の見解はいかがですか。

また、これは政府間の交渉を拘束するものではないと言われていますが、政府の考えをお聞きしたい。

[020]
内閣総理大臣 海部俊樹
私は、45年間の問題については、日朝関係が疎遠ないし不正常な関係にあって、結果として請求権問題が話し合われてこなかったことは事実として認識しております。しかし、先般なされた問題については、これは各党の共同宣言でありますから、政府に対する法的義務を有しているとは理解をいたしておりません。三党共同宣言は、政府としてはこれを理解し、同時に、いずれにせよ請求権の問題は今後日朝間で交渉を進める過程で政府としては誠意を持って解決していくべき問題であると考えます。

なお、謝罪の問題につきましては、私も朝鮮半島の方々に対して、過去の一時期、日本の行為によって耐えがたい苦痛を与えてきたということに対する反省と謝罪の表明は既にいたしておりますが、総裁としての文書にもそれをしたためておるところであります。

金丸元副総理が釈明のため訪韓された際、盧泰愚大統領が示した5項目に対してというお話でありますが、これは朝鮮半島をめぐる情勢全体を視野に入れて、朝鮮半島の緊張緩和、平和及び安全に資する形で韓国とも緊密に連絡をとりながら行っていこうという考えのあらわれでありまして、なお交渉に臨む具体的方針については現在検討中でありますけれども、南北対話との連携、北朝鮮が国際原子力機関と保障措置協定を締結するよう働きかけることなど、先般盧泰愚大統領が示された5項目のそれぞれについても留意をして、今後具体的方針を固めていくことになると思います。





平成03年01月28日 衆議院 本会議
[009]
日本社会党(社会民主党) 土井たか子
昨年9月の自民・社会両党合同代表団の訪朝によって道の開かれた政府間の対話が、近々ようやく本格的に始まろうとしております。朝鮮労働党と日本側二党とで交わした三党共同宣言に基づいて、政府が誠意ある交渉を行い、早急に関係を正常化するよう強く望んでおきます。決意のほどをお聞かせ願います。(拍手)





平成03年03月07日 衆議院 予算委員会
[261]
民社党 菅原喜重郎
海部総理は、本年1月訪韓されましたが、日朝関係についてどのような話し合いをされたのか、また、戦後45年の償いの問題では、我が党は、戦後の南北朝鮮の分断や朝鮮戦争、北朝鮮の共産化といった事態にも日本が責任を負うことになるので、戦後の償い要求には応ずるべきでないと考えるわけでありますが、政府の見解をあわせてお伺いいたします。

[262]
外務大臣 中山太郎
先般の海部総理の訪韓の際には、盧泰愚大統領との会談におきまして、日朝正常化は南北対話の進展にプラスになるように進めてもらいたい、また、北朝鮮がIAEAとの保障措置協定を締結しないことを憂慮している、また北朝鮮の主張する戦後45年の補償は合理的ではないという大統領の発言がございまして、これに対し海部総理からは、日朝正常化交渉は朝鮮半島情勢全体を視野に入れて半島の緊張緩和と平和と安定に資する形で進めてまいる、盧泰愚大統領が金丸副総理に提示されました5項目については十分念頭に置いて交渉を進める、またIAEAの保障措置協定締結問題については日朝交渉においてぜひ取り上げたい旨、海部総理から述べられたわけでございます。

また、御指摘の戦後の償い云々の問題につきましては、自民党、社会党、朝鮮労働党、三党の共同宣言で触れられたものでございまして、政府に法的な義務を課すものとは考えておりません。

いずれにいたしましても、政府としては、植民地時代の36年間につきまして日朝間に財産請求権の問題が未解決のまま残っていると認識しており、今後、日朝間で話し合いを進める過程でも誠意を持ってこの交渉に当たっていきたいと考えております。





平成03年11月11日 衆議院 本会議
[003]
日本社会党(社会民主党) 田邊誠
また、日朝国交正常化については、自社両党も加わった三党共同宣言の趣旨に基づき、速やかな実現を図るべきであります。総理はどうお考えでしょうか。(拍手)





平成04年05月12日 衆議院 運輸委員会
[144]
日本社会党(社会民主党) 赤松広隆
これは最後でございますけれども、今後こうしたいろいろな政府間交渉もそうですし、それからこれらの実際に定期便の開設なんということになれば航空協定も結ばなければいけない等々進んでくるわけであります。

ただ、先ほど大臣言われたように、近くて遠い国からいわゆる近くて親しい国になれるように、そのベースになるのはやはり私は自由民主党、日本社会党、朝鮮労働党の三党宣言ではないだろうかというふうに思っております。

その意味で、大臣も私も、それぞれ所属する党は違いますが、その三党のいわゆる共同宣言を結んだそれぞれのグループに所属をする一員として、その重みというのはやはり、大臣という立場ではありませんけれども、違いますけれども、その一員としての重みはぜひ感じていただきたいと思っておりますし、これは私自身についてもその三党宣言のやはり重みというのを十分に認識しながら、こういうことを心の一つの基本として、これらの日朝両国間の正常化に向けてそれぞれがやはり努力をしていかなければいけないというふうに思っております。

その意味で、この三党共同宣言の重みを奥田先生としてどのように考えておられるのか、またもっと広い意味で日朝間の正常化に向けて政治家奥田敬和先生としてどのように考えておられるのか、お考えをお聞きをして、時間が少し前ですけれども、質問を終えていきたいと思っております。

[145]
運輸大臣 奥田敬和
全くこの問題に関しましては先生のお気持ちと同じ気持ちだと思います。重みを感じて三党共同宣言の趣旨に従って正常化交渉を後押ししてまいりたい。一日も早く近くて親しい国、そういった関係になるように努力をいたしてまいりたいと存じます。





平成04年05月14日 参議院 法務委員会
[069]
日本社会党(社会民主党) 深田肇
じゃ、日本社会党という立場で申し上げますけれども、外登法問題については第3回目ぐらいのときに正式に朝鮮民主主義人民共和国の方から外登法問題が今日本の中で論議をされているようだという意味合いで提起をされているということは我々聞いています、これは党の関係で。したがって、ぜひひとつ調べていただきたい。

私は、日韓覚書との関係を含めて、いわゆる国連加盟をされておる朝鮮民主主義人民共和国との今国交正常化に向かって話をしている過程ですから、そこで三党共同宣言は、きのう法務省の方が御存じでいらっしゃるのか謙虚な顔でおっしゃったものですからコピーをして差し上げました。いろんなことがありますが、時間がありません、これも省略しますけれども、新聞報道にたくさん書かれたように、戦前36年間の日本のいわゆるあの植民地支配に対しての反省をする、戦後の今日までの間におけるいわゆる差別を初めとするいろんな問題についてもこれも反省をして謝罪をしなきゃならぬ、償いもしなきゃならぬということを三党確認をした。なおかつそれに基づいて、御承知のことと思いますが、元総理大臣の竹下さんが予算委員会でそのことを発言される、その後海部総理大臣が親書を、当時の肩書は元副総理ですが、金丸先生に託されて、そして相手方にそのことをやっていくと。もう三党共同宣言の文書の中に入っているんです。こんなものは本当は共同宣言に入らぬものだと思ったけれども、自民党さんも入れてもいいだろうと、自分から入れようとおっしゃるものだから入っちゃったんで、そういうことまで書いてある文書がある。

その中でのくだりを、前提を申し上げた上で具体的なことを紹介しておきますが、4の項目に「三党は、在日朝鮮人が差別されず」、「されず」ですよ、「その人権と民族的諸権利と法的地位が尊重されるべきであって、日本政府は」、ここに「日本政府」が入っている、「日本政府は、これを法的にも保証すべきであると認める」ということを金丸信さんがサインした。

一個人でやったと言いますか、自民党がやったんで政府は関係ないとおっしゃいますか、そうはいかぬでしょう。と考えますから、そうなると「政府は、これを法的にも保証すべきである」ということを確認したのが今から1年半、2年ちょっと前ぐらいになる90年の9月28日であるということになり、今日まで約7回、8回にわたってのいわゆる交渉があるとするならば、今回の、本当のこと言えば今回の皆さんが出す案のときにはこのことも十分参酌されてやっておられるんじゃないかと思いますが、これはもう全然気にもとめなかったことですか、とめられて案をおつくりになったですか、事務的に教えてください。

[070]
政府委員(法務省入国管理局長) 高橋雅二
直接的には、今回の改正案は昭和62年の一部改正案の成立の際の衆参両院法務委員会におきます附帯決議及び日韓の覚書に基づくものでございますが、この案の作成の段階におきましてはいろいろな意見とかいろいろな考え方、いろいろな情勢を考慮いたしたところでございまして、当然この三党の共同声明といいますか、こういうものも一つの参考とさせていただいたところでございます。

それで、3の提出しました内容は、いわゆる在日韓国人に限らず特別永住者及び永住者というものに新しい制度が適用されるということになっておりますので、今先生のおっしゃいました三党の声明に反するものではないと、こういうふうに考えておるところでございます。





平成05年04月23日 衆議院 外務委員会
[039]
日本社会党(社会民主党) 上原康助
そこで、一言確かめておきたいことは、政府とは直接関係ないと言うかもしれませんけれども、朝鮮労働党と日本社会党そして自由民主党の三党の共同宣言というのは、恐らく政府としてもこれからの日朝関係、交渉等を進めていく上で尊重しなければいけない重要な宣言だと私たちは思っているわけですが、そのことに対する御見解はどうお持ちですか、これは外務大臣の方から。

[040]
政府委員(外務省アジア局長) 池田維
三党間の宣言につきましては、私どももそのような事実があったということを尊重し、それを踏まえて別途政府間の交渉を進めるということでございます。

[041]
日本社会党(社会民主党) 上原康助
いろいろ政治的な面では変化はありますけれども、やはり公党の重要な会談の上でなされた声明、宣言でありますので、ぜひそれを一つの基礎といいますか土台にしてこれからの日朝交渉に役立ててもらいたい、このことを申し上げておきたいと思います。





平成06年06月22日 衆議院 外務委員会
[006]
自由民主党 小杉隆
私はここで、国交のない国と日本の外交の進め方について以下触れたいと思うのですが、かつて1990年、先ほども申し上げたように自民党の金丸信、社会党の田邊誠両代表団が訪朝をいたしました。

このときに、あのとき長年の懸案であった第十八富士山丸の問題、紅粉船長の釈放とかあるいは日朝政府間の交流のきっかけをつくったということで大変画期的なことだったわけですが、これについての評価、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。

[007]
外務大臣 柿澤弘治
本件も日朝国交正常化交渉のきっかけをつくっていただいたという意味で私ども評価をいたしておりますが、ただ三党共同宣言の中には国交正常化交渉の中でなかなか難しい部分も含んでおりまして、この点についてはやはり三党の合意ということでございますので、今後政府レベルできちっと詰めていく必要があるというふうに考えております。





平成06年10月25日 衆議院 安全保障委員会
[155]
自由民主党 山崎拓
日朝交渉の開始の端緒になりましたのは、三党共同宣言、90年の9月28日でございますが、これもけさの報道でございますが、昨日の政府・与党の責任者会議ですか、その場において与党訪朝団を構成して、近い将来に北朝鮮を訪問せしめて、交渉再開のきっかけとするという構想が合意されたやに聞いておるわけでございます。

この点について、私は若干の懸念を持っておるわけでございますが、その三党、私はたまたま6月に訪朝いたしましたときに全容淳労働党書記と会談いたしました。その席で、全容淳書記の認識の中に、いわゆる日朝交渉は三党共同宣言を踏まえて行うべきだという点が示されたわけでございます。

そのときの当事者が自由民主党と社会党でございました。このたび、さきがけが入っておりますけれども、与党三党でメンバーを構成して行くということになれば、これは三党共同宣言との関連が出てくるなということを私は正直懸念いたします。そういう次第でございますから、与党訪朝団が参りますことは大変結構なことだと私は思いますが、これは明確にメンバーは一新すべきであると考えます。





平成06年10月25日 衆議院 大蔵委員会
[084]
改革(会派) 竹内譲
これはさきがけの党首としてお答え願いたいのですが、1990年9月、金丸信元自民党副総裁、それから田邊誠社会党副委員長らを団長とする自民、社会両党訪朝団が、朝鮮労働党と三党共同宣言に署名されました。武村大蔵大臣も、当時共同宣言起草者の一人として加わっておられます。

このときに、宣言では、日本の植民地時代と戦後45年間の国交不正常という損失に対する日本の公式謝罪と償いが盛られておるわけでございます。この点につきましては、大蔵大臣は今どのように総括をされますでしょうか。

[085]
大蔵大臣 武村正義
確かにそれは1990年でございましたか、金丸、田邊訪朝団に私も御一緒をいたしました。金丸訪朝団と田邊訪朝団と、自社で2つの訪朝団がございまして、同時に向こうへ行ったということでありまして、日本側は金丸さんが団長であり、石井一議員が事務総長であり、私が事務局長、こういう肩書であったかと思っております。

向こうで、三党共同宣言をめぐっては徹夜で起草の会議がございまして、10数時間続きましたが、そのメンバーには、自民党からは石井一氏、池田行彦氏、不肖私と3人が入っておりまして、外務省の、今アジア局長の川島さんも同道して、途中まで入っていただいておりました。社会党からは、山花前委員長、田並さん等3人が入っておられました。

そして、最終的に合意文書を目指したわけでありますが、最後まで残った点がございました。特に、戦後の補償というテーマが朝鮮労働党から出まして、私どもはもう条件反射のように、それは絶対できません、どう考えてもそれは議論にもならないということで、はね返しておったわけでありますが、団長3人の別途別室での会合がございまして、そこでもうそれをのんじゃったということが起草委員会の方へおりてきまして、結果的には戦後の補償が文書に入ったということで、帰国後、大変厳しい御批判を国内からはちょうだいするような羽目になりました。

私自身は、当時、金丸さんのところへ顔色を変えて行きました。金丸さん、これのんだら、帰ってから大変なことになりますよ、どう考えてもこれは常識に反します。いや、まあ武村君、いいよ、それでもおれが責任を負うから。こんなやりとりをしたことも今思い出しておりますが、案の定これは大変、この一点だけは大きな問題として批判を浴びることになりました。

しかし、当時の金丸さん初め我々の思いは、戦後もう40数年続いた、一番近い国の人である北朝鮮、何としても窓をあけることができないだろうか。戦中、戦前の課題も残っています。財産請求権の問題も未処理であります。そして、漁船の拿捕とかいろいろな問題も起こっているわけでありますだけに、この国と早く戦後を、戦争を終わらせて国交の正常化を図っていくことは、一政治家としても大変大事な課題だという思いがお互いにあったと思うのです。そのためには、うまくいくかいかないか、多少冒険的な、危険的な要素があるけれども、行ってとにかく精いっぱい向こうと話し合いをしてみようというのが金丸団長の心意気であったと思うのでありますが、そういう意味では、正常化の糸口をつけることができたこと。はあの訪朝団の一つの大きな成果であったと今も振り返っております。

[086]
改革(会派) 竹内譲
その後日本政府は、要するに三党共同宣言には縛られない、日本と朝鮮は戦争状態になかったので賠償、補償の義務はない、戦後の不正常な関係は東西対立が原因であるという見解をとっておるわけでございます。

しかし、朝鮮労働党の方はこれを非常に重く受けとめているというふうに私は思います。そしてまた今回、自民党、社会党、そしてまた武村大蔵大臣の率いるさきがけという、まさにそのときの政党が組んで内閣ができておるわけですから、政権ができておるわけですから、これは北朝鮮からすれば、まさにそれを実行してくれよということになるのではないか。

また、植民地支配に対する日本の謝罪とか、先ほど御答弁ありましたけれども、あるいはそういった角度からいっても、さきがけ党首としての武村大臣のお立場からすれば、これは、北朝鮮から三党共同宣言を実行してくれよと言われたときに、補償を求めてこられたときに、どういう対応をされるのか、この点についてお聞きしたい。

[087]
大蔵大臣 武村正義
自民党、社会党、朝鮮労働党、この三党共同宣言は、今も申し上げたように、その後の政府当局間の対話、日本と北朝鮮との対話への筋道をつけることになった、糸口をつけることになったというふうに振り返っているわけであります。この宣言は政党間で署名された文書であります。したがって、当時から、日本政府がこの政党間の文書に拘束されるものではないということは、当時の政府も明らかにしてまいっております。今日まで同じ考えでございます。

旅券の渡航先の記載の変更とかチャーター便に関する航空当局間の協議、こんなことがその三党合意の後実現を見ている点でございまして、政府としても、三党間の合意の中で可能なものは実現していくという姿勢で対応をしてきているということであります。

今回、また新党さきがけを含めて三党、これは日本側の三党、政府・与党三党でございますが、訪朝の議論が始まっているようでございます。これはこれで米朝合意という全く新しい情勢を踏まえて、日朝交渉を再開するかどうかという大きな課題も控えております。その中で与党三党の代表が北朝鮮に行くということは大変意義のあることだ。そしてかつての三党合意、まあ自民党と社会党は過去の経緯がございますから全くそのことに関係なしとは言えないと思いますが、全体としては世界情勢の中で大きく北朝鮮も姿勢が変わってきていることでありますから、そこを評価しながら訪朝をしようということに当然なってきているのだと思います。

そういう意味では、かつての三党合意、共同宣言をはるかに超える新しい事態に、この連立与党の三党が北朝鮮と真剣に話し合いの糸口をつかんでくるということになるのではないか。そういう意味で期待をいたしたいと思いますし、野党の改革の方もぜひ御努力をいただくことが党派を超えて意味があるというふうに思うぐらいであります。

[088]
改革(会派) 竹内譲
これは非常に重大な御認識だったと私は思っております。また、北朝鮮に対しても非常に重大なメッセージを発したであろうというふうに私は理解をしております。

要するに、三党合意に盛られた、植民地時代と戦後45年間の国交不正常という損失に対する日本の公式の謝罪と償いというものに対しては、これは枠組みが変わったのだ、だから、北朝鮮が改めてこれを要求してきてもこれはのまないということだと思います。これは非常に重大なメッーセージだというふうに理解いたしました。





平成06年11月28日 衆議院 外務委員会
[067]
改革(会派) 柴野たいぞう
それでは、こればかりやっても長くなりますので、北朝鮮問題につきましてお伺いしたいと思うのですが、先般の米朝合意によって大きな進捗を見たところですが、90年9月の金丸訪朝時に行われました三党による、自民党、社会党、朝鮮労働党による、いわゆる戦後45年間も償いの対象とした共同宣言は、今後の北朝鮮との交渉においてどのように取り扱うつもりなのか、そしてまた、その三党共同宣言は、北朝鮮側はどういうふうに認識しているのか。

そしてまた、今回、自民党、社会党、与党になりまして、まさにそういった意味では公党間の約束事が、参加した党は与党を形成しているわけでございまして、この約束事は日本政府に対して直接、間接にどのような影響、拘束力をもたらすのかについてお伺いしたいと思います。

[068]
政府委員(外務省アジア局長) 川島裕
当時からの経緯について若干説明させていただきたいと思います。

今申されました三党共同声明でございますけれども、これはあくまでも政党間の文書でございますので、政府に対してこれは法的義務を課すものではないという認識に立って現在まで来ております。

それで、当時の三党共同声明で若干物が前に動いた部分もございます。通信衛生の利用とか。チャーター便を動かすようになったとか、等々がございますのですけれども、一番、当時問題と私ども考えましたのは、戦後45年の朝鮮人民が受けた損失について償う云々というところがございまして、そういうところとか、やはりその後、日朝国交正常化交渉が始まったわけでございますけれども、私どもがその交渉の中でやってきた基本的なスタンスというものは、三党共同声明とはかなり異なる形でやってきております。

その後、今かれこれ2年ばかり中断しておりますけれども、この間、若干非公式なやりとりでございますけれども、北朝鮮側からは、やはり日本側がこの金丸訪朝当時の三党共同宣言のラインに戻るべきである、それが交渉を動かす道であるというような感じを、時たま伝わってくることがございますけれども、いずれにいたしましても、政府側としては、今、仮に正常化交渉が再開されました場合には、この三党共同声明とは違って従来からとってきた姿勢によって対応する所存でございます。





平成08年04月09日 衆議院 予算委員会
[111]
新進党 米田建三
第十八富士山丸と申しますと、御案内のとおり、83年の11月に、たまさかその船に北朝鮮からの亡命兵士が密航しておったということで、北朝鮮へその船がまた行ったときにスパイ容疑で逮捕され、実に7年もその船長さんと機関長さんが抑留をされた、そういう民主主義国家では信じられない事件であったわけであります。





平成14年04月02日 衆議院 安全保障委員会
[168]
民主党(国民民主党) 渡辺周
これは日朝交渉の問題の中であって、これが出てきて足かせになっているのじゃないかと言われている、金丸訪朝団が1990年9月28日、行かれたとき、当時の自民党副総裁金丸信氏らが社会党の田辺誠衆議院議員と行きました。朝鮮労働党と覚書を交わした。この三党が覚書をして、その中にいろいろな、北朝鮮の人民に与えた損害に対して十分に償うことを認めるというような文言があるわけでありますけれども、この点について、この文章というものが、この共同宣言が今どのような位置づけにされているか、その点、最後、お尋ねをしたいと思います。

[169]
政府参考人(外務省アジア大洋州局長) 田中均
委員御指摘の文書というのは、90年の9月に、金丸信先生、それから日本社会党の田辺誠先生、いわゆる政党、自由民主党と日本社会党という形で覚書に署名をされているということでございます。

これは、相手は北朝鮮の労働党ということでございまして、政党間の文書でございますから、今それが有効か無効かというような議論を私どもがする立場にはございません。

政府としてそれに拘束されるというものではないというふうに考えております。

[170]
民主党(国民民主党) 渡辺周
今、政府としてそれに拘束されることはないと言いましたが、過去の幾つかの日朝交渉、本交渉を見てきますと、必ずこの謝罪について、それと賠償という、償いという言葉が出てくるわけであります。

これ以上もう償いということが、我々が理解している償いとは違うわけでありますけれども、北朝鮮側はそれを持ち出す。

つまり、すべてにおいて、ここにある、十分に償うことを認める、この文言が、今後、日朝交渉の問題の中で必ずや北朝鮮側が出してくる問題であろう。なぜこの文章を書いたかということについて、またこれはぜひ次の機会にやりたいと思います。





平成16年03月18日 衆議院 本会議
[005]
民主党(国民民主党) 小沢一郎
ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員池田行彦さんは、去る1月28日、66歳で逝去されました。政界の重鎮として、ますますの御活躍が期待された矢先、いかに天命とは申せ、貴方を失いましたことは、痛恨の極みであります。ましてや、紀子夫人をはじめ御家族皆様の御心情は、いかばかりかと存じ、お慰め申し上げる術もありません。

ここに、私は、皆様の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べます。(拍手)

私は、貴方の訃報を知り、深い悲しみと共に真っ先に思い出したことは、平成2年10月、私が幹事長、貴方が副幹事長として北朝鮮を一緒に訪問したときのことであります。

当時、第十八富士山丸が北朝鮮側に拿捕され、紅粉船長と機関長の2人が人質として抑留されておりました。私は、2人の釈放を求める交渉を、池田さんに全面、お任せしたのであります。

交渉は夜を徹して行われ、北朝鮮側は、紅粉船長らをスパイ行為などをした犯人だとし、「犯罪を犯し北朝鮮の法を破った。」「日本側代表団が「謝意文」に明記しなければ、引き渡さない。」と、強い態度で迫ってきました。

貴方は、「真実でないことを書面にすることは、紅粉船長らの名誉を傷つけるだけではなく、日本国の主権が侵されることになる。」と反論し、「不条理な主張を続けるなら、これ以上の交渉には応じられない。」と突っ撥ねました。この毅然とした態度に北朝鮮側は驚き、それまでの態度を一変させて数時間後には2人の釈放に応じ、我々は、紅粉船長と栗浦機関長を連れ戻すことに成功したのであります。この時に示された先生の、日本国を代表する政治家としての、毅然たる姿勢と見識を改めて今思いおこしております。(拍手)