米軍撤退と南沙諸島 ~ スービック海軍基地 クラーク空軍基地

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平成07年02月21日 衆議院 予算委員会第二分科会
[141]
新党さきがけ 前原誠司
現在、南沙諸島の問題について、フィリピンが領有権を主張していたミスチーフ岩礁というところに中国が建造物をつくったということで、南沙諸島の緊張感が高まっているのは御承知のとおりでございます。

これについては中国側は、海南省が、地方政府が勝手にやったことであって中央政府は存じ上げていない、そういう見解で、いわゆる中央と地方の二重構造ということでフィリピン政府には説明をしているわけでございますけれども、こういった問題については、多分中央政府が積極的に関与してやっている問題であると思います。

この南沙諸島の問題については、今までも非常に領土の問題で、マレーシア、フィリピン、ベトナム、台湾、ブルネイ、そして中国、こういったところが複雑に絡み合って、棚上げをしようということでありますけれども、南沙諸島よりもより近い海域でベトナムがいわゆる資源の採掘の調査をしたりとか、あるいは今回の事態とかいうことで、非常に中国の行動には目に余るものがあるというふうに私は思っております。





平成07年11月08日 参議院 国際問題に関する調査会
[004]
政府委員(防衛庁参事官) 小池寛治
南沙群島の領有権をめぐる問題については、現在、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア及びブルネイが全部または一部の領有権を主張しております。

同群島をめぐっては、88年に中越海軍が武力衝突し一時緊張が高まりましたが、その後は大きな武力衝突は発生しておりません。

しかし、92年には先ほどの中国領海法が施行されたことに関係国が強く反発したり、あるいは最近では中国がミスチーフ礁に建造物を構築したことによって緊張が高まりました。

他方、92年7月にASEAN外相会議においで南沙群島問題の平和的手段による解決などを盛り込んだ南シナ海に関するASEAN宣言が採択され、92年11月には中越間で領土問題を平和的に解決することで合意するなど、この問題の平和的解決を目指す動きも見られます。しかしながら、関係各国の協議にはまだ大きな進展は見られず、解決のめどは立っていないというのが現状でございます。





平成08年05月22日 参議院 国際問題に関する調査会
[019]
日本共産党 上田耕一郎
例えばフィリピンは数年前にアメリカとの間の軍事基地協定を上院が廃棄した。時代錯誤だというので廃棄したんですね。それで、フィリピンは非同盟諸国首脳会議に参加しましたけれども、スービック基地、クラーク基地は今や経済発展の特別な地域として非常に大きな役割を果たしていて、フィリピンがアメリカと軍事基地提供をやめても、何もアジアに危険なことは一つも起きませんでしたよね。

日本としては、みずからそういう軍事同盟のない世界を目指しながら、今おっしゃった北朝鮮の問題あるいは台湾の問題についても平和的解決のために日本として当然努力すべきだ、そう思います。





平成09年02月20日 衆議院 法務委員会
[051]
新進党 西村眞悟
中国の海洋における戦略、これは第三者のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙、昨年11月から抜粋した「国際情勢資料」という中にあります。これを御紹介しましょう。南シナ海における中国の海洋戦略についてこれは書いてあります。

95年初め、中国はASEANの中で最も軍事力の弱い国の一つであるフィリピンから約200キロ離れたミスチーフ岩礁を占領した。一部のアナリストたちはこの行動を、貴重な石油・天然ガス資源および漁場を確保することを狙った南シナ海へのなし崩しの拡張戦略の一環だとみなした。この岩礁はスプラトリー諸島のうち、フィリピンが領有権を主張する部分にある。

フィリピンは中国の占領行動を非難し、他のASEAN加盟国もフィリピンを支持した。

4行飛ばしまして、

5月、中国政府は中国南部沿岸と南シナ海北部のパラセル諸島周辺の領海の範囲を規定した宣言を発表した。中国の部隊はパラセル諸島を占領した。同諸島についてはベトナムも主権を主張している。アナリストたちは、この宣言により、中国の主権下の海洋の面積は現在の37万平方キロから約300万平方キロに拡大するだろうと語っている

これが南シナ海における中国の戦略でございます。



※インターナショナル・ヘラルド・トリビューン





平成14年06月06日 衆議院 憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会
[057]
参考人(杏林大学総合政策学部教授) 田久保忠衛
私は、抑止力という考え方、だれがいつどこから攻めてくるか、それに対してどのくらいの兵力があればいいかという数字以外に、抑止というものがあるんじゃないかと思うんです。これは目に見えませんので漠たる話なんですけれども、在日米軍がいるためにどのくらいの抑止力があるか、これは数字があればはっきりすると思うんでございます。

フィリピンから米軍が、スービック湾とクラーク基地から引き揚げた。その途端にあの周辺に中国の海軍がだあっと、80年代まで西沙諸島に活躍したのが南沙に出てきた。ついに、ミスチーフ環礁なんというのはほとんどが中国に事実上分捕られちゃったんじゃないでしょうか。

こういうところから考えると、あそこに米軍がいたときの方がフィリピンは安泰だった、安定していたんじゃないかなというふうに考えております。





平成22年10月08日 参議院 本会議
[015]
自由民主党 岸信夫
今やGDPが日本を抜くと言われる中国は覇権主義の国であります。国防費は過去5年で2倍以上、過去21年では22倍となっています。中国の海洋進出は建国以来の大戦略と言われており、実際、フィリピン・スービック基地からの米軍撤退後、軍事力を背景に西沙諸島や南沙諸島に進出してきています。日本は、明確な国家戦略を持ってこの隣人に向かい合っていかねばなりません。決して譲ってはならないのです。





平成22年10月14日 参議院 予算委員会
[333]
自由民主党 猪口邦子
それで、次でございますけれども、そもそもアメリカの海軍力、これが減退したり撤退したところ、ここに中国の海洋勢力としての勢力拡大が図られてきたと、こういう関係性を見ることができます。

古くは、ベトナム沖に西沙というの、パラセル諸島がありますけれども、これは、ベトナム戦争でアメリカが撤退したもう直ちに直後にこれを中国は実効支配しています。

南沙についても、フィリピンからスービック海軍基地、アメリカの海軍基地が撤退した直後にやはりここを実効支配していると。

民主党政権の中で日米関係が普天間の移設問題などを含めて不安定化することが遠景である可能性がありますけれども、そういうことについて御理解されていますでしょうか。

是非、日米関係を基軸とした外交を元に戻していかないと、このような歴史的な事例もございますということを総理に指摘して、伺いたいと思います。



[339]
内閣総理大臣 菅直人
先ほど猪口さん、割と重要なことを言われまして、中国は米国の制海能力の減退の時期に勢力拡大を図っているということを言われました。私も所信表明の中で、中国の台頭、そして海軍力を始めとする国防力の拡大の不透明さ、またインド洋から東シナ海への海洋活動についての懸念、こういうことは申し上げました

そういう中で、中国に対する見方ということ、今、前原大臣からもありましたが、今まさに歴史的な分水嶺とも言える時代がやってきていると、場合によったら100年単位ではなくて1000年単位の大きな変化が起きていると言っても言い過ぎではないと思っております。





平成23年08月10日 衆議院 決算行政監視委員会
[092]
自由民主党 村上誠一郎
今、中国は南シナ海でこん棒外交を行っているというような記事があります。簡単に申し上げれば、ベトナムとフィリピンは中国にじゅうりんされているわけであります。

特にフィリピンは、御承知のように、1992年にアメリカのスビック海軍、クラーク空軍両基地を議会の要請で引き揚げました。その間隙をついて、あっという間に南沙諸島と西沙諸島に来ております。

そしてまたベトナムも、あれだけアメリカと激しい戦いをしたにもかかわらず、一番今頼りにしているのがアメリカであります。

そしてまた、この南シナ海の危機で同盟強化が求められるわけですが、沖縄の普天間基地から県外、国外移設を叫んでいた民主党政権が、尖閣諸島で中国漁船の体当たり事件が発生した後、同諸島を日本の安保条約の対象とすることを公言してほしいと米国に泣きついたこととよく類似していると思いますが、松本さんはどのような見解を持っていますか。

[093]
外務大臣 松本剛明
どの部分に御答弁を申し上げていいのかわかりませんけれども、日米の安保条約の解釈については、日米間での認識の一致が改めて表明されたものだというふうに考えております。

南シナ海の問題につきましては、私どもとしても、航行の自由の観点、そしてまた国際法が遵守されるべきという観点から、先般のASEAN関連外相会合におけるARFなどでも議論が行われ、私どもの主張を申し上げてきたところであり、また、そういった主張が地域においても受け入れられつつある状況だというふうに理解をしております。





平成24年03月22日 参議院 予算委員会公聴会
[158]
自由民主党 青木一彦
今、先生お話しされました国境離島、私は地元が島根県であります。島根県は竹島を抱えております。先ほど来お話がある中で、例えば国境離島に自衛隊の分屯地を置くとか、何かしらやはり手だてを打っていかなければ、私はなし崩しになってしまうんじゃないかという危惧を抱いております。

その辺を含めまして、白石先生、岡本先生の御意見を伺いたいと思います。

[159]
公述人(政策研究大学院大学学長) 白石隆
実は、南シナ海を見ますと、フィリピンであるとかベトナムは、一種の、英語でポイズン・シュリンプというふうに毒を持ったエビというふうな言い方もしますけれども、非常に小さい部隊を離島に置いて、中国が実力でその実効的支配を打ち立てようとするとこれが戦争行為になるという、そういう戦略を取っております。これはもうやっぱり小国の場合にはこういうことをやらざるを得ないんだろうと思います。

日本の場合に果たしてそれをすることが賢明かどうかということは、これはかなり政府として慎重に検討した方がいいと思いますが、鍵はやはり実効的支配ということでございますので、海上保安庁及び海上自衛隊の力、能力によって実効的支配が維持できるのであれば、それがやっぱり正道であろうと、その上で必要な場合には先生が言われたような措置も考慮に値するんではないかというふうに考えております。

[160]
公述人(岡本アソシエイツ代表) 岡本行夫
例えば、尖閣への自衛隊の駐留というのは、現在の日中関係から見ればいささか刺激的に過ぎるやり方だと思います。それ以前に、海上保安庁の能力を抜本的に増強して、そして国土を保全する、防衛する意思をきちっと中国に伝えるということがまず先決であろうかと存じます。

中国は、これまで軍事的な空白ができるとそこに押し込んできました。アメリカが、74年でございますが、ベトナムから撤退いたしますと、それまでベトナムと係争していたスプラトリー諸島を軍事制圧いたしました。

その後、アメリカに代わってベトナムに入ったロシア、これも1980年代の半ばに撤退いたしますが、そうしますと、中国はすかさず、これもベトナムと争っていたジョンソン環礁をベトナム側に70名の戦死者を出させて軍事的に奪取をいたしました。

92年にはアメリカがフィリピンから撤退いたしました。その2年後には、中国は、今度はフィリピンと係争していたミスチーフ環礁を軍事的に掌握をいたしました。

ですから、仮にも沖縄が不安定化してくる、米軍がそこから撤退せざるを得ないような状況になってくれば、中国は私はすかさず尖閣あるいは第一列島線周辺のプレゼンスをうんと強めてくると思います。

そのような意味でも、先般来同じようなお答えになりますけれども、私はまず、アメリカとのきちっとした関係を維持していくことがまず先決だと思っております。





平成24年06月11日 衆議院 決算行政監視委員会
[002]
参考人(東海大学海洋学部教授) 山田吉彦
2010年9月7日、中国漁船による衝突事件がありました。皆さんも御存じのとおり、海上保安庁の巡視船に対して体当たりをするという事件でございます。この後、中国はどのような行動をとってきたのか。

漁船の体当たり事件は、まずは漁船による領海侵犯、不法操業であったわけですが、その次には漁業監視船による領海侵犯を行い、そして、本年に入りまして、中国国家海洋局の管理いたします海監という海洋調査船、海洋監視船による領海侵犯を行い、しかも定期的、恒常的な警備活動であるということを言っております。

中国は、一つ一つ段取りを踏み、日本の島に近づいてきております。

では、これからどのようなことが考えられるかといいますと、フィリピンの例をとります。かつて、フィリピンが領有権を主張しますミスチーフ岩礁におきましては、漁船が緊急避難という名目で入り、あっという間に人民解放軍が入り、ミスチーフ岩礁自体を要塞化してしまい、中国の領土であると主張し始めております。

そのようなことがこの尖閣諸島ではないということは全く言えません。今までの流れを考えていきますと、当然、次のステップは島に上陸するということになります。





平成24年08月27日 参議院 予算委員会
[008]
民主党(国民民主党) 石井一
前内閣でこの基地を県外、国外ということを言うたために、大変な迷走をすることになった。しかし、なぜ迷走したのか。県外、国外がどこかということを決めずにその発言があったからだと思うんで、私は動きましたよ。

まず、フィリピン行った。まあ委員長もそれで辞めないかぬようになったけど。けどね、仕事はしていますよ。私はアキノ大統領と直接議論をやり、そして、今フィリピンは中国の脅威に困っていますよ。スカボロー礁、あのフィリピン領土に対してどれだけの中国の攻撃が加わっておるか。

今、フィリピンは日米との協力を求めていますよ。基地を、スービック、クラークをなくしたけど、何とかこの危機を脱したいと。そういう気持ちに駆られて、あらゆる協力をするということを言ってくれておる。憲法上の制約はあるが、やろうという意思はある。





平成25年04月05日 衆議院 外務委員会
[028]
民主党(国民民主党) 長島昭久
私の知る限り、中国側は執拗に、これからも、これまでも、これを棚上げしよう、まず紛争があることを認めろ、そしてそれを棚上げしよう、そして最後は共同管理、これは実は中国の常套手段でありまして、私は、この棚上げという提案というのは、結局は中国側の時間稼ぎに使われるだけだというふうに思いますので、そこはぜひ毅然とした対応を貫いていただきたい。

実際、もし仮に中国側の認識として棚上げをしていたとしても、最初におろしたのは実は20年前なんですね。1992年に領海法を彼らが勝手に制定して、公布して、施行しました。このときは、尖閣も台湾も、そして南シナ海のほぼ全域をみずからの領土に指定して、しかも、この領海法の14条では、中国の法律に違反した外国船舶に対する緊急追跡権を規定して、その実施に当たっては軍用船舶や軍用航空機を使用することを明記している。

こういうとんでもない法律を、彼らがまず20年前に制定している。棚上げをおろしたと言うのだったら、実は彼らが先におろしているのでありまして、その点もぜひ外交交渉の中でしっかりお述べになっていただきたいと思います。

例えば、フィリピンとの間で問題になっているミスチーフ環礁ですね、1991年にフィリピンから米軍基地が全部撤去されました。クラーク空軍基地を初めスービック海軍基地、これが全部撤去されたら、翌年にこの領海法をつくって、そして95年にミスチーフを軍事占領していくわけですけれども、その前に、実はトウショウヘイ氏は、二度にわたってフィリピンに棚上げの提案をしているんですね。

74年、当時のマルコス大統領、88年、当時のコラソン・アキノ大統領、今のアキノ大統領のお母さんですね、この2人に、ミスチーフ環礁については棚上げしようじゃないか、こういう提案をし、フィリピンをその周辺から排除しながら、95年に、アメリカ軍がいなくなったところを、まさに力の空白を埋める形で出ていって、軍事占領している。

こういう状況ですから、私は、尖閣周辺、今、本当に厳しい状況の中で海上保安庁の皆さんも頑張っていただいておりますが、ぜひ外務大臣も、まさに踏ん張っていただく、その先頭に立っていただきたい、このように思っています。

この尖閣諸島をめぐる中国のチャレンジでありますが、一つは、日本の実効支配に対するチャレンジが続いているわけですけれども、安全保障の観点から、この尖閣に対するチャレンジを外務大臣としてどうごらんになっているか、御答弁いただきたいと思います。

[029]
外務大臣 岸田文雄
こうした中国の海洋進出につきましては、我が国のみならず、東シナ海、そしてASEAN諸国を初め多くの国々にとっても共通の懸念事項だと認識をしています。

海洋というのは公共財であります。ぜひ、こうした海洋における平和と安定については、力ではなくして、法の支配によって安定を求めていかなければならない、こうした考えのもと、力による現状変更については、しっかりと各国が連携しながら、こうした動きをエスカレートさせないように働きかけていかなければならないと存じます。こうした力による現状変更、海洋進出というものは、地域の安全保障にとりましても大きな懸念事項になる、このように考えています。





平成25年11月08日 衆議院 外務委員会
[026]
民主党(国民民主党) 玄葉光一郎
おとといの委員会でも出ておりましたが、一度、中国の海洋進出の状況を、南シナ海と東シナ海について、歴史的にこの外務委員会できちっと説明をしてもらいたいというふうに思います。

[027]
政府参考人(外務省大臣官房審議官) 金杉憲治
お答えいたします。

まず、南シナ海についてでございますが、1950年代から、中国は、いわゆる9つの破線の内側の海域に関して主権を有しているという主張を開始いたしました。

それを踏まえまして、例えば西沙諸島に関しましては、1954年にフランスが西沙諸島から撤退した後、56年には西沙諸島の東側を事実上支配いたしました。そして、74年には、ベトナムと交戦をして、西沙諸島全域を事実上支配するに至っております。

続きまして、南シナ海、南沙諸島ですけれども、南沙諸島に関しましては、90年にソ連海軍がベトナムのカムラン湾から撤退を開始し、91年から92年にかけて米軍がフィリピンのクラーク空軍基地、スービック海軍基地から撤退を開始した後、95年から、漁民の避難施設を名目に南沙諸島のミスチーフ礁に構造物を設置いたしました。これが、99年ごろまでには、ヘリポートも備えた恒久的な施設に増強されております。

それから、中沙諸島でございますけれども、2012年の4月にスカボロー礁海域を航行していた中国漁船に対してフィリピン海軍が臨検を実施して以降、中国公船が当該海域に常駐する状況になっているということでございます。

そして、こうした一連の動きの中では、中国の公船や海軍の艦艇がベトナムやフィリピンの漁船に発砲するといった事案も生じております。

さらに、中国による管轄権の強化という観点からは、中国は92年にいわゆる領海法を制定いたしまして、南シナ海の東沙、西沙、中沙、南沙の各諸島、さらには尖閣諸島も中国の領土だという表明をしております。

さらに、2012年には、西沙、中沙、南沙及びその海域を管轄する三沙市というのを設置したということは先生御承知のとおりでございます。

それから、東シナ海でございますが、今御答弁申し上げたのと重複を避けて申し上げれば、まず中国の海上法執行機関の動向として、特に90年代以降から、日本の排他的経済水域において中国の海洋調査船が日本の同意を得ない調査を行うという事例が確認をされ始めました。

また、2008年12月には、中国の国家海洋局所属の公船2隻が尖閣諸島周辺海域に初めて侵入をし、その後、現在に至るまで合計71回に及ぶ領海侵入が発生しております。

また、人民解放軍の動向としましては、2004年11月に中国の原子力潜水艦が国際法違反となる我が国領海内での潜没航行を行ったほか、2008年11月には、海軍の艦艇4隻が沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に進出したことが初めて確認をされております。その後、同様に南西諸島を通過して太平洋に進出する回数というのが年を追うごとに増加しているという状況にございます。

加えて、中国のヘリコプターや固定翼機が海自艦艇に近接飛行を行ったり、あるいは火器管制レーダーが照射されたりといった事案が発生していることは先生もよく御承知のとおりでございます。

以上でございます。





平成26年03月27日 参議院 外交防衛委員会
[090]
みんなの党 中西健治
これまでの中国の海洋進出の過去の事例を見てみますと、アメリカのベトナムからの撤退を機に西沙群島に、ソ連のカムラン湾からの撤退を機に南沙群島西側に、アメリカのフィリピンからの撤退を機に南沙群島の東側にと、力の空白区が生じた隙を狙って進出してきているのではないかというふうに思われます。

そこでお聞きしたいんですが、2015年末に予定されております米軍から韓国軍への戦時統制権、指揮権の転換、及び韓国が自主防衛力量を備えた時点での米軍による、今持っている、今ある補完能力を引き揚げてしまうということ等について、我が国の防衛の観点からの認識をお伺いしたいと思います。

[091]
防衛大臣 小野寺五典
委員が御指摘のように、例えば中国による南シナ海への進出については、1973年に米軍が旧南ベトナムから撤退した後、翌1974年に旧南ベトナムとの軍事衝突を経て西沙諸島を事実上支配をしたということ、1980年代に旧ソ連のベトナムに対する軍事支援及びプレゼンスが低下する中、1988年にベトナムとの軍事衝突を経て南沙諸島の一部の岩礁を事実上支配したということ、1992年に米軍がフィリピンから撤退した後、1995年に南沙諸島のミスチーフ礁を事実上支配するなど、力の空白が出たタイミングで徐々に進められたというふうに承知をしております。

昨年、私は、ベトナムのカムラン湾、それからフィリピンのスービックを視察をしまして、現地から、この力の空白の後の中国の南シナ海への進出の状況について現地で確認をさせていただきました。こういう中国の軍事動向については、私ども、大変強い関心を持って注視をしております。

今委員が御指摘になりました戦時作戦統制権の米韓連合軍司令部からの韓国軍への移管につきましては、これは現在、米韓政府間で今後とも協議が継続されていくものと承知をしておりますが、いずれにしても、米国は、国防戦略指針や先日発表されましたQDRに見られるように、アジア太平洋地域を重視し、同地域におけるプレゼンスを強化するという方針を継続をしております。

いずれにしても、今、日米韓で様々、北の問題を含めて協議が行われる環境は整いつつありますが、今後の米韓のこの状況についても注視をしていくことが必要だと思っております。





平成26年04月22日 参議院 外交防衛委員会
[236]
日本維新の会 アントニオ猪木
次に、フィリピンの米軍撤退が周辺地域にどのような影響を与えたか、お聞きしたいと思います。

かつて、スービック海軍基地とクラーク空軍基地はアメリカ国外の米軍基地としては世界最大を誇っていました。1991年に米軍はこの2つの基地から撤退しましたが、フィリピンやその周辺にどのような影響を与えたのか、お聞かせください。

[237]
政府参考人(防衛省防衛政策局長) 徳地秀士
お答え申し上げます。

フィリピンにおきましては、御指摘のとおり、かつてスービックの海軍基地、それからクラーク空軍基地などの米軍基地が存在をしておりました。しかしながら、1991年でございますけれども、クラーク基地の方は火山の噴火によってこれは使用不能ということになっております。それから、スービック海軍基地でございますけれども、使用期限の延長を含む条約案がフィリピンの議会の上院において否決をされたということもございました。これを受けて米軍の方はフィリピンから撤収を開始をいたしまして、1992年に撤収を完了したというふうに我々は承知をしております。

そして、御質問の、この米軍の撤収がフィリピンや周辺地域にどのような影響を与えたかということですけれども、一概に確たることを申し上げることは困難ではございますけれども、事実だけ申し上げますと、この米軍撤収後の1995年でございますが、中国が南沙諸島のミスチーフ礁を事実上支配したということ、このような動きを含めまして、中国は力の空白が生じたタイミングで南シナ海への進出を徐々に進めてきたと、こういうことがよく指摘をされておるわけでございます。





平成27年06月05日 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[184]
民主党(国民民主党) 長島昭久
皆さんの3ページにまた戻っていただきたいんですが、1992年に在比米軍が撤退をしました。クラーク、スービック両基地からアメリカ軍が撤退をした。その直後、このクロノロジーには書いてありませんが、中国が領海法というのを制定するんですね。公布するんです。

この中国の領海法に基づいていわゆる九段線、今、中国が盛んに人工島を埋め立てているこの地域ですね、この九段線が決められるわけですね。

もっと言えば、九段線というのが先にあって、それを後追いで領海法で、これは全部うちの領域だ、こういうふうに言ったわけですが、日本政府はこの領海法のエリアが中国の領海であるということを認めているんでしょうか、外務大臣。

[185]
外務大臣 岸田文雄
九段線に関する我が国の立場ですが、この九段線に関しましては、中国側から法的な根拠等、詳細な説明は受けておりません。

我が国の現在の立場は、中国側に対しまして、中国側の主張をしっかりと法的に説明するように求めている、これが我が国の現状の立場であります。

[186]
民主党(国民民主党) 長島昭久
この場で、認めていないということを断言することはできないんでしょうか。

[187]
外務大臣 岸田文雄
今現在の我が国の立場、考え方は、今申し上げたとおりであります。現状は、今、その段階にとどまっております。





平成27年07月01日 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[119]
自由民主党 笹川博義
最後に、力の空白に入りますが、実はこれは竹島の問題であります。

これは、1952年、韓国が海洋主権宣言を行ってから事態が発展をし、そして1954年に、韓国が竹島に武装部隊を上陸させて占拠した。ちなみに、憲法は昭和22年に制定をされ、第9条は存在しておりました。ただ、ここで存在していなかったのは自衛隊であります。

そしてまた、フィリピンにおいても、1992年に米軍が完全撤退した後に、ミスチーフ環礁が中国軍によって占領された。

ここにいわゆる力の空白というものがあったときにどういう事態を招くかということだと思います。





平成27年07月08日 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[625]
参考人(慶應義塾大学法学部教授) 細谷雄一
まず、抑止と、あと外交の関係なんですが、これは日本ではよく二者択一で考えることが多いと思うんですね。つまり、外交は正しい、あるいは、抑止は間違っている、軍事力は間違っている。ところが、国連事務総長のコフィ・アナン氏は、90年代にこういうことを言っていました。外交によってできることは多くある、しかしながら、十分な軍事力に支えられた外交であればより多くのことができる。

このことは、私は実は10年前に「外交による平和」という本を書きまして、イギリス外交史の本の中で、外交と抑止力をいかにしてうまく組み合わせるかということが重要である、これが、十分な外交交渉がない中で軍事力だけを強化すれば、これは相手の不信感を呼んで、軍拡競争になるわけですね。ところが、十分な外交交渉あるいは外交による平和の努力をした上で、背後に十分な力があれば、それは日本の影響力が高まるということにもなるかもしれないわけですね。

言いかえれば、先ほどポーランドとウクライナの違いをお話ししましたけれども、戦後の歴史を見ても、アメリカの強固な同盟国が周辺国から侵略されるということはほとんどないわけですね、全くないわけではありませんが。それは、ほかの国がアメリカの軍事力を非常に恐れているからということが大きいんだろうと思います。

ところが、今の東アジアで何がやれるか。それは、従来のようなアメリカの圧倒的な力、従来は、アメリカと同盟さえ組んでいれば誰も怖くて手を出さなかった、そういった時代があったわけですね。つまり、抑止というものが専らアメリカの圧倒的な軍事力によって支えられていた時代であった。

ところが、フィリピンのスービック基地から米軍が撤退して力の真空ができたことによって、従来は安定的だった南シナ海において、この力の真空を埋めようとする勢力が活発な海洋行動をとっている。

東シナ海でも同じように、アメリカの影響力が低下すれば、当然ながら、中国を初めとする国々がより影響力を膨張させるということは不思議ではございません。

したがって、東アジアにおいて一つ大きな変化があるとすれば、従来のような、アメリカと同盟さえ組めば日本が何もしなくても平和でいられた、ところが、一定程度の、日本がアメリカと安全保障協力をし、また、日本はオーストラリアなどの諸国とも安全保障協力をすることによって、つまり一国単位の抑止ということではなくて、この安全保障協力をすること自体が、この地域での紛争が起こる可能性というのを恐らく低減していくんだろうと思います。

一国単位で抑止力を持とうとすれば、先ほど申し上げたとおり、膨大な国防費が必要になりますから、そう考えると、専ら重要なのは、いかにして日本が強大な軍事力を持つかということではなくて、軍事費をふやさずとも、安全保障協力を深めることで戦争の可能性を防ぐ。その安全保障協力をするためには、一定程度の、従来とは違った憲法解釈というものが必要なんだろうというふうに考えております。





平成27年07月13日 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[277]
日本共産党 宮本徹
そこで、次に、きょうは南シナ海の問題について取り上げたいと思っております。

この間政府は、本法案が必要になった説明として、パワーバランスが変化したんだ、その中で中国が非常に軍事力をつけた、南シナ海における活動を急速に拡大、活発化しているということを強調されております。南シナ海での中国の進出が軍事的脅威として語られているわけでありますが、きょうは、南シナ海の領有権の争いがどう起きてきたのかという認識を伺っていきたいと思っております。

まず、その大前提として、今、5国1地域が南沙諸島、スプラトリー諸島の領有権を主張しておりますが、これは一体どこの国の領土なのか。南沙諸島の領有権についての政府の立場を端的に述べていただきたいと思います。

[278]
外務大臣 岸田文雄
まず、南シナ海においては、いまだ領有権の確定していない島嶼を含む海域が存在しております。

南沙諸島(※西沙諸島)については、中国、台湾及びベトナムが領有権を主張しております。スカボロー礁については、中国、フィリピン及び台湾が領有権を主張しております。南沙諸島については、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア及びブルネイが領有権を主張しております。

我が国としましては、こうした南シナ海の現状について注視をするとともに、大規模な埋め立てや軍事目的での利用を含めて、現状を変更し緊張を高めるあらゆる一方的な行動について懸念をしております。

各国が、緊張を高める一方的な行動を慎み、法の支配の原則に基づき行動することが重要だと認識をしております。

[279]
日本共産党 宮本徹
ですから、この地域は領有権は確定していないというのが政府の公式な立場でいいということでございますね。

[280]
外務大臣 岸田文雄
冒頭申し上げましたように、いまだ領有権が確定していない海域が存在していると認識をしております。

それから、先ほど答弁の際に、南沙諸島を2回申し上げたようであります。冒頭、中国、台湾、ベトナムで領有権を主張しているのは西沙諸島でございます。訂正しておわびを申し上げます。

[281]
日本共産党 宮本徹
それで、日本政府は領有権についてニュートラルな立場に立っているということだと思います。

そこで、南シナ海における領土問題の歴史を振り返りたいということで、きょうは、私も年表を作成してまいりました。

もともと海上交通の要衝だったところに、フランスが植民地支配を広げる中で、インドシナ半島にまでフランスの支配が及ぶ。そういう中で、この地域に附属する島々としてフランスが主権を求めた。そして、1920年代、30年代にかけては日本とフランスが南沙諸島の帰属を争って、第二次大戦に伴って日本が併合したという歴史かと思いますが、まず、第二次大戦までの経緯、この地域についてお伺いしたいと思います。

[282]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 滝崎成樹
事実関係に関することですので、私の方からお答えいたします。

我が国は、サンフランシスコ平和条約により南沙、西沙諸島に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しており、その帰属先について云々する立場にはないというのがまずは基本的な立場でございます。

その上で、あくまで歴史的な事実関係として、公開情報などに基づいて南沙諸島をめぐる第二次世界大戦までの歴史的経緯につきお答えすれば、以下のとおりになるかと思います。

1910年代の後半から、日本人により燐鉱の収集等の事業が進められていったという経緯があります。そうした中、先ほど委員の方からも御指摘があったように、1933年、フランスが、これら群島が自分の国に属する旨日本政府に通知をしてきました。これに対して日本政府は抗議を行っております。そして、1938年の12月、日本政府は、新南群島と名づけられました南沙諸島の領土編入を閣議決定した、このような経緯がございます。

[283]
日本共産党 宮本徹
それは戦前の経緯です。

日本が領有した後、日本は1945年に戦争に敗れるわけですが、それから、サンフランシスコ講和条約で、先ほどお話があったとおり、正式に領有権を放棄するということになります。

1945年の日本の敗戦後からサンフランシスコ講和条約まで、この地域の領有をめぐってはどのような動きがあったでしょうか。

[284]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 滝崎成樹
まずは、先ほども申し上げたとおり、我が国は、これら諸島に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しているということで、その帰属先について云々する立場にないということを申し上げた上で、歴史的な事実関係というのを申し上げたいと思います。

第二次大戦の終戦後、南シナ海の沿岸国などはそれぞれ、南沙諸島や西沙諸島に対する調査などの活動を行ったものと承知しております。

その後、例えばサンフランシスコ講和会議においては、ベトナムが南沙諸島それから西沙諸島の領有権を主張したのに対しまして、当時のソ連が南沙諸島に対する中華人民共和国の主権を認めるように主張したというふうに承知しております。

そして、こうしたやりとりを経まして、1951年9月に署名されたサンフランシスコ平和条約では、我が国は、南沙、西沙諸島に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄することとなったということです。

ただし、日本が放棄した権利や権原の帰属先については、関係国の間で一致した見解はなく今日に至っているというふうに認識しております。

[285]
日本共産党 宮本徹
私の方も年表をつくりましたけれども、1945年にフランスがいち早くこの島々を占領しますが、すぐ撤収するということになります。

その後、中華民国が1946年までに重立った島々を接収して、48年にいわゆる公式な地図と言われるものを作成して、これが今、U字線と言われるものが描かれているものであります。今、中国が領有権を主張する論拠としているのがその地図になります。

先ほどお話があったとおり、この時期は、いろいろな国が、それぞれが自分の領土だということを主張するということになりました。

そして、ちょっと飛びますけれども、1969年に南シナ海の大陸棚に豊富な石油、ガス資源が埋蔵されていると指摘されてから、ここは権益争いの場になったというふうに言われております。

これ以降、各国が何年ごろからこの南沙諸島での島嶼の占拠、実効支配を進めたのか、ちょっと紹介していただきたいと思います。

[286]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 滝崎成樹
我が国は、南シナ海における領有権問題に関する直接の当事国ではないということから、沿岸国による島嶼の支配の現状、あるいはそこに至る過程について詳細にわたり御説明する立場にはないということをまず申し上げたいと思います。

その上で申し上げれば、例えば1974年には、西沙諸島において中国とベトナムが交戦をし、その結果、中国が西沙諸島の全域を事実上支配下に置くという経緯があったものと認識しております。

また、1988年には、南沙諸島におきまして中国とベトナムが交戦をし、その結果として、中国が南沙諸島のジョンソン南礁を事実上支配下に置くという経緯があったものと承知しております。

さらに、1995年、この年には、フィリピンが実効支配していたミスチーフ礁を中国が占拠し、施設の建設を行ったという経緯があったものと認識しております。

[287]
日本共産党 宮本徹
中国の動きについてだけ紹介されたわけですけれども、私は年表の方をつくっておきましたけれども、1969年以降でいえば、1971年、フィリピン軍がスプラトリー諸島のコータ島、パガサ島に駐留して自国領土に編入する。そして、2年後、南ベトナムが開発事業に乗り出していく。

それから、1974年、先ほど紹介があった中国がパラセル諸島全体を支配下に置いた直後には、ベトナムがスプラトリー諸島の6島、フィリピンが5島を占拠するということになっております。

そして、先ほどあった1988年に、中国がいよいよといいますか、スプラトリー諸島のジョンソン礁に来るというときに緊張関係が高まるということになりましたが、この中で、防衛省の資料を見ますと、ベトナム、フィリピン、マレーシア、台湾などが1980年代から90年代にかけて滑走路をつくるということとなっております。

そして、1998年にはベトナムが2つ、1999年にはフィリピンが2つの島礁を新たに占拠するという経過だというふうに思います。

ちょっと岸田大臣にお伺いしますが、この時期を振り返ってみますと、各国それぞれがいろいろな島を占拠して実効支配を強めてきたという理解でよろしいんですよね。

[288]
外務大臣 岸田文雄
先ほど外務省からも答弁させていただきました。また、委員の方から今御紹介もありました。さまざまな動きがあり、それぞれが領有権を主張した、こうした動きがあったと認識をしております。

[289]
日本共産党 宮本徹
さまざまな動きがあって、さまざまな実効支配が行われたわけですけれども、そういう中で、この緊張の高まりの中、やはりこの地域はこのままじゃよくないということで、何回もいろいろな話し合いが行われてきましたけれども、2002年に、中国とASEAN諸国は南シナ海行動宣言を表明するということになりました。

この南シナ海行動宣言が生まれた経過と中身についても簡単に紹介していただけるでしょうか。

[290]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 滝崎成樹
お答えいたします。

お尋ねのあった南シナ海における関係国の行動に関する宣言は、1995年の中国によるミスチーフ礁占拠をきっかけとして中国による海洋進出に対する国際社会の懸念が高まる中、中国とASEANとの間で交渉されたものです。最終的に、2002年の中国とASEAN首脳会議の機会に採択されたものであると認識しております。

具体的には、以下のような点を合意したものと承知しております。

まず、国連憲章の目的と原則、1982年の国連海洋法条約、その他普遍的に定められた国際法等に対する約束を再確認すること、

2つ目に、南シナ海の航行及び上空通過の自由を尊重すること、

3つ目に、領有権などの争いを国際法の原則に従い平和的手段で解決すること、

さらに4つ目といたしまして、紛争を複雑化、激化させ平和と安定に影響を及ぼす行動を自主的に抑制し、意見の相違を建設的な方法で対処すること、

最後に5つ目といたしまして、南シナ海の行動規範の採択がこの地域における平和と安定をさらに促進することを再確認し、その達成に向けて作業するということとなっております。

[291]
日本共産党 宮本徹
私は、この南シナ海行動宣言は非常に大事だと思うんですよね。平和的手段で、友好的な協議を通じて解決に当たる、そして紛争を複雑化、激化させるような行動は自制すること、そして行動規範をつくっていこうということが確認されたわけです。

岸田大臣もこれは非常に大事な宣言だと思われると思いますが、この南シナ海行動宣言についてはどういう認識でしょうか。

[292]
外務大臣 岸田文雄
地域の平和や安定のために、このDOC、行動宣言は大変重要な宣言であると認識をしております。

そして、これに引き続いて、今、COC、行動規範の議論が行われています。法の支配を重視する立場から、こうした行動規範につきましても、早期に合意されることを我が国として重視しておりますし、早期合意に至るよう呼びかけていきたいと考えます。

[293]
日本共産党 宮本徹
また実際の歴史の経過を引き続き見ますけれども、南シナ海行動宣言に続いて、一旦はこれに基づいて、2005年には、論争棚上げ、共同開発の原則で、海底資源の共同調査の協定が結ばれるということもありましたが、実際はそのとおりうまく進まなかったのは皆さん御承知のとおりであります。

ベトナムとインド、イギリスの企業が海底資源開発に乗り出したことを一つのきっかけに再び衝突が繰り返されて、各国は埋め立てや構造物、滑走路建設を進めていくということになりました。

外務大臣、南シナ海行動宣言以降、どの国・地域がいつ空港をつくったでしょうか。

[294]
政府参考人(外務省大臣官房参事官) 滝崎成樹
事実関係ですので、私の方からお答えさせていただきます。

先ほども申し上げたように、我が国は南シナ海における領有権問題に関する直接の当事者ではないということですので、それを前提に御説明させていただきます。

どのような埋め立てとかあるいは拠点建設をやっているかということですけれども、例えば最近でいえば、中国は、南シナ海において大規模な埋め立てを急速に実施するとともに、滑走路や関連施設の建設などもあわせて進めているというふうに認識しております。

具体的には、中国は、昨年末の時点で約200万平方メートルの埋め立てを行っていたというふうに言われていますけれども、その後の4カ月の間にこれを約800万平方メートルにまで広げたというふうにアメリカの国防省は指摘しているというふうに承知しております。

それから、アメリカのシンクタンクは、中国が例えばファイアリークロス礁というところにおいて3000メートル級の滑走路の建設を進めているということを指摘しているというふうに承知しております。

ほかの国ですけれども、例えばベトナムは、2009年から14年にかけて、約24万平方メートルの埋め立てを行ってきているというふうにアメリカの国防省の関係者は証言しているというふうに承知しております。

さらには、アメリカのシンクタンクは、ベトナムがウエスト礁及びサンド礁において計約8万6000平方メートルの埋め立てを行ったというふうに指摘しているというふうに承知しております。

しかしながら、中国はそれをはるかに上回る規模と速さで埋め立てを実施しているというふうに我々は考えておりまして、我が国としては、大規模かつ急速な埋め立てを含めて、現状を変更して緊張を高めるあらゆる一方的な行動を懸念しているということ、それから、先ほど大臣の方から申し上げましたけれども、法の支配が貫徹されるように、アメリカや他の同志国と緊密に連携していきたいというふうに考えております。

[295]
日本共産党 宮本徹
今、各国の埋め立ての状況が報告されました。一国だけではないということであります。そして、ベトナムや台湾なども、南シナ海行動宣言以降も滑走路をつくる、あるいは延長するということもやっているということであります。

南シナ海行動宣言がありながら、宣言に背く動きがこういう形で起きているということがこの地域の緊張をもたらしているんじゃないかというふうに私は思いますが、そういう認識でしょうか、岸田大臣も。

[296]
外務大臣 岸田文雄
まず、南シナ海は、我が国にとりましても、航行の自由ですとかあるいはシーレーンの確保、こういった観点から重要な関心事項であり、ぜひ外交を通じて平和的に解決を追求していかなければならないと思っていますが、国際社会における法の支配という観点からも、こういった南シナ海の動きを注視していかなければならないと思います。

昨年、シャングリラ・ダイアログにおきまして、安倍総理から、海洋における法の支配三原則というのを発表いたしました。多くの国々から賛同を得たわけですが、

主張するときは国際法に従って主張するべきである、

威圧や力による現状変更は行ってはならない、

あるいは

問題を解決する際には平和的に国際法に従って解決する、

この三原則、ぜひ我が国としては、自身も大事にいたしますが、国際社会においてもしっかり訴えることによってこの地域の平和や安定に貢献していくよう努力をしていきたいと考えます。





平成27年07月28日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[011]
自由民主党 佐藤正久
その中国ですが、中国には一つの考え方として、戦略辺疆という考え方があります。国力に応じて国境は変わるものだと。まさに、第二次世界大戦が終わった後、中国は西の方に行き、チベット、ここに武力侵攻し、自治区にしました。西北に行き、ウイグル、これも自治区にしました。北に行き、内蒙古、これも自治区にしました。全部陸続きです。ところが、今度やっと海軍力が付いたということもあってか、今度は南と東、南シナ海、東シナ海の方にまた進出の今動きがございます。

資料の第1、これを御覧ください。(資料提示)

これは防衛省の資料ですが、中国の南シナ海における進出、1950年代から逐次拡大をしている。まさに、当初フランス軍がベトナムにいました。ベトナムからフランスがいなくなったら、中国は、今度は西沙諸島の方に武力侵攻し、西沙諸島の半分を占領しました。次に、アメリカがベトナムから撤退をしたら、今度は残りの西沙諸島の半分に武力侵攻して、そこを押さえました。

さらに、今度は、カムラン湾からソ連等がいなくなったら、今度はベトナムが領有していた南シナ海の6つの岩礁、これを占領し、さらに、フィリピンからアメリカがいなくなったら、南沙諸島のミスチーフを取ったと。まさに力の空白に応じてどんどん逐次侵攻していった。

残念ながら、ベトナム、集団的自衛権の対象としてベトナムを守るという国はなかった。フィリピン、同じように、アメリカが撤退した後、2つの基地がなくなった後、フィリピンを集団的自衛権として、この進出を守るための対象国、これ、なかなか実質的に動ける国はなかった。なかなかアメリカの抑止も効かないということもあって、どんどんどんどん今、中国は南シナ海に力による現状変更を試みています。

さらに、中国は、さきの防衛白書で方針転換を表明しています。陸軍偏重から海軍重視、海軍を近海から遠洋を含む複合型へ、空軍を領空防護型から攻撃兼ねて防御型へと方針転換をしております。

防衛大臣、これらの中国の最近の動きを見て、御見解をお伺いしたいと思います。

[012]
防衛大臣 中谷元
佐藤委員は力の空白を背景にという言葉を使われましたけれども、まさに中国は、1950年代から70年代にかけまして西沙諸島へ、また80年代以降は南沙諸島へ、力の空白をつく形で南シナ海全域に進出をしてきておりまして、特に近年では、南沙諸島における急速かつ大規模な埋立活動、これを強行するなど、海洋進出をより一層拡大、活発化をさせております。

こうした動きに符合するように、本年5月に中国が発表した中国の軍事戦略によりますと、陸重視、海軽視の伝統的思想を突破をして近代的な海上軍事力体系を建設をするとした上で、海軍戦略を近海防御型から近海防御及び遠海護衛型へ、また空軍戦略を国土防空型から攻防兼備型へ、それぞれシフトをしているとしております。

こうした中国の軍事的動向の背景には、自国の防衛のほか、自国の領有権主張の強化、海洋権益の獲得、海上輸送路の保護などの目標があると考えられまして、中国は、より遠方の海空域における作戦遂行能力の構築に努めつつ、今後とも海洋における活動のより一層の拡大、活発化、これを進めていくものと考えております。

[013]
自由民主党 佐藤正久
ありがとうございます。

中国はまさに海洋進出、この動きを今後とも継続する可能性があるというふうに言われました。これはやっぱり人ごとじゃないんです。

次に、資料2、これをお願いします。

まさに今大臣が指摘されました南シナ海の今7つの岩礁、これを埋め立てております。

そのファイアリークロス礁というものについては、ここにあるように、3000メーター級の滑走路、これが見て取れますように、もうほとんど滑走路あるいは誘導路についてはでき上がっております。また、建物がまだありませんが、十分、まさにこういう形で南シナ海の岩礁に3000メーター級の滑走路、これを中国が持つ。

また、近くの別の岩礁もこれを埋立てをして、既にもう軍艦も寄港するという動きがございます。さらに、今までも、ここにもレーダー施設もある。今後、中国が前から標榜しておりました南シナ海に防空識別圏、こういうものも設定する可能性も否定できないという状況です。

今後、更にこの南シナ海における中国の航空優勢あるいは海上優勢が、これが図られた場合、これは日本の安全保障にも大きな影響が及ぶと考えますが、どのような影響があるか、防衛大臣から御説明願います。

[014]
防衛大臣 中谷元
写真にございますように、中国は、現在埋立て中の地形について軍事利用を認めると公言をしておりまして、今後、港湾、滑走路、レーダー等の軍事施設を建設していく可能性があります。

こうした軍事施設が建設をされた場合に、一般論として申し上げれば、海警のほか、海軍、空軍の南シナ海におけるプレゼンス、これを増大させる可能性があり、南シナ海の安定的利用に対するリスクが増大しかねないなど、我が国への安全保障の影響は否定できないと認識をいたしております。

また、南シナ海全域における中国のA2ADと申し上げますが、これは接近拒否、接続拒否と言いますけれども、これはどういうことかというと、マラッカ海峡などのチョークポイントを経由した米軍等の南シナ海への接近を阻止をする効果、また、南シナ海における米軍等の行動の自由を制限をすることによって中国の海空軍による南シナ海から西太平洋への進出を容易にする効果、つまり接続拒否、こういったことが生ずる可能性があると考えております。

防衛省といたしましては、この南シナ海の情勢が我が国の安全保障に与える影響を注視をしつつ、防衛省としていかなる対応を取っていくか、引き続き検討してまいりたいと考えております。





平成29年05月15日 参議院 決算委員会
[056]
自由民主党 中西哲
次に、これを越えると南シナ海に入っていくんですが、2013年9月にオバマ大統領が、米国は世界の警察官ではないという発言以降、中国が急速にこの南シナ海で、特に南沙諸島において岩礁を埋め立てたと。この埋め立てた地域について中国が今どういう主張を行っているのか、外務省にお聞きいたします。

[057]
政府参考人(外務大臣官房参事官) 志水史雄
お答え申し上げます。

まず、中国政府の主張について日本政府として詳細に御説明する立場にはございませんけれども、その上で申し上げれば、中国は、例えば昨年7月に発表された声明におきまして、南沙諸島を含む南シナ海において、いわゆる九段線を念頭に領土主権、海洋権益等の主張を行っていると承知しております。

なお、昨年7月のフィリピン・中国仲裁裁判におきまして、この仲裁裁判所は、中国が主張する先ほどの九段線の根拠としての歴史的権利については国際法上認められないと判断したものと承知しております。

[058]
自由民主党 中西哲
中国は、ここの岩礁を埋め立てる当初、中国ばかり批判するけどほかの国もやっているじゃないかという主張をしておりました。確かに、この海域、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾などは軍事基地化、一部が軍事基地化している場所もあります。しかしながら、これらの国がその島を占有しているときには余り大きな問題起こっていないんですよね。中国が急に島を占有して基地化していることによって今問題が起きようとしております。

それで、7つの、防衛省は、島という、岩礁を埋め立てただけですから島という表現使っていなくて、7地形のうちで3つの地形で滑走路が完成しているということですが、これは軍事用として供用可能な滑走路かどうか、防衛省にお伺いいたします。

[059]
政府参考人(防衛省防衛政策局長) 前田哲
お答えいたします。

今先生御指摘になりましたように、中国が、南沙諸島にある7つの地形において、2014年以降、急速かつ大規模な埋立活動を強行し、砲台といった軍事施設のほか、滑走路、格納庫、港湾、レーダー施設等、これは軍事目的にも利用し得る各種のインフラ整備を推進しているというふうに見ております。このような中国の行為、一方的な現状変更、そしてその既成事実化を一段と進めようとする行為で、大変懸念をしてございます。

御指摘の滑走路でありますが、7つのうちのファイアリークロス礁、スビ礁、そしてミスチーフ礁において最大で3000メートル級の滑走路がそれぞれ建設をされております。

その上で、ファイアリークロス礁におきましては、これは16年の1月、昨年の1月でございますが、民間航空機による試験飛行がこれは強行されました。そして4月に、去年の4月に、南シナ海哨戒任務中の海軍の哨戒機、これも急患輸送を目的としていますが、ここに着陸しています。スビ礁、ミスチーフ礁においては、16年の、去年の7月に民間航空機による試験飛行が強行されているわけでございます。

これらの滑走路を含む各種インフラ、中国は南沙諸島の軍事利用の可能性をこれは厳密に言うと否定していないと思いますし、戦闘機等各種軍用機を格納可能とされる格納庫、この建設がこれ完成をしたと指摘されていること、さらに、今申しました航空機による試験飛行が強行されたことなどを踏まえますと、御指摘の滑走路を将来的に中国の軍用機が平素から利用する可能性、これはあるのではないかというふうに考えてございます。