成田闘争(成田テロ)と火炎自動車

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昭和52年05月13日 衆議院 地方行政委員会
[127]
自由民主党 高村坂彦
団体等の性格あるいは勢力等を伺ったわけでありますが、いまお話しのごとく、共産革命をやるという目的でできている団体ということになりますと、成田空港でのああした凶器を持っての警察官に対する抵抗といったようなものは、単なる成田空港の完成を阻止するということよりも、これはむしろ一つの名目であって、他に目的を持って、その一つの演習といいますか、そういうふうな動きじゃないかといったような見方をする人もあるわけでございます。

特に第四インターは相当凶器を持っておったということですが、その凶器はどのぐらい持っておったか、おわかりになればそれもあわせてお教えをいただきたいと思います。

[128]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
いまお話しのように、成田において極左暴力集団が行動いたしますのは、いわゆる空港ができることに伴う騒音その他の公害に対する反対というような、今日よくある公害反対闘争ということがねらいではなくて、革命を目標としておりますので、あの空港がやがて軍事目的に使われるのではないか、だから反対するんだ、こういう言い方をしておるわけでございます。

なお、いま御指摘の第四インターがどれだけ凶器を持って行動しておるかということでありますが、これは今日、成田における中核に対応する新興の勢力でありますけれども、先ほど申し述べました5月8日のあの第5ゲート付近での事案だけを取り上げてみますと、ここで準備いたしましたのは鉄パイプが約100本で、火炎びんは500本、トラック2トン車1台分の石、個数において約1万個並びに劇薬クロルピクリン、これはこれを吸い込むと窒息するわけですが、これが数10本、それから自動車に火炎びんを積んで暴走させるいわゆる火炎自動車あるいは火炎車というわけでありますが、これが2台というのが現場において現認をし確認をした数でございます。



[190]
日本社会党(社会民主党) 小川国彦
この内容は、私は当然あなたは明らかに発表すべきだと思うのですよ。少なくともこういう装備のものについてどういうものが警察によって使われているかということを国民が知ることによって、その威迫も増すであろうし、あるいはまたそのものの理解も深めるであろうしすると思うのですよ。それをあなた方がそういうことを知らせずに、言うならば赤の、これは80グラムあるのですが、全管プラスチック製ですね。これは明らかに殺傷力を増す。これよりも殺傷力を増すために改良して製造されたものだ、こういうふうに理解せざるを得ないのですよ。ですから、あなた方がこれについての性能とそれから入れる粉末その他のガスの容量と、それからこれの容量と入らないものと、その内容をやはり明らかにしなければ、とても国民は安心して警察に治安を任せるなんということはできませんよ。その点の性能はやはり私は当然公表すべきだ。

[191]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
そのガスの性能その他の細部のことでございますけれども、あの事態、5月8日の事態をごらんいただいてもおわかりかと思いますけれども、相手方は集団で、いわば法に拘束されないで、むき出しの暴力を、武器を行使して攻撃してくる。火炎びんをどんどん投げてくる。火炎びんは1発投げられても大変でありますけれども、5月9日の様子でもおわかりのように、この集中攻撃を受けることによって大変な事態に陥っておる、こういうことが現実にあるわけでございます。しかもこれが集団でやってくるということでありますし、当日あの現場だけでも500本も220名の部隊に投げられておる、こういう事態であります。

これに対応する警察の措置は何かと言いますと、大盾と警棒なんですね。それとガスということであります。大盾はなるほど石に対しては、それは身を守ることに役立ちます。しかし火炎びんのような、そこで当たって割れて油がかかって火がつく、こういうようなものに対しては、大盾はなかなか威力を発揮しないというようなところは、われわれとしては難点でございます。そうすると放水車ということでございますが、放水車はこれは部隊装備でございまして、そんなに数があるわけではありませんから、その部隊に1つあるいは何台ということを、あらかじめここは大変だろうというところに配置するわけでございまして、この場合も放水車を1台持っていきましたけれども、これが火炎車によって燃やされる、こういうことでありますから、ただいまのような状態で警察官が職務執行のためとは言え、わが身を守る方法というのはガス弾で撃つしか積極的に守る方法はない、こういうようなことでありますので、そのガス弾の性能を洗いざらい言って、相手方が対抗措置を講ぜられると、警察官は本当に丸腰とこういうことになるわけでありまして、そうしたら拳銃があるではないかというような議論もあろうかと思いますけれども、拳銃はガス弾よりはもっと直接に殺傷効果がある、したがってこれはまさに法律上も実際上も拳銃は武器ということでありますので、武器ではないものを持たして最後のとりでといいますか、そういう部隊活動の場合の一つの用具、場合によって武器に準じた扱いができる、こういう唯一のものでありますので、この点については、どうぞその警察官の立場もお考えをいただきまして御理解をいただきたいと考えるわけでございます。





昭和52年05月17日 衆議院 地方行政委員会
[034]
公明党 小川新一郎
これは大臣にお尋ねしたいのですが、東山さんですか、亡くなられた方は。まことにお気の毒だと思います。御冥福を祈りますが、この方がお亡くなりになったということで、検察庁が警察に対してつけた罪名は何という罪名ですか。

[035]
自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官 小川平二
特別公務員暴行陵虐致死罪という非常に長い名前の罪名でございます。

[036]
公明党 小川新一郎
いまのお話を聞いておりますと、全くもってこのような罪名をつけること自体、警察としては不本意なように受け取られますが、最高指導者として検察当局のつけた罪名に対してはどのような御見解をお持ちですか。

[037]
自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官 小川平二
この罪名が世間に与えます印象は、警察官が職権を乱用して無辜の良民を陵虐し、暴行して死に至らしめた、そのような容疑が濃厚であるという判断を検察が持っておるに違いない、かような印象を与えると存じます。こういうことは、第一線で日夜、生命の危険を顧みずに、国民生活の安全のために職務の遂行に当たっている警察官の士気に与える影響ということを考えますときに、非常に遺憾に存じます。

解剖さえ行われておらない段階で、いかなる判断、いかなる配慮によるものか私は存じませんけれども、まことに釈然たらざる思いをいたしております。

[038]
公明党 小川新一郎
私も全くそのように思います。

これは、なぜ私はそのような見解を持っているかと申しますと、この暴力集団は、浦和市において、かぎをかけた自動車の中に4人を閉じ込めておいて、火炎びんを数10本投げ込んで蒸し焼きにしてしまった、こんなことが人道的に許されるでしょうか。また、大宮においての内ゲバでは、頭の骨がめちゃめちゃになって、首の骨がもぐり込むほど角材で殴りつけて2人殺されております。しかも、女性まで含んでおる。このような連中が、成田闘争の名をかりて、正義漢ぶって横行すること自体、私は許せない。

しかも、警察官といえども人の子です。私どもの関係者の中にも警察官がたくさんおります。こういう罪名を与えられたのでは、全く私は逆に言って検察ファッショと言わざるを得ない。これでは治安、また国民の生命、財産を守るために献身的な努力をやろうとする警察官の意欲さえもなくなる。

私はいまの大臣のお言葉を聞いておって、何もごまをすっておるわけではございませんけれども、同じ人間として、これはちょっと行き過ぎた考え方じゃないかと思う。

しかし、これは今後の調査にまつといたしまして、あくまでもこの権威のある委員会においては、警察官が先に手を出したのではない、石を投げられ、火炎びんを投げられ、竹やりで突かれ、あまつさえ、蒸し焼きを目的とした火炎自動車を2台までも警察官の集団の中にはうり込み、無人自動車を暴走させる、もしもわれわれまじめな人間がそんなことをしたら警察は黙ってないでしょう。しかも、25人しか逮捕できない。しかも、浦和ではそういう事件が起きておってもいまだに逮捕されていない。しかも、予告まで出ている。全くもって警察はなめられてしまっている。だから、警察が過激派を甘やかせ、泳がせているんだというような非難さえも起きる。

しかも、埼玉県においては、まだ憂うべきこととしては新幹線の反対があります。これは、東北6県では新幹線を早く通せという、埼玉県県南三市連合では反対をする、実力行使もいとわないという状態にまでいま立ち至っております。しかも、不幸な事態ができてもそれは責任を負わない。そういうところに、またまたこれらの連中がお先棒を担いで、全然目的外の闘いをするようなことがあったのでは、これは平和な埼玉県が千葉県と同じような流血の惨事になることを私は憂えておる一人であります。

そこで、私はいま大臣がおっしゃられた気持ちというものはよく了解しながら、過激派の攻撃に対して警察官は、このときの心理状態では、指揮官や機動隊員はどのように受けとめていたということをあなた方は聞いておりますか。

[039]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
現場の隊員、それから隊長等の意見を聞いておりますが、大変激しい凶悪な手段による攻撃で、この火炎自動車等の前面におった警察官は、もうこれで一巻の終わりかと思ったという率直な意見、感想を述べておりますが、私はまさにそのとおりだった、こういうふうに思っております。

[040]
公明党 小川新一郎
そのとき警察側は、火炎びんや火炎自動車に十分耐えられたのかどうか、また十分耐えられるような装備ができておるのかどうか、また十分なる装備というものはどういうものを今後目標にしておるのか、また、そのような装備ができたときにはどういうふうにお考えを持たれるのか、また、できるのかできないのかということも含めてお答えいただきたい。

[041]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
警察官の装備は、一言で申しますと大変貧弱なものでございまして、従前それで用が足りるというような治安情勢であったかと思いますけれども、最近とみに内ゲバ殺人手段が凶悪化しているように、彼らの行動もその手段、方法が凶悪化してまいったわけでございます。

そういう意味におきまして、警察の装備は相手方の手段よりもどうしてもおくれる、頭の中で考えるのではなくて、現実にそれが行動としてあらわれたものに対応していくということになるわけで、おくれるわけでございますが、警察のこういう事態に対する対応の仕方として、装備は部隊装備と個人装備と2通りございまして、いまの、投石、火炎びん、それから農薬、火炎自動車、こうなるわけですが、まず投石に対しましては、個人装備として大盾、それから火炎びん、それから鉄パイプ、竹やり等で突いてくるやつに対しましても、とりあえず大盾でこれを防ぎますが、そのうち火炎びんについては、どうしてもそれだけでは不十分でございます。

そこで、部隊装備として放水車を配置するわけでありますけれども、放水車は100名とか200名の大きな部隊に1台程度のものでありますし、また、水を携行するという構造上からも行動に機動性を欠いておる、こういうことで、主として放水車は施設を守る、つまり固定して守るときに、攻めてきたときにこれに対抗するのに適当するわけでありまして、今回のような集会場の警備にまで、施設から離れて前面に部隊を配置するというようなときに十分の効果を発揮しないわけですが、それでもこの際放水車を持ってまいりましたけれども、これが先ほどの火炎自動車で焼かれてしまう、こういうことでありましたので、あとは個人装備となりますと大盾で、拳銃は平素は個人装備として持っておりますけれども、こういうところへは持っていかないということを原則といたしております。したがって、当日も持っていっておりません。

したがって、あと残りますのは催涙ガスということでありますが、これまた部隊装備でありますけれども、隊員に持たせるということで、ほかのものは相手方からの攻撃に対してみんな受け身でこれをしのぐだけの装備でございますけれども、放水と催涙ガスだけは、ちょっと警察官の手を伸ばすといいますか、その延長として相手方の方にやや手を伸ばす、こういう性格を持っておるものでございまして、放水車が使えないとなりますと、催涙ガスがわずかに残された唯一の手段というものでございます。

[042]
公明党 小川新一郎
火炎車によって放水車は焼かれてしまった。そうすると、身を守るというか、逮捕するに必要な、これらの集団を取っつかまえるに必要なのはガス銃しかない、そこでガス銃を使ったとあなた方はいま申しておりますけれども、警察が成田闘争の現場でガス銃を使ったことがいま問題になっておりますが、大臣、このような状態では警察官がガス銃を使うことはやむを得ない、こう思いますか。

[043]
自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官 小川平二
当時の状況は、先ほど来、警備局長が詳細にお耳に入れたとおりでございまして、これは殺人を含む凶悪犯罪が現に行われておるという状況でございます。

警職法の7条は、かような状況下で、警察官がみずからを防衛するため、あるいは犯人を逮捕するために武器の使用を認めておるわけでございます。

警察官にとって本来の武器は拳銃であります。催涙ガスは人体に及ぼす影響は一過性のものでありますから本来の武器ではございませんが、使い方によっては人体を傷つけることもあり得るでございましょう。しかし本来の武器そのものが使用を認められるような状況下でガス銃を使ったということは、これは少しも違法なことではないと考えております。

[044]
公明党 小川新一郎
そうすると、いまの状況のところでは使ってもやむを得ない。もっと言いかえれば、拳銃を使っても差し支えない状態だった、こう理解するのですか。

[045]
自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官 小川平二
法律問題としては仰せのとおりでございます。

[046]
公明党 小川新一郎
警職法第7条との関連でお尋ねいたしますけれども、正当防衛として使ったのか、それとも相手を制圧するためであったのか、ここはひとつ警備局長から。

[047]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
結論から申しますと、正当防衛並びに警職法7条ただし書き1号の職務執行ということでございます。

[048]
公明党 小川新一郎
では逆に、ガス銃が使えないときにはどうなるのか。それから放水車が焼かれてしまったときにはどうなるのか。また逆に、放水車だけで防げるのかどうか。焼かれないで、放水車だけが残った場合にはどうなるか。この警察活動は十二分にできるのかどうか。

[049]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
あの現場で催涙ガスが使えないといたしますと、言葉は変でございますけれども、220名の警察部隊がいわゆる全滅をいたしまして、警察側に相当の死傷者が出たのではないかというふうに思います。ただいま申しました放水車は水を積んでおりますから、かなりの大きさで、これが小回りできませんので、火炎自動車がこれにくっつきますとなかなか後退ができない。前にも後にも集団がおる、これをひき殺すというかっこうになりかねない。第一次羽田事件のときにそういう事態がございました。となりますと、それを放棄せざるを得ないということになります。

それからまた、催涙ガスがありませんと、警察官が、先ほど申しましたように本当に命の危険を感ずる。命の危険を感ずる場合には、これは何人もそうでありますけれども、正当防衛ができることになるわけで、正当防衛という法律は後からできたことでありまして、人間の行為として自分の身を守るために何をするかわからないし、また何をやってもそういう事態においてはそれが違法ではないというのが正当防衛の法理だと思いますが、そうなりますと、警察官が拳銃を持っておりませんので、もし拳銃を持たしておれば拳銃を発射するということになりましょう。諸外国ではこういう場合に警察官の発砲で何人か死んだというのはよくニュースにあるわけでありますけれども、わが方ではそういう危険を避けるために持たせない。そうなりますと、手元にあるものを身を守るためには何を使ってもいいというのが正当防衛でありますから、相手方が鉄棒をそこに落としておる、それを使ってもいいし、また自分に投げつけられた石ころを拾って相手に投げ返すことによって身を守るということも法的には可能だということになりますので、そこでは相手方にも相当の死傷者が出るというような、今回のような事態では済まない大変な修羅場ということになったものというように考えるわけでございます。



[126]
民社党 山本悌二郎
成田空港事件についてお尋ねをいたしたいと思うのです。

これもかなり御質問が出ておりますし、十分承知をいたしております。しかし、東山さんという方が亡くなられたという事件、それからまた一方、警察官の方もかなり重体だというようなことを聞いておりますので、少しお聞きをさせていただきたいと思います。

この成田空港の反対闘争をめぐって、警察と過激派の双方に多くの負傷者を出したと聞いております。そこで、今回のこの衝突になった場所と、またそのときの状況を簡単に御説明していただきたい。

[127]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
16件各種事案が6日の鉄塔倒し以来あるわけでございますが、特にその中で2件が典型的に悪質な事案でございまして、1つは5月8日、1つは5月9日であります。

5月8日は、白昼公然と警察部隊に対する悪質な手段による攻撃をかけた事案ということで、事案の規模等につきましては、220名の警察官に550名の極左暴力集団が、火炎びん攻撃、火炎自動車、投石、鉄パイプ、角材、劇薬を投げるというような方法で襲撃をしてきたのであります。これに対して警察部隊が催涙ガスの使用等により対応いたしましたが、125名の負傷者を出し、25名を現行犯で検挙する、こういう事案が1つございました。

東山さんの死亡原因となった負傷はこのときにされたものと言われておりますが、この点につきましては警察自身において調査をしておる、また一方、告発等もこれあり、その以前からでありますけれども、検察当局において捜査をしておる、こういうことでありますので、現在までのところその結論は出ておらないわけでございます。

もう1件は、その翌日の5月9日午前3時半ごろの発生事案でございますが、芝山町長宅前臨時派出所に勤務しておる6名の警察官に対しまして、40名を超える極左暴力集団の一派が突如襲撃いたしまして、これまた40本から数10本に及ぶ火炎びんを集中的に投てきするということによりまして、6名全員が負傷し、そのうちの3名が重傷、1名が死線をさまよっておりますが、もう1名は現在重体というような被害を出しておるわけで、この点につきましては鋭意特捜本部において捜査をいたしておりますけれども、現在までのところ犯人検挙のめどはまだついておらないという状況でございます。

[128]
民社党 山本悌二郎
不幸にして亡くなりました東山さんの所属は何ですか。その集団におけるいわゆる位、地位、550名の指揮をとっておったと言うが、どのぐらいの位を持って、位というのは変ですね、地位でしょうね、それから職業は何ですか。あるいはまた、いまのお話では死亡の原因がわからないということになっていますけれども、死亡の原因はおわかりにならないのですか。

[129]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
亡くなられた東山さんは大学中退をいたしまして、47年の5月ごろから現地に常駐し、団結小屋に住み込んでこれを住所としておる方であります。妨害鉄塔につきましても、ここに見張り台がつくってありますが、月に数回この見張り台に交代して見張りに立っておるという方でありまして、セクトは旧べ平連系でありまして、当日5月8日の事案では550名の極左暴力集団が行動いたしましたが、その中の一員としての行動でありますので、第四インター中心の集団に参加をした人ということになります。

当日の行動につきましては、この人は常駐の人で、もう長年にわたって先ほど言いました見張り台等におりますので、視察に当たっておる警察官等も本人の顔をよく知っておるわけでありますが、これが当日朝現認いたしましたところ、トラックに鉄パイプ、投石用の石等を積み込んで現場周辺に集積をするということにかかわっておった、こういう人でございます。





昭和52年05月17日 参議院 地方行政委員会
[075]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
質問の第4点でありますが、東山君の死とは切り離して伺いますが、初め千葉県警本部長は、水平撃ちやむなしと発言をしております。国家公安委員長も水平撃ちやむなしと、こういう発言がありました。テレビ、新聞等の写真も水平撃ちと類推される状況が掲示をされました。水平撃ちはあったんですか、なかったんですか。

[076]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
結論から申し上げまして、いまだ水平撃ちをやったという報告には接しておりません。

それから本部長の談話のいきさつについてでございますが、それも当初から首尾一貫をいたしておりまして、途中で何か変わったような新聞報着がなされておりますが、首尾一貫いたしておりまして、これは変わっておりません。と申しますのは、要するにそういうことで隊員から水平撃ちをやったと、ああいう混乱の中でありますので、水平撃ちをやったという報告は受けていない、しかし、いろいろなその後の写真とかいろいろな状況証拠がそろった場合にはそういうことがあったということを認めるにやぶさかではない、仮にあったとしても、それは、あの大変激しかった一番最初の11時8分から始まりまして、火災自動車2台、それから鉄パイプ100本、石が2トン、1万個、それから火災びん500本、劇薬まで使われて、わずか200の千葉県機動隊に対しまして550の極左暴力集団が突然襲いかかったと、そういう状況においてでございますので、警職法7条――危害を加えてもよろしいという条件を満たしておる状況であるので、それは仮に使ったとしても適法な職務執行であるということを首尾一貫して本部長は申しておるというふうに伺っております。

[077]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
報告がないということと水平撃ちがあったということとは別ですよ。報告があろうがなかろうが、水平撃ちがあったかないかというのは、これは当然別の問題として調査検討さるべきですよ。それから暴力集団が押し寄せてきたから、それに対する対抗上武器を使うのもやむを得ないということを私は聞いているわけじゃない。東山君を死に至らしめたその催涙ガスなり模擬弾なりの使い方というものが問題があるんじゃないかと最初聞いている。

そこで具体的に次の点をお聞きします。私は、そこにおった関係者の警察に対する反対側の者の意見は一切ここでは出しません。客観的な報道として、朝日新聞が5月の9日の夕刊で、「論議呼ぶか水平撃ち」と題してこういうことを報じています。千葉県警はこの日、ガス銃を武器として頻繁に使った。ガス銃を、「老人やこどもが多くいる"密集状態"の会場にねらいをつけてポンポン撃ち、しかも4~5メートルの至近距離からも発射していた。その"乱射"ぶりはまるで集会の妨害もかねて撃ったといわれても仕方ない」、こう報道しています。警察庁はこの事実をどう調査をし、どうお認めになりますか。

[078]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
一部の新聞にそのような報道がございましたので、よく調査をいたしておりますが、ただいま申されましたような、婦人、子供が大ぜいいるような場所にポンポンと撃ったような事実はございません。

[079]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
じゃテレビに写っているのはうそですか。

[080]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
いつのテレビでございますか、私、存じませんが、私も見ておりませんし、具体的に証拠として今後そういう場面が検察庁の捜査でも明らかになると思いますが、私はそれは見ておりませんし、むしろNHK等の当日のテレビによりますと、機動隊が至近距離で非常にやられておる状況、私どもも新聞の写真も見ておりますが、石が雨あられのように降ってきて、その石が道路上にたくさん積もっておる状態も現に持っております。

[081]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
そんなことを言ったって、人を殺して当然だという理由には一つもならないですよ。警察は目には目を、歯には歯をということをやってはならないということは警職法に決まっている。あなたのさっきからの答弁の底にあるものは、暴力集団だから暴には暴、当然ではないか、こういう潜在意識がある。これは最も警職法で、あるいは警察法でかたく禁じられている内容ですよ。

まだ質問がありますよ。それでは、新聞が間違いなら、この新聞に抗議をしましたね。

[082]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
その具体的に把握をいたしました分につきましては抗議をいたしております。

[083]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
じゃ、朝日新聞には抗議をしましたか。

[084]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
いたしております。

[085]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
それほどあなたはっきり言うなら、水平撃ち当然と発言し、いまは水平撃ちはいたしませんと言ったその経緯を、警察庁の手で厳密に調査をして報告があってしかるべきだ。改めて報告してください。

[086]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
ただいま申しましたように、新聞報道の一部について抗議をしたと、本部長から千葉の支局の万に抗議をしたというふうに聞いておるわけでございまして、水平撃ちについて具体的に写真があった場合には、それを私ども認めるにやぶさかではないわけでございまして、その点についてではございません。その婦人、子供でありますとか、あるいは診断書に、同行者の言によればと先生お読みのとおりになっているはずなのに、それを抜いてあたかも医師がそのように診断をしたというふうに書いてあるような事柄について抗議をいたしたわけでございまして、そういう婦人、子供のところについては撃ってはおりません。水平撃ちについては、先ほどから申しておりますとおり、現在、これは警察官の報告ですから、先生おっしゃるとおりにいろいろな考え方もあろうかと思いますが、ああいう大変な混乱の中でございますので、まあ普通は30度で撃つことが一番よろしいというふうに言われておるわけでございますが、30度の角度も、先生御承知のとおりにそう大きな角度ではございませんので、水平に近い状態で撃ったこともあるかもしれない。しかし、その状態について警察官あるいは幹部から、あるいは警察官が撮った写真でいまだ現認をいたしておらないという現状を申し上げておるのでございまして、万一仮に水平に撃ったといたしましても、そして先生おっしゃるように、私ども、警察法にも書いてありますとおり、警職法にも書いてありますとおり、法を逸脱しては相ならぬということでおりますが、しかしあの状態は、警察官の当初の数をはるかに超す大集団が車3台を持ってまいりまして、1台に武器を――石や火炎びんや多数積み込んで、最初からあすこで一戦交えようという気持ちだったということが想像できるわけでございますが、そういう状態のもとで一挙にかかってくるというようなことで、わずかの千葉県機動隊は、本当に私どもが報告を受けている限りでも、隊長以下全員、殺されるんではないか、そういう感じを持った。私どもが客観的なああいう写真等を見ましても、よくあの火炎自動車に機動隊員がひき殺されずによかったなというのが実感でございまして、そして東山さんが亡くなられたことにつきましては、やはり私どもといたしましても、どういう立場にあったかということも内々調査をいたしておりますが、それにいたしましても、過激な方であったとしても、1名が亡くなったということは大変遺憾だと思っておりますが、あの方がどういう状況で亡くなったかということにつきましては私ども把握をいたしておりませんので、これから調査をいたしてまいりたい、こういうことでございます。

[087]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
私がここで問題にしているのは、最初に成田における東山薫君を死に至らしめた警察の過剰警備の疑いの持たれる件について伺いますと、こう申し上げている。警察がやったことがすべて悪いとか今後暴力集団が押し寄せて来たときガス弾を一切使っていけない、武器を使っていけないとそんなことを言っているのではない。問題をきちんと限定している。



[099]
日本社会党(社会民主党) 加瀬完
そうすると、刑法36条1項に該当する行為をしてもよろしいという状況であったと把握しているわけですね。

[100]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
警職法7条につきましては、単に危害を加えていい場合の条件として4つ挙げてございまして、36条の正当防衛のみならず、緊急避難、それから1号、2号と分けてございまして、1号につきましては長期3年以上の凶悪な罪、これは火炎びんも現に投げておりますし、それに当たるわけでございますし、火炎自動車を機動隊に突っこますということは殺人罪でございますので、われわれそこで逮捕しました25人について16名すでに殺人未遂罪で送っておるわけでございます。したがいまして、凶悪な罪だというふうに判断をいたしておりますので、凶悪な犯人を追跡、逮捕するについて抵抗等があった場合には積極的に使ってよろしいというのが1号でございまして、2号は令状によって逮捕する場合、同様のことが書いてございますが、この場合は2号には当たらないというふうに承知をいたしております。





昭和52年05月18日 参議院 本会議
[005]
自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官 小川平二
東山氏の遺体につきましては、去る5月13日、解剖が行われましたが、まだ鑑定結果は出されておりません。一部に伝えられておりますような死因は判明していないのでございます。

5月8日の成田警備におきまして警察部隊が催涙ガス器具を使用したのは、火炎びん、劇薬、石ころ等を大量に投てきし、さらに火災自動車を警察部隊に突入させるなど殺人的凶悪行為を繰り返し行ったため、警察官の生命を守り、かつこれを防ぎ、犯人を逮捕するためにやむなく使用したものでありまして、襲撃集団以外の平穏な集会場にいる無抵抗の者に対して催涙ガスを使用したというような事実は絶対にございません。告訴状によれば、東山氏が救護所にいたと記載されていると承知いたしておりますが、東山氏の負傷時の状況につきましては、目下千葉地検において捜査中であり、まだ結果は出ておらないのであります。

成田闘争の警備については、これまでに3人の警察官が殉職し、3279人という多数の警察官が重軽傷を負うという厳しい警備を行ってきております。今回の妨害鉄塔撤去に関しましても、極左暴力集団等においては、鉄塔死守を表明し、警察官の殺害、空港施設の破壊等を公言し、現に5月6日の鉄塔除去以来、火炎びん、劇薬、石塊、火災自動車等を使用した殺人的凶悪犯罪を繰り返し敢行しており、これにより警察官144人が重軽傷を負っているところであります。治安責任を持つ警察において、このような凶悪犯罪が行われる場合、所要の体制を確立して警備を行い、事案の拡大防止と早期鎮圧を図ることは当然の責務であり、今般の一連の成田警備が過剰であるという主張は当を得ないものと考えております。申すまでもなく、暴力は民主主義と相入れないものであり、広く国民の協力を得て暴力の排除に努力してまいる所存でございます。(拍手)

なお、水平撃ちが行われたとの前提に立っての御質疑でございまするが、指揮者が水平撃ちを指示したということは報告を受けておりません。また、指示の有無にかかわらず、現実に水平撃ちが行われたという報告も聞いておりません。少なくとも法律に定める要件が存在せざる場合に警察官が水平撃ちを行ったというようなことはあり得べからざることだと、かように信じております。(拍手)





昭和52年05月19日 参議院 法務委員会
[007]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
いま話題になっております成田空港における機動隊とデモ隊との間の衝突事件ですね。その際、5月8日、東山薫さんという方が死亡された。その問題に関していままで各委員会で質問があったようですけれども、警察庁、きのうも私、地行の委員会で聞いておりますというと、とかく警察の答弁は、まだ調査ができていない、報告に接していないというような答弁が多いのですけれども、この事件が起きましてからもう11日を過ぎているのですね。しかも何10人という警察官がその現場におったわけで、それがいまだに報告を受けていないとか事情聴取ができないとか、あり得べからざることですね。それは怠慢であるからか、それとも事実を隠しているからか、そのいずれかとしか考えられないわけです。きょうは一番事情を知っておられるという主管の課長もおられるので良心的な答弁を期待しておるのですが、この東山薫氏の死亡事故に関連していままで警察庁としてはどの程度の調査をしているのか、どういう事実を把握しているのか、それをまず概括的に承りたい。

[008]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
これは5月8日の11時8分から11時40分にわたりますおよそ30分間の出来事でございまして、各委員会でも御報告、御説明申し上げましたように、1時から付近の広場で行われます集会のところ、すでに1000人ぐらいの方々が平穏に集会場に集まっている中に、2時間前になりますが、11時過ぎごろから第四インターというグループを中心といたしました550人が、3台の自動車、うち2台が火災自動車になるわけでございますが、1台のトラックに武器等を満載をいたしまして来るわけでございまして、警察といたしましては、集会が平穏に行われるために、通常、会場に入りますときに武器などを持って入らないように検問をいたすわけでございまして、これに備えて千葉県警察第二機動隊が220ばかり配備についておったようでございます。で、それに対しましてこの550がいきなり、武装いたしまして、鉄パイプ約100本、火炎びん500本、それからトラックに積みました石、これは後で押収いたしますと2トン、約1万個、劇薬数10本、火炎自動車2台等で、ぶつかってきたときの状況のようでございます。

それで、最初のうちは、まあ急遽、普通でございますと竹ざおあたりを持って集会に集まる、その他ちょっとした武器に類するようなものを一時預かっていただかせるというのが普通の検問でございまして、よもやこういう大変な事態になるというふうには考えて当初いなかったようでございます。そういう状況の中で警察部隊は急遽襲われまして一たん後退をするようでございますが、こういう状況でございますので、生命の危険も感じ、職責の遂行上からガス銃等を使用いたしまして規制を順次始めていくというような状況の中で、先ほど申し上げましたように、11時8分から接触が始まりまして、向う側の発表によりますと11時15分ごろ東山さんが付近で負傷されたということでございます。

警察も相当のことを調査はいたしておりますけれども、普通私もいろいろこの種の仕事を経験いたしておりまして、東京での43年から46年にわたります極左暴力集団のいろいろな事案のときに経験もいたしておりますが、そういう混乱の現場でけがをされた場合には、警察がずっと規制をしていきますと、負傷した方が倒れて残っておるというような状況を把握をいたしまして、すぐ救急車を呼び手当てをするというのが通例でございますけれども、この際は、さきの各種委員会でも御報告申し上げましたとおり、警察官におきましては東山薫君がどこで負傷をなさったのか、倒れた警察部隊が規制をして押していく過程で把握をいたしておりません。で、普通ですと救急車を呼ぶわけでございますけれども、救急車が呼ばれた事実もございません。それでこの衝突といいますか、こういう事案が11時8分から11時40分まで大体続いたわけでございますけれども、警察が察知いたし、私どもが報告を受けましたのが3時過ぎから4時ぐらいでございます。それまでの間こういう事態がなくてよかったというような気持ちを、あれだけ激しかった現場で機動隊も危なかった、その中で殺されるような者も出なくてよかったということで私ども考えておりましたところ、3時過ぎだったと思いますけれども、一部マスコミの方から大変重態者が出たということを聞いたような状態でございます。

そういうことでいろいろ調べておりますけれども、いままでのところまだ東山薫さんがどういう状態でけがをなさったかということについては判明をいたしておらないという状況でございます。

[009]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
各新聞の報道で見ますと、警察の主張として救護所というものがその付近にあって、その救護所の何か隣接地に石とか鉄パイプとかなどをトラックでデモ隊がおろしたと、そうして東山さんはトラックで石を運んだ指揮者であったと警察が説明しているというような報道が現実にあるわけですね。そうすると、東山さんがおった位置というものぐらいは少なくも警察官はその時点で現認をしておったのじゃないかと思われるのですが、いかがです。

[010]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
御質問のとおりでございまして、私どもそれはこの接触の始まります前の時間帯でございます10時半から11時の間というふうに聞いておりますが、私どももこういう警備をやりますときには、いわゆる私服の情報隊というのがございまして、事前にそこをまだそういう接触事案のない前に危ないものはないか、相手がどういう戦術で出てくるのかということを偵察をいたすわけでございますが、その任務を帯びました所轄の署員で、東山薫さんは47年ぐらいからいわゆる極左の一部の方として坂志岡の団結小屋に住居を有する方でございますので、しかもこの種反対運動の指導的立場に平素からある方でございまして、鉄塔の監視にも入れかわり立ちかわり来られたようでございますし、各種この反対同盟の集会にも出席をしておられるということで、所轄警察署の署員はよく知っておったようでございます。

で、その接触の始まります前に視察に私服の情報員が現場付近に参りましたところ、その資材置き場付近にそういう石を運び込むのを発見をいたしております。その際、そういう危ないことがあるということを見に行くのがこの者の任務でございますので、そこら辺はよく見ておきたいということで行きましたところ、東山薫君が外2~3人の者を呼び集めまして、そしてその私服の情報視察員を取り囲みまして、おまえ何しに来たんだと、来るなということで追い返している状況を把握をいたしておるわけでございます。

それならば、その衝突した場所でも東山君を知っておるだろうというお尋ねだろうと思いますが、そういう現実に接触が始まり、石が飛び、雨あられのように飛んだそうでございますが、火炎自動車が走って来るというような事態になりますと、情報視察員の任務というのは一応終了いたしまして後の方に後退を一応するわけで、これは私服でございまして、機動隊のように大盾を持ったり、ヘルメットをかぶったりいたしておりません。そういうことでございますので、後の機動隊等につきましては所轄署員ではございませんで、県警本部で各種警備実施に出ておる連中でございますので、どの方が東山君であるかどうかということはわからないわけでございまして、その点に私どもは矛盾はないというふうに考えております。





昭和52年05月24日 衆議院 内閣委員会
[138]
民社党 受田新吉
その意味で、ちょっとこれに関連する質問を先にさせていただきますが、先般、成田のいわゆる空港をつくることに関しての紛争がありまして、警察官の中に岡田さんという部長が亡くなられる、また、一方では東山さんという若い人が亡くなられる、大変悲しい事態が起こりました。こういうことのないかっこうで、平和裏に事が運ぶことを願っておったわれわれとしましては、まことに残念です。とうとい生命を、お二人の立場がそれぞれ変わった角度で亡くされた。ちょっとその問題でお尋ねをしておきたいのですが、警察の方で亡くなった岡田部長さん、これは大変虐待されて亡くなられたと承っております。また、一方の東山さんの方は、これに対抗する勢力の中でガス弾の射撃を受けて亡くなったという報道がされております。警察当局、この問題の説明をちょっとしていただきたいと思う。

[139]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
ただいまお尋ねのとおり、東京新空港開港につきまして、妨害鉄塔の除去につきましては、私どもあらゆる知恵をしぼりまして、御承知のとおりに、一応、妨害鉄塔撤去につきましては、6日にいわゆる無血で、過去の46年の第二次代執行当時を考えますと、あれに比べますと、本当に血を流すことなく倒せ得たわけでございますが、そのことに反発いたしまして、従来からあの鉄塔を死守し、そのためには機動隊を200人、300人殺しても構わないという暴徒たちが8日の日曜日あるいは9日にそれぞれ警察部隊を襲うという事案が発生いたしたわけでございます。

お尋ねの第1の8日のときの事案でございますが、これは当時千代田農協という新空港の第5ゲート近くの広場でございますが、ここで反対集会を開くということでございました。午後1時開会のところでございますが、11時過ぎにこの事案は発生をいたしたわけでございまして、従来警察のやり方といたしましては、いろいろな集会が開かれます場合にはその集会場に入る――特にこれは極左でございまして、当時2700集まりましたが、反対同盟の方はわずか10数名前後であった。それ以外の連中は中核派でありますとか第四インターでありますとか、いわゆる現在内ゲバでお互いに殺し合いをいたしております連中でございました。1時から開会のところ中核派を中心とする約1000人の者はすでに集会場に平穏に入って待っておったようでございますが、11時8分ごろ、急遽第四インター系のグループ550人が自動車3台、内訳は乗用車2台、トラック1台、それを中にはさみまして、そのトラックには後ほど申し上げますように武器を満載いたしまして警察部隊を襲うべく会場に向かってきたわけであります。それを目前にいたしまして、事前に会場の平穏を保つために配置されておりました千葉県機動隊220人のうち140人が前面に出たようでございます。そういうことで検問に入るべく接触いたしましたところ、後で集めてみましたところ約2トン、個数にいたしまして1万個の石を雨あられのように警察部隊に投げる、それから火炎びんを500本、それから劇薬数10本、鉄パイプ100本、それから普通の乗用車に火炎びんを積み、油をひっかけ、それに火を放ち、いわゆる火炎自動車としてそれを警察部隊に突っ込ませるという大変凶悪な事案を起こしたわけでございます。

これに対してわずか140の千葉県第二機動隊が阻止に当たったわけでありますが、なかなか大変なことでございましたので、一たんは下がり、それからガス銃あるいは放水車を使ったわけでございますが、放水車も相手側の火炎びんで焼かれるという事態になったわけでございます。そして緊急の事態ということで他の配置についておりました部隊等も直ちに応援をいたしまして何とか警察目的を達し排除することになるわけでございますが、残念ながらこの過程の中で東山氏が亡くなるという事案があったことを私どもは後ほど、午後の3時ごろマスコミからそういう重体者が出たということを聞いておるわけでございまして、全般的な情勢としてはそういう大変な事態であった。そして東山氏がどういう状態でけがをなさったかということについては具体的には現在調査中でございますし、また捜査の面としては客観的な立場から検察庁で現在捜査をいたしておるところでございます。この東山氏というのは一般の方ではございませんで、いわゆる反対派の極左のグループの拠点に数年前から住まいをいたしておりますし、当日もこの接触がある直前に私服の警察官が現地を視察に参りましたところ、警察部隊に投げる石を事前に運ぶのを指揮するような状態でその私服の警察官を追っ払っておるという状態が現認をされておるわけでございます。

各委員会でこの東山氏の死因が警察官のガス弾によるものではないかというような質問を受けるわけでございますが、私どもはまだそれがガス弾によるものという断定を確認をいたしておりません。検察庁におきましても解剖もいたしておりますし、また捜査もいたされておるようでございますが、マスコミ等にはいろいろ推測記事が書かれておるようでございますけれども、両機関から正式にガス弾によるものであるということを確認したとは伺っておりません。

それから第2点の9日の午前3時過ぎの事案でございますが、これは私ども岡田部長を現地から早速東京の警察病院にヘリコプターで運んでまいりまして、アメリカからも薬を取り寄せて一生懸命努力をいたしまして介抱いたしたわけでございますが、残念にも先日亡くなってようやく密葬を終わった状況でございます。

この岡田君の部隊が襲撃された状況につきましては、9日の午前3時33分ごろだったようでございますけれども、かねて芝山町長さんは空港の開港の方にいろいろと御努力をいただいておりまして、先立つことにおいてお宅自身が過激派によって襲撃を受けたことから、警察としてもこれは放置できないということで臨時派出所をつくりまして、当時6名の警察官が岡田巡査部長を長として配置についておったようでございますが、約40~50人の過激派の連中がやぶから突如として岡田巡査部長以下6名を襲ったようでございます。まず最初に鉄パイプあるいは角材等で6名の警察官をめった打ちにいたしまして、これに対して分隊長の責任者でありますので、岡田部長は敢然と向かっていったようでございますが、多勢に無勢、木材等で頭等をたたかれましてそこに倒れる、倒れたところに40本近くの火炎びんを集中的に投げつけられまして、私どもが病院で見ましても頭がすでに炭化するというような状態でございました。いま1人西建君というのが瀕死の重傷を負って危篤の状態でございますが、この2人は体の7割にやけどを受け、普通は3割受けましても死亡すると言われておるわけでございますが、頭や顔を見ましても本当に見られないような炭化の状態になっておるという状態でございます。

私どもかねがねこういう少数の部隊を配置する場合には十分留意をさせておるわけでございますけれども、いかんせん不意をつかれまして、急遽大ぜいの過激派の連中に突如として襲われたという状況でございまして、鋭意この面については捜査をいたしまして必ずや犯人を検挙したいと考えております。

それからちょっと申し落としましたが、先ほどの8日の事件につきましては、現場で125人の警察官が重軽傷を負いまして、そのうち11人が入院をいたしました。また現場におきましては危険をも顧みず25名を逮捕いたしておりまして、火炎自動車あたりを警察部隊に突っ込むという状態でございまして、これは明らかに殺人罪であるということで、証拠のはっきりいたした者につきまして16名殺人未遂罪で検察庁に送っておる状況でございます。



[151]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
先ほどから御説明しておりますとおりに、昭和46年の第二次代執行のときには、わずか10メートル足らずの放送塔を倒すについて3人の殉職者、300有余人の重軽傷者を出したわけでございまして、新空港開港のためにはあの妨害鉄塔を倒さなければならないということで、御質問のとおりわれわれはあらゆる知恵をしぼりまして、そして妨害鉄塔を倒すにつきましては何とか、本当に文字どおり無血で倒すことができたわけでございます。

それから、あと極左暴力集団等の襲撃についての努力はどうかということでございますが、これは率直に申し上げて、警察比例の原則というのもございますし、相手方の出方によってはやはりやむを得ないこともあろうと思います。ただいま御説明申し上げましたとおりに、私どもここしばらく、43年から46年当時にはこういうことも2、3ありましたですけれども、それを上回るような、劇薬とか火炎自動車とかそういうものを使ってきたときにどう対処するか、これは警察官といえどもやはり人の子でありますし、当時の話を聞きますと、警察官全員がほとんど殺されるのじゃないかという印象を持ったということでございます。しかし、警察は法律に基づいて、お説のとおりに、たとえ凶悪な犯人であろうとも殺さないようにして逮捕すべきでありますので、その点については努力をしておるところでございます。





昭和53年03月29日 参議院 本会議
[010]
法務大臣 瀬戸山三男
それからもう一つは、いわゆる成田事件に関連して、ああいう事態になった上で、新しい立法措置が必要ではないか、そういうことを考えておるかという御質問もあったと思います。先ほど玉置さんのお話で――あの姿を私も見ておりました。テレビで見ておりました。国民の多くの方も注目しておられたと思います。昭和47年の浅間山山荘事件と同じでございました。特に今度は大規模でございます。でありますから、まさに国民の目から見ると、一体どうなっておるんだということを考えて、見ておられたと思う。1万3000人の警察官を動員して、膨大な警備態勢に入って、そしてあの状態を見ておると、火炎びんを持って投げる、火炎車みたいなもので追っかける、警察が逃げる、そして最後は心臓部を侵される。これには釈然としない国民がほとんど全部ではないかと私は思う。そういう事態でありますから、深刻に、特に法務当局としては考えております。





昭和53年03月30日 参議院 内閣委員会
[234]
日本共産党 山中郁子
これもぜひお調べいただきたいと思うのです。住民の方たちの訴えによりますと、機動隊がいても放置をしていたという事実は少なくともあるんです、現実に。その辺のことも含めて、さらに捜査、調査を進めていただかなければならないと思います。

それで、第9ゲートの突破の問題なんですけれども、これもいままでの質疑の中で、パトカーが暴力集団の改造トラックに追いかけられて、パトカーが入るためにあけたら一緒にくっついて入ってきちゃったと、子供だましの御答弁をいただいているように私は理解をしているのですけれども、実際どうだったんですか。検問所だってあるわけでしょう、ゲートへ来るまでに。何かきのうの国家公安委員長の答弁によると、トラックが忽然として、何かどこかから降ってきたみたいなお話でしたけれども、降ってくるほど周囲は広くないのであって、道路なら道路とかちゃんとそういうものがあって、その道路には検問所もちゃんとあると、あの大きな改造トラックが走ってくればどこだってわかるわけですよ。1万4000人からの警察官が集中しているわけでしょう。なぜパトカーの後をくっついて第9ゲートへ入ってきちゃったのか、これはだれがどう考えても理解できないですね、どうなっていたんですか。

[235]
説明員(警察庁警備局警備課長) 若田末人
御指摘のとおりに、たくさんの機動隊の応援にもかかわらずああいう事態になりまして、大変申しわけなく思っておるところでございますが、ちょうどある意味では向こうの戦術であったかもしれませんけれども、その当時三里塚の第一公園で8000人の集会デモが行われるというようなことでございまして、かなりの警察部隊がそちらの万のデモの監視の方、あるいは警備の方に行っておるというような状況もございました。

それから、その自動車が御指摘のように、あるいは御存じのとおりに近くにいわゆる団結小屋というのがたくさんございまして、そうしてああいうやや前の方を改造いたしました自動車が2台急遽第9ゲートにあらわれたわけでございますが、その前の方には一応検問場所はございませんで、いわゆる取香橋と称しておりますが、そこら辺が一応最前線でございました。その外はパトカー等で誘導いたしてずっと相手方の動静を見るというようなことでございますが、そういう任務を帯びたパトカーがたまたまその外におったときそれに対して火炎びん等を投げるというようなことがあったために一応中に入りました。それに合わせて2台のトラックも入ってまいりまして、それは9名の者が分乗しておったようでございますが、大分中の方に入ってきまして、そうして電柱等にぶつかって火を噴いて、その中の犯人の者も相当の重傷をみずから負ったというような状況でございます。そこでまた拳銃の発射等もあったようでございますが、一つには、部隊の配備等については、ちょうど大きなデモの警備があった、しかしまあ部隊の配備も一応あったようでございますけれども、そういう改造した大変激しいいわゆる火炎自動車というようなものであったために、パトカーも火炎びんを投げられるというようなことで、中に入って、そして防ごうというようなこと、そういう実態が第9ゲートであったように聞いております。





昭和54年03月22日 参議院 地方行政委員会
[007]
日本社会党(社会民主党) 佐藤三吾
まず、警察の方に聞きたいと思いますが、ちょうどあの管制塔の事件があって1年目がめぐってきておるわけです。また、最近非常に険しい情勢が伝えられておりますが、最近の状況はいかがですか。

同時に、この1年間で警備の面、施設の面、各面でいろんな取り組みが行われてきたと思うんですが、成田にかかわる事件の大要で結構でございますが、動員など必要経費も含めて、もし数字があればお知らせ願いたい。

[008]
政府委員(警察庁警備局長) 鈴木貞敏
お答えいたします。

昨年の3月26日の管制塔侵入事件以降の成田現地での状況等の問題でございますが、極左暴力集団としましては、3・26以降成田現地におきまして、5月20日、5・20、それから7月2日、7・2、それから9・17、9月17日、これが全国動員によりまして成田現地に集めまして、集会、デモに取り組んだわけでございます。この3つが3・26以降の大きな全国的規模の集会、デモであるわけでございますが、この日曜日、3月25日でございますが、3・26の1周年というのが26日、ちょうど月曜日でございますので、1日繰り上げて日曜日の25日に成田現地で開港阻止闘争1周年全国総決起集会というふうなことで、全国的な規模で再び集会、デモ等がもくろまれておるわけでございます。

で、3・26事件以降の主な闘争あるいはそれに対する警察措置の概要でございますけれども、現地は通常約150名の極左暴力集団が団結小屋あるいはとりで、そういったところに常駐しておりまして、その間いろいろの物日といいますか、何かある際には、若干その数には変動がございますが、きょう段階では190名ぐらいになっておるようでございます。しかし、150名前後が常駐しておるというふうなことでございまして、こういった大きな全国的な規模の集会、デモ以外でもちょいちょいいろいろゲリラ的な行動があるわけでございます。

主なものとしましては、3・26以降5月20日の成田の現地闘争、この際は50名近くが検挙されておるということ、がございましたし、また5月段階では、富里の下水道ポンプ場に火炎びんを投てきしたというふうなことがございますし、また7月2日の現地闘争では、これまた50人ぐらいの検挙を見ておりますが、全国的な規模の闘争がございまして、相当の違法行為に出たわけでございます。その後、8月段階になりますと、8月初旬、東京シティー・エア・ターミナルに火炎車を突入させるというふうな事件、また8月下旬には箱根の航空路監視レーダー、この施設を襲撃いたしました事件で、この際は現場で1名を検挙しておる。また9月段階になりますと、米本無線中継所のマイクロ回線を切断するというふうな悪質な事件がございまして、これも検挙1名を見ております。9月段階では、荒海のアウターマーカーを襲撃いたしまして、この際は検挙を4名現場でいたしておりますが、さらに指名手配もやっておるということでございます。また12月段階に入りますと、松戸警察署の管内の検問所に放火するというふうな事件がございまして、ことしに入りましてからは、御承知のとおりきょう現在ですでにゲリラ事件として15件ほど発生いたしております。3月に入りましてから非常に多いわけでございまして、3月14日は京成電鉄に対しまして2カ所、盗んだ車に火炎びんあるいは古タイヤ、こういったものを積み込みましたものを線路上に突入させるという非常に悪質な事件が2件発生しておりますし、またその後、全国的に警察施設あるいは空港施設をねらいまして、中核派と見られる者からのゲリラ行動があるというふうなことでございます。

これが主なものでございますが、総じて見ますると、53年中の1年間で成田闘争関係のゲリラが121件ございます。そのうち、3月26日以降が79件。ことしに入りましてから、先ほど言いましたように成田関係でゲリラが15件というふうなことでございます。

警察としましては、こういうふうな情勢を踏まえまして、昨年空港警備隊というものが設置され、それの充実強化というふうなものとあわせまして、これら極左暴力集団の違法行為、これは断然許さないということで、厳正なる措置をとるということで、その都度捜索、押収あるいは検挙というふうなことで、組織の力を挙げまして不法行為の未然防止とこれらの検挙に努めておるというふうな状況でございます。





昭和59年10月05日 衆議院 地方行政委員会
[003]
委員長 大石千八
警察及び消防に関する件について調査を進めます。

この際、9月19日、自民党本部火炎放射装置付火炎車放火事件の概要について、政府から説明を聴取いたします。警察庁柴田警備局長。

[004]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
自由民主党本部に対します放火事件の発生と、その捜査の概況につきまして御報告申し上げます。

昭和59年9月19日午後7時38分ごろでございます。自由民主党本部の建物が、同本部に隣接いたします中華料理店の駐車場に、宅配便の車両に偽装して駐車いたしました2台の火炎車から放射された火炎により、炎上した事件でございます。

本件につきましては、事件直後の同日午後9時10分ごろ、都内の報道機関に対しまして、中核派革命軍を名のる男の声で犯行自認の声明が架電されましたことや、火炎車の構造などから判断いたしまして、中核派による犯行と見ております。

警視庁におきましては、事件の重大性に照らし、徹底した捜査を推進すべく、即日麹町警察署に公安部長を長とする9・19自民党本部火炎車事件特別捜査本部を設置いたしまして、目下鋭意犯人の検挙に努めております。

これまでの捜査で判明いたしましたことは、事件発生直前に、自由民主党本部の北側に隣接する中華料理店敷地から、作業衣を着ました数人の者が立ち去るのを目撃されていること、犯行に使用されました車がいずれも盗難車であったこと、事件当日の午後8時10分ころ、千代田区6番町で車両が1台燃えておりますが、この燃えました車両は、本件と密接に関係がある可能性があることなどが判明しておりまして、さらに鋭意追及捜査中であります。なお、事件発生翌日の9月20日には、中核派の拠点であります前進社ビルに対しまして捜索を実施いたしております。

現在までのところ、いまだ犯人を特定するには至っておりませんが、これまでに実施いたしました現場の実況見分などの結果を踏まえまして、犯行に使用されました盗難車両に関する捜査を初め、犯行声明を出しました中核派に対する捜査、犯行に使用されました火炎放射装置などの凶器の組成物などからの捜査を行いますとともに、現場付近におきます聞き込み捜査を徹底いたしまして、必ずや犯人を検挙すべく全力を挙げて捜査を推進中でございます。



[060]
自由民主党 小澤潔
中核派は、成田空港反対闘争に取り組んでいる過激派の中では最大の動員力を持つセクトであるということでありますが、それが実力闘争のためには巻き添え者が出てもやむを得ないといった主張もしていると言われております。中核派が引き起こしたゲリラ事件は本年に入ってからこれまでに何件発生しているのか、また、9月19日の自民党本部事件以外にどのような事件を引き起こしているのか、お伺いをいたします。

[061]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
中核派が引き起こしたと見ておりますゲリラ事件は、本年に入りまして16件発生いたしております。この中には、3月1日の都内の空港公団本社ビルのありますビルに、その前の高速道路上に駐車いたしました火炎放射装置つきの火炎車から火炎を放射いたしまして放火した事件ですとか、4月4日の大阪科学技術センターの内部に時限発火装置を仕掛けて放火した事件ですとか、9月2日の大阪第二法務庁舎に向けまして、火炎瓶の発射装置を使いまして大量の火炎瓶を発射した事件などがございます。



[068]
自由民主党 小澤潔
9月19日の自民党本部へのゲリラ事件の暴挙は、自民党員はもとより国民の皆さんがショックを受けた事件でありますが、過激派の卑劣な蛮行に厳しい怒りを改めて感じているところであります。

過激派のゲリラについてその危険性のほどを見ると、昭和53年の成田空港の開港予定日に管制塔を破壊し尽くし、5月まで開港延期のやむなきに至らしめた事件や、58年6月に成田空港のパイプライン工事の附帯工事の請負会社の現場事務所が放火され、就寝中の社員2人が焼殺をされるという危険きわまりない事件が脳裏に焼きついておりますが、このような過激派によるゲリラ事件は一体どのくらい発生し、警察でそのうちどのくらい犯人を検挙しているのか、お知らせをいただきます。

[069]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
ゲリラ事件の発生、検挙状況でございますが、新東京国際空港が開港されました昭和53年がゲリラ事件の発生状況としてはピークでございまして、その後は漸次減少傾向にあったわけでございますが、本年は成田用水の着工といったような事情もあったかと思われますが、またちょっと上向きという状況になってきておるように見られます。本日現在の発生件数は38件ということになっております。

また、質的にも悪質巧妙になってまいりまして、ICを使用いたしました時限式発火装置や、火炎放射装置あるいは火炎放射装置つきの火炎車、こういうものを使用しました放火事件が多くなってきております。

過去3カ年におきますゲリラ事件の検挙率を見てみますと、大体33%ということになっております。この種の事件は発生後相当捜査に時間がかかることが多いわけでございますが、警察といたしましては、すべてのゲリラ事件を解決すべく一生懸命捜査を続けていく所存でございます。





昭和59年10月23日 参議院 地方行政委員会
[042]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
そこで、まず自民党本部に対する焼き打ち事件というのですか放火事件というのですか、民主政治の根幹である政党に対する威圧あるいは暴力は断じて許せないところでありまして、志を同じゅうする者として、おくればせではありますが、お見舞いを申し上げたいと思います。

そこで、それから1カ月過ぎたのですが、捜査の状況はどうなってますか。

[043]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
お答え申し上げます。

最初にごく簡単に本件の概要をちょっと触れますが……

[044]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
事件の概要はいいですよ、もう古いから。

[045]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
この事件につきましては大変悪質、重大な事件であるということで、即日警視庁に特捜本部を設けまして、目下この特捜本部を中心にいたしまして強力な捜査を行っているとごろでございます。

この事件を敢行いたしました犯人につきましては、特捜本部におきましては犯行声明あるいは「前進」への革命軍報の掲載、あるいは火災車の構造などから総合的に判断いたしまして、中核派の構成員による犯行であろうと見ておるところでございます。

これまでの捜査の過程の中で、事件発生の直前にこの自民党本部の北側に隣接いたします中華料理店の敷地から作業衣を着ました数人の者が逃走するのが目撃されておりますが、まずこの者たちが中核派の構成員である犯人たちではなかろうかということでございます。

その後の捜査で、犯行に使用されました車がいずれも盗難車であったといったこと、あるいはこの2台のうちの1台は前橋市内で盗まれた車でございましたけれども、この車に盗まれた当時載せてありました葬儀用の祭壇でございますが、これが同じ群馬県内で発見されたといったようなこと、こういうことが捜査の中で出てきております。また、9月19日の事件発生当日の午後8時過ぎでございますが、事件は午後の7時半過ぎに起こっているわけでございますが、同じ日の8時過ぎに千代田区の6番町で車が1台炎上いたしておりますが、この炎上いたしました車両とそれからこの自民党本部に放火しました者たちとは非常に深い関係がある可能性が非常に高い、こういうことも捜査の結果わかっておりまして、さらに鋭意追及捜査中でございます。

いずれにいたしましても、警視庁は特捜本部を中心にいたしまして、この事件を必ず検挙する、必ず解決するというかたい決意のもとに現在までにおおむね付近の地取り捜査、これを終了いたしまして、現在は遺留品の諸捜査、それから犯行グループと目されます中核派に対しまする組織捜査に鋭意取り組んでおる、こういうのが捜査の現在の状況でございます。

[046]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
そうすると警察としては、今もお話ありました犯行を行った者が中核派の構成員であるというふうにほぼ断定をして、地取り捜査や組織捜査を行っておるというふうに承知していいのですね。

[047]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
そのとおりでございまして、本件につきましては中核派構成員の犯行とほぼ断定をいたしまして捜査をいたしております。中核派構成員ということになりますと、この種の犯行を行うグループといたしましては、同派に中核派軍事組織と申しましょうか、人民革命軍・武装遊撃隊というものをこの派が持っておりますが、この武装遊撃隊の構成員である者たちの犯行ではなかろうか、そんなような角度で犯人グループを見ておるところでございます。

[048]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
彼らが自民党本部をねらった理由、犯行後の声明で幾つか成田の問題なども引き合いに出しまして述べておるようでありますが、この中核派あるいは人民革命軍・武装遊撃隊と言いましたか、そういうものは常時監視対象というとおかしいですが、常時どういう皆さんは監視対象というのかな、にしているのですか。

[049]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
警察といたしましては、いかなる立場からでありましても、犯罪を行おうとする者につきましては、これは絶対に放置をしない。また、起こりまた犯罪につきましても絶対放置することはないという基本的立場で進めておるわけでございまして、これは極左であろうが何であろうが同じ立場でございます。そういう意味におきましては、犯罪を犯すおそれが大変高い者につきましては必要な情報の収集を行い、あるいは必要な視察を行うということはいたしておるわけでございます。

ただ問題は、ただいま御指摘の中核派の人民革命軍・武装遊撃隊につきましては、これは完全に地下に潜行しておる非公然の者たちでありまして、したがいまして、この者たちを見つけ出し、その動向を視察し、情報を収集するということは大変必要なことではあますが、非常に難しくなっておるというのが現状でございます。私どもといたしましては、この人民革命軍・武装遊撃隊の実態を浮き出させて、その動向を詳細に把握していくということが本件の捜査にも絶対必要でありますし、また今後の同種事犯の未然防圧にも大変必要であるという観点で、目下この人民革命軍なるものの実態掌握に鋭意努力中でございます。

[050]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
私がお伺いをした趣旨というのは、今お話ありましたように、常時監視という言葉がおかしければ、情報を収集をしたり、あるいはその組織の実態の解明に努めたりということをやっておるわけで、そうすればいろんな動きもそれなりにつかみ取ることになるわけですが、自民党の本部を襲撃をするというふうなことは情報網には全然ひっかかっていなかったのですね。

[051]
説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
この自民党本部の襲撃につきましては、先ほど御指摘がございましたように、本件の犯行の後でございますが、機関紙「前進」におきまして、自民党本部をねらった理由を述べておるわけでございます。その理由は、これも御案内のとおり、自民党本部こそ三里塚2期着工の総本山である云々というように機関紙には位置づけておるわけでございます。

ところで、それではあらかじめどうであったかという点につきましては、ただいまのは、先ほど申しましたように犯行後の理由づけでありまして、言うなれば犯行後に理由を考えたと言ってもいいような理由づけという面もあるのではないかと思うわけでございます。中核派が今回のゲリラ事件の前にいろいろ資料も出しております。また私どもも、これらの資料や情報を入手し、いろいろ検討いたしました限りでは、このいわゆる新東京国際空港絡みの攻撃対象としては、自民党本部が挙がっているということを示唆するような資料、情報等は、全く残念ながらなかったというのが真実でございます。





昭和60年05月14日 衆議院 法務委員会
[330]
日本共産党 柴田睦夫
それで、いわゆる過激派裁判などを契機として改正案の提出ということになったと言われておりますので、ひとつ極左暴力集団あるいは過激派集団、いろいろ言われておりますが、我々はにせ左翼暴力集団と一般的に呼んでおりますが、これら暴力集団によるいわゆるゲリラ事件についての状況なんですが、昨年の概況をひとつ説明願いたいと思います。

[331]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 鏡山昭典
昨年中のゲリラ事件の概要という御質問でございますけれども、このゲリラ事件といいます場合、私ども明確な規定というものはございませんが、ただ極左暴力集団、過激派が単独もしくは比較的少人数で奇襲的に行うものを一応ゲリラ事件というふうにとらえておりますので、その中には例えば爆発物を使ったり火炎瓶を使ったり火炎放射器等を使ったりするものもありますと同時に、フェンスの金網を切ってしまうというようなことも入っているわけでございますけれども、そういう数を全部含めますと、昨年中の発生は48件となっております。その中でも特に対象として多いのは成田闘争関連でございまして、昨年中に29件発生しております。

この成田2期工事に関連して発生しましたゲリラ事件29件というのを、襲撃対象、どういうところを対象にしてやったんだというふうに見てみますと、一つは空港本体とかその関係施設あるいは空港公団の施設あるいは警察の施設、政党の本部、それから成田関連の各種工事関係の施設とか業者、それから国会議員の事務所あるいは千葉県知事の私邸、こういうのが対象になっておりまして、昨年の主な事件としましては、59年3月1日の空港公団本社ビルに対しまして高速道路上から火炎車を使いまして放火した事件とか、あるいは5月5日に成田空港に対して妨害電波を発射しまして飛行機の離着陸に影響を与えるというような事件を起こしておりますし、あるいは9月19日には自民党本部に放火するという事件、11月27日に千葉県選出の国会議員の方々の事務所あるいは千葉県知事の私邸に対する放火、同未遂事件というような極めて悪質な事件を行っております。

[332]
日本共産党 柴田睦夫
昨年の概況を伺いましたが、ことしに入ってからもにせ左翼による今言われたようなゲリラ事件が成田空港問題を口実にしていわゆる無法的に頻発しているように聞いております。

それで、ことしに入ってからの概況、それからことしに入ってからの事件の捜査状況あるいは犯人検挙の実態、それから今年度の事件についての特徴あるいは昨年と比べてみた場合の傾向、そうした問題について、要するにことしの問題についてお伺いしたいと思います。

[333]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 鏡山昭典
本年に入りまして発生しましたゲリラ事件は、現在までのところ23件になっておりまして、昨年同期に比べまして非常に増加しております。

その23件につきまして、犯行声明等からどのセクトがやったのかと見ますと、中核派によると認められるものが14件ということでございまして、そのほか革労協狭間派によるものと認められるものが3件、戦旗荒派によると認められるものが5件、あと犯行セクトが不明というのが1件になっております。

このうち、成田工事に関連したゲリラ事件としましては、このことしの23件中の18件に上っておりまして、その襲撃対象も昨年と同じように空港本体やその関係施設、警察施設、空港公団施設、空港関連企業、成田用水施設等々となっておりまして、特にことしは1月11日に警察庁の科学警察研究所に対する放火事件、4月12日に成田及び羽田両空港に対する爆発物発射事件、あるいは4月8日に新東京国際空港公団工事局に対する火炎瓶発射事件、さらに5月7日には埼玉、千葉両県下の3カ所の航空管制施設等に対する火炎瓶発射事件が発生しております。

特にこのゲリラ事件を昨年とことしというふうに比較してみますと、ことしの注目点は、1つはいわゆる飛び道具といいますか火炎瓶発射装置あるいは爆発物発射装置というものが出てきたということと、もう1つは中核派でございますけれども、爆発物を使用し始めだということが非常に大きな特徴であろうか、こういうふうに思っております。

こういう事件に対しましては、警察といたしましてもそれぞれ捜査本部を設けまして全力を挙げて捜査しております。犯行声明を出したセクトに対する組織的な捜査、あるいは犯行に使用されました盗難車両とか時限式発火装置等の組成物の捜査、あるいは犯行現場周辺での聞き込み捜査等鋭意推進して犯人の早期検挙に努めておるわけでございますけれども、本年の検挙事案といたしましては、先般、4月28日に警視庁で昨年の9月19日の自民党本部放火事件に対する被疑者1名を逮捕するとともにあと1名を指名手配しております。

それと同時に、直接どの事件に関与したということはまだ今のところわかっておりませんけれども、中核派の四日市にありました非公然アジトをことしの1月9日に摘発いたしまして、開発中の新しい武器等を押収すると同時に、爆発物取締罰則で起訴しているという状況でございまして、着々と彼らの非公然軍事部門に対する打撃を与えておるという状況でございます。

[334]
日本共産党 柴田睦夫
4月になっての成田、羽田空港、新聞などでは新型ロケット弾を撃ち込む、こういう重大な事案に発展してきているわけです。これは、一般国民に対する無差別殺傷につながりかねない、一般国民が安心して暮らす権利があるにもかかわらず、そういう状況を意図的に奪ってしまうというような方向にエスカレートしているというように思うわけです。ゲリラ事件ですから、現行犯逮捕の場合あるいは、要するに人がいないところでカムフラージュした上で犯行に及ぶわけですし、またそういう犯罪者集団になっておりますので、いろいろ画策もしながらやっていると思いますから、現行犯やあるいは一般の何かつながりのある犯罪などに比べてみると、確かに検挙が簡単でないということはわかるわけでありますけれども、それにしても、ことしになってからでもいろいろな事件が起きて、23件起きている。そして、ことしの分についてはまだ犯人逮捕というところには至っていないという事実から見ますと、これはもうだれが見ても将来、今後について不安を持たせるものであるというように思うわけであります。

そこで、今課長の方から犯人検挙の努力、また、こういう犯罪が起きないための対処の基本についてお話がありましたけれども、こういう新しい事態を迎えて警察として  新しい事態というのはエスカレートする事態ですけれども、そういう事態を迎えて特に対処として考えている点について、あるいは犯人検挙の見通しといいますか、そうした問題についてもう一度お伺いしたいと思います。

[335]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 鏡山昭典
ただいま御指摘ございましたように、この4月12日に使われました凶器というのは、飛ぶ距離も非常に遠くまで飛ぶというようなことで、今まで以上に国民の皆さん方に御心配をかけるような事態になっておるわけでございます。これにつきまして、私どもとしては2つの立場から対策をとっているわけでございますけれども、1つは攻めという立場でございますし、もう1つは守りという立場でございます。

攻めといいますのは、どうにかして積極的に、こういう悪質な犯行を繰り返しておる極左暴力集団を検挙しなければならないという立場からの攻めでございますけれども、これにつきましては国民の御協力も得ながら、例えば非公然軍事部門の関係者とかそのアジト、あるいは犯行に使う、いろいろ盗難自動車なんかを改造しておりますが、そういう地下工場の発見とか、あるいはゲリラ事件が発生しそうだということになると、いつ、どういう時点で行われるだろうかという箇所に対する待ち伏せといいますか要撃捜査、あるいは犯行に使用されるおそれのある盗難車両を早期に発見する、こういう活動を攻めという面でやっておるわけでございます。

一方、奇襲的なゲリラを、何とかその被害をなくさなければならぬという意味で、そういう対象になる場所についての防護、これにも力を入れておるわけでございます。

警察といたしましては、こうした極左暴力集団の過激な闘争に対するものにつきましては、これまでも所要の警備体制を確立しまして、空港諸施設等重要防護対象については常駐体制などをとりまして厳重な警戒警備をやっておるわけでございますけれども、特にこの4月12日の事件のような問題が起こって以後は、警戒範囲というものをもっと広げるというようなことも十分検討しながら、情勢に応じて所要の防護体制、警備体制をとりながら、この種事件の再発防止に全力を挙げているところでございます。

先ほど、犯人の、そうした連中の逮捕の見通しはどうかという御質問でございますけれども、これにつきましては、ただもう警察を挙げて、国民の御協力も得ながら全力を挙げて取り組むということを申し上げておきます。





関連議事録

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昭和53年03月23日 参議院 法務委員会
[008]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
本案の質問に入ります前に、最近新聞紙上をにぎわしております束山薫氏の事件について少しく質問をいたしたいと思います。

この事件の結末は、私どもにとって非常に意外な結末であったわけです。警察官のこの種の問題が生じました場合に、警察官を特定して起訴したというような事例が余りありません。何となくいままでのように警察官に対する不起訴処分という結果になるのではないかという予感は私どもあったのでありますが、しかし、今回の結末というのはきわめて意外な結末であったわけです。

この事件の被害者である東山薫さんの死因については、千葉大学医学部の木村康教授の鑑定がありまして、私もこの鑑定書のリコピーを大体入手して見たのでありまするが、ほぼ新型のガス弾による傷害を受けたということが、大体起訴せられました場合に裁判所が認定するに支障のない鑑定結果であったように思うのでありますが、その鑑定が採用せられずに、別個の鑑定、これと異なる鑑定の結果が採用されたということが新聞紙上に報道せられておるわけであります。

そこでお伺いいたすのですが、この木村鑑定と異なる鑑定というものについて、マスコミによりますと、東海大の斎藤銀次郎教授の鑑定がそれであるということが報道せられております。また、その鑑定結果というのは、投石による傷害と、そういう鑑定結果を出しているということも報道せられておるわけでありますが、大体この事実は間違いないのでしょうか、まずお伺いしたいと思います。

[009]
政府委員(法務省刑事局長) 伊藤榮樹
ただいまお尋ねの事件につきましては、当初、御指摘のように千葉大学教授の木村康博士の鑑定をお願いしたわけでございますが、現場のその他の関係証拠と符合しない部分があったりいたしましたために、改めまして、現在東海大学教授、元慶応大学教授であられました斎藤銀次郎博士に再鑑定をお願いいたしました。また、別途、兵庫医大教授、この方は現在大阪大学名誉教授でもあられるわけでありますが、松倉豊治博士のつくられました意見書、これも検討いたしました結果、御指摘のような結論を出したものでございます。

[010]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
その兵庫医大の松倉さんという方の意見書ですか、これはどういう経路で検察庁が入手なさったのでしょうか。

[011]
政府委員(法務省刑事局長) 伊藤榮樹
現在この東山さんの関係の方から国に対して損害賠償請求の民事訴訟が起きております。その民事訴訟に応訴いたしますために千葉県警が依頼をしまして意見書というものをつくってもらいまして民事裁判の方に提出したということを検察庁で聞きまして、そのものを取り寄せてそして捜査に役立てたと、こういう状況でございます。

[012]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
その松倉意見書と、それから検察庁が職権で委嘱された結果入手なさった斎藤教授の鑑定結果とは同一の結論になっておるわけですか。

[013]
政府委員(法務省刑事局長) 伊藤榮樹
ほぼ同一の結論でございます。

[014]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
刑事局長の御説明によりますと、木村鑑定は現場の関係証拠と符合しないということでしたね。そうすると、その符合しないというのは、いろいろわれわれ職務上の経験から判断をいたしますと、一番大切なものは東山さんの近くに新型ガス弾を持った警察官がおったかおらなかったかということが一番関係があるように思いますが、それはおったという証拠があるのでしょうか、あるいはおらなかったという証拠によったものですか、どちらでしょうか。

[015]
政府委員(法務省刑事局長) 伊藤榮樹
端的に申し上げますと、例の俗に言われます野戦病院のそばで東山さんがスクラムを組んでいたときに受傷したものというふうに認められるわけですが、その付近において新型ガス弾が発射されたという事実がどうもないということも一つの状況としてあったわけでございます。

[016]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
刑事局長、非常に専門の御関係上慎重な御発言があったわけですね、いま。新型ガス弾が発射せられた形跡がないという表現をとられたのですが、それは新型ガス弾を持った射手がそこにいなかったということを意味するのですか、いやおったけれども発射されなかったというそういう意味でおっしゃったのですか、どちらでしょうか。

[017]
政府委員(法務省刑事局長) 伊藤榮樹
何しろ3月20日の処分でございますので詳細な部分を私聞いておりませんが、私の従来受けておりました報告を思い出してみますと、新型ガス弾の発射装置を持った者がその付近にはいなかったということであったと思います。

[018]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
私も恐らくそういうようなことが今回の検察庁のとられた結論の前提になっておるというふうに想像しておったわけです。なるほど新型ガス弾を持った射手がそこにいないということになりますと、それは検察庁のとられた結論が妥当であったということにならざるを得ないと思いますが。ただ客観的に本当におらなかったのか、まあ想像したくないことであるけれども、警察がそこにおったにもかかわらず、おらないといってそれを秘匿してしまったのではないかという、そういう想像も全く不可能というわけではないのですね。これは大変したくはない想像だけれども、私どものいままでの職務上のさまざまな経験からそういうこともあり得ないことではないと考えるわけです。その点は、検察庁におかれてはやはり警察関係の人々の証言をもとにしてそういう結論をお出しになったのでしょうね、おらなかったというふうに認定なさったその根拠は。

[019]
政府委員(法務省刑事局長) 伊藤榮樹
もちろんこの事件では警察官も約250名調べておりますが、そのほかのいわゆる反対同盟の関係の方々も御協力いただきまして数10名調べさしていただいておりまして、それらの方の供述、現場写真、こういうようなものをしさいに吟味をして結論を出しておるようでございます。

[020]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
これは私どもとしましては多分に疑いが残りますし、恐らく検察庁のそうした職務遂行の歴史といいますか、そういうものの歴史の中で一つのクエスチョンマークを打たれる事件ではないかというふうに考えられるのですけれども、私どもも客観的な証拠がなしに単純なる職務上の経験からする推定だけで余り質問をするということもどうかと思われますので、きょうはこの程度にこの事件についての質問は打ち切っておきたいと思います。しかし、これは後日にもさらにまた検討をしなければいけないと私どもは考えておるわけです。