異常洪水時防災操作

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平成30年07月17日 参議院 内閣委員会
[176]
国民民主党 森本真治
今回の、多くの地域で浸水があったんですけれども、ちょっと今報道等でも言われておりますダムの緊急放流の件です。

異常洪水時防災操作というものがありますけれども、どのようなものか、まずちょっと御担当の方、御説明ください。

[177]
政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長) 清瀬和彦
異常洪水時防災操作とは、各ダムごとに定めました操作規則等に基づきまして、大きな出水によりダムの洪水調節容量を使い切る可能性が生じた場合、放流量を徐々に増加させ、流入量と同じ流量を放流する操作のことでございます。

この操作を行う際には、操作規則等に基づきまして、関係機関へ周知するとともに、サイレン等により一般住民にも周知しているところでございます。そのため、この操作によりダムがない場合よりも被害を拡大することはなく、それ以前の操作に伴う河川の水位低下や異常洪水時防災操作移行後の洪水調節によりまして被害を軽減するとともに、その操作以前の浸水被害を軽減させることやあるいはピーク時間を遅らせることにより、避難活動にも資するものというふうに考えているところでございます。

[178]
国民民主党 森本真治
広島県の呉市に野呂ダムというのがありまして、今回この緊急放流をしたわけですね。通常安全に放流できる最大値が毎秒50トン、今回その3.6倍に当たる180トンを緊急放流しました。下流で河川が氾濫して、浸水で大きな被害が発生しました。

今回緊急放流をしたダムと下流域で浸水被害が出た地域について、現在把握をされていたらお答えください。

[179]
政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長) 清瀬和彦
今回の豪雨では、国土交通省が所管する全国558のダムのうち213のダムで洪水調節操作を実施し、下流の被害を軽減しております。このうち、特に記録的な豪雨に見舞われました8ダム、8つのダムにおきましては、ダムで洪水を貯留して下流河川の水位を低下させる中でダムが満杯に近づいたということで、先ほど申し上げました異常洪水時防災操作を実施しているところでございます。

これら8つのダムのある流域は、異常洪水時防災操作を行わなければならないほどの計画規模を上回る豪雨が発生しておりまして、ダムの洪水調節効果により被害を軽減してもなお、先生御指摘の広島県呉市、あるいは愛媛県大洲市、同西予市、京都府の京都市、亀岡市、岡山県総社市等におきまして人的被害や浸水被害が発生してございます。

なお、被害の詳細については現在調査中でございます。

[180]
国民民主党 森本真治
今回、この広島ですけれども、下流域で浸水被害が発生したんだけれども、広島県の見解は、緊急放流が下流域の浸水につながった可能性は高いが、放置すればダムそのものが決壊して制御不能になり、更に深刻な被害を招いたおそれもある、管理ルールに沿った適切な対応だったというふうに県の方は今見解を出されています。

また、先ほど幾つかの被害の状況をお話をされましたけれども、愛媛県の西予市の野村ダム、これは肱川が氾濫して5人の方が亡くなられたんですね。これ、緊急放流との関係はどうかということは、ちょっとまた今後機会ありますけれども、少なくともこのダムの下流域でそのような、先ほど言われたように人的被害、物的な被害も多く発生しているということなんですね。

これ、ちょっと新聞の記事で恐縮なんですけれども、広島大学の河原能久先生という方が、緊急放流はやむを得ないぎりぎりの対応とする一方で、異常気象を踏まえてダムの運用ルールの見直しが必要というふうに言われております。気象予報を事前によく分析して、例えばダムの水量をあらかじめ減らす対策だったり、住民に、より周知の徹底ですね、というような新たな手法というものをしっかりとやっぱり考えていかないと、実際に、これやむを得ないぎりぎりの対応と言われながらも、やっぱり被害が出るわけですから、今後、国交省の方としても、特に今後の異常気象を考えたときに、また次いつ来るか分かりませんから、この異常洪水時防災操作の運用ルールであったり緊急放流の在り方、速やかにこれは検討していただきたいというふうに思いますが、大臣、ちょっと答えてください、これ、お願いします。

[181]
国土交通大臣 石井啓一
今回の西日本を中心とする豪雨におきましては、異常洪水時防災操作を行ったダムも含めまして、洪水調節を行った全てのダムにつきまして操作規則等に基づき操作が行われたものと認識をしております。

一方、これまでに経験のない異常な豪雨であったことを踏まえまして、特に肱川水系野村ダム、鹿野川ダムにおいてこの異常洪水時防災操作が地域においても大変な課題とされておりますので、より有効な情報提供や住民への周知の在り方について検証を行うとともに、より効果的なダム操作について技術的考察を行うことを目的といたしまして、野村ダム、鹿野川ダムの操作に係る情報提供等に関する検証等の場を設置することとしております。これには行政関係者も入りますが、学識経験者等も加わっていただいて検証することとしてございます。

この結果を踏まえまして、改善すべき点があれば速やかに改善をしてまいりたいと考えております。





平成30年07月19日 衆議院 災害対策特別委員会
[058]
国民民主党 白石洋一
まず、お手元に質問は全部お届けしております。野村ダムと鹿野川ダムの操作ですね。

今、住民の方は、ダムがあるから安心というよりも、ダムがあるから怖いという恐怖心があります。ダムによって鉄砲水のような増水があって、それで浸水被害をし、人命も犠牲が出たということです。

このことは地元でも注視されていまして、記者会見も開かれています。そこのオペレーターの方は恐らく真摯にオペレーションマニュアルどおりにやられたんだと思います。そのオペレーションマニュアルが、これだけの大雨、30年なり50年なりに一度の大雨を想定したマニュアルなのかどうかというところが疑問なんです。

ここを見直すということも含めて検討していただきたいのは、大雨が来そうになったら、極力その前に貯水量を、極論すれば、ゼロにして迎え入れる。そして、大雨が来たら、川が耐え得る最大の放流を始めていく。そうすると、川を見た人は、これはやばそうだというふうに思って避難を始めるわけです。そして、それが時間稼ぎになって、それでもいよいよダムが満水になったら、来た水を全部放流する。これを、異常洪水時防災操作ということ、これはやむなしということで、やる。

このようなオペレーションマニュアルに変えてほしいというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

[059]
国土交通副大臣 牧野たかお
お答えいたします。

肱川水系の野村ダム及び鹿野川ダムは、洪水調整と利水を目的としておりまして、関係機関と合意の上で策定した操作規則に従って操作を行っております。

今回の記録的な豪雨においては、水道用水やかんがい用水などの利水者の合意のもと事前放流を実施して、ダムに貯留できる水の容量を通常より大きく確保いたしました。また、流域の西予市や大洲市に対し、異常洪水時の防災操作を開始する見込みである旨を情報提供し、警報所や警報車によって住民への周知を行いました。

一方、これまでに経験のない異常な豪雨だったことを踏まえて、異常洪水時の防災操作にかかわる情報提供がこの地域において課題ということになっております。

このために、より有効な情報提供や住民への周知のあり方について検証を行うとともに、より効果的なダム操作について技術的な考察を行うことを目的として、野村ダム、鹿野川ダムの操作にかかわる情報提供等に関する検証等の場を本日設置いたします。この場には関係自治体とともに学識経験者も加わっていただくことにしておりまして、ここでの結果を踏まえまして、改善すべき点があれば速やかに改善してまいりたいと考えております。

[060]
国民民主党 白石洋一
きょうから設置するということですけれども、その中身の答弁のところは記者会見とほぼ同じで、ここのお手元にありますけれども、低目で大雨を迎えたというふうにおっしゃっていますけれども、貯水率70%前後で推移しているんです。7割じゃなくて、3割など、2割など、極論すれば、さっき言ったように、空で大水を迎えるというふうにして、そして、早目に放流を始める、このようなことが、今まで想定外だったものを想定内にする、そういうオペレーションマニュアル、操作の仕方だと思います。よろしくお願いします。





平成30年08月02日 参議院 災害対策特別委員会
[011]
自由民主党 足立敏之
今回の豪雨では、全国各地でダムが洪水調節効果を発揮して被害の軽減に貢献しました。しかし、計画規模を大きく超える雨によりましてダム湖が満杯になりまして、ダム湖に入ってきた流量をそのまま下流に流さざるを得なくなったダムも多数生じました。

肱川の上流の野村ダムもその一つであります。資料9にお示ししましたが、ダム直下の西予市野村町では、川沿いの家屋が2階まで浸水し、残念ながら犠牲者も出ています。野村ダムの管理所にも伺いましたが、ダムの計画では2日雨量で最大365ミリ、その雨を対象としているのに対しまして、今回の豪雨ではそれを大きく上回って2日で421ミリ降っております。

資料10に示しましたとおり、異常洪水時防災操作、かつてはただし書操作と呼んでおりましたけれども、これに移行したのはやむを得なかったというふうに思います。ただし、異常洪水時防災操作について、あらかじめもっとしっかり下流の住民に広く周知徹底しておくべきではなかったかなというふうに感じました。

野村ダムではその異常洪水時防災操作についてあらかじめ下流の住民にどの程度広く周知していたのか、そして、今回を教訓として今後ダムについてどのような対応を図るのか、伺いたいと思います。

[012]
政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局長) 塚原浩一
肱川水系の野村ダム及び鹿野川ダムにつきましては、今回の記録的な豪雨に対して、事前放流によりダムに貯留できる容量を通常よりも大きく確保した上で、関係機関との合意の上で作成した操作規則に従いまして操作を行うとともに、関係機関への通知、サイレンによる放流の周知等の措置を行っております。

両ダムの操作につきましては、発生頻度の多い中小洪水に対して洪水調節効果を頻繁に発揮する一方で、大規模な洪水に対しましてはダムの容量に余裕がなくなる可能性が高くなり、その場合はダムに流入する量をそのまま放流することとなる、そういうことを様々な機会を通じて住民の皆様に説明を行ってきたところでございます。

その一方で、住民の方から必ずしも十分には周知がされなかったのではないかという御指摘を踏まえまして、住民の方々に対してより一層丁寧な説明を行ってまいりたいというふうに考えております。

さらに、今回の豪雨がこれまでに経験のない異常な豪雨であったことを踏まえまして、四国地方整備局において、学識者等による野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場を7月19日に設置いたしました。この検証等の場では、より有効な情報提供や住民への周知の在り方について検証を行うとともに、より効果的な操作について技術的考察を行うこととしており、その結果を踏まえまして、改善すべき点があれば速やかに改善してまいりたいと思っております。

[013]
自由民主党 足立敏之
ありがとうございます。

私も、建設省当時でございますが、ダムを2つ建設をしたいわゆるダム屋でございます。ダムにも限界があります。あらかじめしっかり下流の住民にそのことを知っていただくように、しっかり対応していただきたいと思います。また、そうだからといってダム自体がまるで無駄なものであるかのように言われるようなこともありますが、そういったことはないということもしっかり認識いただくようにお願いしたいと思います。





平成30年11月16日 衆議院 国土交通委員会
[085]
立憲民主党 道下大樹
7月豪雨時のダムの緊急放流についてでありますが、7月豪雨災害、それから大阪北部地震、台風21号、そして、私の地元北海道における胆振東部地震において犠牲となられた方々に深い哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げたいというふうに存じます。

その中で、四国・愛媛において、肱川のところで河川が氾濫をして、そして、私の知る限りには9名の方が犠牲となられたということでありますが、この肱川のところの上流にあります西予市の野村ダム、そして、そのちょっと下流の大洲市の鹿野川ダム、ここで、今回の豪雨時には、異常洪水時防災操作、緊急放流が行われたわけであります。

時系列でちょっと見ていくと、例えば、緊急放流するという連絡があってから、実際に緊急避難の連絡が住民に行き渡ったのは、野村ダムの所長さんから市長さんに行って、そして緊急放流された時間帯は1時間10分であります。また、鹿野川ダムの方で緊急放流をするということで、それを受けて地元の大洲市の市長さんが市内全域に避難指示を出したのが7時30分ということで、これは実は、避難指示してから、もうその5分後に緊急放流しているんですね。

これはもちろん、ダムからその地域まで流れが達する流達というのがタイムラグがあるのは存じておりますけれども、しかしながら、緊急放流をするダム側として、これについて、いつまでに流れるからいつまでに避難してくださいというその切迫感や、何時までに避難してください、そういう具体的な指示があれば、もっと被害は食いとめられたのではないかなというふうに思っております。

そうした意味で、今後の緊急放流実施と、そして住民に対する避難の伝達、そこまでのシステムの問題、それから、事前に豪雨が来るということを察知した上での事前放流、もっと早目にできなかったのかという課題もありますけれども、今回の野村ダムそれから鹿野川ダムにおけるこうした異常洪水時防災操作、これを実施したことによってどのような課題が浮き彫りになったのか伺いたいというふうに思っております。

[086]
政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局長) 塚原浩一
お答えいたします。

野村ダム及び鹿野川ダムにおきましては、今回、異常洪水時防災操作に移行するに当たりまして、あらかじめ関係機関との合意の上で作成をいたしました操作規則に基づきまして、関係機関への通知、サイレン等による放流の周知、また、数回にわたり市長等へのホットラインによる情報提供などを行いまして、西予市及び大洲市において避難指示を発令したもの、このように認識をしております。

今回の豪雨を踏まえまして、今、四国地方整備局におきまして、より有効な情報提供や住民周知のあり方などにつきまして検証等の場を設置しておりまして、検討を進めているところでございます。この結果を踏まえまして、改善すべき点があれば速やかに改善してまいります。

[087]
立憲民主党 道下大樹
今回の事象を十分に参考にした上で、また、今検討作業が行われているということでありますので、これらの検討作業ができる限り早く最終的な報告書が出されて、そして全国のダムに行き渡って、今後、今回のような豪雨災害が今頻発しておりますけれども、こういうダムの限界を超える洪水による河川の氾濫、また犠牲者の発生、これは絶対に二度と繰り返してはならないというふうに思いますので、ぜひ今後しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。