質問主意書・答弁書 ~ 革マル派・JR東労組・JR総連

警察庁広報誌 焦点258号「過激派集団 革マル派 ~見えてきた その正体~」





第145回国会 衆議院
質問第22号 質問主意書提出 平成11年(※1999年)4月2日
革マル派非公然アジト捜査結果の内容公開に関する質問主意書

答弁第22号 答弁書受領 平成11年(※1999年)4月27日
衆議院議員青山丘君提出革マル派非公然アジト捜査結果の内容公開に関する質問に対する答弁書

自由党 青山丘
警察庁が平成11年に発行した『焦点』(通巻258号)によると、平成10年1月7日、警察は東京都練馬区に構える革マル派「豊玉アジト」を捜査し、その結果、次なる事件として報告している。

一 「神戸事件の検事調書を保管していた兵庫県立光風病院に侵入して検事調書等を盗んだ事件」
一 「神戸事件の被疑少年の両親宅に侵入した事件」
一 「神戸大学医学部に侵入した事件」
一 「神戸事件の被疑少年が入院している関東医療少年院に侵入した事件」
一 「早稲田大学法学部教授宅の電話を盗聴した事件」
一 「国労本部書記長宅に侵入した事件」
等の関係証拠物を押収したと報告している。その他、「偽造した広島県警の警察手帳」「約400本の印鑑類」「1万4000本に上る鍵」等が押収品として公開されている。これらの証拠品により、革マル派が組織的に他人の居宅等に侵入し、物を盗んだり盗聴器をしかける等の行為を働いていたことが明らかとなった。

また、警察は平成10年4月9日、千葉県浦安市内の革マル派「浦安アジト」を捜査。その結果「警察無線を傍受するための無線機12台」「暗号解読機11台」「録音機20台」「録音カセットテープ約5000本」等多数の資料が証拠品として押収され、このアジトが情報収集拠点であったことが証明された。

さらに平成10年11月5日、警察は神奈川県厚木市内の革マル派「厚木アジト」(アベ製作所)を捜査し、「鉄棒入りの竹刀多数」「鉄パイプ多数」「まきびし、ヘルメット、ヌンチャク、ナタ、サバイバルナイフ」等の合計1800点の証拠品を押収。このアジトが内ゲバ事件等に使用される凶器を製造していた工場であったことが判明した。

一方、公安調査庁は同庁の発行した「内外情勢の回顧と展望」(平成11年1月)において、革マル派による一連の反社会的行為を指摘すると同時に、その主導的な組織拡大を学生運動や労働運動を介して行っていることを記述している。特に注目に値するのは、今回の「回顧と展望」の特徴として、「労働運動の分野では、最大の牙城といわれるJR東労組において、今夏(昨年)開催の同労組中央本部・地本定期大会で、同派系労働者多数が組合執行部役員に就任するなど、同労組への浸透が一段と進んでいることを印象づけた」と報告している点である。

さらに、第143臨時国会における「旧国鉄長期債務処理策法案」の審議の過程でJR本州3社株式第二次売却に関連して、政府答弁として「できるだけ早い時期に売却したい」とする見解が述べられていたにもかかわらず、平成11年1月13日及び19日の『日本経済新聞』の報道記事によると、「JR東日本会社株式年度内(平成10年度)第二次売却先送り」とする記事が掲載され、その理由として二点が挙げられている。一つは「軟調な株式相場に配慮」したことと、今一つは「自民党内に旧国鉄以上に複雑な労使関係を解決しない限り、完全民営化には反対との声が高まっている」ことである、と記事は述べている。

以上の内容を踏まえ、質問する。

1 平成10年1月7日に捜査された「豊玉アジト」からは、公表された証拠品以外にJR関係の書類等が段ボール箱40箱、約8000点にわたって押収されているやに報道(朝日新聞平成10年10月13日)されている。その点について捜査内容は公表されていないが、その後の捜査の進捗状況と結果について明らかにされたい。

内閣総理大臣 小渕恵三
1について

警視庁においては、平成10年1月、東京都練馬区所在の日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)の非公然アジトから約3万5000点の証拠物を押収したところであるが、その中には、旅客鉄道株式会社に関係するものもあったものと承知している。

革マル派による旅客鉄道株式会社に関係する犯罪の捜査としては、同庁において、それら証拠物の分析等を行い、平成10年10月12日に、資料収集、盗聴器の設置等を目的として国鉄労働組合中央本部中央執行委員の自宅に侵入した容疑で革マル派非公然活動家1名に対する逮捕状の発付を受け、同人を指名手配したものと承知している。

現在も押収した証拠物の分析等所要の捜査を鋭意推進していると承知しているが、捜査の具体的内容については答弁を差し控えたい。



自由党 青山丘
2 今回の公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」報告書によれば、JR東労組は革マル派の牙城とされている。この点は確信するに足る根拠があると思うが如何か。

内閣総理大臣 小渕恵三
2について

公安調査庁が公表した「内外情勢の回顧と展望」(平成11年1月)の内容は、同庁による破壊的団体の規制に関する調査に基づいたものであって、同誌の革マル派に関する記述についても、その一環として同派の労働運動の分野における動向を調査した結果得られた各種の情報、資料を根拠にしたものである。



自由党 青山丘
3 また、それが事実だとすればゆゆしきことであり、公共サービスがハイジャックされたようなものである。監督官庁及びJR東日本としてどう受け止め、どう対処するのか明らかにされたい。

4 国鉄民営・分割は経営問題と共に労使関係の荒廃を立て直すことも大きな目的として完遂されたものである。しかし、12年を経過した今日「国鉄時代以上に複雑な労使関係」になっているとすれば、きわめて深刻な問題であると考える。監督官庁及びJR東日本会社の同社労働問題についての見解及び考え方を示されたい。

内閣総理大臣 小渕恵三
3及び4について

東日本旅客鉄道株式会社としては、東日本旅客鉄道労働組合は、昭和62年の会社発足以来、一貫して同社発展のため諸施策に労働組合の立場から協力してきており、今後とも同労組との協力関係を保っていきたいとしている。

運輸省としては、同社が健全な労使関係を構築することにより、適切な事業運営を図っていくための努力を行っていくことが必要であると考えているところである。



自由党 青山丘
5 JR東日本以外の本州2社の株式放出を先行すべきだと考えるが如何か。

右質問する。

内閣総理大臣 小渕恵三
5について

政府としては、「国鉄改革に関する意見」(昭和60年7月26日日本国有鉄道再建監理委員会)を受け、「国鉄改革のための基本方針について」(昭和60年10月11日閣議決定)において、旅客鉄道株式会社については、「経営基盤の確立等諸条件が整い次第、逐次株式を処分し、できる限り早期に純民間会社とすることとする」としてきたところであり、日本鉄道建設公団が保有している旅客鉄道株式会社の株式の売却については、こうした日本国有鉄道の改革以来の方針に従って適切に実施してまいりたい。





第156回国会 参議院
質問第3号 質問主意書提出 平成15年(※2003年)2月7日
JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問主意書

答弁書第3号 答弁書受領 平成15年(※2003年)3月18日
参議院議員山下八洲夫君提出JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問に対する答弁書

民主党(民進党) 山下八洲夫
平成14年11月1日、警視庁はJR東労組の役員ら7名を強要容疑で逮捕し、これまでに約70か所に上る職場、組合役員宅等の家宅捜索を執行している。11月22日には7名全員が起訴された。そして、事件の中心人物のJR東労組大宮地方本部副委員長は革マル派幹部と報道されている。かねてより警察庁警備局長は国会答弁で「JR東労組への革マル派の浸透」について明らかにし、治安問題と認識し注意を喚起してきたが、本件は、浸透による悪影響の具体的な表れであり、飽くまでも氷山の一角にすぎないと考える。我が国の重要な基幹産業であるJR東日本という公共交通機関の労働組合に過激派が浸透していることは、極めて憂慮すべき事態であり、一刻も早く正常化を図る必要があると考える。

このような認識から、次の事項について質問する。

1 本件の捜査状況を明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
1について

お尋ねの件については、捜査当局において、平成14年11月1日に被疑者7人を強要罪で逮捕し、関係箇所約70箇所に対する捜索、被疑者の取調べ、証拠品の分析、関係者に対する事情聴取等所要の捜査を行ったものと承知している。

なお、同月22日に、7人全員について同罪で東京地方裁判所に公訴が提起されたものと承知している。



民主党(民進党) 山下八洲夫
2 JR総連、JR東労組に対し「革マル派が相当浸透している」といえる根拠と実態を明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
2について

警察においては、平成8年以降、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)の非公然アジト15か所を摘発しているが、これらのアジトの一部から押収した資料を分析するなどした結果、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)内における革マル派組織の存在を確認するなど、革マル派がこれらの組織に相当浸透している実態を解明しているものと承知している。



民主党(民進党) 山下八洲夫
3 JR東労組への革マル派の浸透により、JR東日本会社内における職場管理、安全輸送等に関する影響の実態を明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
3について

安全の確保は、公共交通機関である鉄道輸送にかかわるすべての関係者の基本的な責務である。今後、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)に、鉄道輸送の安全に係る問題が出てくるのであれば、安全で安定した鉄道輸送の確保の観点から適切に対処してまいりたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
4 本件の中心人物とされるJR東労組幹部役員が革マル派幹部であることの根拠及び同人物の革マル派内での位置付けとJR東労組内での影響力について明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
4について

お尋ねの件で逮捕された7人の中には、革マル派活動家とみられる者がいると承知しているが、現在、当該事件は東京地方裁判所に係属中であるので、具体的な事項については答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
5 過激派革マル派の社会的な危険性について見解を明らかにされたい。また革マル派がJR総連、JR東労組に浸透工作を働く真の狙いは何なのか。更に浸透が進めば、今後、どのような事態が起こり得ると考えられるか。

内閣総理大臣 小泉純一郎
5について

革マル派は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であると承知しており、これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律(昭和47年法律第17号)違反事件や対立するセクトとの間での殺人事件など多数の刑事事件を引き起こしているところである。また、革マル派は現在、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、JR総連及びJR東労組への浸透もそうした組織拡大戦術の一環であると考えられる。

なお、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向については、公安の維持の観点から重大な関心を払っている。



民主党(民進党) 山下八洲夫
6 革マル派が国内最大の極左暴力集団になったとされるが、同派の活動資金の捻出、調達についてどのように考えるか。また、JR総連、JR東労組がその資金源になっているおそれはないのか、見解を明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
6について

革マル派の資金源には、機関紙の売上代金、同盟費等があるものと承知しているが、JR総連及びJR東労組がその資金源になっているおそれの有無については、今後の警察活動に支障を来すおそれがあることから、答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
7 JR東労組の組織方針に従順でない組合員や、他労組組合員に対する集団的な追及、嫌がらせなどの犯罪的事態は他にも数多く発生している。今回の強要事件は、徹底した排他的性格を持つとされる革マル派の影響を受けた、JR東労組の組織方針に基づき発生したものと考えるがどうか。

内閣総理大臣 小泉純一郎
7について

お尋ねの件については、現在、当該事件が東京地方裁判所に係属中であるので、答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
8 JR東労組は今回の事態を憲法第28条が保障する団結権に基づく「組織を維持・防衛する活動」としているが、本件のような暴力的な強要行為は、正当な労働組合活動を大きく逸脱するものと考えるがどうか。

内閣総理大臣 小泉純一郎
8について

一般論としては、暴力の行使や脅迫は、労働組合の正当な行為であるとはいえないが、お尋ねの件については、現在、当該事件が東京地方裁判所に係属中であるので、答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
9 今回の強要事件は数10回、おおむね6か月間に及び、職場内で、あるいは勤務時間内に敢行されたとされる。当然、JR東日本の職場管理者はこれを把握していたと認識するが、これを黙認し、退職に至るまで適切な対応を欠いた会社の職場管理責任及び犯罪を助長、誘発した責任について、見解を明らかにされたい。

10 JR東日本は、我が国の重要な基幹産業、公共交通機関としての責務を有している。にもかかわらず、今回の事件でJR東労組の犯罪行為を黙認し、その経過を知りながら、提出された退職願を受理した。また、昨年2月に発令された東京支社における、元JR東労組役員の管理職人事の問題に関してJR東労組との間で対立があり、JR東労組松崎元会長は、この件について社長が労働組合に陳謝したと講演している模様だが、そうした事実はあるのか。さらに、昇進、昇格、配転などの会社人事で、JR東労組を極端に優遇し、社員の労働組合の所属による差別的な扱いが横行しているとも聞く。JR東日本のこのような姿勢は、既にJR東労組の組織を通じて、革マル派に会社の人事権を侵されていることの証左ではないかと危惧するが、見解を明らかにされたい。

11 JR東日本は、我が国の重要な基幹産業、公共交通機関として、過激派を厳しく排除すべき責務を持つことは当然である。しかし同社社長は最大労組のJR東労組への革マル派浸透を再三指摘されてきたにもかかわらず、国会で「労働組合としてとくに問題があると思っていない」と答弁するなど、過激派排除に対する認識が極めて薄いと考えるが、こうした会社の姿勢に対する見解を明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
9から11までについて

お尋ねの点については、JR東日本が適切に事業を運営していく上で必要となる労使関係をいかに構築していくかということを始めとする同社の経営上の問題であるので、政府として答弁する立場にない。



民主党(民進党) 山下八洲夫
12 国土交通大臣は昨年12月4日の衆議院国土交通委員会でJR東労組への革マル派浸透問題に関し、安全運行確保の視点からJR東日本を指導していく旨の答弁を行った。監督官庁はJR東日本に対し、今日までどのような指導を行ってきたのか。また、大臣答弁を踏まえ、今後どのような指導を行っていく考えか明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
12について

安全の確保は、公共交通機関である鉄道輸送にかかわるすべての関係者の基本的な責務である。この点については、国土交通省においても、従来から安全を確保するための適切な取組を行ってきたところであり、JR東日本に対しても、例えば平成12年以降の3年間に、鉄道輸送の安全確保に関し、鉄道運転事故や輸送障害等に対し、文書により計9件の厳重注意や再発防止の指示等の指導を行ってきたところである。今後とも、鉄道輸送の安全の確保に万全を期してまいりたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
13 JR総連本部及びJR東労組以外のJR総連加盟の労働組合への革マル派の浸透の実態はどうなのか。

右質問する。

内閣総理大臣 小泉純一郎
13について

JR総連加盟の労働組合でJR東労組以外のものへの革マル派の浸透実態については、現在、警察等において鋭意解明に努めているものと承知している。





第164回国会 参議院
質問第53号 質問主意書提出 平成18年(※2006年)4月28日
JR総連・JR東労組などJR労組に浸透する革マル派の実態等に関する質問主意書

答弁書第53号 答弁書受領 平成18年(※2006年)5月12日
参議院議員山下八洲夫君提出JR総連・JR東労組などJR労組に浸透する革マル派の実態等に関する質問に対する答弁書

民主党(民進党) 山下八洲夫
私は、平成15年2月7日に「JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問主意書」(第156回国会質問第3号)を提出した。これに対する平成15年3月18日付けの政府の答弁書(以下「前回答弁書」という。)では、「革マル派は現在、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、JR総連及びJR東労組への浸透もそうした組織拡大戦術の一環であると考えられる。なお、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向については、公安の維持の観点から重大な関心を払っている。」との見解が示されている。

平成14年11月1日に警視庁が強要容疑の罪でJR東労組の役員ら7名を逮捕するとともに、70数箇所に上る家宅捜索を実施してから、既に3年半が経過している。その後も、警視庁はJR総連及びJR東労組の関連する数箇所への捜索を数次にわたり実施した。また、報道によると、平成17年12月7日、警視庁は業務上横領の罪で、JR総連を始めとする関連団体等を捜索し、多数の関係資料を押収したとされる。

このような政府の見解及び捜査の進展状況から見て、関係当局は、我が国の基幹産業である公共交通機関の労働組合に、共産主義革命を究極の目的とする極左暴力集団である革マル派が浸透している事態を憂慮し、安全対策とともに治安対策に取り組んでいるものと考える。

以上の認識を踏まえ、以下質問する。

1 これまでの捜査の進展過程で解明された革マル派の組織実態とその社会的危険性について、具体的に明らかにされたい。また、前回答弁書において、革マル派は組織拡大戦術の一環として党派性を隠して基幹産業の労働組合等への浸透を図っているとされているが、その目的及び解明されている具体的な浸透の事例を明らかにされたい。

2 前回答弁書においては、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向について、公安の維持の観点から重大な関心を払わなければならないとされているが、その具体的理由を明らかにされたい。また、関心を払う必要のある革マル派の動向、関係する組織、注意を要する人物、発行する書籍及び機関誌・機関紙等を、具体的に明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
1及び2について

日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であり、約5400人の活動家等を擁していると見ている。革マル派は、他の極左暴力集団と比較しても非公然性が極めて強い組織であり、これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律(昭和47年法律第17号)違反事件や対立するセクトとの間での殺人事件等、多数の刑事事件を引き起こしているところである。

革マル派は、現在、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置き、周囲に警戒心を抱かせないよう党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、例えば、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)内において、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると見られるところである。

このため、警察としては、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向について、公安の維持の観点から重大な関心を払っている。

また、革マル派に関係する組織としては、その学生部門の傘下にある革マル派系の全日本学生自治会総連合等があり、革マル派の書籍として「日本労働運動に炎を」等が、その機関誌として「新世紀」が、その機関紙として「解放」が発行されているものと承知している。



民主党(民進党) 山下八洲夫
3 関係当局が公共交通機関の労働組合に革マル派が浸透している実態を繰り返し指摘しながらも、この憂慮すべき事態が今なお解消されていない原因は何か、具体的に明らかにされたい。また、公安の維持の観点から、今後どのように対処していく方針なのか、具体的に明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
3について

お尋ねの原因については、革マル派が巧妙に党派性を隠してJR総連及びJR東労組に浸透していること等が考えられる。

警察としては、革マル派の動向について重大な関心を持ち、革マル派の実態解明に努めるとともに、刑罰法令に触れる行為があると認める場合には、引き続き、厳正に対処していくこととしている。



民主党(民進党) 山下八洲夫
4 関係当局は、JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透に関して、JR東日本など関係するJR各社に対する情報提供・注意喚起などの対策をどのように講じてきたのか、具体的に明らかにされたい。また、JR東日本及び関連会社から、JR総連及びJR東労組を介して革マル派に資金が流れている懸念はないのか。

内閣総理大臣 小泉純一郎
4について

警察としては、JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透について、広報誌を配布するなどして、必要な情報を提供するとともに、革マル派の実態と危険性について注意を喚起しているところである。

お尋ねの懸念の有無については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
5 警察庁が公表している『焦点』第272号は、平成18年度においても革マル派が労働運動への介入の強化やJR関係者に対する違法な調査活動を行う可能性を指摘しているが、具体的に革マル派がどのような行為に及ぶと懸念されるのか、詳細に明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
5について

革マル派は、労働運動を通じた組織の維持及び拡大を図るため、JR総連又はJR東労組と対立する労働組合及び旅客鉄道株式会社の関係者に対する住居侵入等の違法行為を伴う調査活動を行うこと等が懸念されるところである。



民主党(民進党) 山下八洲夫
6 革マル派のJR総連及びJR東労組への浸透状況について、これまでの国会答弁で存在が明らかにされた「トラジャ」「マングローブ」等の革マル派組織の浸透実態及び浸透する関係組織の名称等について、現時点で解明している事項を具体的に明らかにされたい。また、JR東労組内の革マル派構成員を具体的に把握しているのか否かについても明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
6について

革マル派には、労働運動の指導に当たる中央労働者組織委員会があり、その中に通称「トラジャ」と呼ばれる組織が存在していること並びに「トラジャ」の指導の下に在る組織としてJR総連及びJR東労組にいる革マル派活動家の指導に当たる通称「マングローブ」と呼ばれるものが存在していることが確認されているが、その実態等については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
7 JR総連及びJR東労組の若手組合員並びに現場管理者及び大卒採用の幹部候補社員に対する革マル派の浸透及び影響力行使の実態について、具体的に明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
7について

お尋ねの実態については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
8 JR総連に加盟するJR北海道労組及びJR貨物労組に対する革マル派の浸透及び影響力行使の実態について、具体的に明らかにされたい。また、これらの組合内における「トラジャ」「マングローブ」等の革マル派組織及び構成員についても、JR東労組に関する6の質問に対する答弁と同様に、具体的に明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
8について

お尋ねの実態等については、警察等において鋭意解明に努めていくこととしている。



民主党(民進党) 山下八洲夫
9 平成17年12月7日以降のJR総連などに対する捜索は、何らかの犯罪容疑により実施されたものと考えるが、これまでの捜索の結果、どのような犯罪容疑が解明されているのか。また、捜索は慎重を期して実施されているものと考えるが、数次にわたる捜索を実施したにもかかわらず、現時点で結果が明確にされていないことはどのような理由によるものか。

内閣総理大臣 小泉純一郎
9について

御指摘の捜索は、JR総連等の関係者による業務上横領の容疑で、平成17年12月7日以降、警視庁が六都県のJR総連事務所等24か所について実施した捜索を指すものと考えられるが、お尋ねの点については、捜査の具体的内容にかかわる事柄であることから、答弁を差し控えたい。



民主党(民進党) 山下八洲夫
10 革マル派が労働組合等への浸透を図る理由には、活動資金の獲得があると考えるが、これについての政府の見解はいかがか。また、報道によると、長年にわたりJR東労組の最高幹部を務めた松崎明氏がJR東労組や関係団体の活動資金を私的に流用していたとされるが、関係当局はこうした実態をどの程度認識し解明しているのか、革マル派の活動資金との関連性も含めて明らかにされたい。さらに、JR東労組や関係団体の経理手続について、どのような指導・管理が行われているのか明らかにされたい。

内閣総理大臣 小泉純一郎
10について

革マル派は、現在、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、その理由の一つに、御指摘の活動資金の獲得もあるものと見られるが、お尋ねの実態については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

また、御指摘の「関係団体」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、政府としては、少なくともJR東労組の経理手続について指導等を行う立場にない。



民主党(民進党) 山下八洲夫
11 平成17年4月25日のJR福知山線列車脱線事故をめぐり、革マル派とJR総連及びその加盟組織であるJR西労は、「JR西日本の『日勤教育』が事故の原因」という、互いに酷似した主張を行っている模様であるが、JR西労への革マル派の浸透及び影響力行使の実態について、現時点で解明している事項を具体的に明らかにされたい。また、事故列車の車掌は今も入院中で、会社側の説得にもかかわらず何らコメントが明らかにされていないと聞くが、この実態と、車掌が所属するJR西労、又はJR西労に浸透している革マル派の組織方針との関連性について把握しているところを明らかにされたい。

右質問する。

内閣総理大臣 小泉純一郎
11について

お尋ねのJR西日本労働組合への革マル派の浸透の実態等については、警察等において鋭意解明に努めていくこととしている。





第165回国会 衆議院
質問第228号 質問主意書提出 平成18年(※2006年)12月8日
運輸安全マネジメントに関する質問主意書

答弁第228号 答弁書受領 平成18年(※2006年)12月19日
衆議院議員伴野豊君提出運輸安全マネジメントに関する質問に対する答弁書

民主党(民進党) 伴野豊
平成17年4月に発生したJR西日本福知山線列車脱線事故をはじめとする事故や、JALにおける各種トラブル等の運輸分野における事故、トラブル等の発生を背景として、運輸の安全性の向上を図るため「運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律」(以下、「運輸安全一括法」という。)が、第164回国会において成立し、平成18年10月1日に施行された。これに基づき、運輸事業者が構築した安全管理体制を記載する安全管理規程及び安全統括管理者等の選任についての国土交通大臣への届出が、運輸事業者に対して義務付けられた。

また、これに対応して、国土交通省は、安全管理規程に記載された運輸事業者の安全管理体制の運用状況を確認する運輸安全マネジメント評価を実施することとし、平成18年10月18日及び19日にはJR西日本に対して、11月14日及び15日にはJALに対して、運輸安全マネジメント評価を実施している。

以上を踏まえ、次の事項について質問する。

(中略)

5 平成18年11月27日JR東日本に対しても運輸安全マネジメント評価が実施された。JR東日本管内においては、過去、「三鷹事件」(平成11年9月から翌年1月にかけてJR東日本三鷹電車区において発生した、JR総連に加盟するJR東労組の役員等が、JR連合に加盟するJRグリーンユニオンの組合員と交流した運転士である組合員に対し、JR東労組を脱退させたうえ、集団で執拗な嫌がらせや、悪質な運転妨害をした事件)、続いて「浦和事件」(平成12年12月から翌年にかけてJR東日本浦和電車区において発生した、JR東労組役員等がJRグリーンユニオンの組合員と交流した運転士である組合員に対し、組合脱退及び退職を強要し、職場で長期間にわたり組織的かつ執拗な追及を受け、運転にも支障をきたした事件)、さらに、「佐久事件」(平成15年5月から発生したJR東労組の役員を務めていたJR東日本長野支社の運転士が、平成15年5月10日から13日に開催されたJR東労組運輸車両部会常任委員会で組織破壊行為を行なったとの理由で、JR東労組役員から集団で脅迫、暴行を受けて精神的病理に陥ったとして告訴した事件)、最近では、「長岡事件」(平成17年4月24日深夜に発生したJR東日本新潟支社の運転士4人が勤務中の高崎支社の車掌3人に暴行し、肋骨を折るなどの被害を与え、8月に長岡警察署が傷害容疑で書類送検した事件)が発生している。いずれの事件も鉄道の安全安定輸送に直接係わり、乗客の命を預かる運転士や車掌に対して集団での執拗な嫌がらせ、運転妨害、脅迫、暴行という一般社会においてもあるまじき行為がJR東日本という限られた会社組織の中で繰り返し発生した。これらの運転士や車掌への嫌がらせ、運転妨害、脅迫、暴行などの行為は往来危険罪に該当する危険行為であり、JR東日本経営者は、JR東日本の社員である被害を受けた当該運転士や車掌を安全に仕事ができるよう保護することなく、労働契約に付随する安全配慮義務違反の責任を免れないと認識する。そのうえで、警察庁は、これらの4つの事件を刑事事件としてどのように把握しているか。とりわけ、平成18年10月25日の衆議院国土交通委員会で、米村敏朗警察庁警備局長が答弁したJR総連及びJR東労組へ相当浸透しているとされる革マル派と事件との係わりについてどのように把握、認識しているのか。また、国土交通省は、これらの4つの事件を、鉄道の安全安定輸送に悪影響を及ぼしている事件としてどのように把握、認識しているのか。さらに、監督官庁である国土交通省は、JR東日本に対して今後同様の事件が発生しないように、どのように指導、助言してきたか、具体的に明らかにされたい。

内閣総理大臣 安倍晋三
5について

警察としては、御指摘の「三鷹事件」について、その旨の報道がなされていることは承知しているが、被害の届出等がなく、刑事事件として把握していない。

御指摘の「浦和事件」は、平成13年1月21日から同年6月30日ころまでの間に、東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)の組合員である被疑者7人が、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)大宮支社浦和電車区事務所等において、他の労働組合の組合員と行動を共にするなどしたJR東労組の組合員を集団で脅迫し、同組合から脱退させ、さらに、JR東日本から退職させた強要事件のことであると思われる。当該事件については、警視庁において、所要の捜査を行い、平成14年11月1日に被疑者7人を強要罪で逮捕し、翌日、東京地方検察庁検察官に送致したものと承知している。

御指摘の「佐久事件」は、JR東労組の組合員が、同組合の組合員から傷害を受けたとして、平成18年10月6日、長野県警察に告訴した事件のことであると思われる。当該事件については、現在捜査中であり、その具体的な内容については、答弁を差し控えたい。

御指摘の「長岡事件」は、平成17年4月25日、JR東日本の社員である被疑者2人が、新潟県長岡市内において、同社の社員3人に暴行を加えた事件のことであると思われる。当該事件については、新潟県警察において、所要の捜査を行い、平成17年8月17日に被疑者2人を傷害罪で新潟地方検察庁検察官に送致したものと承知している。

なお、警察は、刑罰法令に触れる行為があると認める場合には、引き続き、厳正に対処していくこととしている。

お尋ねの「革マル派と事件との係わり」については、「浦和事件」で逮捕された7人の中には、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)の活動家とみられる者がいると承知している。警察としては、引き続き、全日本鉄道労働組合総連合会及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向について、公共の安全と秩序の維持の観点から重大な関心を払うこととしている。

国土交通省においては、従来から鉄道事業法(昭和61年法律第92号)に基づき、輸送の安全の確保という観点から、鉄道事業者に対し、鉄道運転事故、輸送障害等の報告を求めているところであるが、これまでのJR東日本からの報告の中で、御指摘の4つの事件に係る報告は受けておらず、輸送の安全に係る問題が生じたとは承知していない。したがって、国土交通省からJR東日本に対してこれらの事件に係る指導、助言はしていない。



民主党(民進党) 伴野豊
6 過去、国土交通省は、JR東日本経営者に対して、山下八洲夫議員の質問主意書の答弁(内閣参質164第53号平成18年5月12日)で政府も認めている革マル派の浸透問題について指導、助言したことはあるのか。あるとすれば具体的に明らかにされたい。ないとすれば鉄道の安全安定輸送に係わる重大な問題であるにもかかわらず、なぜ指導、助言しないのか、明らかにされたい。

内閣総理大臣 安倍晋三
6について

御指摘の「革マル派の浸透問題」については、JR東日本が適切に事業を運営していく上で必要となる労使関係をいかに構築していくかというJR東日本の経営上の問題であることから、国土交通省として指導、助言はしていない。



民主党(民進党) 伴野豊
7 冬柴鐵三国土交通大臣は、平成18年10月25日の衆議院国土交通委員会で、労使関係やJR東労組等への革マル派の浸透の問題と、監督官庁としての鉄道事業者への指導等との関係について、「国土交通省としては、仮に鉄道輸送の安全に係わるような問題が生じてくるようなことがあれば、そのときには適切に対処していかなければならない」と答弁したが、未だ鉄道輸送の安全に係わるような問題が生じていないとする理由、そのように判断している根拠は何か、明らかにされたい。JR東日本における三鷹事件、浦和事件、佐久事件、長岡事件はいずれも安全に深く係わる問題であることは明らかであるから、「運輸安全マネジメント評価」における「経営トップ・現場双方向のコミュニケーションの確保」に関連して、国土交通省は、監督官庁としてJR東日本経営者に対し厳しく指導する必要があると考えるが見解はどうか。具体的な指導、助言の時期、方法を明らかにされたい。また、どのようになったら鉄道輸送の安全に係わるような問題とするのか、その判断基準及び判断基準とする具体的な事象を明らかにされたい。

内閣総理大臣 安倍晋三
7について

国土交通省においては、従来から鉄道事業法に基づき、輸送の安全の確保という観点から、鉄道事業者に対し、鉄道運転事故、輸送障害等の報告を求めているところであるが、これまでのJR東日本からの報告の中で、御指摘の4つの事件に係る報告は受けておらず、輸送の安全に係る問題が生じたとは承知していない。

運輸安全マネジメント評価においては、JR東日本に限らずすべての事業者に共通して、経営幹部への面談調査等を行い、安全に係る経営幹部と現場との双方向のコミュニケーションの確保の体制が構築され、それがシステムとして機能しているかについて、評価を実施しているものであり、評価の際に、それらの体制が未構築であること、システムとして機能していないこと等を確認した場合には、国土交通省として必要な助言をすることとしている。

輸送の安全の確保に問題があるか否かに関しては、列車衝突事故等の発生するおそれがあると認められる事態等の個別の事案に基づき判断することとしている。



民主党(民進党) 伴野豊
8 国土交通省は、平成18年11月27日に実施したJR東日本に対する運輸安全マネジメント評価において、JR東日本会社における安全安定輸送に係わる最大の問題である革マル派浸透問題について指導、助言した形跡が見られないがその理由を明らかにされたい。

内閣総理大臣 安倍晋三
8について

運輸安全マネジメント評価においては、JR東日本に限らずすべての事業者に共通して、経営幹部への面談調査等を行い、安全に係る経営幹部と現場との双方向のコミュニケーションの確保の体制が構築され、それがシステムとして機能しているかについて、評価を実施しているものであり、御指摘の「革マル派浸透問題」については、JR東日本が適切に事業を運営していく上で必要となる労使関係をいかに構築していくかというJR東日本の経営上の問題であることから、国土交通省として指導、助言はしていない。



民主党(民進党) 伴野豊
9 国土交通省は、山下八洲夫議員の質問主意書の答弁(内閣参質164第53号平成18年5月12日)で、政府も認めているJR東日本内の革マル派の存在、浸透について同様の認識であるかどうか明らかにされたい。認識が違うとすれば閣内不一致と断言せざるを得ないがどうか。

内閣総理大臣 安倍晋三
9について

参議院議員山下八洲夫君提出JR総連・JR東労組などJR労組に浸透する革マル派の実態等に関する質問に対する答弁書(内閣参質164第53号)については、国土交通省として承知している。



民主党(民進党) 伴野豊
10 山下八洲夫議員の質問主意書の答弁(内閣参質164第53号平成18年5月12日)並びに平成18年10月25日衆議院国土交通委員会における米村敏朗警察庁警備局長答弁でも明らかなように、JR東日本において浸透している革マル派に対して、JR東日本経営者は積極的にその問題解決に向けて尽力していると国土交通省は評価しているか、否か。評価しているとすればその理由、評価していないならばその理由を明らかにされたい。

内閣総理大臣 安倍晋三
10について

JR東労組内に革マル派が浸透しているとされる問題についてのJR東日本経営陣の対応に関しては、JR東日本が適切に事業を運営していく上で必要となる労使関係をいかに構築していくかというJR東日本の経営上の問題であり、これに対するJR東日本の経営陣の対応については、国土交通省が答弁する立場にない。



民主党(民進党) 伴野豊
11 JR東日本において浸透している革マル派問題の解決にはJR東日本、国土交通省、警察庁の三者がそれぞれ持ち得る情報を交換し、一体となってその問題解決にあたるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

12 政府は、JR東日本において浸透している革マル派問題について、政府の持ち得る全ての力を結集し、鉄道の安全安定輸送問題、並びに国家の治安問題と位置づけ解決すべきと考えるが、政府の見解はどうか、明らかにされたい。

右質問する。

内閣総理大臣 安倍晋三
11及び12について

お尋ねの点については、政府として輸送の安全の確保及び公共の安全と秩序の維持の観点から重大な関心を持ち、関係機関がそれぞれの所管に基づいて、必要に応じて関係者と連携するとともに、輸送の安全に問題が生じた場合や刑罰法令に触れる行為があると認められる場合等においては、引き続き、厳正に対処することとしている。





第174回国会 衆議院
質問第430号 質問主意書提出 平成22年(※2010年)4月27日
革マル派によるJR総連及びJR東労組への浸透に関する質問主意書

答弁第430号 答弁書受領 平成22年(※2010年)5月11日
衆議院議員佐藤勉君提出革マル派によるJR総連及びJR東労組への浸透に関する質問に対する答弁書

自由民主党 佐藤勉
警察庁は、本年2月、広報誌『焦点 第278号 平成21年の警備情勢を顧みて~回顧と展望~』を発行し、「現在の社会経済情勢を好機ととらえ、労働運動等への介入を強めた過激派」の動向に警鐘を鳴らしている。

とりわけ、革マル派に関しては、「非正規労働者等の組織化に取り組むなど、労働運動に介入」しており、「革マル派が相当浸透しているとみられるJR総連及びJR東労組は、組合員を大量動員し、JR東労組の組合員らによる組合脱退及び退職強要事件に対する支援活動に取り組みました。(平成21年)6月5日、一審有罪判決に対する被告人の控訴は棄却されましたが、これらの組合は、それ以降も『不当判決』などと訴える集会に取り組み、組織の引締めを図りました」としている。警察庁は、革マル派の労働組合に対する介入工作、とりわけJR総連への浸透について、平成11年以降の『焦点』において、繰り返し指摘しているところである。

政府においては、JRという公共交通機関の労働組合に、過激派・革マル派が浸透している事態を看過することなく、国の治安維持のために取り組みを強化すべきであると考える。

以上の認識に立ち、以下質問する。

1 平成11年版警察庁出版の広報誌『焦点』という冊子に、革マル派は、「平和で自由な民主主義社会を暴力で破壊、転覆しようと企てている反社会的な集団であり、治安を脅かす要因となっている」と記されている。革マル派の社会的な危険性と、JR総連・JR東労組をはじめとするJRの労働組合への浸透と影響力行使の実態及びその目的について具体的に明らかにされたい。

2 JR総連・JR東労組には、現在も革マル派が相当浸透し、同派幹部が多数存在しているとみてよいか。また、JR東労組の委員長や会長を歴任した松嵜明氏は、現在も革マル派最高幹部であるとみてよいか。

3 革マル派については、平成18年12月19日の伴野豊議員の質問主意書に対する政府の答弁書(内閣衆質165第228号)によれば「全日本鉄道労働組合総連合会及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向について、公共の安全と秩序の維持の観点から重大な関心を払うこととしている」と回答しているが、今後想定される革マル派の活動及び危険性についての警察の認識を明らかにされたい。

4 警察庁出版の『平成21年の警備情勢を顧みて』によれば、「革マル派が相当浸透しているとみられるJR総連及びJR東労組」と書かれているが、その見解は今でも変わらないか。

6 革マル派組織が将来的に国政の場への浸透を企図する動きや懸念はあるのか、見解を明らかにされたい。

右質問する。

内閣総理大臣 鳩山由紀夫
1から4まで及び6について

日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であり、これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律(昭和47年法律第17号)違反事件や対立するセクトとの間での殺人事件等、多数の刑事事件を引き起こしている。革マル派は、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置き、周囲に警戒心を抱かせないよう党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合内には、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると認識している。今後も、革マル派は、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っていくものと見られる。

なお、2の後段のお尋ねについては、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁は差し控えたい。



自由民主党 佐藤勉
5 警視庁が平成20年3月18日に東京地方検察庁に送致した、JR総連の関連団体である日本鉄道福祉事業協会の元理事長にかかわる業務上横領被疑事件の内容を明らかにされたい。

また、前述の業務上横領被疑事件に関し平成19年2月に警察が行った捜索や差し押さえについて、前記松嵜明氏らは東京都と国を被告として賠償等請求訴訟を提起しているのか。また、当該事件にかかわる捜索及び差し押さえの実態を具体的に明らかにされたい。

内閣総理大臣 鳩山由紀夫
5について

お尋ねの件については、財団法人日本鉄道福祉事業協会の元理事長が、同協会のため業務上預かり保管中の金員を、自己の用途に充てる目的で横領した嫌疑で、警視庁が、平成19年2月15日及び同月19日に、関係箇所に対する捜索を実施し、証拠物を差し押さえたものと承知している。また、この警視庁が行った捜索及び差押えについて、JR総連等が、東京都及び国を被告とする国家賠償請求訴訟を提起しているものと承知している。





第176回国会 衆議院
質問第15号 質問主意書提出 平成22年(※2010年)10月01日
JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透に関する質問主意書

答弁第15号 答弁書受領 平成22年(※2010年)10月12日
衆議院議員佐藤勉君提出JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透に関する質問に対する答弁書

自由民主党 佐藤勉
私は本年4月27日に「革マル派によるJR総連及びJR東労組への浸透に関する質問主意書」(質問第430号)を提出した。これに対して、鳩山内閣は5月11日、革マル派の社会的な危険性を指摘し、「JR総連(全日本鉄道労働組合総連合会)及びJR東労組(東日本旅客鉄道労働組合)内には、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると認識している」などとする答弁書(以下「前回答弁書」という)を閣議決定した。また、第175回臨時国会の8月3日の衆議院予算委員会における答弁で、中井洽国家公安委員会委員長は「私どもは、JR総連、JR東労組と革マル派の関係については、革マル派が相当浸透していると認識しているのは事実でございます」と改めて明言した。

政府が現在も「共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団」と認定する革マル派が、JR総連及びJR東労組内に相当浸透しているという事実は、わが国の治安維持の観点から、決して看過することのできない深刻な問題である。さらに、JR総連及びJR東労組の幹部役員であった田城郁氏が、第22回参議院選挙で民主党の比例代表として当選し、参議院議員となったが、政府の認識に立てば、革マル派が国政への浸透を企図しているとの懸念も持たざるを得ない。政府においては、この問題の真相を徹底して解明し、対策を強化すべきであると考える。

以上の認識に立ち、以下質問する。

1 複数の刊行物によれば、田城参議院議員は、革マル派創設者の一人でJR東労組の委員長や会長を歴任した松崎明氏の運転手や側近を務めていたとされているが、政府の認識を伺いたい。また、田城参議院議員について、革マル派の影響が及んでいる人物であるという可能性は否定できるのか、見解を明らかにされたい。

内閣総理大臣 菅直人
1について

お尋ねについては、個人に関する情報であることから、答弁は差し控えたい。



自由民主党 佐藤勉
2 前回主意書の5項で指摘した業務上横領被疑事件(以下「横領事件」という)にJR総連、JR東労組及び日本鉄道福祉事業協会等に浸透する革マル派グループが関係している可能性はあるのか、見解を明らかにされたい。

3 警視庁による横領事件の捜査において、田城参議院議員が前回答弁書「5について」にある平成19年2月に警視庁が実施した家宅捜索を受け、証拠物の差し押さえを受けたという事実はあるのか。

内閣総理大臣 菅直人
2及び3について

お尋ねについては、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であることから、答弁は差し控えたい。



自由民主党 佐藤勉
4 田城参議院議員は松崎明氏らとともに、3項で指摘した、警視庁が行った捜索及び差し押えについて、東京都及び国を被告とする国家賠償請求訴訟(以下「国賠訴訟」という)を提起し、その原告になっているといる事実はあるか。また、国賠訴訟の一審判決の内容と現在の進行状況を明らかにされたい。

5 国賠訴訟の一審判決では、横領事件に関連して、JR総連の関連団体である日本鉄道福祉事業協会の公金の一部(358万円)が、田城参議院議員の個人名義の預金口座に振り込まれ、私的な使途(マンション購入の手付金の補助)に費消されていたことが認定されていると認識しているが、そうした事実はあるのか。

内閣総理大臣 菅直人
4及び5について

御指摘の国家賠償請求訴訟は、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)ほか27名が、司法警察員による捜索差押許可状の請求及び執行並びに裁判官による同許可状の発付が違法であるとして、国及び東京都に対し、損害賠償等を請求した事案を指すものと思われるが、その原告の中に田城郁という氏名の者が含まれていることは承知している。同訴訟の第一審判決では、原告らの請求には理由がないとして、請求をいずれも棄却しており、原告らは同判決を不服として控訴したが、控訴審判決では、控訴をいずれも棄却した。現在、JR総連、財団法人日本鉄道福祉事業協会及び株式会社鉄道ファミリーの3名が上告中であり、原告田城郁ほか24名の請求については、控訴審判決が確定している。

この第一審判決では、御指摘の被疑事件の被疑者名義の預金口座から、「原告JR総連執行委員の原告田城個人名義の口座への入金も行われていたことが判明した。」との事実が認定され、控訴審判決でもこれが維持されているが、その金額や使途については言及されていないものと承知している。



自由民主党 佐藤勉
6 JR総連、JR東労組への革マル派の浸透の実態や田城参議院議員との関わりなどの問題に対して、政府は、国の治安上の課題として、真相の解明に取り組む考えはあるのか、見解を明らかにされたい。

右質問する。

内閣総理大臣 菅直人
6について

政府としては、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)の動向について重大な関心を持ち、革マル派の実態解明に努めるとともに、刑罰法令に触れる行為があると認める場合等には、引き続き、厳正に対処していくこととしている。





第178回国会 衆議院
質問第3号 質問主意書提出 平成23年(※2011年)09月13日
JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透に関する質問主意書

答弁第3号 答弁書受領 平成23年(※2011年)09月27日
衆議院議員佐藤勉君提出JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透に関する質問に対する答弁書

自由民主党 佐藤勉
私は昨年4月27日に「革マル派によるJR総連及びJR東労組への浸透に関する質問主意書」(質問第430号)を提出した。これに対して、鳩山内閣は5月11日、革マル派の社会的な危険性を指摘し、「JR総連(全日本鉄道労働組合総連合会)及びJR東労組(東日本旅客鉄道労働組合)内には、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると認識している」などとする答弁書(内閣衆質174第430号)(以下「前回答弁書」という。)を閣議決定した。また、第175回臨時国会の昨年8月3日の衆議院予算委員会における答弁で、中井洽国家公安委員会委員長は「私どもは、JR総連、JR東労組と革マル派の関係については、革マル派が相当浸透していると認識しているのは事実でございます」と改めて明言した。

政府が現在も「共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団」と認定する革マル派が、JR総連及びJR東労組内に相当浸透しているという事実は、わが国の治安維持の観点から、決して看過することのできない深刻な問題である。政府においては、JRという公共交通機関の労働組合に、過激派・革マル派が浸透している事態を看過することなく、国の治安維持のために取り組みを強化すべきであると考える。

以上の認識に立ち、内閣が交代したことを踏まえ、あらためて以下質問する。

1 革マル派については、前回答弁書によれば、「日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であり、これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律(昭和47年法律第17号)違反事件や対立するセクトとの間での殺人事件等、多数の刑事事件を引き起こしている。革マル派は、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置き、周囲に警戒心を抱かせないよう党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合内には、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると認識している。今後も、革マル派は、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っていくものと見られる」と回答しているが、その見解は今でも変わらないか。

右質問する。

内閣総理大臣 野田佳彦
1について

先の答弁書(平成22年5月11日内閣衆質174第430号)1から4まで及び6についての第一段落で述べた見解に変わりはない。



前略と後略は省略、旧字は新字に変換、誤字・脱字は修正、適宜改行、
漢数字は一部アラビア数字に変換、一部括弧と句点を入れ替えています。
基本的に抜粋して掲載していますので、全文は元サイトでご確認ください。