犯罪島 対馬

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昭和24年03月31日 参議院 地方行政委員会
[001]
委員長 岡本愛祐
今日の議題は、派遣議員の報告でございます。選挙関係は報告が済みましたが、まだ兵庫、山口、島根各県に治安状況の現地視察に参りました、その報告が残っておりますから、今日はそれを御報告いたします。私と黒川議員と島村議員3人が今申しました3県下並びに門司の海上保安本部に治安関係の調査に行くことになりました。島村議員は止むを得ない事情で遂に行を共にすることができなくなられまして欠席されました。

(略)

戦後激動する社会情勢を反映しまして、生活の不安定からややもすれば動揺不穏な雰囲気を醸成し易い環境に置かれまして、この在留朝鮮人は精神的に、又物質的に絶えず刺戟と影響を与えられております。密造酒や、密造のたばこ、密貿易なんかを取締ることは我々の生活権を脅かすものだというような主張をしている者もあります。併しこういう情勢の悪化をどうしても助けているのは朝鮮本土からの密輸、密貿易、密航事件であります。その中継拠点になっておりますのが対馬であり、隠岐島である。この対馬、隠岐島の状況はこれは相当憂慮しなければならない。又警察方面、殊に海上保安庁方面においても取締を要するものと認めるのであります。殊に対馬方面では余程ひどい条件になっているようでございます。

(略)

門司の海上保安庁本部は九州、山口の沿岸の広い海上を管轄し、殊に下関を中心とする山口県の海岸、北九州一帯等の朝鮮人の密集地、密輸、密航の屈強の中継地である対馬等重要地点を控えているのに、この保安本部で聞いて見ますと全くその人員は心細いのでありまして、もう保安本部の方でもこれはとてもやろうとしてもやれないのだと悲鳴を上げておられるような状態であります。どうか早く至急にこの陣容を充実強化されまして、密輸、密航の第一線を取締を厳重にして頂いて、海上保安の万全を期して頂きたい。こう申した次第であります。



[017]
委員長 岡本愛祐
御質問ございませんか。先程お尋ねした対馬の状況ですね。又隠岐の状況、これは非常に密貿易、又密航者なんかの基地になっておるということですが、この点はどうですか。

[018]
政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
委員長の御報告の通り対馬、隠岐殊に対馬は南鮮の済州島に近い関係からいたしまして、非常に重要な場所になっております。長崎県の国家警察としましても対馬の重要性をよく考えまして、ここに最近特別多人数の警察官を派遣をいたしまして、只今の密輸入の防止に当っております。





昭和24年05月16日 衆議院 大蔵委員会
[059]
政府委員(大蔵技官(主税局税関部長)) 伊藤八郎
次に上関監視署は庁舎の所在位置が隣村の上関村にあるので、現在の室津監視署の単なる名称がえであり、比田勝と佐賀の両監視署は、対馬が密貿易の根拠地となっている現状にかんがみまして、監視網を充実して、密貿易の徹底的取締りを行う必要があるからであります。





昭和24年05月17日 参議院 大蔵委員会
[023]
政府委員(大蔵政務次官) 田口政五郎
次に上ノ関監視署は庁舎の所在位置が隣村の上ノ関村にあるので、現在の室津監視署の単なる名称替であり、比田勝と佐賀の両監視署は、対馬が密貿易の根拠地となっている現状に鑑みまして、監視網を充実して、密貿易の徹底取締を行う必要があるからであります。





昭和24年08月24日 衆議院 地方行政委員会
[007]
説明員(海上保安庁長官) 大久保武雄
次におもなる治安関係の任務の密航、密輸について申し上げますと、海上保安庁は、昨年5月から本年の4月末日までに検挙しましたものは密航104件、人員2064名、密輸90件、人員485名であります。合計いたしまして194件、2549名ということに相なっております。主として出て参りますものは、朝鮮、台湾方面との間に行われておりまして、薬品、生ゴム、牛皮、その他が入って参りまして、あるいはまた砂糖、米穀等も入って参りますし、わが国からは自転車、機械部品、雑貨類、文房具等が出て参るようでございます。

密入国、密貿易の経路といたしましては、当初関門海峡方面に非常に集中いたしておりましたが、海上保安庁創設以来、警察方面とも連絡をとりまして、関門海峡におきまして取締りを厳重にいたしました結果、対馬を中継地といたしまして、九州北岸に上陸して来る傾向があったのであります。

その後対馬に私どもの方の警備艇を常時配置いたしますようになりましてから、最近は仙崎を中心とする山口県の海岸、博多、長崎港を中心とする北九州、その他さらに最近は舞鶴方面から能登半島、佐渡、新潟方面、西南方面は鹿児島から豊後水道を入り、あるいは紀伊水道を入って阪神方面あるいは名古屋方面、さらに遠く房総方面にまで及ぶといったような状況に相なりました。密航密輸のルートが単線コースからほとんど複々線――非常に広汎なる面にわたりまして取締りを要するように相なって参ったような状況でございます。





昭和25年02月03日 参議院 地方行政委員会
[001]
委員長 岡本愛祐
本日は先ず密貿易捜査費の国庫負担についての請願がこの委員会宛に出ておりますから、それにつきまして国家地方警察本部の意見を承りたいと思います。その請願は大阪警察管区内の自治体公安委員連合協議会からでありまして、その代表者は名古屋市公安委員長富田彦吉氏であります。

その要旨は、密貿易の捜査については関係当局の考慮されつつあるところと考えるが、我が大阪管区内においては、先に愛知県弥富町及び名古屋市における密輸事件、北陸における金沢三国町の密貿易の事件、近くは三重県において鳥羽四日市における砂糖の密輸事件の発生をみたるごとく、密貿易は対馬、沖縄を根拠とし、大都市を避けて東海、北陸方面の都市を中心に行われる傾向がいよいよ顕著となりつつある。元来密貿易等の取締りは国家的事業であって、主として税関又は海上保安庁の所管に属すべきことであるから、自治体警察にありては予算外の多額の捜査費を要し、財政上甚だしく捜査に支障を来たしている現状である。国会は右事情を斟酌し、速やかに密貿易取締費国庫支出をさるるようお取計らい願いたく、ここに請願するものである、こういう要旨であります。





昭和25年02月16日 衆議院 法務委員会
[010]
民主自由党 田嶋好文
次に少し具体的に入りますが、これは海上保安の問題であると同時に、国家警察の問題でありますので、それをお含みになってお答え願ってけっこうでございますが、実は鳥取県下を調査いたしました節、だれの口からも言われ、事実われわれも見たことは、日本海においては隠岐、朝鮮海峡におきましては壱岐、対馬、この島を中継地として密貿易が行われている。この島の取締りを行わないで、日本海を中心としたところの治安問題は論ずることはできないということでありました。また私たちも隠岐を実際について調査をいたしたのでありますが、その感を深くするのであります。これに対して海上保安庁におきましてはいかようなお考えを持っておるか、海上保安庁は現在この付近を中心とした保安問題にいかに対処しているか。これについて承りたいと思います。

[011]
政府委員(海上保安庁次長) 稻垣次郎
海上保安庁の巡視艇59はいのうちで、九州地区と申しますか、九州から島根、鳥取の沖の方に対しましては、その3分の1の21ぱいの船を実は配しておるわけであります。この21ぱいの大部分は海難救助用というよりも、むしろ密貿易及び不法入国の哨戒をやっておる次第でございます。そのうちで対馬におきましては、21隻のうち4隻がこちらヘ参っておりまして、対馬は日本においても重点的にこの方の警備をやっておる次第でございます。それから隠岐の方は、私の方の役所はないのでございますが、その方面の必要性を十分に考えておりますので、保安署を置くというようなことを研究しております。





昭和25年04月13日 参議院 内閣委員会
[027]
説明員(運輸事務官(海上保安庁長官官房企画課長)) 猪口猛夫
今次長から説明しましたことを数字的に補足いたしますと、海上保安庁が昭和23年5月発足いたしましてから、昨年来までの数字的のことを申しますと、大体保安庁の手で海上において検挙いたしました件数が全部で合せまして4047件でございます。それに関連しました人間は、いわゆる検挙人員は、9187名でございます。そのうちで一番多いのは何であるかと申しますと、人間で申しますと一番問題になっております密航関係でございまして、2728名という数字が出ております。御承知のように非常に不備な保安庁の船舶の状況ですが2728という人間が海上において検挙されております。その外密漁、これは内国人ですが、2303名、それから経済違反関係が1227名、その外船舶関係或いはその他雑件1766名、密貿関係が865名、その他になっております。

この一番問題になっております密航関係の者を国籍別に一応数字的に拾ってみますと、2728名のうちで一番多いのが朝鮮人でありまして2409名、その次が日本人と台湾人で台湾人が118名、日本人が166名、中国人が14名その他21名という数字になっております。その国籍別でもはっきり分ります通り、朝鮮方面からの密航者が多いということはこれで歴然としております。その入って来ますルートは先程次長から御説明申しましたように、最も南鮮方面から日本の沿岸に近いところ、即ち東の方で大体境になっておるのは島根県の隠岐島というところでありまして、そのあたりから長崎県の五島、あの附近が大体密航関係の範囲になっております。そのうちで最もひどいのはやはり仙崎から佐賀県の沖合い、壱岐対馬を中心としたところが一番多いのであります。

密貿易関係は先程申上げましたように865人、その中でやはり朝鮮人が一番多くて332名、これは密輸入密輸出を加えますと583名という数字が出ておるのであります。御承知のように密航と密貿易というものは関連して行われるものでありまして、同じような区域でやはり行われております。その密貿易の金額は、金高にいたしますと大体捕まえたものによって見ますと、4730万円ぐらいになっております。





昭和25年07月07日 参議院 地方行政委員会
[042]
日本社会党(社会民主党) 吉川末次郎
この間視察しましたときに聞きましたことで、比較的重要なことであると感じましたことは、厳原には自治体警察がありますが、その他のところは全部国家地方警察が管轄しておるわけでありますが、国家地方警察の警官の数は、私の記憶では70幾名かだったと記憶しておるのであります。それでひとり警察の諸君並びに海上保安庁の職員諸君以外の地元の居住民の代表者の諸君の話によりますると、大体において対馬全土に亘って2000人程の朝鮮人がおるが、その数は北鮮系のものの方が多い。そしてその大多数を見ると多くは一定の生業があるように見えない者が多くて、而も相当に中には経済的に裕福な生活をしておる。大体において非合法的なことをやって生計を立てておると推察されるのであるが、彼らが何か事があった場合において、平常は極めて温和であるけれども、そうした非常時において何をするか分らない。

で尚或るところ、その名は忘れましたが、それは極めて彼らの間において信望を集めているところの学校教師上りの指導者があって、それは共産党員である。そうした人は、一度積極的な行動を開始して、対馬在住のそれらの数1000の朝鮮人に対して扇動をするようなことになるというと、忽ち治安が害されて、何らそれに対するところの対抗力というものは、その微弱な警察力を以てしては極めて薄弱であるが故に、対馬全土が非常な事態に陥ることが想像される。そのことについては非常に居住民は内心戦々兢々たるものがあるというようなことを聞かされて帰ったのでありますが、これはひとり大久保長官統率の海上保安庁の問題のみならず、辻委員長の国家公安委員会の問題であると思いますが、御両所の口から、そうした居住民の不安心ということに対して、今度の事変との関連性において、どのようにお考えになっておるかということをお伺いしたいと思います。

[043]
説明員(海上保安庁長官) 大久保武雄
私共の方の所管の範囲内から申上げます。只今厳原には相当隻数の船艇を把持しておることは吉川委員もおいでになりましたので御承知のことだと思います。その後におきましても、更に同方面を強化する措置をとり、又とりつつある次第でございます。何分対馬は、只今も吉川委員からお話のように、水田の多い地帯でございまするし、又海岸線の状況或いは灯台の地勢的、交通的な諸条件或いは対馬の位置等からいたしまして、そういう策動には非常に誂え向きの地帯でございます。又広く日本の全体的な一つの地理的な諸条件から申しましても、最近におきまする最も重要なる地帯であると考える次第でございます。

私共の方といたしましては、この島民のお気持というものは十分判断される次第でありますから、同方面に対する従来の海上警戒方針を一層強化いたしますと共に、いろいろ灯台の設備等についての島民からの要望にも速かに応えると共に、陸上機関と協力いたしまして、未然に防止する措置をとりたいと考えておりまするが、最も必要なことは情勢判断によって、状況を関係方面に至急連絡することでありますので、その辺の連絡関係も極めて緊密に取っておりまするような次第でございます。尚、又私の方に入りました情報によりますと、対馬の或方面におきましては、何らかそういう事態に対する一つの治安協力の民間組織ができつつあるような情報を得ている次第でありまして、これは附加えて申上げて置く次第であります。





昭和25年07月11日 衆議院 地方行政委員会
[107]
説明員(海上保安庁長官) 大久保武雄
九州の対馬方面その他に対する対策でありますが、海上保安庁はかねて対馬方面はいろいろな犯罪――密航、密漁等の頻繁に起るところでございますために、平素から相当な船艇を同方面に集結をいたしておりますが、最近の諸情勢にかんがみまして、若干のさき得る船艇は九州北岸並びに西部方面に配属をいたしまして、できるだけ事前に持ち得る艦艇を有効に活用する対策をとっておりまする次第でございます。





昭和25年07月29日 参議院 経済安定委員会
[005]
緑風会(会派) 藤野繁雄
我が国の防衛の第一線であるところの対馬の現状はこの間配付されました未開発の宝庫対馬の実態報告というのに詳しく書いてあるのでありますから、大体の説明をしてみたいと思うのであります。対馬は日本海の西の果である九州と朝鮮との間にあって、釜山へは35海里、博多へは72海里、平戸へは53海里というような地点にあって、南北が18里、東西が4里、総面積が7万1403町、そのうち農耕地が2473町というようなところで、総面積に対する農耕地の割合は僅かに3.4%であるのであります。町村の数は13で、人口は5万7000人、このうちに朝鮮人が2114人いるのであります。又、24年度内の密航者の数を調べて見ますというと、1315人、こういうふうに密航者も多いのであります。





昭和25年09月11日 参議院 内閣委員会
[091]
説明員(海上保安庁長官) 大久保武雄
それではマッカーサー書簡に伴う海上保安庁のその後のやっておりまする準備並びに朝鮮事変後における書簡にもあります密航、密輸等の諸情勢等につきまして御報告を申上げたいと思います。

第一に、朝鮮事変勃発後の密航、密輸の状況について申上げることにいたしますが、便宜上これを分けまして、日本と朝鮮間において行われました犯罪、日本と沖縄間において行われました犯罪に分けて御説明申上げます。

最初の日本と朝鮮間の密航、密貿易につきましては、事変勃発後日本と朝鮮間のこれらの犯罪の情勢は、戦局の変化に伴いまして多少の移動はございましたが、その数は概して少いように見受けるのでございます。海上保安庁で検挙しました数は、不法入国で7件、79名、不法出国で6件、9名、合計88名でございます。密貿易はまだ検挙をいたしておりません。

尚対馬の厳原の海上保安部からの報告によりますと、対馬地区の警察におきまして9月2日14名、3日29名、不法入国の朝鮮人を逮捕いたしておりますが、釜山には多数の避難民が集まり、小型船が多数待機しておるとの情報もあり、又対馬におきましては日本人ブローカーや朝鮮人の往来が激しくなりまして、朝鮮向け密貿易が活発化する兆候も見えますので、当庁におきましては各管区海上保安本部に指令いたしまして、一層厳重な警戒を実施いたしておる次第でございます。





昭和25年11月01日 衆議院 外務委員会
[002]
委員長 守島伍郎
九州班といたしましては、自由党から私、社会党から西村榮一委員、共産党から渡部義通委員が派遣されましたが、九州班につきましては、私が代表いたしましてここに報告いたします。

今般は九州地方における密入国及び密貿易の状況、並びに同方面における韓国動乱の影響等について、現地の実情を視察する目的をもちまして福岡県、長崎県及び鹿児島県の各県におもむきました。短期間でありましたが、その間対馬、種子島にもおもむき、また要送還者収容中の針尾収容所にも参りまして、現状を視察して参った次第でございます。詳細なことは追って文書をもって報告いたしたいと思いますが、本日は計数等を除きまして、各地において受けました印象的事項を簡単に申し上げまして一応の報告といたしたいと思います。

まず密入国の問題でありますが、歴史的にいろいろと特殊のつながりを持っております関係がありますので、朝鮮人の密入国は、対馬を基点といたしまして、その周辺の各県にまたがる地域が圧倒的数字を示しており、大体全国総数の7割ないし8割が同方面によって占められているという状況であります。

終戦直後に比べますと、最近はその数は減じているようでありますが、しかしながらそれは、別に取締り機関の拡充された結果とのみ見るものではなく、またその見通しがどうなるかということは、必ずしも減少して行く傾向にあるとは思われないようでありまして、この密入国の方法たるや、きわめて巧妙でありまして、その取締りの強化に伴い、その手段もこれに正比例して巧妙になるという実情であります。またその大部分がほとんど密航ブローカーの手によって操作されている模様でありまして、このブローカーは、わが方の警備の陣容、装備、活動事情から監視所の所在地でも、一々知っているような状態で、まことに注目の要があるものといわなければならないのであります。地方取締り機関の末梢陣営に至るまで積極的に整備する必要もあり、さらに政府としては、この対策について根本的に検討の必要があることを痛感いたした次第であります。





昭和26年03月27日 衆議院 行政監察特別委員会
[118]
自由党 内藤隆
この密入国者の基点は、長崎県の壱岐、対馬が朝鮮からの基点のようになっております。これは非常に重要な地点であろうと思うが、この両島における警備の施設あるいはその構成員数等を、簡単でよろしゅうございますから伺いたい。

[119]
証人(出入国管理庁第一部長) 田中三男
実はおはずかしいのですが、まだ十分の措置はやっておらないのでございます。最近福岡の出張所から、4名の警備官を対馬の方に常駐させるようにいたしましたが、4名ではとうてい足りませんので、できるならばあそこにも出張所を設けなければならぬ、かように考えておるのでありますが、出張所を設けるまでの間は、できるならば福岡出張所の対馬の支所をあそこに置くことにして、少くとも10数名の警備官は常駐させるようにいたしたい。かように考えておるわけでございますが、これまた予算と定員の関係等もある。しかしその範囲内においてなるべく早くできるだけの今申しましたような支所でも設けまして、警備宮を増強しなければならぬ、かように考えております。現状はわずかに4名の警備官を常駐させて、必要のある際は福岡並びに大牟田の方からそれぞれ対馬に派遣をいたしておるわけでありますが、やはり相当数の警備官を常駐させる必要がある、かように考えておる次第であります。





昭和26年03月28日 衆議院 行政監察特別委員会
[329]
自由党 岡延右エ門
昨日のこの委員会におきまして、出入国管理庁の第一部長は、現在月平均200名くらいの朝鮮人の不法入国者を逮捕しておる。もちろん逮捕されない者の数はどのくらいかはっきりわからないという証言を行っておるわけでございまして、しかもその200名のうちの3分の1は長崎県である。長崎県のうちでもその大部分がまた対馬方面である、こういう証言を昨日されたのでありますが、実は対馬の地形は、御承知の通りあなたの部下である山口警視も去年本多国務大臣に随行して視察されたことがあるから、報告等によって御存じでありましょうが、日本の内地、福岡からは7時間かかるのに、朝鮮からは4時間しかからぬ、要するに朝鮮の方がはるかに近いというような地理的状態にありまして、私もその当時その行に同行したのでありますが、われわれが佐須奈という対馬の一番北にありますところの警察署を視察したその日、たった1日で80名つかまったというような状況でございまして、密輸品等は警察署に山積しておるというような状況をわれわれは目撃したのであります。どう見ましても警備力が薄弱であるという感じを受けたのでありますが、あなたはこの警備力に対してどういうお考えを持っておるか、これは昨年1月のことでありましたが、山口警視もおそらく私と同じような感じを持たれただろうと思うのであります、話の片鱗においてもそういうことが受取れたのであります。その後あなたもそういうお考えであるか、またその後若干の補強をされたかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

[330]
証人(国家地方警察本部警備部長) 柏村信雄
ただいま岡委員の御質問でありますが、確かに密航者の最も集まりますところが対馬でございます。ところがこの対馬におきましては、現在警察署が国警の地区署が2署ありまして、警察官数が2つの地区署合せまして75名自治体警察は1つでありまして、ここが12名の定員でございます。合計87名という警察官でありまして、ただいま御指摘のように、密航に対する警備力としては非常に手薄であるというふうに考えますので、今後この対馬方面における警備力の強化ということにつきましては、できるだけの努力を払って万全を期して参りたいと考えておるわけであります。





昭和26年05月26日 衆議院 行政監察特別委員会
[044]
自由党 岡延右エ門
密入国の問題でありますが、現在の段階においては御承知の通り、密入国というとほとんど朝鮮人が大部分でございます。その朝鮮人の入る場所、これは私は対島に昨年参ったのでありますが、対島が密入国者のたしか3分の1、これは海上保安庁の係官が言ったことでありまして、違っているかもしれませんが、その点は長官が御存じでしょうからお聞かせ願いたいと思いますが、非常にたくさんの密入国者があそこを足場にし入っている。そのことは去年の1月に本多国務大臣が経理関係それから開発関係の係官を同行して視察に行ったとき、私も実は同行したのであります。佐須奈という小さな警察署が対馬の北端にございますが、その一つの警察にわれわれが行ったその日だけでたしか84名つかまったというように、非常にたくさんの人が入っている。それに対してあなたの方からもあなたの部下の山口という人が同行されたのでありますが、それを目撃された。

そこでわれわれとしましても、これはよほどあの方面の警備を強化しなければならぬ。御承知のように地理的関係におきましても、博多から対馬の南端までは7時間かかるのに、朝鮮から対島の北端までは4時間しかかからない。こういう地理的関係にありますので、よほどその整備機関を充実しなければならぬということをわれわれは痛感したのでありますが、その後何か強化の方法がとられたかどうか、お聞きしたい。

[045]
証人(国家地方警察本部長官) 齋藤昇
対島は密入国者の入国地点といたしましては、今お話になりましたように最も重要視すべき地点でありまして、この数字が3分の1というようなことは私はいかがかと思っておりますが、それほどもなかろうかと思っておりますが、はっきりした数字は今記憶しておりません。いずれにいたしましても今お述べの通り、非常に重要な地域であることは申すまでもありません。長崎県の国家地方警察の警察官の数はそう多くありませんけれども、できるだけそちらの方にさきたいというので、現在あそこは以前の定員の2倍、100名の配置をいたしております。





昭和26年08月15日 衆議院 行政監察特別委員会
[002]
自由党 佐々木秀世
不正出入国及び密輸事犯取締り行政機関の実地監察報告をいたしたいと思います。私の方は九州班でありまして、九州班の御報告をいたします。お手元にプリントで差上げてありますのは調査の本文でありますが、その前にわれわれの参りましたところから申し上げたいと思います。

(略)

密出入国及び密輸の事件において、九州の占める位置から申し上げたいと思います。九州は北に朝鮮を、南に南西諸島、台湾を、西に支那大陸を控えている地理的条件から、全国密入国事犯のほとんど大半、25年度における国警の検挙数2416名中、九州7県におきましては1770名、いわゆる比率にいたしまして、73%がこの地で行われておるのであります。しかしてこのうち朝鮮人の密入国の占める数は圧倒的多数で、本年度上半期国警、福岡警察官区内の検挙数で見ますと、総数の88%強を占め、さらにこれを県別に見ますれば、長崎県がその93%を占め、しかしてその大半は対馬で検挙されているのであります。密輸についても国警が扱った九州の件数は、25年度343件、総額1億1009万7000千円で、全国検挙数の約60%を占めているのであります。

(略)

警察の手による密出入国の検挙率が問題でありますが、対馬上県地区署長は、警察は3割だけしか検挙していないと言われていたので、着任以来努力して5割くらいはやっているつもりであると述べておりますが、国警福岡管区本部では、67%の検挙率と報告しております。まったく視察線上に上っていない上陸推定の数を考えると、この率は下まわるものと見なければなりません。しかして国警、自治警の検挙数の比率は、国警90%、自治警10%であろうかと思われます。



[006]
日本共産党 山口武秀
たとえば対馬に行ってみましたところ、対馬の町長は、対馬の開発のために朝鮮人が対馬に入国して来ることを大いに歓迎する、このような言葉もあったので、このような結論が出さるべきではないだろう私はそういう意味におきましてこの報告書に反対せざるを得ないのであります。



[008]
自由党 岡延右エ門
実は対馬は私の県でありまして、私が一番よくその実情を知っておるのであります。今の山口委員の発言中、町長が対馬の開発上朝鮮人の入国を非常に歓迎していると言われましたが、その町長はだれですか。

 [009]
日本共産党 山口武秀
北部の佐須奈町長です。

[010]
自由党 岡延右エ門
それはおそらく山口君の聞き違いであろうと思う。非常に迷惑しておる。何とかして対馬の周辺の取締りを強化してくれ、これが対馬の支庁長を初め町村長、あるいは島民全部の念願であり、希望である。これはまったく間違いのないことで、山口君の言うことはでたらめである。

 [011]
日本共産党 山口武秀
ただいま私の言ったことがでたらめであると言われましたが、これはもう少し慎重な態度をとっていただきたい。私は向うで聞いて来た事実をそのまま言っただけであります。



[013]
自由党 佐々木秀世
これは山口君の言いまわしがいかにも密入国を歓迎するごとく言われたのですが、これはそうじゃないのです。

佐須奈の町長さんの言われるのには、対馬というところは朝鮮と非常に関連が深かった、朝鮮の人たちも相当参りまして、あの地方においては炭焼き等の、いわゆる忠実なる職務に従事していた。そういう密出入国は取締ってもらわなければいかぬ。しかしまじめな朝鮮人であって働く人であるならば、これは働いてもらうことを歓迎するという意味のことを言われたのです。

密出入国を許してもらいたいという意味ではありませんから、誤解のないように願います。





昭和27年12月12日  参議院 法務委員会
[002]
政府委員(法務省入国管理局長) 鈴木一
又不法入国、その一例を、今船員の点で、大きな船の船員に化けて入って来るという点について申上げたのでありますが、そのほかの不法入国、例えば朝鮮半島から我が本土に漁船で漕ぎ寄せる、このケースが非常に多いのでございますが、密入国の朝鮮からの径路は、大体対馬が半分以上を占めているのであります。最近におきましては、対馬の警備が、海上におきましては海上保安庁、陸上におきましては国警と我々のほうの警備官というようなことで、特に海上保安庁の船の配置が少し多くなりまして、対馬の警備がやや強化された関係もございまして、一時ほど対馬に多くないのであります。一時は半分以上、3分の2は対馬から入って来ておりましたが、最近は半分程度になっております。あとは北九州、場合によりましては鹿児島あたりまで、朝鮮から漁船に乗って来るという例も見受けられるのでございます。





昭和27年12月18日 衆議院 内閣委員会
[058]
政府委員(海上保安庁長官) 柳沢米吉
密出入国等につきましては、その一番大きなルートはやはり南鮮にございます。この南鮮の人々がどういうふうな径路をとって来るかと申しますと、密出入国のうちのほとんど90%に近いものがやはり朝鮮関係ということに相なっております。この朝鮮関係のうちが北鮮関係のもの及び南鮮関係のものという2つにわかれるのであります。その密出入国の様相から申しますと、南鮮関係の方は、どちらかというと便船その他のものを利用して入るというものが多い。

北鮮関係のものは、非常に計画的な密出入国をやるという傾向が強いように思われます。その径路は、主として山口県及び北九州各県の沿岸に上っております。しかもその一番多いものは対馬を経て入るものであります。

従ってわれわれといたしましては対馬を非常に重視いたしまして、対馬に大体10数隻の船を配備いたして警備しておる状態であります。





昭和28年02月13日 衆議院 法務委員会
[048]
政府委員(法務事務官(入国管理局長)) 鈴木一
出入国管理令によりまして、密入国の事案がございますれば、それを調べまして、原則として密入国でありますればその国に帰すという建前でございますが、その取扱います径路をずっと一通り申し上げてみたいと思うのです。たとえば多くの例は日本の対馬に不法入国をいたして参ります者が非常に多いのであります。常識的に申しますと、毎日大体30人ぐらいずつは日本の治安機関の手に入るわけでございます。たとえば海上保安庁で海上においてつかまえる、あるいは陸上におきまして警察方面でつかまえる、あるいは入国監理局の出先の警備官自体がつかまえる場合もございます。





昭和28年03月13日 衆議院 法務委員会
[039]
政府委員(法務事務官(入国管理局長)) 鈴木一
先ほど説明を一つ抜かしておったのでございますが、朝鮮半島からわが国に密入国をして参ります半分以上のケースは、対馬に入って来るのが大部分でございます。これも推察であります。と申しますのは、ブローカーが間に介在いたしまして、向う側と手引きをして入れて来る。

対馬に上陸をいたしまして、御承知のような海岸でございますのですぐ山に入ってしまう。山に入りまして炭焼き小屋などに1週間くらい滞在してぼつぼつ出て来る。その1週間の間に登録証明書を2000円とか、3000円でその者に渡すわけでございます。そのときに写真なども張って渡すというようなことを取調べの間に承知いたしたのでございますが、そのブローカーをいまだかつてつかまえたことはない。

従って変造いたしますのはブローカーが主として当るわけでございまして、そういうような関係で、偽造はないのでありますが、変造の方につきましてはたびたび見受けるのでございますけれども、変造しました犯人をつかまえるということが非常にむずかしいので、現在におきましては件数が何件あるということははっきり申し上げることができないのであります。





昭和28年07月20日 参議院 内閣委員会
[121]
政府委員(法務事務官(入国管理局長)) 鈴木一
と申しますのは、最近の一例を申上げれば、我が国におきまして特に東京都下においていろいろ国際賭博場などが開設されておるというようなこともあるようでございますが、そこらに入って参ります関係者はどういうふうな経路で入って来るかと申しますと、勿論正式のパスポートで入って来た者もございます。これは問題ないのでございますが、密航で入りますのに、朝鮮の人たちは朝鮮半島から対馬を経由しまして夜陰に乗じて船で20人、30人団体を組んで入って来る。これが一般の不法入国の方法でございますが、一番我々のほうで智能的に困りますのは、例えば香港であるとかそういう大陸から堂々と船に乗って参るのでございますが、その船に乗って参りまして勿論パスポートを持っておりません。従って正式には上陸しないのでありまして、船が波止場にとまっております際に船員に化けまして上陸をいたして来る例が非常に多いのであります。

船員は一般の乗客と違いまして、パスポートがなくても船員としての船員手帳というものがございますれば、船は早晩立つのでございますから港で気を抜くために一時上陸を許しておりますが、その船員に化けて上って来る、これが非常に多いのであります。ところが我々のほうにおります入国審査官、警備官というものが手薄のためにその船に対しまして一々船員が上るときにブリッジで首実検をするというところまで行き得ないのでございます。横浜のごときは毎日30ぱいも船が入っておる。そういうときに僅か警備官が数10名しかおらないということでございまして、やはり警備官も交代交代でやっておりますので非常に手薄なんでございます。従いまして今回この300人の増員を頂きますれば、この港に配置いたしまして、これらの堂々と不法入国をして参ります智能的の密入国者に対しまして先ず十分な管理ができることと期待をいたしておるわけでございます。





昭和29年02月19日 衆議院 運輸委員会
[015]
政府委員(海上保安庁長官) 山口伝
私どもの最近の1箇年間の様子を申し上げますと、密貿につきましては先ほど申し上げたように、朝鮮との間が最も多くて、特に朝鮮は先般の休戦後非常に増加をいたしまして、28年中に海上保安庁として検挙いたしました件数を申し上げますと、密輸入が41件でございます。密輸出が93件、これは27年に比べまして若干ふえておるわけでございます。

対象地別に見ますと、対馬を経由いたして朝鮮向けのものが全体の5割強を占めております。次いで南西諸島方面に出るものが約2割5分ということになっております。密輸入におきましては、対馬経由による朝鮮からのものが全体の3割で、南西諸島方面からのものが5割強となっております。これが28年からの密貿易で海上保安庁として検挙いたしましたものの統計であります。





昭和29年04月13日 参議院 内閣委員会
[002]
政府委員(法務事務官(入国管理局長)) 鈴木一
もう一つの問題は、正規に入って参ります人たちでなしに、黙って日本の海岸に突然として入って参りますいわゆる不法入国、密入国の問題でございます。密入国の問題は、この表にも、お配りいたしました最近の出入国管理業務に関する資料という中に、第一に、密入国者検挙数というのがございますが、これは昨年1カ年間の月別にいたしまして検挙いたしました数が合計2577名というのが出ておるわけでございますが、御承知のように、御覧頂きますと、この90%が朝鮮人であるということが出ております。でこれは主として朝鮮半島から日本の対馬なり九州或いは山口県といったようなあちらに近いところに入って参りますのが大部分でございますが、密入国がこの程度の数になっております。これは一昨年から比べますと多少減っておるように思います。これで見ますと1月平均200名というようなことになりますが、一昨年は300名近く入っておったのであります。





昭和30年06月16日 衆議院 法務委員会
[043]
政府委員(法務事務官(入国管理局長)) 内田藤雄
最後の問題でございますが、ごく最近の密入国のルートというのも、やはりあるルートに対しまして取締りが厳重になりますと、また変って参ります。従来対馬が非常に密入国の仲介地点として使われて参ったようでございまして、現在といえども、先ほどちょっと申し上げましたブローカーあたりがいろいろ活躍いたします拠点としましては、相当な役割を果しておるのではないかと想像いたしますが、密入国者の直接の上陸地点というような点から申しますと、対馬への密入国というものは非常に減って参っております。

それでこれは最近の例でございますが、福岡の管内というのは大体密入国者の現行犯のまず8割方が上るところでございますが、その調査によりますともちろん福岡、北九州の直接朝鮮に面したところでは何といっても一番数が多いわけでありますが、もう一つ最近の現象はずっと南の方に下りまして、熊本県あるいは佐賀県、あちらの方に上陸して参っております例が相当にございます。





昭和32年02月07日 参議院 法務委員会
[010]
委員長 山本米治
次に第一班九州班の報告を私からいたします。

第一班北九州班は、棚橋委員、辻委員及び私の3人で、法務委員会調査室の天久調査員を同伴いたし、昭和32年1月21日以降9日間にわたって、大村、諌早、長崎、福岡、小倉、別府、大分の7市3県に出張いたしまして所定の調査を行なって参りました。

(中略)

特異的なものといたしましては、長崎県対馬島に県本部の組織と同一程度の組織を持つ朝鮮総連対馬島本部が結成されていることであります。

朝鮮総連がなぜこのような小島に大きな組織を設けたかは不明でありますが、思うに同島は地理的に朝鮮及び中共に近い地位にあるため、密貿易や密出入国の中継基地として重視されているのではなかろうかと臆測されるのであります。





昭和35年08月31日 参議院 運輸委員会
[004]
自由民主党 平島敏夫
九州班の調査の結果を御報告いたします。

派遣委員は江藤委員、中村委員と私の3名でありまして、8月9日から5日間にわたり、福岡県及び宮崎県における国鉄経営の現状並びに運輸事情を調査して参りました。

(略)

第一に、海上保安業務について申し上げますと、まず当管内の行政区域は、山口県の一部及び九州全域並びにその沿岸水域の広範囲にわたっておりまして、その業務に従事する海上保安官は1920名で、船艇122隻及び航空機1機をもって有機的に複雑な業務に従事しておるのであります。

御承知の通り、当管内は韓国を控えていることにより、不法入出国、密貿場、密航及び公海における漁船保護等、一連の海上治安のほとんどが対韓国に限られておるのであります。まず、不法入出国は、検挙人員の90%が韓国人によって占められております。韓国政府政変前後の政情不安と生活困窮のため、不法入出国が増大しているもので、最近の密航ルートは釜山、統営及び済州島から九州、山口県及び瀬戸内海沿岸への潜入が顕著となっているとのことでした。また密貿易についても、不法入出国と密接不可分の関係にあるとみなされるものでありますが、これまた対韓国が80%を占め、主要密輸基地としては釜山、麗水及び木浦等、本邦側は対馬厳原、九州北部及び山陰沿岸に至る広範囲にわたっているとのことでした。





昭和35年12月23日 参議院 法務委員会
[003]
説明員(法務省入国管理局次長) 臼田彦太郎
次は韓国からの、朝鮮からの不法入国者があとを断たないという問題がありまして、これは御承知の通り対馬でありますとか、九州それから中国の沿岸筋に入国して参るわけでございます。昨34年度には、検挙いたしました者が1033名でございますが、ことしの6月までにもう967名検挙しておりまして、昨年以上に検挙者が多くなると思います。しかしこれは検挙された数でございまして、実際の密入国者はそれ以上になるのではなかろうか、かなり上回っておるのじゃないかと考えております。従いまして、朝鮮との関係におきましては、私たちの仕事といたしましては、こうした検挙をしました者を取り調べるばかりでなくて、一たん検挙を免かれまして国内に潜入しました者に対してもその登録、無登録等を追及いたしましてその調査を進めておる次第でございます。





昭和36年05月23日 参議院 法務委員会
[003]
政府委員(法務省入国管理局長) 高瀬侍郎
次に、不法入国者の手段でございまするが、地理的な日韓双方の関係上、小型の密航船によって入国して参るものが非常に多いのが顕著な現象でございます。また、日韓双方の間におきまする交通――正規なルートによりまする出入国の簡易化と申しまするか、出入国者のふえまする度合いにおきまして、そのルートを利用するその他の手段によりまする一種のブローカーというものが存在するもののようであるというふうな印象を受ける事件が多いのでございます。この入国の手段、態様におきまして非常に巧妙と相なったと申しまするか、あの手この手を使いまして集団密入国の目的を達する方法がとられているように判断されております。

なお、彼らの目的地並びに出て参ります場所の点について申し上げますると、目的地といたしましては、大阪市が非常に多うございます。これが第1位で、次いで東京、名古屋地方等の大都会を目的地として不法入国して参るというような現象でございます。なお出航地は、地理的に本邦に最も近い点、すなわち釜山がトップを占めておりまして、あと牧の島、麗水等がこれに次いでおります。上陸地点といたしましては、韓国からわずか30マイルの位置にございます対馬に集中する一方、山口県、福岡県、佐賀県に連なる一連の線及び山陰道等の海岸線を利用して、警戒手薄な所をねらって入ってくるような傾向が見られます。





昭和37年10月10日 参議院 社会労働委員会
[002]
自由民主党 鹿島俊雄
御報告申し上げます。当委員会の九州班は、藤田委員と私の2名でありまして、9月30日より10月5日まで、福岡、熊本、鹿児島の各県において、麻薬対策、労働行政国民保健施設、年少者福祉施設等について視察、調査して参りましたので、その概略を御報告申し上げます。

(略)

次に、麻薬事犯の取り締まり状況について申し上げます。

九州地区全般については、福岡県は密輸事犯、暴力団の介入する組織事犯等、規模の大きい事犯、佐貿県、熊本県、宮崎県の各県は、麻薬取り扱い者の不正施用事犯、長崎県は韓国――対馬ルートの密輸事犯、麻薬取り扱い者の不正施用事犯、大分県は暴力団の介入する不正施用事犯が多いのであります。



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