諸外国の徴兵制 1/2 ~ スイス、ドイツ、北欧諸国、など

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昭和30年07月01日 衆議院 内閣委員会
[041]
政府委員(防衛庁参事官(防衛局長)) 林一夫
スイスにつきましてただいまわかっておる点は、御承知のような、スイスの憲法は兵役義務を課しておるのです。また一方常備軍の保有というものは禁止しておるように聞いております。そういうわけで兵役義務はありますが、常備軍は保有していないということで、一応兵役義務を課しまして、一定の訓練をしてから帰郷しまして、これが予備兵力となって年に何回ずつかの訓練を受け、有事の際には動員するというような建前になっておるのであります。

常備兵力としましてはきわめて限られた数でありまして、あとは一定の訓練を経て在郷というか帰郷をさせまして、これが予備力になって有事の際に動員する、こういうふうに考えております。

[042]
自由党(自由民主党) 大橋武夫
そうするとスイスの民兵というものは、これはスイスが、常備軍を置くことが国際的に困難であるから、そこで便法として常備兵にかわる民兵制度というものを設けたのだ、こういうふうな御研究の結果でございましょうか。

[043]
政府委員(防衛庁参事官(防衛局長)) 林一夫
どういうものを民兵というのか、その区別がはっきりしないのでありますが、兵役義務を課しまして、初年兵の学校に入り、120日間の基礎軍事訓練を受けます。それから帰郷いたしまして予備軍ということになります。

それを民兵と申しますか、何と申しますか、私どもはそれを民兵とこの際解しておるのでございますが、そういうわけで一定の訓練を経れば帰郷する、それが有事の際に動員の予備力になり、常備の軍隊はきわめて少い。

ただいま申しました訓練部隊とか、あるいは要塞の警戒隊とか、そういうふうなものであると承知いたしております。

[044]
自由党(自由民主党) 大橋武夫
どうも伺っておりますと、それは短期訓練によるところの短期現役といいますか、現役期間は1年とか2年とかではないので。120日くらいですから3カ月ですか、その3ヵ月の短期訓練を受けたところの予備軍のようなものではありませんか。

[045]
政府委員(防衛庁参事官(防衛局長)) 林一夫
私もそう思うのでありまして、初年兵の学校に入校いたしまして訓練を受けまして、これが帰郷いたしまして予備力となっておるというわけで、これを予備兵役の民兵と言えば民兵と申されましょうが、予備力である、こういうように考えております。





昭和31年03月28日 参議院 本会議
[005]
日本社会党(社会民主党) 森崎隆
憲法は改正したいが、徴兵制度はしかないというのはこれはうそである。

再軍備を行なった後に一般徴兵制度を確立するという二段がまえ戦法というものは、政府の詭弁にもかかわりませず、すでに西ドイツでもとられておる方法でありまして、断じてだまされるものではないのでございまするが、それならばそれで、堂々と何ゆえにその趣旨を一般に発表なさらないのか。





昭和31年05月25日 参議院 内閣委員会
[228]
防衛庁長官 船田中
ただいま菊川委員のおっしゃるようなことは、第三次世界大戦ということを予想されているんじゃないか、こういうふうな感じを抱くのでございますが、さような場合になったときに、わが国土の防衛をどうするかということにつきましては、そのときになってみないとわかりません。しかし私どもが予想しておりまする国際情勢に対処いたしまして、最小限度の自衛体制だけはぜひ整えておきたい。この最小限度の自衛体制を整備するということによりまして、よその国がわが国土を侵略する意図を事前に阻止することができると私は信じます。

御承知の通り永世中立国であるスイスにおきましても、あるいはスエーデンにいたしましても、みな国防軍を持っております。またそれによって中立を維持することができたと私は信じます。これはもう歴史上の事実でございますから、疑う余地はないと思います。

また昨年5月にオーストリアが独立いたしました。しかし独立して中立国にはなりましたが、同時にオーストリアは徴兵令を施行して、国防軍を建設する、現に建設中でございます。

そういう欧米諸国の実情から見ましても、やはり独立国であります以上においては、最小限度の自衛体制を整備するということが、独立を全うし得るゆえんである。

もちろん日本の独力で、大きな戦争が起った、侵略が起ったという場合に、この国土の防衛を全うし得るというふうには、それはなかなか考えられませんけれども、しかし自衛体制を持っているということによりまして、日本国土に対する侵略の意図を事前に防ぎ得るという効果があり、また現実に侵略が起った場合におきましても、これを日米共同で十分防衛し得ると、かように考えております。また自衛隊の教育方針といたしまして、自衛隊員がそれぞれ国土防衛の重責を持っている、直接、間接の侵略に対して国土の防衛の重責を持っているということをよく自覚せしめまして、そうしてその自覚のもとに教育訓練を日常積んでいるような次第でございます。





昭和32年03月05日 衆議院 予算委員会
[012]
自由民主党 松本瀧藏
私の手元にありまする調べた資料、これは共同通信世界年鑑、最近の1956年版ですが、この中には、これはもちろん外国のワールド・オールマナックと後に照し合せまして少し修正の要があるというような感もいたすのですが、これによりますと、全然軍隊も自衛隊も持っていない国は、世界の90カ国の中でわずか6つしかない。その第1は人口15万4000人しかいないアイスランド、それから2万人しかいないモナコ、1万3000人のリヒテンシュタイン、1万3500人のサン・マリノ、1000人のローマ法王庁並びに5200人しか人口のないアンドラであります。

ワールド・オールマナックによりますと、アイスランドはアメリカの撤退と同時に、1万人の軍隊を置くことになったということですが、さらにサン・マリノという国は、議席60のうち35を共産党員がとったために、建軍900人を置いております。こうなりますと、世界で軍隊も自衛隊も持っていない国は、90カ国のうちで、わずか4カ国にしかならないのであります。

さらに先般も欧米を回りまして、いろいろ現地で調べました結果によりましても、永世中立と目されるところの、たとえばスウェーデンという国、御承知のごとく東京の人口よりも少い、わずか720万人しかおりませんが、徴兵制度をしきまして、19才から47才までは兵役の義務を課せられております。陸軍は60万、これにホーム・ガードと言っておりますが、おそらく国民兵でしょうが、10万ほどおります。空軍では、アメリカ、英国、ソ連に次ぎまして世界第4位である。これが従来の永世中立の国の姿であります。

スイッツランドは、わずか480万しか人口がございませんが、これも国民皆兵で、兵役の義務は19才から60才まで。防衛庁が今度求められた誘導兵器は、この永世中立を守ってきたスイッツランドのエリコンから求められたということを聞いております。

ベルギーのごとき880万しか人口のない国におきましても、徴兵制度をしきまして、17才から志願制度というものを許しております。

これらの国、裏を返しまするならば、90カ国のうちでわずか4カ国だけが、自衛隊も軍隊も持っていない。全部軍隊を持っておる。しからばこれらの国は、一体どこを対象として軍隊を持っておるかというこの質問、この委員会におきます、日本の自衛隊というものは一体どこを対象として設置されておるのかという質問は、これらの86カ国にも発せられる同じ質問ではないかと思うのです。こういったことが自衛隊におきましても、防衛庁におきましても、十分PRが行き届いていないために、国民に一種の疑惑と誤解を招いておるのではないかと思うのですが、これに対する長官の所信を承わりたいと思います。





昭和35年03月11日 衆議院 日米安全保障条約等特別委員会
[037]
外務大臣 藤山愛一郎
日本が、今日中立政策をとるというようなことは事実上、ただいま御指摘のありましたような意味からいいましても不可能であること、むろんだと思います。

たとえば、日本を取り巻く各国におきまして、日本の国を中立に置くような事情にあるかといいますれば、私どもは、それによって日本の国の安全を守り得る状況下にはないと考えております。従いまして、われわれとしては、志を同じゅうする国とともに相提携して、自分の国を守っていかなければならぬのは当然のことであります。

しかも、中立条約を認めるためには、日本国自体としても、過去の中立国の例を見ましても非常に大きな決意と負担とを持って参らなければならぬのでありまして、日本国民として日本の安全を守る決意がかりにありましても、今日の国際情勢の中で、それを守り通すだけの方法をとることが非常に困難であることは、スイスが、予算の40%以上も使いまして、しかも核武装もし、また、徴兵的な制度もしいてやらなければならぬというような事情から見ましても、当然われわれとして、今日そうした政策が国民生活の上においてとれないことは明らかであり、経済上にもとれないことは明らかでありまして、私どもにとりましては、そういう中立政策というものは空想にすぎないのであるということをかたく信じております。





昭和35年05月13日 衆議院 日米安全保障条約等特別委員会公聴会
[009]
公述人(ジャパンタイムス社長) 福島慎太郎
多少ここで話がそれて恐縮でございますけれども、1つの経験を申し上げたい。私は、一昨々年になりますか、4年ほど前に、スイスヘ、飛行機会社の招待で、同行14、5人の日本の各方面の諸君と一緒に旅行したことがあります。こちらは、ただですから、見物に行っただけなんで、大したことは考えておらなかったのですが、スイスの首府のベルンに着きましたときに、向こうの放送局から、日本からデレゲーションが来たんだからラジオのインタビューをする、代表者1人に出てきてもらいたい。しゃべる言葉の関係で私が選ばれまして、放送局へ出かけていったのです。解説者を相手にして、今度の旅行の目的とかいうようなことを聞かれた。何のためにスイスに、これだけの同勢を組織してやってきたかというのです。ただだから来たと言うのは格好が悪いですから、スイスは有名な観光国であるから、見物に来たと言ったのですが、なかなか承知をしない。もう少しちゃんとした目的があって来たのだろう、日本は、それくらいの、いいかげんな目的で、ぶらぶらと外国を旅行できる国だとは思わない。もう少しちゃんとした目的があるのだろうということをしきりに追及しますので、なまの放送でもありますし、あいさつに困りまして、そのときに1つ返事をしてみました。

われわれ、日本に暮らしておるんだが、日本では、従来世界は2つに割れておると思っておった、ところが、近ごろ、世界にはもう1つやり方があるのじゃないか、3つ目のグループというものが、あるのではないかということが日本の中で論議され出してきたので、参考のため、大先輩たるスイスに見学に来たと返事をした。

そうすると、若い人でしたが、その解説者は形を改めまして、それはもってのほかの心得違いである、スイスをこれから見物するということだから、よく見て帰るがいいけれども、スイスが、中立を維持するために、どれだけの犠牲を払ってきたか知っておるか、スイスの人口は400万である、動員できる予備、後備兵力は100万である、スイスの上空にはジェット戦闘機が訓練のために常時飛んでおる、それのみならず、スイスの中立というものは、アルプスに囲まれた天然の地理的条件によって維持されておる、日本のような大国――と言いました、大国が、スイスと同じような中立を維持できるとは思えない、こういうことを言ったわけです。

この人の言ったことがほんとうかどうか、日本は、スイスのような中立は維持できないのかどうかということを考えてみたいと思うのですが、問題は、日本が中立を維持したいとするときに、中立国同士が因縁をつけてくるということは、まずありますまい。そうなれば、因縁をつけてくるのは二大陣営のいずれかである。



[011]
公述人(評論家) 松岡洋子
そのときに、このハンデンバーグ決議というようなことについても、私たちは知るようになってきました。つまり、アメリカが軍事体制を作る場合に、よその国と同盟する場合に、自分の国が負う義務に見合う義務も相手国は負わなければならない、アメリカにすれば当然なことだろうと考えたのでございます。しかし、それでは、私たち日本人が負わなければならない義務というのは一体どういうことなのであろうか、現行の安保には、日本が漸次軍備を増強していくことを期待するというふうに書いてあります。期待するという、ごくやわらかな言葉であったのにもかわらず、ロッキードまでも生産するようになったこの8年間を振り返ってみますと、これが義務づけられたときには、一体どのような格好になるのだろうかということは、私たちに大へん大きな不安を巻き起こしました。

軍備強化が義務づけられてくる、そして、その中で最も自主的であるというような言われ方をされておるNATOを見ました場合に、これらの国々には徴兵制度があるということを私たちは知りました。あるいはまた、機密保護法もあるということを知りました。

私は、戦後ヨーロッパにも何回か行っておりますが、この間オランダヘ参りましたときに、やはり、これはNATOの加盟国であるオランダで、若いむすこを持っているお母さんたちが、どれほど18カ月の兵役期間というものを重荷に感じ、悲しいことに感じているかということを、母親の1人として、私は身にしみてきたのでございます。





昭和36年05月30日 参議院 内閣委員会
[164]
日本社会党(社会民主党) 横川正市
それからもう1つは、これはドイツの再軍備の進んできた経過を大体ずっと見ますと、西独では片やブラッセル条約があり、片やNATOの加盟という条件があって、そうして志願制度がとられ、やがてこれは軍備に関する基本法が改正されて、1956年の3月19日に徴兵制が布かれているのであります。

それであっても、この中に防衛義務法というのが制定されて、その中には、良心的戦争義務の拒否者の代替役務については、第4条第3項と第72条の第1項にそれぞれ設けられているということが書かれてあるわけです。

これは私は日本の何といいますか、指導精神といいますか、あるいは自衛隊の精神教育といいますか、いわゆるみずから命をなげうって国防の任務につくという精神の中からは、いささか不思議にとられる条項ではないかと思うのでありますけれども、長官としてはこういう条項、今の自衛隊法の義務にも全然ありません。これはもっとも特別公務員という官吏の役目でありますから、そういうものはありませんけれども、こういう西独の徴兵義務制の中においてもこういう制度があるという事実については、長官としてどのようにお考えになっておられますか。

[165]
防衛庁長官 西村直己
徴兵制を布いているアメリカあるいは西独等においては、宗教その他の立場から兵役を拒否する多少権利は法律的に認めているんじゃないかと思います。

ただ日本のは、御存じの通り、志願制度でございますから、そういう問題は全然起こらぬのであります。自衛隊、いわゆる国防というものは、自分が進まない者は1人として志願してこないと私は思うのであります。

それからお言葉を返すようでありますが、災害は消防団と同じじゃないかとおっしゃいますけれども、私は質が違うと思うのであります。要するに、平素日夜非常な規律訓練を与えている結果が、災害においてあれだけの力が出て参るのでありまして、単にそのとき半鐘が鳴ったからかけつけて多少の消火活動をやっている消防団とは、私は、今日の自衛隊は質が違っておるということだけは御認識をいただきたい。ただ私どもの努力と、また御理解をいただく点が足りない点において、一部外からの空気だけを見て、自衛隊員というものは役に立たぬじゃないかとか、あるいは自衛隊は喜んでやるか、こういう議論が出て参ると思うのでありますが、少なくとも自衛隊の相当数のものは、私は信頼に足り得るというふうに思っておるのでございまして、その点御了解をいただきたいと思います。





昭和45年04月14日 参議院 予算委員会第二分科会
[297]
公明党 矢追秀彦
さっき長官は、自衛官になるべきであると、こう言われましたが、実情はそういうふうなことで、まあ自衛官にならない人が出てくるわけです。これを防止するといいますか、ためには、入学のときにもっときびしいチェックをするか、定員を少し減らしても、かなり厳密に審査をするようにするか、あるいは中の教育をもっと魅力あるようにするとか、その点と、もう1つは、先日私テレビで見たのですが、西ドイツの軍隊ですね。向こうは徴兵をやっていますが、若い人が非常に行きたがらない。徴兵を拒否するという例が非常にふえているという話を聞きました。

いまの若い人がはたして今後防衛大学校にどれくらい来るのか、その点をどう考えておられるか。確かにいま、たとえば教育大学でも、教育大学を出て学校の先生になる人というのは案外少ないわけです。ほかのところへいく人も確かに多い。これは大学制度に確かに問題があるし、内容的にも問題がある。この点は、大学紛争ということから考えて、今後大いに検討しなければならぬ問題だと思います。これからの若い人が、はたしてどれだけこの防衛大学校に来るのか。その点もっと意識を調査して、それに対して定員をふやすなり、入学の規定をきびしくするなりしなければならぬと思うのですけれども、その点はどのように考えていますか。





昭和45年12月09日 衆議院 内閣委員会
[325]
日本社会党(社会民主党) 横路孝弘
いまの発言は、これはちょっと問題の発言だと思うのです。スイスは徴兵制度をしいている。いまの発言はやはり徴兵制度につながっていく発言ですよ。

そういうことですけれども、いま日本の場合、銃の取り扱いについて非常にきびしいですね。そのことは私はやはりいいことだと思っているのです。あなたのお考えだと、いま国民全部が銃の操作技術を持っていたほうがいいというわけでしょう。いまそうおっしゃった。それでよろしいですね、いまの発言で。私はそれはちょっと問題だと思うのです。

[326]
防衛庁長官 中曽根康弘
人間がちゃんとついていて管理してやれば、体験入隊で銃の操作とか、鉄砲をかついで歩くとか、その程度のことはやっても私は悪いとは思わない、そういうことを言っているのです。





昭和45年12月16日 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会
[003]
政府委員(自治省行政局長) 宮澤弘
それから西ドイツでございますが、西ドイツは御承知のように連邦国家でございます。経緯といたしましては、各州が年齢を引き下げまして、そういうことを背景に、連邦議会の選挙権の年齢につきましても引き下げを行なう、こういう経緯がございまして、21歳から18歳に引き下げられているわけでございます。やはりこの引き下げにつきましては、イギリスにおきますと同じような、いろいろ賛否両論の議論が行なわれていたようでございます。

ただ、西ドイツにおきましては、イギリスと多少事情が違います点の1つは、御承知のように、西ドイツにおきましては徴兵制をとっております。徴兵年齢が18歳でございます。したがいまして、兵役の義務に服する以上は当然政治に参画をすべきではないかというような意見もより強く主張された、こういうような経緯もあるように承知をいたします。大体ドイツにおきましては以上のとおりでございます。





昭和46年05月12日 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会
[115]
政府委員(自治省行政局選挙部長) 中村啓一
西ドイツ、韓国は、ともに徴兵制をとっております。

[116]
日本共産党 林百郎
政党法の制定、それから基本法、それから共産党の非合法化、それから徴兵制、こういうのは私は一連の関連があると思うのですよ。そういう意味で私たちの党は政党法について重大な関心を持っているわけですね。

たとえば西ドイツで見ますと、1956年に憲法の改正が強行されて、その年に、改正された憲法21条の規定に基づいて、あなたの言うように共産党が自由で民主的な基本的な秩序を侵すという判断のもとで非合法に置かれた。それで解散させられた。続いて400にのぼる各種団体が解散させられておるわけですね。さらに共産党の解散の翌年には西ドイツの軍の志願兵制度であったのが徴兵制に変わっておるわけですね。こうして民主的な権利が、形の上では政党法の上でことばとしてそういうものは残っておっても、実質的には憲法の基本法による共産党の非合法化、それから政党法の成立、続いて400に及ぶ各種団体の解散、志願兵制度の徴兵制への変更、こういうことが行なわれて、軍国主義が強度に横溢してきている。

これは韓国についても同じことだと思うのです。この轍を日本が踏んではならない。私はこういうことを深く考えて政党法の問題について質問しているわけです。韓国は言うまでもなく非常に完全な軍事独裁だと私は考えております。





昭和47年06月16日 参議院 内閣委員会
[277]
政府委員(防衛庁防衛局長) 久保卓也
陸上自衛隊の18万というのはいざというときにその姿で戦えるように、防衛に当たり得るようにという、いわば編制上は有事即応という形をとっております。これはなぜかと申しますると、兵器の進歩によりまして非常に戦争の期間が短かくなったということがあります。それからまたもう1つは、日本は徴兵制というものがとれない。したがって、持っているもので防衛に当たらなければいけない。

御承知のようにスイスとかスウェーデンは2日で70万、80万というものが徴募できるわけでありますが、わが国にはそういう制度はない。したがって、たとえば奇襲攻撃を受けたようなときに、いま持っている編制で戦わなければいけないということで、すぐに戦える、いわば有事即応という形で18万人の編制をとっております。





昭和55年10月17日 衆議院 文教委員会
[062]
日本社会党(社会民主党) 湯山勇
この問題これで終わりたいと思いますが、御参考までに、私はこの間オーストリアに行ってきました。それは何を見たかったかというと、オーストリアは第二次大戦の後で永世中立の憲法を持ちました。しかし、徴兵制をとっております。18歳から徴兵で8カ月か9カ月かの訓練をする。そこで、書物やそのほかで読んだことはいろいろなことがありますからわかるとして、現実に若い人たちがこれをどうとらえているかということが知りたくて、回っていっていろいろと聞いてみました。

一番初めに、行ったかと聞くと行った、50歳くらいの人は、自分はもう年をとっておったから行かなかったと言うのですが、聞いた連中はみんな行ってきた、どうだったと言うと、大したことはないというようなことで非常に軽く見ています。あなたたちは戦争するのかと言ったら、戦争しない、中立で敵がないのだから戦争はしない、じゃあ何をするのかと言うと、オーストリアは方々強国に囲まれていて、北からも東西からも、もし事があったときに他国の軍隊の通路に当たる心配がある、入ってきたら困るから入らないように防ぐだけだ、だれからも共通にそういう答えがはね返ってまいりました。したがって、8、9カ月の訓練というものは、その程度の訓練であって、別にそのことについて悲壮感もなければ、それはいやだということもないし、また気張ったところもない。その点では非常に一致して統一しておるんですね。ところが日本の場合は、そういうことになってないわけで、その辺は、小さい国で2度の戦争でずいぶんひどい目に遭って、そういう反省からそうなっておるのですが、それなりに参考にすべき点ではないかというふうに私は感じました。



[188]
民社党 和田耕作
私、この夏ドイツに行きまして、ドイツのリーダーの人たちの話をいろいろ聞きながら考えたのですが、あの国は現在60万という兵力を持っているんですね。しかも徴兵制度をしいておるのです。

つまり私は、日本で徴兵制度をしけと言っているのじゃない、それには反対しているんですよ。つまり、ドイツは戦争に二度大きく負けている。前に負けてワイマール憲法ができて、その結果、ナチの勢力を増大させたという経験にかんがみて、そういうふうなことはやらない、アメリカと強力にあれをしてドイツは軍隊を持ち、しかも徴兵制度を持っている。

それだけではないのです。あそこはナチが復活できないように根本的な対策を講じて、ファッショの台頭を防いでおる。つまり、こういう態度が大事だということを、ドイツ国民は歴史の上から教訓をとっているんですね。





昭和56年03月31日 参議院 予算委員会第二分科会
[077]
政府委員(防衛庁経理局長) 吉野実
各国との比較がどうかというお話でございますけれども、簡単に申しますと、防衛費の中身というのはなかなか即座に比較がしにくいということでございますので正確なことは申し上げられないのでありますけれども、いま先生が御指摘になったような数字も私は見たことがあります。ただ、兵役の制度が各国とも違っております。アメリカについて見ますれば志願兵でありますが、ドイツ等については徴兵制を一部採用しているというようなことで、即座に比較することはなかなかむずかしい、こういうふうに思っているわけでございます。





昭和56年06月04日 参議院 内閣委員会
[054]
日本社会党(社会民主党) 山崎昇
そこで防衛庁に重ねて聞きますが、この市民防衛組織についていま計画もないしあんまりやっていないようなお話なんですが、何かスイスがモデルにされていろいろ検討をされているともぼくら聞くわけなんですが、スイスのどういう点について検討されているのか、お聞きをしておきたいと思います。

[055]
政府委員(防衛庁防衛局長) 塩田章
スイスに限りませんで、たとえばスウェーデンにしましても、そのほかいろんな国で、程度は違いますけれども、それぞれ取り組んでおるようでございます。そういった状況をある程度勉強するという意味での調査といいますか、そういうことはやっておりますが、したがいまして個々の国のどういうところがどうだというふうに細かく研究調査というよりも、各国のこの問題についての取り組み方というようなことについての一般的な勉強をしておると、そういった段階でございます。

[056]
日本社会党(社会民主党) 山崎昇
しかし国会では、しばしば議論されるのはモデルがスイスが盛んに出るんですね。そうすると、いま防衛庁ではスイスについてはどの程度のことを検討されてどういうふうに把握されているのか、よければここでちょっと概略説明願いたい。

[057]
政府委員(防衛庁防衛局長) 塩田章
スイスは、民間防衛につきまして一番先進国の1つというふうに言われておるようでございます。

それで、スイスにつきまして私どもが把握しておりますことをごく概略申し上げてみますと、まず国民防衛、民間防衛の概念としまして、スイスは、民防は国防の一要素である、住民を保護、救出、救助することを目的とするということをうたっておるようでございます。それで、細かい点は省略いたしますが、その基本的な考え方は、侵略を受けた場合に国民の総抵抗――国民すべての抵抗、国民総抵抗ということを基本的な方針としておるというふうに聞いております。

個々の項目としましては、いわゆる防空体制の問題、それから被害の局限ないし復旧の問題、それから生存の維持、こういったような大きな3つの項目についてそれぞれ、対空監視でありますとか警報装置でありますとかあるいは疎開、消防あるいは交通統制、交通回復あるいは輸送あるいは工場の防護。それから生存の維持というような点でいきますと、特にスイスの場合は備蓄ということについて非常に力を入れておるというふうに聞いております。それから待避ごうあるいは待避所、そういったような建設につきましても、たとえば人口1000人以上の市町村であればもう国が市町村に義務づけておるといったようなところまでやっておるようであります。それから退避に関連しまして、中の医療の体制でありますとかそういったようなことまで細かく決めておるようでございます。

組織としましては、スイスの場合直接担当しておりますのは法務警察省というんですか、日本で言うと昔の内務省みたいなものといまの法務省を合わせたような形のところだと思いますが、そういうところで担当しておりまして、もちろん各州がございますから、州もこれに関与をしております。

それから民間の国民の義務としましては、この民間防衛につきましても国民に義務を課しておるというふうに聞いております。

[058]
日本社会党(社会民主党) 山崎昇
どうも、私がスイスに2度ほど参りましていろいろお聞きをしたのと、少しあなたのとは違うわけなんですがね。まず第1に、スイスの国情がもう参考にすると言われても日本と全く違う。第1に違うのは、スイスの場合には言語が4つある、公用語が。私の調査ではドイツ語、フランス語、イタリー語、ロマンス語、4つある。第2に地形がほとんど山で、5分の3が山であるということ。国土が狭いということ、日本の大体9分の1くらい。人口がざっと640万ぐらいというんですね。さらに人口構成を見るとドイツ語系が65%、フランス語系が18%、イタリー語系が12%、ロマンス語系が5万人ぐらい。その他常時外国の労働者が100万人ぐらい来ておる。こういう言語から言って、民族構成から言って、日本のような単一国家みたいな存在ではないということが最大の違いではないんだろうか。

さらに宗教的に言えばカソリック系が49%、プロテスタント系が48%、言うならばほとんどがキリスト教系の宗教に属しておる。これまた日本とかなり違うということ。さらに私が違うと思うのは、徹底して地方分権制度をとっておるということ。それはなぜかというと、御存じのように25のカントンという州に分かれて、その下に約3000のコミューンに分かれている徹底した地方分権主義でありまして、中央政府には一部の権限しか与えてない。こういう国がやっている民間防衛組織という、ただその民間防衛組織という結果だけ日本に持ち込んできてモデルにしてやるということは、私は誤りを犯すんじゃないだろうか、こういうふうに思います。

そしてさらに私が思いますのは、ほとんどスイスには常備軍というのがもうなきに等しい、1200人ぐらいしか常備軍というものがない。そして将官も、幹部でありますけれども、常時おりますのは7、8名でありまして、何か起きたときには議会を開いて、そこで指揮官を決めてやる。ただ、いまあなたが言われたように、一たん何かあったら60万から65万ぐらいの動員体制だけを持っていることだけは事実のようですね。そして、いま話ありましたように、一応の徴兵制度はしいておるわけなんですけれども、言うならば18歳ぐらいから60歳ぐらいまでの間にほぼ1年ぐらいの軍役に服して帰る。帰る際には全部武器を持って帰ってくるのですね、自分のうちへ。

そういう徹底した、日本流で言えば自治体といいますか、そういうものがきちっとでき上がって、それが実際は管理をしておいて、そして周りが全部他の国と陸続きで接しておる。そういう中での中立主義をとりながら防衛というものを考えておる。ですから、単に市民防衛組織という組織だけまねして日本に持ち込んでくるというのは誤りではないんだろうか。

さらに、備蓄の問題もいまあなたから話がありました。ありましたけれども、これは640万ぐらいの人間で備蓄をやっているわけなんですけれども、日本みたいに1億、やがて1億3000万ぐらいの人口になる、これはとてもできる仕掛けのものではない。ですから私は、防衛庁がいまのところ余り計画がなくてやられてないようなお話ですが、防衛庁出身の方とかあるいはその他の方々はかなりこの市民防衛組織というのに力点を置いて、これから国民総動員みたいなかっこうをとろうとするんじゃないかという心配がかなりありますが、その際に一番中心になっておるのがスイスというものですから、私も多少調べてみても余りにも違いがある。そういう点については防衛局長はどういうふうに判断されますか。





昭和59年06月19日 衆議院 本会議
[021]
日本共産党 松本善明
まず、総理が研究の対象としてかねがね主張している西ドイツでは、国家基本法と政党法で結社の自由を制限したり剥奪したりすることができ、団体や政党、その代替組織は解散までさせられます。

実際、1956年のドイツ共産党解散に続いて、平和委員会や国際民主法律家協会など400の平和・民主団体が解散させられ、これらの運動に関与していた大学教授や牧師まで免職、起訴されました。そして徴兵制、核武装が進められ、社会民主党も徴兵制、核武装反対を大会決議からおろしてしまったのであります。同様のことやもっとひどいことが政党法のある韓国、チリ、トルコでは行われております。





平成01年10月31日 参議院 外交・総合安全保障に関する調査会
[003]
自由民主党 下稲葉耕吉
次に参りましたのはスウェーデン王国であります。

9月11日に、まず国防省において国家安全保障問題補佐官のへルマン氏と会見し、意見交換を行いました。

平時に非同盟、戦時に中立を旨としてきたが、中立政策には国民の支持を得ており変化はない。同国は、通常兵器による戦争を想定し備え、少ない人口を生かすため徴兵制度をしいている。スウェーデンには180年間戦争はないが、第一次、二次大戦の経験から国内に強い産業を持たなければと考え、防衛産業を支えるため、そこで開発したものを輸出することも必要であるということでありました。

最近の世界的な緊張緩和情勢を踏まえ、スウェーデンの安全保障に変化はないかという我々の質問に対して、現在の緊張緩和は歓迎しており、ソ連は過大な軍事費が重荷になり軍縮傾向にあるが、軍事的脅威は低下しても具体的に軍事の減少が見られないので、世界の情勢を見守っているとのことでありました。



[005]
自由民主党 斎藤文夫
時間がありませんから、もう1つ、スウェーデンについてちょっと申し上げます。

御承知のように非同盟中立国であります。それだけに、スウェーデンは長い歴史の中でしっかりと自国の防衛というものに国民的なコンセンサスを得て長い間努力をしてこられました。たった840万の人口で、いざとなれば100万近い軍隊はすぐにできる。この辺の状況等を考え合わせますと、徴兵制度を導入して一生懸命自国防衛という意識を国民がしっかり持っているということに私は大変うらやましく思いました。

通常兵器の戦争の脅威というものを目標にして頑張っておられるところでありますが、しかし軍事費はもとより、核シェルター等をつくるには10億円もかかっているわけですから、大変なコストをかけても自国防衛をきちんとしていこうと、これは我々大いに見習わなければいけないなと思っております。しかし、ECの統一等との今後の問題、これも非同盟なるがゆえに加わらぬということになると、スウェーデンの経済、将来は大変な課題を抱えておるというふうに思いました。





平成03年02月13日 衆議院 予算委員会
[038]
政府委員(外務省北米局長) 松浦晃一郎
総理の前に、先生ドイツの比較をされましたので念のため申し上げたいのですけれども、ドイツはNATO条約のもとで対米防衛義務をまず負っているということがございます。それから、NATO体制のもとでドイツは国家予算の約26%を防衛予算に充てております。これはドイツのGDPの約2.3%になります。徴兵制もしいております。それから軍隊として約47万を有しておりまして、これはNATOの共同防衛に充てております。

したがいまして、先ほど先生の御質問はいわゆる接受国支援の比較でございましたので、私どもも金額をあえて申し上げませんでしたけれども、詳細を承知しないで申しわけありませんが、そこだけ比較して日本とドイツの負担について論ずるのは間違っていると私どもは考えております。比較するとすれば、今申し上げたように全体を比較する必要があると思います。





平成03年03月08日 衆議院 予算委員会
[243]
外務大臣 中山太郎
私は、今回の中東の戦乱を通じて、この議場でおりながら絶えず考えておったことは、前回の第二次世界大戦で敗れたといいますか、日独伊、この3カ国の戦後のあり方というものを絶えず考えておりました。その中で、今回の湾岸戦争に多国籍軍に参戦をしたのは、イタリー、これは海軍も出しております。

一方ドイツは、NATO条約を結んで40万人の青年を徴兵制度のもとでこれをドイツの軍人として国家が組織をしている。そして北大西洋条約は双務条約でありますから、アメリカが攻撃された場合にはドイツの青年が行って血を流して守る、こういうドイツ人の考え方。

日本はどうかというと、多国籍軍に対する資金援助はしたけれども、人的な協力は国会の意思に基づいてできない。こういうことを考えると、同じ戦争を行った国家、敗戦国にしても、それぞれの国民の考え方というものは、この45年たった今日、実に差が出てきていると私は思っております。





平成03年03月13日 衆議院 外務委員会
[021]
外務大臣 中山太郎
ただ、世界は日本の憲法と同じものを持った国家が1つもないというところに問題が私は存在している。我々よく話に言われるのに、国際的な常識が通らない1つの考え方じゃないか、国際社会はもっと厳しい、こういうこともよく外務大臣の会合なんかで言われますけれども、私は、前の第二次世界大戦で戦った3つの国、このドイツとイタリーと日本の戦後45年経た今回の湾岸戦争に対応するそれぞれの国の違いというものを、私はまざまざと今回体験をしているわけでございます。

日本は、平和憲法のもとでこの国連の平和協力というものには、人的協力ができない状態のままで今日を経過して資金的な協力に終わった。ドイツはNATOの範囲内で40万の常備軍を持ち徴兵制度を持って、アメリカとの関係においても、アメリカが攻撃されたらドイツの青年は血を流すという1つの双務条約を持っている。イタリーは今回参戦をした。

こういう3つの敗戦国が45年を経て、1つの国連決議のもとでの対応が随分変わったわけであります。それによって、一方では、この湾岸戦争に国連安保理決議に従って行動した国家から見ると、大きな差を実は感じていると私は思っております。





平成03年03月20日 参議院 予算委員会
[015]
内閣総理大臣 海部俊樹
PKOの問題につきましては、カールソン首相のみならず、国連のデクエヤル事務総長とも東京のときもニューヨークのときも時間をかけて話をしてまいりました。

特に、御指摘でありますからカールソン首相には、現在スウェーデンという国がどういう形で参加をし、どのようなことをしておったのかということを調査団も派遣して調べてまいりましたので、そのことに対しては感謝を申し上げておきました。そうして、日本には日本としてできる範囲の協力があるわけだから、それの成案を求めて日本は日本型できちっと協力をしたいが、しかし国連の方にも一定の目標があっていろいろな形できょうまで行われた。ただ、私の方から両者に共通して要求したことは、願わくは、国連憲章のどこにもPKOのことは出てこないわけですから、国連のイニシアチブで、せっかく国連が平和機構として機能し始めたんですから、PKOの幅をきちっと示す、そしてそれぞれの国がそれぞれの国においてこれにふさわしいノーハウ、技術、人材があると思うところから拠出ができるようにしたらどうだろうかというようなこと等も申し上げました。

それは日本のそういう御提案として十分今後検討もできるだろうというようなことでございまして、きょうまで主としてスウェーデンがやってきた業績、ハマーショルドという初代の国連総長がスウェーデンの人であったということや、同時に、そういったハマーショルドさんのころから始まって、今御指摘のように5万人、徴兵制のもとで軍隊と違うものを軍隊に密接してつくって、そこでノーハウを教えたり、いわゆるスウェーデン型のPKOというものについてもよく知識を聞かせてもらったと、ざっとこんなところでございます。





平成03年04月02日 参議院 外務委員会
[067]
日本社会党(社会民主党) 清水澄子
韓国、フィリピンなどはアメリカとの二国間の相互安全保障条約を結んでいるわけですが、ドイツなどはこれはNATO全体の共同の安全保障、そこに負担しているわけです。

二国間で安全保障条約を結んでいる中で、これらの国と日本の分担方式にどんな原則的な違いというものがアメリカとの間であるのでしょうか。

[068]
政府委員(外務省北米局長) 松浦晃一郎
ドイツの例で申し上げれば、ドイツは国家予算の26%を国防費に充てている。GDPで言うと約2.3%でございます。徴兵制もしいております。ですから、そういうことを前提にして、先ほど申し上げたような駐留経費で言えば明らかに日本よりは負担が少なくなっておりますけれども、全体としてとらえて比較してみませんと駐留経費だけで比較はできないと思います。

韓国も同様でございまして、国家予算のやはり28.5%を国防費に充て、それから徴兵制をしき、正規軍として75万というものを擁しているわけで、その中で韓国は米軍の経費負担もふやしてきております。つい最近も新しい協定をアメリカと結んだと承知しております。

[069]
政府委員(外務省アジア局長) 谷野作太郎
ただいまのお話のうちのフィリピンの部分と韓国の部分につきまして、経費負担の部分だけいま少しく詳しく御説明したいと思います。

御存じのところでございますが、フィリピンの場合は基地の使用の見返りといたしまして無償の軍事援助あるいは経済支援のための援助をアメリカの方から得ております。この呼び名は、フィリピン側はこれを保障と言っておりまして、米側はこれを援助というふうに言っておりますが、米国の91、92会計年度2年度分で合計9億6200万ドルの援助を、これはアメリカの議会の承認という条件でございますけれども、アメリカからフィリピンはこれを得ておるということでございます。他方、フィリピン側の負担しておる部分というのは、フィリピンの国力、経済事情等から見まして恐らくほとんどないのではないかと思います。

それから韓国でございますが、これは公表された若干古いものでございますが、89年の韓国の国防白書というものがございます。それを見ますと、88年度の韓国側の経費負担分でございますが、約22億ドルを韓国政府が負担いたしております。ただ、予算として計上いたしておりますのはそのうちの2.8億ドルでございます。言いかえますれば、22億ドルのほとんどの部分は土地の評価といいますか、国有の土地を貸与しておりましてその評価額で、実際の予算支出として計上しておりますのは22億ドルのうちの2.8億ドルということのようでございます。



[116]
外務大臣 中山太郎
私は、この日本国の憲法のもとで日本を守るには1つの限界があるということを率直に申し上げておきたいと思います。

先ほどドイツのお話が出ましたけれども、ドイツは40万の常備員を抱えて全国民に徴兵制度をしいております。そしてアメリカとは、アメリカが攻撃をされたらドイツは防衛する条約上の義務を負っているわけです。だから、彼らがアメリカのためにも血を流すということを明確に国民は認識をしております。

日本の場合はそれに比べて、アメリカが戦争に巻き込まれたときは我々は協力をしない、日本が侵略されたらアメリカの軍人が来て血を流す、こういう条約上の規定がございます。それを我々が堅持して、専守防衛のこの憲法の枠内で日本の安全を保障していくということになりますと、我々は経済力に見合った応分の負担をしないとなかなかこの関係を維持していくのは今後問題が起こってくる、私はそのように考えております。

今回、湾岸戦争を通じて私は痛感いたしましたが、あの同じ戦争に負けたドイツ、イタリー、日本、この3カ国の湾岸に対する取り組み方もそれぞれの国で全く異なっておったと思います。

そういう日本独特の憲法のもとで、この厳しい国際情勢の中で経済大国になったわけでございますから、国民の安全を守るためには我々としての最善の方法をとっていくことが極めて必要ではないか、このような考え方で判断をした次第でございます。





平成03年09月25日 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会
[050]
自由民主党 武部勤
しかし、新聞報道等を見ましても、また一般の世論もそうだと思いますけれども、実際のPKOとそれから我々が頭の中に今描いているPKOとの間には非常に大きなギャップがある。今まさに伝統的な軍隊を海外に派遣するんだ、そういう先入観がなかなか抜けない。

私は6月に衆議院の調査団の一員に加えていただきましてドイツ、スウェーデン、ニューヨークの国連本部あるいはカナダに参りまして、つぶさにPKOとは何ぞやということについて勉強してまいりました。行ってよくわかるわけでありますが、まさに敵のいない部隊である、戦争に行くのでは全くない。

スウェーデンに至りましては、5万人派遣しているけれども、スウェーデンは徴兵制をしいている国でありますけれども、徴兵制を終えた一般国民、文民というのでしょうか、この人たちが国連訓練センターでさらに訓練をして、そして出かけていく。今日まで5万人参加しているわけでありますけれども、応募者を募ると大体600人募集すると6000人応募する、そういう姿であります。





平成04年05月07日 参議院 国際平和協力等に関する特別委員会
[252]
自由民主党 板垣正
先ほど野田議員が29年の参議院本会議の決議に触れられましたけれども、まさかあのころこういう世界情勢の展開をだれが予想したでしょう。そういう中で、PKO派遣協力もつまりは日本の平和、日本の安全、日本の安全保障につながる、そういう立場において、あのスウェーデンにおいても48年以来ほとんどのPKOに参加し、PKFに派遣をし、高く国際社会でも評価されていることは御承知のとおりであります。

今度、社会党のあの案は、別部隊をつくる、スウェーデンのあの姿に着目したんだというようなことも伝えられておりますけれども、しかしスウェーデンの場合、あの社会を支えている基盤、これはそういう面においては我々よりもはるかに多くの困難な中から実績を積んできて、いわゆる北欧の体制をつくっていることは恐らく御承知だと思うんです。志願制であります、この待機軍は。PKOに参加する待機軍は志願制でありますけれども、現役、予備役及び一般から募集をする。5、600名の募集をするそうです。年2回募集しますけれども、募集の都度、約10倍の応募者がいる。現役以外の一般からの採用者もすべて徴兵基礎訓練7カ月半から15カ月を終了して、北欧待機軍及びその要員は軍隊及び軍人としての法的地位を保有しておる。徴兵基礎訓練終了者が約4、5万人出ているそうであります。

私も昨年スウェーデンに参りまして、その実態に一部触れましたけれども、スウェーデンの人々、若い人たちも、スウェーデン国民は徴兵に行って国を守る。あの国はまた防衛においては極めて特殊なものがあります。ベテランですから御存じでしょう、一朝有事のとき動員すれば、人口850万で約80万の動員を48時間でやり通す。

常にそうした有事即応体制があればこそ、彼らの言う中立の姿を守り抜いてきた。申立てあるけれども、国連がスタートし、国際社会における対応においてPKOに積極的に参加することがスウェーデンにとっての安全保障の一環であろう、その意識が若い人たちにも国民にも浸透しておって、これに参加することが名誉である、当然の務めである、こういうことが徹底をしておるというので、徴兵義務を終えた何1000名の応募者の中から特に優秀な人材を募集して、これに充てている。

こういうことでありますから、そういう国情というものはとてもとても現在の日本、いまだにこうした論議を繰り返さなきゃならない日本とは大分開きがあるし、私はスウェーデンの方が平和国家としてはよっぽど先進国ではないかとも思うわけであります。





平成06年09月02日 参議院 決算委員会
[132]
説明員(外務省北米局審議官) 高野紀元
米国が各国と結んでいる地位協定と申しますか経費負担に関連した取り決めの状況でございますが、残念ながら第三国間の問題でございまして、従来から国会等で御答弁申し上げておりますように、我が国として調査はしておりますけれども、その詳細について承知することが困難な状況にございます。

米国の同盟各国が駐留米軍に対して行っているいわゆるホスト・ネーション・サポート、接受国支援は、それぞれの国の国情や駐留米軍との相互の安全保障体制の形態などにより異なった状況に置かれており、単純な比較は困難であるということが申し上げられるかと思います。

例えばドイツに関しましては、NATO条約のもとでNATOの共同防衛を行っているという義務を負っておりますし、徴兵制をしいている、約45万の軍隊を保有するというような状況があるわけでございます。

さらに、韓国の例であえて一例を申し上げれば、在韓米軍のための労務に関する韓国人労働者の人件費とか米軍施設の建設、米軍装備品の維持等のためにそれなりの負担をしているということは承知しております。

ちなみにフィリピンに関しては、1992年の11月にフィリピンより米軍が撤退を完了しておりますので、この問題は生じていないわけでございます。

[133]
新生党 泉信也
これもまた十分なお答えをいただけなかったと私は思います。

単純な比較は困難だ、それはそうかもしれません。しかし私がお尋ねしておりますのは、事実を教えていただきたい。比較が困難かどうかということは私に判断をさせていただきたい。

おっしゃるように、ドイツに徴兵制度があるとか、あるいは40万とか45万の常備軍がいるというような、ベースが違うということは承知をいたしておりますが、その単純な比較はできないから出さないという御説明であるとすれば、甚だ不満な御返答であったと私は思います。





平成07年11月08日 参議院 国際問題に関する調査会
[004]
政府委員(防衛庁参事官) 小池寛治
次に、極東ロシア軍について述べたいと思います。

極東地域の旧ソ連、ロシア軍は90年以降は量的には縮小傾向を示しております。またロシアの厳しい財政状況、徴兵忌避者の増加などによる充足率の低下などによって極東ロシア軍の活動は全般的に低調になっております。さらに軍人の待遇の低下や給料の不払いなどによって不満が満ちており、軍の士気も低下していると見られ、即応態勢は低下しているものと見られます。

しかしながら、現在においても極東ロシア軍は地上兵力が26個師団約22万人、海上兵力が主要水上艦艇約60隻、潜水艦約65隻を含む艦艇約675隻、約168万トン、航空戦力は作戦機約1000機という大規模な戦力が蓄積された状態にあります。

さらに、T80戦車の配備、増強、オスカーⅡ級巡航ミサイル搭載原子力潜水艦の回航やアクラ級原子力潜水艦の建造、配備、ミグ29などの第4世代戦闘機の比率の増加など、欧州方面からの装備の移転などにより、緩やかなペースではありますが、近代化は引き続き続いております。





平成08年02月14日 参議院 国際問題に関する調査会
[002]
参考人(東京国際大学教授) 前田哲男
ウラジオストクにも冷戦期以降たびたび参っておりますが、ここではさらに劇的な海軍及び海軍航空の、縮小というよりもはや解体というか崩壊というふうに言っていい状況がございます。ウラジオストクは冬季も結氷しない金角湾という天然の良港を持っておりまして、日露戦争以来日本にとってはよく知られている軍港でありますが、今、少し言葉を強めますと軍艦の墓場、軍艦の解体所というふうに言えるような状況がございます。軍艦がほとんどありません。赤さびて旗をおろしたものがずらり並んでいます。潜水艦もそのとおりであります。中には旗を掲げたものもあるんですが、人が乗っていません。

聞いてみますと、バルト三国が独立したとき以降、兵員不足が極端に深刻化し始めた。海軍兵は技術兵が多いので、ヨーロッパからたくさん来ていたのが、まずバルト三国の離脱、独立によって彼らが自国防衛のために引き揚げた。そのことの影響をまず受け、続いて、ソ連崩壊によって徴兵忌避が大変多くなった結果さらに兵員不足が続いた。その結果、軍艦はあるけれども定員が充足できないという船がたくさんあるわけなんです。





平成08年05月07日 参議院 内閣委員会
[022]
政府委員(防衛庁参事官) 小池寛治
ロシア軍、特に極東ロシア軍の現有兵力あるいは近代化の状況についての御質問ですけれども、今回の日ロ防衛首脳会談においてグラチョフ国防大臣はロシア軍について我が方に次のように説明いたしました。

ロシア軍の再編については、機動部隊を創設し、定員、装備の削減を図り、徴兵・志願混合制システムの構築に努めている。また、必要なインフラの整備を進めている。極東ロシア軍については、95年までにロシア東部の軍事力を15万人削減した、太平洋艦隊は85年以来半減している、このような説明がございました。





平成08年12月02日 衆議院 本会議
[006]
自由民主党 森喜朗
先日開かれました我が党総務会のときでありましたが、ある総務から、ドイツの国民基本法には徴兵制がある、もちろん忌避もできる、しかし徴兵制を忌避した場合、ある一定期間は社会奉仕を義務づけることとなっているという発言がございました。

私は、もとより徴兵制度に言及するわけではありませんが、社会に出る若者が学校教育の中でボランティア活動を必ず体験することが必要だと思います。また、諸外国では、ボランティア活動の中でお年寄りの生き生きした姿があります。21世紀を支える大切な子供たちに、就学制度の中で、ある一定期間奉仕活動を体験して社会に出るような思い切ったことを行うことこそ重要だと考えますが、総理の所見はいかがでありましょうか。(拍手)





平成09年04月21日 参議院 国際問題に関する調査会
[006]
参考人(軍事評論家) 田岡俊次
かつてのソ連は、ここにございますとおり、人口が2億9000万人ございましたけれども、現在は1億4900万人というわけで、日本よりも2割多い程度のかつての半分という人口になりまして、GDPも、現在の日本円にしますと48兆円程度、日本の10分の1程度という小さい貧弱な国になってしまいました。

そういうわけで、ロシアの兵力もかつては420万人ほどおりましたのが現在120万人、つまり300万人減ということになりまして、極東は特にこれがひどくて、下士官、兵の欠員が40%、これは徴兵を忌避する人、それから徴兵の対象外になる人が余りに多いということでこういった極端な兵力減に至っております。





平成10年04月02日 参議院 予算委員会公聴会
[177]
公述人(一橋大学経済研究所教授) 高山憲之
それから、スウェーデン等のお話が先ほどございましたけれども、スウェーデンは子育てと徴兵というのは全く同じ取り扱いなんです。日本でもかつて徴兵制度があったんですけれども、兵隊にとられた後帰ってきて職場復帰したときに何か差別を受けたかというと、そういうことがあったという話はほとんど聞きません。日本も子育ての間はいっときなんですけれども、あるうち、子供が小さいときだけなんですが、これはある意味では徴兵されたようなものだというふうに考えれば、今の制度の仕掛けというのはもうちょっと考え直す余地が出てくるんではないか。





平成10年06月02日 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会
[126]
民主党(民進党) 峰崎直樹
それと、これは厚生大臣にぜひちょっとお聞きしたいんですが、実は大蔵省の不祥事に関連して、例の地方の出先の税務署に28、9歳で行く、帝王学を学んでくる、こういう話をよく聞くわけでありますが、私はそのありようよりも、そういうことを改革していくために――ドイツにおいては徴兵令があります、あそこは。徴兵を拒否したときに福祉施設に義務づけられますね。公務員、とりわけ国家の重要な問題を扱う、今日大変不祥事を起こしている、そういう人たちは受験をする際には必ずそういうものを既に経験をしている、半年間なら半年間もうこれは実習済み、そういうものがなければ受験資格を与えないというような改革。これは、今本当に国民の皆さん方から、官僚のシステムというのは問題があるんじゃないのか、もちろん政治も問題があるんじゃないかと言われているわけですが、そういう提案。福祉の関係が非常に多いわけですから、障害者の方あるいは特別養護老人ホーム、さまざまな施設がございますが、そういうところで働かなければある意味ではだめだよ。あるいは、キャリア組で採用した人も必ずそこにもう1回、例えば中間段階で行くとか、そういうことについてはいかがお考えになっているか。





平成11年02月18日 参議院 外交・防衛委員会
[036]
説明員(特命全権大使ハンガリー国駐箚) 糠澤和夫
今、先生から、内政あっての安全保障というお言葉がありましたが、逆にまた安全保障あっての内政という感じもいたします。今ハンガリーは、過去500年の中で、一番独立した、一番繁栄の希望を持った、それから一番平和の中にいるという状態であると思います。非常に希望に満ちた国であります。

兵隊さんの数、これがソ連の中にいたときには18万人いたんです。今は5万3000人になっています。シンガポールより少ないんです。それだけの少ない軍隊で守れるということが、やはり西側の方に入ってきたということの一番のメリットだというふうに私は考えています。若い人も、24カ月強制徴兵だったんだけれども、今は9カ月で済んでいるわけです。やがて6カ月になります。それで強制徴兵はやがて終わると思います。そういった面がハンガリーの青年の一番の希望です。





平成11年05月13日 参議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
[107]
参考人(駒澤大学法学部教授) 西修
先ほど私は、先進民主主義国家において有事法制の考え方あるいは有事法制を持っていない国はないと申し上げましたけれども、これは時間の関係もありますので、数カ国に限らせていただきたいと思います。

やはり日本と同じく敗戦国になりましたドイツでありますけれども、ドイツの憲法が1949年にできました。そのときは、いわゆる軍備条項はゼロでありました。けれども、1954年、さらにまた56年にいわゆる再軍備条項というものを入れて、徴兵制まで入れました。一方、49年のときから良心的兵役の拒否というものはありましたけれども、54年、56年に憲法を改正して再軍備条項を入れ、そしてまた68年に防衛事態という概念、いわゆる非常事態でありますが、これを憲法に入れました。これは非常に大幅なものでありました。そして、68年にその非常事態を憲法に入れたことによりまして、それと前後いたしまして、例えば非常事態に水をどうやって確保するか、あるいは労働をどうやって確保するか、交通をどうやって確保するか、それぞれすべて、水確保法、労働確保法、道路確保法、そういうような形で法的に整備をしております。





平成12年09月28日 衆議院 憲法調査会
[082]
会長 中山太郎
この際、欧州各国憲法調査議員団を代表いたしまして、御報告を申し上げます。

先般、私どもは、ドイツ、フィンランド、スイス、イタリア、フランスの欧州5カ国の憲法事情について調査をいたしてまいりました。

(中略)

翌12日は、ベルリンに向かい、到着後すぐ大使公邸において、フィンランド大使館から招致した書記官より、フィンランド憲法に関する説明を聴取いたしました。フィンランドでは、今年の3月から全面改正された憲法が施行されており、その全面改正の背景と経緯について調査をいたしました。

今回の全面改正は、90年代に入ってから毎年のように行われてきた憲法改正を体系化するために行われたものであること、内容的には国会の権限強化と大統領権限の制限に主眼が置かれたことのほか、情報アクセス権の規定や非常事態に関する規定などについての説明も聴取いたしました。

なお、ドイツとの対比で、兵役義務とその良心的自由による兵役拒否の制度について尋ねましたところ、18歳からの徴兵制度を設けており、良心上の理由による兵役拒否者は全体の約8%程度であるとのことでありました。



[087]
自由民主党 高市早苗
きょうは21世紀の日本のあるべき姿というテーマでお話を伺いまして、小田先生が考えておられるあるべき姿は、良心的軍事拒否国家という1つのキーワード、そして平和主義、これを追求する国ということだと受け取りました。そして、このお話の中で、先生のお言葉をそのままかりますと、国家的規模において平和主義を実践している国家というようなことで、ドイツの例、これは良心的な兵役拒否を法制化した国として御紹介いただきましたし、それからギリシャ、これはNATOの一員でありながらコソボ空爆を拒否した国として例を挙げていただきました。

しかしながら、両国とも現在十分な兵力を持って、しっかりした防衛体制をとっている国家でもございます。日本の自衛官は、現在23万6300人でございますけれども、予備自衛官を合わせても合計約28万人でございます。ドイツ軍は、現在33万2800人、予備兵を合わせますと約68万人の兵力が万が一の場合には動ける体制になっております。ギリシャ軍が16万5670人、予備兵が29万人以上おりますので、合計約46万人の兵力ということで、いずれも兵力数という観点で見ますと、日本以上の防衛体制を持っていると思われます。予算的にも、日本とドイツ、ほとんど変わりません。

私は、ギリシャのコソボ空爆拒否というのは、自国の主権と国民の生命をきちっと守り抜ける備えがあってこそ、堂々と国益を主張できた例だと考えます。コソボ空爆の場合、かなりインフレ率も高いところで、経済的な事情、それから難民の流入、こういったものを防ぐための1つの国益の主張であったと私は理解をしておりました。

また、ドイツについても、確かに兵役拒否の代替ボランティア制度がございますけれども、現在もなお14万2000人が徴兵参加をされております。日本の2.5倍の稼働兵力を有事の際には持つ国でございます。





平成12年12月07日 衆議院 憲法調査会
[097]
参考人(上智大学教授) 渡部昇一
そして、大正14年には普選法が通過しましたが、これはもちろん、税金を納めなくても成人男子はすべて選挙権を有するという、当時としては一番進んだ方の規定でありました。もちろん、第一次大戦後は女性にも選挙権を与える国が出ましたが、これは大体徴兵制のない国がしたことでありまして、徴兵制のある国は、男子に非常に重い徴兵の義務を負わせておったために、選挙の権利は男子だけであったとしてもやむを得ませんでした。これは、スイスを見てもわかりますように、スイスもつい10年前ぐらいまでは女子には選挙権がありませんでした、あそこは男子が徴兵制でありましたから。

ですから、日本の大正末期までは、日本は明治憲法のもとで着々と民主主義を進めてきたと言っても過言ではないのであります。



前略と後略は省略、旧字は新字に変換、誤字・脱字は修正、適宜改行、
漢数字は一部アラビア数字に変換、一部括弧と句点を入れ替えています。
基本的に抜粋して掲載していますので、全文は元サイトでご確認ください。