外国人への生活保護

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平成24年08月20日 参議院 行政監視委員会
[054]
自由民主党 宇都隆史
今日は行政監視委員会ですので、我々立法府の人間として行政は果たしてこういう形でよろしいのかという3点についての質問をさせていただきますが、まずは、法に基づかない予算執行、こういうことが起こってよろしいのかという、こういう話をさせていただきます。具体的なことを言いますと、外国人の生活保護支給の問題であります。

まず、厚生省にお伺いしたいんですけれども、現状の生活保護支給全体に係る外国人に対する生活保護支給の現状、これを教えてください。

[055]
厚生労働副大臣 西村智奈美
お答えいたします。

生活保護の受給者数でございますが、平成24年の3月時点で約210万8000人でございます。

このうち、世帯主が外国籍である受給者数は約7万4000人となっております。

[056]
自由民主党 宇都隆史
金額にすると幾らですか。

[057]
厚生労働副大臣 西村智奈美
申し訳ございません。今、持ち合わせてございません。

[058]
自由民主党 宇都隆史
事前に通告の段階では金額も教えていただいたんですけれども、外国人だけに支給されている総額が1239億円、先ほど言われた外国人に支給している7万4000人で単純計算で割ると、平均で1人当たり167万円が支給されていると。

ここに物すごい不公平感を感じているわけです、国民は。なぜか。年金よりも多いじゃないかと、なぜ、まともにずっと仕事をしてきて自分たちでしっかり掛けてきて国民としての義務を果たしてきた人間よりも多い額が支給されなければならないのかと。ここに非常に不公平感を感じている国民が多いということです。

では、この生活保護法第1条を読みますとどういうふうに書いてあるか。「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、」、国民の生存権ですね、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、」というふうに書いてあります。国民のみを想定しているにもかかわらず、日本国籍以外の者に支給しているこの法的な根拠を教えてください。

[059]
厚生労働副大臣 西村智奈美
日本人と同様に活動できる方として、永住者それから定住者等の在留資格を有し適法に日本に滞在する外国人の方については、昭和29年に発出いたしました通知に基づいて人道上の観点から予算措置として生活保護を支給しているところでございます。

[060]
自由民主党 宇都隆史
もう一度確認しますけれども、これは厚生労働省が29年に出した厚生省社会局長通知ですね。法律ではありませんね。

[061]
厚生労働副大臣 西村智奈美
御指摘のとおりでございます。

[062]
自由民主党 宇都隆史
昭和29年というのを歴史的にやはり考えていくと、ポツダム宣言を受諾して、当時は日本人として同じように認識をしていた朝鮮人であったり台湾人が、自分たちの意思と関係なく、国籍を朝鮮、台湾に戻された、非常に生活的にも経済的にも混乱を極めて、明日食うか食われないかという、そういう時期ですよね。そういう時期に、元々日本国民として一緒に戦争も戦ってきた皆さんを、外国人だということで全く手当てをしないのは、これはいかがなものかという背景から出された通知だと思うんです。

この通知の中に、一番最初の二文、ちょっと読みますけど、生活保護法第1条により、外国人は法の適用対象とならないのであるがと、これは明確に法律外の運用だと言っているわけですね。その後、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定事項の取扱いに準じて左の手続により必要と認める保護を行うこと、こういうふうな内容になっているわけです。

当分の間とはどれぐらいを指しているんですか。

[063]
厚生労働副大臣 西村智奈美
外国人に対する生活保護につきましては、先ほども答弁いたしましたが、人道上の観点から行っているものでございまして、当分の間、予算措置として支給することにしたものでございます。この当分の間につきまして、特定の期間を想定しているものではございません。

[064]
自由民主党 宇都隆史
これ、法の背景、趣旨、まあ法ではないですね、この通知の背景を考えると、あした餓死するかもしれない、そういう人たちを本当に座して見過ごしていいのか、しかも今までは日本国民として一緒にやってきた同胞じゃないかという、まあそういう背景があるわけですよね。それで当分の間ということを考えた。でも、今の御答弁だと、これは未来永劫ということじゃないですか。違いますか。

[065]
厚生労働副大臣 西村智奈美
特定の期間を想定しているものではございませんので、未来永劫かどうかということについてもその範囲内でのお答えになるかと思います。また、人道上の観点から実施しております関係上、生活に困窮する外国人の方が現在一定程度存在しておりますので、外国人に対する生活保護の支給を見直す状況にはないと、このように考えているところでございます。

[066]
自由民主党 宇都隆史
人道上の観点等々で言うのであれば、いろんな法にのっとった形はできると思うんですね。例えば難民指定にするとか、いろんな形はあります。これは全く法によらずに、人道上の観点という、そういうヒューマニズムだけで支給しているわけですよ。

でも、今どういう状況にありますか、今この日本が。歳出と歳入が折り合わなくなって、余りにも歳出が膨れ過ぎているからこそ、歳入の部分で国民の皆さんに税金の負担をお願いしようとしている瞬間じゃないですか。で、ここから国民会議の中でこの社会保障制度についても切り込みが入るわけですよね。もちろん、不正受給等をしている日本人に対する生活保護の切り込み、これも入らなきゃいけない。でも、外国人に対して、法にのっとらずにこういう運用解釈だけで、しかも当分の間までといって、厚生労働省自体が期限を切ったものではない、つまり未来永劫支給しますということをだらだらと、歳出としてだだ漏れにしてお金を出していく、これが本当に国民に納得できるのかという問題だと思うんです。

法制局にお伺いしますけれども、こういう法律にのっとらない形で、運用解釈あるいはこういう局長通知とかで予算執行するというのは法的にどうなんですか。脱法行為じゃないんですか。

[067]
政府参考人(内閣法制局第一部長) 近藤正春
一般論で申し上げますと、法律に基づいて一定の給付をするという制度がある場合に、その法律に基づかない給付、まあ類似の給付をほかにできるかということでございますけれども、当該法律に基づく給付の対象となっていない者に対して類似の給付を行うことを元々の法律が禁ずる趣旨がある場合にはそれは別でございますけれども、その禁ずる趣旨がない限りは予算措置によりまして類似の給付を行うということに必ずしも法律上の根拠は要らないというふうに考えております。

[068]
自由民主党 宇都隆史
では、厚生省にお伺いしますけれども、これだけ国民が、我々はまた課税される、そして年金をもらっている人間よりも生活保護をもらっている人たちの方がより高い金額をもらっている、こういう不平不満が非常にある中でこれからお願いしていかなきゃいけないわけですよね。この外国人に対する支給について、今後また国民会議の中でもいろんな意見は出てくるでしょうけれども、厚生省としてこれを見直すべきだという考えはありませんか。

[069]
厚生労働副大臣 西村智奈美
現在、生活保護制度全般に関して様々な議論、論点が指摘されていることは私たちも受け止めておりますし、また省内でもそれを踏まえた検討をしているところでございます。

この外国籍、外国人の方に対する生活保護の支給ということで申し上げれば、やはり人道的な観点からということで、困窮している外国人の方がいらっしゃるという現状では私はまだ必要性があるというふうに考えておりますが、委員の御指摘でもございますので、生活保護制度の見直し全般の中でも議論されるべき課題であろうかというふうには考えております。

[070]
自由民主党 宇都隆史
厚生省として、現状どういうことになっているかというのをよく踏まえて、今後これをどういうふうに改善していかなきゃいけないかという意見をしっかりと持って改善をしていっていただきたいと思います。

中には、これ、私もまだ調べている、調査している途中ではっきりとした根拠を持てないんですけれども、中にはこんな話も聞きます。

実際にこちらで仕事をしていたり永住している方々が自分の国から御両親とかを呼び寄せて、生活保護を支給させて、自分の親の面倒は日本国政府に見てもらって、自分が支給をしない、自分の扶助から外すような、そういう、この法律を、法律というか、この通知を悪用しているようなケースもあるやに聞いておりますので、私は国民に対して不公平感があるような制度というのはやはり見直していくべきだと思っています。

今後の申請は受け付けないであるとか、ある一定の年度をめどにして今後は廃止の方向で動いていくというような考え方でいっていただきたいと思います。





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昭和25年11月30日 衆議院 法務委員会
[006]
国務大臣(法務総裁) 大橋武夫
押谷君の御質問になりましたる神戸事件について、ただいままで当局において取調べましたる概要を申し上げることにいたします。

(中略)

今回の騒擾事件発生に至るまでの経緯を申し上げますると、11月20日午前10時ごろ神戸市長田区役所に朝鮮人約300名が押しかけて参りまして、生活保護法を適用してくれという要求を掲げて、不法行為に出ましたので、1名を公務執行妨害に、30名を外国人登録証明書不携帯としてそれぞれ検挙いたしております。

11月24日午前11時ごろには朝鮮人約1000名ぐらい、このうちには朝鮮人中学生約300名ほど含んでおりますが、神戸市長田区役所に押しかけまして、市民税を撤廃せよ、また生活保護法を徹底的に実施せよという要求をいたし、不穏な行動に出んといたしましたので、区役所側からの要請によりまして、所轄長田警察署から警察官が現場に急行いたしまして、群衆に退去を要求したのであります。しかるにかえつて警察官に対し反抗するに至りましたので、うち27名を公務執行妨害並びに住居侵入容疑で検挙をいたしましたので、ようやく解散するに至りました。

ところが同日午後8時ごろ彼らは神戸市所在の西神戸朝鮮人小学校に集合いたしまして、被検挙者の奪還を計画いたし、その後午後9時30分ごろ約200名くらいが長田警察署に押しかけ、代表者7名が署長に面会を求めまして、被検挙者の釈放を要求したのでありますが、拒否せられて、退去いたしたのであります。

同日午後10時ごろ再び西神戸少学校に集まりまして、スクラムを組んで長田警察審に押しかけまして、被検挙者の釈放を迫りましたが、これも拒否せられたのであります。この際におきましても、警察官に反抗いたしたという事案がございまして、首謀者と認められまする川崎製鉄所解雇者でありまする日本共産党員1名を、公務執行妨害罪で検挙いたしたのであります。

なお11月24日は葺合区役所、灘区役所にも同様朝鮮人団体60名ぐらいが押しかけまして、長田区役所同様の要求をいたしており、しかも時間的に見ても午前11時ごろから午後3時ごろまでに解散をいたしたという状況になつております。

さらに11月24日は兵庫県姫路市内三菱電機株式会社姫路工場の被整理者の、レツド・パージ反対をめぐる不法行為者4名を検挙いたしておりますが、これら被検挙者の釈放要求のため、翌25日午後1時ごろ、朝鮮人約100名ぐらいが姫路市警察署に押しかけまして、署長に面会を強要いたし、この間群衆は署内になだれ込んで、机、ガラス等を破壊いたしましたのでうち4名を暴力行為、住居侵入容疑で検挙いたしております。

11月25日には、右のほかに神戸市役所に20名、明石市役所に75名、大久保町役場に90名くらいの朝鮮人が、日本共産党員等に引率されて、それぞれ押しかけて参りまして、越年資金、生活保護法即時適用、食費代等を要求いたしまして、気勢をあげておりましたが、不法行為の発生を見るに至らなかつたのであります。





昭和25年12月02日 衆議院 外務委員会
[065]
国務大臣(法務総裁) 大橋武夫
これらの問題の処理につきまして、政治的な陰謀としてやつて行くということは、民主主義に反するではないかという高田君のお説には私まつたく同感でございます。

今回の朝鮮人の事件を見ますると、その動機ともいうべきものは、各地各様になつております。ある都市においては生活保護法を適用してくれということを申しますし、またあるところにおきましては失業対策を要求される、またあるところにおいては検束者の釈放を要求する、またあるところにおきましては、朝連の旧財産の返還を要求する。こういうふうにそのときどきによりまして、その要求事項はいろいろであります。

しかし、要するにその行為は国家の権力を象徴する国家または公共団体の機関に多数が押しかけて、そうして暴力その他の不法行為をもつて官の威信を傷つけようというそのやり方は、まつたく同工異曲なのでございまして、かようなやり方というものが、つまりこれは1つの政治的の陰謀であると私は考える。かような政治的の陰謀を取締つて行く、これがために厳重に処断して行くというのが、今日政府の態度でございますから、どうぞひとつ高田君もこの政府の態度を御支持あらんことをお願いいたします。





昭和25年12月07日 衆議院 本会議
[058]
自由党(自由民主党) 田嶋好文
最近、神戸、名古屋、大津、京都、神奈川、栃木、岩手その他全国的に、朝鮮人を中心とする日本共産党の組織的な内乱事件ともみなすべき事件が発生いたしております。また今後も同様事件が続発せんといたしておりますので、私は自由党を代表いたしまして、政府当局にその所信をたださんとするものでございます。

まず神戸、名古屋、大津の事件でございますが、新聞の報道その他の調査資料によりますと、神戸におきましては、11月27日、兵庫県下各地区から約1000名以上の学童、婦女子を含む朝鮮人が合流いたしまして、警戒に当つておつた警官隊と衝突したのでありますが、この事件は、戦後日本各地で起りました朝鮮人事件の中でも、その類のないほど大々的なものであつたのでございます。彼らは、当初から警官隊と衝突する態勢を整えまして、かし捧、鉄の棒、れんが、目つぶし用のとうがらし等を用意しておつたのでございます。特にその組織化された暴動的な点が今回の特徴であり、われわれ国民の見のがすことのできない点になつておるのでございます。

次に名古屋でございますが、これも非常に組織的に訓練せられたものと思われますところの14歳未満の朝鮮の児童200~300名が、11月27日、28日と、神戸に相呼応して愛知県庁に押しかけております。そして窓ガラス等を破壞しておるのであります。

大津におきましては、12月1日、大津地方検察庁を、約200名前後のものが再度にわたつて襲いまして、警官隊と大乱闘を演じ、わが検察史上類のないところの大事件を引起しておるのであります。

これらはどれもこれも、表面的にはレツド・パージ反対だとか、住民税撤廃(「レツド・パージをするからだ」と呼ぶ者あり)生活保護法の適用、食よこせ等の運動となつておるのでありますが(「失業者があるからだ」と呼ぶ者あり)今回の事件が旧朝連糸の朝鮮人を中心といたしまして、(発言する者あり)背後に日本共産党が動いているかのごとく想像せられる組織的な、計画的な暴動事件である点よりいたしまして、私たちは、現在朝鮮で行われつつありますところの戦争とこれを切り離して考えることができないのであります。

遺憾ながら現在朝鮮の戦況というものは、マツカーサー元帥その戦局談に言つておりますように、まことに国際連合軍にとつて不利な立場にあります。しかもこの不利な態勢は、なお今後続くものと予想されなければならぬのでありまして、これが続くものといたしますならば、共産国家と一衣帯水を隔てております日本の現在の国民に対して与えますところの不安は大きなものと考えなければならぬのであります。この日本国民に与えているところの不安を共産党がいかに利用しておるかということは、これは想像にかたくない点でありまして、この不安を利用することを知らないようなものは、共産党ではないでありましよう。

この点から考えまして、私たちは、最近日本共産党は地下組織の編成を終つたと漏れ承つております。また最近における共産党諸君のこの議会における言動、これと照し合せてみますれば(発言する者あり)私たちは何としても今回の騒乱が共産党とつながるものであることを考えざるを得ません。また今回の騒乱は、日本共産党が本格的な反米闘争、しかも権力闘争に乗り出したのであつて、しかも今回は、従来のものと違いまして……(発言する者あり)従来のものとは違いまして、暴力革命の……。

〔発言する者多し〕





昭和26年02月01日 参議院 地方行政委員会
[007]
日本社会党(社会民主党) 吉川末次郎
只今委員長のお話がありました神戸、京都、大津及び名古屋、当時なお膝元の東京都においても同様な、主として朝鮮人を中心といたしますところの一種の騒擾事件が起りまして、院議に基きまして我々3人が神戸、京都、大津、名古屋に出張を命ぜられまして、その事件のいきさつ等につきまして、調査をいたしました結果について御報告申上げたいと思うのであります。

我々はその間現地におきまして、自治体警察、国家地方警察、並びに検察当局及び知事、市長その他多くの関係者に面接いたしまして、これにつきまて事情をいろいろと聴取いたしまして、大体におきましてその事件の全貌は把握することができたと思つておるのであります。我々が調査いたしましたところの具体的な内容につきまして、ここに調査報告書を大体用意いたしておりますが、つぶさにそのことをば詳しくお話申上げるということは冗漫にもなりますし、又相当時間を要するかと思いまするので、その調査に参りました4つの地域、特に神戸市に起りました事件につきまして、やや詳しくお話を申上げまして、大体において共通点が非常に多いのでありますから、それについて御了知を得まして、他の地におけるところの事件の内容につきましては、この報告書を速記録にそのままお載せを願いまして、それによりまして詳細のことは御了解下さるように委員長にお取計らい願いたいということを先ずお願い申上げる次第であります。

それで今申しましたごとく、神戸の事件の内容につきましてお話し申上げて見たいと思うのであります。

朝鮮事変が発生いたしましてから、神戸地方の、以前、民青系と言われておる、民主主義青年同盟でありますか、民青系と大体言われておるのでありますが、その系統に属しておりまするところの朝鮮人は、日鮮共同の反帝闘争、即ち帝国主義反対闘争という名によるそうした運動のために、特別工作隊と名付けるところの団体を結成いたしておつたのであります。それは専ら青年行動隊とみなすべきところの、行動を目標に置きました一つの団体でありますが、それによりまして、国連に対するところの反対的な秘密活動を朝鮮人のこの団体が続けておつたのであります。ところが昨年の10月に入りますると、その特別工作隊を組織いたしまするところの青年層のほかに、前の朝連系の幹部、それから朝鮮人の父兄会等の北朝鮮系の勢力をば一体化しまして、そうして名目といたしましては、レツド・パージの反対、反税即ち税金の徴収及び増徴等に対するところの反対運動であります。反税運動と一般に言つておるのでありますが、それから越年闘争、即ち越年資金をよこせというようなことを目標にいたしました反税越年闘争に朝鮮人のすべての生活闘争をからみ合せまして、そうして活溌な動きを示して来まして、地方におきまして治安上、看過しがたい情勢を呈して来たのであります。

11月の下旬頃からこれらの朝鮮人は神戸市内の市の各区役所に押しかけまして、朝鮮人に対する市民税を全免せよ、或いは朝鮮人に対するところの生活保護法の適用というようなことを要求項目といたしまして、波状的に集団的な陳情を行いまして、旧朝連系の幹部や、先に申しました特別工作隊員等が、これを指導するような模様でやつたのであります。特に神戸市の長田区の区役所の管内というものは、ゴム工場等に働いておりました朝鮮人が特に多いのでありますが、その登録数は7623名、神戸市内に朝鮮人労働者が居住いたしておりますその約半数であります。それからそこに更にそれ以外の移住者約1000名を加えまして、約9000名が朝鮮人として在住しておるのでありますが、今申しましたようにこの長田区役所に押しかけましたところの陳情運動が、外の地区に行われましたよりも特に激しいものであつたということができると思うのであります。

11月の20日には朝鮮人65名、同じく生徒約200名が今申しました長田区役所に押しかけまして、形勢が不穏となりまして、出動いたしました警察官は公務執行妨害の現行犯といたしまして、全相福という朝鮮人を警察のほうでは逮捕いたしたのであります。

11月の24日には、約300名の朝鮮人及び朝鮮人の生徒が2隊に分れまして、1隊は教師に引率されまして、長田警察署に押しかけました。そうして先に申しましたところの全相福というこの警察が逮捕いたしました朝鮮人の釈放を要求いたしました。そうして2隊の中の1隊は長田区役所に集団示威行進を行いまして、革命歌を盛んに合唱いたしまする等のことで気勢を挙げまして、午後は約30名の朝鮮人が区長の部屋に入つて参りまして、内外呼応して喧騒を極め、区長が出て行けというところの退去の要求にも応じないで、朝鮮人の生従数10名は区役所の庁舎内に侵入しまして、窓ガラス或いは区役所の什器等を破壊する等の暴行を働きましたがため、26名がそのために逮捕されたのであります。その26名の中には日本人も若干名含んでおるのであります。なお当日は、以上のほか葺合区役所、それから葺合警察署、長田税務署及び長田警察署、生田県税事務所及び灘区役所の各地に先に申しましたような形においての集団陳情が行われたのであります。

11月の27日には、朝からこの西神朝鮮人学校という朝鮮人の学校、西神というのは西と神戸の神であります。朝鮮人の父兄や生徒が続々集合しておるというところの情報がありますし、更に又姫路地区、相生地区、大久保町の方面から神戸市に向つたというところの情報がありましたので、神戸市警察局は緊急事態に備えて、神戸地方検察庁、国家地方警察側とも連絡して警備体制を整えておつたのであります。

午前10時過ぎに、学校におけるところの集団は約400名に達しまして、前回の事件で勾留中の被疑者の釈放要求と、生活保護の陳情を行おうと気勢を挙げますと共に、これらの朝鮮人と呼応していると認められるところの自由労務者、それから民主商工会の会員、それから朝鮮人らは市内の各税務署、区役所等に集団陳情を名として押し寄せまして、警察力の分散を企図しておるというように考えられるので、午前11時に神戸市警察局長は甲号非常召集を発令したのであります。

同日正午頃になりまして、今申しました西神朝鮮人学校の朝鮮人の集団は、代表者を選びましてそれぞれ神戸市役所、長田区役所、神戸地方検察庁等に対して、前に言いましたような要求の交渉を始めたのでありますが、学校の中におきましては刻々参集者の数を増加して参りまして、ここに集まりましたところの朝鮮人らは手に手に棍棒、或いは薪のようなものを携えまして、そうして学校の校庭には石ころ等を投げるために用意して、そうして不穏の形勢を示し、特に白鉢巻をしましたところの青年約150名が中心となりまして、スクラムを組んで行進の演習をしまして、実力行動に移行せんとするところの徴候が極めて顕著であるという情報が入つて来たのであります。

午後3時頃には、約900名の集団となりました学校内の朝鮮人は、三列縦隊のスクラムを組みまして、解放歌を高唱し、梶棒、薪など、先に申しましたような兇器を振りかざしまして同校の南門から表通りに出まして、北のほうに行列して進んで、行進を始めたのであります。学校附近に警察隊が待機しておつたのでありますが、警察隊はその後方から追尾していましたところ集団から警察隊に向つて猛烈に石を投げるようになりましたので、そこで警察隊は、この行列をして行進をしておりますところの石を投げた者の検挙に移りまして、ここで警察隊とこの朝鮮人の行列行進隊との間に大乱闘が行われて、そうして激しい抵抗を排して警察像は現場で約120名の朝鮮人を逮捕したのでありますが、残余の朝鮮人集団は、沿道の民家、巡査派出所等に投石いたしまして、警察を誹謗いたしますところのビラを撒き散らしまして、そうして途中警察官と衝突しながら長田区役所前広場に至りまして、同区役所及び隣接の長田税務署に石を投げ、梶棒を振つてこれを襲撃し、窓ガラス等を破壊したのであります。午後4時頃、計181名に達する大量検挙によりまして漸く暴徒を鎮圧することができたのであります。夜になりまして更に12名を逮捕いたしましたので、逮捕いたしました朝鮮人の総数は193名になつておるわけであります。

この騒擾事件の負傷者は、警察側では50名、朝鮮人側では37名というところの報告を警察当局から現地におきまして聞いたのであります。逮捕しました者は取調べの結果、98名が騒擾罪及び政令第325号の違反として起訴されたのであります。

これが神戸の事件でありますが、大体他の地域におきましても共通点が非常に多いのであります。併しながら必ずしもその要求いたしておりまするところの事柄、或いはそのときの暴動の起りましたことについての、闘争の題目といたしておりまするようなことは違つております。又京都のごときは、それに自由労働者及び京都大学の学生を中心とするところの学生隊等も参加いたしておりまして、朝鮮人だけの運動ではないのであります。ただ併しながら時を同じくしてそれが行われており、その闘争の題目、或いは闘争の様相は多少違つておりますけれども、目標にいたしておるところは大抵同じものがあるだろうと思われるところに、極めて重現すべきところの点があるのではないかと考えるのであります。名古屋、大津及び京都のことについての具体的な事件の内容は、さつき申しましたごとく、ここに申上げることは長くなりますから省略いたしますが、大体以上申しましたようなことにおきまして、こういうことが窺われるのであります。

第1には、これら各地におけるところのこの騒擾事件というものが、非常に計画的に行われたということであります。即ち同時多発的に、ほぼ時を同じうして各地に事件を起しまして、そうしてその目的は警察力の分散を狙つたと見られるのでありまして、即ち今お話申上げませんでしたけれども、名古屋の愛知県庁に対するところの集団デモ事件と、神戸の只今報告いたしました長田区役所及び長田税務署襲撃事件等はいずれも11月の27日であります。

それから名古屋におきましては翌28日にも、これを繰返しているばかりでなくして、11月の1日に起りました大津地方検察庁に対するデモ事件は、彼らの当初の計画では11月28日に決行する予定であつたと言われておるのであります。更に27日当日、京都におきましては先に日本共産党京都府委員会が開催されまして、井上電機の犠牲者、レツド・パージを受けました犠牲者であります。それの奪還祝賀大会というものが計画されておりましたのですが、その集会の許可が与えられなかつたので、共産党の公開党大会と称しまして、個々の参集者500名が気勢を挙げたのであります。又12月1日大津事件の当日は、競輪が催される予定でありましたので、大津市の警察はそのほうに警備が割かれるだろうというようなことを予定した。併しながらそれは雨天のために中止されたのでありまするけれども、そういうことを非常に狙つてやつておるということが、当局からは報告いたしておるのであります。

即ち以上申しましたようなことにおいて、非常に計画的である。そうしていわゆる同時多発的な戦略で以て、それを同時にやつたということが窺われるのであります。暴徒の行動に見られるところの計画性につきましても、名古屋の事件について見まするというと、三々五々各地から余り目立たないような方法でひつそりと集まつて参りまして、そうしてそれが一定の所で集合して群集となり、或いはグループとグループとが一定の地点で計画的に合流いたしまして、そうしてそれが有力な集団となるように初めから計画しておる。或いは他の地区から一味を動員いたしまして、大集団を形成する等の集合の方法や、例えば愛知県庁のガラス窓が破壊されたのでありますが、その場合に用いましたところの朝鮮人学童のパチンコ操作、子供がよく鳥を打つたりする遊びに使つておりまするところのパチンコに石ころをつけて、コムの弾力ではね返して鳥を打つあのパチンコであります。それを非常に使つておるのでありますが、それは名古屋におきましては、県庁の窓ガラスを割るのに子供にそれを使わせたのでありますが、同様にこれをほかの所でやはりそのパチンコを使つておる。或いは目潰しをするために、紙でこしらえたところの紙筒の中へ唐辛を詰めて来まして、そうしてその唐辛しの紙筒を振り廻して、警察官その他の目潰しをやるというようなことは、名古屋で検察庁の当局がそういう証拠品を挙げて来て、我々にいろいろと説明いたしたのでありますが、そのほかの地方でもやはり唐辛の紙筒を警察官の目潰しに使う。或いは集団的にそういう行動をして押しかけて来るときには、警察官にピストルなどをば使用させないように、又相手方の戦闘力を削ぐという計画的な戦術によつて、これは東京でも同様であつたということでありますが、いたいけない小さな子供、それからか弱い女等をばその示威運動の先頭に立たせまして、そうしてその子供にわざと警察官に冗談を言つて、ピストルをいじくらせたり何かして、そうしてそういうことをやらさして、まあ向うの言葉で言いますと、「おつさん、ええピストルやなあ」というようなことを言つて、その子供に警察官の腰のピストルをいじくらせたり何かさしておいて、そうしてその隙に青年が石を投げたりいろいろなことをやつておるというような、そういう行動も視察いたしました地域においてそれぞれ極めて共通的なものがあるのであつて、一定の統制のある行動をやり、又かねてそういう訓練を相当にやつて、然る後にこれをやつたということが窺われるのであります。

第2に、視察いたしまして共通的に感じますることは、さつき具体的に御報告いたしました事例によつておわかりになりますように、それが暴力的であり、反戦闘的であるということであります。これらの暴徒らは警察との衝突に備えまして、あらかじめ小石或いは瓦片、目潰し、梶棒等の攻撃道具を用意いたした者が多いのでありまして、又実際にこれらのものを使用いたしまして、果敢、執拗に警察官等に抵抗して、攻撃を警官に加えておるのであります。名古屋の旧朝連の財産接収反対運動、そういう旧朝連の財産接収に反対するという闘争題目で名古屋ではそうした暴動が行われたのでありますが、その中心地でありまするところの中村会館というところでやつたのであります。そこにおきましても神戸騒擾事件の根拠地でありまするさつき申しました朝鮮人の西神小学校におきましても、戦闘的な青年行動隊員が尖鋭活動の中心となつておるのであります。殊に神戸の場合は、先に御報告いたしましたように、彼ら青年は白鉢巻をいたしまして、みずから決死隊であると放言いたしておるのであります。又暴徒の行動は警察力に対しまして極めて挑戦的でありまして、警備に当るところの警察官等が、これに誘発されて行き過ぎた行動に出ないように苦心したというように警察のほうの幹部は私たちに言つておるのであります。又警察官と衝突するに当つては、先ず警察官の帽子を奪うというようなことも戦術として共通的にやつておるのであります。名古屋の事件におきまして、血と汗で築いた会館は血で守る、台東会館、これは東京の事件でありますが、台東会館のようにやるから犠牲を覚悟してかかれというような言葉を使いまして、その言辞は実力行使を暗示しておるということが窺われるのでありまして、その行動は極めてさつき申しましたように挑戦的であります。

それからいわゆる共産党的テクニカル・タームを以ていたしますると、地域権力闘争の展開と見られるのであります。それにつきましては日本共産党の機関誌の「前衛」第53号にそうした地域権力闘争のことについての記述があるのでありますが、長くなりますからこれは省略いたしますが、どうぞ報告書によつて御覧を願いたいと思うのであります。

今回の事件及びその前後に起りましたデモ、集団陳情、集団暴行等の対象の多くは県庁、検察庁、警察署、それから税務署、市役所、区役所、県税務事務所、職業安定所等の官公署であります。又各地で各種各様の問題をとらえまして陳情、要求、抗議等を名として、デモ行為から集団暴行、騒擾事件になるようにいたしておるのでありまして、要求事項は、例えば12月1日に大津の地方検察庁に対するところデモ事件の際に、庁内に撤かれました朝鮮語によるとこのビラの内容の一端をここに翻訳したものによりまして御報告いたしますと、このようなことが書いてあるのであります。

吾等は次のことを要求する。
一、夫の賃金では食つて行けない。
一、寒さを凌げる内職をよこせ。
一、貧困な同胞に正月を越せる物品を無料で出せ。
一、米代を上げるのは反対だ。
一、失業者に家賃、電燈、水道、米代を無償でせよ。
一、生活保護法を適用せよ。
一、朝鮮児童に教育補助金を出せ。
一、先生に越冬資金3カ月分を出せ。
一、畫食のかけを認めよ。
一、炭、毛布等の越冬物資を出せ。
一、にんにく、唐辛、胡麻、塩辛、白菜を出せ。
一、商工業者に無担保、無利子の資金を借せ。
一、貧困者より一切の税金を取るな。
一、職安労働者に食える賃金1日300円を出し、一切の失業者に職を与えよ。
一、朴光海、岡田を初め、あらゆる愛国者を即時釈放。
この朴光海、岡田というのは、これはこの指導者でありますが、それが大津におきまして検束されておるのであります。
一、朝日人民間の離間を策動する八幡の暴力団捏造事件を即時取消せ。
一、何の根拠のない救護資金の捏造事件を即時中止せよ。
一、あらゆる捜査に外国人登録証を悪用するな。
一、今回の事件に誣告、中傷をし、同胞を日警に売らんとする居留民団を叩きこわせ。
一、義勇軍募集絶対反対。
一、国連協力の美名をかり、朝鮮内戦に対し干渉反対。
一、職争反対、ピストル政治は真つ平。
一、一切の外国軍隊は朝鮮より手を切れ。
一、自由平和独立を守ろう。

というようなことであります。そこで旧朝連系の朝鮮人と共産主義勢力とが連携合作して、そうして事件の主導力を握つておるということは明らかでありまして、各事件で検挙されました者の顔触れ、経歴などからそのことが十分窺われるのであります。各事件に殆んど常に日本共産党名で激越な文句のアジビラが撒かれ、或いは貼られ、又共産党員のアジ演説等の応援が行われているのであります。共産党幹部級の有力分子というものは、殆んど第一線の行動には出ていない、わざと出ていないように見えるのであります。間接的な応援乃至指導に当つておるもののように思われると、当局は我我に報告いたしておるのであります。従つてこの地域におけるところの日本共産党の幹部級の者で検挙された者は極めて少いというのが、当局の我々に対する報告であります。併しながらその他事件前における両者間の往来、動静というようなものは認められて、実質的には共産党の各地における支部が合作して、こうした事件をやつたものであるということは明白であるというのが、当局の説明でありました。

大津事件におきましても、京都円山事件におきましても、先に若干御報告いたしましたが、一部の自由労務者が一翼として参加いたしておりますことは、注目すべきことであると思うのであります。自由労務者は、従来といえどもしばしば各地におきまして、職よこせの集団デモ事件を起していたのでありますが、今回の事件におきましては、朝鮮人、学生等の集団と合流して、集団暴行に加わつているのであります。最近レツド・パージによつて解雇された尖鋭分子は、その旧職場に働きかけても受入れられなくなりましたので、方向を変えて自由労務者に対する働きかけに力を注いでいるとの情報と睨み合せまして、この騒擾事件における自由労務者の動向と役割を大体推察することができると、当局は我々に説明をいたしているのであります。

神戸の騒擾事件に関して男20名、女46名について警察当局が行いました、デモ行進をやつたときの、そのデモ行列行進が通過いたしましたときの市民の記録なんかを集めているのでありますが、その警察当局が私たちに物語るところのことをば、参考資料としてここに申上げますというと、「デモ行動沿線罪体調査」というのでありまして、昭和25年11月29日午後5時現在での調査であります。これらの沿道の人間が、警察当局にそのときの事情について申しておりますところによりますというと、大体次のようなことが言われているのであります。

 1、戸を閉めて屋内でふるえていた。
 2、玄関の戸を閉め、奥の間に逃げ込みふるえていた。
 3、屋内で子供とふるえていた。
 4、屋内で手を耳に当てふるえていた。
 5、鮮人の殺気立つた空気を見て焦躁と不安にかられた。
 6、恐ろしいので屋内に隠れていた。
 7、店の商品をなおして屋内に逃げた。
 8、家を捨てて逃げた。
 9、鮮人が家に侵入して来たので、奥の間でふるえていた。
10、鮮人が家に侵入して来たので、窓から飛び出て逃げた。
11、家の裏口へ鮮人が侵入して来たのでふるえていた。
12、鮮人が靴ばきのまま畳の上に上つて来たのでふるえていた。
13、恐ろしくて屋内で仕事が手につかなかつた。
14、志里池小学校教頭は生徒を避難させた。
15、八百屋の台を暴徒にひつくり返された。(被害1200円)
16、事務所の門を閉めた。
17、事務所の警戒についた。
18、警察官に対する暴行を見て不安焦躁にかられた。
19、鮮人が唐辛を持つているのを現認した。
20、事務所の責任者が人夫を避難させた。
21、区役所で机の下に隠れていた。
22、区役所の小使室に逃げた。
これは区役所の吏員だろうと思いますが、
23、座布団を頭の上に乗せて避難した。

こういうようなまあ調査を警察当局が我々に報告いたしているのでありますが、大体においてそのときの実情と、それを目撃していたところの周辺の人心の動きがこの一端で御了承を願えるかと思うのであります。

以上のようなことで、結論的に我々調査団の共通いたしますところの所感を申上げたいと思うのであります。この種の事件は、これを個別的に切り離してばらばらに観察するのでは、到底その真の性格と意味を把握することはできないと考えます。千変万化する事件の表面的形態に眩惑されるということなくして、これを一連の相関関係において把握し、その奥に潜み、その根底にあるものを衝かなければならんと思われるのであります。即ち今回の各事件は、表面の様相は異なつておりましても、ひとしくいわゆる2つの世界の対立する国際政治情勢を反映するものとして、これを総合的に認識する必要があると考えるのであります。更に具体的に申しまするならば、今回の事件はいずれも朝鮮動乱の推移に刺激され、影響された共産主義勢力と、旧朝連糸の朝鮮人の尖鋭分子らが互いに気脈を通じて、現下の情勢を利用し、勢いに乗じて学生、自由労務者、一般左翼分子等に働きかけて、共産党のいわゆる地域権力闘争を同時発生的に各地に展開いたしまして、その暴力的戦術を実地に試みることによつて、かねて企図しているところの暴力共産主義革命行動の予備演習をやつたものとまあ疑われても、彼らはこれを否認することはできない、断じて否定することはできないであろうと私は考えるのであります。これが我々視察団の共通的に、3名の名で御報告申上げたい事項であります。





昭和26年02月02日 参議院 厚生委員会
[022]
日本社会党(社会民主党) 河崎ナツ
去る12月中に議員派遣をいたしまして調査を行いました神戸、京都、大津、名古屋各地方における朝鮮人騒擾事件に関連いたしまして、生活保護法の適用の実情について、派遣議員の報告をお願いいたしたいと存じます。

最初の2カ所は、参りましたのは私と藤森委員でございますが、最初の2カ所は、事情で私が報告させて頂きます。

調査報告。昨年11月及び12月、神戸市その他各地で発生いたしました朝鮮人を中心とする騒擾事件の端緒は朝鮮人に生活保護法の適用を要求するという理由で、県庁、市役所等にデモを行なつたのでありますので、当厚生委員会におきましては、その実情を調査するために議員を派遣することに決定せられ、旧臘20日から7日間に亘りまして藤森、河崎両委員、なお多田専門員、浅原参事等を同行いたしまして、愛知、滋賀、京都、兵庫の1府3県に出張をいたしたのであります。なお愛知県、滋賀県には松原委員、京都府、兵庫県には大谷委員が参加せられたのであります。その概要を御報告申げたいと思いますが、各地の事情を御報告いたします前に一言申上げて置きたいことは、朝鮮人と生活保護法の法律的関係でございます。

御承知のごとく生活保護法による保護の受給権は、日本国民は、原因、人種、性別、社会的身分等の如何を問わず平等無差別に賦与せられておるのでございまして、朝鮮人も現在においては国際法上も又国内諸法規の上からも日本国民であると解釈せられておるのでありまして、従つて朝鮮人も本法による保護を受くる権利を有しておるのであります。

併し法第10条に明記しておるように、保護は飽くまでも世帯を単位として要否を定めるものであり、集団的取扱をすることはできないのであります。従つて朝鮮人に法の集団的適用を要求されても、保護法の立場からは、それは問題にならないのであります。

今回の騒擾事件に関連して、各地とも新しく従来言われなかつた生活保護法の集団的適用の即時要求を主要項目として掲げて来ているのでありまして、我々としてもこの点に深く関心を持たざるを得なかつたのであります。

さて愛知県のほうから申上げます。

1、朝鮮人生活保護の概況。
在住朝鮮人の数は25年10月末日現在で、登録者が6928世帯、3万4858人で、その他に密入国者が数10名あります。内訳は、朝鮮人(北鮮)3万239人、韓国人(南鮮)4619人であります。大体3分の1が名古屋にあります。職業は、自由労働者が多く、無職の者も相当ありますが、彼らは酒の密造、飴の製造、屑買等を行なつております。郡部のほうには農業に従事しておる者もあり、中には日本人を妻とする者も若干ありますが、彼らは定住しておとなしく日本人に帰化したような形であります。犯罪は、日本人の5倍であり、凶悪犯の者も相当あり、又集団的犯罪は殆んど鮮人であります。

経済力に極貧者は帰鮮の希望を有し、事ごとに反対的態度に出ますが、生活がどうにかできる者は、日本に永住の希望を有しております。彼らに対しは羊、豚、畑作などを奨励しております。現在生活保護法の適用を受けている者は、県において調査のまとまつた主要市郡において1201世帯、4584人、金額にして180万3611円でありますが、内地人が保護を受けている者が、人口の2.3%~2.5%であるのに、鮮人は15%以上が保護を受けております。又収入の調査が非常に困難であり、生活の実態を把握することができない状態であります。現在保護申請中の者は41世帯、227人であります。

2、騒擾事件の概要。
本件の騒擾事件は、旧朝連財産接収をめぐる集団暴行事件で、財産接収の緩和と朝鮮人学校の独立、地方税反対、武装警官出動反対、生活保護法の集団適用を要求したものであります。愛知県知事は、昨年9月旧朝連幹部に対し、11月26日限り彼らの占拠する各地にある5カ所の建物から退去し、知事に引渡すべきことを要求しましたが、旧朝連幹部は、青年隊、学童、婦女子を動員してその日に備えて訓練し、11月26日にはおのおの接収せらるべき建物の周囲に多くは3、400人も配置して闘争態勢を整え、接収の妨害計画を立てておりましたが、当局が接収に行かなかつたため事故が起らなかつたのであります。

11月27日午前中、各地から朝鮮人児童、その父兄約250人が県庁に押しかけ、前記のような要求をなして、当局からの退去要求に応ぜず、遂に名古屋市警察の出動となり、漸く退散せしめたのでありました。

翌28日も、午前10時頃から前日同様、朝鮮人学童、父兄、教師約130名が県庁に押しかけ、県当局の制止を排して警察官に対し小石、砂利、とうがらし等を投げつけ、侵入を強行せんとしたので、警察官は相手が少年、子供であること等を配慮して庁内に退き、各入口の扉を閉したところ、多数学童たちは窓ガラスに各方面から投石、破壊して退散しました。

更に11月30日も、朝鮮人男女30余名が県当局の出入禁止を無視して、愛知県庁正面玄関に押しかけ、警備中の警察官を階段から突き落し、傷害を与えました。そのうち3名は現行犯人として逮捕されたのであります。

3、生活保護法適用要求の状況。
騒擾事件に際しましても、生活保護法の全面適用を要求したことは、すでに述べた通りでありますが、事件以前に鮮人35人ほどが女子供を連れて県庁民生部社会課へ来て、主食の掛売を認めることと生活保護法の集団適用を要求しました。併しそのときは別に騒擾事件のごときことは起りませんでした。各市町村においては、生活保護法の集団適用の要求が波状的にありました。そうして一方に児童或いは婦女子が泣いて訴える、1人が泣くと皆がこれについて泣くというような状態であります。

なお愛知県におきましては、この問題について次のような意見、要望がありました。
(1)、朝鮮人に対し正常な経済生活ができ得るように総合的な施策を考えてもらいたい。
(2)、朝鮮人児童に対し、児童福祉法を活用して、その保護につき格別な考慮を払つてもらいたい。社会事業家が警察等と連絡協力して鮮人青少年の保護に努めてもらいたい。
(3)、日本の国法を無視するごとき行動をとる者は朝鮮に送還する法的措置を講じてもらいたい。
(4)、検察庁方面の意見としては、刑事訴訟法上の権利保釈と黙秘権の廃止については是非考えてもらいたい。

次に滋賀県の状況について御報告申上げます。

1、朝鮮人生活保護の概況。
在住鮮人は8738人であり、その60%は飯場生活で、一般住宅に居住する者は40%くらいであります。土建の下働き、失業対策車業に出ておる者が定職に就いている者のうちの多数を占め、定職を持たない者は闇行為(担ぎ屋)を行う者が大部分であります。主食の配給を期日に受けない者も相当あるように聞いてありますが、一面生活の困難なことを訴えていながら、派手な生活をしたり、闇行為等により相当収入があるように考えられます。勿論貯蓄心というようなものは全然なく、あればあるときに使つてしまう状態であり、収入の実態をつかむことが非常に困難であります。

現在鮮人の生活保護の適用を受けている者は、世帯数1563、人員7830人で、総鮮人総世帯の18.7%、総人口の15.7%を占めており、これを内地人の保護を受ける者が世帯において5.1%、人口において3.8%であるのに比して非常に多数が生活保護を受けているのであります。本県は主食(米、麦)の闇行為が盛んに行われ、その検挙件数も、昭和24年10月から25年9月までに1万5000件、人員にして1万3000人の多きに達し、その中心をなすものは鮮人であり、取締治安上の癌をなしております。

2、騒擾事件の概要。
昭和24年7月から米原、大津、彦根、八幡町等の各地において鮮人の自由労務者が中心になり、或いは完全就労、反税、生活保護法の全面適用、越冬資金、被検者の即時釈放、レツド・パージ反対等の要求を掲げ、青少年をかり立て、事件を起していたが、昨年11月1日においては鮮人3名が大津の検事正に面会し、被検束者の即時釈放、武装警官の出動排斥等を要求中、女子30人、学童50人くらいで2度に亘つて検察庁に押しかけ、革命歌を歌い、スクラムを組み、警察官と乱闘、投石して庁舎の窓ガラス37枚を破壊し、警官に14人の負傷者を出し、遂に51名が検挙されたが、そのうち大津在住の者は16名で、他は県下の各地から集合して来ております。これはあらかじめ連絡して計画的に行なたのであります。鮮人学校の学童が事件に参加しておりますが、彼らは非常に勇敢で敏捷に警察官にバツタのごとく飛び付き格闘しています。当県では鮮人学校廃校に伴つて、その子弟を日本人の学校に入れておりますので、そこでは課外として鮮人学童に鮮人教師が鮮語で講義や行なつて来ております。一方各地において鮮人父兄が次の要求を出しております。朝鮮人教師が課外教授を行なつているが、これを全部正科と認めよ。朝鮮人教師俸給ベースの引上げ。3カ月分の越冬資金支給等を要求しております。然るに一方日本人の教師に対して学童は故意に朝鮮語で答える。鮮人教師は朝鮮語で授業するから何を教えているのか分らぬ状態であります。又教師は正規の免許状も持たぬ者であることは検討を要する問題であります。教師中で今度の事件において検挙された者も相当数ありますなど、すべて県、学校当局も取扱に困つております。

3、騒擾事件における生活保護要求の状況。
直接県庁に対して集団面接並びに要求に来たことはないが、大津市その他の市町村に集団面接を強要し、生活保護法の即時適用を要求しているのであります。

例えば大津市においては11月30日及び12月11日に鮮人約50名が市役所厚生課長に面会し、全員に対して、保護法の適用を実施して保護金品を支給すること。要保護世帯に正月の糯米の無償配給の方途を講ずること。越年資金として1世帯3000円を支給すること。鮮人の子供に衣服1着づつを支給すること。検挙されている者の家族に即時生活保護法を適用すること等を要求したが、市役所においては県の通牒に基き、保護法の集団的適用は行わない旨を言明したのであります。

彦根市においては、旧朝連幹部等の引率の下に、12月6日以来1週間に亘り連日1、2名ずつが市役所に出頭して、生活保護法の全面適用及び内職の斡旋方を要求したのであります。

八幡町においては、昭和24年9月朝鮮人連盟の解散されて以来、失業者多数が出たと主張して、これらに対して職業を与えるか、生活保護法の適用を要請して来たのであります。町当局は、民生委員と共に5名の生活扶助申請書に基き調査したが、いずれも生活状況、家計の状況を把握することが困難であり、大部分は窮迫したものと見えず、扶助の必要が認められない。併しいずれも職を離れ、安定所に求職を依頼していますが、適職なく差当つての食料費に困るとの理由で、保護方再三陳情するので、取りあえず、2カ月の期間を附して或る程度の収入を推定して、主食費程度の扶助金を支出することに、民生委員協議会の意見を求めて決定したのであります。(扶助日額74円60銭、月2238円)ところがその中の1名は、決定された扶助額に不服の申立をして来ました。再調査することにして本人に1カ月の所要経費、収入状況の調書を求めたところ、1カ月約1万8000円の支出をしている状況なので、その中には若干の臨時的支出もあるが、それにしても国の定める最低生活費の3倍以上の支出であるため、若干の収入があるものと認められるので、これを追求したところ、不足金は借入金によるもので、全然収入がない、5人家族に対して1人1日150円の扶助をせよと机を叩いて脅迫言辞を弄して再三要求したのであります。市においては1人は年齢18歳に達し、健康で自活し得ると認め、他の4人に対して3月1日から基準額による額の扶助を行つたのであります。

なお滋賀県においては、本件について次のような意見、要望があつたのであります。小中学校における朝鮮人教師による朝鮮語の課外授業は、資格のない無免許の教師が義務教育の学校において教授するもので、教育基本法の主旨に反するものと思われるから、これを認めないようにしてもらいたい。

以上の次第でございます。

[023]
無所属 藤森眞治
後半の京都府、兵庫県の分を御報告申上げます。先ず最初に、京都府のほうから御報告いたします。

第1に、朝鮮人の生活保護の概況を申上げます。京都府在住の朝鮮人の登録者は7732世帯、3万6258人でございます。戦争中、主として土建、軍需工場等に働いていた鮮人は、終戦によりまして失業して、その多くは日雇労務者、又は酒の密醸造や煙草の密製造、買出し等、いわゆる闇屋に転落して、正常の職につくことの機会に恵まれることが非常に少く、且つその努力をする意欲も欠いておりましたために、不規則な生活をし、日常生活に安定性がないように思われるのでありまするが、その生活実態の把握というものは、一般に朝鮮人については非常に困難であります。

昨年10月現在、生活保護法による保護を適用したものは、804世帯、3553人、この保護費の総額が約528万円であります。これを生活扶助について見ますと、670世帯、3364人で、登録世帯及び人口おのおの1000に対しまして87世帯、93人で、内地人に比較して見ますと、内地人の被保護者が43世帯、人数が30人であるのに比較しますと、世帯において2倍、人員において3倍という高率を示しております。

第2に、騒擾事件の概況を申上げます。京都府の治安の特色となつておりますことは、京都大学等の学生が集団行動に関与して、血気にはやつて暴行をすることでございます。朝鮮人は平素は比較的おとなしい。京都府下の朝鮮人の関与した集団刑事事件としては、12月1日京都市役所における朝鮮人教育問題をめぐる不退去、公務執行妨害、傷害事件と、12月9日円山公園における全官公京都地協主催の越年闘争決起大会をめぐる公務執行妨害、傷害事件があるのでございます。

そのうちの1つの朝鮮人教育問題をめぐる集団抗議、朝鮮人の子弟に対する朝鮮語による特別教育問題は、一昨年春以来、朝鮮人と府教育委員会との間に折衝が続けられておりましたが、24年11月、朝鮮人学校が閉鎖されて以来、朝鮮人児童だけの課外教育を要求しておりましたが、旧朝連系と民団系との間に教員の人員の振合いにつき争いがあり、実施を延期しておりましたところ、これが早急実施を迫つて、12月1日鮮人学童70名が、女を含む父兄約40名に引率せられ、京都市役所に参集し、教育長に会見し、こもごも課外教育の即時開始を叫んで喧騒し、中には土足のまま机上に上り、教育長を軟禁状態に陥らしめ、退去の要求に応じないので、所轄警察署に要求し、警邏隊約100名を派遣して実力を以て退去せしめたのでございます。警察員との間に乱闘を生じ、5名を不退去、1名を公務執行妨害、傷害現行犯として逮捕いたしました。

第2は、円山公園における集団闘争事件。これは全官公主催の越年闘争決起大会を、12月9日京都市円山公園で開かんとしましたが、市の公安委員会はこれを許可しなかつたのであります。一方京都府内労働組合も、餅代1人5000円支給、正月有給休暇、完全就労をかねて要求中で、前記大会に合流する気運がございました。又朝鮮人教育問題につき朝鮮人も更に教育長に要求して大会に参加する気配がございました。又当日京都大学においては、各学部学生自治会主催によります平和擁護講演会を開きまして、そうして講演会の終了後、多数学生が大会に参加するものと予想されましたので、京都市警本部では各署員並びに警邏隊員の総員待機の姿勢をとつたのであります。かくて同日午後2時頃に至り、公園内に朝鮮人、自由労働者を含む300名が集結したので、警察員はその解散に努めましたが、これに応ぜす、漸次増加し、午後3時頃やむなく実力を以て解散に当つたところ、警察員に暴行を加え負傷せしめたので、5名を検束しました。その後も一度退散した参加者が、又群をなして集まり、自由労務者も波状的に押し寄せて来て、京大学生も3、400人が、或いは赤旗を持ち、或いはプラカードを掲げて集合して、スクラムを組んで、警察員の制止をきかずに暴力を以て、警戒網を破らんとして、集団闘争が繰り拡げられました。学生、自由労働者等は石、瓦等を投げ、或いは或る者は体当りに突つかかつて来るというようなことで、大量の検束者を出したのであります。その参加者約700人で、双方に負傷者が出ましたが、警察側の負傷者は約20名ばかりでございました。そうして午後5時半頃に漸く解散しました。参加者は個々別に帰りましたが、その途中で警察員派出所2カ所に石を投げて、そうして派出員を負傷せしめております。更に又商店街各所で警察の弾圧を罵倒するアジ演説をやりました。当日出動しました警察員は約2000名でございます。

第3に、朝鮮人生活保護要求の状況を申上げますと、先ずその中で、京都府庁に参りましたものは、朝連の解散後、24年10月に2度に亘つて朝鮮人多数、大体40~50名が府庁に押しかけて、即時生活保護法の適用を要求して喧騒を極めましたが、府では保護の建前をよく説明して、区役所の民生課、或いは民生委員に申出るように指示して、これを引取らしめたのであります。

次に、福知山市におきましては、25年12月6日、生活扶助を受けておる朝鮮人5名を連れた指導者が、市の厚生課へ来て、扶助額の増額を要求したが、これもよく説明して引取らせたのであります。

その次は、向日町、これは工場のレツド・パージを受けた14~15名が11月12月にかけて数回、役場に来て保護法適用を要求したが、大部分は独身者で、会社の退職金も受取つておりませんので、その退職金は供託されておる状況であります。それで保護法は適用しなかつたのでございます。

次は、舞鶴市、昭和24年12月2日、市内在住朝鮮人30人余が市役所に来て、生活保護法による扶助額の増額を要求したのであります。その後市内の一造船所の被整理者を以て結成する失業者分会、その幹部は共産党員だということであります。その失業者分会なるものが、日雇労務者、朝鮮人等の指導権を握り、潜行的な指導をなし、主として生活保護法の面に重点を指向して、1月以来波状攻勢をし続けて来ました。そうして8月11日労働者500~600名が市の助役宅を取り巻いて盆手当1人1000円の支給、3日間の有給休暇、日曜就労等を要求して、退去の勧告に応じませんで、遂に武装警官の出動を見るに至りました。更に、昨年12月11、12日に朝鮮人代表者11乃至17名が来庁、15日に50名が来庁、生活扶助費増額、外国人退去政令を市の責任において撤回させると共に、少くとも朝鮮人には適用しないこと、万一適用した場合には、朝鮮人の生活を市が責任を以て保障すること、家屋の補修の実施等を要求して騒いだのであります。

その次に、京都市を申上げますと、京都市におきましては前に述べました2つの事件に関連して、生活保護法の適用要求は、市内民生安定所へ波状的に行われておりますが、いずれも一連の連絡があるように思われます。各民生安定所では12月21日までに法の適用を要求した者に対して、個々面接を行い、うち保護を必要と認められた100名に申請書を提出せしめて、申請に基き訪問員をして実情を調査せしめて、保護の種類、程度、方法を決定いたしました。これは保護法の適用を要求した者を全面的に保護したものではなく、合法的に処理したもので、デモ隊参加の集団要求者のみに適用したものではないと、こういうことを申しておるが、これは当時新聞紙上に現われておりましたことと若干相違しておるのでございます。これが京都府の概況でございます。

次に、兵庫県の概況を申上げます。

先ず朝鮮人の生活保護の概況を申上げますると、兵庫県内在住の鮮人は、その数が大阪に次いで多いのでありまして、11月末現在で登録した者が5万3000人であり、その他無登録者を入れますと大体6万人と推定せられるのであります。そのうちの2割が南鮮系韓国人で、8割が北鮮系の朝鮮人である。そうしてこの韓国人として登録することを嫌つて、南鮮入であるが北鮮人として登録しておる者もこの中に相当あるようである。神戸市内に住居しておりまする者は大体1万6500人である、その半数近くの7622人が騒擾事件の起きた長田区内に住んでおります。

昭和24年の朝鮮人連盟解散を契機としまして、生活保護の集団要求等の問題を起しましたが、県当局としてはできるだけ十分な調査をして、適正な保護をするように努力しておりますので、現在634世帯、2957人が保護を受けておる。これに要する保護費は月額200万円程度でありまして、漸増の傾向を示しております。併し昨年11月20日の神戸市長田区における騒擾事件までは、特に取り立てるような問題は起らなかつたのでありますが、最近生活保護の問題を取上げておりまするが、これはむしろ生活問題と言いますよりも、政治問題化して、これが進んでおる傾向が強いのであります。

御承知の通り、神戸市には第三国人、外国人の居住する者が相当たくさんおります関係上、終戦後密貿易とか、或いは闇取引等の根源地とさえ言われるような状態もございまして、殊に朝鮮人もそのうちの大きな役割を務めておるのであります。そうしてこの兵庫県に在住しておりまする朝鮮人は、お隣りの大阪府に住んでおります朝鮮人に比較いたしますると、経済力も弱く、そうして浮浪性を帯びた者が多い。そうして常にこの朝鮮事変の動向に支配されて、戦局が現在のごとき段階になりますると、中共侵入が今にも行われ、人民政府ができ、人民裁判にかけられるというような声に脅やかされて、常に行動しておるような状態でございます。

次いで騒擾事件の概況を申上けます。神戸市におきましては、歴史的に見まして、昭和23年4月に鮮人学校接収問題にからんで、多数の鮮人が県庁に押しかけ、知事以下検事正等もだと思つておりますが、知事以下を監禁して騒動を起した、いわゆる第一次神戸事件がございます。更に昭和25年5月に神戸市公安条例を施行する際に、これに反対して、市議会に乱入した事件がございます。

昨年9月の初旬頃から朝鮮動乱の戦況の推移と、10月以降の民間企業におけるレッド・パージに伴う抗争の動向の一環と考えられるところの北鮮系朝鮮人の活溌な動きが顕著となりまして、県下において地下工作隊の秘密反占領軍的団体が結成されました。そうして反戦ビラの撒布、神戸電報局の不法侵入事件等の各種の実力行動に朝鮮人が傭兵的に駆り出されておる等、治安上見逃し得ないところのものが起つておるのであります。ところが11月上旬頃から、神戸市及びその周辺の朝鮮人は神戸市内各区役所に押し寄せて、第1に市民税の全面的免除、第2に全朝鮮人に生活保護法の適用を行えという、この2つの項目を要求して、波状的に集団示威運動を行い、集団陳情をするに至つたのであります。更に神戸市内の長田区に西神学校という朝鮮人のみの小、中学校がございます。この経営が旧朝連系の者によつて行われておりますので、自然そこの生徒の思想も極めて不穏であります。約350人の全生徒が左翼教員に指揮されて集団示威を行い、集団的陳情に常に使役されておるのであります。即ち生徒がこういう騒擾に使われておるということであります。兵庫県には神戸に2つの学校と、姫路に1つの朝鮮人のみで行われておる学校があるのであります。これは朝鮮人父兄が経営しておる形でありまして、解散させなかつたのがそのまま現在では集団暴動の訓練所、或いは工作隊員の訓練場となつておるとも見られるような状態を呈しておるのでございます。

そこで今回の騒擾事件の発端となる事件が2件、11月中に発生したのであります。その1つは全相福の公務妨害事件というのがあります。これは11月20日朝鮮人の男女65名が長田区役所に押しかけて、前記のような要求を掲げて区長と強談中、朝鮮人生徒200名が教員に引率されて区役所前に集まつて、警察官約70人の出動によりまして退去させましたが、外国人登録証のない者を検挙して、護送自動車にその2人を乗せたところ、全相福という者が生徒約20名を指揮して、スクラムを組ませて、命令を下して自動車の前に立ち塞がり、或いはタイヤに抱きつく等の行為をさせて、自動車の発進を不可能にしたのでございます。そうして同人を現行犯人として逮捕いたしました。これが全相福事件であります。

次に、長田区役所の集団不退去事件、これは11月24日に、先ほど申しました西神学校に集合した300名の学童が2つの隊に分れて、1隊は教員4名に引率されて長田警察署に至り、先ほど申しました全相福の釈放を要求いたしました。1隊は長田区役所に集団示威行進を行いまして、革命歌を合唱する等、気勢を挙げておりました。そうして区長室に代表者が30名入りまして、内外呼応して喧騒を極めました。そうして区長から退去要求を出されたが、これに応じないで、遂に区長室の窓ガラス、什器等を破壊したので、日本人、朝鮮人26名を現行犯人として逮捕いたしました。但し、ここには朝鮮人だけでなく日本人も入つておりました。又長田警察署前においても、警察官20名を載せたトラックの前方に生徒等とスクラムを組んで立ち塞がり、これを阻止しました女教員1名を即時逮捕しております。

その次が、今回の騒擾事件になるのでございます。11月27日は、朝来西神学校に父兄、生徒が続々と集合し、更に姫路地区から約100名、いずれも兵庫県下でありますが、相生地区から約50名、大久保方面から150名の朝鮮人が続々と神戸市に向いました。午前10時には約400名の集団となり、勾留中の被疑者の釈放要求と、朝鮮人の生活保護に関して陳情して気勢を挙げ、更に神戸市内の各所の区役所、税務署に集団陳情をいたしました。でこれによつて警察力の分散を企図していたのでございます。

午前11時神戸市警察局長は全員2201名の非常召集を発令いたしました。そうして正午頃西神学校の集団はだんだんその数を増し、手に棍棒、薪を持ち、校庭には白鉢巻をした青年約150名が中心となり、スクラムを組んで、行進の演習をしていました。而も棍棒は先端を鋭く削つて槍先のようにしたもので、これは平素からその学校に備え付けてあつたものと思われるのでございます。それで神戸市警はこれに解散を命令いたしましたが、これに応ぜぬ場合には実力による解散を企図しておつたのであります。

午後3時頃には、学校に集結した鮮人は約900名となり、三列縦隊のスクラムを組んで、解放歌を高唱し、手に手に棍棒を持つて表道路に出て行進を始めました。学校附近に待機していた約200名の警備隊が追尾していましたところ、これに激しくその集団から投石するに至つたので検挙が始まりまして、ここに大乱闘となつた。この現場で約120名の鮮人が逮捕されましたが、残余の集団は更に行進を続けて、沿道の民家、警察官派出所等に石を投げ、ビラを撒布し、長田区役所、長田税務署に参りまして、又投石、襲撃して、窓ガラス、扉を破壊し、約80名が警察官と格闘のあげく逮捕されたのであります。

その他の者はちりぢりばらばらに四散いたしまして、同日午後5時頃暴徒は完全に鎮圧されたのであります。本件騒擾での負傷者は、警察側51名、朝鮮人側26名の多きに達しております。更に同夜本件の首謀者と目される鮮人12名を逮捕し、総逮捕者数は193名に達しております。

今回の事件は、前に申しましたように、その使用した梶棒等を鉾のように鋭利にして、数100本を平素から準備してあり、又検束された朝鮮人が神戸市以外の各地、特に姫路市居住の者が多かつたこと、その他いろいろ申述べました点で御想像のつくように、あらかじめ各地に十分に連絡をとつて計画的に断行したことが窺われるのであります。

第3に、朝鮮人の生活保護要求の状況を申しますると、11月の20日以来この問題が再燃して、各地において保護の強要が行われておるが、今回の問題の特質は、県当局の説明によりますと、次のように説明されております。

第1は、元朝連幹部、共産党員が代表となり、集団的に保護の強要をしておる。
第2は、要求事項の主題は、生活保護法の一斎適用と共に応急一時金品の給付であります。
第3は、代表者は法律制度を相当研究しておる模様で、交渉は長時間執拗を極めておる。
第4は、交渉に当つては脅迫的言辞を用い、市町村に対して暴力をも辞せない態度をとつておる。
第5は、提出された保護申請書を検討するに、すでに保護を受けておる者もあり、明らかに個人の自由意思に基いたものでないことが推測されるものがあるのであります。
第6に、申請に基く、実地調査に際しては、十分な協力は認められず、多数が集合して調査を妨害しておるという事実があります。
第7に、申請者は調査に際して、自己の不利と思われることについては日本語がよくわからないと言つて、これを短絡しております。
第8に、生活状態調査は複雑を極めて、経済実態の把握が誠に困難であります。世帯主が検束されておる場合は、殆んど収支状況がわからない。
第9に、申請者が申請に基く実地調査に非協力的である点から、真に各個人が生活に困窮して申請をしたものか否かを疑わしめる者が相当多い。
第10に、各般の情勢から察して、支給される生活保護費が果して申請者各個人の手に渡つておるかどうかということに疑問とされる点があるのでございます。

只今申しましたような状況に対して、市町村のとつておる態度は次の通りであります。
第1に、保護は集団強要さるべきものでないから、個別面接すべき方針を示しておる。
第2に、応急一時金品の要求には、結果においては応じておりません。
第3に、申請者に対する実地調査には非常に危険が感ぜられるのでありますが、刺戟を避けるために警察署員等は帯同して行つておりません。
第4に、法の適用については、厳密な解釈の下に、いやしくも手続の不備、調査に対する非協力等はこれを是正させると共に、法の罰則適用を考慮する。
第5は、老齢者等にして、真に日本語を解せない者のために、朝鮮語の堪能な者を嘱託する予定である。

以上の通りに申しておりまするが、今後も阪神間の市町村において問題を惹起する気運もあり、又自由労務者も合流して生活保護を強要する者が増加することを県当局は憂慮しております。その実例といたしまして、
第1に、神戸市役所における集団強要というものがある。これは昭和25年11月24日、自由労務者風の者が約15名厚生課長のものに至り、浮浪者収容施設に入所させることを要求した。
第2に、神戸市長田区の民生安定所におきましては、11月20日、24日の両日いずれも朝鮮人男女60名が出頭し、生活保護法の即時全面的適用を強要したのであります。
第3に、神戸市葺合区民生安定所では11月24日朝鮮人約60名、生徒約100名が来所しております。そうして保護法の即時適用、昼食代並びに夕食代を支給することを要求しましたが、拒否され、約4時間係員を軟禁状態に陥れております。
第4に、神戸市生田区民生安定所におきましては、11月25日、27日弁天浜自由労務者20数名(主として鮮人)が来所しまして、生活保護法の全面適用その他を要求しております。
第5は、神戸市灘区民生安定所に朝鮮人約15名が来所いたしまして、生活扶助、医療扶助、の即時給付を要求しましたが、個別面接以外相談に応じかねると拒否しましたところ、一時騒然となりましたが、5世帯の申請手続を了して退去しました。
第6には、姫路市役所、前に申しましたように、神戸市長田区における事件で検束された朝鮮人は姫路市居住の者が最も多かつたのでありますが、姫路市においては長田事件の検束者家族が世帯収入の中心者を拘留された結果、生活困窮に陥つたことを理由として、12月7日代表者8名が来て、生活保護法の適用を要求し、翌8日には家族60名を伴い、同様な要求をいたしました。これに対し、集団交渉を拒否し、個々に申請さるべきであると回答いたしましたところ、爾来83世帯512人が申請して参りました。神戸事件関係者は26世帯140人でありまして、目下調査中ということでございます。
第7に、伊丹市役所、ここでは11月の27日朝鮮人約30名が来庁して、代表者8名が助役に面会をなし、11月に生活扶助を廃止せるもの、又減額しておるもの、及びこの以前に廃止しておるものに即時法を適用せよ等の要求をしております。そうして12月16日に鮮人100数十名が来庁して、第1に、生活に困つている者に無条件に生活扶助をせよ。第2に、来庁中の者に対して直ちに速決で扶助を支給せよ。第3に、失業対策労務者に全面的に医療扶助を適用せよ等等の要求をいたしまして、交渉中騒然となり、退場を命じましたところが、これに応じないので、12~13名が検挙せられております。
第8に、明石郡大久保町役場であります。同町居住朝鮮人が年末資金等の集団要求に端を発し、15名ほど検挙留置されていたのでありますが、12月4日にその家族30名が参りまして、町長を軟禁状態に置いて、保護法の適用を町長に強要いたしております。

以上のような状態で、兵庫県におきましては、この問題に関して次のような意見、要望がございました。第1に、騒擾事件関係者を朝鮮に送還できるような法的措置を講じてもらいたい。第2に、生活保護申請に基く調査に当り、朝鮮人嘱託を採用することを全国的に認め、その経費を国庫から補助してもらいたい。第3に、旧生活保護法第2条では、能力があるにもかかわらず、勤労意思のない者、勤労を怠る者、その他生計の維持に努めない者には保護をなさないことになつていたが、そういう趣旨の規定を制定してもらいたい。現行法第4条ではこの趣旨が不十分と思われる。第4に騒擾事件に鑑みて、浮浪者に対する根本的、総合的施策を講じてもらいたい。こういう県当局の意見、要望がございました。

以上が報告の概要でございます。





昭和30年05月24日 衆議院 社会労働委員会
[086]
日本民主党(自由民主党) 小島徹三
私はそこに非常に疑問とする点があると思うのです。ちょうど京都の生活保護に関する福祉事務所の所長のように、朝鮮人の強圧を受けて、やむを得ず、仕方なしに自分の生命の安全が保てないということで判をどんどん押して、不必要な生活保護費が払われておるというのと同じように、療養所長が果してほんとうに良心をもってやっておるのかどうか、あるいは外部というか、内部というか、何らかの他からの圧迫を受けて必要でないと思うものを必要だということで出しておる証拠があったために、こういう審査会を設けることになったのではないかという疑いを私は持つのですが、それはどうですか。



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