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昭和21年06月28日 衆議院 本会議
日本共産党 野坂参三
そこで私達は天皇制の廃止と云ふことを申して居ります、なぜか、此の憲法とどう云ふ関係があるか、私達の主張は此の憲法草案第7条にある色々な権限が天皇に与へられて居る、それを我々はなくしたい、即ち第7条の2には国会を召集すると云ふことを言つて居る、若し国会を召集することを肯じなかつた場合はどうなるのか、衆議院を解散すること、此の権限がある、若し衆議院を解散しないと云ふ場合、どうなるのか、官吏の任免とか、或は信任状を認証するとか、或は其の他大赦、特赦、減刑等を認証するとか、或は批准書を認証するとか、色々出て居ります、若し之を天皇が認証しないと云つたらどうなるのか、我々としては此のやうな特殊な権限を天皇の手に持たせない方が宜い、是が即ち我々の主張する天皇制廃止です。
日本共産党 野坂参三
第4の問題、是は国会の問題に付て、ここでは二院制が書いてあります、衆議院と参議院、併し此処の討論及び政府側の御回答の中を見ても、参議院の性格、是ははつきりして居ない、又之に付ても地域的な代表を出すとか、職域的な者を出す、斯う云ふ意見がある、何れにしても今日までの此の討論では誰もはつきりして居ない、そこで一体何の為に斯う云ふ参議院と云ふものを作る必要があるか、なぜ一院だけではいけないのか、私達は一院で出来ると思ふ、或る人々は衆議院だけでやれば多数党に依つて公平でない決議が得られるかも知れない、それが為に之を制御する為に参議院とか、或は外に斯うした第二院が必要だ、斯う云ふ主張もありますが、併し我々は日本の人民の民主主義的な発展を信じたい、民主主義的な発展に基いて此の衆議院自体も必ず立派な議会になることと確信して居ります、此の場合に於てなぜ一体此の衆議院に全権を与へてはいけないのか、此の上にもう一つ、今の貴族院の形の変つたやうなあの参議院を設ける必要がどうしてあるのか、私達は一院制で十分だと考へて居る、此の問題に付て御回答を願ひたい。
更にここでは三権分立、是が規定されて居る、一体三権分立と云ふことは絶対主義に対する──是は「ヨーロッパ」の例です、絶対主義に対する資本家階級的批判として、主権を貴族と資本家とが争つて居る時代に生れたものである、絶対主義に対して人民自身が国家権力の主体として、其の立法権が絶対主義の先にあるべきことを主張したものである、之に反して三権が並立することは、国家権力の執行権、即ち行政、司法、是が立法に優位すること、立法の上に行くことに実質的になつて来る、さうして議会は単なる議決機関になる、実際の権限、権力は議会にはない、是が民主主義的な形を持つた、実は専制的な政治の仕組だと私達は考へる、だから私達の主張は此のやうな三権が分立するのではなくて、三権が一体化すること、統一されること、即ち議会に全権がある、議会に依つて執行機関が作られること、之を私達は最も民主的な形のものだと考へて居る、即ち三権の分立ではなくて、三権の統一、是が第4の問題、之に付て金森国務大臣の御回答を仰ぎたい。
日本共産党 野坂参三
偖て最後の第6番目の問題、是は戦争放棄の問題です、此所には戦争一般の放棄と云ふことが書かれてありますが、戦争には我々の考へでは2つの種類の戦争がある、2つの性質の戦争がある、1つは正しくない不正の戦争である、是は日本の帝国主義者が満州事変以後起したあの戦争、他国征服、侵略の戦争である、是は正しくない、同時に侵略された国が自国を護る為めの戦争は、我々は正しい戦争と言つて差支へないと思ふ、此の意味に於て過去の戦争に於て中国或は英米其の他の連合国、是は防衞的な戦争である、是は正しい戦争と云つて差支へないと思ふ、
一体此の憲法草案に戦争一般放棄と云ふ形でなしに、我々は之を侵略戦争の放棄、斯うするのがもつと的確ではないか、此の問題に付て我々共産党は斯う云ふ風に主張して居る、日本国は總ての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、如何なる侵略戦争をも支持せず、又之に參加しない、私は斯う云ふ風な条項がもつと的確ではないかと思ふ、
昭和21年12月17日 衆議院 本会議
日本共産党 野坂参三
また憲法第9条――御存じのように、ここには戦争放棄ということが規定されている。われわれは侵略戦争には絶対反対である。しかしながらこの第9条の討論の中においてはつきりしたことは、すなわち自衞権をわが国が棄てたということである。自衞権がないわが国の民族、これの独立さえ棄てよということが、この条項の中にはいつている。われわれ共産党はこれに対して徹底的に反対した。一体なぜこのような条項が必要であろうか。すなわち日本の支配階級に対する世界の信頼がないということ、ただ一つに基づいている。とにかく諸君も知つておる通りに、日本の同盟国である。しかしこのイタリー、これは自衞権をもつているではないか。なぜ日本だけがこれを失わなければならないか。その理由は‥‥‥
昭和24年10月29日 衆議院 外務委員会
日本共産党 野坂参三
遅刻したために、川村政府次官のお話を伺うことができないで、非常に残念でした。先ほどからのお話で伺いますと、ぜひ一、二はつきりしておきたい点がありますので、あとで準備をして、その次にもう少し具体的に御質問したいと思いますが、それの一つの準備としまして、政務次官の方では、憲法第9条の戦争放棄、この場合に攻撃的なことはもちろん、防衞的な戦争も放棄する、こういうふうに言われたと私は聞きました。この場合に防衞権、これも放棄するという意味なのか、それとも今、日本は武器が一つもない、従つて攻撃もできなければ、防衞も一切できない、こういう常識的な意味であるか、この点お伺いしたいと思います。
外務政務次官(政務局長) 川村松助
防御する権利を放棄するということは、進んで発表する必要はないと思います。いわゆる戦争準備を放棄するというのでありますので、その防御権までも放棄するということはあり得ないと思います。
昭和37年01月24日 参議院 本会議
日本共産党 野坂参三
第2に、南千島を含む千島列島の帰属問題が、国際協定によってすでに解決済みであることは、アメリカと日本を除く世界の諸国が認めているところであります。しかも現在、安保条約と行政協定によって、アメリカは日本のどこにでも軍事基地を作ることができます。こうした状況のもとで、日本政府が南千島を要求することは、アメリカと日本の軍国主義者が、ソ連の鼻先に新しい反ソ侵略の要塞を作ることを、ソ連に認めさせようとするものにほかなりません。このような日本政府の要求をソ連政府が絶対にいれないことは、あたりまえではないでしょうか。それにもかかわらず、今日、政府、自民党が不当な領土要求を繰り返し主張し、アメリカの応援さえも受けて大きく宣伝しているのは、何のためであるか。それは、この宣伝によって、反ソ復讐と領土拡張の思想を国民の間に広めて、軍国主義の復活に役立てようとする意図から出ていることは申すまでもありません。
昭和38年01月26日 参議院 本会議
日本共産党 野坂参三
日朝両国の関係でわれわれが特に銘記しなければならないことは、日本の軍国主義者が朝鮮を植民地化し、36年にわたって徹底的な略奪を行なった上に、関東大震災では多数の在日朝鮮人を虐殺し、太平洋戦争においては、300万の朝鮮人を拉致して、奴隷労働を強制するなど、数限りない犯罪行為を行なってきたことであります。この事実を朝鮮人民は永久に忘れないであろうし、またわれわれ日本人民も忘れてはならないのであります。朝鮮人民に対するこのような非道の数々について、総理は真剣に反省しておられるかどうか。この壇上からはっきりと答えていただきたい。
昭和40年01月29日 参議院 本会議
日本共産党 野坂参三
まず第2にお聞きしたい。かつて日本の軍国主義者は、中国の国土と人民に対して、略奪、破壊、虐殺、侮辱、あらん限りの残忍行為を行ないました。これは私自身この目で見てきております。日本の支配層及び政府は、とれに対する深い反省と謝罪の念をもって、中国問題に対処する根本的な態度としなければなりません。
(中略)
すなわち、アメリカ帝国主義は、中華人民共和国が成立して以来、一貫して中国に対して侵略を企ててきました。まず、朝鮮戦争を起こすとともに、中国の領土台湾を占領し、朝鮮では中国の国境に迫り、原爆さえ落とそうとしました。これに対して中国は自衛のために立ち上がったのであります。
(中略)
次に、中国の核実験は、アメリカによる沖繩、日本本土その他、中国周辺からの核脅迫に対する自衛のためであります。
昭和43年02月01日 参議院 本会議
日本共産党 野坂参三
第3に、わが国は独立をかちとったとき、その安全を保障するためには、世界のすべての国とも友好関係を結び、どのような軍事同盟にも加わらず、平和中立の政策を貫かなければなりません。この中立は、それを破壊しようとする内外の反動勢力に対して、わが国民が強力に戦うことによって保障されます。さらにこの中立政策は、全世界の平和愛好諸国とその国民によって歓迎され、保障されることは明らかであります。その際の国際的保障は、そのときの条件に応じて適切な条約その他の方法によって得られます。日本共産党は、この政策こそ、日本の真の安全を守る最も現実的なものであると確信します。総理は、この政策を「現実的でない」と言っておられます。もしそうならば、一体どこの国が日本の中立を脅かそうとしていると言われるのか、具体的にお答え願いたい。
次に、自衛権の問題であります。いかなる民族も、外国の侵略を排除する固有の自衛の権利を持っております。日本共産党は、日本の独立と安全を守るための自衛権を擁護する立場を一貫してとってきました。22年前の憲法制定議会の質問で、私はこの立場を主張しました。しかるにどうです。これを有害だとして否定し、自衛権を放棄したのは、ほかならぬ時の吉田総理であり、今日の自民党の諸君であります。この歴史的事実を皆さん方否定することはできません。ところが今日、総理や自民党は、盛んに自主防衛を唱えておられます。しかし、日本の現状のもとでの自主防衛なるものは、真の自主防衛とは全く反対のものです。それは、アメリカに従属した憲法違反の自衛隊の増強や、軍国主義の復活を合理化し、日米軍事同盟を強化して、アメリカのアジア侵略政策に、日本を一そう協力させようとする企てにほかなりません。いまわが国民にとって正しい自衛権の行使とは、何よりも民族の主権と安全に対するアメリカの侵害を排除するため戦うことであります。
そこで、日米軍事同盟を打破した後の独立国日本が、他国の侵略を受ける危険がある場合どうするかという問題があります。これに対してわが党は、国民の総意に基づき、必要適切な自衛の措置をとることが当然であると考えております。
最後に強調したいことは、今日、わが国にとって何よりも重要なことは、サンフランシスコ平和条約の売国的条項や、日米安全保障条約など一切の不平等条約を破棄して、沖縄、小笠原を即時無条件全面的に返還させ、アメリカ軍と基地を日本本土から追い払い、自衛隊を解散して、わが国の真の独立と安全をかちとることであります。これこそ、日本を侵略戦争の温床から、アジアと世界の平和のとりでに変えるただ一つの道であり、日本とアジアの人民の心からの願いでもあります。45年間、終始一貫、侵略戦争と反動政治に反対して戦ってきた政党、日本共産党は、以上のことを主張します。
昭和46年01月27日 参議院 本会議
日本共産党 野坂参三
さらに、日中関係でも、真の国際主義を貫く立場に立てば、中国人民がみずから選んだ政府を中国人民の代表として日本が認める以外に方法はありません。ところが、佐藤内閣は、8億人民がつくり上げた中華人民共和国政府を中国の代表として認めないで、蒋介石亡命かいらい政権と日台条約を結んで、戦争処理も、日中両国の国交問題も、すでに解決したのだという虚構にかじりついております。
平成27年08月26日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
自由民主党 高橋克法
引き続き、内閣法制局長官に伺います。
一方で、後に共産党議長を務められた野坂参三議員は、昭和21年6月28日の衆議院本会議において、憲法9条の規定に関してどのような発言をされておりますでしょうか。
政府特別補佐人(内閣法制局長官) 横畠裕介
先ほどお答えした昭和21年6月28日の吉田総理の答弁は、御指摘の野坂議員の質問に対するものでございます。その質問の議事録の該当すると思われる箇所を読み上げます。
一体この憲法草案に戦争一般放棄という形でなしに、我々はこれを侵略戦争の放棄、こうするのがもっと的確ではないか、この問題について我々共産党はこういうふうに主張している、日本国は全ての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、いかなる侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない、私はこういうふうな条項がもっと的確ではないかと思うとあります。
自由民主党 高橋克法
日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。これにのっとり、第9条では、「国の交戦権は、これを認めない。」といたしました。自衛のための戦争まで放棄するのはおかしいと当然の疑義を呈した当時の共産党の野坂参三氏に対し、吉田首相は明確に自衛権を否定いたしました。
中学生の頃に自分は、この憲法こそは苦い経験を生かした歴史的快挙と思いました。何と高邁で崇高な考え方だと誇りにも感じました。世界が日本の美しい覚悟に倣えば、戦争をこの世からなくすという人類の悲願が達成されるとも考えました。
そのときから長い時間が流れ、残念ながら、世界のどの国も、交戦権まで否定するという日本の美しい覚悟に倣う国はありませんでした。それどころか、この間に分かったことは、残念なことですけれども、私たちが信頼しようとした諸国民の行動規範は公正と信義ではないという事実でありました。どの国も例外なく国益を中心に動いているという事実でありました。