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平成09年09月18日 参議院 決算委員会
[043]
説明員(警察庁刑事局長) 佐藤英彦
今御指摘のように最近の犯罪、非常にふえておりますけれども、特に来日外国人、その中でも不法滞在の来日外国人による犯罪が深刻化いたしておりまして、あわせてその組織化が問題になっているというぐあいに思います。
まず数字でございますけれども、昨年ベースで過去10年を振り返ってみますと、刑法犯の検挙人員で3.2倍になっております。これは不法滞在の来日外国人による犯罪であります。そして、検挙件数では7.6倍に急増をいたしております。つまり、外国人の場合にはグループで、複数犯で行う形態にどんどん変わっていっているということもあわせて示しているかと存じます。
そして本年に入りまして、上半期でございますけれども、刑法犯の検挙は件数で1万2300件余り、昨年同期の5割増でございます。この大半はベトナム人による自動車、バイク等の窃盗が主要な要因になっているわけでありますけれども、今申し上げたように急増をいたしております。
そしてその特徴でありますけれども、冒頭に申しましたように、組織化、グループ化いたしておりますと同時に、特に香港等の外国の犯罪組織が入国をいたしまして、在日の不法滞在者を組織化してそれを運用するという形態が見受けられるようになっておりますし、そういう過程で得た不法な収益を地下銀行を用いて送金しているという検挙も散見をされるようになりました。
その外国の組織犯罪の関係でございますけれども、大阪で検挙になりました事件では、香港の三合会と言われる、日本で申しますと暴力団と同じような組織ないしは活動を行っているそういう犯罪組織でありますけれども、それによる窃盗事件を検挙いたしましたのを初め、蛇頭によります、これは中国人でありますけれども、集団密航事件が頻発をいたしております。また、ロシアのマフィアとつながりまして、国内で自動車を窃取いたしましてロシア・マフィアに流していくというもの、あるいは薬物の密売についてイラン人さらにはフィリピン人の組織化が進んでいるというぐあいに見ております。
平成09年11月07日 衆議院 大蔵委員会
[163]
新進党 吉田公一
次に、警察庁にお伺いしたいんですけれども、今まで摘発をして、そうした事例だとか内容だとか等、捜査に支障のない限り教えていただきたい、そう思うんです。
[164]
説明員(警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室長) 柴田健
外国人の送金に係るいわゆる地下銀行についての銀行法違反でございますが、本年に入りまして5件検挙いたしているところでございます。
うち3件は中国に送金していたものでございまして、それぞれ送金総額は、約126億円、約356億円、約20億円でございます。1件は韓国に送金しておったものでございまして、その送金総額は約100億円でございます。残りの1件でございますが、これはネパールに送金しておりました事件でございまして、送金総額は約5億3000万円、このようになっております。
平成10年04月07日 参議院 地方行政・警察委員会
[018]
自由民主党 松村龍二
次に、警察庁は平成10年度の予算要求の2つ目の重点といたしまして来日外国人組織犯罪対策の強化を掲げておられますが、近年、来日外国人に対する組織的な犯罪が多発して我が国の治安に対する重大な脅威となっております。
そこで、現在の来日外国人犯罪の検挙状況とその特徴的傾向についてお伺いします。
また、香港三合会など外国の国際犯罪組織が既に我が国に進出してきていると聞きますが、彼らの活動実態はどうなっているのでしょうか。
さらに、昨年からことしにかけまして中国からの集団密航事件、えらいぼろ船で、もう捨ててしまっていいような廃船に乗って、また韓国人がこれに関与しているわけですが、集団密航事件が急増したということでありますが、その背景と対策はどうなっているのか、お伺いします。
また、外国捜査機関との国際協力の現状についてもお伺いします。
[019]
政府委員(警察庁刑事局長) 佐藤英彦
まず最初に、来日外国人の犯罪状況でありますけれども、先ほど委員の方から平成8年の検挙の状況の御紹介がございましたけれども、昨年の数字がまとまりまして、それによりますと、平成9年中、刑法犯の検挙状況は2万1670件ということで、さらに2000件強前年よりふえております。
その特徴的な傾向として幾つかございますので順次申し上げますと、まず香港の三合会などの中国人の犯罪組織による窃盗事件、それからロシアのマフィアが関与しているというぐあいに思われます高級自動車の窃盗事件等のいわゆる組織窃盗事件、蛇頭によります集団密航事件、イラン人によります薬物密売事犯などの犯罪が特徴的というぐあいに言ってよろしいかと思います。それに加えまして、中国人グループによります身代金目的の誘拐事件が相変わらず頻発をいたしておりますし、韓国人のグループによります暴力すり事件、これも多発をいたしております。このように、犯罪が徐々に凶悪化をしてきているというぐあいに言えようかと思います。
なお、こうした活動によりまして得たと思われるそういうお金を地下銀行を通じてそれぞれの本国に送金をしているということに伴います銀行法違反事件の検挙が相次いでいるところでございます。
次に、香港三合会についてでありますけれども、これはまだその実態というのは検挙が十分に行き渡っていないということもありまして定かではございませんけれども、これまでのものについて際立ったものをちょっと御紹介申し上げますと、いずれも昨年の検挙でありますけれども、いわゆるヒット・アンド・ウエーと言っておりますが、犯罪を犯してすぐ当日ないしは翌日に国外へ逃亡する、そういう方式によりまして大阪で宝石商に対しまして3600万余りの強盗傷人事件がございました。これは三合会のメンバーが首領として指揮をいたしておりました。次に、これまた大阪でございますけれども、クレジットカードの詐欺グループがございまして、東京、千葉に偽造工場を設けまして、クレジットカードを押収いたしましたのが約3800枚でございますけれども、これらを使いまして、製造、買い回り役等々の分担をいたしました詐欺グループが検挙されておりますが、それぞれのグループの首領が三合会のメンバーでございました。
こういうようなことから、外国の捜査機関との協力につきましては従前にも増して頻繁に行っているところでございますけれども、特に中国、ロシア、香港との連携を現在強化しているところでございます。
平成11年08月03日 参議院 法務委員会
[298]
自由党 平野貞夫
この地下銀行の検挙状況と代表的な例を説明してください。
[299]
政府委員(警察庁刑事局長) 林則清
警察庁といたしましては、地下銀行というものの利用は、不法滞在の問題でありますとか来日外国人犯罪の問題と表裏一体の関係にあるというふうに見ておりまして、これは重点的にその摘発に力を注いでおるところでありますが、平成9年以降では全国で20事件の地下銀行事件を摘発しておりまして、これらの事件では約1800億円の海外送金がこの地下銀行、アングラで行われておる。
それで、代表的な事例ということでありますが、思いつくところを申し上げますと、例えば平成9年の6月に神奈川県警において、日本国内にいる中国人多数から中国本土への送金依頼を受けて、0.5%から1%の手数料を得て中国向けに送金するという手口で、1年3カ月の間に126億円の不正な送金を行っていた中国人を銀行法違反で検挙した事件。それから、ごく近くですが、平成11年2月、大阪府警におきまして、これまた中国人不法滞在者等から送金額の1%を手数料に中国への送金を請け負い、本人名義及び借名口座を使用して1カ月のうちに18億円の不正な送金を行っていた中国人、これは外国為替及び外国貿易法違反、銀行法ではなくてこちらの方で検挙しておりますけれども、そういった事例が相当いろいろ見られます。
[300]
自由党 平野貞夫
具体的な事例をお聞きしましたが、それとて私は氷山の一角だと思います。
そして、この地下銀行、それからマネーロンダリングの嫌らしさといいますか怖さは、単なる犯罪の収益の問題でなしに、やはり日本の安全保障を脅かすものに周辺諸国が使う、あるいは利用するという可能性もあるわけでございます。そういう意味で、国の独立あるいは国益という形から我々はこの問題に無関心ではいられないわけでございます。
そこで、現在ある制度で、端的に言って麻薬特例法だけでこのマネーロンダリング対策というのは十分でしょうか。
[301]
政府委員(警察庁刑事局長) 林則清
先ほども答弁がありましたし、先生の御指摘もありますように、我が国の現行法制上は麻薬特例法によって薬物犯罪のみがマネーロンダリング罪の前提犯罪ということになっておりまして、他の犯罪で得た不法収益のマネーロンダリングは全然カバーされていないわけです。
このため、効果的な取り締まりの観点からも、それから国際的な要請の見地からも、現行法ははっきり言ってマネーロンダリング対策にとって十分ではないというふうに考えております。
[302]
自由党 平野貞夫
参考のために教えていただきたいことは、諸外国でマネーロンダリング対策はどういうふうなシステムをつくっているか、各国共通なものでよろしゅうございますから、その代表的な例を説明してください。
[303]
政府委員(警察庁刑事局長) 林則清
現在、国際社会では、犯罪収益の逃避地をつくらないというためにも、マネーロンダリング対策の国際協調を進めておるのは御案内のとおりでございます。OECD加盟国を中心にする26の国と地域及び2つの国際機関で構成するFATF、たびたび出てきます金融活動作業部会でありますけれども、ここにおきましては、マネーロンダリング対策のための40の勧告を設定し、日本を含む参加国に対して勧告の遵守を徹底するよう、総合審査等を行っておることは法務省の方からもお答えがあったところであります。このようなFATFの活動は、国連あるいはサミット等でも強力に推進するよう支持されておるところであります。
こうした国際的な取り組みによりまして、海外の主要国では、お尋ねの共通したという点で言いますと、前提犯罪をまず拡大する、それから金融機関への報告義務、これを徹底するといったような勧告に従った対策が共通の代表的なマネーロンダリング対策として行われている。
もう一回繰り返して言いますと、いろんな形はありますけれども、前提犯罪を拡大する、それから金融機関への報告義務をきちっとする、こういうことが共通して行われておる対策でございます。
平成11年09月29日 参議院 決算委員会
[065]
自由民主党 佐々木知子
ことし上半期、1月から6月に検挙された来日外国人による殺人や強盗、誘拐などの重要犯罪は133件、184人に上り、昨年同期より件数で22%、人数で68.8%も増加している。そして、中でも日本人をねらった強盗が急増し、これまでは結構同国人同士での強盗や殺人が多かったわけですけれども、昨年同期の2.3倍に当たる98人が摘発された。誘拐事件は8件で、検挙者は5.3倍の16人と目立ったというような報道がなされております。
これは非常に憂うべき事態だというふうに考えておりますが、昨今の来日外国人犯罪の概況についてお述べください。
[066]
説明員(警察庁長官官房国際部長) 兼元俊徳
お答えいたします。
我が国の国際化の進展に伴いまして、今お話しのように来日外国人による犯罪が非常に深刻になっております。昨年の全検挙件数、これは刑法犯と特別法犯を合わせた数字から見てみますと、件数で3万1779件、検挙人員で1万3418人でございます。ちょうど10年前の数字と比べますと、検挙の件数で約5.3倍、人員で約2.9倍ということで、相当なスピードでふえております。
ことしの上半期の検挙の状況を見ましても同じトレンドでございまして、検挙件数が1万5078件、人員で6366人と非常に高い水準が続いておりまして、被疑者、検挙した被疑者を国籍別に見ますと、ことしの上半期でアジアが約85%、それから中国が全体の41%という、ほぼ同じトレンドがこの90年代に続いております。
質の面から最近の犯罪の特徴を幾つか申し上げますと、今委員御指摘のように刑法犯では凶悪犯が大変ふえておりまして、ことしの上半期では、複数犯による凶悪犯が52%、それから昨年同期比で約20%というふうにふえております。
それから、もうこれは平成4、5年ごろから顕著なトレンドですが、集団密航事件が大変ふえております。この3年ほどは1年で1000名を超える検挙が海上保安庁、それから警察の間で続いております。
それから、3番目は、薬物、特に覚せい剤の密輸事件がふえておりまして、いわゆる50キロ以上を我々は大量覚せい剤密輸入事件と呼んでおるんですが、こういう事件が最近多発をしております。
そして、4番目の傾向としては、当然、犯罪が日本で行われた場合にお金が外国に送り出されます。これも氷山の一角だと思うんですが、組織的な地下銀行による不正送金事件の検挙が続いております。
こういった背景には、やはり不法滞在者の存在が大きいと考えられます。ことし前半の全検挙人員に占める不法滞在者、これは全体の約60%、凶悪犯で見ますと52%、それから薬物犯罪で44%ということで、不法滞在者が来日外国人犯罪の中核となっている、このように理解をしております。
[067]
自由民主党 佐々木知子
今、不法滞在者が来日外国人犯罪の中核になっているというお言葉がございましたけれども、次に法務省に対しまして、不法残留者の最近の数値についてお聞きしたいと思います。
[068]
説明員(法務省入国管理局長) 町田幸雄
平成11年7月1日現在の不法残留者数は約27万人弱、正確に言いますと26万8421人と認識しております。この数字は、平成5年5月に30万人弱、正確に言いますと29万8646人に達した後、徐々に減少してきている、そういうぐあいに認識しております。
[069]
自由民主党 佐々木知子
退去強制させた者の数というのは、一方どれぐらいでございましょうか。
[070]
説明員(法務省入国管理局長) 町田幸雄
平成10年におきまして、当局が退去強制手続をとった外国人の数は5万人弱、正確に言いますと4万7307人でございます。
平成12年11月08日 衆議院 外務委員会
[163]
自由党 土田龍司
近年、来日外国人による犯罪がふえております。警察白書によりますと、平成11年の外国人刑法犯の検挙件数が前年比の15.9%増で2万5135件、検挙人員が10.8%の増で5963人、約6000人となっており、凶悪犯、窃盗犯の増加が目立っているとされております。刑法犯の国籍別検挙情報を見ますと、中国が圧倒的に多くて、検挙件数で48.9%、検挙人数で全体の45.6%、ほぼ半数を中国人の犯罪が占めているわけです。
特に、中国の国際犯罪組織蛇頭は、組織的に密航の請負を行ったり、密航請負料の取り立てをめぐって殺人や誘拐などの犯罪を引き起こしております。また、銃器、覚せい剤などの密輸や、不法滞在の中国人から集めたお金を中国に送金するというような地下銀行の存在など、中国人絡みの犯罪は看過できない状況にあるのではないかと思います。
昨年7月の小渕首相と朱鎔基中国首相の会談において、国際組織犯罪に対する協力について話し合いが行われました。12月には日中治安当局協議が開催され、集団密航や薬物密輸対策などについて合意されたとのことでございますけれども、ことしに入ってからも外国人刑法犯は昨年を上回るペースで増加しているわけです。特に、ピッキングと呼ばれる手法によって金庫破りや事務所荒らしを重ねる中国人グループの摘発が相次いでいるわけです。
そこで、中国政府は、果たして本気でこういった集団密航や国際犯罪組織を取り締まる意思があるのかどうか。現状を見るとやや疑問に感じるわけでございますが、中国側の取り締まりについて、政府の見解をお尋ねしたいと思います。
平成14年04月18日 参議院 財政金融委員会
[022]
保守党 入澤肇
そこで、最後になりますけれども、地下経済の実態について当局が知っていることをちょっとお聞きしたいんです。
横浜銀行総合研究所の門倉さんという研究員が地下経済の実態についてあちこちに論文を書いています。例えば、1999年で約23兆円ある、これに対して裏経済を知っている人の記事も出ているんですけれども、そんなものじゃない、もっとあるというふうなことを言っている人もいますが、GDPに占める割合が、日本のこの23兆円というのは日本の場合に4.5%、アメリカでは地下経済が10%、イタリアは20%、ロシアは50%以上だという、この分析もいろんな科学的な方法論を駆使して分析しているらしいんですけれども、地下経済の根絶ということとこのマネーロンダリングの関係というのは非常に密接な関係があると思うんですけれども、我が国で一体こういうふうな論文が出る実態にあるのかどうか、どの程度まで、しゃべれることとしゃべれないことあると思うんですけれども、警察当局としてはどの程度地下経済があると認識しているか、お聞かせ願いたいと思います。
[023]
政府参考人(警察庁刑事局長) 吉村博人
地下経済の実態についてのお尋ねでございますが、私どもでいろいろ情報はそれなりに収集はしておりますけれども、一応この場で御紹介できるものとしては検挙例になろうかと思います。
ごく簡単に申し上げますと、先ほど村田副大臣もお話がございましたが、麻薬特例法違反が平成4年7月の法施行でありまして、麻薬特例法違反のいわゆるマネロン行為の罰則適用が合計15件であります。それから、組織的犯罪処罰法の施行以来、これが12年の2月でありますので、現在までにこれは合計20件でございます。一つ一つの検挙事件での隠匿あるいは収受の金額を見ますと、それぞれ数10万から数1000万ということでありまして、麻薬特例法違反の中には、中には1億円を超えるものもあります。
それから、組織的犯罪処罰法あるいは麻薬特例法のマネロンそのものではないと思いますが、いわゆる地下銀行というのがあります。これは御承知のとおり、送金依頼者の依頼を受けまして、本人に代わって国外に不正に送金をするということで、不法就労で得た収益あるいは犯罪による収益を本国に不正送金する手段として、事実上、多数の不法滞在外国人が利用している実態があるわけでありますけれども、これまでに警察の検挙例で申しますと、35件検挙いたしまして、海外への送金総額は、捜査で明らかになった限りでは約4200億というような数字にはなっております。
平成14年06月04日 参議院 法務委員会
[201]
公明党 日笠勝之
先日、警察庁でございますか、この地下銀行について何か発表といいましょうか公表されたそうでございますが、概略について御説明いただければと思います。
[202]
政府参考人(警察庁刑事局長) 吉村博人
地下銀行についてのお尋ねでございますが、いわゆる地下銀行につきましては、実態としては不法就労で得た収益あるいは犯罪による収益を本国などに不正に送金する手段として多数の不法滞在外国人が利用している実態にあります。
検挙状況でありますが、地下銀行の運営自体は銀行法違反等に触れるおそれがあるわけでありまして、平成4年の検挙以降、これまで銀行法違反等で合計35件を検挙いたしております。もちろん、起訴された額ではございませんが、約4200億円が海外に送金されたということを解明をしております。
検挙した地下銀行事件は35件ということでございますけれども、国別の送金額を見ますと、一番件数的に多いのも中国なんでありますが、韓国、中国がそれぞれ約1200億円、次いでペルーが900億円というような実態になっております。
[203]
公明党 日笠勝之
ですから、私が何が言いたいかというと、そういうテロに対する資金供与とかいうのはそういうところを通してやるんだろうなと思いますね。私がテロリストだったら、表金で、普通の決済ですね、東京の都銀からロンドンの、イギリスの銀行へ、じゃ振り込んでくださいみたいな、そんな足の付くようなことはしない。地下銀行を恐らく経由するんだと思いますよ。
ということは、この地下銀行で法をすり抜けてやっている事例が先ほど警察庁から御答弁ございました。莫大な金額ですね、これは。莫大な金額。しかし、問題は、非常に刑罰が軽いと。銀行法でこれが摘発されましても、3年以下の懲役、300万円以下の罰金だそうでございます。せっかく苦労して摘発しても、裁判の判決は執行猶予が付いたり数10万の罰金だということもあったそうでございます。
防止のためには罰則強化が必要ではないかと、そういう声もありますが、法務省、どうですか、この地下銀行に対する銀行法違反でございますが。──失礼しました。法務省じゃないな。これは、銀行法所管は村田大臣のところですね。罰則が非常に低いんじゃないかと。今後も、先ほど私が申し上げたように、こういうテロ資金なんかは地下銀行経由で行くだろうと、こういうふうに言われておるわけでございますが、この罰則の強化については、一義的所管の副大臣のところではどのようにお考えでしょうか。
[204]
内閣府副大臣 村田吉隆
免許を受けないで銀行業を営んだ場合の罰則につきましては、今、委員が御指摘になったとおりでございまして、その無免許営業に対します罰則が緩過ぎるではないかと、こういう御質問でありますが、一般論として申し上げれば、罰則の水準は、違反した行為の性質や他の法令違反行為に対します罰則との均衡を考慮して定められると、こういうことでございまして、現行銀行法上の無免許営業に対する罰則が特段緩いということは私どもは考えていないということでございますが、なお罰則の強化が必要か否かについては、刑事罰全体のバランスというものをそういう中で考えていくわけでありまして、今、委員の御指摘の御意見も、御指摘も含めまして、今後真剣に考えていきたいと、こういうふうに考えております。
平成16年05月26日 衆議院 法務委員会
[055]
民主党(民進党) 辻惠
それから、罰金刑の引き上げを、30万円を上限とするものを300万円までということが犯罪の抑止の効果があるんだ、こういう説明になっておりますけれども、これはどういう根拠に基づいてそのようにおっしゃっているのか、お答えください。
[056]
政府参考人(法務省入国管理局長) 増田暢也
今回の改正では、不法滞在者に対する罰金刑を大幅に強化するということといたしました。この罰金刑の大幅な引き上げなどの措置をとるとともに、他方では、先ほど申し上げましたような出国命令制度を設ける、こういったことなどを加えまして、不法滞在者の大幅な削減が期待できるものと考えておりまして、そのことによって治安の回復の一助になるのではないかと期待しているところでございます。
[057]
民主党(民進党) 辻惠
今のは質問にお答えいただいていないんですよね。何で罰金刑の引き上げが犯罪の抑止効果を持つというふうに考えられるのかということを伺っているんですよ。
2003年の犯罪白書を見ますと、入管法違反の来日外国人被疑事件、検察庁終局処理人員1万326人、起訴された者6944人、うち、地裁、家裁終局処理人員5737人。その中で、有期刑が5726人、罰金、科料が10人。つまり、2003年犯罪白書によれば、1万326六人の検挙人員のうち、罰金、科料に処せられた者は10人なんですよ。
だから、罰金刑を引き上げるということが犯罪数を減らす抑止効果があるというふうにお考えになっているのかもしれないけれども、2002年は、1万人のうち罰金刑に処せられたのは10人なんですよ。この10人のために罰金刑を引き上げるということは、これは立法事実を欠いているんではないですか。お答えください。
[058]
政府参考人(法務省入国管理局長) 増田暢也
これまでの運用において、罰金刑がさほど活用されていなかったというのは事実だろうと思います。しかし、それはなぜかと考えたときに、やはり、今の実情に照らして、罰金30万円以下という刑罰が低過ぎて使いにくいのではないかということがあるのではないかと思うわけです。
我が国で現に不法滞在している方の中には、前にも不法滞在したようなリピーターの人が多い。また、不法就労してお金を稼いで、またそれを地下銀行を通じて母国に送金しているような人も多い。結局、不法滞在者の多くは、我が国で不法に就労してお金を稼ぐことが目的となっていると思われますので、そうすると、やはりその人に対する効果的な抑止策としては、罰金刑を高くして、その抑止効果によって、もう日本にいてもどうせ罰金で取られて元が取れない、だったら帰ろうか、こういう効果を期待したいと思ったわけでございます。
実際に、この法律改正ができた場合にどのような運用になるか。これはあくまでも捜査機関の問題でございますので、私の方から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、私どもとしては、こういう経済的な制裁をも加えることで悪質な不法滞在行為の抑止が期待できると考えておりますので、こういった線に沿って運用されることを期待しているということでございます。
平成19年03月16日 衆議院 内閣委員会
[165]
公明党 田端正広
そこで、ちょっと提案といいますか、犯罪収益を徹底的に追及していくという場合に、国際問題に必ず私はぶつかっていく、こう思います。それで、この点を今伺っているわけでありますが、今回は、そういう中で、本人確認、取引記録の保存、あるいは疑わしい取引に対する届け出義務、こういう大きな点があるわけでありまして、そして、金融機関等の特定事業者を特定して、そこから情報をきちっといただいて対応する、こういう流れになっていくんだと思いますが、この中で、今現実に起こっている問題として、例えば地下銀行という組織が既に発生しています。
先月の初めだったと思いますが、パキスタン国籍の食品店経営のアスガルという人と、それからムハンマドという2人が銀行法違反で逮捕されておりますが、02年から今日に至るまで、両容疑者は7億7000万、パキスタンに送金していた、こういうことが報道されていたわけであります。つまり、これは一つの事例でありまして、地下銀行を使った犯罪というのは年々広がっている、そういう感じがしております。
例えば、送金先に仲間がいて、こちらに、国内に銀行口座を開設していれば、簡単にといいますか、スムーズに送金できるというシステムであって、現に、中国、韓国、フィリピン、ネパール、タイ、イラン、台湾、ミャンマー、ペルー、パキスタン等々、多くの国の地下銀行が既に今までも摘発されてきたところであります。
こういうことが厳然と日本で行われているということになれば、これはまさに、法律がどういうふうになろうと現実に今抜け穴になっているわけでありまして、そういう状況をさらに推測していけば、本人確認もなくて、送金目的を明かす必要もないというこの地下銀行というもの、ここからいろいろな犯罪とつながった、不法就労とかということが一番現実にあるわけですが、薬物とかあるいは強盗とか窃盗とか、そういうこととも絡み合わせて、そしてテロ組織にこれが流れるとか、イスラム原理主義政党にこれが流れるとか、そういったことが既に危惧されているわけで、現実にひょっとしたらそれも起こっているのではないか、こう考えられます。
そこで、ここ数年、これらの地下銀行を使って不正送金した事例というのは、警察の方ではつかんでおられるのかどうか。どのぐらいの金額、例えばこの5年間、この10年でこのぐらいあったとか、何かそういうことも御報告いただければいいと思うんですが、それが、この法律が施行されれば、果たしてこういった事件に対応できるのか、抑止効果があるのか、その点についてはどんなものでしょうか。
[166]
政府参考人(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 米田壯
地下銀行につきましては、これは、各種の証明書の偽造とか偽装結婚などとともに、来日外国人組織犯罪等によります犯罪の、いわばインフラとなっておると認識をしております。また、テロ関係者による海外送金を容易ならしめるという問題もございまして、警察としては、これは看過できないものという認識でございます。
件数でございますけれども、大体、年間10件前後の事件を検挙しております。推定される送金額でございますけれども、年間、少ない年でやはり2、300億、多い年では1000億を超えるというような実態がございます。
これに対しましては、地下銀行といえども全く金融機関が絡まないというわけではございません。したがいまして、送金の頻度とか、送金の金額、態様等々、これは余り詳しく申し上げるわけにいきませんが、ある種の特徴がございますので、これは現在でも、疑わしい取引の届け出が摘発に有効に働く分野ではなかろうかと考えてございます。
この法律案が成立、施行いたしましたならば、FIUが国家公安委員会、警察庁の方に移管をされるわけでございまして、組織犯罪、テロ関連情報と照らし合わせ、これを活用してより有効な取り締まりを実施いたしますとともに、また事業者の方にも、この手口に関する情報を提供するということがこの法律案に規定されておりますけれども、事業者の方にもそういうものを提供いたしまして、地下銀行の発見、検挙に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
平成21年05月08日 衆議院 法務委員会
[100]
民主党(民進党) 古本伸一郎
では、金融庁に確認します。きょうは金融庁にも来てもらっているんです。
これは、手数料というと大体幾らぐらいなんですか、日本の銀行で送金する場合。海外送金です。
[101]
政府参考人(金融庁総務企画局審議官) 細溝清史
お答え申し上げます。
銀行の手数料につきましては、これは規制がない世界で、各行のそれぞれの経営判断でございます。
それで、海外送金の場合も、自行あて、他行あて、円貨か外貨かによっていろいろ異なりますが、大手銀行で例を申し上げますと、他行あてで3500円とか4000円とか5500円といったケースがあると承知しております。
ただ、関係銀行手数料とか円貨建ての手数料とか、さらにこれに上乗せして求められるものもあろうかと思いますので、一概にはなかなかお答えしがたいということでございます。
[102]
民主党(民進党) 古本伸一郎
せっかく来ていただいたのにあれですけれども、事前にホームページを見ればこれは書いていまして、100万円送金しようとしても、大体5、6000円でしょう。だから、パーセンテージでいけば、1%に満たないんですよ。100万円送金して、大体5、6000円で大手行で送金できますから。
ということは、警察庁、今、地下銀行の問題がございますね。実は資金決済法を財金で、私どもも可決に参加しましたけれども、やはり地下に潜っているお金を表に出そうという観点もあったと思うんですよ。
これは、今、地下銀行と呼ばれる、銀行法に抵触をする不法送金業者からの送金というのは規模はどのくらいあるんですか。
[103]
政府参考人(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 宮本和夫
警察におきましては、銀行業を営む免許を受けないで報酬を得て国外送金を代行する者を、地下銀行ということで取り締まりをしておるところでございます。
警察庁におきましては、犯罪統計上、地下銀行の検挙件数、検挙人員といった集計はしておりませんけれども、平成4年以降平成20年末まで、警察庁において把握しておる、各都道府県警察がいわゆる地下銀行として検挙した事件、これにおける送金額の合計は、推計でございますが、約7800億円でございます。
[104]
民主党(民進党) 古本伸一郎
この間で7800億、7000数百億円ということは、ざっくり言って1年で大体490億円は地下に潜っているという計算ですね。当然、そうなるということは、本邦の銀行としては手数料をもらい損なっていますし、ビジネスチャンスも逃していますし、何より銀行法違反じゃないですか。
ですから、今回、諸先生方にも少し課題を提起させていただきましたが、実は、いろいろな社会保障はそれぞれ不法残留されている人でも比較的手厚いと僕は思っております。でも、他方、なぜ日本に命からがら来たかといったら、稼いで、お国で待っている親兄弟に振り込むわけですよ。その送金作業において、実は結果として外登証が奪われてしまうと、ただでさえ地下銀行に潜っているお金を助長することになるんじゃなかろうかと思いますが、警察庁、いかがですか。
[105]
政府参考人(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 宮本和夫
この入管法の改正が不法滞在者の国外送金といったものにどのように影響するかというのは、直ちには判断いたしかねるところでございますけれども、いわゆる地下銀行、これは、外国人の不法入国、不法滞在の定着、来日外国人が犯罪を繰り返し行うことを助長するといったこうした基盤になるものでもあることでございまして、警察におきましては、今後とも厳正に取り締まってまいりたいと考えております。
[106]
民主党(民進党) 古本伸一郎
地下銀行の手数料というのは、大体どのくらいと言われているんですか。
[107]
政府参考人(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 宮本和夫
過去検挙いたしました事件から見ますと、これはさまざまでありまして、一概には言えないところでありますけれども、一回ごとのそれぞれの送金額のおおむね1%程度であろうかと見ております。
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民主党(民進党) 古本伸一郎
ということは、結構取っているんですよ。だから、実は三菱UFJのどこか支店に行って適法に送ってもらった方が安心して確実なんですよ。もちろんありますよ、送った先の、そういう現地社会の中で、何やら手配りで親御さんのところに持っていってくれる仕組みもあるらしいんですよ。それはそういう意味では非常に便利なのかもしれませんが、だからといってそれを看過するわけにはいきませんね。ですから、この問題を少し提起しながら、最後にもう一つだけ。