昭和25年10月04日 衆議院 外務委員会
[024]
自由党(自由民主党) 菊池義郎
ただいま日本の再武装の問題についての情報をお聞かせくださいましたが、吉田総理も再武装はしたくないということを言つておられます。またわが自由党の国際問題調査会の意見といたしましても、あくまで憲法の精神を貫いて再武装はしないということをはつきりと言つておりますが、濠州、フイリピン、英国の意見も表明を聞いてみますと、無制限の再武装には反対であるが、制限せる武装には反対であるという意思は、まだ表明されていないように思います。フイリピン、濠州は、そういうようにただいま承りましたが、われわれがただおそれておりまするのは、から手でもつて国際連合諸国に対しまして、日本の安全保障をまかせるといたす場合に、多少とも軍隊を持つ能力のある日本がそれでいいのか。日本の安全保障を頼みながら、戦えば戦えるだけの訓練された350万の軍隊もある。そのうちからピツク・アツプして、たとい20万なり30万なりの軍備を持つということは、国際道義の上からも、当然の態度ではないかというように考えております。
計理の専門家の話によりますると、7万5000の警察予備隊を持つ金があるならば、今までの徴兵制度によれば、30万以上の軍隊を持つことができるということを言つております、われわれはあくまでも憲法の精神を貫いて、軍備は持ちたくないのでありますが、いやしくも安全保障を他国にたよるという以上は、国際道義の上から、できるだけの軍備は日本としても持つことが、当然ではないかというように考える。
政府といたしましても、わが党といたしましても、すでにその意思は表明しておりまするが、しかしながら国連諸国から日本の再軍備を要望された場合においても、それをけり飛ばすということが、はたして国際道義にかなうゆえんであるかどうかということをわれわれは心配するのでありまするが、それらに対する外務当局の見解をお伺いしたいと思うのであります。
[025]
説明員(外務事務次官) 太田一郎
ただいま菊池さんから、再武装の問題について御質問がありました。私が先ほど言及いたしましたのは、新聞に伝えられますところのアメリカ政府側の対日講和条約案の一つといたしまして、講和条約の中に、条約の規定としては、再軍備を禁止する規定は置かないようにしたいという希望があるということが、新聞に出ておつたということを申したのでありまして、そういう条約ができた後に、日本が再軍備をするかどうかという問題は、これは条約ができた後の問題であります。のみならず、これは日本の憲法の問題その他と関係いたすところでありまして、われわれ外務省事務当局として、何とも申し上げることのできない大きな問題である、こういうふうに考えております。
[026]
自由党(自由民主党) 菊池義郎
アメリカの輿論を見ますると、日本に再軍備を許すという議論が、大分沸騰しております、許すということは、何も日本が軍備を持たなければならぬということではない。持つと持たないとは、日本の自由であります。
国際情勢から判断して、向うの輿論を総合してみますると、どうも日本に対して軍備を要望して来るということは、必至のように思われるのでありますが、そういう場合に、それをけり飛ばすということはどうであるか、その見解であります。
[027]
説明員(外務事務次官) 太田一郎
日本の国内の問題といたしまして、軍備を持たせるかどうかということについて、向うが要望して来る、あるいは要望しておつたというようなことにつきましては、私はまだ何も聞いておらないのであります。従いまして、実際軍備をやるかどうかという問題については、これは私ども事務当局として、全然わからない問題であります。
昭和26年01月27日 衆議院 本会議
[035]
日本共産党 川上貫一
さて、質問の第5点は再軍備の問題であります。日本の再軍備は、―――――――――――――――――――――――――。(拍手)
これ以外に、何一つとして日本再軍備の理由はない。しかるに政府は、昨年の10月に、国連軍を構成する日本軍の編成についての第1回報告というものを提出したことがないか。また外国から徴兵法の研究を命ぜられたる事実はありませんか。ことに政府は、旧軍人、旧将官、旧大政翼賛会の幹部を含む戦争犯罪人を大量に追放から解除しておる。これらはすべて明らかに再軍備の準備であります。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)
日本人民を―――。ことに吉田内閣に至つては、これは言語道断、国民に何一つの相談もせず、国会にもはからず、――――――――――。
私は事実をあげましよう。久留米の警察予備隊は戦車を持つておる、装甲車を持つておるといわれておる。北海道八戸、久里浜の予備隊は、対戦車砲や迫撃砲の訓練をしておるといわれておる。―――――――――――――――――。これは明らかに陸軍である。これがいわゆる日本人部隊である。現にニユーヨーク・タイムズは、この予備隊を日本の兵力としてはつきり計算しております。総理は、再軍備は軽軽に口にしないなどと言うが、この事実は、事実において、こつそりと日本の再軍備を、ちやんとやつておるのだ。(拍手)
しかも、この予備隊を30万にする計画を持つておるという。
私は総理大臣に質問したい。この予備隊は、ポツダム宣言並びに極東委員会の諸決定に対する完全なる違反であります。またこの――――――――――――――――――――――第3に、この予備隊は、―――――――――――――――。日本の人民には、明らかにこのような軍隊は無用である。(「その通り」、拍手)
われわれは、この予備隊の即時廃止を政府に要求するものであります。(拍手)
昭和26年10月19日 衆議院 平和条約及び日米安全保障条約特別委員会
[173]
日本共産党 米原昶
そこで昨日から芦田委員との論戦の際にも明らかになりましたように、芦田さんが再軍備ということを言われたのに対して、吉田総理は、現在再軍備はやらない、税金が重くかかるからとか、そういう時期になつていないとかいうようなことを言つておる。しかしながら今までの論戦の経過で明らかになつておるのは、実際には吉田総理は何も再軍備を否定しておられない。そして今までのやり方を見ておりますと、事実は警察予備隊という形で軍隊の明らかな準備をしておられる。
警察予備隊自体が、はつきりした軍隊と同じ活動をやつておりますが、その考え方を見ると、この警察予備隊という形で当分やつて行く、そうしないと、再軍備ということになると、国民の反対も多いし、困るというようなことから、ただそれをだますために警察予備隊という形で、そしてこれを中心にして、ここ当分の間は、新しい軍隊の士官ないし下士官を、警察予備隊の形で準備しておいて、そして来年の秋ごろになつてはつきり防衛軍という形を打出して、徴兵をやるというな構想のように見受けられますが、この点について、首相の見解をお尋ねいたします。
昭和27年01月25日 衆議院 本会議
[024]
日本共産党 梨木作次郎
第1に、戦争と再軍備について質問する。吉田総理は、しばしば再軍備はしないと公言した。しかし、これはまつたく国民を愚弄し、瞞着するものである。━━━━と政府との間では、すでに15個師団、31万の陸軍と、5万の海軍創設案が━━━━政府はその第一着手として、昭和27年度から警察予備隊3万5000人の増員、海上予備隊6000人の増員を決定している。これはまさしく日本陸軍、日本海軍の復活ではないか。(拍手)
かかる再軍備が、祖国日本の運命と国民生活に何をもたらすか。平和と独立を与えるという2つの条約の締結が進められつつある陰で、日本全土にわたる軍事基地の急速な増強、建物の接収が実行されている。たとえば北海道では、1951年中に、新しく6500万坪の土地と、8万8000坪の建物が接収されたといわれる。しかも土地は、坪当りわずか7銭で取上げられているという。また全国の海岸11箇所に新たに立入り禁止区域を指定しているではないか。このため漁民は出漁不能となり、さんたんたる状態である。
また産業の軍事的再編、そのための平和産業の崩壊、失業、低賃金、奴隷労働が強制されている。すでに平和産業や商社の倒産は、昨年末現在、全国で300社を数えている。失業者の増大は、今年中に1800万を突破するでありましよう。軍需工場では、━━━監視下に、戦時的、━━的労働が押しつけられている。徴兵令の復活、青年の肉弾化が必然である。再軍備のため、民生安定費、教育費が大幅に削減され、文部省が要求した義務教育国庫負担額580億円のごときは全額削られ、教育の恐るべき破壊と低下が起つている。戦争犠牲者、遺家族に対する援護費は、お灯明代で打切られたではないか。(拍手)地方財政平衡交付金の削減により、地方財政の破綻は収拾しがたいものとなつている。
昭和27年01月29日 参議院 本会議
[020]
日本共産党 岩間正男
そこで私は次の事実を挙げて伺いたい。最近のテレ・プレス通信によりますと、アメリカ空軍参謀次長ローリングス中将は、その下院歳出委員会における日本軍備についての証言で、1953年までに、陸軍30万、海軍5万、空軍10万の増設について語つているのであります。そのことは吉田総理は当然知つていられると思うが、どうでしようか。
あたかもこれと符節を合せるように、大橋国務大臣は23日の記者会見で、「若し予備隊が31万に殖えることになると、現在の4管区隊は5倍の20管区隊となり、その初年度経費だけでも2000億円になる」と語つたことをニュースは伝えておるのであります。又、「国際情勢によつて警察予備隊の海外出動の問題が出たときには、予備隊を軍隊化すると同時に、憲法改正問題も出て来る」と述べているのであります。これらは翌日の記者会見で取消されたようでありまするが、この上げたり下げたりの観測気球により、我々は反対に問題のありどころをますます明瞭にすることができるのであります。
併しこれら予備隊の軍隊化は一体成功するであろうか。何よりもこれを現場の予備隊員に聞いて見るがよいのである。すでに政府答弁でも明らかなように、その退職者は予備隊創設以来1万人に近く、最近の募集難は又深刻を極めております。この事態を知つておればこそ、政府は応募制をやめて徴兵令を準備し、又市町村長の推薦制をとらんとしておるのである。これと呼応して、知事の公選をとりやめて、中央の支配権を強化せんと企らんでおるのであります。紛れもなくこれは東條時代の復活ではないか。戦争屋どもは、今や日本の愛する青少年に目を向けて来た。こうして18歳から24歳までの徴兵が明日の予定に上つておるのであります。この陰謀を身を以て知つておればこそ、日本の愛国青年たちは、「再びわだつみのこゑの悲劇を繰返すな」のかけ声と共に、徴兵反対のため目下全国至る所で起ち上つておるのであります。この悲痛な声が一体吉田総理や閣僚諸君の耳に聞えないのであろうか。この再軍備に伴う体制をどうするか。吉田総理並びに大橋国務大臣のはつきりした答弁を要求するものであります。
昭和27年02月05日 衆議院 本会議
[015]
日本共産党 田中堯平
その中から2、3の例を拾つて見ただけでも、たとえば政令201号は公務員から争議権を剥奪し、また団体等規正令は言論、結社、政治運動等に対して重大なる抑庄を加え、また出入国管理令は他民族に対して理不尽なる弾圧を加え、また政令325号は無数の新聞、機関紙その他刊行物を発禁処分に付し、かつ幾万の愛国者を逮捕、投獄をしたのてあります。そのうち幾100人は、いまなお獄中に呻吟しておるような次第、しかも政府は、この処罰は将来に向つても継続すると言つておるのであります。さらにまた食糧確保臨時措置令は、国会の審議権を無視して農民を今日の窮状に追い込み、また警察予備隊令は、国民、ことに開会中のこの国会を完全に無視して、外国の傭兵的日本再軍備の基礎をつくり、吉田政府は、今日もなお再軍備にあらずと、どこにも適用しない強弁を振りまわしながら、着々としてその拡充強化に狂奔をし、徴兵制度さえも計画しておるではありませんか。
かくして、内には国民を塗炭の苦しみに暗れ、外には世界、ことに東洋の友邦諸民族の疑惑と不信を買つている次第、まことに勅令第542号のその害悪は、数え来れば実に枚挙にいとまがないのであります。
昭和27年02月20日 衆議院 法務委員会
[090]
日本共産党 加藤充
私は思うのだが、その当日渋谷の駅頭には新聞で御承知のように、再軍備になれば徴兵になることは必然で、その被害の対象にされる学生が、聞けわだつみの声を再び繰返してはならないということで、徴兵反対の署名運動をやつていたのであります。
昭和27年02月22日 参議院 文部委員会
[010]
日本共産党 岩間正男
私はここに持つて来ておりませんけれども、これは紛れもない事実でございます。これは紛れもない事実でございますが、これは文相は御存じないということは甚だ私は残念に思うのであります。少くともこれだけのことは、非常に学生に対しては不安と動揺を与えておるのでございます。
飽くまでも平和を守つて、戦争をしないと覚悟をした青年にとりまして、今度警察予備隊、更にその次には徴兵、こういうような段階に刻々と、これはあらゆる国策の面から推し進められておるときに、一体学生たちがこれをじつとして、そうして指導者の命令を聞いて、飽くまで戦争前の学生のように絶対服従というようなことで、正しかろうが正しくなかろうが、権力の前に盲従していることができるとお考えになりますか、どうでございますか。
昭和27年02月23日 衆議院 予算委員会
[277]
日本共産党 林百郎
大橋国務大臣にお聞きしたいのでありますが、あなたのかつての予算委員会における答弁と、昨日の予算委員会の分科会におけるわが党の横田委員の質問に対する増原警察予備隊の隊長の答弁とに重大な食い違いがあるのであります。それは警察予備隊員が2年間の期限が来てやめたいと思うときに、正当な理由がなくしてやめさせるわけには行かない。要するにやめたいという意思に対して、正当の理由があるかいなかによつてこれを阻止する、あるいは許さないということを増原警察予備隊長は言つているのであります。ところがあなたは、この前の本予算委員会における答弁の際には、やめたいという者は自由にやめさせると言つておる。この点は非常に重大な食い違いです。結局警察予備隊の当該の責任者である増原氏は、大体やめさせない、そうして今訓練している者はそのまま続けて訓練させて行く、そうして将来はこれを軍隊に仕上げて、肉弾の準備にして行こうということを言外に含めておるのであります。この点について、目下警察予備隊員である者は、むしろもう警察予備隊員をやめたがつている。早く6万なり幾らなりの退職金をもつて、こんな危険な将来軍隊になるようなところはやめたいという希望をみんな持つている。これに対して当該の最高責任者は正当な理由がなければやめさせないと言つておる。憲法の職業保障に対する重大なる侵害であります。これに対してあなたはどういう考えを持つているか、このことが1つ。
もう1つは、この前あなたは予算委員会で私の質問に対して、警察予備隊員の希望者が非常に多い。多過ぎてだれを選抜していいかわからないで困るから、市町村の推薦制をとると言いましたけれども、実際は第一次募集と第二次募集とを比較してみて、非常に激減している。従つてこの激減している募集に応募させるには、将来アメリカがやつておる選抜徴兵制をとるということが伝えられておるのであります。この点について、警察予備隊は非常に応募者が少くなつている。これに対して将来選抜あるいは徴兵というような制度をとることを考ているかどうか、これは農村の次男、三男あるいは学生諸君にとつては、将来再び徴兵制がしかれるかどうかということについては、重大な関心を持つているのであります。もしあなたが徴兵制というような強制的な制度は絶対にとらないというなら、それをこの場ではつきり言明してもらいたいのであります。
[278]
国務大臣 大橋武夫
第1の御質問はおそらく今年の秋、2年の期限が切れた際に警察予備隊に現在おります諸君がやめたいという者はその希望によつてやめることができるかできないか、この問題に関連して私と増原長官とのお答えが食い違つている、こういうことだと存じますが、国会におきます答弁は原則といたしまして国務大臣がやらなければならないので、政府委員として私と十分打合せがなかつたので、あるいは私と違つた答弁に聞えたかもしれませんが、この点はこの間私の申し上げた通りに処置をいたしたいと考えております。
それから第2の点でございますが、徴兵をやるか、やらないかという御質問でございます。これは軍隊ではございませんので、私どもは徴兵義務というようなものは初めから考えておりませんが、この募集につきましては、あくまでも志願募集、自由募集という制度でやつて参りたい、こう考えております。
昭和27年02月26日 衆議院 地方行政委員会
[011]
日本共産党 立花敏男
あるいはまた最近起つております学生と警官隊との衝突、この問題なども非常に明白でございまして一方的な押しつけによりまして日本の再軍備を強行し、そのために青年を再び徴兵しようとしておるのでありますが、このことは東大あるいは各公立大学等には、すでに学生一人々々に予備隊の志願書が配られておりまして、あるいは東大の構内に参りますと、掲示板に予備隊の幹部候補生の募集がやはりはつきりと出ておるわけであります。こういう形で日本のすべての若い学生が憲法に従いまして、われわれは再び兵隊にならないのだ、戦争はやらないのだという決意を固めておる。
目の前でこういう形で政府みずからが予備隊にひつぱり込もうとしておる。しかもひつぱり込まれます予備隊は、この間増原長官が言明されましたように、これは一旦入ればやめることはできないのだ。自由退職を認めないのだというような、まつたく強制的な明らかにかつての東條時代の軍隊の強制的な徴兵と同じ形なんです。こういうものに対しまして、やはり労働者、学生が立ち上つて反対するのは当然だと思うのです。これに対しまして渋谷の場合のように、あるいは東大の学生の集会に、警官がスパイとして潜入しておつたというような事実のように、まつたくめちやくちやな弾圧をやつておると思う。これに対しましてやはり学生は自分たちの当然の要求を貫徹するために、甘んじてこういうような武装解除を受ける意思のないことは明白だと思います。
しかもわれわれ聞くところによりますと、日本の予備隊が持つておりますバズーカ砲は、決して戦車に対して発砲されるバズーカ砲でなしに、群衆に対して発砲される、対群衆用のバズーカ砲であるということを聞いております。最近関係方面が日本の工場に発注したと伝えられます迫撃砲も、決してこれはほかの国に持つて行つて使うのではなしに、日本内地において、日本の群衆に対して用いられようとする迫撃砲であるという情報も伝わつておりまして、人民を弾圧する、国民を弾圧するところの警察、あるいは警察予備隊がピストルを持ち、機関銃を持ち、あるいは対群衆用のハズーカ砲を持ち、迫撃砲を用意しつつある。
こういう状態のもとにおいて、国民のみに対しましては4寸5分のナイフを持つてもこれは取締るのだということは、いかに現在の日本に行われておりますところの国民弾圧の形が、まつたく残忍なものであるかということがわかると思う。国民には4寸5分のナイフを持たせない。しかし自分たちはまさかのときに国民一挙に数100人を葬るところのバズーカ砲を持ち、迫撃砲を持つておる。こういうことでは国民がおそらく納得しないと思います。こういう形が日本に出て参りますのも、これはまつたく世界的に見まして当然のことじやないかと実は思うのです。
昭和27年02月27日 衆議院 本会議
[045]
日本社会党(社会民主党) 田中織之進
次に、われわれの本軍事予算に反対をする理由を申し述べます。
まず第1の理由といたしまして、この予算案は、日本国民に傭兵的再軍備を強制するものであるということであります。この予算には、御承知のように、警察費186億とは別に、警察予備隊の経費540億、海上保安庁の強化費70億、計610億のほかに、26年度より警察予備隊の経費30億を繰越しておるのでありまして、事実上の再軍備費が計上されているものであります。
政府並びに保守勢力は、予備隊は軍隊ではなく、国内治安のためのものにすぎないとして、国民を欺瞞いたしておりまするが、内外の世論は、警察予備隊がすでにアメリカ軍の指揮下にある軍隊であるということを完全に認めております。また実際に、その師団編制と装備等、すべてにおいて日本国民の財政負担による傭兵軍であることは、事実となつて現われておるのであります。しかも、最近の諸情勢においては、政府みずから、10月よりこれを保安隊に切りかえ、兵員は7万5000より11万に、さらに来年には30万へと増員をし、予備役召集制度あるいは選抜徴兵制度の採用さえ言明しているのでありまして、これは明らかに平和憲法に違反するものであります。
昭和27年02月28日 衆議院 地方行政委員会
[052]
日本共産党 立花敏男
ついでだから私聞いておきますが、この間大橋国務相は、この委員会で警察予備隊の事務局は、市町村長に対して予備隊の募集の割当をすることを調査研究しておると言われております。また一昨日あたりから国会でも、法務委員会に住民登録法の施行の何が出て来ております。こういう形で、おそらく強制的な徴兵が市町村に責任を負わされまして行われるだろうと思うのでございますが、またそうせざるを得ない客観情勢にあると思うのですが、この場合に地方自治体は、その責任を負う義務があるとお考えになつているかどうか。
またこれに対して徴兵の拒否の運動が、地方住民の中に起りました場合に、これに対してどういうふうな措置をおとりになるお考えか、自治庁としてはこの問題は自分の管轄しておる自治体に起つて来る重大な問題なんで、当然お考えなり何なりをお持ちだと思うのですが、それをひとつ聞かしておいていただきたい。
[053]
政府委員(総理府事務官(地方自治庁次長)) 鈴木俊一
この問題に関しましては、まだ何も関係行政機関から連絡を聞いておりませんので、どういうような構想で、どういうことを進めようとしておるのかわからない、従つて意見を申し上げるわけにいかぬのであります。
[054]
日本共産党 立花敏男
さつきも言いましたように、大橋さんは、少く見積つても6万人の徴兵をことしやらなければいかぬ。――全国1万の町村といたしまして、大体6人当りなんですが、これは実質的にもつとふえると思います。1町村で10名から10数名の者が、この自由意思によつて退職できないところの予備隊に編入されて行く。これを地方自治体が責任を持たなければいけない。こういう調査が政府の一方で行われておる。
それに対して自治庁は、何ら通告を受けていないから何の意見もないということでは、これはまつたくさつきの問題と同じように、自治庁の運営の上で大問題だと思う。私どもこれは必ず地方自治体の大きな問題に転化されて行くのではないか、これは当然根本的な対策が立てられなければいけないと思うのですが、何らその持合せがないということは、やはり徴兵制度に対して何ら関心をお持ちになつていない、住民が幾らとられて行つても、これはやむを得ないのだというような態度をおとりになつていると見るよりしかたがないと思います。
これに関連してお尋ねいたしますが、現在でも東京で徴兵反対の運動が学生のうちに大きく起つております。地方にもこれは当然起つて来るだろうと思う。この場合に自治庁がこれに対してどういう態度をもつて臨むのか。やはり公安条例を発動いたしまして、地方住民の徴兵拒否運動に弾圧を加えるお考えがあるのかどうか、これを伺つておきたい。京都条例を全国的に一本化いたしまして、反動的な弾圧方法をつくり上げようというお考えがあるのですが、徴兵拒否運動の弾圧と関連いたしまして、公安条例に対してどういう見通しをお持ちになつておるのか、これもあわせてお聞きしたい。
[055]
政府委員(総理府事務官(地方自治庁次長)) 鈴木俊一
徴兵忌避についての運動と、公安条例との関係についてのお尋ねでありますが、公安条例はそれぞれ適法なる手続を経て、それぞれの団体において成立したものでございますから、その条例が存します限り、その条例に従つて定められたる行政機関が、その条例を執行し運用して参るというのが、執行機関としては当然の責務でありまして、公安条例自体についての可否はともかくといたしまして、それがありまする以上は、自治体の執行機関はそれに従つて、事のいかんにかかわらず、条例の命ずるところに従つて行為するというのが、当然の筋であろうと思います。
[056]
日本共産党 立花敏男
徴兵の拒否を地方住民が行いました場合、あるいは市町村長が割当てられました徴兵の推薦を拒否した場合、あるいは地方議会がそれを拒否した場合に、自治庁としてはそれに対する対策をどういうふうにお考えになつておるか、この答弁がありませんでしたので聞かしていただきたい。
[057]
政府委員(総理府事務官(地方自治庁次長)) 鈴木俊一
そのお話も、どうも仮定的な要素が非常に多いようでございまして、ちよつとお答え申し上げるわけには参りません。
昭和27年03月06日 参議院 予算委員会
[126]
内閣総理大臣・外務大臣 吉田茂
お答えを申上げます。現在の状態が特にというわけではありませんが、国内の治安状況は、結局国外の各種の状況によつて自然影響を受けるであろうとも考えられます。そこで国外の事情はどうかと申すというと、或いは第三次世界戦争の空気が緩和されたと言い、緩和されないと言うが、いずれにしても、国外において共産主義勢力の拍動については、各国共に決しておろそかにできないという空気のあることは、これはたしかであろうと思います。又国連における、或いはヨーロツパ等における防衛問題等にもめぐつてみて、かなり苛烈な争いが生じている。或いは又論争が闘わされているということも最近のことであります。
又そうでありますか、どうでありますか知りませんけれども、各種のいろいろなデモが、三・一事件でありまするとか、或いは朝鮮の記念日等を期日としていろいろなデモが起り、或いは又その他の期日を目標として或る運動が、デモが計画されているというような、これは噂でありましようが、噂と共に事実デモが起つており、これを又各地において多少の騒擾が行われたことが事実あります。
故に国としては、政府としては治安に対して万全の策を講じなければならないので、警察予備隊の強化も考えております。併しこれは国力或いは財力と言いますか、それらの方面からも考えなければならず、又最近のように、或いは警察力が軍備なりと言い、或いは警察隊が軍備であるとか、予備隊が軍備であるとか、或いは徴兵制度を布きもしないのに、これに対して反対の運動が……学生が反対の運動をなすとか、いろいろな動きがありまして、これなども政府当局としては考えに入れなければならんのであります。
いずれにしましても、治安の問題は、日本国民の国力を以て、国民みずからの力を以て守るという原則は、この点においては国民がその注意を集中しなければならんと思いますが、この点に対して多少近来遅緩しているような、或いは神経が萎ましておるような嫌いもないとも言えないと思うのであります。国内の状況は決して今の状態は治安のほうから言つてみて安心ができる状態とは考えないのであります。いずれにしても治安維持のためにすべての力を尽し、すべての施設を生かして、そうして万々遺漏なきことを期したいと政府は考えております。何せ安全保障条約の結果ではないのであつて、先ず日本国の治安は日本国の手によつて一応、或いは日本政府の手によつて一応確保することにいたしたいと思つて、その万全の策を講じております。
昭和27年03月19日 参議院 本会議
[011]
内閣総理大臣・外務大臣 吉田茂
お答えをいたします。
平和主義に徹するか徹しないかということは、これはここに私が再言するまでもなく、これは当然のことでございます。憲法にもその趣旨は明瞭に書いてあるのであります。然らば(「首相としての答弁ではないぞ」と呼ぶ者あり)防衛力漸増によつて徴兵制度を布くか、或いは、いつの日にかに防衛力が戦力に移行するというようなことがありはしないか、或いは又外国に警察予備隊等を派遣することがないかというお尋ねでありますが、これはしばしば申しております通り、徴兵制度は布く考えはないのであります。再軍備は未だ考えておりません。又防衛力をいつの日にかに戦力になす、これは、再軍備をしない以上は、いつの日にかに戦力に移行することは断じてないはずであります。又外国に日本の予備隊等を派遣するということは、これはしばしば申しておる通り、政府としては考えておりません。そういうことはいたしません。又警察国家にするのであろう、これは警察国家にする考えは毛頭ないのであります。ないために今日警察機構等については十分検討を加えております。(「ちよつとおかしい」と呼ぶ者あり)
国民の安定或いは国の安定が第一である、その通りであります。併しながら今日は、往々にして安定を害するような、政府の所言或いは事実を曲げて国民の安定を害するような議論をいたしておることを私は遺憾といたします。
昭和27年03月22日 参議院 予算委員会
[153]
日本社会党(社会民主党) 山下義信
警察予備隊員の募集方法は決定いたしましたか。新聞の伝うるところによりますと、市町村長に尽力させるというようなことが伝えられておりまするが、果して事実でございましようか。
この種の募集方法は他日徴兵制度に似たような形になり、それに移行するような嫌いがあると考えられますが、警察予備隊員募集方法につきましての政府の対策を承わりたいと思います。
[154]
国務大臣 大橋武夫
昭和27年度中におきまして3万5000人の増員並びに欠員の補充といたしましてそのほかに約2万程度の募集を必要とすることに相成つておりますが、この募集は従前通り、志願募集によることに決定をいたしておるのでございます。
但し多数の応募者もあることでありまするので、一昨年の募集に際しましては、特に国家地方警察において募集事務を全部引受けてもらうということにいたしたのでございまするが、今回は都道府県、市町村において募集事務の一部を引受けて頂く方法が適当であると考えておるのでございます。この都道府県、市町村に募集事務の一部を委託するということは、決してその都道府県なり、或いは市町村に対しまして採用すべき人員を割当てる、そうして公的機関のいろいろな措置によつて応募者を駆り出すというような意味は毫も含んでおるものではありません。
飽くまでも志願募集によつて必要な人員を充足いたすつもりでございますが、何分にも多数の募集をいたすことでございますので、応募者も多数あります。これらの者に対しまして、必要なる身体検査或いは学力試験、人物考査、こうしたことをいたしまするので警察予備隊の固有の陣容を以ていたしましては、これらの必要なる事務を完全に処理する能力がないわけでございまするから、その必要な費用を国庫が負担いたしまして、そうした事務の一部であつて、地方団体において引受けて頂くことが適当であると認められる仕事を、都道府県なり、市町村なりに委託をする、こういうわけでございます。もとよりこの事務の委託につきましては法律の根拠を必要といたしまするので、現在法律案を準備いたしておる次第でございます。
併し如何なる意味においても、割当をする、或いは市町村長において応募者を或る程度引受けさせるというような意味を持つものではないのでございまして、徴兵制度にまがうということは絶対にないと、こう確信いたしております。
昭和27年03月25日 参議院 本会議
[035]
日本共産党 兼岩傳一
第5に、最後に本協定は非常大権をアメリカに売り渡しており、これを規定する第24条こそ本協定の最大眼目である。本協定は、この条項によつて、現に朝鮮、台湾に出兵しておるアメリカ軍の作戦を既成事実として合法化し、日本を挙げてこれに協力させ、これによつて日本を大戦争に駆り立てる。なぜなら、この協定は「日本区域」の範囲を明らかにしていないし、敵対行為の内容を明らかにしていないから、若し不幸にして朝鮮の休戦会談が決裂して、アメリカ軍が朝鮮半島から追い出されて、壱岐、対馬に退却する場合、或いは台湾のアメリカ艦隊が沖縄基地に退却する場合には、「敵対行為の急迫した脅威」と認定される虞れがある。且つ24条で規定しておる「共同措置」の内容は明らかにされておらぬから、アメリカ軍が朝鮮、台湾から追い出されて、なお戦争を継続する場合、日本の警察予備隊はもとより、日本国民が根こそぎ動員されることにならないという如何なる保障もない。従つて原爆を以て満州爆撃が行われた場合、日本人が大戦争に巻き込まれることは、今本協定を拒否しない以上絶対に避けられないのである。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)
日本の再軍備、国民の徴兵と動員、日本の戦場化を前提とし、(「話が違う、話が」と呼ぶ者あり)日本全土を基地化し、アメリカ軍とアメリカ人にあらゆる特権を与え、日本国民の反抗をことごとく弾圧し、戦争参加を決定する非常大権をアメリカに売渡すところの本協定が国会の審議にすらかけられないということは、まさに民族の悲劇とも言うべき不幸であり、国会の権威を地に落し、国会議員を「かかし」同然に堕落させる。
昭和27年03月26日 衆議院 法務委員会
[036]
日本共産党 加藤充
住民登録法案が上程されましたときには、私どもは委員会においても本会議においても反対の意見を述べておいたのであります。本法案はその施行法ということになつておるのであります。従いまして表面から見るといまさら何をか言わんやの感なきにしもあらざるがごとく見える。しかし本法案の意図するものは、わが党があの際に指摘した通りのものだということがはつきり出て来たと思うのであります。その点の指摘をいたして、本法案の反対の意見とするものであります。
(中略)
本法案の基本法でありました住民登録法は、昨年の3月31日に本会議を通過しました。以上の背景のもとに住民登録法が誕生し、そして本年の7月1日からの施行期日がきめられ、そしてそれに基く本施行法がここに姿を出して来る。私はそういうような歴史的な沿革と内容を考えますときに、本法案は軍事的徴兵、徴用の法律である、憲法に違反する法律であると考えるものであります。
昭和27年03月27日 衆議院 議院運営委員会
[024]
日本共産党 梨木作次郎
警察予備隊を18万人に増強するということが新聞で報道されております。昨日参議院で、この問題に関して質問をなされておりますが、政府の答弁はきわめてあいまいであります。さらに新聞の報ずるところによりますと、この問題に関連して、司令部との間に、首相その他の治安関係の閣僚が面接したというようにも伝えられております。
これを18万人に増強することになりますれば、当然これは強制徴兵といいますか、そういう問題も自然に生じて来るし、非常に重大な問題だと思います。再軍備の問題にも関連いたしまして、きわめて重大であり、非常に大きな関心を持つておりますので、これについての政府の見解をぜひともただしておかなければならぬと存じまして、この緊急質問を出したのであります。
昭和27年03月27日 衆議院 本会議
[022]
日本共産党 加藤充
日本共産党は、住民登録法施行法案に対しまして、戦争を憎み、平和を愛する国民とともに絶対反対するばかりでなく、どうしてもこれを粉碎せねばならないという考えを持つものであります。住民登録法は、現行の寄留制度と世帯台帳とを統合して、その欠陥を補足し、徴税、選挙、教育、生活保護、統計、住民の居住関係その他各種行政事務の適正確実な処理を目的にしておる。調査員は、申告が事実に反すると思えば、いくらでも質問を続け、文書その他の提出を命ずることができまするし、これに従わない者は5万円以下の罰金が課せられることになつているのであります。そうして、法務総裁はこの調査に対する勧告助言ができるし、国はまた国で地方行政機関に対し、また都道府県の知事は市町村に対して住民票の記載事項に関する報告を提出させる仕組みになつておるのであります。
わが党は、この法律が人権蹂躙であり、憲法違反であり、日本の植民地化と日本人の隷属化を促進するものである、国民監視のスパイ法であり、日本人の首に番号札をつけさせ、徴用、徴兵するための屈辱的戦争法であることを指摘いたしまして、住民登録法が提案されて以来強く反対して参つたのであります。諸君、その後約半箇年間の事態の発展は、まさしくわが党のこの指摘が正しかつたことを証明しております。
(中略)
諸君、わが国の経済的総力はあげて米国の下請軍事工場化され、わが国の国民はあげて米国の戦争のため徴用され、徴兵されねばならないことは、今日あまりにも明らか過ぎる事実ではありますまいか。サンフランシスコ条約や日米行政協定は、わが民族の歴史に一大汚点を残しました。これに反発して低賃金、低米価反対、戦争に使う税金反対、売国吉田内閣打倒と、独立と平和を確立するための、売国奴を除く民族解放民主連合政府の樹立など、各種各様の国民的愛国運動の起きることは、今や必然の情勢である。これに対して、吉田政府は、特別保安法の制定、労働関係法の改悪、特高警察の復活などを策し、恥知らずにも―――――――――――――――を企てております。全面的、強制的、刑罰を背景とした戸口調査を敢行する住民登録法とその実施法が、いかなる意図を持つているかは明らかではありませんか。
(中略)
われわれは、地方の行政機関を戦争行政の下請機関になりおわせ、本来の自治行政を放棄させ、押しつぶす本法案に断固反対しなければならないものであります。
反対するばかりでなく、断固この徴兵と徴用と国家総動員の基礎になる本法案の施行をどうしても粉砕しなければならないと考えているものであります。
以上が、わが党が本法案に反対する理由の大略であります。(拍手)
昭和27年03月31日 衆議院 地方行政委員会
[161]
日本共産党 立花敏男
そういうことを答弁されると思つておつたのです。地方財政法によりますと、閣議に問題を出す5日前に、地方財政委員会に相談しなければならない、地方財政委員会に相談したものを、やはり閣議で決定するということになつておりまして、岡野国務大臣が、午前中の答弁のように、この問題を何ら知らないということは、非常にこれは不見識だと思うのです。今まで警察予備隊の方に来ていただいて審議いたしました過程におきましても、重大な問題が出て来ておりますし、法案自体につきましても、今門司君が問題にしましたように、地方自治の侵害になるようなことが出て来ております。
あるいは地方住民に対しまして、強制的に募集するような、あるいは協力を要求するような問題もありまして、非常に重大なんです。今まで国から地方に委任しております事務はたくさんありますが、その中でもこれは特に重大な委任事務でありますし、しかもさいぜんから徴兵ではないと言つておられますが、古い形の徴兵ではないが、新しい形の徴兵であることは明かである。
こういう問題を大臣は何ら知らない、主管大臣に聞いてくれということでは、大臣の責任は尽されていないと思うのです。ただ単に職制上地方財政委員会の長官ではないということだけでは、弁解できるものではないと思うのですが、その点について御説明を願いたい。
昭和27年04月03日 衆議院 本会議
[015]
日本社会党(社会民主党) 門司亮
私は、ただいま上程されておりまする警察予備隊令の一部を改正する等の法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意思表示をするものであります。
(中略)
次に、本法案の内容の1つになつておりまする、市町村長に対する、いわゆる行政の執行に対してその権限を委託することによつて、これが非常に大きな疑惑を持つ1つの問題であるということであります。すなわち、この問題は、おそらく政府の意図は、地方自治法の150条に規定いたしておりまする、普通地方公共団体の長が国の機関として処理する行政事務につきましては、都道府県においては主務大臣、市町村においては都道府県知事及び主務大臣の指揮監督を受けるという、この条項をたてにとつて挿入されたものであると私は考えるのであります。問題はここに存しておりまして、自治法の150条には、国の機関として処理する行政事務とあります。すなわち、当然市町村長の権限に委讓された内部において処理し得るものが、初めてこうした条件に適合するのであります。しかるに、警察予備隊の募集は、何ら地方自治体の長がこれを処理し得るものではございません。従つて、この制度は、明らかに地方公共団体の長、いわゆる市町村長並びに都道府県知事に選抜徴兵の義務を無理に押しつけるものであると断定いたしましても、決して私は過言でないと思うのであります。われわれは、かくのごとき徴兵制度を再び日本にしこうとする前提条件であるがごとき危険性を持つておりまする法案の内容に対しましても、反対の意思を強く表明しなければならないのであります。
次に問題になりまするのは、かくして募集されて参りましたものが、先ほどから申し上げておりまするように、戦力でないとは、たれも言えないということである。諧謔的に申し上げまするならば、吉田総理大臣は、おたまじやくしは、かえるではない、何に化けるかわからぬと言つておりまするが、おたまじやくしが、かつて、いもりに化けた例はございますまい。われわれは、この戦力への移行としての第一歩が、この選抜徴兵制度の面に強く現われて来ておるということを申し上げても、決して過言ではないと思うのであります。
[017]
日本共産党 今野武雄
次に、このような軍隊が何のために今度増強されるか、この点も、われわれとしては見のがすことのできないものであります。今度の行政協定の24条にもありますように、日本の安全に対して危急な非常事態が生じた場合には両者で話合いをするといわれておりますが、一体日本の安全にとつて危急の事態とは、いかなる事態であるか。現に極東空軍は、あの横田その他から、毎日々々朝鮮爆撃に出かけている。そうしてまた、朝鮮に細菌をばらまいている。あの極東空軍は、現に日本防衛空軍と名前をかえられておる。すなわち、あの朝鮮の戦争こそ、日本防衛のための戦争であるといわれておるのです。このために両者で話し合う。その話合いによつては、この警察予備隊を朝鮮に使うことができる。そうして、現に朝鮮で使つておるという幾多の確証があげられておるのであります。それゆえに、この軍隊は決して日本の国民の軍隊ではない。アメリカの――であり、しかもアメリカがアジアを――するための――であるということが、はつきり言えるわけであります。
従つて、この警察予備隊の問題、徴兵の問題については、国民の反対の声、これはおそらく自由党の諸君の心をも打つておるに違いない。諸君のむすこさんだつて兵隊にとられるのがいやに違いない。にもかかわらず、この徴兵反対の運動に対しては、武装警官がただちに出動して、そしてこれを弾圧する。東京でも、名古屋でも、その他全国各地において徴兵反対の運動が起つておりますが、これに対しては、アメリカの命令によつて、日本のまつたく自主性のない警察力が発動されておる。
このような軍隊を一体どういうふうにして募集しようとするのか。現に、現在の警察予備隊員の中でも、9月以後継続して勤めようとする者は少いということを、政府みずから認めております。それから募集の成績も、初めから見ると、だんだんと落ちて来ている、こういうことを認めております。そこで、どういう原因でこの募集の成績が上らなくなつておるかということを政府に聞きましたところ、それは失業者が少くなつたせいであううか、あるいは農村の過剰人口が少くなつたせいであろうかというような、ばかな答弁を政府委員はして、みずからの意図を暴露している。つまり、政府は予備隊をふやすためには、どうしても失業者をたくさんつくらなければならない。パンパンをふやすためにも、それは失業者をふやさなければならない。どちらにせよ、失業者をたくさんふやさなければ、こういうパンパン的な軍隊はできないわけである。そういう政策をまずとつておる。それでも足りないで、今度の法案では、はつきりと強制的な徴兵制の第一歩を踏み出そうとしておるわけであります。
この徴兵制度は、総理大臣が知事や市町村長を指揮監督してやるようになつております。この指揮監督の内容について質問いたしましたところ、大橋国務大臣は、これをぼやかしている。いや、これはポスターを張らせるだけであると言つておる。ところが、事務当局は、地方行政委員会において、はつきりと、もしも、あるところが多く、あるところが足りない場合には、足りないところを督励して、そしてこの人員を出させることを指揮監督というのだということを申しております。そうしてみれば、これは決して自由意思に基く志願などではとうていあり得ないのであります。ちようど、あの所得税、自分々々の所得に基いて申告すべき所得税が、実は上からの割当数字によつて、かつてに更正決定される。ああいう所得税と同じような悲惨な状態――税金をとるのにトラツクが出動しなければならない。こんな徴税があるか。それと同じように、人間狩りをしなければ徴兵ができない。そのような事態が待つておるのであります。そのようなフアツショ的なやり方をやつて、アメリカ帝国主義にサービスする吉田内閣に対しては、われわれは断固として、これこそ国民の敵であると宣言せざるを得ないわけであります。(拍手)
昭和27年04月14日 参議院 本会議
[020]
日本共産党 兼岩傳一
私は日本共産党を代表しまして、先ず第一に吉田総理大臣に質したい。(「いないよ」と呼ぶ者あり)
政府は法案の名称を破壊活動防止と名付けておる。然らば破壊とは何か。破壊活動の最大なるものはまさに戦争ではないか。(「そうだそうだ」「これ以上の破壊があるか」と呼ぶ者あり)
政府はその戦争を準備するため、すでに行政協定によつて具体的に着々とアメリカのアジア━━の戦争政策に協力しておることは全国民の知つておるところである。(「その通り」と呼ぶ者あり)
そのために、国会においても、先ほどの予算のときには説明をいろいろとごまかして通つたが、併しながら今や警察予備隊を秋までに18万にしなければならないところに追い詰められておるということは、避けるべからざる情勢ではないか。(「そうだ、その通りだ」と呼ぶ者あり、笑声)
即ち吉田政府の、このようにして戦争へ戦争へと日本国民を導いて行く、この政策に対して、国民は、例えばB29が一つ落ちて来た場合においても、その破壊が如何に大きいかを知つておる。第二次大戦における日本の受けた破壊活動を申すまでもありません。従つて、破壊活動防止法案なるものは、実は国民に何一つ不平を言うことを許さないで、アメリカの言うなりになつて、すべての日本人を戦争準備に協力させ、あらゆる国土をアメリカの軍事基地に提供し、壮丁を徴兵し、これを戦争に引摺り込むこの一連の吉田政府の暴力的な破壊的な政策、これらの集中的な表現が破壊活動防止法案であることは、今や全く明らかであります。(「でたらめ言うな」「まじめに聞け」と呼ぶ者あり)
この暴政に対し、国民の戦争反対、平和擁護の運動、これこそが日本の独立と自由を守る平和的な建設的な民族運動である。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)
若し真に政府が日本の国土と人民の破壊を防止せんとするならば、顔を洗つて出直してもらつて、(笑声)戦争防止法案を提出すべきであると思うが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)吉田総理大臣の見解はどうか。戦争防止法案を出さずして真に日本の破壊を防ぐことはできないと考えるが、博識なる木村法務総裁の見解はどうか。(「答弁々々」「答弁無用だ」と呼ぶ者あり)
昭和27年04月17日 衆議院 本会議
[016]
日本共産党 田代文久
また、先日国会を通過をいたしましたる警察予備隊令の一部を改正する法令によりましても、すでに徴兵令を実施するその前提に立つておるのである。
日本の青年は、またもや戦場にかり立たされる、どたんばに来ておるのであり、立川におきましては、すでに灯火管制が実施され、その演習を見、福岡の杉本県知事は、最近福岡県下におきまして、灯火管制、防火訓練の計画を発表いたしております。
昭和27年05月10日 衆議院 法務委員会
[127]
日本共産党 田中堯平
もう一つ、二つですからぜひとも聞いていただきたい。今やはり日本で政府は再軍備はやつておらぬと言つているけれども、これは政府委員諸君もまさか日本が再軍備への過程を歩いておらぬなどとはお考えでありますまい。どんどんアメリカのための再軍備をやつている。しかも今では警察予備隊という形であるが、これへの応募者さえも、もう一般の輿論が再軍備反対、兵隊はいやだ、アメリカの肉弾に供せられるのはごめんだという考えが徹底しております関係上、徴兵反対という運動が起きております。徴兵反対は飛躍し過ぎるようであるけれども、実は政府の意図がいろいろな方面から伝えられている。すなわちアメリカの選抜徴兵制なるものをしこうとしているということも伝えられている。
すなわち純然たる徴兵制度、あの軍国主義時代の徴兵制度というものを復活するわけにはどうもぐあいが悪いので、そこで形は自由応募という形をとりながら、実は政府は各地方団体の長に対してお前の村は10人ほど人を出せ、お前の県では2万人出せというふうに人の割当をして来る。それでもつてその村なり県なりは責任を持つて出さなければならぬ。そうするとそこの区域の壮丁に対して、お前はひとつ警察予備隊――今度は保安隊かもしらぬが、保安隊に入隊希望書を出せというので、勧誘という形ではあるが実は半強制的な方法で兵隊を募る。警察予備隊員も募るということがまあ行われようとしているというふうに流布されております。おそらくはこれは真相だろうと思う。単なるデマではないと思う。そういうふうな過程は、必ず今度は実現して来ると思う。
そこで国民は命の問題であるので真剣になつて、ことに学徒及び青年は今実に真剣になつて徴兵反対、再軍備反対、戦争反対アメリカ帝国主義逃げてくれというので熾烈なる運動を起しております。学生の運動を非常に政府の諸君は軽く評価されているかもしれませんが、私どもの見るところではこの問題にも関連して非常に重大なる意味を持つていると思います。
そこでそういうふうな徴兵反対、戦争反対というような機運が起つている。その種の催しがあつちでもこつちでも催される。しよつちゆう演説がぶたれる。
昭和27年05月12日 参議院 本会議
[071]
日本共産党 岩間正男
学園の現実を見て御覧なさい。事実教育予算は大幅に削られている。大学の研究は名目のみで一向にその内容が充実せず、教授、学生の多くは講和後の今日もなお依然としてアルバイトを続けている現状である。而も再軍備は強行され軍事費の圧迫はますます教育の正常な運営をさえ困難ならしめているのであります。而もこれら基礎的な予算の獲得には殆んど無力にひとしいところの天野文相は、口を開けば金のかからない道義の高揚、国民実践要領、君が代と修身、漢文復活等々に憂身をやつして軍国調を奏でているのである。
そうしてこうしたちんどん屋的政治が繰返されている間に、学園の前途には今大きな穴が待ちかまえているのである。それはほかならない再軍備、徴兵等一連の戦争政策であります。
これが又青少年学徒たちをその渦中に巻き込まんとする戦争の恐怖は消そうとしても消すことのできない悪夢であります。青少年たちにとつては悪夢であります。これら最近の青少年の絶望にも似たる不安について、天野文相は親しく青少年の間に身を置きその心理に立ち入つて考えたことがあるかどうか私は伺いたい。
昭和27年05月13日 衆議院 地方行政委員会
[042]
日本共産党 立花敏男
そのほかに問題とすべきは、さいぜんも申しましたところの、これから行政協定に基いて当然予想されますところの、いろいろな日本の再軍備事務の地方への強制、具体的に申しますと、徴兵事務の地方への強制、あるいは防空事務の地方への強制、あるいは軍事土木事務の地方への強制、こういうものが当然至上命令として中央から地方の自治体に押しつけられなければならない情勢にありますので、これを確保いたしますために、中央で決定いたしました一定の企画のこういう行政事務を、当然地方がやらなければいけないという勧告権を、今度の改正案で規定しておるわけなんです。
しかもそれをやらない場合は平衡交付金をとりもどすというような、まつたく言語道断な決定をやつておるわけです。これは明らかにこの改正法案が国民を弾圧するためのもので、あるいは再軍備事務を地方に強制いたしまして、再軍備を強行する、この2つの意図から出ておることは明白だと思うのです。集中的に申しますと、行政協定を促進いたしますために、この改正法案を出して来ておるということは明白だと思いますので、共産党といたしましては、もちろん反対であります。
昭和27年05月14日 衆議院 内閣委員会
[094]
日本共産党 木村榮
これはまあ聞いたつて御答弁なさらないでしようが、このごろ各村をまわつてみますと、また徴兵検査みたようなことをやらなければならないので兵事係を置かなければならないというようなことを言つておる。このことが今のようなことと関連しておることではないかと思うのです。
ところで保安隊といえば軍隊だということは、何人も大体認識しておるという時代に現在なつて来ておりまして、再軍備反対とか徴兵反対とかいう気持が非常に大きく出ておるのですが、そうした情勢の中でそういつたことが円滑に行くと岡野国務大臣はお考えでございましようか。大橋国務大臣は円滑に行くと思つたからやつたのだと思いますが、今度は立場をかえて岡野さんの方ではそういう点がうまく行くかどうかお考えになつたことがあるか、御答弁を願いたいと思います。
[095]
国務大臣(地方自治庁長官) 岡野清豪
ちよつと私予想がつきませんが、都道府県知事に委託して、元の徴兵ではなくて志願募集をして志願者を受付け、その志願者を中央に伝達するというような仕事は、都道府県知事とし、また市町村長としてもできると私は思います。
昭和27年05月15日 参議院 内閣委員会
[073]
日本社会党(社会民主党) 上條愛一
私も本案に反対をいたしたいと思います。その理由は、国内治安の確保は勿論必要なことは申すまでもないことでありまして、これについては主として警察力の増強ということを中心にして考うべきものであると考えるのでありまするが、警察予備隊を3万5000名増強して、而もその性格、任務というものが戦カ的の色彩濃厚なるものでありまするので、殊に私は保安庁が設置せられますることになりますれば、保安庁の機構内容を検討しなければならないと思いまするが、明らかにこれは警察予備隊の戦力に移行する第一歩であると考えられるのでありまして、従つて憲法第9条に抵触するものであると考えまするので、それが反対の理由の第一であります。
なお、この募集条項に見ましても、相当府県、市町村方面に総理大臣の指揮、監督によりまして募集が行われるようになつておりまして、これは将来徴兵制度の前提たる感が強いと思われるのであります。以上の理由によりまして本案に反対いたします。
昭和27年05月16日 参議院 本会議
[022]
日本社会党(社会民主党) 中田吉雄
第2番目には、新たなる徴兵制度であるという点であります。この第8条の2におきましては、この募集の事務の一部を、都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところによつて、内閣総理大臣の指揮監督を受けまして、警察予備隊の警察官を募集するという規定になつているわけであります。この法案は一見極めて簡単なようでありますが、極めて重大な規定であります。
吉田内閣といたしましては、警察予備隊の徴兵制度をとろうといたしましてあらゆる努力をいたしたわけでありますが、強制的な徴兵制度は憲法第18条並びに憲法第22条に違反いたしまして、それができないことは明らかとなりました故に、形を変えてこのような方法をとつていることは、所管大臣である大橋国務大臣との討論において明らかになつたところであります。
この委任事務に対しまして国民から非常な強い反対があつて、若し政府の割当てられたる徴兵募集に対しまして目的を達することができぬようになりましたならば、地方自治法第146条に基きまして、主管大臣は知事に対しまして何月何日までに政府の割当てたところの募集事務を完了するように命令を出すことができるわけであります。更に若しその期限内に割当てられた数の目的を達成いたしませぬ際には、主管大臣は高等裁判所に訴えましてその判決を求めまして、裁判所が知事なり市町村長に対しまして、それを何月何日までにやるようにという裁判所の指示をなすことができるわけであります。若しそれをなしませんでしたならば、高等裁判所は判決に基きまして知事と市町村長を罷免するということになつているわけであります。
この法案は「政令で定めるところに」ということになりまして、重要なる点を国会の審議から挙げて政令にゆだねている点、更に地方自治法第146条の規定をつぶさに検討してみますと、新たなる徴兵制度であることは今や一点疑いはないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
そういう観点からたいしまして、かかる法案が国会を通過いたしまして、地方自治体にこれを下して行きますならば、市町村長、知事から当然とした反対が起きることは明らかであります。全国の市町村長会長はこの点に対しまして、地方自治を破壊するものであるからと言つて、強硬に、市町村長に対してかがる委任事務をなすべきでないという強力な要請があるわけであります。
以上、私たちは、この法案が憲法に違反し、そして新たなる、形を変えた徴兵制度の端緒であるという2点におきまして日本社会党といたしましては、憲法を擁護し、地方自治を守る観点からいたしまして、断固反対するものであります。(拍手)
[026]
労働者農民党 堀眞琴
先ず反対の第1点は、この警察予備隊が軍隊的性格を持つということであります。すでにその装備或いは又その訓練につきましては、委員会を通じましてこれが軍隊的性格を持つことは明らかにされております。若し軍隊的な性格を持つものとするならば、言うまでもなく憲法第9条に違反するのであります。内閣では、これをしばしば軍隊ではないと申しております。何と名前が呼ばれようとも、併しその実質が軍隊であることにつきましては、国民はひとしくこれを認めているのであります。政府の説明は、いわば馬を指して鹿と言うがごときに類すると申しても差支えないと思います。軍隊ではないといたしましても、第9条に言うところの戦力であることは間違いはありません。戦力に関しましては、すでにアメリカの対日政策の根本方針、極東委員会の諸決定によりまして、これを禁止するということになつており、日本の憲法も又この諸決定に基いて、第9条に戦力を否定しておるのであります。従つてこの意味におきまして、予備隊の設置並びにその増強は、日本の憲法に反するばかりでなく、連合国の諸決定に反するものと申さなければならんのであります。而もその募集事務の一部を、都道府県知事、市町村長にこれを委ねるということは、これ又徴兵制の復活を意味するものだと申さなければならぬのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
(中略)
又国内の輿論にいたしましても、予備隊は軍隊的性格を持つたものである、憲法違反である、徴兵制度の復活を企図しておるものであるというので、これに対しまして、青年、学生は挙つて反対を表明いたしているのであります。
このような内外の反対、批判の中にありまして、政府は軍隊に代るべきところの予備隊を着々増強し、やがては憲法改正に導こうとする、いわば馬を鹿と言わせるところの法案を今やここに提出いたしておるのであります。私はその意味におきましてこの法案に反対するものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)
昭和27年05月20日 衆議院 地方行政委員会
[042]
日本共産党 立花敏男
先般の警察予備隊令の改正によりまして、予備隊の募集事務が、市町村長に法律上責任を負わされておる。本日の新聞によりますると、約10万近い者が応募しておるということが出ておるのでありますが、この事務は今どういうふうになつておるのか。この自治法の改正は、そういう予備隊の募集事務、新しい徴兵事務をどのように処理されようとしておるのか。見たところではそういうものはないのでありますが、それは現実にはどういうふうに法律上処理されようとしておるのか、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
[043]
政府委員(総理府事務官(地方自治庁次長)) 鈴木俊一
もしも今の予備隊に関する事務が、知事なり市町村長に対する国の委任事務といたしまして、法律によつて規定せられる、こういうことに相なりますと、これは別表には掲記してございませんが、第2条の、「法律又はこれに基く政令」によつて、地方団体に属する事務として地方団体が処理する、こういうことになるわけであります。将来別表はしかるべき機会に改正しなければならないということになります。
[044]
日本共産党 立花敏男
その募集は現在約3万5000ですか、そしてそれの応募者は10万に達するらしいのですが、その募集事務がどういうふうに具体的に、町村で、地方自治体の中で進行しておるか、地方自治体はこれに対して、どういう事務的な活動をやり、その費用はどういうふうに支弁されておるかということを、詳細に御報告願いたい。
[045]
政府委員(総理府事務官(地方自治庁次長)) 鈴木俊一
自治庁は予備隊の募集に関します事務を所掌いたしておりませんので、もし御必要があれば、所管の方からお聞きとりを願いたいと思います。
[046]
日本共産党 立花敏男
これはまことに無責任な言葉なんで、地方自治体の新しい重大な事務としてそれが目下進行中である。これは日本にとつても画期的な問題であるし、自治体にとつても、私はまことに重大な問題だと思う。しかも新聞の伝えるところによりますと、非常に募集が困難である。3倍に満たない応募であつて、それからいろいろなものを除きますと、ほとんど補充しなければならない予備隊員の数とあまり違わないというような、非常に困難な状態なんです。そういう場合に、法律で自治体に対して募集事務が強制されておる。しかもそれは全然新しい、しかも国民の、あるいは地方住民のあげて反対しております徴兵事務なんで、こういうものが新しく押しつけられていることに対しまして、自治庁は所管でないから、その成行きは知らないというのでは、ここにお出しになりました地方自治の規定というものは、まつたく机上のプランなんで、実際はほとんど無益だと思うのでありますが、そういう態度ではたして自治法の改正、あるいは地方の事務の規定ができるかどうか、その点をどうお考えになつておりますか、承りたいと思います。
[047]
政府委員(総理府事務官(地方自治庁次長)) 鈴木俊一
募集に関する具体的な行政事務の指揮監督という、ただいまの法律案にあります言葉を使いますれば、予備隊募集に関する指揮監督ということは、これは御承知のごとく、予備隊本部が直接所管しておるわけであります。
自治庁といたしましては、自治の制度としての全体の面は考えておりますけれども、個々の募集の実務につきましては、私ども何らそういう情報を持つておりませんし、集まるはずがないのであります。
昭和27年05月28日 衆議院 内閣委員会
[049]
日本共産党 木村榮
第一番に申し上げたい点は保安庁の問題でございまするが、大体11万の保安隊を持ち1万名に近い警備隊員を擁して、しかもその部隊はアメリカの装備によつてきわめて近代的に編制をされており、ちようどアメリカ国防省の日本局といつた内容を持つていますのはまつたく明白なことでございます。こういつた点を裏づけいたしますように、リツジウエイ将軍は先々月、4月19日に、予備隊は軍隊にならねばならぬ。そのことは締結された条約に基いて義務として含まれておる、こういうふうなことを言つておるが、こういつた段階の中におきまして保安庁法が出まして、日本に保安庁ができるわけでありますが、この中にはたくさんの問題がございまして、たとえば階級の区分にいたしましても、保安隊は14階級にわかれ、警備隊また15の階級にわかれまして、この階級区分は現在のアメリカの軍隊の階級区分とまつたく同等であり、こういつたことを基礎といたしまして近代的な装備を持つた部隊――これは言葉の上で何と言おうとまつたく機械化兵団としての部隊である。だから大橋国務大臣も言つておりましたように、3000町歩ないし4000町歩といつた厖大な、かつての日本陸軍さえも持つていなかつたような大演習地を全国に今後続続建設するのだ、こういう状態であります。
こういう状態の中にあつて、一方海上警備隊にいたしましても艦艇をアメリカから60何隻借り受ける。この艦艇の種別を見ますと、大部分が上陸部隊援護用の舟艇であるという点も明白となつております。こういつたようなものを現在の政府は軍隊ではない。どこまでも警察的なものだと答弁いたしておりますが、この点はもの明らかに軍隊である。この前の委員会におきまして私が大橋国務大臣にいろいろ問いただしましたところが、近代戦に耐え得る部隊である、こういう結論になつたわけです。近代戦に耐える部隊が警察隊であるということは、これはまつたく言葉の上のごまかしであつて、軍隊であることは吉田政府の大臣みずからが認めた点でございます。
こういつた軍隊の元締めとして今度でき上つておりますものが保安庁であり、名前は保安庁ではあるが、内容はまつたく陸軍省であり海軍省である。こういつたものを国民を惑わして名前だけ保安庁としておる。これを基礎といたしまして徴兵の実施並びにまた中共やソビエト同盟へ侵略いたしますための作戦本部、またアメリカの要請に基いて兵隊をこしらえる――保安大学のごときは、政府の説明によれば常時600名ないし700名の幹部養成をやるのだ、それはかつての陸軍大学である。こういつたものをこしらえながら、なおこれは軍隊でないなどというのは人ごまかしのはなはだしいものであつて、憲法に抵触するという意見もありますが、こういう点から私たちは憲法の違反どころの話じやなくて、これは完全にアメリカのための軍事基地、作戦基地、またこのための傭兵の供給源として、まつたく日本を破滅の方向に導くための作戦本部である。このようなものはもはや国民の総意によつて粉砕しなければならぬ、かような観点に立つておりまするがゆえに、まず第一番に反対をいたします。
昭和27年06月05日 衆議院 本会議
[049]
日本共産党 立花敏男
ただいま吉田政府がやつておりますことは、地方自治体を督励いたしまして住民登録を強行し、警察予備隊11万への増強のための強制募集を断行せんとしておることであります。しかも、この新しい徴兵制度――アメリカ製選抜徴兵制に対しましては国民の大きな反対が燃え上り、応募人員はわずか2倍の割合であります。
これでは予定の人員も充足できない惨状であります。採用規定の引下げを行わなければならないはめに陥つておるのでありますが、しかも一方、アメリカ帝国主義の日本再軍備への要求は熾烈でありまして、マーフイー大使を通じまして、傭兵軍18万への至急増加が要求されておるという情報が伝わつておるのであります。かかる状態のもとにおきまして、売国吉田政府のとるところの方法は、ただ一つ徴兵反対運動を警察力をもつて弾圧する以外には全然手がないのであります。(拍手)
昭和27年06月07日 衆議院 本会議
[076]
日本共産党 立花敏男
今、吉田政府は、地方自治体に対しまして、414億に達する地方税の大増税を敢行し、住民登録、予備隊募集の新徴兵事務を強制し、全国至るところの自治体の中から厖大なる軍事基地を取上げようとしておるのであります。
昭和27年06月09日 参議院 本会議
[007]
日本共産党 岩間正男
現に日本の現状を見れば、ここで多く論ずる必要もないほど、すでに日本はアメリカの防共基地として、いや基地としてというよりも、日本自身がすでにそのようなアメリカの戦争の手先として全面的に編成され、あらゆる軍需生産は復活されようとしており、国内の至る所に軍事基地が設けられ、更に警察予備隊の名をかりましたところの再軍備は着々と推し進められ、これが現在の態勢から更に18万乃至は30万、而もこういうような計画も、最近におきましては警察予備隊の募集がなかなか思うように行かない。当然ここに起るのは徴兵の問題、強制徴兵のような形が次の当然の課題として上せられるような立場に行つておるのであります。
昭和27年06月14日 衆議院 本会議
[049]
日本共産党 立花敏男
このことは、最近の地方自治体においては、警察費等の弾圧費の膨脹、あるいは住民登録及び警察予備隊募集等の新徴兵事務の増加、軍事道路、防空施設等の拡張整備、あるいは激増する失業者、生活困窮者等への宣撫工作の必要の増大並びに徴税、供出等の収奪事務の強化等々の、明白に再軍備的、植民地的事務事業が増大し、しかも地方に対する平衡交付金等の国家支出は極度に制限しているがゆえに、これらの軍事的費用を一般会計によつてまかなわねばならぬことは明白であります。
昭和27年07月25日 参議院 本会議
[068]
日本共産党 兼岩傳一
このように日本国民から反対されておる再軍備を強行されようとする日本、アメリカの反動は、必ずや近い将来に徴兵制を布くべく進むことは明瞭であります。そしてその第一歩が本法案による保安庁の設置であります。我々は圧倒的な日本国民の、特に青年諸君の強い意思を代表して、青年男女、婦人、家庭の主婦、戦争の最大の犠牲者の強い意思を代表して、警察予備隊及び海上警備隊の即時解散を要求するものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
そうして、演習地、宿舎、及び強制的に日本国民の手から奪い取つた農耕地、原野、開拓農場、漁場及び学校等を即時日本国民の手に返すことを要求するものであります。(拍手)
昭和27年12月01日 衆議院 予算委員会
[013]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
次に将来保安隊員の募集について、徴兵制度あるいは志願制度にするかという御質問でありますが、私といたしましては、これは御説の通り志願制度にして行きたい、こう考えておる次第でございます。
昭和27年12月16日 衆議院 予算委員会
[064]
日本社会党(社会民主党) 八百板正
新しいものはと、しいて見つけようとするならば、老齢軍人に対する一時金の給与を予算に見るのであるが、これまた社会保障制度とは何の関係もなく、軍人恩給の小手調べとして、そのはしりをここに見せたということは、再軍備徴兵制度への事前運動にその第一歩を踏み出したものであります。(拍手)
昭和28年02月26日 参議院 本会議
[040]
日本共産党 兼岩傳一
私は日本共産党を代表して、スト禁止法案について質問をいたします。
(中略)
先に輸送、通信の労働者からスト権を奪い、今、電気、石炭等、動力部門からスト権を奪い、やがて私鉄、鉄鋼、造船に及ぼうとしているのは明かです。これこそが再軍備でなくて何でしよう。なぜならば、この体制を作り上げれば、あとは、憲法の改正も、徴兵制度の施行も、天皇制の強化も、そして全国民を米帝国主義者の企てている大戦争に投入することも、ずつと容易になるからであります。
昭和28年02月27日 参議院 本会議
[053]
改進党 岩木哲夫
私はこの警察法の改訂によつて、これらのことと結び付いて、吉田内閣がやがて余儀なくされる再軍備に対する徴兵制度の思惑に処して、この警察法の改訂をもくろんでおるのではないかということを、特にお聞きしたいのであります。
昭和28年06月17日 参議院 本会議
[016]
日本社会党(社会民主党) 曾禰益
いずれにしても、主管大臣は数ヵ年にわたる警備充実計画を持つており、それは陸海軍のみならず空軍をも含むものであり、MSAと呼応する性質のものであり、志願兵制度の行き詰りを徴兵計画で打開せんとし、これらを憲法改正によらずしてやるために自衛軍は戦力にあらずという理窟を考えていることは明瞭であります。
而もなお政府は、これを単なる事務当局の机上のプランで、政府は何ら関知しないものだと言つて糊塗しようという意向のようであります。総理は、一貫した所信により、いささかも従来の方針を変更する必要を認めないと空うそぶいております。
昭和28年07月22日 参議院 予算委員会
[185]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
お答えいたします。大体、只今外務大臣から御答弁の通りであります。そこで、保安隊員を増員した場合に徴兵制度でやらなくちやならんじやないかというような御質問のようでありますが、大体我々の計算におきますると、志願でこれを採用し得る限度がおのずから明らかになつて来ます。それは1年において約12、3万だろうと思います。2カ年制度でありますから、我々といたしましては、まあ限度が20万、志願でやれば。それ以上であれば、これは何としても徴兵制度ということより仕方ないのであります。
我々の考えといたしましては、まあ徴兵なんというようなことは考えておりません。現在におきましても、御承知の通り保安隊員は全部志願制度でやつておるのであります。
志願制度について、とかく士気の問題が論ぜられるのでありまするが、志願制度におきましても、隊員の士気は、私がすでに申しまするように、旺盛であります。いわゆる日本の平和と秩序を守り抜くという精神力においては決して何人にも劣らず一生懸命やつておる次第でございます。
昭和28年09月04日 衆議院 外務委員会
[132]
日本社会党(社会民主党) 穗積七郎
ついでにそれと関連してお尋ねいたしますが、最近戦争の危険というか、そういうものを感じておりますが、近い将来においてはますますむだな再軍備、あるいはアメリカの武力政策に日本が巻き込まれて行く危険を感ずるでしよう。そうすると、年寄りは別であります、あなた方が第一線に立つて保安隊にお入りになるなら別でありますが、青年層は――20万なり、あるいは25万でもけつこうですが、そういうあなたが期待されるような兵数を志願制度によつて満たすということは、質的におそらく不可能でありましよう。おそらくは質の低下が来る。そういうことをお考えになるでしようから、将来は、軍隊というか保安隊というか、名前は何でもけつこうですが、法律によつて参加することを義務づける制度、すなわち昔の徴兵制度というようなものも当然考えられるべきだと思いますが、その点について、政府としてでなしに長官としての御意見――私案でもけつこうですがお尋ねいたしたい。
[133]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
一言申し上げておきます。穗積君はただいま日本の青年が全部日本の国を守るという精神がないようなことを仰せになりましたが、私はさように考えておりません。日本の青年はさようなぐうたらな者はないと考えております。むしろ日本の国をみずからの手によつて守るということになれば、敢然として守ろうじやないかという気分の者が多いと私は考えております。その点だけを私申し上げておきます。
次に、徴兵制度のことに触れられましたが、私は徴兵制度などということは考えておりません。もちろん現段階においては応募制度で行くべきであろうと考えております。
[134]
日本社会党(社会民主党) 穗積七郎
将来はどうでありますか。
[135]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
将来のことも私は同様であろうと考えております。しかし国民全体の輿論はどうなりますか、その帰趨によつてこれはかわつて来るのであろうと思います。私自体としては応募制度で行くべきではないかと考えております。
昭和28年12月07日 参議院 予算委員会
[175]
無所属 木村禧八郎
それから日本の官吏がみずから語るところとよりますと、ジヤパニーズ・オフイシヤルと言つております。話しておるところによると、地上軍18万から22万に増強できる、而も又日本の官吏の大部分は60万の軍隊の徴募が困難でない、但し徴兵制度を前提とする、こういうふうに言つています。そうしてこれは現在極東にいる米軍の大体倍の数である。ですからこれから見ると、日本及び朝鮮にいるアメリカ軍隊は30万であろうと確定がつくのでありますが、60万軍隊は徴募団難でない、こう言つているんです。日本のジヤパニーズ・オフイシヤルはこう言つている。而もそれは徴兵制度を前提とする、こう言つています。
そういうことを考えているのかどうか。
[176]
政府委員(保安政務次官) 前田正男
只今いろいろと外国の雑誌について、保安庁の官吏が、或いは日本の官吏がしやべつたというようなことを書いてあるようでございますけれども、我々はそういう方面に対しましてもしやべつておりません。又書いたりさしたりした事実は全然ございません、先ず第一に防衛計画というものは、御承知の通り、現在保安庁内部においては慎重に研究をいたしております。併しながらこれはまだ成案を得るまでに至つておりません。まして政府といたしまして決定された案は全然ありません。
(中略)
又徴兵のことが今のお話にございましたけれども、こういうことは現在政府の方面におきまして全然考えておりません。これは全然誤つた報道でございます。我我は一度も徴兵の問題について考慮いたしたことは全然ございません。
昭和28年12月11日 衆議院 外務委員会
[144]
改進党 並木芳雄
次にお伺いいたしたいのは、徴兵制度の問題でございます。これも徴兵制度と言うと、今の筆法で行くと、長官はこの言葉をいやがるかもしれません。統帥権でさえも何だかびくびくしているようですから、徴兵制度なんて言うと、びつくりするかもしれませんが、私最近驚いたことに、案外志願制度なんかではだめだという声が多いのです。それは現在の保安隊を見ているせいかどうか知りませんが、要するに、三軍を整備して日本の防衛に当るのに、志願制度ではとても魂の入つた防衛隊というものはできつこない、やはり徴兵制度にして行かなければだめだ、義務制度にして行かなければだめだという声の多いことに驚いているわけです。
私は徴兵制度なんということは夢にも考えませんでしたし、志願制度でなければいかぬと思うし、それは第一憲法の職業の自由に抵触して来るのである、こう考えておつたのです。そこでお伺いいたしますが、必ずしも憲法に抵触しないというような解釈が成り立つかどうか。これは三軍ともなれば職業とは別なんだ、職業の範疇からそれた別のものであるという解釈をもつて、憲法を改正しなくても徴兵制度というもの、義務制度というものをしくことができるのかどうかという点について、政府の権威ある見解をお尋ねしておきたいと思います。
[145]
政府委員(内閣法制局長官) 佐藤達夫
ちよつとお言葉の末をつかまえるようでありますが、統帥権を私が統率権と申し上げたのは、深い意味で申し上げたのではないのであつて、第一統帥の帥は漢字制限に載つておりませんし、いわんやその関係から来る連想がいやなものですから、そんな単純な気持で申し上げたので、戦力なき軍隊とかいう深い連想を持つて申し上げたのではございませんから、お断りしておきます。
徴兵は徴兵として私はお言葉通り承りますが、ただ今並木委員御自身夢にも考えておらぬというようなお言葉がございました通り、われわれ自身も実は夢にも考えておらないのでありまして、政府といたしまして別に現実当面の問題ということになつていない今日においては、あるいははずかしいことかもしれませんが、その点について研究もしておらず、結論も得ておらないということが率直なお答えであると思います。
学説などわれわれ法律書生としての立場で見ておりますけれども、確かに現憲法下でもできるという説もあるようではありますが、大体の傾向としては、現憲法のもとではむずかしいという学説の方が、われわれの目に触れる範囲では多いのではないかということで、なかなかむずかしい問題だなという気持を持つておるわけであります。
昭和29年01月28日 参議院 本会議
[011]
日本社会党(社会民主党) 荒木正三郎
次に、第2の問題といたしましてMSAと安全保障の問題でございます。アメリカはその世界政策といたしまして、武力によつて共産圏と対決する方針をとり、経済的、軍事的援助によつて自己の陣営の拡大強化を図つて参りました。日本に対しても、この政策の一環として、安保条約、行政協定によつて日本を軍事基地化すると共に、MSAによる軍事援助によつて日本の再武装を強化し、以て太平洋の防衛態勢を整えようといたしておるのであります。吉田内閣はこの要請に協力する態度を決定して、防衛予算の増額を図ると共に、保安隊を自衛隊に改め、その性格を一変しつつあります。更にMSA受入れの国内態勢を強化するために、警察法の改正、教員の政治活動禁止等の反動立法を企図いたしておるのであります。かくては、憲法改正、徴兵制への発展は吉田内閣の予定のコースと言わなければなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)
民主的平和日本の建設を目指す我々の断じて容認できがたいところであります。(拍手)我々はMSA受諾に強く反対するものでありますが、以下数点について首相にお尋ねをいたしたいと思います。
昭和29年02月11日 衆議院 予算委員会
[055]
日本社会党(社会民主党) 堤ツルヨ
保安庁法の改正、将来の自衛力の増強にあたつては、いわゆる保守三派が御協議になつて、改進党あたりの御意見も相当強くおいれになりませんと、もちろん吉田内閣ももちませんし、いろいろおいれになると思う。改進党あたりではしきりに義務徴兵制ということをおつしやつているし、またどう考えてみても国家財政がもつわけがないし、私はこの点は非常にあいまいにごまかしておいでになるのではないかと思いますけれども、一応今のところは義務徴兵制を考えておらないということならば、ふしぎではございますけれども一応……。
昭和29年03月11日 参議院 予算委員会
[006]
無所属 井野碩哉
現在の保安隊を自衛隊に変更されましてもおのずから現在のままでは限度があるのではなかろうか。この点は保安庁長官にお伺いしたいのでありますが、今の志願制度でどれだけの数まで進んで行けるか。要するに志願制度にも限度があるのではなかろうか。アメリカが要求しているように32万とか35万とかいうまで行かなくとも、それまでにすでに志願制度に限度が来るんではないか。
私は保安庁の有力な人々のお話を伺つておりますと、現在でももう志願制度は相当に素質が落ちて来ている、従来よりも。これ以上志願制度を続けて行くとなかなか優秀なる軍隊を持ちにくいということを聞かされておるのであります。でありますから或いは20万が限度であるとか、19万が限度であるということははつきりと仰せになれませんでしよう。併し或る限度はあるんだ、そして若しもアメリカが要求しておれば志願制度だけではいけない、或いは徴兵制度に持つて行かなければならん時期が来るかも知れんとこう我々考えるのであります。
これがまあ憲法改正の大きな問題になるので、徴兵制度になれば私は当然憲法は改正しなければならんと思うのでありますが、そこが非常にむずかしいので、今までのようにいろいろの憲法上の解釈についても言葉を濁しておられるんではなかろうか。でありますから志願制度に限度がありますかないか、その点をお伺いしたいのであります。
[007]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
お答えいたします。まさにその通りであります。
志願制度には人員の点において限度があります。私の調査したところによると正確には申上ぐることはできませんが、先ず今の状態においては20万或いは22、3万までが限度と考えております。それ以上につきましてはお説の通り徴兵制度を布かなければならんと思つております。
併しここで一言申上げたいのは、然らば徴兵制度を布かなければならんかということでありますが、今の憲法下において志願制度を以て優秀なる隊員は私は得られると考えておるのであります。
それと昨日も申上げましたように部隊の組織は隊員ばかりではいけない。いわゆる兵器の進歩というものが非常に近頃発達して来て参つております。我々といたしましてはその部隊の人数をカバーするためにはどうしても科学の力を待たなければならん。科学を振興して我々は各国に劣らないだけの装備をいたすことに心を使わなくてはならん、こう考えておる次第であります。
お説の通り志願制度においては人員に或る限度があるということは明らかにその通りであります。
昭和29年03月13日 衆議院 外務委員会
[129]
改進党 並木芳雄
時間がなくなつて参りましたが、もう1つお尋ねしたいのは、徴兵制度の問題です。これも、今度のMSAの調印を契機として巷間非常に心配が出て来ております。だんだん自衛隊というものは人数もふえて参りますし、直接侵略にも当つて行くようになつて来る。そうなつて来れば、今までの保安隊員の募集のように簡単には若人を募集することもできたくなるのじやないか、そうすると、結局、このMSA協定の自国の防衛能力の強化というような点から、徴兵制度をしくようになつて行くのではないかという懸念が出ております。これは、はつきり申しますが私どもは反対でございます。それだけにこの際お尋ねしておきたいのですが、徴兵制度というものは、しこうと思つても憲法違反であってしくことができない、こんなふうに考えておりますが、その点はいかがですか、政府はどうお考えになりますか。
[130]
外務大臣 岡崎勝男
政府も、微兵制度というようなものは憲法を改正しなければできないと考えております。もちろん、このMSAの協定等からは、徴兵制度をしくとかしかないとかいう問題は出て来ないのであります。これはむしろ日本の国内の問題として出て来ることでありまして、今のところ政府はそういう趣旨で憲法を改正しようという考えは持つておりません。
昭和29年03月16日 衆議院 外務委員会
[052]
日本社会党(社会民主党) 穗積七郎
岡崎大臣にちよつと申し上げておきます。先ほども申したように、アメリカ人や英国人は、割合巧妙でずうずうしいところがあつて、法律なんかつくつても、かつてに解釈をかえる。今度の条約9条においては、日本国憲法の規定云々といつておる。しかも当時の事情は万人の認めるところ、強制されたものであつたかどうかは別として、この案そのものはアメリカの当時のGHQが草案をつくつた憲法でございます。従つて憲法の解釈につきましては、これはアメリカは日本と同様に良心的でなければならないのでありますが、それが当時の解釈におきましてはそういう解釈をしておりながら、今日はこういうものを結ばして、しかもなおかつ日本国の憲法の範囲内だというようなかつてな解釈をしておる。
この調子で行くと、日本国憲法でおそらく保安隊の徴兵という言葉を使えば違憲になるから、保安隊のための徴用法というようなものが近くできて来る。そうして外地派兵もできるというような危険すら、われわれはすでに予感せざるを得なくなつて参りました。
昭和29年03月18日 参議院 本会議
[015]
日本社会党(社会民主党) 矢嶋三義
更に昨年秋、国会開会中に、我が国会をつんぼ桟敷に置き、総理は自分の個人特使池田勇人氏をして日本の国防の問題を他国の首都ワシントンで米国首脳者と協議させたもので、その結果が、MSA協定、更に本日の2法案と相成つて参つたことは、明々白々たることでありまして、この法案は、軍機秘密保護法制定、集団安全保障義務に基く海外出動、再軍備徴兵制度実施、太平洋軍事同盟締結等に通ずるレールの敷設の役割を果すものとなると申したからとて、良心と責任を以てこれを否定し得る人が幾人ございましよう。
[038]
日本社会党(社会民主党) 山下義信
第3は徴兵制度の問題であります。政府は飽くまで志願兵制度で行くとシラを切つておりますが、果して徴兵制度は永久に採らない覚悟であるかどうか。ここで言明を願いたいのであります。
自衛隊員の募集につきましては、過去のデータから推測いたしまして、その人員に限度のあることは数字上極めて明白であります。昭和29年は、満期者その他で6万5000名、新規増員3万名、合せて10万名の募集を必要とするのでありますが、目下頻りにやつておる行政整理の対象者であるとか、失業者であるとか、農村の二、三男等に目をつけて或いは自治体警察官等にも目をつけ、且つこれを数回に分割して充足しようとしておりますが、満員になるか甚だ疑問であります。昭和30年度に至つては全然見当がつかず、自信がないというのが真相であります。
かてて加えてこれから直接侵略に当るということになれば、志願者の激減はけだし必至でありまして政府当局は徴兵制度の不可避を内心予期しておるのではないかと考えられますが飽くまでこれを否定されるならば、志願兵制度存続の確信を数字を以て示されたいのであります。
[040]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
次に、徴兵制度でありますが、徴兵制度は只今考えておりません。徴兵制度を布くということになれば、勿論憲法改正を要することであります。我々は現段階においては、志願制度で行こうと考えておる。
然らば志願制度の限界はどこにあるかということになりますと、これはいろいろの観点からいたしまして、約22、3万が程度であろうと考えております。
昭和29年03月29日 衆議院 外務委員会
[014]
日本社会党(社会民主党) 穗積七郎
次に佐藤法制局長官とお2人にあわせてお尋ねいたしますが、今の憲法の中におきまして、自衛隊に対する徴用法――徴兵といつて兵という言葉を使えば憲法違反になりましようが、そうでなしに徴用法をしくことが憲法違反になると考えておられますか、違反いたさないと考えておられるか、この際お伺いしておきます。もし違反するといたすなら、どこの条文で違反するかをお答えいただきたいのであります。
[015]
政府委員(法制局長官) 佐藤達夫
徴用法という言葉を使われまして、無理に徴兵と言われませんけれども、その徴用とおつしやる意味がどういう仕事のための徴用であるか、これによつて結局結論が違つて参ると思います。
徴兵と同じ意味の実体を持つものであるならば、たびたび申し上げておりますように憲法改正をしてからそういうことをなさるのがもちろん当然であろうと考えております。
[016]
日本社会党(社会民主党) 穗積七郎
もとより今度国会に提案されております自衛隊法の目的に従う隊員の徴用であります。
[017]
政府委員(法制局長官) 佐藤達夫
それならばおそらく徴兵と同じ意味だろうと思います。従つてそれは非常にむずかしい問題であると思います。
昭和29年04月14日 衆議院 内閣委員会公聴会
[065]
公述人(著述業) 神崎清
しかしながら子供を持つ親として最も気にかかるのは徴兵の問題であります。今のところ徴兵制度はしかないということを繰返し声明されているようでありますが、現在保安隊費が1人、ざつと100万円かかる、財政は決して楽ではない、それを18万にふやした、さらにアメリカの要請する32万5000というふうに拡張し、さらに整備して行きますならば、現在の国家財政では、私どもの税金ではまかないきれないという状態が出て参ります。どうしてもこれは徴兵ということになりそうです。1銭5厘、現在は値上げして5円になりましたけれども、この5円のはがき1枚で青年を徴集するということが、楽屋裏では考えられているようであります。
当局はしきりにこの徴兵については不安を与えないように繰返し否定はされておりますけれども、これもこの中央公論のレポートによりますと、保安隊の内部では徴兵受入れの気構えができかけているようであります。「「現在の訓練はすべて将来の幹部を養成するための幹部教育である。お前らは将来、徴兵でひつばられてきた何もわからない奴等の指導ができるように一生けんめいやらねばならん。徴兵制になれば、お前ら志願の者はすばらしいハクがつくぞ」とはつきり言いきる将校もたくさんいる」そういう文字になつて来ております。この通りの事実があるかどうか知りませんが、とにかく何か政府はふところに次のカードを隠しておるのではないか、そういうふうに思われます。
一昨年でありますか、富士宮高校の石川皐月君という少女が、村の不正投票に憤慨して投書した有名な村八分の事件がございますが、それを富士宮高校の生徒がほとんど全部支持した。なぜああした動きが出て参つたかと申しますと、学校新聞を見ますと、ああした不正投票、かえ玉投票、いいかげんな投票によつて出て来た議員の人たちが、法律をいろいろつくつて徴兵へ持つて行く、そういうことをされてはたまらぬから、われわれは今抗議するのである、騒ぐのである、そういうことを申しておりましたが、ちようどその段階が今日の前に近づいて来たように思われるのであります。その点この徴兵の問題は、子供を持つ親、国民一般の心配しているところで、十分御審議いただきたいと思います。
昭和29年04月16日 衆議院 内閣・外務委員会連合審査会
[009]
改進党 並木芳雄
だんだんと自衛隊の隊員がふえて参りますと、この募集についてかなり困難を生じて来るのではないかと案ぜられますが、本年度の募集に対する見通しはどうなつておりますでしようか。
それから、勤務年限わずかに2年でございますか、そうすると青年にとつては、自分の就職を犠牲にしてこちらに就職するというようなことにならないと思う。2年間だけ中途半端な勤務をする。それからあと社会に出て就職するということになりますと、中断されますから、私は志願をする者がだんだん少くなつて行くのではないかと思うのです。これに対する対策はどのようになつておるでしようか。たとえば保安隊に勤務した者については政府が保証して、これを他に転勤せしむる、こういう点をお考えになりますかどうか。
だんだん少くなつて参りますと、今の憲法では許しませんけれども、憲法を改正したあかつきにおいては徴兵制度やむなしというところに行くのではないかと思うので、そういう点についての長官のお考えをお尋ねいたします。
[010]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
御説ごもつともであります。志願制度のもとにおきましては人員の制限は相当あると考えなくてはなりません。また現在あるのであります。一定の人員以外にこれをふやそうとするならば、徴兵制度をとるよりいたし方はありません。しかし現憲法下においては徴兵制度は認められていないのでありますから、どこまでも志願制度で行くよりほかはございません。そこでわれわれといたしましても、志願される人の中から優秀な者を採用しなければならぬのであります。そこに非常な難点があるわけであります。私としてはできる限り志願をしてもらつて、そのうちからいい者をとりたいと考えておるのであります。
実情といたしましては、現在幸いに応募者が多いのであります。昨年の欠員8000名、これの募集に対して約6万近くの応募者があつたようであります。今年度におきましても、これは退職期間が切れる人が相当あるのであります。それと新しく増員した人々の募集とにらみ合せてわれわれは採用しなければならぬ。現在のところではわれわれの想像した以上に退職志望者が少いようであります。従いまして29年度で募集すべき人はわれわれの考えておつた数よりも少い。従つて応募者から相当優良な若人を採用し得るのではないかと考えております。
昭和29年04月22日 参議院 外務・内閣・大蔵連合委員会
[085]
日本社会党(社会民主党) 菊川孝夫
国会で予算審議するのは当り前のことでありまして、政党のしつかりしておつたときには、一番に削減の目標をどこに置いて争つたかというと、軍事予算の削減で争つておつたわけであります。5個師団の問題で内閣が倒れたのも木村さんは我々よりよくそういういきさつは御存じのはずでございますけれども、そんなものについてもはつきりと説明するわけには行かん、又総人口と自衛隊の割合、このくらいまでは、これはなぜ申上げるかといいますと、今のは徴兵制度をやるかやらんかという限界があるのです。これ以上やるということになつたら徴兵制度に持つて行かなければならん。
[086]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
甚だ恐縮です。それに対する答弁が抜けておりました。
御承知の通り今の憲法下においては徴兵ということはあり得ないことなんです。どこまでも志願制度で行くべきであります。志願制度の極限というものはあります。大体において私が見込んでいるのは、志願制度で行けば極限が大体22、3万というところじやないかと思う。それ以上であれば徴兵制度を布くより仕方がないんじやないか、こう私は今考えております。そこに志願制度の極限というものは出て来るわけです。大体その適令者の総数からいろいろ就職、学校へ行く人とか、いろいろなものを計算に入れまして、結局22、3万というところが局限じやないかと、こう考えております。
昭和29年05月06日 衆議院 内閣委員会
[083]
日本社会党(社会民主党) 田中稔男
すなわち第1に、民主化の日なお浅い日本において軍国主義的風潮が再現する危険があります。軍官民の社会的序列が復活するおそれがあります。両法案の内容を検討すれば、自衛隊員の服務に関する諸規定がある。防衛出動時に行われる施設の管理、物資の収用、業務従事命令等に関する諸規定は、いずれも国民の基本的人権を侵害するものでありますが、志願制度による隊員の増員が一定の限度に達し、遂に徴兵制度がしかれるに至りますならば、人権侵害はさらにはなはだしくなるものと考えられます。
昭和29年05月20日 参議院 内閣委員会
[126]
無所属 三浦義男
現在とられておりますのは、志願兵制度であります。この志願兵制度で参りますと、立派な自衛隊を作ります限度が恐らくあろうと思うのであります。
幾らアメリカの兵隊が退いて行つて日本がこれにプラスすると言つても、この志願兵制度をとつている限りにおいてはそうたくさんの兵隊、兵隊と言つちやいけません、自衛隊員の増強はできない。
若しそういうふうにその志願兵制度の持つております限度をこすような場合の漸増が考えられましたときには、ここでどうしても徴兵制度のようなものを考えなければならない。この徴兵制度ということが今国民が非常に心配しているところだと思うのであります。
つきましては、志願兵制度をとつておる下で漸増できます大体の範囲、限度、それと今後徴兵制度をどうお考えになつているかということを一つ総理に率直にお願いいたしたいと思います。簡単で結構です。
[127]
内閣総理大臣 吉田茂
お答えいたします。現在の日本の防衛、これは日米安全保障条約の下における防衛が果して完全であるかどうか。これは相当疑いがあると思います。然らばその詳細については米国軍としても我々としても発表はできませんが、とにかく最小限度のところで抑えて、そしてあの防衛計画を立てているのであります。その防衛計画の中から米国が駐留軍を減したい、漸減したいと言えば、自然日本政府としてはこれに対して漸増を以て応じなければならない。然らばその漸増はどこまで行くのだというお尋ねでございますが、これは成るべく少くしたいというのは理の当然のことであります。
又日本の漸増の限度は更に徴兵制度の有無ということのみならずほかに又日本の国力ということもあります。又国外の環境ということもあります。この環境は、御承知の通り成るべく平和へということに各国が努力いたしているので、この各国の努力に我々も協力して、そして各国ともできうべくんば防備撤廃と言いますか、軍備撤廃とまで行きたいと思いますが、これは国際状況、客観的な状況によるところであつて、我々が如何にも左右はできませんが、全体の傾向から申せば、世界としては平和への道に努力いたしているのであります。若しこの平和への努力が目的を達するならば、日本の防衛力も、防衛漸増の方針も、漸減の方針に進んで行けるわけであると思います。
いずれにしても政府としては最少限度の漸増と言いますか、漸増も最少限度を目標といたしているので、その漸増のためには、今年はこれだの漸増で一応国力の上から考えてみても案を立てなければならない。又志願兵制度でもこのくらいな漸増ならば考えられ得るというころの最少限度を考えて案を立てているものであります。将来はということは、将来は将来おのずから計画を立てると申すよりほかお答えのしようがないと思います。
[138]
日本社会党(社会民主党) 矢嶋三義
各委員から憲法改正の問題について質疑があつたわけでありますが、それについて木村長官にちよつとだけ簡単に伺つておきたいのですが、あなたは年の初め頃は募集制度は大体20万程度だと言われておりましたが、最近は22、3万と言われておるわけでありますが、そこで本年度もすでに自衛隊は定員約16万5000になるわけでありますので、衆議院で言明された取りあえず30万人の増強計画、それらから逆算いたしますと、昭和31年の自衛隊員の募集は半ば強制割当をやるか、それとも憲法を改正して徴兵制度を布かざるを得ないということがあなたの発表した数字を逆算して出て来る。
従つて憲法改正並びに徴兵制度の行われるのは早くて31年、遅くて32年に必至だということが逆算して出て来るのでございますが、如何でございましようか。
[139]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
逆算は数字を以ていたしませんが、大体先ほど申しました通り、陸上のほうで志願制度が22、3万程度かと考えております。それ以上に陸上自衛隊を増加しようとするとこれは何かにぶつかる、いわゆる徴兵制度でも布かなければならない、こう考えております。
昭和29年05月25日 参議院 内閣委員会
[187]
無所属 井野碩哉
抽象論としましては今仰せの通りなんでありますけれども、現実に募集をしてみまして、現在の素質からいつてみて、これ以上あと数万を殖やすということは非常に困難だという専門家が見通しを持つておるのでありまして、でありますからその点は私は非常にまあ心配しておるのでありまして、なぜこういうことを伺うかと申しますと、長期国防計画をお立てになるときに、5カ年計画をお立てになつて漸増を図つて行くということになろうと思いますが、その限度において直ちに憲法改正にぶつかつて来るのであります。
志願制度であれば憲法改正をしなくても済みます。徴兵制度になればどうしたつて憲法を改正しなければならんのですから、そこで長期国防計画をお立てになるときに或いは何万人ぐらいの増員だということで計画をお立てになればいいのですが、アメリカが要求しておるように自分の軍隊を日本から撤退するためにそれに代る軍隊を日本に置くのだという観念から見ますと、相当やはり多数の人員を増強して行かなければならんと思うのであります。
そこでどうしても今の募集状態から見て又その素質から見て、もう17、8万人を越えれば徴兵制度で行かなければならんのじやないかと思うのでありますので、私ども国民に徴兵制度は飽くまでも布かないのだ、日本はそこまで無理しても自衛隊というものを持つて行かない、政府の方針もあるし、又我々も国民のためにそうしなければならんのであるということを言つておるわけであります。併しどうしても国民のほうでは徴兵制度に持つて行かれるように心配しておるのです。そこで長官がやはりこういう席上で、長期国防計画を立てても徴兵制度には持つて行かない限度で立てるのだということを明瞭にしておいて頂きたいのであります。
[188]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
お答えいたしまするが、そこが一番大きな問題であろうと思います。殊に日本の将来の防衛計画を立てて行く上において必ずしもいわゆる陸上部隊の増加ばかりを図つて行つちやいかん。日本の防衛の重点をどこに置くべきか。これはよほどその考え方によつて変つて来るのであります。いわんや日本のような周囲海に囲まれておる国においての防衛態勢を整えるには大陸とはよほど趣を異にしておる。そこで海空ということを考えざるを得ないのであります。長期の防衛計画を立てるにつきましてもそれらの点を十分勘案しなければならんと考えております。
殊に先ほど申上げましたように兵器の進歩がある。いわゆるガイデット・ウエポンが、これが本当に日本で実用化できるようになれば相当防衛態勢の計画も変つて来るのじやないか。兵力、いわゆる兵数において大なる影響が加わつて来るものと考えております。そこで我々といたしましては、いわゆる志願制度をどこまでも維持して防衛態勢を整えて行きたい、こう考えておるのであります。
昭和29年05月27日 参議院 内閣委員会
[012]
日本社会党(社会民主党) 矢嶋三義
私の懸念するところは、こういう応募状況から、市町村長は募集に協力するということになつておりますが、現在でも若干の割当をやつております。これが半強制的に割当ということが行われるのではないか。で、徴兵ということは、憲法を改正しなければできないわけですから、それに準ずる県の地方課あたりの市町村に睨みのきく機関を通じて、半強制的な措置がとられて行くのではないか。その虞れは、例えばあなたがたが出された資料に基いても、本年陸上自衛隊だけで約7万1000人というものを更に補充するようになつておりますが、そういう懸念があるわけですが、それに対してはどうお考えになつておられますか、これは長官から承わつておきます。
[013]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
募集に当つて強制するというようなことはいたしておりませんし、又将来もいたすつもりはありません。
併し募集して応募してもらわなくちやならんのでありますから、そのほうにおいては専念はいたします。併し強制するようなことはいたしません。
昭和29年06月01日 参議院 内閣委員会
[057]
日本社会党(社会民主党) 岡田宗司
最後に1つ、これは首相からとくとお伺いしたいのですが、自衛隊が増強されて参りますと、今の募集制度ではできなくなる時代が来ると思う。そこで徴兵制度の問題が起つて参りますわけですが、この限界もそう遠くはない。そこで率直にお伺いいたしますが、国民、特に若い人々が非常に心配しておりますが、そういう場合には徴兵制度を布くおつもりかどうか。この点は首相からはつきりした御言明を願いたい。
[058]
内閣総理大臣 吉田茂
今のところは徴兵制度を布く考えは持つておりません。
[268]
日本社会党(社会民主党) 山下義信
第5点は、国民の恐れておりまするところは徴兵制の実施であります。徴兵制が免れざるということは、これは明白であります。
今日すでに徴兵制実施の前提といたしまして、政府は教育2法案の成立を図り、或いは警察制度の改正を現に企てておる、これらことごとく徴兵制の準備行動と言わなければなりません。我々はこの点からいたしまして断乎反対の意を表するものでございます。
昭和29年06月02日 参議院 本会議
[012]
日本社会党(社会民主党) 戸叶武
私たちが、国民と共にこの法案に一番心配しておる点は、海外派兵と徴兵制度の復活であります。
MSA協定調印の際には、岡崎、アリソンの日米両国代表が、この中に海外派兵が含まれていないと挨拶しております。ところがMSAはそうであつても、自衛隊法第16条によれば、内閣総理大臣が防衛の必要ありと認めたときには防衛隊を海外出動せしめることが可能になつておるのであります。政府側の答弁によれば、海外派兵も可能であり、公務員の海外出張と同様に取扱われ、インドシナ等において戦争に協力しても違憲でないとの拡大解釈がなされております。これがために国民の不安が増大し、今年は自衛隊の志願者が激減しております。そこで国会は保守党まで、自由党までそれに加わつて、海外派兵禁止の決議まで行なつて、国民の動揺を防ぐための努力を必要とするに至りました。(拍手)
又木村保安庁長官は、志願兵制度は22、3万が限界であると、暗に徴兵制度をほのめかしております。このことに対しても安心することができません。
昭和29年10月27日 衆議院 内閣委員会
[157]
改進党 高瀬傳
このいわゆる自衛隊員の募集の問題について、金をかけて宣伝をすれば集まつて来るだろうというお話であります。事実去年の池田・ロバートソン会談で、32万に自衛隊をふやせとアメリカが言つておる。これは私は取消したわけではないと思う。自衛力を漸増するという約束を日本政府はしておるのでありまして、あるいは今度吉田が行つて急に大いに増強しろ、急速なる増強をしろなどというおみやげをもらつて来るかもわからない。そうするとそういう程度の募集状況では、自衛隊員を募集するということはだんだん頭打ちになつてしまつて、現段階ではその限度に来ているのではないか。
木村長官は、全然徴兵制度はやらぬ、こういうことを言つておられるから、それはまことにけつこうだと思うのですが、事実問題としては非常にお困りになるのではないかと思つて心配しているのです。その点はいかがですか。
[158]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
私は徴兵制度を絶対にやらぬとは言わない、私はそうは言いません。徴兵制度をしくのについては憲法を改正しなくてはならぬ、憲法の改正は国民の総意によらなくてはならぬ。従つて今の段階においては徴兵制度はやることはできないのだ。
私個人の希望から申しますと、私は常に言つておるのでありますが、日本の青年は一応団体生活をしたい、させたい。団体生活のよさは結局親愛の精神、友愛の精神、助け合いの精神、これが養わるのだ、青年がある期間団体生活をやることは望ましい、自分も若いときはやはり団体生活をやつて来たのだ、これによつて互いに親しみ合い、信頼し合い助け合う精神が盛り上つて来るのだ、日本の青年は一度は団体生活をやれ、この意味においても、徴兵制度は別問題といたしましても、何かの制度をもつて青年に団体生活をさして、友愛の精神を養うことが望ましいのじやないか、こういう気持を持つております。
昭和29年11月08日 衆議院 内閣委員会
[046]
日本社会党(社会民主党) 中村高一
長官は何かの機会に徴兵制度のことについて触れて発表したことがあるようでありますが、今後防衛関係の人員がだんだん増強されて参ります場合に、当然考えられることであり、われわれはまたそういうときが来るのだろうというふうにも考えております。長官もどこかでそういうようなことを発表しておられるようでありますが、今後の自衛隊の増強と徴兵制度というものに対してどういうふうにお考えになつておられるかお答え願いたいと思います。
[047]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
徴兵制度についてはしばしばお話がありましたが私はこう考えておる。志願兵制度は一定の限度があります。その限度を越して兵員を充実しようということになれば、これは徴兵制度にまつよりいたし方がない。徴兵制度をしくについてはいろいろ議論があります。現在の憲法を改正しなくても徴兵制度がしけるのじやないかという議論がありますが、一つの筋としてはやはり徴兵制度をしくには憲法改正をしなければならない。この議論をとつて行くと、これは憲法改正を要する。憲法の改正は国民の総意によらなければならない。われわれがいくらしやつちよこばつても行くものではありません。実に憲法改正と関連性を持つておるわけであります。
しかし私は個人として考えるのに、御承知の通り終戦直後日本の青年は団体生活をする機会を失つておる。青年は一度団体生活をさせるがよろしい。われわれは若い時代団体生活をしておる。この団体生活によつて友愛の精神も、あるいは信頼の精神も、助け合うという精神も養われるのであります。若人は一度団体生活をして来ることが望ましいことだと私は考える。そうすると日本の青年が団体生活をする機会を与えるには徴兵制度が一番よいのではないか。これはもう軍備の問題は別として一度団体生活をさせてやりたいと考えております。個人として私は、徴兵制度をしいて日本の若人に一応団体生活の味わいをさせる方がいいのではないかと考えております。しかし今申し上げましたように徴兵制度をしくということは憲法の問題と関連性を持つ。これは国民の総意によらなければならない。国民がその気持になれば憲法の改正をして徴兵制度をしくのもよろしいということを言い得ると私は考えております。
[048]
日本社会党(社会民主党) 中村高一
そうするといずれ憲法を改正したいということと関連して、憲法を改正されれば徴兵令をしくことが好ましいような今説明でありましたが、私は団体生活をどうするとかいうこととは別に財政的に今後これ以上の自衛隊を増強して行く場合においては、負担をし切れないはずだと思うのですが、そういう面からお考えになつたのではないですか。
[049]
国務大臣(保安庁長官) 木村篤太郎
私は詳しい計算はしませんが、財政的の面からいえば、志願制度より徴兵制度の方が金がかからないと思います。
それと同時にもう1つは私は日本の国防はもちろん自衛隊が中心であるべきでありますが、ペンをとる者も、くわをとる者も、すきをとる者も、ハンマーをとる者もこの気持にならなければならない。日本の国を守つて平和と独立を維持しようとするには、国民すべてがその気持にならなくてはならない、これは必要であろうと考えております。
徴兵制度をしくということになれば、国防ということに関心が非常が寄せられて来るのではないか。これは私個人の考え方であります。率直に申すと、そういう気持を持つておるのであります。それと同時にこの日本の今の防衛のあり方は、自衛隊と言つておるのでありますが、申すまでもなく自衛隊には予備も後備もないのであります。これをどうするかということも真剣に考えなくちやならない。そうしてみると、この徴兵制度をもう一度再検討する必要があるのではないかと考えております。