徴兵制 2 ~ 鳩山一郎内閣(745日)

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昭和29年12月22日 衆議院 予算委員会
[130]
日本社会党(社会民主党) 横路節雄
私は総理大臣にお尋ねをしたいのです。きのう自衛隊と憲法の関連についていろいろ質疑がありましたが、私は総理大臣に率直なところをお尋ねしたいのです。これは、前の吉田自由党内閣のときの木村防衛庁長官は、今の自衛隊がだんだん増強されて行けば、必ず今の自衛隊の制度というものは限度がある、いわゆる募集制度は限度がある、必ずどこかの限界では徴兵制度を実施しなければならないと言つている。

そこで総理大臣は、一体憲法を改正して徴兵制度を実施されるような段階が来ることがあるとお考えになつておるのか、そういうことは絶対ないとお考えになつているのか、その点についてひとつ御答弁いただきたいのであります。

[131]
内閣総理大臣 鳩山一郎
現在私はまだその問題を考え中でありまして、徴兵をするというような勇気のある答弁はできない。

[132]
日本社会党(社会民主党) 横路節雄
今総理大臣から、徴兵制度を実施するという勇気のある答弁はできないとこう言う。これは勇気のあるなしではないのであります。

やはり民主党の総裁として、内閣総理大臣とし、日本の国家財政の将来からいつて、徴兵制度は実施するというのか、いまだその段階でないというのか、絶対しないというのか、その点はやはり政治上の所信として明らかにしていただきたい。

[133]
内閣総理大臣 鳩山一郎
現在の平和外交ということが成功いたしまして、戦争はもうないんだ、外国から攻撃をした場合についての自衛だけの戦争、将来の戦争は自衛だけにとどまるんだというような世の中になりますれば、それは徴兵制度というものも国民の歓迎するところかもしれませんが、戦争終了後まだ間もない今日において、徴兵制度を実施するということは不可能な状態である。それがゆえに私は現在においてそういうようなことを言うのは、非常な何といいますか、勇気と言つたのは間違いかもしれませんが、それは非常に暴論というように思われますから、慎んでおる次第であります。





昭和29年12月23日 衆議院 予算委員会
[148]
日本社会党(社会民主党) 佐藤觀次郎
私は大村長官にもう1つお伺いしたいでございます。昨日も私の方の横路委員からも質問がございましたが、実は今度の選挙におきまして、憲法改正、徴兵制という問題が重要な問題になると思うのでございます。そこで先ほど申しましたように、政府の言つておられることとわれわれが考えておつた、ここで予算委員会で追究した点とは、大分矛盾した点があつたこともわかつて参りました。

そこで私は大村長官に申し上げたいのでございますが、一体あなた方はこの現在の状態のもとにおいて徴兵制をしく意思があるかどうか、あるいはそういうような今若い青年や婦人が非常に心配しておる現在の自衛隊のあり方を見て、一体その点についてのほんとうの考え方はどうか、こういう問題についてあなたの率直な意見を承りたいと思います。

[149]
国務大臣(防衛庁長官) 大村清一
お尋ねの点は鳩山総理大臣も予算委員会においてお答えをいたしたいと記憶いたしておりますが、現内閣は徴兵制をただちにしくようには考えておりません。





昭和30年01月23日 衆議院 本会議
[006]
日本社会党(社会民主党) 鈴木茂三郎
その第一点は、憲法改正の問題であります。吉田内閣と鳩山内閣、自由党と民主党の政策の基本的な相違点は、平和憲法を武装憲法に改正して堂々と軍隊を持つかどうか、この一点にあつたはずであります。しかるに、鳩山内閣は、憲法改正と軍再備の強化は国民に不人気であることを憂慮された結果か、吉田内閣とほぼ同じような意見に内閣の見解を統一されたように見受けられるのであります。しかるに、施政方針においては、総理は、憲法調査機関を設置して現行憲法改正に依然として熱意のあるところを明らかにされております。しからば、鳩山総理としては現行憲法第9条をいかように改正しようと考えておられるのであるか、必然に徴兵制度を設けることになるのではないか、また憲法第3章の国民の基本的人権をいかように制限しようと考えておられるか、また憲法改正の時期を鳩山総理はいつごろが適当と考えておられるか、承わりたいのであります。

[007]
内閣総理大臣 鳩山一郎
憲法改正につきまして、鈴木君は、徴兵制度をとるかどうか、いつごろこれを実行する計画があるのか、防衛力云々、協力関係これはアメリカとどこまで一緒にやつて行くつもりであるかというような御質問であつたと思います。徴兵制度につきましては、今は考えておりません。いつごろが適当な時期かは、もう少し自由党が本心に返つてわが党と協力をするというようになりますれば、これは憲法改正ができますけれども、ただいまのようにまだ保守党の間において意見が一致しない限りは、憲法改正をやろうと思つてもできないのであります。御了承を願いたいと思います。(拍手)





昭和30年01月23日 参議院 本会議
[019]
日本社会党(社会民主党) 森崎隆
第4に、民主党では憲法審議会なるものを国会内に置くと言われているが、総理は、第9条を中心として憲法改正をなさんとする際、家族制度の復活並びに再軍備の一環として、徴兵制度実施の問題が財政面からも、あるいは徴募の方式からも必然的に出てくるのであります。

この問題につきまして、どういう御意見とどういう構想を持っておられるか、お伺いいたしたいのでございます。

[020]
内閣総理大臣 鳩山一郎
それから憲法改正のときに家族制度をどうする意見かというお問いでありましたが、また徴兵制度も採用するかどうかというような御質疑でありましたが、徴兵制度を採用するということはまだ考えておりません。





昭和30年03月26日 衆議院 予算委員会
[304]
日本社会党(社会民主党) 田中稔男
それでは最後に防衛庁長官にお尋ねしておきますが、防衛六カ年計画というものをおつくりになっておりまして、それがまだ防衛庁の試案の程度であって、関係各省との御折衝の過程だそうでありますが、何でもその内容によると、六カ年計画の最後、昭和35年には陸上自衛官が18万とかになる。それでその18万は、さらに私は増強される運命にあると思うのでありますが、経費の上から考えましても、また一方29年度の予備自衛官募集の実績を見ましても、その実績というのは、ちょっと申し上げますけれども、3月1日の締め切り日までに1万5000人を目標として募集しましたが、実際に応募した者はわずか1496名、1割に満たなかった、こういう状態、こういういろいろな事情を考えまするならば、日本が自衛隊を増強し、これを本格的な軍隊としてだんだん増強します場合には、どうしてもここに徴兵制度という問題が起ると思いますが、この点について防衛庁長官の御意見を一つ伺っておきたい。

[305]
国務大臣(防衛庁長官) 杉原荒太
防衛につきまして漸増、とこう言いますが、ただ漸増というだけではどこまで一体いくのか、これを一年々々というようなことでは、かえって国民の間にもいろいろと理解を得ることはむずかしいであろうと私は思います。大体少くとも5、6年くらい先のところは、どれくらいの限度を考えておるかというようなこと、それからまた一方日本の現在の防衛の関係におきまして、アメリカの駐留軍がおる、これは何といっても暫定的な措置に違いない、それでこの駐留軍の撤退を可能ならしめるその目途、そういうことを考えて、やはりここに相当長期な計画を立てていった方が私はいいと考えております。そうして、その内容につきましては、これからよく一つ検討していきたい。

それからただいま徴兵制度のことがございましたが、私今そういうことを考えておりません。





昭和30年03月31日 参議院 予算委員会
[147]
無所属 木村禧八郎
この点についていえば一番重要になってくると思いますので、大蔵大臣に今後の財政とにらみ合せて、その海空軍を重点にするところの防衛力の増強というものは、この財政力から見て、今の志願兵制度を前提として一体できるか。その点この財政の面から大蔵大臣にまず伺いたいと思います。

それから経済審議庁長官に対しては、この六カ年計画との関係、ことに経済自立の関係ですね。それから軍艦、飛行機を作るには防衛産業を育成しなければならない。どうしても防衛産業を育成するには相当な金が要ります。食糧増産1500万石ですか、六カ年計画で、それだけでも1200億円お金が要るというのです。また船舶造船の計画だけでも、あれは1500、600億円くらい要ります。そうすると防衛産業のほうにそれだけの金がつぎ込まれる。そうしたら経済自立計画の方に対する金は浮いていかない。いつまでたっても経済自立できない。

そこで金のかかる海軍、空軍中心の再軍備に移行していけば、自立経済とどうしても矛盾してくる。私はその一番の困った解決策として、徴兵制度にしますと、私は目の子勘定で計算してみましたら、今の防衛力の規模、今の自衛隊の規模で戦前のような徴兵制度をしいて、そうしてこの給料を大体戦前は公務員65円のときに、新兵さんは5円くらいでした。だから10分の1に切り下げると100億円以上浮きます。100億円以上浮くのですよ。私はそういうことが、一般にはそんなことを政府が公表したら大へんですから、作業としてやられているのではないかと思うのですよ。

そうしてなるほど今はやらぬ、やらぬと言っておりますけれども、結局これまで吉田内閣がやってきた政治のように、今はやらぬと言いますけれども、結局その情勢の変化、事情やむを得ない。こういうことによって徴兵制度をしかざるを得ない方向に、こういう再軍備の仕方をやっていれば行ってしまうのではないか。その意味で今後の日本経済の総合的な構想、見通しを立てる立場にあられる高碕長官にもこの点お伺いしたいわけです。





昭和30年04月13日 参議院 外務委員会
[212]
日本社会党(社会民主党) 岡田宗司
もう一点お伺いいたします。前に防衛庁法を論議いたした際、あるいは自衛隊法を論議いたしました際に、前の木村防衛庁長官は、大体20万くらいまでは今の募集制度でやっていけるということを言われておったのです。それからは別の方法を考えなければなるまいということを言われておった。徴兵制度とは言っておりませんが、そういうことを言われておった。

杉原長官は、この現在の募集制度というものは、これは財政上からいいましても、またいろいろな観点から限度があると思うのですが、今のような募集制度というものは大体どの程度までで限度か。これはやはり木村防衛庁長官の言いましたような20万ぐらいが限度かどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。

[213]
国務大臣(防衛庁長官) 杉原荒太
まあ今おっしゃるのはつまり志願制度の、大体志願制度にどれぐらいか、この点は今までよく、これは木村さんに限らず、ほかの方面でもそういう点をいろいろ検討した人の大体の概算として、20万か、せいぜい21、2万というふうなことが出ておるということは聞いておりますが、実は私まだ研究不足でございまして、その点また非常にこれはむずかしい問題だと考えておりまして、まだその辺の検討をするに至っておりません。

[214]
日本社会党(社会民主党) 岡田宗司
これからだんだんと陸上自衛隊をふやしていきますというと、こういう問題にそう遠くない将来において当面することになると思いますが、これはまあ防衛庁長官として、おそらく実は何らかのお考えを持っておるのじゃないかと思うのですが、その点について、あなたはこの今の志願兵制度を変える意志はないかどうか、それをあらためてお伺いしておきます。

[215]
国務大臣(防衛庁長官) 杉原荒太
今のところございません。





昭和30年04月30日 参議院 本会議
[014]
日本社会党(社会民主党) 小酒井義男
最後に私は、防衛問題について防衛庁長官に一点お尋ねをしたいのでありますが、すでに防衛六カ年計画というものの防衛庁試案はできておるはずであります。試案ができておって、予算を編成をして、そうしてこれを実行に移さなければならない、そういう段階に来たから、今急いで国防会議の設置を進めておるというのが実際だと私は思う。国防会議を作るのは、必要に迫られてやっておると思うのですから、この防衛六カ年計画の試案でけっこうですから、一つ試案の構想を御発表願いたい。

同時に、木村保安庁長官は従来自衛隊を増強する場合に、大体12万ないし13万程度が志願兵制度によって行われる限界である、これ以上を増強するとすれば、当然徴兵制度を考えなければならぬという意味のことを国会で答弁しておられる。

防衛六カ年計画、すなわち陸兵18万、海上12万トン、航空1100機といわれておる、そういうものをもし作る場合に、徴兵制度の必要はないか、志願兵制度でそれが果してやり得るかどうか、この点について一つ防衛庁長官の所見をお尋ねをいたしたい。

[017]
国務大臣(防衛庁長官) 杉原荒太
お答えいたします。

政府といたしましては経済六カ年計画に見合う長期防衛計画を作成する方針をとっておりますから、防衛庁といたしましても当然の職責といたしまして、策案をせっかく準備、研究いたしております。が、まだ防衛庁自体といたしましてもいろいろ検討を要する点が残っておりまして、固まった結論を得るに至っておりません。従って政府としての成案をまだ得るに至っていない段階でございます。

それからさらに、この六カ年計画の検討に当りまして、私らのところでは、今、徴兵制度は考えておりません。





昭和30年06月02日 衆議院 本会議
[039]
日本社会党(社会民主党) 森三樹二
なお、防衛上自衛隊の人員増強に付随する重大な問題として、鳩山総理は、かつて、憲法の改正による徴兵法の施行を考えておることを表明されました。

この国防会議において秘密裏に徴兵制度採用の意図を有しておられるのではないか、この点について、首相よりの明確なる答弁をお願いするものであります。

[040]
内閣総理大臣 鳩山一郎
それから、徴兵制度を考えているかという御質問がありましたが、徴兵制度はただいま考えておりません。



[046]
日本社会党(社会民主党) 矢尾喜三郎
総理は、昨年末の予算委員会において、自衛隊法の制定により自衛のための軍隊に対する世論がだいぶん変化してきたと言っているが、かかる不遜な言葉にわれわれは憤怒の念を押えることができないのであります。国内治安を目的とした警察予備隊が保安隊となり、三変して戦力を有する自衛隊となった事実を顧みるとき、自衛隊法制定による世論の変化は国防会議設置により必ず再変するともくろみ、既成事実の累積の上に世論をしゃにむに自家薬籠中のものにせんとする政府の陰謀を見るのであります。

国防会議は内閣の諮問機関であるというが、これは紙上の詭弁にすぎず、国民を欺瞞し、既成事実を作って、海外派兵に至り、徴兵に至って、祖国日本をして対米軍事隷属化の道に陥れるステップであると考えるのでありますが、総理の所信は那辺にあるか承わりたいのでございます。(拍手)

[047]
内閣総理大臣 鳩山一郎
海外の派兵あるいは徴兵制等の道をたどるということは、この法案によって全然関係のないことでございます。





昭和30年07月04日 参議院 本会議
[021]
無所属 羽仁五郎
第2、本法案の国会上程が、国民の間にいかなる不安を引き起しているか、首相はここに思いをいたしたことがあるか、何のための憲法調査会か。言を巧みにする者は仁すくなし、首相は、端的に国民の不安に答えたまえ。

結局徴兵制度が出てくるのではないか、結局軍事的支出のために国民生活費が、またいよいよ圧迫されるのではないか。日本の現状において自衛隊の兵隊の数をふやすことは、それだけ売春婦の数をふやすのではないか。(拍手)





昭和30年07月05日 衆議院 本会議
[021]
自由党(自由民主党) 山崎巖
第3の質問は、憲法改正と国民世論喚起の方策であります。申すまでもなく、憲法は国の基本法であり、これが改正は真にやむを得ざる場合であって、しかも、これが改正によってその基本原理がさらによりよく実現せられ、国家の繁栄と国民福祉の向上とに寄与する場合に限るべきは当然であります。これが取扱いは慎重の上にも慎重を期すべきであります。従って、かりに本法律案が両院を通過し、内閣に調査会が設置せらるる場合におきましても、これが成案を得ることは容易でなく、かつ相当の時日を要するものと考えぬばなりません。しかるに、一面、革新陣営を中心として、憲法改正反対の平和憲法擁護運動は、現実に全国に展開されつつあるのであります。この現状に対し、政府はいかに対処せんとするのでありますか、この点を伺いたいのであります。

平和憲法擁護運動なるものが、憲法改正論をみだりに歪曲し、憲法第9条の改正が、国力の許す範囲内において自衛のための軍備を認めんとするを、しいて侵略戦争の企図と徴兵制度の復活なりと独断し、あるいは青年層を――し、(「何を言うか」と呼び、その他発言する者多し)あるいは婦人層に宣伝しつつあることは、首相もすでに御承知の通りであります。かかる運動が将来の憲法改正にいかに重大なる支障を来たすかは火を見るよりも明らかなりと申さねばなりません。





昭和30年07月19日 衆議院 内閣委員会
[009]
日本社会党(社会民主党) 森三樹二
何となれば、その防衛自体は日本の将来の安危にかかわり、しかも総予算の約4分の1近いところの防衛予算を組み、さらにこれにからんで青少年の将来のいわゆる軍隊的な責任と、そうしてまた憲法改正によってこれを徴兵制まで持っていかれるというような、幾多の問題を含んでおる問題であります。国民の非常に大きな関心を持っておる問題であります。従ってあなたの政治上の責任というものは非常に重大であると考えております。





昭和30年07月28日 衆議院 内閣委員会
[166]
日本社会党(社会民主党) 森三樹二
つまり自衛のためならばこれは侵略を受けた場合にのみ、自衛権は行使せられるというような解釈をとっておられますけれども、私は憲法9条の規定の改正にからんで、先ほども鳩山総理大臣にお尋ねいたしましたが、絶対にそういうことはないと言っておられる。しかし将来海外への派兵であるとか、あるいは今日の自衛隊、いわゆる志願制度についても、国家の予算上からいっても限界がくるであろう。その意味においては、当然に徴兵法の規定をするという考え方はあなた方としてはお持ちになっておるであろう、国民大衆も大体そのように考えております。旧憲法におけるところの兵役の義務は、やはり復活するのである、われわれはこういうふうに考えておるのです。

先ほど鳩山総理は絶対に兵役法の規定を作る考えはない、かように言っておられますが、これはやはり国民を欺瞞してはいけないと思う。あなた方が自衛権の行使には、絶対に軍隊が必要だという建前をおとりになっておるとするならば、当然そこには兵役法の規定というものも考えられるのでありまして、率直なる、国民に知らしめる、あなた方の隠しどころのない御意見を承わりたいのです。





昭和30年07月29日 参議院 本会議
[079]
日本社会党(社会民主党) 田畑金光
今日の自衛隊の装備、給与、施設等は、国民生活一般に比較して高過ぎると思いはしないか、こういう質問に対しまして、高碕企画庁長官は、明確に、国民生活に比し高いと思う、これから国民生活を自衛隊の生活程度に引き上げていきたいと。話が逆であります。ここにわれわれは、今日の国力国民経済力の中から、いかに多くの非生産的費用が自衛隊の維持強化のためにつぎ込まれているか、政府自身の告白の中から明瞭にくみとることができるのであります。不当支出、国費乱費の最たるものが防衛庁であることは、会計検査院の指摘を待つまでもありません。

(拍手)

政府は徴兵制をとらず、現行志願兵制度をもって20万の兵力募集が可能であると申しておりますが、日本国民の自衛意識の高揚によるものと揚言いたしております。国民大衆をいよいよ窮乏化し、求めて職なく、生きるに生活の根拠を失った青年諸君が、やむなく自衛隊の門をくぐることを彼らは知らざるか、故意に隠蔽しているものと言わなければなりません。





昭和30年09月20日 参議院 内閣委員会
[148]
国務大臣(防衛庁長官) 砂田重政
御承知の通り、アメリカは日本に対して安保条約による協定の上において支援をしようという考えはあるのであります。しかしながらこの支援を求めるためには日本の方でも防衛に対するもう少し認識を深め、根強い防衛力を持つことが必要であります。これに応じて支援を求めるのが当然だと私は考えております。その意味から私の考えましたのは、第一に今まで日本ではあるいは警察予備隊と言い、あるいは保安庁と言い、あるいは今日の防衛庁という、わずかな間に3回も名前が変っておる。こういうふうで、もはや今日の時代においては装備であるかないかということを議論する時代は去り、また戦車を特車というような言葉で国民を欺くような言葉を用いて行くことはもう誤まりである、むしろ防衛の内容、その極限を国民をして納得せしめ、そうしてこれをアリメカに反映することによってその支援を求めるのが当然だと考えたのでございます。

従って今まで歴代の方々が考えておりましたのも、陸上部隊は18万という数で今まで出尽している案である、それを私の構想のように誤解されておりますが、そうではないのであります。従来から日本はこの線を主張して来たのを、国民にだけ知らさないできておった。私はむしろこれをはっきり声明をした方がいいと考えまして、これを18万という線を出し、そのかわりこの18万の数をもって陸上を警備いたしまするなら、日本の国は日本人の手で守りおおせて、あえて直ちに他の支援を求めなくても行けるということを考えましてその線を出したのであります。

従ってこれを装備をする暁には、陸上のアメリカの部隊はすみやかに帰ってもらうということを前提としてこの主張をいたしたのです。さらにまたアメリカの支援を求める上で一番大きな問題は、アメリカに、日本の装備で18万の数を持つことは楽であります。今日これは徴兵制度を行わずとも、今日までの実績によって、志願者でもって十分にまかない得るという確信を得たのであります、従って徴兵制度を行わず、あたかも徴兵をやって、今にも日本の国民はまた引っ張り出されるんだぞというような宣伝に乗ぜられることのないように、はっきりこの線を明確にいたしたい。





昭和30年12月03日 参議院 本会議
[003]
日本社会党(社会民主党) 岡田宗司
さらに総理はこの所信におきまして、憲法改正を強調し、わが国を真の独立国家に立ち返らせるためには、何よりもまず国の大本を定める憲法を国民の総意によって自主独立の態勢に合致するよう作り変えることが大切であると力説しておるのであります。総理を初め憲法改正論者は、いずれも日本は独立国になったのだから、占領中外国人によって与えられた憲法は改正しなければならないとうたつておるのでございますが、これは一見もっともらしい論理でありますが、実は次のごとき国民が警戒をしなければならない内容を包んだオブラートにほかならないのであります。すなわち憲法第9条を改正して、公然と再軍備を行い、徴兵制度を復活させ、軍事同盟に参加することを可能ならしめること、天皇の政治的地位を強化し、他方国民の基本的人権を制限いたしまして、一部特権者が強権的支配を行うことを容易ならしめようとする意図を包んでいるのであります。

しかもアメリカ当局は日本の再軍備を促進し、日本を太平洋における防衛機構に参加させるために憲法改正を行うことを強く要望しているのであります。本年8月末、重光外相が渡米した際、アメリカ側に、将来憲法を改正することを約束してあるのではないかと推測される節もあるのでございます。憲法改正は平和と民主主義への挑戦でありまして、わが党は平和憲法擁護のために戦い続けているのでありますが、われわれは平和と民主主義を欲する国民の支持を得まして、総理を先頭とする保守勢力の憲法改正の企図を水泡に帰せしめる確信を持っているのであります。(拍手)





昭和30年12月15日 参議院 予算委員会
[244]
日本社会党(社会民主党) 矢嶋三義
次に伺いますが、私の計算によるというと、今の陸海空の自衛隊の総人員は本年度末において19万5711名、約20万名でございます。

来年度さらに約220億円を必要とするところの増強計画を防衛庁の方で立てられているようでございますが、これは私は今の純然たる志願制度に何らかの制約を加えることが将来予想されるのではないかと思いますが、総理としては純然たる志願制度にして、この若干青年諸君に義務づけるような徴兵制の方向に一歩も進まないということを、ここで約束できますかどうか、総理に伺います。

[245]
内閣総理大臣 鳩山一郎
徴兵制度をとる意思は現在毛頭も持っておりません。

[246]
日本社会党(社会民主党) 矢嶋三義
防衛長官に伺いますが、今の私の19万5000という数字は間違っておりません。来年度人員としてどの程度増加する計画を持っておられるかということと、さようになって現在防衛大学の退学者等が激増して困っているということを聞いておりますが、純然たる志願制度で量的に質的にあなたが期待されるような人員を確保できるとお考えになっていらっしゃるかどうか、その点についての防衛庁長官の御所見を承わります。

[247]
国務大臣(防衛庁長官) 船田中
30年度の人員は、ただいまも御指摘がございましたが、自衛官が17万9000余、それから自衛官でない背広が1万6000、合計19万5811ということになっております。31年度防衛庁として考えておりますのは、自衛官が19万8000余、非自衛官が1万8000余、合計いたしまして21万6000余ということを考えております。しかしこの程度の人員の増加につきましては、志願制度で十分採用ができるものと確信いたしております。

ただいま防衛大学校の退学生が多いというお話がございました。第1期生にはかなりありましたし、また第2期生にも多少ございました。これはまことに遺憾でございますが、しかしだんだん防衛大学校の内容がわかり、事情がはっきりするに従いまして、この退学者の数は非常に減っております。今年の志願者の数等から見ましても、将来多少の増員がございましても、採用には何ら差しつかえない、かように確信いたしておる次第であります。





昭和31年02月02日 参議院 本会議
[019]
無所属 木村禧八郎
さらにもう一つは財政面から、アメリカから要求する昭和35年32万5000までに軍備を拡張するには、どうしても今の志願兵制度では財政がもたない。現在の給与は、朝の7時から午後4時半まで訓練して、食べて寝て着て6000円、自衛隊の給与は。さらに自衛隊員1人を作るには100万円かかる。

これからますます再軍備を進めるためには財政がもたないので、その面からも強制徴兵を採用せざるを得なくなってきた、財政面から。この強制徴兵と海外派兵は、現在の憲法では、鳩山首相がいかに解釈しようともできない。しかし、ただ再軍備を進める、軍備を拡張するということだけは、先ほどのいわゆる清瀬理論の解釈によって、これは国民はごまかせますが、しかしながら、海外派兵と徴兵制度は、どうしてもこれはごまかせない。これが現憲法を改正せざるを得なくなってきている、そうしてアメリカから強く要請されている、懇望されている点ではないかと私は思う。(拍手)この点をはっきりとなぜ国民に説明しないのか、私は国民をごまかすものであろうと思う。





昭和31年02月20日 参議院 本会議
[013]
無所属 廣瀬久忠
次に、徴兵問題についてお尋ねをする。私は、日本国民全部が国家防衛の義務を負うべきことを憲法上明らかにすべきであるとしておるものであります。しこうして徴兵の問題は、国会の判断によって、国の内外の情勢がこれを必要とする場合に、国会が法律をもって定むべきものであると信ずるのであります。

徴兵問題は、憲法改正後の問題であります。でありますから憲法第9条を改正し、自衛軍を持つこととしても、国家防衛の義務を憲法上設けても、必然的に徴兵制度をしくものではなく、徴兵制度存否の問題は、一に将来の国会の判断にまかすべきであると信じます。

当分その必要を私は認めません。





昭和31年02月21日 衆議院 内閣委員会
[074]
日本社会党(社会民主党) 片島港
私は第9条の改正につきましてお伺いしたいのでありますが、アメリカといろいろ公式、非公式に日本政府が話し合いをせられる場合において、アメリカの方から日本の防衛力増強についての熱意が常に述べられておるということは万人ひとしく認めております。そういたしました場合においては、わが国の現在の自衛隊をもっていたしますならば、アメリカ軍がだんだんと撤退をする、それに相応して日本の自衛力を増強して参りますためには、現在の自衛隊をもってすれば、日本の財政力及び法律的な観点から、そうアメリカの要求するような――またアメリカが要求しなくても、日本自体でもこれから先相当の増強をするということは困難であろうと思います。財政的にも法律的にも困難であろうと思う。そういたしますならば、どうしても財政的にゆとりのできるような方法を考えなければならぬし、法律的にもそれが可能なような体制を作らなければなりますまい。

そこで先ほど茜ヶ久保君の質問に出て参りましたのは、こういろ観点からすれば、それは首相がどういう考えでおろうとおるまいと、徴兵制度以外には相当大幅な増強ができないということは、これはいかなる人といえども了解しなければなりません。船田長官が言われたのも私はもっともだと思います。おそらく私は徴兵制度ということも数々の首相のまぼろしの中の一つに入っておると思うのでありますが、この点を明確にしておいていただきましょう。

[075]
内閣総理大臣 鳩山一郎
ただいま、先刻申しました通りに、徴兵制度のことは考えておりません。





昭和31年03月08日 参議院 予算委員会
[220]
日本社会党(社会民主党) 亀田得治
で、いろいろこれはありますが、端的に2つのことを総理大臣にお聞きしたい。それは鳩山総理は憲法第9条を改正して、1つは海外派兵、1つは徴兵制をしく、この2つのことを目的にしておられる、私はいろいろな角度から総合してこう考えておるのですが、どうでしょう。

[221]
内閣総理大臣 鳩山一郎
憲法を改正して徴兵制度を作るという意思は持っておりません。また海外派兵をするというような考え方も持っておりません。憲法を改正いたしましても、現在の憲法の基本方針を捨てるつもりはないのです。平和主義なり、主権在民主義なり、基本的人権なりを捨てるというような考え方は持っておりませんので、ただ自衛隊というのについて、自衛隊が持てるか持てないかということが疑惑の焦点になっておるわけでありますから、それで自衛隊も自衛の目的のために兵力は持てないというように、憲法の成文にはそういうように見えるような条項があるのでありますから、自衛のためならば、正当防衛のためならば軍隊が持てるということを明確にした方がいいと思うので、憲法9条の改正をしたいと、こう考えておるのであります。





昭和31年03月09日 参議院 予算委員会
[216]
無所属 木村禧八郎
それでは最後に伺いますが、総理大臣は亀田氏の質問に対して最初にこういうことを言っていましたが、自衛隊の人自身がわれわれは国を守る軍隊だというような自信を持つ方がいいと思って憲法9条を改正したい、こういっております。このことはどういうことなんですか、具体的に自衛隊の人自身が国を守る軍隊だというように自信を持つ方がいい、そのために憲法を改正したいのだ、これは言いかえれば徴兵制度を今後行うについて、やはり自衛隊の人が自信を持ってこれは憲法違反でないという考えにならなければ、これは強制徴兵はしけない、そういうところからきているんじゃないですか。

従って今度の憲法改正の問題は、総理自身の答弁からいえば、自衛隊は憲法違反ではないと言っているのですから、憲法9条を改正する必要がごうも認められないのに、憲法9条を改正する、すると言っているのですが、その裏にはどうしたって海外派兵と徴兵制度、こういうものをやるには、今の憲法を改正しなければどうしてもできないので憲法改正をする、これが真意ではないですか。

そうして今の日本の軍隊はもう着々とそういう方向に現実が進んでいってしまっている、攻撃兵器にどんどんこれが移行していっている、もう今の憲法ではこれをまかなえない、それでちょうど底から袋が破れるように吹き出て、総理がたびたび失言する。現実が憲法違反をどんどん犯しているものですから、それを合理化しようと思って総理がそういう失言をたびたびされる、ここに真意があるのではないですか。

[217]
内閣総理大臣 鳩山一郎
私は攻撃戦争というようなことを考えません。なお従って、徴兵制度ということも、昨日も申しました通りに絶対に今は考えていない。



[334]
自由民主党 平林太一
しかし憲法改正の問題が今日世論になっておりまするにつけましても、その主たる目的はいわゆるこの自衛隊が変って再軍備をするのだ、それが世論の常識であります。再軍備をすれば徴兵制度が勢いしかれるであろうというところに非常な疑心暗鬼と憂慮が払われておる。





昭和31年03月22日 衆議院 内閣委員会
[208]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
はなはだあやふやなお考えを大臣は持っておる、国民の忠誠を信頼しておられるような印象を受けたわけであります。清瀬さんと同じように国民の忠誠を信頼するということになっておるようですが、私はこの自衛隊の将来の問題は、国民の上に精神的にも非常に影響を与えると思うのですが、志願兵制度の限界というものはもうおおよそ世界的にはっきりしてきていると思う。徴兵制をどの辺からしくかということも、各国の歴史の上からはっきりしていると思うのです。日本の現状においてという意味ではなくて、一応世界のそうした徴兵制、志願兵制の制度の上における歴史上の立場から、あるいは現在における国際的な情勢から、日本の場合には志願兵制度の限界線がどの辺にあるかという見通しをお持ちでございましょうか。

[209]
国務大臣(防衛庁長官) 船田中
今後国防会議等ができましたときに十分検討をいたします。

[210]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
国防会議がというような先の問題ではなくて、現実に防衛の責任者として志願兵はどの辺までで限界がくるかというようなことをお持ちにならぬようでははなはだたよりないことになる。木村前保安庁長官もはっきり言明しておられるのだが、大体において日本の自衛隊を志願兵から徴兵に切りかえるのは22、3万だと言っておりますが、前木村長官の言葉はあなたとしては絶対にお退けになられるかあるいはあなたの御見解としてはいかなるものを持っておられるか、御答弁いただきたいと思います。

[211]
国務大臣(防衛庁長官) 船田中
防衛庁試案として持っております陸上18万その他予備自衛官2万といったような、最終の目標は35年度にきまっておりますが、それらの達成のためには私は志願兵で十分間に合うと考えております。

[212]
日本社会党(社会民主党) 受田新吉
そうしますと昭和35年に海上、陸上、空軍を合せて大体22、3万になりますから、35年の目標は一応志願兵制度の限界線であるというふうに解釈してよろしゅうございますか。

[213]
国務大臣(防衛庁長官) 船田中
それが限界線であるかどうかということは、十分研究してみなければわかりませんが、少くも35年度に達成せんとしておる最終目標を達成するためには、志願兵制で十分間に合う、かように考えておる次第であります。





昭和31年03月26日 参議院 予算委員会
[007]
無所属 木村禧八郎
さらにまた今の自由志願制度、こういうのが、防衛六カ年計画をやる場合、攻撃型の再軍備には非常に金がかかりますから、将来強制徴兵によって安い費用によって再軍備せざるを得ない事態に今おかれているのです。財政面から強制徴兵せざるを得ない。





昭和31年03月28日 参議院 本会議
[005]
日本社会党(社会民主党) 森崎隆
次に、改憲の基礎準備といたしましての小選挙区制の点についてお尋ねいたします。今日自衛隊は35万の拡張を強調するアメリカの意図にもかかわりませず、現在の20万という数は、募集手続の問題あるいは財政上の面から見ましても、すでに限界にきておることは一般の認めるところでございます。これ以上の拡張には、どうしても憲法を改正して、正規の国防軍を編成し、一挙に徴兵制度へ突入しようとするのが政府の意向であるということは明らかでございます。憲法は改正したいが、徴兵制度はしかないというのはこれはうそである。

再軍備を行なった後に一般徴兵制度を確立するという二段がまえ戦法というものは、政府の詭弁にもかかわりませず、すでに西ドイツでもとられておる方法でありまして、断じてだまされるものではないのでございまするが、それならばそれで、堂々と何ゆえにその趣旨を一般に発表なさらないのか。

憲法改正には国会の3分の2以上の勢力が要るのだ。衆議院では3分の2以上の議席は現在の選挙法ではとても取れないから、これを改正してやるのだ、そうして社会党の勢力を駆逐してやるのだ、どうぞ大向うの御賛同をいただきたいと言って、全国民にはっきりと堂々と主張されないのか。それがよきにしろ、あしきにしろ大政党のとる態度であると私は考えるが、良心的にこの問題につきましてはお答えを願いたい。こそくなる人間は奸智を弄して、事の真相を発表せずして暗々裏に事を運ぼうとする、これ小人の常でございます。憲法改正の準備措置であるか、いなかにつきましては、とぼけないで、はっきり言ってもらいたい。





昭和31年03月29日 衆議院 本会議
[028]
無所属 中原健次
本法案反対の第3の理由は、政府、与党の憲法改正の真の目的が、徴兵制と海外派兵を内容とする再軍備の強化及び天皇制など、旧制度の復活にあると信ずるのであります。(拍手)明らかにその方向が改悪にある点でございます。

先般、鳩山総理を初め、政府、与党の諸君が、われを先にとダレス長官にお会いになられたようであるが、その際、ダレス氏は、日本の現在の憲法がある以上海外派兵は許されないであろうという意味の発言をいたしたかのように承わっておるのであります。当時、新聞紙も、注意深くこの点について報道いたしております。その上、ある閣僚は、ダレス氏に向いまして、それならば、なぜ占領期間中に憲法を改めておいてくれなかったかなどと、実に許しがたい発言をいたしておるのであります。(拍手)笑止千万というより、全く奇怪しごくであります。これによっても明らかなように、まさに今次の憲法改正は━━━━━━━━━━━━━━━━ほかならないのであります。

(中略)

31年度防衛関係費を分析してみますと、空軍最優先、次いで海軍の順となっておるのであります。再軍備は、いわゆる自衛型から攻撃型へと、その編成の転換を行なっておるのであります。また、防衛庁経費のうち、軍需調達予算の占める割合を見ますと、29年度の18.7%、30年度が21.8%、31年度はさらに飛躍をいたしまして、25.7%と相なっております。財界の有力グループは、これを3、4年の後には50%程度までに引き上げようと画策いたしておるようでありますが、かくて、徴兵制は、単に募兵上の必要からのみではなくして、このように財政上の人件費を圧縮する上からも必要とされる情勢になっている。これが、徴兵制と、そのための憲法改悪を政府、与党があせる最大の理由であると断ぜざるを得ないのであります。





昭和31年05月02日 参議院 内閣委員会
[285]
日本社会党(社会民主党) 田畑金光
今はなるほど自衛隊というものは募集でできるかもしらん。募集でたくさんの自衛隊が集まってくる。集まってくる原因は何かというと、これはまた別の論議ですが、ところがもし30万の軍隊を作りたい、募集しても集まってきない、こうなってきますと、最小限度の兵隊を集めるために何らかの方法を講じなくちゃならん。それは今の志願兵制度でいけない、義勇兵によっても満されない、こうなって参りますと、どういう方法をとるかということになってきようと思うのです。結局そこに徴兵という問題が出てくるわけです。それは徴兵法というものになってきましょう。法律を制定するとうことになってきましょう。

こういうようなことが出てきた場合ですよ、これはどういうことになるのですか現在の憲法のもとにおいて、あなた方は今後憲法を改正するならば、国防に協力する義務、これをうたおおというのです。この国防に協力する義務というものは何かというと、あるいは今あなた方志願兵制度だと、こう言うかもしれないけれども、しかし、いやしくも憲法にうたった以上、国民は当然その祖国を防衛する義務があるのだ、その祖国を防衛するというのは憲法以前の問題だ、民族が独立をする、民族が自立をする場合には、国防に協力する義務は憲法以前の問題である、こうなって参りますが、ちょうどあなた方が憲法第9条がありながら自衛隊、自衛権、こういうようなことは憲法以前の問題であるという考え方からして、9条をどんどん拡張解釈すると同じように、国防に協力する義務というものを憲法にうたってくると、当然そのとき予想されることは、憲法以前の問題じゃないか、こういう考え方から徴兵という問題等が起きてきよう、これは必要のコースだと、こう思うのです。

でその以前においてもし現在の志願兵制度によって最小限の兵力が募集できん、たとえば20万も集まらない。現に吉田内閣のときの木村防衛庁長官の国会での答弁を見ますると、たとえば20万までは志願兵制度でいけるけれども、あの当時18万でしたか、とにかくそれ以上志願によってはむずかしい、こういう答弁をなされていたわけなんです。あの当時の国民の気持においては、あるいはあの当時の客観的な情勢においてはそのような見通しが妥当だったと思う。ところが最近は意外に兵隊に応ずる青年がふえてきた。これは結局貧乏政策のゆえにです、食えないで集まってくるのです。再び戦争というようなことがあってごらんなさい。これは私はほんとうにあの人方がどれだけ郷土や祖国を守る最後の関頭まで決意し得るかということは、私は非常な疑問だと思う。これは要するに長い間のデフレ政策による失業問題や貧乏政策の結果だと、こう思うのです。そういうふうに考えてみたときに、これは法律によっても徴兵というような問題等はできるのだという解釈にあなた方は立っておられると思うのですが、この点はどうですか。



[288]
衆議院議員(自由民主党) 山崎巖
憲法の前文なりあるいは9条の精神につきましては、ただいまの田畑さんのお説は大いに傾聴すべき点があると思います。ただ、たびたび繰り返すようなことになりまするけれども、憲法第9条は自衛権並びに自衛権に伴う自衛力の強化を禁止していないというのが私どもの解釈であり、またこの解釈につきましては相当の賛成もあるわけであります。

また憲法政正を私どもがこの9条について考えておりまするのは、今の自衛隊の前身、すなわち警察予備隊の設置以来、保安隊の設置の場合にも、また自衛隊の増強のたびごとに憲法9条違反じゃないかという講論が国会内におきましても、また学界においてもあるわけであります。こういう点もこの改正の場合には十分検討の価値ある問題じゃないかという点で、問題点として掲げているわけであります。

なお、国土防衛の義務というようなことも、われわれの憲法研究の段階でいろいろ研究いたしております。むろんまだ結論は得ておりません。しかし国土防衛の義務は徴兵義務を意味するものではないのでありまして、徴兵制度をとらないということは、わが自由民主党におきましてはすでに立党の政策にも明らかにしている点でありまするから、その点は御了承を願いたいと思います。





昭和31年05月09日 参議院 内閣委員会
[130]
日本社会党(社会民主党) 吉田法晴
それではもう一回重ねて聞きますけれども、それでは徴兵制度の、これは国民皆兵というか全面的な徴兵制度、あるいは選抜徴兵制にしても、徴兵制度を全然実施するつもりはない、そういう意味のことを意味するような根拠になるような9条の改正はやらぬ、それから兵役の義務がそこから出てくるような憲法の改正というか、条文書くつもりはない、こういうことなんですか。

そうするとそのほかに残るものは何と申しますか、先ほど来お話がございましたが、急迫不正の侵略の場合に国民が国土を防衛するその他の義務ということになる。あるいはそれは竹槍を持ってあれするのか、ほうきを持ってするのか、バケツを持って走りかけるのか、しりませんけれども、とにかく何といいますか、法律によってその具体的なあれは規定をするでしょうが、兵役の義務の残す国土防衛の義務というものを規定したい、そうするとたとえば今自衛隊なり何なりについて精神的な支柱がない云々という話がありますが、それとこの憲法の改正とは関係がないのだ、少くとも国土防衛義務という点から言いますならば、自衛隊の精神的な支柱がないから云々ということからくる国土防衛の義務とか、そういうものを規定する考えはないのだ、こういうことなんでしょう、もう少し明らかにしていただきたい。

[131]
衆議院議員(自由民主党) 山崎巖
私ども、国土防衛の義務というのは、繰り返して申し上げますが、徴兵義務を前提として考えておることではございません。

ただ、国土防衛は国民が防衛に当るということが、私どもは道義的にも当然考え得られる問題である、こういう点を検討しておるわけであります。ただ徴兵の義務ということになりますと、これは非常な重要な問題であります。また先ほどもあげましたように、各国の憲法を見ましても、徴兵の義務ということは特に一条を掲げておる憲法もあるわけであります。そういう点も、徴兵の義務ということをかりに考えるとしますならば、私は国土防衛の義務のほかに、憲法におきましてもあるいははっきり別に規定を設ける必要があるいは起りはしないか。

私どもは少くとも徴兵の義務ということを前提としてこの防衛の義務を考えておらないことをはっきり申し上げたいと思います。





昭和31年05月15日 参議院 内閣委員会
[005]
日本社会党(社会民主党) 千葉信
この国会におきまして、急迫不正の侵害が行われた場合にその基地を攻撃することができるという首相の答弁は、従来の態度、海外出動は行わないと答弁し続けてきた従来の態度から見ると、憲法第9条等に対する拡大解釈、しかしこれは憲法第9条の拡大解釈というよりも、追いつめられた条約上の義務から逐次既成事実を積み上げて行こうとする政府の隠謀にほかならないと断言して私ははばかりません。すなわち改正を要するその最大要因は、政治的には条約で、軍事的には強大なアメリカ海空軍の駐留、経済的にはドル支配を通じ日本を羽がい締めにするアメリカの極東政策からくるものであります。すなわち新しい戦略態勢に切りかえたアメリカの国防態勢の上から、海空軍についてはあくまでも増強し、地上軍についてはアメリカの同盟国の増強に期待するというその戦略態勢の中における隷属の状態、地上軍の大量供与がそのまま日本の増強計画となっていることを思いましても一目瞭然でございます。

現憲法下でもかかる条約の存在する状態、この状態のもとでは海外派兵を拒否しきることのできないおそれのある条約をつぎつぎと重ねてきた吉田内閣以来の保守党政権、保守党内閣が憲法改正によって企図しているのは海外派兵、徴兵制度の強行であることはもはやおおい得ない事実と見なければなりません。





昭和31年05月16日 参議院 本会議
[052]
日本社会党(社会民主党) 松浦清一
私は、今ここで防衛六ヵ年計画の有無については、とかくの議論をしようとは思いません。しかし、今日までのように1年に2万2000平均で自衛隊を増強して行くといたしまするならば、これから10年すれば、日本の軍隊は43万の堂々たる軍隊となるのであります。私のこの反対討論は記録に残され、10年先きも残されて行くのであります。従って私は、憲法調査会法案反対討論をするに当って、いいかげんなことを言うわけには参らぬのであります。

第9条が提案者が欲するがごとくに改正されまするならば、このことは必ずその方向をたどって、志願採用では間に合わなくなり、徴兵制度がとられ、また世の母たちを泣かせることになるのであります。水素爆弾の谷間で、日本の民族は滅亡するのであります。これが第9条改正反対の2つ目の理由であります。(拍手)





昭和31年06月01日 衆議院 本会議
[010]
日本社会党(社会民主党) 正木清
鳩山内閣は、さらに徴兵制の施行と、アメリカの要求による海外派兵を可能ならしめるために、憲法改悪を実現化ようとして、この目的のために手段を選ばない暴挙をあえてしたのであります。(拍手)

小選挙区制の提案が、すなわちこれでございます。(拍手)

一切の良識ある世論を無視いたしまして、無理、非道を承知の上で小選挙区制を強引に押し通そうとしたことは、自民党の一党独裁確立と、憲法改悪を目的としたものであることは、火を見るより明らかでございましょう。(拍手)

(中略)

鳩山さん、憲法第99条は、国務大臣に対して憲法を尊重し擁護する義務を課しているにもかかわらず、総理は陸軍も持たない、海軍も持たない、飛行機も持たないという憲法には反対なのであります、と言っております。(拍手)

法治国の首相としてあるまじき言葉を吐いておるのでありまして、以上のような事実は、鳩山内閣の意図する憲法改悪が、すなわち、アメリカの要求する徴兵、再軍備、海外派兵を目ざしておるものといわざるを得ません。(拍手)



前略と後略は省略、旧字は新字に変換、誤字・脱字は修正、適宜改行、
漢数字は一部アラビア数字に変換、一部括弧と句点を入れ替えています。
基本的に抜粋して掲載していますので、全文は元サイトでご確認ください。