検索語「シージャック」を国会会議録検索システムで検索
昭和45年05月13日 衆議院 運輸委員会
[010]
自由民主党 加藤六月
政務次官、いま経過を一通り承ったのですが、けさの模様ですね。われわれの聞くのは、広島に回航したところまでしかないわけなのでございます。いま御説明いただきましたのですが、ちょっとけさの9時何分前後における模様が詳しくわからなかったものでございますから、ぷりんすが広島に着いてからいまに至る模様をちょっと詳しく御説明いただけませんでしょうか。
[011]
政府委員(運輸政務次官) 山村新治郎
広島に着きまして、ちょうどこの委員会が始まる直前に私ども報告を受けたのでありますが、その後もいろいろニュースその他が入ってきておると思いますので、政府委員からそれを詳しく説明させます。
[012]
説明員(海上保安庁警備救難部長) 貞広豊
ぷりんすは8時54分に桟橋に着いたのであります。そのときに、付近に巡視船が12隻ずっと警戒して固めておりました。犯人はその近い巡視船に対してライフル銃で3、4発撃ちまして、それぞれ、たかなわという巡視船と、いぶきという巡視船に1発ずつ当たりましたが、たいした被害はございませんでした。
その後、説得につとめまして、9時51分になりまして警察官が狙撃をいたしまして、犯人が倒れて、52分に逮捕した。直ちに救急車でもって病院に送った、そのように連絡を受けております。
[035]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
今回のシージャックに関しまして、海上保安庁並びに瀬戸内海汽船等がとった態度は、おおむね良好であったというように私は判断をいたしておりますけれども、事件が決着を見た今日、反省するものがあるとするならば――まだ時間がたっておりませんから、省議その他も開かれておりませんので、的確なお答えはできないかと思いますけれども、もし反省するものがあるとするならばどういうものがございましょうか。次官並びに海上保安庁から伺いたいと思います。
[036]
政府委員(運輸政務次官) 山村新治郎
今回の事件というものは、この前の先般起こりましたよど号の事件等と違いまして、計画的なものではなくて、突発的に起こったものと私は考えておりますし、それで、これにつきまして、この突発的に起こった事故というより、今度の強奪事件、これは、挙動不審者、これらに対するいわゆる警察における連絡体制の緊密化、これがはっきり申しまして少し欠けておったんじゃないか。
今回山口県に起きまして、そして広島まで来た、そこらの経過はどういうぐあいになったか、まだ詳しい報告がきませんのでわかりませんが、まずこれらをもっと緊密な連絡を保って、そのような事故が起こらないように、いわゆる凶悪犯人といわれた指名手配等の人間に対しては、もっと緊密に連絡をとって、完全にこれを逮捕してくれというような線をもつと強く出さなければならない。
また、海運会社等に対しましては、いわゆる自衛措置、これを今後とるようにしていかなくちゃならないのじゃないか、私はそのようなぐあいに考えております。
[037]
説明員(海上保安庁警備救難部長) 貞広豊
いま運輸政務次官から申されましたことについて、さらにつけ加えて述べさせていただきますと、平素から私どもにおいては情報収集を活発に行ないまして、そういった者の動きを早くつかむということと、事実そういうことが予想されるときには、海上保安官を桟橋等に配置する、あるいは警察に連絡して協力体制をしくということを考えております。それからなお、必要あれば巡視船艇によって護衛をするというようなこともございます。
しかしながら、今度のような事件にかんがみまして、何と申しましても海運会社の担当の方と、こういった場合にはどのようにするかというふうなことを、いわゆる自衛措置について十分緊密に連絡をとって指導してまいりたい、このようにいまのところ考えております。
[038]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
いま次官からも御答弁がございましたけれども、警察庁の関係に伺いたいわけでありますが、この犯人川藤は、山口県において3人組をもって検問の巡査に立ち向かい、新聞によって報道が違いますけれども、ナイフで脅かしたというものもあれば、このときすでに猟銃を持っていたというような記事もあるわけでありますけれども、いずれにしても、山口県で盗んだ車に乗り、検問にひっかかり、この検問で1人の少年は逮捕されておりますけれども、2人は突破をいたしておるわけであります。この辺の事情がどのようなことが真相であるのか、お調べになって結果は出ておるのでございましょうか。
[039]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
お答え申し上げます。
5月11日の午前0時ごろ、山口県の山陽町の国道2号線の三差路で、ただいまお話のありましたとおり、山口県警の特別機動警ら隊の山陽検問所勤務の警察官3名が検問をいたしておったところ、3人組の男が乗車する不審の乗用車が参りましたので、これをパトカーで50メートルほど追跡をしまして、そして停車を命じ、近くの駐車場に誘導いたしまして調べましたところ、この自動車は博多駅で盗んだものであるということが判明いたしました。
そこで自動車並びに乗っている者を近くの検問所へ連れていこう、こういうことで、1人の警察官は、この乗っておった犯人の1人をパトカーに乗せまして連れていく。
それからもう1人の警察官は、犯人たちが乗っておりました自動車の運転台に乗って、自分がこれを運転をいたしまして検問所へ出発せんといたしましたところ、後部座席にすわっておった被疑者川藤が、いきなり猟銃をこの警察官の後頭部に突きつけまして停車を命じ、体をかわそうとした警察官に、もう1人の被疑者が横におりましたのですが、やにわに刃渡り6.5センチの切り出しナイフで切りつけてまいったわけであります。
そこで格闘となりまして、この警察官は左の胸部に全治2週間の傷害を受けましたが、一応被疑者の凶器をもぎ取ったわけでございますが、そのすきにこの2人の被疑者の乗っておった車は逃走した、こういう状況でございます。
[040]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
そうすると、山口県で盗難車に乗っていた当時、すでに猟銃を携帯しておったという情報が正確でございますか。
[041]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
そのとおりでございます。
[042]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
そして今度は広島へあらわれて、やはり警官に発見をされておるわけでありますけれども、このとき、警察官はピストルをもって威嚇射撃をした。
ところが、逆におどかされて警察官がピストルを取られておる。しかも警官はその際、万一のことをおもんぱかって、弾倉に入っているたまを4発抜いて渡しておる、おどかされて。しかも相手は猟銃を持っているというようなことで、非常に危険な立場にあったことはわかるわけでありますけれども、ピストルをよこせ、やらぬ、じゃからならやる、いやたまもよこせ、というようなやりとりがあったように想像できるわけでありますけれども、自分の携帯しているピストルを強奪された、というよりも、納得ずくで渡したというようにしか新聞報道では考えられません。
何となれば、たまが入っているから、そのままよこせ、いや、あぶないからということで、たまを抜いた、そして渡しておる。そうしたら、その抜いた4発のたまもよこせということで、それも渡しておるというような記事にしかとれないわけでありますけれども、いささかゆうちょうではなかったかというように思うのですが、これはまだ時間も経過しておりませんので、確実な情報は入っていないと思いますけれども、その辺のやりとりはいかがでございましたでしょうか。
[043]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
現在まで入っております報告をもとにして御報告申し上げますと、5月12日の午後1時56分ごろ、広島の住民の方から、岩鼻踏み切り付近の山の中に2人の男が猟銃を持って寝ているという旨の110番がございまして、その110番を受けまして直ちに、出動しておりますパトカーにそちらへ行くように指示をいたしたわけであります。そして現場に着きましたのは、パトカーがまず2台この現場に着いたわけでございまするが、その付近は山になっておりまして、着きました2台のパトカーの乗員が2組になりまして、そして山へ犯人を探しに登ったわけでございます。
問題の迫井巡査ともう1名の者が1組になりまして、そうして山のほうへ向かって登っておりましたところが、途中でこの道が二手に分かれておった、こういうことで、2人で相談をしまして、1人は一方のほうへ、迫井巡査はまた別の道を行ったところが、迫井巡査が行きますと、500メートルほど先のほうに道路がありまして――道路というのは、上のほうから来たときに道路があったようでありますが、そこを被疑者らしい者が2名歩いておったのにぶつかって、急いで同僚の巡査に声をかけたわけでございますが、何しろ山でございますので声が届かないし、それで、このままでおったのではまた見失ってしまうということで、自分はその下の道のほうへおりていった。
そしておりましたところ、そこへたまたま軽四輪の貨物を運転してきた方がおりましたので、あれを追跡するから乗せてくれということで、それに乗せてもらって前方の被疑者のほうへ行きまして、被疑者の約10メートルほどうしろで停車して、職務質問をかけようとしたわけでございます。
ところが、その軽四輪車は警察官をおろすと同時に、さらに発車して被疑者のほうに向かったわけでございますが、やにわにその軽四輪車をとめまして、その運転をしておりました方に猟銃を突きつけまして、そうして拳銃を捨てろ、捨てなければこの男を撃つ、そういうふうに言ったわけでございます。警察官は、ばかなことをするな、銃を捨てろ、捨てなければこちらも撃つぞと、再三にわたって言ったわけでございますが、相手はますます激高して――さらに1発警察官が威嚇射撃をしているわけでありますが、あるいはこれも被疑者を激高させたことになったかと思いますが、その運転をしておった方のこめかみに猟銃を突きつけまして、おまえが拳銃を渡さない限り殺すぞといって、いかにも殺しそうな様相であったので、警察官は、これ以上あれしてはその運転者の方の生命があぶないということで、まずたまを抜いて拳銃だけ下に置こうとしたのでありますが、それじゃだめだ、荷台のところへ拳銃を出せ、こういう要求です。そこで拳銃だけを荷台のところへ出した。ところが、たまもよこさなければだめだということであったので、やむなく出した、こういうふうに報告が参っておるわけでございます。
[044]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
途中ですけれども、その後の犯人逮捕の状況等入ったようでございますので、新しい情報があったらお伝え願います。
[045]
政府委員(運輸政務次官) 山村新治郎
ただいま入りました犯人逮捕の状況を御説明申し上げます。
けさ午前9時47分から16回にわたりまして、南警察署長の名をもって、犯人に対し、川藤君に警告する、むだな抵抗をやめよ、銃を捨てて出てこいと警告した。犯人は警告のたびに陸上に向かって発砲した。
9時50分に客船ぷりんすが後進で桟橋を離れようとしたとき、警察官が1発発射し、たまは犯人の腹部を貫通し、犯人はその場にくずれるようにすわり込み、同時に警察官が乗り込み逮捕した。これが9時52分でございます。
以上でございます。
[046]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
事情はわかりました。結局、通りかかった民間の車を巡査が借りて追跡に移った。そうしてつかまる寸前に、今度はその民間人を人質にしてピストルのやりとりをやった。、こういうことでございますね。まことに凶悪だと思います。
その次に、その後、広島の銃砲店へ入っていき、情報によれば、ライフル銃、散弾銃を奪取した。先ほどの当局の資料にもそういうことが書いてございます。
そうしますと、犯人は最終的には、山口から持っていった猟銃1丁も含め、ライフル2丁と猟銃2丁を持って、しかもおまわりから取り上げた拳銃、これだけ持ってぷりんすに乗り込んだということになりますが、それが正確でございましょうか。
[047]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
仰せのとおり、最初から盗んで持っておった散弾銃1丁、それから広島の銃砲店でライフル2丁と散弾銃1丁ですから、猟銃合計4丁、それから拳銃1丁、こういうことになっております。
[048]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
この「犯人川藤は、ライフル銃2丁(弾80発)猟銃2丁(散弾315発)、けん銃1丁(弾5発)を所持し」という、この猟銃2丁のうちには、山口県当時から持っていた猟銃1丁が含まれている。そして広島の銃砲店で盗んだのはライフル銃2丁と散弾銃1丁、こういうことなんでございましょうか。
[049]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
お話のとおりでございまして、ライフル銃2丁及び猟銃1丁を広島の銃砲店で盗んだわけでございます。それ以外に、別のところですでに猟銃――これは散弾銃でございますが、1丁を盗んで持っておったわけでございます。したがいまして、猟銃は2丁、ライフル銃は2丁、ほかに警察官のピストル1丁、こういうことになります。
[050]
日本社会党(社会民主党) 斉藤正男
あまりにも重武装でございますので、驚き入った次第でございますけれども、いまの広島の山中における三叉路をパトカーのおまわりが1人1人に分かれたというようなこと、少なくも相手は猟銃を持ち、凶悪犯と見るべきでありますけれども、まあ犯人逮捕の使命感に燃えて2人が1人1人になったということはわかるわけでありますが、それにしても、やはり凶悪犯を追跡する巡査の立場としては少し手ぬかったではないかというような気もいたします。しかし、これは当委員会の本格的にお尋ねする問題でもございませんので、今後警察庁としても大いにこういう点は御勉強をいただきたいというように思うわけであります。
いずれにいたしましても、ハイジャックに続いてこの事件、今後まだいろいろ予想をされるわけでありまして、当局におきましては十分な配慮をいただかなければならぬというように考えておるわけであります。さればといって、これがやはりいたずらな船内警乗だとかいうようなことになっても、これはまた行き過ぎの声も出るでありましょうし、非常にむずかしい問題を含んだ、御時勢とはいえ頭の痛い問題である。お互い私どもも今後勉強していかなければならぬ問題であろうと思うわけでありますけれども、最後に次官から、こうした人質を大勢かかえて、しかも非人間的な、非人道的な行為をする犯罪というようなものの対策につき、心がまえを伺いたいと思います。
[051]
政府委員(運輸政務次官) 山村新治郎
ただいま先生おっしゃいましたように、今回のいわゆる船舶の奪取事件、そして先般の航空機の奪取事件、これはほんとうに私は許すべからざることであると思うのであります。一般の何の罪もない人々を人質にとりまして、そして自分の身の安全をはかる、私はほんとうに許してはならないことであろうと思います。
先般も、実は航空法の一部改正のおりにおきましても、船のほうにも手をつけたらどうだというような話もあったわけでございますが、船となるとなかなか広範囲にわたって、どこまでが船舶でということそれ1つを取り上げても、少なくともいわゆる航空法のように煮詰まった問題ではございませんので、また多くの日数を要する、とりあえず飛行機のほうにだけいわゆるハイジャックの防止という意味でやったらどうだというところでございまして、もちろん今後は船舶そのほかあらゆる乗りものを含めましての、いわゆる人質をとって自分の目的を達成するなどという、このような卑劣な手段は絶対に許してはならないと思いますので、今後また先生方各位におかれましてもいろいろ御指導をいただきながら私どもやってまいるわけでございますが、あらゆる面におきまして、人質をとってということは、これはやはり誘拐をするというにひとしい悪らつな事件であると思うのでございます。
今回の事件、これが続いて起きたわけでございますので、これを教訓といたしまして、1日も早くあらゆる面で――あらゆる面と申しますのは、飛行機、船に限らず、乗りもの、またそのほか家において、部屋の中に入って人質を取ってというような問題も含めまして、そういうようなことを絶対に許してはならない、あらゆる方法というものを講じていきたい、そのようなぐあいに考えております。
[058]
公明党 松本忠助
次に、警察の関係でございますが、保安部長に伺うわけなんですが、警察庁長官といたしましては、まず最初どのような処置をとられたか。
報告を受けたときに、末端に対して、あるいは中国関係の県警、そういうところに対する指示はどのようにされたか、この点を伺っておきたい。
[059]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
お答え申し上げます。
長官の指示は、まず、乗客の生命をあくまでも守ることを第1とするということ、これが第1点でございます。
それから、犯人の逮捕にあたってはしんぼう強く、急がないでこれに当たる。
それから第3点は、万やむを得ないときは犯人を射殺してもこれはいたしかたがないから、その決心で事態の処理に当たるようにということを指示いたしたわけでございます。この点につきましては、国家公安委員長とも十分連絡をいたしまして、そして指示をいたしたわけでございます。
[060]
公明党 松本忠助
場合によっては犯人を射殺してもやむを得ないという御指示、もちろんこれは最高幹部と十分な連絡をとられた上で出されたことと思いますけれども、その前の山口事件発生以来、非常に凶悪であるということから当然の処理だと思うわけでございますけれども、私の記憶では、40年の何月でございましたか、7月ごろでございましたか、渋谷でこのような銃砲店にやはり警察官を射殺した者が飛び込んで、その銃砲店の中に立てこもって、そうして銃砲を奪って、人質を取った事件があった。このような事件が記憶にありますが、今回もやはり銃砲店に飛び込んで、そうして猟銃をかっぱらっている。それも今回は更衣室に追い込んだ。そうして銃砲店から奪取したわけでございますけれども、銃砲店におけるそういう危険な銃砲類のふだんからの陳列の方法といいますか、銃砲店の中では銃砲あるいは弾薬、散弾、そういうものをどのような状態で置いておくものか、再三にわたってこのような事件が起こるということは、そのお店におけるしまい方に問題があるのではないか。単に手の届くようなところに何のかぎもかけないで置いてあるというようなことだったら、非常に危険だと思うわけであります。私もそういうお店に行ったことがないのでわかりませんので、その辺のところをひとつ教えていただきたいと思います。
[061]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
お答え申し上げます。
仰せのとおり、さきに渋谷に事件がありまして、銃砲店の一般的な管理、監督というのは通産省系統の所管になっておりまするけれども、私どもといたしましては、防犯上からたいへん重要なことでございますので、しばしば各県警を中心といたしまして、銃砲店の方々と会合を持って、保管については、むき出しで置かない、一定のケースに入れる、そしてそれはかぎがかかるようにするということ。
それから第2には、個々の銃につきまして、これは銃によっていろいろ構造が違いますので、簡単にいかない銃もありますが、ある部分をはずしておくようにする。その場合は、かりに銃を取っていきましても、発射できないということになるわけでありますから、そういうことをしておいてもらいたい。
それから、個々の銃をばらばらに置くのじゃなくて、鎖などでつないでおいて、1つだけ取り出すということができないようにしてもらいたい。それから、たまは別のところにしっかり保管してもらいたい、こういうことを中心といたしまして指導をいたしてきたわけでございます。各銃砲店におきましても、おおむねこの方針にのっとりましていろいろやっていただいてきておるわけであります。
今回の広島の銃砲店につきましては、県警の報告によりますと、広島県でも最も大きい銃砲店でございまして、保管の状況というものは県下でも最もいい状態であった。具体的に申しますと、それぞれの陳列のケースをしっかりかぎをかけまして、その中にさらに鎖で固定してつないであった。こういう状況であったわけでございますが、何ぶんにもピストルを発射しながら入ってきて、男の店員は更衣室のようなところに押し込めて、女の店員を脅迫してかぎを出させ、あけて取っていったというわけでございまして、銃砲店としましては、まことにやむを得なかった状況のように思います。
[066]
公明党 松本忠助
いろいろお伺いしたい点もございますが、時間の関係もございますので、以上で終わるわけでございますが、最後に、もう1点、次官と警察庁の方にお伺いしたいことでありますけれども、こういう事件が再び起きないためには、警察官にすでに危害を加えて、そしてまた無辜の住民に大きな恐怖を与えている、こういう者に対しては厳罰をもって処すべきではないか、私はこういうふうにも思うわけでございます。その辺のことの考え方について、警察庁のお考えをまず第一番に聞いておきたいと思います。
[067]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
たいへん悪質な事件でございますので、私ども、仰せのとおり、厳罰をもって当たるべきものだというふうに考えております。
[068]
公明党 松本忠助
現在の刑罰の範囲は3月ないし5年というようなことなんですか。
[069]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
本件につきまして、どういう罪名がつくかという点は、さらに研究しなければなりませんが、少なくとも殺人未遂は成り立つわけでございますから、3月云々ではなしに、ちょっと不正確でございますが、死刑までなり得る罪名に当たると思います。
[070]
公明党 松本忠助
では次官から。
[071]
政府委員(運輸政務次官) 山村新治郎
ただいま警察庁のほうからお答えがございましたとおり、私は、これらの犯罪は最も憎むべき犯罪であろうと思うのでございます。また、先ほど申しましたように、人質を取って自分の目的を完遂する、これは一番ひきょうな、非人道的なやり方であろうとも思います。
わが国で一番よいと思っておった人命尊重というものを逆に悪用するということに結果がなってくるものと思いますので、このようなことは絶対許してはならない。
そこで、先日航空法の改正をしていただいたわけでございますが、今度は船長の職務権限を強める等、これらのいわゆる船舶の奪取防止その他、運輸委員会のみならず、法務委員会その他の委員会におきましても、いろいろこれに付随するものを出していただきまして、法的にもできるだけの防止方法をやっていく、そのような姿勢で進んでいきたいと思っております。
[078]
民社党 和田春生
それから同時に、こういう事件が起きた場合に、今度の場合は幸い乗客や乗り組み員にけがはございませんでした。しかし、あの状況で、犯人が極度の興奮状態におちいって、広島で逮捕されるまでに乗客や乗り組み員に発砲いたしておりますと、あるいは死傷者がさらにふえていたかもしれないという危険があるわけであります。こういう点を考えると、ややもすれば、犯人の人権を尊重することも必要でございますが、こういう人命をだしにした凶悪犯人に対しまして、やはり必要な場合には、そういう死傷者、無辜の善良な市民の死傷者を防ぐために、射殺をするというようなことが場合によれば必要である。こういう点についてあまり時間をもたもたしておりますと、取り返しのつかないおそれがある。
そこで、一般に何回か公知をして、その状況がはっきりわかったというときに、人質をとって犯罪目的を達しようとしておるような場合には、これは射殺をするのも差しつかえないというような、はっきりした対策をとることが、事件を起こしてからの刑罪を重くするということよりも、船とか陸上とかのこういう事件に対しましては有効ではないかという気もするわけでありますが、その点はいかがでありますか。
これはあらゆる犯罪について言っておるわけではございません。凶器を持って人命を脅かすことによって犯罪目的を達しようとしておるような場合には、そういうことをいたす必要がある、こういうことを考えておるわけでありますが、その点ひとつお伺いをいたしたいと思います。
[079]
説明員(警察庁刑事局保安部長) 長谷川俊之
先ほど御答弁を申し上げたわけでございますが、やはりこういう人質事件におきましては、まず第一に人質になっておる方の生命の安全を期するということが大事だと思うわけでございます。具体的な場合におきましては、人質の方の生命の安全は、99.9%でなくて、100%安全である、かつ犯人を射殺する以外にほかにとるべき手段がない、この2つの条件が満たされるならば、私も先生のおっしゃるとおり、ちゅうちょすべきものではないというふうに考えます。今回の事件につきましても、警察庁長官としては、先ほど御答弁申し上げましたように、そういう趣旨を含めて指示をいたしておるところでございます。
昭和45年05月13日 衆議院 法務委員会
[032]
日本社会党(社会民主党) 畑和
ところで、私がさっきちょっと聞き漏らしたのですが、犯人が死ぬようになった場合のことですね、もう一度最後のことを話してくれませんか。射殺ということになるのかどうか。
[033]
説明員(警察庁刑事局捜査第一課長) 田村宣明
発射に至ります直前の状況について、私ども承知をしておるところを申し上げたいと思います。
先ほども申し上げましたが、「ぷりんす丸」が再び広島港の桟橋に着きましたのは、大体朝の8時50分過ぎでございます。大体2、3分ごろかと思われます。着きましてから、被疑者のほうは、前日広島県警に逮捕されております共犯者、相被疑者に会わしてもらいたいということを条件として申し出てきたのでございます。これは船長がその間の使者になりまして、いままでもまたこの後もその役目を果たしておるのでございますが、船長を通じまして共犯に会わせてもらいたい。
そこで警察側といたしましても、これは直ちに会わせるということではなくて、何とか説得をし、またすきをねらって逮捕をいたしたいということで、たとえば会う場所でございますとかあるいは会った後はどうするのかというようなこともこちらから出したりいたしまして時間が進行しておったんでございますが、その間にも被疑者のほうは何発かライフルを撃っておりまして、パトカーあるいは付近の――これはまだ詳細な調査ができておりませんので正確にはわかりませんのですが、パトカーあるいは近所の建物、それから機動隊員などを建物の陰などに隠して配置をいたしておりますのですが、それが姿をあらわしますとそれをねらい撃ちをする、こういうふうな状況が続いておったわけでございます。
それで、9時30分過ぎから3、4分間にわたりまして、これはいままでも何回かお願いをしておったんでございますけれども、この被疑者のおとうさんとおねえさんに来てもらっておりますので、船に乗って近づきましてさらに説得をいたしたのでございます。しかし、一向に歩み寄る模様もございません。
9時40分過ぎになりますと、その船長を通じまして、実は昨日ラジオなどでも聞いておるけれども、給油というようなことで警察側は時間を延ばしておるが、自分にもいろいろ覚悟はあるというようなことを言いながら、さらにここで5、6発撃っておるのでございます。
この過程で、父親と姉が乗っております船のほうに向かっても射撃をいたしておる、そういうふうな状況でございますので、さらに警察側の幹部が45分ごろから5、6分にわたりまして、凶器を捨てて自首するように説得と警告を続けたのでございます。ところが、この間にも被疑者は発砲をいたしまして、さらにこの船員を人質にしても出港しようというようなことも言うておりまして、船員のほうを銃を持ちながら何回も振り返るというようなことで、この間さらに数発のライフルを撃っておるわけでございます。
で、着きましてから約1時間ほどの間に20発くらいのライフルを撃っておりまして、最後の説得の段階におきましてもさらに発砲をいたしておる。
その状況は、先ほど来申し上げましたように、一般の浜のほうに向かって撃っておりますので、市民にも被害が及ぶおそれがございます。あるいは警察官、それから乗り組み員の人にも危害が及ぶおそれがあるということで、この警告の最後の段階で発砲をいたしましたところで正当防衛、やむを得ないという現地の判断で発砲をいたしまして、これが命中して死亡されたということで、非常に好ましくない形で事件が終了した、こういうふうな状況でございます。
[034]
日本社会党(社会民主党) 畑和
それで、犯人に向かって何発撃ったんですか。何発撃ってどこへ当って、致命傷はどの辺ですか。
[035]
説明員(警察庁刑事局捜査第一課長) 田村宣明
私、出てまいりますときに聞いておりますところでは、命中したのは1発でございまして、左の胸というふうに聞いております。
[036]
日本社会党(社会民主党) 畑和
距離は発砲するところから犯人のところまでどのくらいあったんですか。
[037]
説明員(警察庁刑事局捜査第一課長) 田村宣明
距離はちょっと聞き漏らしておりまして、いまは承知をいたしておりません。(田中(伊)委員「銃は」と呼ぶ)
銃はライフルです。
[038]
日本社会党(社会民主党) 畑和
相当射撃の名手を狩り集めていったようなことが新聞の記事にもありました。要するに最後のときにはやむを得ないということで相当射撃の名手をすぐって現地に出張さしたというような新聞の記事がありますけれども、最後のときにはそれをやろうという腹があったものと思うのですが、いまの田中委員の言いっぷりからしますれば、むしろこういった犯人は射殺をすべきだ、こういうような御議論がありましたけれども、私はにわかにそれに賛成できないので、どうしても正当防衛、緊急避難、やむを得ない場合は別といたしまして、犯人といえどもできるだけ生かしてつかまえる、こういうことが必要だと思う。そういう点について、やむを得ない処置であったかどうかということについては、私はこの程度のことではまだ納得するというわけにも必ずしもまいらぬけれども、非常に凶悪な犯人であるというようなこと、たまもふんだんに持っておって、相当射撃の回数も多くやっておった、こういうような点から、ある程度警察の処置も認められるのであります。
よく外国では、アメリカあたりではすぐ射殺してしまうけれども、日本の場合はそれを相当慎重にやって、どうしても緊急やむを得ないというような、正当防衛の範囲に当たるような場合以外は、意識的に射殺をするというようなことは、私はこれはあってはならぬと思う。やはりそういう撃ち合いの場において、緊急避難というような場合であるならば容認されるけれども、それ以上の場合、日本の法の現在の状態からいうと、それは許されないのだと私は思う。その点は私は相当研究問題だと思いますけれども、そういう趣旨でお尋ねいたしたわけでございます。
昭和45年05月13日 参議院 地方行政委員会
[516]
公明党 阿部憲一
時間もありませんから、最後に一言、大臣にお伺いしたいと思いますが、このような事件が短時間、短時日の間に起きたことについても、原因、それから今後の対策については真剣に取り組んでいただきたいと思いますが、いまも局長のお話ありましたように、多少、ハイジャックのとき、また今度シージャックのときの犯人たちは英雄気どり、まあ安っぽい英雄気どりだと思いますが、そういうふうな気分が非常にあった。かっこいい、いまはやりのことばに幻惑されてあのようなことに走ったのじゃないかと思いますが、このようなことについては、いまの新聞とか、テレビとか、情報機関があまりにも発達しているために連鎖反応が起こりやすいというふうにも解されますけれども、私はもう一つ根本的にいって、いまのホステージ、人質の犯罪というものに対しての刑罰が軽過ぎるというふうにもいわれておりますけれども、これもその意味におきまして、今度射殺というような最悪の処置になってしまったわけでありますけれども、一般に逮捕した場合の今度はこれに対する刑罰、これも意外にほかの犯罪に比べて軽いというふうに見受けられます。
したがいまして、人質犯罪についての刑罰というものについては検討を要するのじゃないか、今後の多発する傾向を押える意味におきましても必要があるのじゃないか、こう思います。そんなことでひっくるめて大臣の御意見、また対策をお伺いして私の質問を終わらせていただきます。
[517]
国家公安委員会委員長・行政管理庁長官 荒木萬壽夫
ハイジャックの問題のごときは、事が起こってからではどうにも始末に困る問題かと思います。あくまでも事前に情報をキャッチして未然に防止することに主眼を置いて、万全の措置を講じていくべきものと心得ております。
偶発的なシージャックの問題、偶発的だといまのところ一応推定されますが、これらにつきましては、これもできるだけ未然に防止できる機会が何回となくあったわけですから、そういうことに注目をいたしまして万全の措置を講ぜねばなるまいと考えます。
人質を取りました刑罰につきましては、具体的な感覚がございませんので、政府委員からお答え申し上げます。
[518]
政府委員(警察庁刑事局長) 高松敬治
かつて金嬉老事件が起こりましたあとで、人質罪の検討、人質罪を新たに設けたらどうかという議論がございまして、いろいろ検討が重ねられました。ただ、その結果は、それを設定するというところまではまいりませんでしたけれども、しかし、私自身のやや個人的な見解になりますけれども、ああいう一番卑劣な犯罪に対しては、やはり刑罰なり、刑罰を重くするというふうなことは必要ではないかというふうに考えております。
また、こういう問題が非常に多発いたしますおりから、いろいろそういう議論も出てまいろうと思います。しかし、技術的にもいろいろ問題があるようでございます。なお研究を重ねてまいりたいと思います。
[519]
日本社会党(社会民主党) 竹田四郎
関連一問。非常に凶悪な犯罪であることはもちろんでありますけれども、大阪府警から射撃の名手が来たといいますけれども、おそらく本人を射殺するということが当初の意図では私はなかっただろうと思う。船と射撃する場所との距離等の関係もいろいろあったろうし、犯人の具体的な行動も私はあったろうと思うのです。どこか足か手か撃って負傷をさせることによって逮捕する、そしてその後いろいろ調べて処罰すべきものは処罰する。こういうふうに私はあるべきではなかったか。私もテレビで見ているだけですから、具体的にそういうことが可能であったかどうか、それはわかりませんけれども、先ほども長官おっしゃったように、おそらく射殺が目的でなかったように私は思うわけです。
そういう点がもう少し何らかの形で、けがをさせて逮捕してあとで調べていくということができなかったものかどうか、詳しい事情はわかりませんけれども、若干その辺御説明いただきたいと思います。
[520]
政府委員(警察庁刑事局長) 高松敬治
たいへんむずかしい問題でございます。まあ船の上――そう波があったわけではございませんけれども、不安定な船の上におりまして、もちろん射撃をいたしますのは、抵抗を抑圧する、できればそういうほかのところに、たとえば手とかそういうところに当てれば、命中させれば非常によろしいわけですけれども、これも一歩誤りますとほんとうの手負いの獅子になってしまう。ほんとうに抵抗の抑圧できるところを的確に射撃するということが、そういう意図を持ちましてもなかなかむずかしいことでございます。
結果的にああいう形になりましたけれども、私どもとしては、やはり何とか抵抗を抑圧するということに持っていきたかったのでありますけれども、しかし、やむを得ない、たいへん、ほんとうに微妙なことで射撃部位が違うわけでございますから、やむを得ないことだったように考えております。
昭和46年03月09日 参議院 地方行政委員会
[121]
日本社会党(社会民主党) 和田静夫
そこで、シージャックの際、結果的にライフル銃を用いて川藤展久でしたかを射殺をしたという結果になっているわけですね。それで、一応、社会的にはその結論が最近出たようですけれども、専門家によりますと、あの距離でのあの撃ち方は、言われるところの犯人の肩をけがさせるといったようなねらい方ではなくて、明らかに射殺を目的としていたと言われ続けているわけですね。これについてはどのようにお考えになっているわけですか。
[122]
政府委員(警察庁刑事局長) 高松敬治
専門家の意見という、その専門家というのはどういう方がおっしゃっているのか、ちょっと私どもにはよくわからないんでございますけれども、あの場合における判断は、第一にはやはり一般市民、あるいは報道人、陸上に向かって乱射していたわけでございますが、そういう人たち、それから人質になっている船員、こういう人の人命を安全に救出する、そういう人の人命を安全に防護するということがわれわれの一番の使命であったわけでございます。
したがいまして、銃の使用はやむを得ないという判断に至りましたけれども、その使用にあたっては、1つにはやはり被疑者の抵抗を確実に抑止できるものでなければならない。変なところに当たって、彼がいわゆる手負いジシになって他人に危害を加えるようなことがあってはならぬということが1つ。それからもう1つは、できればこれを死ぬというふうなことのないようにやりたい。たとえば頭や心臓というふうないわゆる急所はできるだけはずして撃つということが私どもの考え方でございます。で、いまの肩という問題は、これは事件直後、県議会その他でそういう説明がちょっと行なわれたのですけれども、これは急所をはずして撃つということの1つの例示として、たとえば肩というふうな意味で申したことでございます。
それで、御承知のように、射撃は非常に微妙でございます。いかなる名手といえども、少し狂えば、たまの行き先は非常に違うわけでございます。いわんや被疑者は船に乗って、それから動いております。普通の標的射撃をやるようなわけにはまいりません。したがいまして、私どもとしましても、そういうふうに急所をはずして撃つということは常日ごろから申しておるところでありますけれども、万一それによってあるいは死亡するということが起こってもやむを得ないという判断のもとに撃ったわけでございます。
ですから、今度の広島地検の付審判事件に対する判決決定におきましても、そういうふうな趣旨のことを認めて、いわゆる未必の故意はある、未必の故意はあるけれども、これは刑法35条によって違法性を阻却されるのだ、こういう説示がされているところでございます。
昭和47年03月02日 衆議院 地方行政委員会
[091]
公明党 桑名義治
先ほどお尋ねした中のもう1つの点。重傷を負われて、そして不具同然になられておるような方が、現在、どのような仕事につかれて、どのような状況にあるのか。1、2の例を、わかりましたらお話し願いたいと思います。
[092]
政府委員(警察庁長官官房長) 土金賢三
お答え申し上げます。
例を申し上げますと、たとえば、この前の広島のシージャックの事件において、重傷を負いまして、からだのぐあいが悪くなった警察官がおりますが、現在、この警察官は、脊髄をやられまして、通常の職務に復帰することができませんで、なお引き続き療養をいたしておりますが、その警察官につきましても、なお現職に、引き続き警察官としておる、こういう状況でございます。
なお、ほかの件でも、そういった重傷を負って、相当長期にわたって療養いたしておる警察官がおりますが、この警察官につきましても、これを直ちに退職にするとか、あるいは休職にするとか、そういうふうなことはいたしませんで、引き続き療養を続けていただいて、なおかつ、これが職務に復帰できるように、いわゆるリハビリテーションと申しますか、特別の歩行練習とか、さらには、特別の職務ができるような、仕事ができるような、そういった職業訓練とか、そういったリハビリテーションにつきましても、そういう施設をつくっておりまして、警視庁にもそういうリハビリテーションの施設がございますが、そういう施設でなお訓練を――訓練と申しますか、復帰に備えてのいろいろな練習と申しますか、そういうことをしていただいておるというのが実情でございます。
[093]
公明党 桑名義治
このような負傷された方々、あるいは殉職なさった方々、これは金銭であがなうことはもちろん当然でございますけれども、金銭であがなうだけで事は済まされないのであります。また、したがいまして、金銭では、これはもう当然に十分な生活の保障をしてあげなければならないし、あるいは、いまお話がございましたように、リハビリテーション的なもので、完全に社会復帰ができるように適応することも、またこれは当然なことだと思います。負傷なさって、一応回復はしたけれども、正常なからだにはどうしても戻れないという方々が、そのままつとめを続行されておるけれども、何か知らないが、つとめることにだんだん気おくれがして、とうとうやめなければならないような状態に追い込まれているというようなお話も間々聞くわけです。
だから、そういうことが今後ないように、どこまでもあたたかい目でこういった人々に対して対処をしていただきたい。あるいはまた、こういうような制度を完全な制度にして、安心して職務に精励できるように、ひとつ十二分の配慮をしていただきたい。このことを最後にお話し申し上げて終わりたいと思います。
昭和47年05月17日 衆議院 内閣委員会
[132]
民社党 受田新吉
長官、あなたにお尋ねすることで、私、質問を終わらしていただきます。
これは、最初申し上げたようないい法律です。こうした特殊な公務の職員が危険を顧みずに働くことに対して、私は前から、自衛官などと同様、自衛官は、自衛官の職務そのものがこの特殊公務に当たるような仕事をしておる人ですが、自衛官のときもいつも論議しておったのですが、この制度が進められるということは非常に喜ぶべきことです。
そこで、いま1月からの実施ということにしておられる問題を、昨年、成田事件で3名の警察官が包囲されて、最後に袋だたきにされて、死屍にむちうつといいますか、死んで後になおたたきのめされたという悲しい事件があった。それも含め、また昨年の秋の11月14日の渋谷における警察官が、これもまた、倒れて後、死屍にむちうたれて焼き殺されるというような悲惨な状況であったわけですが、複数の犠牲者が出た成田事件を含もうとすれば、昨年の4月1日にさかのぼったほうがいい。
そしてこういうものはできるだけ範囲を広げることが必要だし、またあまり過去にのぼると実態調査にぼけてくるということであるから、1年前ぐらいだったら、まだ濃厚な記憶、濃厚な調査の実績があるわけです。だから、1年より前にさかのぼるには、またぼけるという懸念からいえば、ちょうど1年前の昨年の4月、年度がわりを契機にこの法律の実施をされたほうがいい。これはやることによって金額の相当のものがふえるとは思いません。総額にしてたいしたことはないのです、特殊公務ですから。そういう意味では、せめてこういう愛情の政治は、調査が可能な時点といえば1年という時点、しかも年度がわりという時点でやられたほうがいいんじゃないかな、かように考えておるわけですが、いまとなってはもうだめだということでしょうが、できれば成田事件の3人の、今度の浅間山荘事件を契機にやられたということのようですから、やはりもう1人人数の多かった成田事件まで範囲を広げてあげるという心づかいをしてあげる必要がないか。これは修正すればいいわけですから、また、それに伴う予算がどれだけあるかというような問題もあると思うんですが、そういう特殊の立場の法律ですからね。やはり特殊な扱いをしても、国民の人は納得してくれると思うんです。
さっきからお話ししておるうちに、成田事件と浅間山荘事件と比べながら、成田事件の3人の方の、あの死なれて後に死屍にむちうたれた不幸な警察官も、人間的な印象から、浅間山荘と同じ基準のお手伝いをしてあげたらいいなという感じをしみじみ思ったわけでございまして、長官、この法律案提案の責任国務大臣として、お気持ちをそういう方向へ提案者として切りかえてもらえるか。
また、ここでお互いが修正をしてもいいわけですが、まあ私からの気持ちだけ披瀝して質問を終わりたいと思います。
[133]
総理府総務長官・沖縄開発庁長官 山中貞則
私は、この問題はある意味でおそきに失したと思っておりましたので、意見の申し出でありますし、勧告ともやや性格を異にいたしますから、私は私なりの検討、見解を十分に部内でやったわけであります。
ことに私の場合は、4月1日、年度がわりからびしっといくか、もしくは既往に全部さかのぼるか、いずれかであるというところまで考えました。しかし、さらにまた考えてみますと、われわれ平和国家の中においてでもなおかつ発生するであろう通常の犯罪事件、そういうもので殉職、負傷をする者は、やはり今後も、これまでもいろいろあったわけですが、異常な社会風潮と私たちが言っていい最近の一連の事犯というものに対しては、それがカバーできる手段はないものかということを考えました。もちろん成田事件の被害者については当然そうしたいと思ってやったわけです。しかし、ではどこまででカバーできるかとなりますと、一昨年5月には、ハイジャックのあとに次いで、瀬戸内海でシージャックという事件が起こりまして、あの際、ライフルの狙撃でもって広島県警の警察官が腰部の脊髄貫通を受けました。したがって、生涯、下半身不随、あたら好青年をそういう境遇に置いたわけであります。私も手ずから、その功労者としての表彰状も手渡したわけでありますけれども、その記憶がありますだけに、そこまでさかのぼらなければおかしいということになりますと、またその前にもいろいろと事件がありましたし、それがやはり、そう大きな問題でなくても、負傷者も入るわけでありますから、どこで線を引くかを、私としてもきわめて判断に苦しみました。
そこで、一番身近な問題として、成田事件と浅間山荘事件というものが、この1月1日にさかのぼるということによって、これは非常な区別された扱いになる。なくなった人は返らないにしても、重傷者の人、あるいはまた遺族の人は割り切れない気持ちがするだろうと思いまして、4月1日からさかのぼるだけさかのぼりたいという気持ちでおったのですが、結局は、人事院の御意見の1月1日までが精一ぱいだという、区切りのはっきりしたところにする以外にないということでございましたので、国の法律を、いいことであっても、ある事件をとらえて恣意にその時点までさかのぼるということもきわめて困難でございまして、そういう経過がありまして、私は決して、この1月1日からということで、心の中で釈然としておらない。満足はしておらない。しかし、おそきに失したけれども、なるべく早くそういうことにしてあげて、今後そういうことは絶無であることを祈りたいと思いますが、万が一そういうことがあった場合には、安心とは言えませんが、国の配慮はあるということを職務執行に当たる各位にも十分念頭に置いて働いていただきたいと、そう祈る気持ちでございます。
昭和52年10月28日 衆議院 地方行政委員会
[047]
日本社会党(社会民主党) 加藤万吉
そこで、わが国においてこのような条件がしばしばいままで起きたわけです。そのときに、犯人に対する対応の仕方が問題になってくるわけですね。かつて宇品港でシージャックがございました。このときには犯人が船の上に上がったところをライフル部隊が射殺をしたわけですね。今度の日航事件のすぐ後、長崎でバスジャックがございました。このときも犯人は射殺をされました。
そこで、これは局長か長官に答弁を願いたいと思うのですが、乗客の安全が確保された場合、乗客の安全が大体確保されると推定をされた場合、このような形での犯罪行為というものは射殺をするに値する犯罪行為とお考えでしょうか、いかがでしょうか。
[048]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
ちょっといま御質問の趣旨が事実と違うように思うのですけれども、私たちは、先ほど来申し上げておりますように、人質の人命の安全と犯人の制圧、検挙、これを同時的にやるというのが目標でございます。そのために個々のケース、ケース、いろいろの要素があるわけですが、それに応じた措置をするわけであります。
いまのお話は、人質の安全がもう大丈夫だ、しかしこういう犯罪行為はけしからぬから射殺してもいいか、こういうような御質問のように聞こえましたけれども、そうではありませんで、人質の安全を確保するために犯人が動けないように、犯人の抵抗あるいは行動を制圧するために武器を使用するということが必要であったということでありまして、御質問のように人質の安全を確保してからこれを殺す、射殺目的で武器を使うというようなことはもとより許されないわけでありまして、犯人は裁判によって処理されるべきものである。
繰り返し申し上げますが、広島のシージャック事件も長崎のバスジャック事件も、ことに最近の長崎バスジャックの方が印象に新しいわけでございますが、人質を安全に救出するという努力をしておる中で犯人が警察官に発砲してきた、このままでは人質にも発砲するという危険があったので、これを制圧するために警察官も拳銃を発射した、その結果が結果的に致命傷を与える結果になったということでございまして、これは警職法第7条による正当な使用、つまり人の安全、生命を救うためにやった正当な武器使用であるというように私たちは考えておるわけでございます。
[049]
日本社会党(社会民主党) 加藤万吉
宇品の場合でも大阪の機動隊のライフル部隊を現地に派遣をされましたですね。それから今度の長崎の場合でも、長崎の警察署長さんが、拳銃の携行はもちろんですけれども、流血を起こしてもやむを得ない、そういう談話を事件後発表されているわけですね。
幸いにして乗客に余り大きなけがのないまま解決ができましたからいいのですけれども、この2つの対応の仕方を見ますと、犯人の犯罪行為というものは射殺に値する行為だ、したがって乗客の安全の上に立って云々、発砲したから云々ではなくして、乗客の安全を確保するためにも犯人を射殺をすべき、そういう犯罪行為だという前提の上にライフル部隊の派遣であるとか、あるいは事前に、長崎県警の場合には本部長が、流血を招いてもやむを得ない、いわゆる拳銃の発射そのことについて許可を与えておりました、こう言っているのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
[050]
政府委員(警察庁警備局長) 三井脩
人質を安全に救出するというのが至上命令でございます。そのために、当該具体的な状況の中でどういう方法が一番いいかということになるわけでございます。そのために武器を使用する。武器の使用につきましては警職法によりまして厳しい規制がございます。警職法の7条を見ますと、御存じのところでございますけれども、武器は使用していいが、相手に危害を及ぼしてはならないというのを原則にしておるわけです。ということは威嚇しかできない。ただし特殊例外の場合には相手に危害を与えてもやむを得ない、この条件をしぼりにしぼっておるわけでございます。つまり、凶悪な罪を犯して、かつ、そのために人の命が危殆に瀕しておる、こういうような場合がその典型的な例でございます。
つまり警察官が武器使用できる場合であるかどうか、そういう法的な観点から言えば、この場合は明らかに警察官は武器使用してもいい、相手に危害を与えてもいいという場合に該当する。相手に危害を与えていい場合のしぼり方を犯罪でしぼっているのが一つあるわけです。つまり、大変凶悪な犯罪を犯して、それによって云々、こうなっておりますので、そういう犯罪でしぼられて警察官の武器使用が制限されておる。そのしぼり方の中で挙げられておる犯罪の態様といいますか、それにこの場合は該当する、こういうことを言っておるわけでありまして、法的に言えばそういうことであるということでありますから、最初から犯人を殺してしまうということが人質救出の唯一の道であるというようにはどんな場合でも判断できないと私は思います。それは時間の推移がありますから、現場の状況の中で一見そのように見えましても、できるだけ人を殺さないで逮捕、検挙する、そしてまた人質も無事救出する。それはわれわれが単にそう考えておるだけでなくて、現に実行しておることにつきましては、浅間山荘等の事例をごらんいただきましても明らかであろうというように考えるところでございます。
[051]
日本社会党(社会民主党) 加藤万吉
国民感情の中に、やはりこれだけの凶悪犯人だから殺してしまってもいいじゃないかという流れが率直に言ってぼくはあると思うのです。もしそれに便乗されるような形でいま局長が言われた枠を外されるということになりますと、これはもう底の知れないどろ沼に法律というものは追い込まれる可能性があると私は思っているのです。犯人といえども最小限の人権というものはやはり確保されなければいかぬと思うのですね。それを裁かれるのはわが国の場合やはり法定主義だと思うのです。したがって、できる限り法廷に犯人を引きずり出して、それがどういう実刑になるのかわかりませんけれども、その中に持ち込んでいく。そういうための捜査、検挙、同時に一方では乗客の安全を図る行為、その道を確実に踏んでいっていただきたいと思うのです。
もちろん状況判断その他があるでしょうから、その場合に、射殺をするという行為もやむを得ない行為として現行法でできる範囲でやられる場合もあるかもしれませんけれども、しかし、私が当初申し上げましたように国民感情もある。しかも状況判断が許せば、この犯罪行為は射殺に値する犯罪行為であるということが現場の警察官も含めて優先するということになりますと、一般事犯に対してもそういう考え方というものは援用されてくる可能性というのは私は十分あると思うのです。したがって、そこの基本が緩まないように、これはこの事件を振り返りながらの私どもの一種の反省といいましょうか、問題点という形でぜひとも心にとめておいていただきたいというように思うのです。
平成13年11月21日 衆議院 法務委員会
[048]
自由党 西村眞悟
それで、警察官の武器使用基準の緩和について、いよいよそれが緩和されるということが報道もされております。これは非常にいいことでありますし、ここまで来たわけですから、それをやらなければならないと私は思っております。
さて、この武器使用の基準を緩和しても、今までの例では、現場における警察官が自分の判断に応じて武器を使用した、けん銃を撃った。けん銃を撃った途端に、役所に帰って待っているものは、30センチから40センチの分厚さになるような書類の作成が待っている。なぜ武器を撃ったのかということなんだろうと思います。
どういう手続でどういうことを要求されておるのか私はわかりませんが、1発弾を撃てば30センチから40センチの報告書を書かないかぬというふうな官僚的事務手続を放置して、現場の警察官が治安維持のために頑張れるのかという問題が1つあります。今でもこういうふうな書類の作成、これを要求しておるのか。
それからもう1つ、かなり前に関西でシージャック事件がありまして、危機が迫って警察官がライフルで犯人を射殺した。
これに関して、それをした警察官は殺人罪で告訴されて、弁護士費用はみんな自腹を切らねばならない。警察全体がその警察官を守るのか、組織として守るのかといえば、決してそうではない。
こういう事態をほうっておいて、ピストルだけ撃つ基準を緩和しても何にもならない。むしろばかな刑事告訴を受けたりする。そのときは、警察は守らない、上級幹部は知らぬ存ぜぬで、自分だけ書類ばかり書かされるということになれば、相変わらず現場の警察官はピストルを本当に使うべきときにためらうし、またむしろ逃げようという意識になってもその現場の警察官の責任ではない、このように思います。
武器使用基準の緩和はいいですが、今まで従来ある、私が今申し上げたような負担を警察官に強いる体制を維持しておるのか、それに何ら工夫があって、そして武器使用基準の緩和を考えておるのか、いずれなんだということがお聞きしたいところです。
[049]
政府参考人(警察庁長官官房長) 石川重明
今委員御指摘のように、警察官が武器を使用した場合に、これを報告させまして、事案を掌握してその検証を行う、これは必要があるわけでありますが、その際の報告が過度に煩雑でありますと第一線の警察官の負担となりまして、これが武器使用をためらう要因となるおそれがあるというふうには私どもも認識をいたしております。
先般、国家公安委員会、警察庁におきましては、けん銃の使用に対する第一線警察官が過度に抑制的な意識を持っておる、これを払拭して警察官がけん銃を使用するべき場合に的確に使用することができるように、武器使用の要件等を定めます警察官職務執行法7条の範囲内で、けん銃の使用及び取り扱いに関します国家公安委員会規則を改正したところでございます。
その一環として、けん銃を撃った場合における報告事務の簡素化を図りました。内容的には、人に危害を与えていない場合には、所属長に対する報告事項を軽減をする、また、今まで求めておりました警察庁長官への報告というものを要しないことといたしました。ただ、人に危害を与えた場合における報告に関しましては、その後の訴訟事案に備える必要があるということから、今回の改正ではこの点については軽減はいたしておりません。
ただ、書類をたくさんつくればいいというものではないんで、なるべく警察官の武器使用をした後の負担が事務的にも経済的にも精神的にも軽減をするように、そういう形で私どもこの規則を運用してまいりたいというふうに考えているところでございます。
[050]
自由党 西村眞悟
細切れな答弁があるんです。私、まとめて聞いておるんでね。
先ほど、人に危害を加えた場合と。人に危害を加えるために銃を使うんでしょう。当たり前じゃないですか。加える場合に、おっしゃったことは、訴訟に対処するためと。だけど、その訴訟は、前のシージャック事件のように、撃った警察官が自分で弁護士さんを選ばないかぬのかということになる。今までそれでやっていたはずです。自分で弁護士を選ばせて訴訟があればやらせるというんなら、何も役所でそんなこと要求せぬでも、直ちに弁護士さんに相談に行けというふうな指導をやればいい。
今までどおりなんですか。警察官は職務として武器を使用して、武器使用というのは、相手に向けるわけですから、傷つけるわけですよ、相手の抵抗、犯罪の続行を阻止するためにやるわけですから。そのときには、訴訟を前提としていろいろ書かせて、訴訟になれば弁護士に頼みに行け、おまえの自腹だ、こういう体制になっておるんですか。
[051]
政府参考人(警察庁長官官房長) 石川重明
内容を御説明いたしますと、現在の状況で、けん銃の使用というのは相手に向かって構えるところから使用になっておるわけでございます。それから、威嚇射撃をするという場合も使用でございます。そういう場合には当たらないわけでございますし、また、車で逃走を図ろうとするときに車両等に向かって撃つという場合もございます。そういったような使用の状態のときには、相手に危害を加えてないわけでございますから、極めて簡単な事案の掌握にとどめる、こういうことでございます。
それから、訴訟の問題につきましては、例えばシージャックのことを恐らくお尋ねだろうと思いますが、あれは、告発を受けまして、それが刑事事件としては不起訴になりまして、その後付審判請求というものをされたわけでございます。これに関していろいろ警察官が確かに取り調べを受けるといったような負担があったわけでございますが、この訴訟等に関する手続については、私ども、職務によって適正、的確にけん銃を使用した場合にはこれを個人に負担させるのは適当ではないという認識を持っておりまして、いろいろな工夫をして個人に負担がかからないようにこれからもやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
[052]
自由党 西村眞悟
それなら、シージャックのときは個人に負担をかけて、彼のポケットマネーでやったということですね。これからはそれは改めるということですか。
[053]
政府参考人(警察庁長官官房長) 石川重明
実は、シージャックの関係を私詳細には承知をしておらないんでございますが、付審判請求に関していろいろかかった費用、例えば鑑定をして証拠を提出しなきゃならない、そういったようなものについては恐らく公費でやっているんではないかというふうに思います。
それから、今後の問題でございますけれども、なるべく公費によってこれを賄うということの方向を求めてまいりたいと思いますけれども、そのほかにも、現在工夫をいたしておりますのは、それぞれ互助組織等が、とにかく個人の負担を求めるというのはいかがなものかということで、いろいろな支援を行っているというふうに承知をいたしております。
[054]
自由党 西村眞悟
ちょっと歯切れが悪い。というのは、国家が警察官にピストルを持たせているというのは、公務のため以外に何物でもあり得ない。それを使う使用基準を緩和するといったときに、互助組織とは何だ、互助組織とは。上層部が警察官に互助組織をつくらせて、そういう発想で現場に仕事をやらす、そのいわゆる上級者の意識がわからぬ。互助組織の問題じゃない。
国がピストルを持たせて、それに権限を与え、その事態に遭遇してそれを使用した場合には、個人の互助組織、お金を出し合ってお互いに助け合おうな、こういう発想で指導すれば、治安の維持もへったくれもないのです。上層部が悪い。現場の警察官ばかりに負担を強いて、そして殺されているじゃないですか。
殺されてから、こういうふうな要件を緩和して、そして、繰り返しますが、何が互助組織だ、しっかりしろと言いたいな。
[055]
政府参考人(警察庁長官官房長) 石川重明
先ほど申し上げましたように、私どもも、公的に負担をする道というものを検討したいというふうに考えることを前提として、現在、今までの私どもが承知している限りのことを、実態を申し上げた次第でございまして、先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
[056]
自由党 西村眞悟
今その方向でやりたいという答弁だけれども、けん銃を持たせて、使用基準を緩和して、治安維持に当たってくれという以上、それと同時にやりますという答えが出なければだめじゃないですか。
余り怒っていてもしようがないから、次に行きます。