徴兵制 6 ~ 田中角栄内閣(886日)

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昭和47年11月02日 衆議院 予算委員会
[093]
自由民主党 江崎真澄
それから、国の防衛は、国民の協力がなくて全うできるものではありません。比較的国民が国防に無関心であるということは、広報宣伝といったような問題がわりあいなおざりにされておるんじゃないでしょうか。防衛庁全体という考え方からすれば、装備をすることも大切ですが、この装備を背後から援助するのは何といっても国民の協力です。こういう面にもあわせて十分御配慮を願っておきたいと思うのであります。

そして、もう時間がありませんので最後にお尋ねをします。日本の自衛隊は、憲法上の制約ばかりか、いろんなワクで規制をされております。海外派兵は絶対しない。徴兵制はとらない。これで思うように人を採用することはできません。マンパワーに非常な制限を受けております。また、総理が言われるようにGNPの0.8%、防衛費は発展途上国に協力する経費程度のものでしかない。

こういうわけですが、平和が続きますと、特に日本にいま攻めてくる国がない、そういう考え方が現実としてあるわけですから、そういう平和時においては、防衛力は大体この程度あればだいじょうぶだ。もちろん武器というものは相対的なものですし、日に日に新たになるものでありまするが、およそのめど、たとえば陸上の18万というものは、これは人員においてはっきり当分これでいこうということが確定されております。やはり海においても空においても同じように、一つのめどが国民にわかりやすく、納得できるように説明されることが必要だと思います。





昭和48年03月02日 衆議院 本会議
[012]
日本社会党(社会民主党) 和田貞夫
第2に、沖縄への自衛隊配備の問題であります。

昨年の国会で、沖縄派兵要員も含めた防衛二法が廃案になっているのでございますが、沖縄へは、現に、陸海空部隊が一体となった作戦部隊ともいうべき姿で配備されています。これはまさに国会素通りであり、自衛隊法の脱法行為といわざるを得ません。

その上、いつでも大部隊にふくらませることができる戦時編成になっているのでございます。たとえば、陸上自衛隊にとってみますと、この部隊は、今年1月現在で、総員976人、そのうち下士官以上が501人、兵はたった336人、3分の1にすぎないのでございます。ところが、自衛隊の広報紙「朝雲」では、ミニ師団と呼んでいるとおり、1個師団の編成に相当する幹部構成なのでございます。兵隊さえ送れば、いつでも師団編成が可能だということです。このことは、自衛隊全体に通ずることでもあり、徴兵制の道さえ開ければ、帝国陸海軍がすでに再現しているのでございます。



[032]
公明党 鈴切康雄
また、防衛庁の考え方では、平時欠員があっても、それは有事に集めればよいという考え方のようでありますが、もし、集めることができないとすると、その行き着くところは徴兵制という危惧が起こってくるが、私は、有事、平時を問わず、徴兵制は憲法上絶対にとれないと思うが、念のため、政府の見解を承っておきたいと思うのであります。

[037]
国務大臣(防衛庁長官) 増原恵吉
御質問を聞き漏らしまして、まことに恐縮に存じます。

将来、徴兵をするようなことはないかという御質問があったのでございまするが、わが国は、憲法の示すところ、いわゆる徴兵制度というものをとる考えは絶対に持っておりません。





昭和48年09月06日 参議院 内閣委員会
[191]
日本社会党(社会民主党) 鶴園哲夫
だから、そういう何が何でも――いや、そこでちょっと伺いたいんだけれども、有事の何とかのときにはがばっと集めるような話でしたが、どこからお集めになるんですか、徴兵ですか。

[192]
政府委員(防衛庁防衛局長) 久保卓也
徴兵制はとらないことは政府はたびたび申しておりますから、そういうことではありません。

ただ、警察予備隊が発足しましたときには6万円で7万5000人が募集できたわけでありまして、もし、治安出動はともかくとして、防衛出動のような場合には、やはりいわゆる18万体制ということが望ましいでありましょうから、人員についてもそれだけの充足をしたいということで、そのために、たとえばいろいろな各種の手当の問題、そういうことでもありましょうし、また国民が日本の自衛のために立ち上がるということは私どもとしては当然予想し得る。

あるアンケートでありましたが、有事の場合に、日本に対して侵略があった場合に自衛隊とともに戦うかという1つの項目がありましたが、それに対して10%前後の数字があったように記憶いたします。これは日本の人口の割合からいえば非常に大きなものでありまして、私はやはり日本人のそういった気持ちに期待するところも多分にあるのではなかろうか、こういうふうに思います。





昭和48年09月18日 参議院 内閣委員会
[032]
日本社会党(社会民主党) 鶴園哲夫
それはもう私は前回の審議のときに、とても見込みはございませんよと、どんな計算をなさってもそういうことにはなりませんよという話を数字をあげて申し上げたんです。士のところはこれからどんどん応募してくるということにはなりませんよと、昭和47年をピークにして55年までどんどん下がるわけですから。18歳から24歳までの適齢人口というやつはどんどん下がっていくわけだから。どんどん上り坂のときに2万数千名という、2万5000名というその定員がない、定員があいているという状態の中で、これからどんどんどんどんと、これは昭和55年までずっと減っていくときに、どうしてこの2万5000名というものができますかと、見込みはないじゃないですかと、いまの自衛隊の勢力、数字そのものを維持することも困難でしょう、割るでしょうという私は意見を数字をあげて申し上げておるはずなんです。

ですから、頭と胴があって、あとのところは、手足はまことにかぼそいけれども、これは何か6カ月かぐらいで訓練すれば使えるようになるんだと、外国でも12カ月という招集でやっておるという話でありますが、招集ということを考えていらっしゃるんですか。つまり徴兵制ということを考えていらっしゃるんですか。この間上田哲議員が質問いたしましたときに、徴兵制というものは、これは憲法との関係もあって考えていませんという話だったですけれども、それはどうなんですか。

[033]
国務大臣(防衛庁長官) 山中貞則
徴兵制は日本国憲法によって不可能な手段であると、したがって、われわれは徴兵制をとることはないということを言明いたしておりますし、また、憲法第13条及び第18条をもって今日まで徴兵制のできない理由としていたわけでありますが、現在では第19条もおそらく徴兵制をとれない理由にあげられる状態になってきたのではないか。すなわち「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」、そういうこともやはり徴兵制をしけない理由の1つに――まともではありませんが、ダイレクトではありませんが、そういうものも考えられるのではないか。したがって、徴兵制をしくことは考えておりません。

諸外国とはその点、徴兵制の国とは根本的に違いますし、私たちは将来ともにわたって、本人の意思によって入隊する者をもって充足度を高めていき、しかもこの間からおっしゃっているように、将来の展望を見るときに、高校進学率が90%、大学進学率が53%ぐらいになってくるというのが見えておりますし、一方、それに対して就職環境から見ても、自衛隊を率先して選ぶであろう対象がきわめて少なくなって、昭和57年代になると、高校、大学へ行かない者で一般に就職する者が約5万人台ぐらいに落ち込むのではないかという見通しも反面あるわけでありまして、したがって、先ほど申し上げましたように、今後平時編成のあり方というもの等を研究していく時期に来ているのではないかという私の私見を申し上げました。

いまの答弁は、私たちは徴兵制ということはこれは憲法上とれないという理由をあらためて申し上げたわけであります。

[034]
日本社会党(社会民主党) 鶴園哲夫
私はいまのこの自衛隊の構成からいいまして徴兵制の問題について疑問を持つ。したがって、いま伺ったわけです。3年なら3年、4年なら4年と限定した一時徴兵制というものはお考えになっていらっしゃるんですか。

[035]
国務大臣(防衛庁長官) 山中貞則
一時徴兵制という意味がよくわかりませんが、憲法に照らして、本人の意に反しあるいはまた国家権力をもって強制的にいわゆる自衛隊の隊務に服従することを国家が命ずるという行為はとれないわけでありますから、これは1カ月といえども4年といえどもとれないということでございます。





昭和48年09月20日 参議院 内閣委員会
[105]
公明党 宮崎正義
長官のおっしゃること、そのとおりだと思います。もし法的な立場でということになると、過去における徴兵という、そういったような形が何となく法的にきめられていくみたいな、受け取り方によってはそんなふうにも感じて受け取られるんですが、そういうようなことがあってはとんでもないことだと思うんです。ですから、後段でおっしゃったことについては、私は徴兵という問題を考えますとちょっと心配な点があるわけです。

[106]
国務大臣(防衛庁長官) 山中貞則
これはもう徴兵ができないことは、憲法の条項を私が読みまして、できないということを申しておりますから、そういうことはあり得ないことでありますし、また、いま申しましたのは、自衛隊の委任事務についてのことではございませんで、自治法に定めるすべての委任事務に関する自治法の規定を申し上げたわけであります。自衛隊法でそんなことができるわけじゃございません。それはひとつ誤解のないように……。





昭和48年09月20日 参議院 法務委員会
[061]
日本社会党(社会民主党) 上田哲
1問だけ。たくさんお伺いしたいことがありますけれども、もう1つだけ関連をしておきますが、防衛庁、こういうことがあります。国民の自衛隊ということを言われるのだけれども、名前を申し上げてもいいが、これは迷惑がかかってもいけないから大まかな言い方にしておます。

新潟県出身の某君であります。所属は某砲射中隊というところまで申し上げておきます。この某君が4年間自衛隊に勤務しておりますけれども、実家が農家でありまして人手不足、どうしても家庭を継がなきゃならぬというので、再三退官の願いを出しているんだが、どうしても聞き届けられない。こういう隊員が退官をする、退職をするということの自由はそんなに認められていないのでありますか。私はここに氏名、所属部隊、その他すっかり持っておりますが、個人の立場もありましょうから、そのことが受け合っていただけるなら、私はこうした名前についてはここでは出さないことにいたしますが。

[062]
政府委員(防衛庁長官官房長) 田代一正
私も各自衛隊の末端でこういうやりとりが具体的にどういうぐあいに行なわれているかということをつまびらかにしないわけでございますけれども、無理やりに引きとめるという態度は最近やってないという感じがいたします。特に親御さんともよく相談いたしまして、どうしてもそういう関係で困るということがございましたならば、やはりそれは聞かなきゃいかぬだろうということで最近はやっておるというぐあいに私は聞いております。

[063]
日本社会党(社会民主党) 上田哲
時間がないから私は簡単に言っているつもりなんですが、結論を聞きたいです。いま申し上げた程度では概略過ぎるけれども、4年間つとめた、まじめにやった。これは優良隊員なんですよ。だから私はいろんな立場もあるから名前も言わないけれども、この人が明らかに農家であとを継がなきゃならない。両親に農業継続の力がないので、退職をさしてもらいたいというのが理由であるならば、正当な理由として退職を認めますね。

[064]
政府委員(防衛庁長官官房長) 田代一正
これはケース・バイ・ケースでございますので、後ほどまた上田委員……。

[065]
日本社会党(社会民主党) 上田哲
原則はどうですか。

[066]
政府委員(防衛庁長官官房長) 田代一正
原則としては、さっき申しましたように、親御さんその他に事情を承ってみて、どうしても御本人が帰らないと家業ができないとか、そういう状態になりますと、やはり私どもとしましては、その方がおやめになるということを承認せざるを得ない、こう考えております。

[067]
日本社会党(社会民主党) 上田哲
どうもちょっと――もうこれでやめますが、承認せざるを得ないとか、もしそういう言い方だったら、徴兵になるじゃないですか。何を言っているんですか。これは明らかに、当然に退職を認めますと言わなきゃいかぬのだよ、これは。そんなことを言っているから国民はますます自衛隊に疑惑を持つんでして、何年防衛庁にいるか知らぬけれども、自衛隊法読み直しなさい。明らかに、いま私が述べたような事由によるのであれば、退職を直ちに認めることが原則でありますと、原則でありますでいいですよ、個別なことは私は本人の立場もあるから、これはあなたのほうへ資料を渡すから善処していただければそれでいい。そんな言い方を国会の議事録の中で、やむを得ないと考えますなんという言い方じゃ困る。法に照らして御答弁いただきたい。

[068]
政府委員(防衛庁長官官房長) 田代一正
ただいま承認するというような表現を使ったのは、自衛隊法の40条に「退職の承認」という欄がございまして、その法文に従いますと、退職を承認しないことは、こういうかくかくしかじかの場合には退職を承認しないことができるという法文上のことばがございます。そのことばを踏まえて私は答弁いたしたつもりでございます。

[069]
日本社会党(社会民主党) 上田哲
へ理屈を言わないですっきりしろよ、おこるぞ、おれは。

[070]
政府委員(防衛庁長官官房長) 田代一正
そういうことで、ただいまおっしゃられたケースにつきましては、実を申しますともっと詳しくですね……。

[071]
日本社会党(社会民主党) 上田哲
だから原則を言っているじゃないか。

[072]
政府委員(防衛庁長官官房長) 田代一正
だから、原則といたしましては、さっき申しましたように、非常に著しく家業が圧迫をこうむるとかいうようなことであるならば、それを、退職を承認するということになろうかと思います。法文上は、承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときについては承認しないことができるということでございますので、その逆の解釈等々から考えますというと、やはり私がさっき申しましたようなことでよろしいのじゃなかろうかと思います。





昭和48年09月23日 参議院 本会議
[019]
公明党 黒柳明
また、政府は、昨年10月、四次防を決定しましたが、今後将来の防衛計画についてどのような考えを持っているのか、明らかにしていただきたい。たとえば五次防、六次防についてはどのように考えているのか、また、欠員のはなはだしい自衛隊員の定員増については、今後どのような構想を持っているか等について御説明いただきたいと思います。

特に、自衛官の募集が限界を迎えている今日、残された最後の手段は徴兵制以外にはないということもささやかれていることは事実であります。

かつて法制局長官は、徴兵制について、「平時に国民を強制的に徴し、軍隊に編成して訓練し、戦時に備えるものが徴兵制であるとすれば、憲法の許容するところではない」としております。このことは、逆に有事徴兵制は違憲でないということになるのではないでしょうか。政府の徴兵制に対する見解を承りたいと思います。

[020]
内閣総理大臣 田中角榮
今後の防衛計画についてどのような考えを持っているかという御指摘でございますが、四次防以後の防衛力整備をどのように行なうかについては、今後慎重に検討してまいりたいと、こう考えております。

徴兵制についての御発言にお答えをいたしますが、しばしば政府が申し述べておりますとおり、平時においてはもちろんのこと、有事の場合でありましても、徴兵制度という限りは、憲法の許容するところではないと考えておるのでございます。



[026]
民社党 中村利次
旧軍時代、徴兵制度がございました。先ほどの質問の政府答弁では、旧軍時代の徴兵制度に類することは憲法違反であって、やらないという明確な御答弁がございましたが、そうでなければ、どうも自衛隊の人員充足というものは、まさにこれは不可能に近いのではないかと思われます。装備を使いこなせる人員確保の確信がはたしておありかどうか。





昭和49年04月05日 参議院 予算委員会第二分科会
[142]
日本社会党(社会民主党) 鈴木強
ですから、私は、そういう意味において、もう一度自衛隊というものについてここで真剣に考え直す必要があるんじゃないか。憲法でも変えて、それは徴兵制でもとるというなら別ですよ。そんなことはできないでしょう。憲法を改悪するなんというようなことは考えていないでしょうからね。だから、そうなると、志願兵制度ということになりますね。現状の中では、むしろ充足率は減ってしまうというようなことであったのじゃね。



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