徴兵制 8 ~ 大平正芳内閣(554日)

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昭和54年04月26日 衆議院 内閣委員会
[167]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
いまのお話の退職に関連いたしましては、実は質問を後にさせていただきたいと思っているわけであります。そういうことを申し出ない間に、仮に防衛出動命令が出る、こういう事態になった場合には一体どうするのでしょうか。

実は先ほど法制局の方から、この採用についての法的性格についてお伺いをいたしました。これは行政処分ということだけではなかなか説明しにくいであろう。あくまでも特別権力関係の中、そういう勤務状態の中に入っていくという本人の同意というものがある。要するに、公務員になりますという、こういう本人の気持ち、そのことを前提として、そして公務員になっていただくのだ。なっていただくからにはさまざまな制約がありますよ、それは黙示にしろそういうのは放棄しているのだ、これが従来の皆さんの理屈ではないかと思うのですけれども、自衛官になるということについての任用と予備自衛官になるということについての任用とは、やはり本人の合意の中身、意識が違っているのではないかと思います。

将来、長年自分は自衛官として自衛隊の中で働いていきたい、こういう方と、私は民間で勤めていきます、しかし、5日とかの訓練招集あるいは万一の場合のある程度の義務、こういうものは、ある程度納得をして予備自衛官として合意して、特別権力関係、御説明のような関係に入っていきますという方では、かなり意識の中で差があるということではないでしょうか。

本来の、自衛隊であくまでもやっていきたいという人と、まあ年5日くらいならという人、その中にまたいろいろな意識があると思いますが、明らかに本人の意識、合意というものは違っていると思うわけであります。

ところが、いざ防衛招集がかかると、そうなった場合にいまの要件を厳格に解して、そしていま申し上げました良心的兵役の拒否、こういったことが全く無視されましてたちまち自衛官になるということですと、実際には徴兵と性格が変わってこないのではないでしょうか、同じことになるのではないか。

私は、いわばそういう意味での徴兵制の1つの形が――この予備自衛官が、防衛招集のときに本人がいやだと言ってもとにかく自衛官として、そしてさっき御説明いただいたとおり、戦闘減耗というそういう要員として戦場に送られるということになったならば、これは徴兵制の1つの形がここにあらわれているのではないかというように考えざるを得ないわけであります。

そのとおりなのか、あるいはさっきの限定的な列挙であるという部分について、それは法文上のたてまえはそうなっているけれども、将来そういう問題について検討する余地があるということなのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

[168]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
まず、予備自衛官になるためには、本人の志願に基づいてわれわれ採用しているわけでございまして、この予備自衛官の大きな義務として、訓練招集に応ずる義務と、もう1つは防衛招集に応ずる義務というのがはっきりうたわれております。

私ども予備自衛官を採用するに当たって、当然のことながらこの大きな義務についての認識をしていただいて、志願をしていただくわけでございます。まず、そのことが1つでございます。

それからもう1つは、届け出をする前に防衛招集になった、その場合どうなのか、こういうことでございますが、形式的にはやはり自衛隊法の違反になるのではないか。ただ、国民の自由というか権利の尊重ということと公共福祉というようなむずかしい問題もございますので、あるいはその場合についても、その本人のいろいろな状況というものがあろうかと思います。いま私ども、形式的に、理論的にそういうことになるということを申し上げただけで、実際の場合については、いろいろな考え方が出てこようか、こういうふうに思っております。

[169]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
いまの答弁は、先ほど、限定列挙であって処罰を伴うから厳格である、こういう御説明からいたしますと、形式的な解釈からするとそうならざるを得ないけれども、将来考える余地があるのではなかろうかということでありますから、若干柔軟性を持った回答であるというふうにお伺いしたわけですが、実は厳格に解釈するならば、いま私が申し上げた事例の中ではまさに徴兵制の1つの小さな形、小さいか大きいかは別にして、1つの形というものがここにあらわれているということの危険性が出てこざるを得ないのではないか、私はこういう疑問を持たざるを得ないわけであります。

そうした2つの問題点についての私の理解について御見解を承りたいと思いますし、それから問題は、もう1つ関連するのは、先ほど答弁の中で触れられました退職に関するものであります。

自衛官については、自衛隊法40条に退職についての規定があります。公務員をベースにした規定だと思いますけれども、私はやめたい、たとえば自衛官あるいは予備自衛官の場合もそうですけれども、自分は自衛官としてやっていくのがどうもいやになった、こういう場合に退職したいと言っても、退職届を出せばそれで終わりかということにはならないわけでありまして、これは承認が要る、こういう手続があるわけであります。そこが大変厳格になっているわけですが、自衛官の場合には40条の規定がありますけれども、予備自衛官については一体どうなっているのか。退職の問題について予備自衛官の制度を、法文、施行令、政令その他を含めてひとつ御説明いただきたいと思います。

[170]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
予備自衛官の退職につきましては、防衛出動が出まして後は全く自衛官と同じでございますが、防衛出動が出る前については、確かにその辺の取り扱いに差がございます。

それから、先ほど私の説明、ちょっと言い落としたことを補足さしていただきますが、事情によりというのは、一種の裁判上の、たとえば情状酌量であるとか、あるいは防衛出動招集命令をどういう場合に出すかというふうなことについての考慮の余地があるというふうな意味で申し上げたということを補足さしていただきたいと思います。

[171]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
いまの補足説明によりますと、結局宗教上の信念により、たとえば予備自衛官に採用されたときには入信していなかった、ところが、その後宗教上の信念を持った、自分は戦闘行動に参加したくない、こういう宗教上の理由からいやだ、こういう場合にも、いまの御説明ですと、とにかくだめなんだ、防衛招集が出た場合には絶対に自衛官にならざるを得ない、ならなければ3年以下刑務所に入ってこい、こういう御説明であります。

そうなると、やはりそれは自衛官になることの強制、強要ということになるのではないでしょうか。強制、強要というよりも、法的な義務をそこに課していくということになるのではないでしょうか。それは徴兵の1つの形ではないかというように思わざるを得ません。

そうならざるを得ないのではないかと思うのですけれども、この点について長官に、いままでの議論をお聞きいただきまして、御見解をお示しいただきたいと思います。

[172]
国務大臣(防衛庁長官) 山下元利
防衛招集の場合と訓練招集の場合と、その要件と申しますかそれに違いがありますのは、防衛招集の場合の事柄の重要なことにかんがみておると思うわけでございますが、ただ私は、そのことをもちまして徴兵制と結びつけることは適当でないのじゃないか、こう思う次第でございます。

[173]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
長官が徴兵制だと言ったらこれは大問題でありますから、そうはお答えになれないと思いますけれども、ただ実態は、いま私が指摘した点はまさに徴兵との部分におきましては全く違わない、内容的に、実態的に違っていないのじゃないかと私は思うわけであります。

実はこの点についてなお議論として十分ではないと思いますので、改めてお伺いしたいと思いますが、退職の問題について、いま防衛招集が出た場合にはこれは自衛官と同じである、こういうように承りました。そうでないときはということの説明があったわけですが、自衛隊法の40条によりますと、この退職について、先ほど指摘したとおり規定があるわけであります。これによりますと、「これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いて」承認しないことができる、こういう趣旨の規定があるわけであります。この点につきまして、一体どういう事由がある場合に承認しないということになるのか、この点、少し詳しく御説明をいただきたいと思います。この問題につきましても施行令、訓令、その他のものもあると思いますけれども、これも問題点としては、先ほど来同じでありまして、そういった観点からひとつお答えをいただきたいと思います。

[174]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
予備自衛官が退職する場合の例としては、実際の自衛官と同じでございます。この中にはいろいろな種類がございますけれども、まず任期満了でもって退職する場合が1つございます。これは退職願の必要がないわけでございまして、継続任用を志願しない場合には自動的に退職になる、これが1つでございます。それからもう1つは依願退職でございまして、これはいわゆる退職願を提出してやめる場合。それから3番目には、先ほど来議論になっておりますような免職による退職という、この3つがございます。

[175]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
私が伺っているのは、任期満了とか免職はだれでもわかりますから、結構です。依願退職の場合でありますけれども、依願退職届を出したって普通の民間私企業の場合のようによろしいということにはならないわけです。法によって承認、承諾の手続が必要である。

それでは一体、その承諾をする場合、しない場合、これにつきましての基準を自衛隊では内部的にはどうお考えになっておるのか、この基準についてお伺いしているわけであります。基準について、これは裁量権というものが一体どうなっておるのかということにつきましても問題だと思います。

要するに、退職願を出したのだけれども、退職を認められなかった。そこで、さっきの質問に続きますが、防衛出動が出た、すでにそこでは退職できなくなって、そして本人がいやだと言ったって自衛官となって、戦闘に派遣される。こういう仕組みで、その場合でも退職の自由もないということになれば、実態は徴兵ではないか、こういうことだと思うのですが、退職に関しまして、その依願退職の場合には一体どうなっているのか、その基準あるいは裁量の範囲についてお伺いしているわけです。

[176]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
自衛隊法施行令の第54条に「退職を承認する特別の事由」として、「法第40条に規定する政令で定める特別の事由は、当該隊員が退職しなければ配偶者又は民法第4編第5編第877条の規定により扶養すべき親族を扶養することができないと認められるやむを得ない事由がある旨の市町村長の証明があったとき」というふうに規定しております。

[177]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
いま御説明いただいたとおり、大変厳格であります。しかも、市町村長の証明がなければだめであるということでありますので、いま御説明いただいた以外の一切の理由、まあ具体的な例で言えば、宗教上の信念に基づいて、このたび私は退職したいということになった、こういう場合一切だめだ、こういうお答えだと思います。そうなってまいりますと、結局退職の自由もないということになれば、これは実態として徴兵ということになるのではないでしょうか。

この退職について、いま御指摘された部分についても、柔軟性に解す余地というものは全くないのでしょうか。徴兵を否定されるという、長官の答弁からいたしますと、こういう問題につきましては柔軟性を持って運用をしていくという余地がなければ、長官の答弁どおりにはならないんじゃなかろうかというふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。

[178]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
この自衛隊法第40条に「退職の承認」という規定がございますが、これをごらんになっていただくとわかりますように、「政令で定める特別の事由がある場合を除いては、」云々と書いてございますが、最後に「その退職を承認しないことができる。」ということで、あらゆる場合について退職を認めない、こういう趣旨ではございません。

[179]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
ですから私は、自衛隊がお持ちになっておる内部の基準あるいは裁量の範囲について伺ったわけであります。この点について、もうちょっと御説明していただきたいと思います。

[180]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
まことに申しわけございませんが、いま退職承認の場合の具体的な基準についての資料の持ち合わせがございませんので、御了承願いたいと思います。

[181]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
その点、あるとするならば、後で資料として説明していただきたいと思います。あるかないのか、そしてまた、資料として後に御説明いただけるのかどうか、この点だけ確認しておきたいと思います。

[182]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
早速調べまして、御返答申し上げます。

[183]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
いま手元にないということであって、後で調べてこれまであるものについて御説明いただける、資料としていただける、こういうことで理解しておいてよろしいでしょうか。

[184]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 夏目晴雄
いま先生の御質問の趣旨、私あるいは理解が間違っているかもしれませんが、予備自衛官を引き続き任用しておくことが適当でない、そういう場合には免職することができるというふうなことがございます。

それからまた、免職につきましては訓令がございますけれども、いまのような場合については訓令に規定がございませんので、私ちょっと調べさせて御返事させていただきたいと思います。

[185]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
私言っているのは、免職とか期間満了というものは問題でないのであって、いわゆる依願退職、任意退職について伺っているわけであります。

――あるかないかわからぬということですと、実態は徴兵制ではないか、こういう議論と絡んでまいりますから、非常に重要なポイントであります。

したがって、いまわからないというのはしようがありませんから、後で調べていただきまして、自衛隊法の改正などの将来の議論の機会に、いま理事の上原、岩垂両先生と相談いたしまして、もう一遍この問題について取り上げさせていただくということにさせていただきたいと思います。したがって、いまの点については質問留保をさせていただきます。





昭和54年07月10日 衆議院 内閣委員会
[078]
日本社会党(社会民主党) 岩垂寿喜男
続いて、防衛庁長官がお越しですからお尋ねをしたいと思います。

けさの読売新聞をごらんになりましたか。第一にお尋ねしますが、こういう文書はあるのですか。

[079]
国務大臣(防衛庁長官) 山下元利
御指摘の報道は見ました。いまのお尋ねでございますが、これは、49年度の防衛計画を作成するにつきましていろいろと勉強いたすわけでございますが、その幕僚の作業の資料として48年につくられた研究資料というふうに承知しておりますが、それに似ておるというふうに承知いたしております。

[080]
日本社会党(社会民主党) 岩垂寿喜男
それは当委員会にお示しいただけますか。

[081]
国務大臣(防衛庁長官) 山下元利
実は49年の計画のために48年に作成したもので、すでに破棄いたしておりまして、われわれとしては確認する手だてはないわけでございます。報道せられたものも、そういう本当の研究資料に似ておるということを承知いたしておりますが、いま現在は破棄されておるわけでございます。

[082]
日本社会党(社会民主党) 岩垂寿喜男
それならば、この新聞に書いてある「防衛庁筋は、現在も陸上自衛隊の防衛行動の基礎になっていることを認めた。」ということは事実と違いますか。

[083]
説明員(防衛庁防衛局長) 原徹
いろいろ当時も研究をし、現在も研究をいたしておるわけでございますが、基調というのがどういう意味なのかによりますが、いろいろ補充はしなきゃならないという面であれば、私ども現在でも、有事において損耗が起こればそれは補充しなきゃいけない、そういうふうに考えております。そういう意味ではそうでございますけれども、全体がそうであるというふうには必ずしも考えません。

[084]
日本社会党(社会民主党) 岩垂寿喜男
それならば、補充のために準徴兵制のような、つまり自衛隊の経験者やあるいは予備自衛官を動員をしていくというようなことなども検討の対象になっているというふうに理解してよろしゅうございますか。

[085]
説明員(防衛庁防衛局長) 原徹
新聞に出ております準徴兵制というのがどういう意味なのか、必ずしもよくわからないのでございますが、予備自衛官を招集するという問題は、現在防衛出動が下令になってから招集が行われます。これに対して出頭がされない場合には現行法で罰則が適用になるようになっております。

予備自衛官になるかならないかは全く本人の自由でございます。でございますので、どこのところが準徴兵制なのか、実はよくわからないのでございますが、いずれにいたしましても、私どもは徴兵制に類するような考えを持っているわけではございません。

[086]
日本社会党(社会民主党) 岩垂寿喜男
よく似ているという言葉で実はごまかされているわけですけれども、ないから合わせようがないという議論が前提になりますと、似ているということも事実と違っているからというふうに言えるかもしれません。これは事実あったのでしょう、この文書は。もう一遍長官に聞きますけれども、ないものなんですか、これは。

[087]
国務大臣(防衛庁長官) 山下元利
先ほど申し上げましたとおりに、すでに破棄されておりますので確認するよすがはございませんけれども、要するに、48年に作成されました幕僚の研究資料に似ておるということはどうもそのようでございます。

そしてまた、いま直接のお尋ねに対してのことではございませんが、いま政府委員が申し上げましたとおりに、私どもといたしましては準徴兵制とか徴兵制、そのようなことは毛頭考えておりません。申し上げておきます。





昭和54年12月06日 衆議院 内閣委員会
[130]
日本社会党(社会民主党) 岩垂寿喜男
これは防衛白書の中で、すかっと整理してまとめてしまっていますけれども、現行憲法の範囲内で、しかも国民大多数の理解と支持が得られるものであることを前提として進めており、旧憲法下の戒厳令や徴兵制のような制度、言論統制などの措置は研究の対象としない、実はこうなっているわけでございます。そういうことを書かれていますけれども、私ども、それなりに過ぐる国会でのやりとりを振り返ってみますと大変心配なんです。目に見えないところで一体どういう研究が行われているかということについてかいもくわからぬ。

かなり時間もたっている。遊んでいるわけではない。だから、まとまり次第という議論もございますけれども、やはり機会を得て、こういうことをやっているんだということを国民の前に明らかにする、このことを私も求めたわけでございます。しかも、「最寄りの」というところで特別国会もあり、そしてこの臨時国会になっているわけですが、大体いつごろ御報告なり中間報告というものをなさるおつもりか、あるいはそんなやりとりができるか、そんなことをちょっとお答えをいただきたいと思うのです。

[131]
国務大臣(防衛庁長官) 久保田円次
これにつきましては政府委員から答弁をいたさせます。

[132]
政府委員(防衛庁参事官) 佐々淳行
有事法制の研究の進捗状況について御報告をいたします。

現在、有事法制は、昨年の9月の統一見解の線に従いまして慎重に時間をかけて研究をしておるところでございますけれども、これまで一体どんなことをやっておったのかというお尋ねでございますが、外国の法制が一体どういうことになっておるのか、実はこの点の研究が十分でございませんでしたので、本年に入りましてから、外務省を通じまして主要な西欧諸国8カ国に対しまして有事法制の実態を調査をしておるところでございまして、一部回答の来たところもあり、まだのところもございますけれども、なかなかこれも、それぞれの国情によって法律が違いますので、必ずしも直ちに日本の参考になるかどうか疑わしい点もございますけれども、こういう外国の法制調査を進めております。

また、昨年来有事法制の問題についてお尋ねがございましたときに御答弁を申し上げておりますように、有事の際に自衛隊が円滑にその任務を遂行できるような状態にするために、関連法令の除外規定あるいは例外規定を設ける必要があるのではなかろうかということで、航空法であるとかあるいは道路交通法であるとか、こういう関係法令の研究を行っておったわけでございますが、よく考えてみますると、自衛隊の行動を規定しておるところの防衛二法、防衛庁設置法あるいは自衛隊法、これのまず法的な不備がないかどうか、不備があるとすれば一体どういう点に問題があるかを研究する方が先決事項ではなかろうかという見解に達しまして、現在これと並行いたしまして、防衛二法の問題点を内部で研究をしておるところでございます。

この研究の過程におきましては、立法の段階でこれに携わられました当時の関係者あるいは学識経験者等からいろいろ御意見を賜るということで研究をしておるわけでございますが、この研究の頻度がおおむね2週間に1度程度でございまして、関係法令等につきましては関係官庁もなかなか多うございまして、十分な調整を行う必要があろうかと存じます。

その意味で、御懸念のように徴兵制度であるとかあるいは戒厳令であるとか、そういう問題を研究しておるのでは決してございませんで、基本方針どおり、憲法とわが国の政策の範囲内におきまして、現行の法制の範囲内における問題点の洗い出しをやっておる段階でございまして、まとまるまでにはなお若干の時日を要するかと存じます。

先ほど防衛庁長官答弁のとおり、まとまり次第国民の前に明らかにしてまいりたいと存じておりますけれども、なおもうしばらく、かすに時をもってしていただきたいと存じます。





昭和55年01月29日 衆議院 本会議
[012]
民社党 春日一幸
次は、奇襲侵略とこれに対する自衛隊法の規定について質問いたします。

この際、昭和53年7月、時の統合幕僚会議議長栗栖弘臣氏が、外敵の奇襲侵略を受けたとき、自衛隊は時に超法規的に行動することもあり得ると発言したと報道され、これが文民統制を乱す言動なりとして解任されたことを想起願いたい。

そもそもあの栗栖発言の趣旨は、外敵の侵入を受けた場合でも、自衛隊は防衛出動の発令が行われた後でなければ武器を持って行動することはできない、ところが、総理大臣が防衛出動を発令するには、まず国防会議にその可否を諮り、その議を経た上で、原則的には事前に国会の承認を取りつけなければならない。したがって、奇襲を受けてから防衛出動が発令されるまで、自衛隊の行動はその間空白に置かれることになる、奇襲というような極限の時点で、なすところなく待機していなければならなくては、自衛隊はその任務に万全を尽くすことができない、これは法上の欠陥であると思うから、政府と国会はこの点について速やかに法体制を整備してほしいという趣意でありました。

当時、防衛庁内局筋は、そんな場合はひとまず逃げろと口走ったことでありましたが、それでは何のための自衛隊かとあざけられ、

そこで、個人個人の正当防衛として、出動命令がなくても武器が使えると言い直したら、制服側から、個人の行動として認めるのでは隊としての統制がとれないと横やりを入れられ、

それならば刑法第35条に言う正当行為として武器の使用を認めることにしてはどうかと三転したら、今度は法務省筋に、刑法35条は個人への適用を対象にしたものだ、これを自衛隊の行動に適用することは筋違いだと真っ向から否定されました。

なお、自衛隊法の罰則には、正当な権限がなくて自衛隊の部隊を指揮した者は3年以下の懲役または禁錮に処すとして、その行動を重ねて法定主義のくぎで打ちとめておるのであります。したがって、奇襲侵略を受けた場合に、自衛隊は内閣総理大臣が法上の諸手続を踏んで防衛出動を発令するまでの間は、抗戦するにしても、逃避するにしても、はたまた降伏するにしても、何人もその部隊を指揮することは許されないことになっておるのであります。

このように、正当防衛もだめ、正当行為も否認、超法規的行動も禁止とあらば、自衛隊は現行自衛隊法のもとにおいては、外敵の奇襲侵略に対していかなる臨機の行動も許されてはおりません。

わが党は、あの当時、53年8月、時の陸海空三自衛隊の幕僚長にその意見を聴取しましたが、三幕僚長は、奇襲即応体制整備のためには現行自衛隊法の改正が必要である旨、こぞって言明いたしました。現行自衛隊法は、このようにまさしく大いなる欠陥を内蔵しておるのであります。

しかるに、奇襲にどう対応するかという画然と限定したこの栗栖氏の問題提起が、一部の人士によって、これを国家総動員法や徴兵制の復活につながるものだなどと歪曲、誇張されて騒ぎ立てられ、かくて政府は、当時有事立法の研究を行うとの決定だけはいたしましたが、その後、慎重に研究するとの口実のもとに、さわらぬ神にたたりなしとばかりに、本日まで何ら具体的な措置をとってはおられません。

奇襲攻撃があるかないか、それは何人も断言できるものではございません。だがしかし、第二次世界大戦後本日までに、世界の諸地域においてすでに数10回にわたって国家間に戦闘が行われておりますが、そのことごとくは現に奇襲によって開始されていることを見誤ってはなりません。

自衛隊が国の安全保障を確保するための機関として設置されておるものである以上、あらゆる事態に備えてその機能は完璧でなければなりません。不完全な法体制でシビリアンコントロールが全うできるわけはなく、また、法の欠陥を認めながら、それをしも補完できない憶病で怠惰なシビリアンで自衛隊が統御、統制できるものではございません。(拍手)

このように、自衛隊法に奇襲対処の基本が欠けておることは、立法当時の一担当者であった元防衛庁次官加藤陽三氏がその著書「自衛隊史」の中で、「29年に自衛隊法を制定したが、当時の在日米軍は20万人を超え、米軍が圧倒的に強大であったから、奇襲攻撃について考慮しなかった。」と述べておることに徴して明白であります。

シビリアンコントロールの当の責任者は大平総理、あなた御自身であります。あなたは、この法の不備を認め、所要の法的措置を講ずるのか、それとも法に不備はないというのなら、どのような法解釈に基づいて、どのような措置を自衛隊に命ずるととによって国の安全を守ろうとするのか、シビリアンコントロールの最高責任者としての総理の見解と方針をお伺いいたしたい。(拍手)





昭和55年03月06日 衆議院 予算委員会第一分科会
[167]
公明党 小川新一郎
私どもがいただいた「日本の防衛」という中では、平時の日本の防衛ではすき間ないように、そして抑止力になるような意味のことを書いておりますが、陸上自衛隊18万人の定数が充足しないのは、どういう理由によるのでしょうか。1つは応募者が来ない、1つは予算が足りない。いずれにしても18万人が欠けていることは事実でございます。徴兵制をしかない限り、18万には達しないのでしょうか。

[168]
政府委員(防衛庁防衛局長) 原徹
18万と申しますのは戦うための体制でございまして、その18万という定数が決まっておりますから、たとえば小銃は18万丁持っておるのでございます。現在は必ずしも満杯にしておくようなことではない。訓練ができる最低限ということで、これは財政上の問題もございます。

そういうこともあって、現在86%になっておるわけでございますが、私どもといたしましては、逐次これを引き上げていきたい、そういうふうに考えております。それでいまの、募集ができないというようなことは、現在の段階では別にないであろうというふうに考えております。





昭和55年03月08日 衆議院 本会議
[014]
日本共産党 梅田勝
反対理由の第2は、国民への福祉切り下げ、負担増の押しつけとは対照的に、軍事費はふやし、日米軍事同盟の侵略的強化と軍事大国への道を目指す危険な予算だということであります。

本予算の軍事費は2兆2300億円にも達し、その伸び率6.5%は、国債費などを除く一般歳出の伸び率5.1%を大幅に上回るものであります。

これは、軍事費はGNPの0.9%死守という、アメリカや徴兵制の導入まで口にしてはばからない財界の軍備増強の要求に積極的にこたえたものであり、自民党政府の対米従属、大企業本位の危険な政治姿勢を露骨に示したものであります。

また、その内容は、5カ年で総額10数兆円に上る、事実上の五次防と言われている「中期業務見積り」の初年度として、1機100億円もするF15戦闘機34機、P3C対潜哨戒機10機など疑惑に包まれたものや、七四式戦車60両などの新規装備を盛り込み、自衛隊の侵略的機能を一段と強めるものとなっているのであります。





昭和55年03月25日 衆議院 本会議
[063]
日本社会党(社会民主党) 伊賀定盛
いま1つ、着実かつ顕著に防衛力増強にひた走るためにおぜん立てされたのが、いわゆるスパイ事件でありましょう。これを奇貨として、自民党内に機密保護法制定の動きが顕在化しつつありますが、民主主義破壊と人権抑圧に連なるこの種法制定の意思ありや否や、総理並びに関係大臣の御見解を承りたいと思います。

これらアメリカによる防衛力増強の圧力を日本の財界が見逃すはずはございません。ジョージ・ポール元アメリカ国務次官の、日本に空母2隻を建造させ、アメリカがこれを借り受けるという提案を受けた形で、永野日商会頭は、武器輸出の規制を緩和すべきだと提言しております。一方、日向方齊財界首脳は、有事に備え徴兵制を研究する時期であるとタイミングよく発言をしております。

目下、不況にあえぐわが国産業界にとっては、軍需産業ほど魅力あるものはありません。大量生産によるコストダウン、雇用不安と国際収支の改善等々のメリットを口にしながら、軍備拡張は渡りに船とばかりに、産軍一体となって、代理戦争ないしはみずからの戦争への道をまっしぐらに突き進もうとしているのではありませんか。この場合、国民の生活が犠牲になることを忘れてはならないのであります。

総理は、アメリカの空母2隻の建造案をどう受けとめられるのか、武器輸出規制緩和、徴兵制度の研究課題をどう措置されるのか、御見解を承りたいと思うのであります。

いまや日本は、安保ただ乗り論の批判を返上すべく、身銭を切ってGNP1%の上限を取っ払い、産軍一体になって軍需産業を振興し、機密保護法を制定し、徴兵制を研究し、空母を建造しようとしているのではありませんか。そして在日米駐留軍の負担金を増額することは、既定の事実となっているのではないでしょうか。

このようにして国内体制を整備しつつ、日米軍事体制の強化、ひいてはアメリカの同盟国大連合構想実現に向かって突き進みつつあるような気がしてならないのであります。

現に、安保条約で言う極東の範囲は際限なく拡大解釈され、リムパック参加を通じて、政府みずからが憲法違反を認めている集団自衛権発動への道が開かれつつあるのであります。

いまアメリカが公然と日本に対し、当然の義務として迫っているものの1つが、宗谷、津軽、対馬、3海峡封鎖であります。このアメリカの要求を断り切れず、これにこたえようとしているのが総理の心中ではありませんか。御心境を承りたいのであります。

[064]
内閣総理大臣 大平正芳
それから第2番目の問題として、機密保護法を制定しようとしておるのではないかというようなお尋ねでございました。

防衛庁に不幸にいたしましてスパイ事件が起こりましたことは、大変遺憾に存じておりまして、われわれといたしましては、庁内に委員会を設けまして、現行法制の中で機密防衛のためにどういう措置を講ずべきかということをいま鋭意検討いたしておるわけでございまして、政府として機密保護法を制定するという意図はいま持っておりません。

それから第3の問題といたしまして、財界の方面で武器輸出の規制を緩和したらどうかとかあるいは徴兵制等についての発言があったが、これに対して政府はどう考えるかという御質問でございました。

武器輸出につきましては、武器輸出を規制する三原則を政府は変えるつもりはないのでございまして、今後ともこの方針を貫きたいと考えております。

徴兵制につきましては、今日まで終始申し上げておりましたとおり、政府として徴兵制を毛頭考えていないことも、伊賀さん御承知のとおりでございます。したがいまして、こういう方々の御要請というものに対する、その熱意は理解できないわけではございませんけれども、政府の既定の方針に変更を来すつもりはございません。

それから、第4番目の問題として、ボール元次官の空母建造発言というのをどのように受けとめておるかということでございました。

こういう御発言は、ボールさんだけでございませんで、類似のものは米財界人から御提言がありましたことも、われわれは承知いたしております。ただ、これは安全保障面でわが国に一層の努力を求めたいとするアメリカの最近の雰囲気を反映したものでございまして、アメリカ政府の要請でないことは、伊賀さんも御承知のとおりでございまして、われわれといたしましては、日米安保条約を踏まえ、片方、防衛力整備計画を踏まえて、着実に国力と国情に沿った防衛力の整備を進めていくという既定の方針に変わりはないわけでございます。





昭和55年04月04日 参議院 本会議
[013]
日本共産党 小巻敏雄
反対理由の第2は、軍事費であります。

政府は、アメリカの要請、財界の要求に引きずられ、追従して、きわめて危険な道に足を踏み入れようとしております。アメリカのカーター政権は、アフガニスタンに対するソ連の軍事介入を契機に、わが国に対して軍事費の着実で顕著な増額、太平洋輸送路の防衛分担、自衛隊による3海峡封鎖作戦など、政治経済協力に加えて軍事面での協力分担を相次いで要求してきています。わが国の自主性がいまほど問われるときはありません。国際紛争の中で力の政策に加担することは絶対に許されてはならぬことであります。

しかるに、わが国財界首脳の一部には、軍事費増強による軍事兵器産業育成論、武器輸出論、ついには徴兵制検討の発言さえ飛び出すはなはだ危険な情勢があります。憲法遵守の厳粛な義務を負う政府が、いやしくもこれら死の商人の声に動かされるようなことがあってはなりません。

こうした中で、政府は、防衛庁の中期見積もり、すなわち5年間に2兆8000億という莫大な軍事費支出を認め、GNP比1%達成をも実行しようとしております。断じて反対であります。これは軍事大国へ大きく踏み込んでいく危険な道しるべであるばかりでなく、国民生活破壊に直結するものであります。

わが党が衆議院において提出した修正動議でも示したように、大企業本位の財政経済を国民本位に切りかえ、軍事予算を削減し、平和で暮らしやすい日本を目指すことこそ広範な国民の願いであります。



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