徴兵制 5 ~ 佐藤栄作内閣(2798日)

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昭和39年12月14日 参議院 予算委員会
[269]
日本共産党 岩間正男
次に、憲法改悪による赤紙徴兵令の復活、海外派兵ということを心からにくんで反対しておる、これは日本の青少年の特質だと思います。これを尊重しますかどうですか。

[270]
内閣総理大臣 佐藤榮作
御承知のように、私どもはただいま憲法を守っております。

ただいま仰せになるような事柄は、何か事実を曲げて解釈されるのじゃないか、かように思っております。

[271]
日本共産党 岩間正男
事実を曲げてというのはどういうことですか。目を開いて現実を見てごらんなさい。この赤紙徴兵令に賛成している青少年があるかどうか。

あなた、じゃそういうことをやりながら、一方で自衛隊の募集人を強化したり、自衛隊に宿泊をさせたり、そういうことを平気でやっているじゃないですか。なぜはっきり言い切れないのですか。憲法を守る当の責任者として当然そういうことはしないと言わなければ、これは平仄合わぬと思うのですが、どうなんですか。海外派兵や赤紙徴兵令の復活は反対しているのですかどうです。これを尊重しますか。

[272]
内閣総理大臣 佐藤榮作
憲法を守っておるのですが、赤紙召集というようなことがありますか、いま。

[273]
日本共産党 岩間正男
いやそういうものを復活にと言っている。よく聞かなければ……。総理は疲れているようだけれども、よく聞いて……。

(笑声)

[274]
内閣総理大臣 佐藤榮作
そういうことはございません。





昭和39年12月16日 参議院 内閣委員会
[278]
公明党 鬼木勝利
先ほど長官は徴兵というようなことは夢想だに自分は考えない、それは当然の御答弁だと思うのですが、どうもこれは戦前の、私は、在郷軍人の制度化するのじゃないか。

しかも、公式な行事には制服をつけさせる、何の用があってそういう制服をつけさせるのですか。自衛隊も、訓練期間中ならば服を着るというのはあたりまえなんで、民間人となって、何のために公式の会合にそれを着用させるのですか。もう少しその根拠を、納得するようにひとつ話しをしていただきたい。

[279]
政府委員(防衛庁人事局長) 堀田政孝
予備自衛官制度は、たびたびほかの政府委員からもお答え申し上げましたように、原則が自由でございまして、本人が希望しなければ予備自衛官になる必要は、端的に言えばないわけでございます。しかも、制服の着用ににいたしましても、本人がやはり制服を着たくないということでございますれば制服を着なくても差しつかえないわけであります。防衛庁が招集をするいろいろな行事等に本人が誇りを持ち、自分の制服にかって着た制服に誇りを持ち、現在もその服を着たいという者がそれを着用して整列する、あるいは参加するということに私どもは意義があるというふうに考えて、今回の法案をお願いをしておるわけでございます。

しかも、たとえば、命令を出すということは前の在郷軍人会と同じではないかという御指摘でございますけれども、よしんば制服がなくて訓練招集に応じないという場合でも、別に附則があるわけではございませんで、職員給与法の規定によってお金を差し上げない。来ない人間には手当を差し上げないというだけのことでございます。したがいまして、心身の故障だとか、あるいはだれが考えても正当な理由であるというような事柄に当たらない場合、それは手当を差し上げないという措置をとるだけでございます。しかも、それに対してそのほかの罰則を加えるというようなことはございませんし、本人の自由意思にまかしておりますので、昔のような在郷軍人制度にそれを発展させるとか、あるいは実質は在郷軍人制度なんであるということは当たらないのではないかというふうに解釈をいたします。





昭和39年12月18日 衆議院 本会議
[033]
日本社会党(社会民主党) 田口誠治
私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に反対の討論をいたさんとするものであります。(拍手)

(中略)

本案の目的を要約すれば、平和憲法を改悪し、自衛隊を合法化し、核兵器を持ち込み、徴兵制度を復活し、国防省を設置し、日韓会談を成功させ、東北アジア軍事同盟の主役をつとめ、外国の軍隊まで訓練をし、再び軍国主義日本の復活をはかろうとしておるのであります。このことは言うに及ばず憲法に違反するものであることをここに明確に申し上げ、反対の討論を終わる次第であります。(拍手)





昭和40年02月23日 衆議院 予算委員会第二分科会
[025]
日本社会党(社会民主党) 田口誠治
わかりました。こういう質疑のやりとりをしておりますと時間がきますので、あまり私がお聞きをして指摘をいたしたいという点ができませんが、いずれにいたしましても、定員より自衛官で3万3、4000人というものは不足をいたしております。そういう結果でございますから、なかなかこの自衛官の募集ということについては、相当努力されておりまするけれども、自衛官になり手がないということです。自衛官になってもすぐやめるという、こういうことになりますから、必然的に国防省を設置をして、そしてまた徴用制度とか、あるいは徴兵制度というものを勢いしかなければ、こうした兵の充足もすることができないというような、あれやこれやの考え方をもって、この日本の自衛隊を拡充強化しようとすれば省に昇格しなければならない、憲法の改正まで持っていかなければならない、こういうことになっておるだろうと思いまするが、こういう点につきましては私どもは反対でございまして、いまの兵の不足を充足することは、これは毎年同じような数字で、どちらかというと欠員の数字が多うなっていっておるのです。だから、こういうような実態でありまするから、この防衛庁というもののあり方につきましても、国民がいかに支持しておるか、支持しておらないか、また国民が自衛官になり手がないかということは、おのずからわかるだろうと思うわけでございます。





昭和40年03月10日 参議院 予算委員会
[274]
日本共産党 岩間正男
そして、これらのことばでも明らかなように憲法改正のねらいは、第1に、目下ベトナムで抜き差しならなくなっているアメリカが、その戦略体制を立て直すために第二次朝鮮戦争というものを想定して日韓会談の妥結を強要し、あらかじめ日本の自衛隊に戦力増強、核武装など全面的な協力をさせようとしていること。

第2に、そしてそのために自衛隊の海外派兵、徴兵令の復活、したがって、第9条を中心とする憲法改定が必至の要件となっていること。

第3に、日本の反動勢力がこれに協力するために国家総力戦体制をつくり、軍国主義、帝国主義復活の野望を達成しようとしていることであろうと思います。こうして憲法改悪の陰謀はすでに憲法がじゅうりんされ、ゆがめられている、このまざまざとした現状をさらに合理化し、積極化しようとすることにあることはきわめて明瞭であります。





昭和40年08月03日 参議院 本会議
[010]
日本社会党(社会民主党) 伊藤顕道
次にお伺いしたいのは、いま日本の空には航空自衛隊、海には海上自衛隊がございます。そして陸には旧帝国陸軍の30倍の戦力があるといわれている陸上自衛隊という名のつく軍隊がございます。

その自衛官についてみますると、約3万の恒常的な欠員がありますが、これがどうにも補充ができないままになっているわけでございます。このことは、現行の志願制度はすでに限界にきているのではなかろうかと考えられるわけであります。このままでは、いずれにしても、アメリカから強い要求のある防衛力の増強が実現できないわけでありますので、防衛庁としては苦慮しているのが現状のようでありますが、政府は一体この3万以上の恒常的な欠員についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいのであります。

また、その対策として、戦前の徴兵制度を憲法改正とからめて実施しようとの動きが、改正論者の間に台頭しているやにうかがわれ、さらに、最近の緊迫せる国際情勢が反映して、その傾向が強まりつつあるようでありますので、この際、徴兵制度に対する総理のお考えをお伺いしたいのであります。

[011]
内閣総理大臣 佐藤榮作
次に、この憲法改正に関連いたしまして、わが国が徴兵制度をしくのではないか、こういうようなお尋ねでございますが、これはとんでもないお話でございます。私どもは徴兵制度を考えておりません。

むしろ、ただいまのような志願兵制度、そのもとにおきまして、そうしてりっぱな人が採用される、かように考えておりますので、近代の兵備等から申しますれば、りっぱな才能のある者を採らなければ、十分の効果をあげることができないのであります。私は、形だけにとらわれた徴兵制度では、何ら意味をなさない、かように考えるのであります。

これは誤解を生ずると考えますので、はっきり申し上げておきます。ただいまそういうことを考えておらない、これをひとつはっきり申し上げておきます。





昭和41年03月19日 参議院 予算委員会
[298]
日本社会党(社会民主党) 小林武
まあ答弁のための答弁のようでありますが、あなたたちが非常に力こぶを入れているのは、国防意識の高い者によって編成しようという御意思のようであるが、私は、そういう観点から、いろいろ現状はあなたのように楽観論を持っておらない。そういうことになると、いまの人手不足の中に生まれた一つの自衛隊の幹部級というか中堅幹部ぐらいのところまでの養成ということを考えると、システムの上からいっても、これは兵というものの対象を広げていかなければならぬというような考え方も出てくるから私はたいへん心配しているんです、この点では。

そこで、心配というのはどんな心配かというと、自衛隊に人が一ぱい集まらぬというようなことを心配しているんじゃなくて、どうも憲法論議の中にもたくさん出てくるように、徴兵制度というようなものに対する議論がたくさん出てきている。賛成論の方もだいぶおありのようだ。そこで、こういう点について私は総理大臣にお尋ねをしたい。徴兵制度というものに対してどういうお考えをお持ちであるか。

[299]
内閣総理大臣 佐藤榮作
先ほど松野君もお答えしたようですが、ただいま考えておりません。

[300]
日本社会党(社会民主党) 小林武
ただいま考えておりませんというのは、なかなかくせものでありまして、これは自衛隊というのは将来どのぐらいまで一体拡張していくつもりであるか。これは、あなたの長期計画からお考えになれば、第二次防とか、三次防とか、さらに四次防も来るかもしれない。そういう発展の中で、日本の中においては徴兵制度というものはとるべきでないと、こういうふうに理解してもよろしいですか。

[301]
内閣総理大臣 佐藤榮作
私の表現の問題になっておるようですが、ただいま小林君の言われるとおりでございます。





昭和41年06月25日 衆議院 本会議
[008]
日本社会党(社会民主党) 田口誠治
ことに、佐藤内閣に至っては、憲法を守ることついては一片の良心もなく、反省もなく、ひたすら向米一辺倒の軍事重視政策を打ち出し、安保条約の長期固定化、国防省の設置、自衛隊の核武装と海外派兵を志し、やがては徴兵制への道を開き、最後には軍国主義国家へと暴走しようとしておるのであります。





昭和41年10月17日 衆議院 文教委員会
[119]
日本社会党(社会民主党) 川崎寛治
最近新聞あるいは週刊誌等にも出た問題でありますけれども、自衛隊の募集について、防衛庁が各県の地方課長を通して、さらに県の地方課長のほうから今度は市町村に対して、全国10数ヵ所でモデル県をつくり、さらに各県で具体的な自衛隊員の適格者名簿というものの作成がいま進められておる、こういうことに関連をして、この学校教育に及ぼします影響、そういう問題についてお尋ねをしたいと思います。

防衛庁がこういう形で、各県を通して隊員募集の合理化だという名前のもとに、適格者名簿をつくっておることは御存じですか。

[120]
説明員(文部事務官(初等中等教育局長)) 斎藤正
そのようなことは、私自身は存じておりません。

[121]
日本社会党(社会民主党) 川崎寛治
そういたしますと、防衛庁が独自に進めておる、こういうふうに理解をしてよろしいと思いますが、社会党が調査団を出しまして具体的に滋賀県の実態調査をいたしました。そういたしますと、滋賀県においては、ここに私持ってきておりますが、県が〇〇市町村自衛官募集事務処理要綱という準則を出しておるわけですね。それからこれに基づいて、これは日野という町でありますけれども、日野町における自衛官募集事務処理要綱を次のとおり定めるということが、ことしの7月1日、日野町において決定をされておるわけです。そこでこの問題に関連をしてお尋ねをしたいわけでありますが、この滋賀県の具体的な例によりますとこういうふうになっているわけです。この中に関係組織団体というのがあるわけです。この募集事務を進めていく場合に関係組織団体というものがある。その関係組織団体には、関係官公署、学校、報道機関、協力団体、自衛隊相談所等というのが、関係組織体等の用語として出されておるわけです。でありますから、当然にこれは学校も対象としていろいろのことが進められておるわけです。

全く知らぬと初中局長は言っておられるわけでありますけれども、そういたしますと徴兵制度の前提じゃないか、こういうことで新聞等においても取り上げられておる、しかも重要な問題を全く知らぬということで通すというのはいささか無責任じゃないか、こういうふうに思うわけです。



[133]
日本社会党(社会民主党) 川崎寛治
これまで自衛隊は、各市町村にまかせて自主的な募集をやってきたわけです。ところが、計画的に適齢者の台帳をつくってくる。そうなりますと、18歳から24歳といいますと、後期の中等教育から高等教育にかかる年齢層がみなはまってくるわけです。徴兵制度の前提と国民がとるのは当然じゃないですか。

しかもこの募集要綱の中には、こういうふうに書かれている。「採用予定者に対し、協力諸団体の協力を得て入隊の際壮行会、激励会等を行なうよう努める。」これは出征兵士を送るようなかっこうですよ。





昭和41年10月27日 衆議院 内閣委員会
[284]
日本社会党(社会民主党) 淡谷悠藏
A種特定隊員、B種特定隊員、C種特定隊員、D種特定隊員、なおX種特定隊員となるのであります。

そのA種特定隊員というのは、「暴力主義的革命勢力の構成分子であることが確認された隊員をいう」。

B種特定隊員というのは、「前号勢力の同調者であることが確認された隊員をいう」。

それからC種特定隊員というのは、「本条第1号、第2号に該当する容疑事実のある隊員をいう」。

それからD種特定隊員というのは、「第1号に掲げる勢力の響影下にある労働運動、サークル活動等(文化活動を含む)に関係ある隊員、もしくは同勢力の構成分子乃至同調者を縁故者に有するか、あるいは、これ等と親密な交友関係にある隊員であって、同勢力の影響をうけるおそれの濃い者をいう」。

X種特定隊員というのは、「米国への留学および米軍基地立入のための適格審査の結果不適と認められた隊員であって、その理由が本条前各号に該当する疑いがあると認められた隊員をいう」。

これが大体特定隊員なるものの内容であります。

しかも、この特定隊員の認定等に関しては「航空幕僚長が行う。」等とありますが、私ここで特にお聞きしたいのは、第21条に「(符号)」というのがあるのであります。この符号は「本調査業務の記録報告(通報)等にあたっては、次の符号を使用するものとする。ただし、必要のある時はその他の符号を使用することもできる。」、「現隊員等」の「等」という、つまりここでは、暴力主義的革命を目的とする団体の構成員というのは前に言いましたが、この中には「(共)」と書いてあります。それからその次には「上記団体の秘密構成員と判断された者」というのが「(秘)」であります。「上記団体に対する協力者または同細君」は「(同調)」、「不法分子(右)」、「特定隊員の容疑者(容)」、「特定隊員(丸特)」というのがあります。それから、「調査業務に使用するその他の秘匿略語、符号および隠語については、別に指示する。」とあって、マル共がひとつ、マル社がひとつ、マル創があります。創価学会の創です。その次はマル組があります。こういうことが、あなた方が知っていない間に、ちゃんと隊内で書類が出ておるとしたならば、これに対して締まりがつきますか。長官、どう思われますか。

[285]
説明員(防衛庁参事官(防衛局長)) 島田豊
自衛隊の情報収集その他の作業につきましては私のほうが担当いたしておりますので、私のほうからお答え申し上げたいと思いますが、ただいまお手持ちの資料につきまして、私はそういう資料が実際にあるかどうか承知しておりませんので、調査いたしたいと思います。

調査をいたします目的につきましては、これは自衛隊の秘密保全に関する問題、あるいは外部からの自衛隊員に対する働きかけ等につきまして、自衛隊自体を防護する、防衛する、こういう目的で各種の調査をやっておりますけれども、ただいま御指摘のような、そういういろんな細部の点につきましては実は承知しておりません。

[286]
日本社会党(社会民主党) 淡谷悠藏
これはしかし、十分に御調査の上――現在でも、私はまだあると思います。これは出所は申されませんけれども、確実な出所ですから。あるいは私たちも「特定」なのかもわかりません。

ただ、こういうことが内々に適格者の定木になるならば、年齢だけで、昔の徴兵名簿みたいに全役場に名簿をつくれという趣旨が私にはどうも受け取れない。なお、この中には自由志願した者の名簿をつくれという一項があるでしょう。一方においては自由志願した者の名簿をつくれと言っておきながら、一方においては、志願しようが志願しまいが、各役場に命じて全部の適齢者の名簿をつくれという考え方は一体どこからくるか。いまの自衛隊が、原則において自由志願が第一であるならば、第一の適格条件は自由志願じゃないですか。志願しない者をしゃにむに名簿にあげて、ねらいうちにこれを募集するという形は、これは行き過ぎだと思う。

学校などもそのとおり。ちゃんと第2条に書いてある。「関係組織体等関係官公署、学校、報道機関、協力団体、相談所等」、委任事務で、役場の中でやったらいいけれども、役場外に対してもきびしい要綱をつくって、ぜひ協力をしろ、入隊する者には大いに歓送会をやれ、激励会をやれ。ヘリコプターなんか全部それに使うんです。わざわざ学校の女の子を動員して、ヘリコプターに搭乗した子供たちに花束なんか贈呈している事実がある。きょうは関連ですから詳しくは申し上げませんが、これは明らかに徴兵準備だと思う。何の必要があって、1町村10人くらいの入隊しかないのに、500名の隊員名簿をつくるのです。一体何人自衛隊員をつくろうというのです。

夜中にジープを持っていって、うちに上がり込んで、ひざ詰め談判でやっている。行き過ぎじゃありませんか。これは広報活動と言っていますが、こんなことをしておいて一対一の広報活動だというならば、何をやってもかまわない。特に協力会の問題がありましたが、協力会の会長はだれがやっておりますか。私はきょうは名前を申し上げませんが、自民党の現職の参議院議員、衆議院議員で協力会長になって、この協力会には、要綱には指示してありますけれども、少しも経費がないんですよ。経費も何も与えないで、協力会をつくって歓送会をやれ、大いに激励しろということを預けるならば、これはやはり第2、第3の上林山長官が出てくると思う。選挙運動に使いますよ。使っているのがある。

こういう点に非常に私は自衛隊の弛緩というよりは緊張し過ぎがあって、何か昔の徴兵制度を復活して、まあ30万以上になれば徴兵をやらざるを得ないということをある人は言っていますが、そういうふうな準備を進めているということになれば憲法上の一大問題です。

まあいずれおりを見まして、長官の身柄の始末がつきましてから、あらためて私は質問いたしますけれども、いまの学校の庭にヘリコプターなどをおろすというのは、明らかにそうした募集の行き過ぎの一つのあらわれであるということをはっきり私は長官に申し上げまして、関連質問を一応終わります。





昭和42年03月17日 衆議院 本会議
[003]
日本社会党(社会民主党) 川村継義
最後に、この際、私は特にお尋ねしておきたいことは、現在各地の地方団体が、政府の指示のもとに、自衛隊員適格者名簿の作成を進めておりますが、これは地方自治の趣旨からして重大であるばかりではない。第三次防衛計画の決定された背景もあわせ考えるならば、事実上の徴兵制の準備であると断ぜられてもやむを得ないことでありませんか。

一体どのような目的でやらせているのか。私は、ここに総理に対し、地方公共団体に憲法違反の業務を押しつけるがごときことを中止されるよう要求し、総理の所信をお尋ねしておく次第であります。

[004]
内閣総理大臣 佐藤榮作
最後に、自衛隊員の適格者名簿、これをやめろという御意見でございます。これは別に徴兵制度に先行するようなものでは絶対にございません。国民の間に徴兵制度に先行する適格簿であるようにお考えだと、それは全然誤解であります。そういうものではありません。

私は皆さん方に申し上げますが、わが国の安全を確保するために必要な自衛隊であります。これは、国民全体がこの自衛隊を十分認識し、理解することが必要でございます。(拍手)私は、そういう意味で今日この適格者名簿が設けられ、そうしてこれが自衛隊の理解に役立つなら、これにこしたことはないのであります。社会党の諸君もその点よく考えていただきたい。(拍手)



[023]
日本共産党 川上貫一
これと関連して、私は、この際、滋賀県、秋田県、長野県など、各地の地方自治体につくらせている自衛隊適格者名簿についての答弁を求めます。総理は、先ほど野党の質問に対して、この壇上から、この名簿の作成は国民に安全保障の理解を深めるためのものであると言われました。地方自治体にこっそりこのようなものをつくらせていることが、どうして国の安全についての理解を深めることになるのですか。これは何という答弁ですか。一体総理大臣ともあろう者が、こんな白々しいことは言わないほうがよろしい。こういうわけのわからぬ答弁をしなければならぬことこそ、あなた方が内心徴兵令を予定し、全青年を戦争にかり立てようとする意図に基づくものであるという、これを証明する以外の何ものでもないと、私は断言してはばかりません。(拍手)

一体政府は、きょうまでに、どういう手続で、どこどこの市町村にこれを実行させましたか。また、現在までに登録された青年の数は何人でありますか。さらに、今後もそれを実行し続けるつもりでありますか。これは国民にとって重大な問題でありますから、数字をあげて具体的に詳細な答弁を求めます。

[024]
内閣総理大臣 佐藤榮作
次は、自衛隊適格者名簿の問題であります。これは先ほどお答えしたとおりでありますが、自衛隊についての理解、これを深めるという意味におきまして、応募に便するためにただいま適格者名簿をつくっておるわけであります。これをやめる考えはございません。もちろんこれは徴兵制度に先行するものではございません。





昭和42年03月29日 衆議院 予算委員会
[193]
日本共産党 谷口善太郎
第1に、佐藤内閣はますます凶暴になるアメリカ帝国主義のベトナム侵略戦争に加担し、アジア侵略のためのいわゆる日米安全保障体制を堅持するばかりか、自衛力の自主的整備と称して、アメリカの核のかさのもとに、日米共同作戦のために、膨大な第三次防衛力整備計画によって自衛隊の増強とその核武装を進め、また核拡散防止条約に賛成するなど、わが国へのアメリカの核兵器持ち込みを合法化しようとしております。

さらに徴兵制の準備のために、自衛隊適格者名簿を作成し、紀元節を復活し、小選挙区制を準備するなど、軍国主義的政策を一段と強化しておりますが、この政策は、暫定予算においても防衛費の増加として盛り込まれております。





昭和42年04月26日 衆議院 予算委員会
[092]
日本社会党(社会民主党) 淡谷悠藏
確かに募集している人員はそうでしょう。そのまた募集人員が十分に満たされていないことも、これははっきりしています。そのために、適格君名簿は大体何倍の名簿をつくるのですか、勘定したことがありますか。地方自治体はこれで泣いているのですよ。30人足らずの自衛隊員が入っていくのに、何万という名簿をつくらなければだめなんですよ。ろくに経費も払っていないじゃないですか。全然経費を払わずに後援会もつくっているじゃないですか。これは明らかに昔の総動員法みたいな、徴兵適齢者名簿みたいな、ねらいがあるとは申しませんが、性格を持っている。もう少し基本的にこの実情をお調べになったらどうです。



[115]
日本社会党(社会民主党) 淡谷悠藏
どうも長官、もう少し自衛隊の適格者名簿のことは真剣にお考え願いたいんですよ。それは長官があっさり片づけられるような問題じゃありません。自衛隊が志願制度があるならば、志願が第一要件じゃないですか。適格の第一要件は、志願じゃないですか。志願しても志願しなくても十ぱ一からげにこれを適格者として登録することは、明らかに憲法違反じゃないですか。徴兵制度の復帰じゃないですか。私は、やはり適格者というならば、志願を第一にしなければならないと思う。

志願してない者を全部片っ端から本人が知らないうちに登録するといった、一体募集方法がありますか。

[116]
国務大臣(防衛庁長官) 増田甲子七
適格者名簿というものは、私の見たところではきわめて簡単でございまして、何のたれがし、何歳、住所はどこと、これだけのことでございます。ほとんど職業等は書いてございません。その方がそれぞれ役人であるとか銀行員であるとか、そういうような仕事についておって、とうてい自衛官になれないような方であるならば、別に適格者名簿には載せないのでございます。すべて網羅的に、普遍的に載せるということは、いたしておりません。

それから適格者名簿に載りましても、志願者制度でございますから、志願するといなとは御自由でございまして、われわれは、適格者名簿に載った方々に自衛官はこういう姿であるといったようなパンフレットを送る。

皆さまが選挙のときに、それぞれ名簿をつくって書類をお送りになることがあると思います。その書類を沈もうと沈むまいと、また皆さまを御支持しようとしまいと、選挙民はかってであるということと大体において同様であると私は考えております。



[119]
日本社会党(社会民主党) 淡谷悠藏
時間がだいぶ経過しまして、委員長から御注意もあったようですから、最後に一つだけ長官のまじめな御答弁を願っておきます。

この自衛隊の適格者名簿の構想は、明らかにどんなことがあっても、徴兵制度とはつながらないということをはっきり明言できますか、いかなることがあっても。

[120]
国務大臣(防衛庁長官) 増田甲子七
この際、徴兵制度とは全然関連がないということを、きわめて明確に淡谷さんの御質問に対してお答えをいたしておきます。





昭和42年07月06日 衆議院 内閣委員会
[103]
日本社会党(社会民主党) 山本弥之助
法解釈ということよりも、長官として、わが国の自衛隊が海外に派兵されるということを、先ほど来のシビリアンコントロールからお認めになるのですかどうか。あるいは自衛隊が核装備をするということが、将来あり得るということをお考えになっておるのかどうか。それから、ただいまの徴兵制度ということをお聞きしているのです。

[104]
国務大臣(防衛庁長官) 増田甲子七
3つにお答えいたします。徴兵制度というものは、全然考えておりません。それから自衛隊海外派兵ということは、憲法に触れると思っております。それから自衛力の限界というものは、外国に脅威を与えないという範囲で実力を設置し、これを訓練する、その線はしかるべきものである、こう考えておる次第でございます。





昭和42年07月10日 衆議院 本会議
[021]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
真に必要なものは、長期の防衛計画ではなくして、まさに長期の展望を持つ平和計画でなければなりません。(拍手)そのことの認識が国民の間に潜在的にあるからこそ、自衛隊の自力募集は思うにまかせず、定員は不足し、結局徴兵制度を思わせるような適格者名簿作成による組織募集を市町村に強要するという違憲行為をあえてせざるを得ない羽目におちいっているではありませんか。(拍手)





昭和42年07月17日 衆議院 地方行政委員会
[054]
日本社会党(社会民主党) 華山親義
この問題は、社会党が言っているばかりじゃない。京都大学の杉村教授も言っている。徴兵につながるものじゃないかと。これは是非の問題は別として、あらゆる新聞に書かれたことなんです。

それを多くの人が知って、そして住民登録台帳がそういうことに使われるということがあったならば、これに登録しない、そういう者だって出てくるおそれがあるんじゃないだろうか。したがって、本来の住民の利益のために台帳をつくるということが、自衛隊でも何でもかってに使ってもいいんだということになったならば、台帳本来の目的、住民の幸福のためにする目的がそこなわれはしませんか。

[055]
自治大臣・国家公安委員会委員長 藤枝泉介
そういうことでございますので、現在でもそうでございますけれども、こういう住民台帳的なものが、あくまで市町村の住民に対する行政事務を中心にして用いられなければならぬ。しかし一面において、法律で機関委任をされておりますから、その住民行政に支障のない限りにおきまして、そういうものに協力するということはあり得ることだというふうに私は考えていますが、それが中心になるようなことがあってはならない、これはあくまで堅持をいたしたいと考えております。



[242]
日本共産党 林百郎
結局住民基本台帳が、今度は大臣にお聞きしますが、それに資料として提出されないということはあり得ないわけですね。たとえば自衛隊法の施行令の120条に「内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」とあるのですよね。そうすると、この住民基本台帳は、これはもちろんこの自衛隊法施行令は120条の「報告又は資料の提出」の「資料」の中へ入るのでしょうね。自衛隊の募集について必要だから、当該市町村の住民基本台帳をひとつ出してくれと言えば、出さなければいけないのでしょうな。どうですか。

[243]
自治大臣・国家公安委員会委員長 藤枝泉介
この台帳法の法律案のほうにも、住民票の写しを何人でも請求することができ――もちろん、事務に支障があるときは断わることができますけれども、請求できるようになっております。また、いまおあげになりました自衛隊法施行令で、総理大臣が必要と認めれば、そういう資料の提出をさせることができると思います。しかし現実の、これは前任の関係がありますから申し上げるのですが、現実の問題として、自衛隊の最高指揮官としての内閣総理大臣が、募集に関してそうした資料を求める必要はないのじゃないかというふうに私は考えております。

[244]
日本共産党 林百郎
そんなことは、大臣がかってにそう考えているだけで、これは、いつでも資料として提出を、求められれば資料として提出しなければならないものだろう、こう聞いているわけですよ。これは結局徴兵制の下準備をこれでやると言ったって言い過ぎではないのじゃないですか。





昭和42年07月19日 参議院 内閣委員会
[012]
日本社会党(社会民主党) 伊藤顕道
この適格者名簿は18歳から24歳、これを対象にしておると思うのですが、これは、全国各地でということをおっしゃいましたが、大体、全国計3000の町村の中の約3分の1にこういう通達を出したということのようですね。

そこで、なおお伺いいたしますが、これは昨年5月26日付で、防衛庁事務次官と人事局長名で各都道府県知事あてに送達したものであるようですね。そこで、これが問題になったのは、いわゆる徴兵台帳というものが戦前あったわけです。この徴兵台帳の復活につながるものとして、いろいろ各地で問題が取り上げられたわけです。この点については長官としてはどういうふうにお考えになっておられるのか。

[013]
国務大臣(防衛庁長官) 増田甲子七
伊藤委員にお答えいたします。

いわゆる適格者名簿は、自衛隊法が制定されました、すなわち10数年前からつくっておるわけでございます。それから、徴兵制に連絡のあるものでは全然ございません。





昭和42年07月20日 参議院 内閣委員会
[189]
日本社会党(社会民主党) 山崎昇
この適格者名簿については、私はまたあらためてゆっくりお聞きします。きょうは向こうからかなり急いでとのあれもあるので、ですから私はあらためて詳細にやりますが、ただ、私がこの問題をいま出しているのは、先ほどのあの調査要綱と関連をして、隊員ばかりでなしに、今度は18歳から24歳までの何にも知らない青少年にまで及んでいるのではないかという疑いを持っている。これは私の疑いですよ。なぜかと言えば、その家族も調べて、先ほど来あるように、縁故者でありますとか、きわめて幅の広い調査のしかたをしているわけですから、ですから、これがやがて若い青年層に対する広範な思想調査になるおそれがあると私は考える。

さらに、もっと突っ込んで言えば、あなた方が考えているか、考えていないか知らぬが、将来の徴兵制につながるのではないかと私どもは考えているから、ほんとうはもっとこれは突っ込んで聞きたいと思うのですが、時間もだいぶたちましたから――この適格者名簿については、自治体の長の仕事ではないと私は思う。

これは119条あるいはその前の115条等見ても、これは自治体の長の仕事ではないと私どもは判断しますから、そうしていま一点だけ指摘したように、きわめて強制的なやり方でやっているところもある。すべてだとは言いませんよ。強制的なやり方をしているところもある。そういう点も、この次に私は具体的に指摘をしますが、きょうは、この適格者名簿については、きわめていろんな影響を及ぼす問題だから、したがってこういうことをやらないように、最後に指摘だけしておきます。





昭和42年07月20日 参議院 本会議
[010]
公明党 鬼木勝利
自衛官は現在相当数に及ぶ欠員を出しております。そして婦人の自衛官、あるいは少年自衛隊までも補充しようとの意図もあると私は聞いております。かようにしてまでも定員を増強しようとすることは、はなはだもって不可解千万であり、断じて承認できないものであります。ここに、いずれは徴兵制にまで持っていくのではないかとの疑惑さえわき、さらに長期構想が盛られていないことは、政府の防衛に対する国民へのごまかしであると私は断ぜざるを得ないのであります。





昭和42年12月07日 衆議院 本会議
[009]
日本社会党(社会民主党) 勝間田清一
質問の第2は、「みずからの国を守る決意」を国民に迫っているわけでありますが、これは具体的には何を意味するのか。現実的対策とは何か。国民に、はたしてどうしろというのであるか。総理の構想を隠すことなく、その全貌を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)

はたして、第三次防衛力整備計画の修正拡大であるのか。海外派兵や徴兵制を可能にするための憲法の改正であるのか。沖縄の核基地あるいは米軍による基地の自由使用を認めることなどであるのか。こうした国民の深刻な疑問に対して、率直に答えていただきたいのであります。(拍手)

[012]
内閣総理大臣 佐藤榮作
第2の問題で、国民が一致してこの国を守るという、そのことは具体的に何かと、こういうお尋ねでありますが、私は、まず大事なことは、日本の憲法のもとにおきまして私どもは防衛力を持つこと、自己防衛することは、これは認められております。そこで、やはり何といっても自主防衛をするのだ、みずからの国がみずからの手で守るのだという、この自主防衛、この気概が必要でありますし、その気概に基づいての具体的な措置を講ずることが必要でございます。

そこで、その具体的な措置として、だんだん憲法改正をするのではないかとか、徴兵制をしくのではないかとか、こういうようなお尋ねがありますから、さようなことはございません。第三次防も、ただいま改正するような考えはございません。これをはっきり申したのであります。何ら誤解はないと思います。(発言する者多し)静かに聞いてくださると、よくわかると思います。





昭和42年12月14日 参議院 決算委員会
[026]
内閣総理大臣 佐藤榮作
たいへん限られた時間の間でただいまのようなお尋ね、私きわめて簡単に申しますと、いま私どもは平和憲法のもとに置かれております。したがいまして、わが国の防衛ということにいたしましても、平和憲法に縛られている、可能な範囲というのは非常に限定されておる、かように思います。しかも政府自身としては、憲法の問題は国民とともに考えることだ、こういうことをしばしば申し上げておりますので、ただいま憲法改正、また徴兵というようなことは考えていないことも御承知のとおりでございます。これが一つの制約だ。

また、最近の科学技術の進歩からいわゆる核兵器がどんどん出てきている。いわゆる核の谷間にある国だ。これを防衛という見地から見るのが一つの方法ですが、私は、防衛というよりもわが国の安全確保、こういう意味から見たらどうだろう。こういう点から見まして、安全確保、しかも憲法のもとこの国の安全を確保する、国連のもと国際関係を整調していく、こういう考え方から、ただいまの自衛隊は国力、国情に応じて整備してまいりますが、しかし、憲法のワクを逸脱するようなことは絶対にいたしません。

同時にまた、核の谷間にある日本の安全確保のためには、ただいまの日米安全保障条約は絶対に必要だ、したがって、この体制を維持していく、こういうことを国民の皆さんによく理解していただきたい、これは何よりも大事なことだ。自分の国は自分たちの手で守るのだ、こういうことで立ち上がってほしい。この実情をよく認識していただいて、これに対処するお互いの心がまえをつくっていただく。いわゆる自衛隊はもう不要だというような点までを含めて、どうしたら国の安全を確保できるか。私自身が考えられる私の責任、これは国民に分担させるわけではありませんが、国民の皆さんに同時にこの気持ちを考えていただきたい、かように私は思っているのであります。





昭和43年08月09日 衆議院 予算委員会
[313]
内閣総理大臣 佐藤榮作
先ほど来いろいろお話をしたので、国を守る気概を持てという、またそれを持っておるという、そういう事柄が一体どういうことなのか、この辺になお十分理解をいただいておらない点があるんじゃないだろうか。別に、国を守る気慨ということは、みずから武装しろとか、また徴兵制度をしけとか、かような意味で私申しておるのではありません。





昭和44年02月12日 衆議院 本会議
[040]
日本社会党(社会民主党) 大出俊
陸上自衛隊の43年11月末における定員は17万3000人であり、充足率は90.9%でありますから、現在員15万7184名となります。したがって、その差は1万5816名であります。つまり、定数を6000名ふやさなくても、それをはるかに上回る1万5816名は欠員として今日存在をし、いつでも採用ができるはずであります。

にもかかわらず、ばく大な国費をもってなぜ6000人の増員を求めようとするのか、ワクの拡大、ますの拡大をしておくことが有事即応のため必要だというなら、徴兵制度でも持ち出さざるを得ないはずであります。

なぜならば、今日自衛隊に応募する青年も、あるいは隊員である一般の士の諸君も、その大部分は、彼らが除隊までに身命を賭して銃をとらねばならぬという予測は持っていないはずであります。有事であればなおのこと、募集率は下がる道理であるからであります。

[041]
内閣総理大臣 佐藤榮作
次に、自衛隊の充足率はたいへんむずかしくて、ずいぶん無理な募集をしておるじゃないかというお話でありますが、自衛隊は、募集背景のきわめて困難な現在におきましても、良好な募集成績をあげております。また、隊員の処遇改善、募集体制の強化等によりまして、今後必要な質及び量の隊員を確保することは可能だと政府は考えております。

特に災害時の救助活動などから、自衛隊は国民に非常に親しまれており、国民の自衛隊に対する認識と理解はますます深まっていくものと私は確信しております。したがいまして、この点は御心配はないと思いますから、ぜひ御協力願いまして、今回のこの法案を通過さしていただきたいと思います。





昭和44年03月17日 参議院 本会議
[007]
日本社会党(社会民主党) 北村暢
最後に、自衛官の定員増加についてお伺いをいたします。

昭和43年11月末現在の自衛官の充足状況は、定員25万372人、現員23万2306人、欠員1万8066人、充足率92.8%で、特に陸士の充足率は悪く、87%であります。防衛庁は、毎年20数億の、充足率向上のための経費をかけて、宣伝これつとめているのでありますが、それにもかかわらず成績があがらず、欠員は慢性化しているのであります。

今回の増員要求は7702人でありますが、ばく大な欠員をかかえているところに増員要求をして、充足する自信がおありになるのかどうか、はなはだ疑わしいのであります。防衛庁長官、あなたは関西の御出身です。万博の労務者不足は十分御承知のはずであります。これに協力する意味においても、自衛官の増員は一時見合わせて、万博終了を待って、ゆっくり要求されるのが賢明かと存じますが、いかがでしょうか。

さらに、陸上自衛官の階級別人員構成を見ますと、43年10月末現在、幹部1万9276人、陸曹6万1851人、陸士7万6057人で、幹部、陸曹の合計は8万1127人で、陸士の人員より多いのであります。幹部1人に対し、陸曹3人強、陸士4人弱の割合となっております。これでは何と弁解しようとも、平時は幹部養成に重点を置き、非常時には徴兵制度を復活し、強制的召集によって戦時編成に切りかえる計画を持っているに違いないといわれても、反論の余地はないと思うのであります。

政府は非常事態の場合、現有装備でどの程度部隊編成の規模を拡大することができると判断しているのか、お伺いをいたします。これくらいのことは当然検討していると思いますし、もし検討していないとすれば、怠慢のそしりを免れません。慎重な御答弁をお願いいたします。

[010]
国務大臣(防衛庁長官) 有田喜一
また、自衛官に欠員がある。それに増員を要求するのはどうか、こういった趣旨のお尋ねでございますが、陸上自衛官の充足は最近だんだん向上いたしまして、現在は91%程度まで上がっております。今後一そう充足の向上につとめていく考えでございますが、自衛官の定員は、いわゆる部隊編成上の定数でありまして、他の公務員などとは趣を異にしております。

平時若干の欠員がありましてもさして支障はない。本来、自衛隊の編成は、有事の際に即応できるような体制を、平素から装備の面において、また教育訓練の面において行なっておるのでありまして、万一の事態に備えることができたらいいのでありまして、その万一の事態のときに徴兵なんということは毛頭考えておりませんから、その点は御安心を願いたい。

また、万博に労務者が必要だから、これに協力してはどうかということでございますが、もちろん万博も必要でございますが、この自衛隊の充実ということもきわめて大事でありまして、私のほうは、万博の人間が足らぬから自衛隊の増員をやめるなんということは毛頭考えておりません。どうしてもこの自衛隊の増員はやっていただきたい、そうしてその充足をはかっていきたい、かように考えております。

また、陸上自衛隊の階級の構成にアンバランスがあるじゃないか、こういうようなお話でございますが、私どものほうは、いろいろと専門的に装備や技術あるいは階層の積み上げを研究してまいっておりまして、その結果、自衛隊の現在の階級別構成は、幹部1人に対して陸曹が3.2、陸士が4.3となっておりまして、決して階級別構成がアンバランスになっておるとは考えておりません。したがいまして、部隊訓練もそのような編成に即して、それぞれの部隊の任務達成のために必要な訓練を実施しておるような次第でございます。





昭和44年06月19日 衆議院 内閣委員会
[063]
内閣総理大臣 佐藤榮作
一つの問題、徴兵をやるか、やらないか、こういう問題、徴兵はやりません。もう一つの問題、陸上自衛隊は幾らにするのか。これは18万、これが私どものねらいであります。これはずばりそのもの。さらに、いまの航空力、これはもっと強化しなければならないと思う。しかし、なかなか財力も許しません。また海上自衛隊力、これももっとふやさなければならないと思うが、これまた予算との関係でそう進むわけにいかない。しかし、ただいま申す基本的な考え方、一部で盛んにいわれておるような徴兵制度をやるんじゃないのか、こういうことがございますが、その点はやらない。これははっきり具体的に申し上げます。

[064]
日本社会党(社会民主党) 浜田光人
まず、徴兵制はやらぬ、こう言われるが、あたりまえのことです。しかし、これから自衛力を増強してやっていくと、どうしても重武装といいますか、そういう方向にいかざるを得ないと思うのですよ。そうなると、先週の金曜日ですか、13日の日に、東京新聞でずっと自衛力の自前の構想が出ておりましたが、こういうところはどうしても国民は結びつけて考えますよ。だから、総理は前もって徴兵なんかやらぬとか、核は持たぬとか、こう言われる。そうすると、たとえば沖縄の問題を出されましたが、沖縄が返ってきたときの自衛隊の配備はどうされるのか、あるいは守備範囲ですね、守備範囲はどのようにお考えになっておるのですか。





昭和44年07月03日 衆議院 決算委員会
[059]
日本社会党(社会民主党) 田中武夫
関連。いまの石野委員の質問に対する長官の答弁を聞いておりますと、危険なものがある。というのは、有事に際しては充足する。将校、曹、すなわち下士官、これをがっちり教育しておく。そうすると兵隊、いわゆる士ですね、兵が少々足りなくとも、有事に対して間に合わすんだ。

いわゆる指揮する者、将校、下士官、そして装備さえがっちりとしておれば、兵が足りなくとも有事に対しては充足するんだという考え方、これを特にナチス方式というのです。この考え方は、いいですか、かつての赤紙、徴兵制度を頭の中に描いての発言ではないか、どこかにそういう考え方があるように思いますので、答弁を求めませんが、私は警告をしておきます。

[060]
国務大臣(防衛庁長官) 有田喜一
決してそういうことを言っておるのじゃなくて、一般の隊員は比較的短期間に養成できるのですね。しかし、指揮をとる人は相当長期間要る。でありますから、充足率の向上ということには努力するけれども、比較的短期間にいけるから、そして有事即応の体制は、日本人も大体いざというときにはこの大事な日本を守ろうという気概はありますし、初め警察予備隊ができたときでも、ずいぶん大ぜいの応募者があったわけですから、私はこれを充足することにそう懸念は要らぬ、こういう考え方です。

ことに最近の若い人たち、あなたたちの御接触の方は違うかもしれませんが、相当自衛隊に対する理解が深まって、もういろいろアンケートを見ましても、約80%までは自衛隊の必要を認められておる、この段階でございますから、私は充足はできる、かように考えております。

[061]
日本社会党(社会民主党) 石野久男
有事充足という問題を大臣は先ほどからしばしば言っている。現在欠員は非常に多くても、有事充足にはちっとも事欠かない。そのためには、田中君から言われたように、幹部の養成をみっちりしておくのだ、これがいま大臣の答弁ですね。幹部さえしっかりしておれば兵はいつでも充足することができるのだ。しかも最近はアンケートをとると防衛に対しては非常に意識が高まっている、こういう言い方、これは非常に危険なんですよ。

いまなぜ自衛隊に若い者があなた方が期待するほどいってないのかという問題について、意識の問題もさることながら、やはりみな生活がかかっているわけですよ。だからいまのその大臣の言う有事充足というのは、どういう充足方法を考えているのか、これなんです。有事充足の方法はどういうふうにするのだ。これを大臣はどういうふうに考えているのだ。ほっといたらすぐ集まるというのですか。

[062]
国務大臣(防衛庁長官) 有田喜一
決してほっといて集まるとは言いません。私がさっき言いましたように、一般の隊員は養成期間がわりあい短時間で済む。したがいまして、もちろん充足は今後努力はいたしますよ。けれども、いま直ちに100%がなくても、一応は平素の訓練は十分できる。ただ幹部要員あるいは装備というものは、そう3カ月や半年の間にそれを整えるということはできない、だから平素からちゃんと充足さして、そして今後も兵といいますか士といいますか、いわゆる一般の隊員は充足に努力はいたします。

私は大体の見通しは、最近の趨勢を見ましても、これだけ若い人の労働力が不足がちだといいながらも、相当充足率は向上しつつありますので、これは自信を持っていざというときまでには――いざというときに一ぺんにやるというのではありませんよ。いざというときまでにはほぼ充足し得るのではないか、こういう見解を持っております。

[063]
日本社会党(社会民主党) 石野久男
大臣、そのいざというときにはいつでも兵隊は訓練できる。しかし自衛隊へ入ってこなければ訓練できないでしょう。自衛隊へどういうふうにして入れるのかということを私は聞いておるわけです。

自衛隊に入らない者に対して訓練するということだったら、昔の軍事訓練とか、やはり学校や何かでやるよりほかないのだ。自衛隊の隊員がいつでも1万人なり2万人足りないものを、入りもしない者をどうして訓練するというのですか。そこのところを聞いているのです。どうして入れるのかということです。

[064]
国務大臣(防衛庁長官) 有田喜一
いざというときまでにということを言っておるのです。だからいまから一生懸命募集に努力し、国民の理解と納得の上に立って、国民とともに歩む自衛隊をつくりたい。だいぶん国民の方も理解が深まってきて、だんだんと充足率が向上しつつあるので、それでだんだんと充足をやっていけるという見通しと自信を持っている、こういうことを申し上げたのであります。それまでほっておくという意味ではないですよ。

[065]
日本社会党(社会民主党) 石野久男
いざというときまで――そうしますと、いざというときはいつなのかわからない。とにかく自衛隊としては定員を充足させなければ、簡単な仕事だってこれは教えることはできないと思うのですよ。鉄砲の撃ち方だってできないと思う。自衛隊に入らなければ、その仕事はあなたが幾ら簡単だ、幹部さえしっかりしておれば兵隊はいつでもできるといったって、自衛隊に入ってこなければどうにも訓練することはできない。自衛隊に入ることを一生懸命にやってきているけれども、依然としてやはり1万4000人というものは足りないんですよ。陸上自衛隊だけをとるならば1万3700人足りないわけだ。この足りない部分をどういうふうにして充足するか。いまは青少年、特に若年労働者というのは足りないので、あちらでもこちらでも若年労働者をあさり、ほんとうに草の根を分けてもさがすというのが現在の産業界の実態でしょう。

そういう実態を有田さん知らないわけではないと思うんですよ。あなたはいまは防衛庁長官をやっているけれども、十分産業界のことはわかっているはずだ。そうすると、自衛隊に人が入らないのに、簡単な仕事だというけれども、その簡単な訓練を入ってこない者にどうして教えようとするのか。産学協同というのかあるいは産防協学というのか、どういうのか知らないけれども、自衛隊に入れてずっとろ過させる形で産業界と協力しながら、共同作業で訓練するという、こういう考え方ですか。

[066]
国務大臣(防衛庁長官) 有田喜一
少し極端にものを言われるからどうも食い違いがくるのです。もちろん一般の隊員といえども、自衛隊に入って訓練しなければ役に立ちません。しかし比較的短期間に養成できるものですから、いまからどんどん努力をして充足さしていきたいというのがわれわれの考え方でありまして、決して産業界に入ったものをたらい回しにするなんて、そんな考えとか、あるいは徴兵制度を考えておるということは絶対にないのであります。

私は、こういうような若年労働者が非常に少ないこのさなかにおきましても、ついこの間までは16万人ほど足らぬといっていたものが今日14万人になった、こういう趨勢でありますので、もう一息努力を払って、そしてよく国民に理解していただけば、充足は可能である、かように考えております。

[067]
日本社会党(社会民主党) 石野久男
これは大臣もわかっているように、給料を上げれば人は集まる可能性はありますよ。だけど、給料を上げない限りはおそらくそんなに人は集まらないでしょう。給料を上げなくても十分人は充足できるという見通しを大臣は持っているのですか、どうですか。そこところをひとつ聞きたい。

[068]
国務大臣(防衛庁長官) 有田喜一
私は、第一にはやはり国民全体が防衛というものに対して深い理解を持ってもらうということが大事だ。それから同時に、やはり人間ですから、処遇の改善ということも必要でしょう。しかしやはり公務員としての一つの制約がございます。しかし私は、別の意味において、隊舎の改善をはかったり、その他いろいろな処遇を考えて、精神面と物質面合わせて、進んで充足をはかっていきたい、かように考えております。

[069]
日本社会党(社会民主党) 石野久男
これは大臣がどんなことを言ったって、理解を深めるというようなことだけではとても充足はできないと思うのです。若い者はどんどん産業界に入っていく。だからこれは幹部だけを訓練して、兵隊はいつでも集めることができるというが、徴兵制度を考えていなければ実際問題としてこういうことはできないのです。

だからこれは、結局、大臣は国民向けには非常に理解を深めるとか何とか言うけれども、現に1万数千人不足している上に、また7000人も入れて、2万人から足りないものを、いま急に入れようとしたって入ってこない。これは明らかに徴兵制度を考えた上でやっていると言わざるを得ない。

この点は、あなたがどんなに抗弁したって、事実上若い者は集まりはせぬ。私はそういうふうに思う。そんな詭弁にはもうだまされないつもりなんだ。

[070]
国務大臣(防衛庁長官) 有田喜一
指揮官心得の問題に入る前に、私は詭弁でも何でもないのですよ。徴兵制度をしくなんということは毛頭考えておりませんから、そういうことを言われても――これはとにかく先ほど言うように、充足はできるだけやっていく、こういう自信を持っております。





昭和44年12月02日 衆議院 本会議
[008]
日本社会党(社会民主党) 成田知巳
今日、国論を大きく二分している防衛問題の中心は、自民党のいわゆる自主防衛論を認めるかどうかの問題であります。すなわち、自衛隊を国民皆さん方の税金で飛躍的に増強し、国民生活を犠牲にし、日本はアジア安定の主役を果たさねばならぬという佐藤総理の考えや、桜田日経連代表理事の憲法第9条改正論にすでにあらわれておる徴兵制と自衛隊海外派兵への道を選ぶのか、それとも自衛隊をこれ以上増強しないで、平和外交を推し進め、国民世論に聞きながら漸次自衛隊を縮減し、浮いた財源を社会保障、国民生活の安定に回す平和と繁栄の道を選ぶかの問題であります。(拍手)

古くて新しい、大砲かバターか、自衛隊か社会保障かの問題であります。

国民の皆さん方が、かわいい御子弟の未来のために誤りない選択をされんことを心から期待するものでございます。(拍手)





昭和45年02月19日 参議院 本会議
[030]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
第2に、戦争を防止するのは、人間の理性と相互理解による軍備縮小であるという部分についても共鳴いたします。これらの意味は、総理大臣の施政方針演説におかれても述べられておられるので、御清読をお願いいたします。しかし、現実の国際関係は理性や外交のみでは動いておりませんのはまことに遺憾であります。現実には、核兵器を伴わない国際紛争が存在しておりまして、中近東や朝鮮半島のような例を見ても明らかであります。このことは、平和を国民のために維持するためにわれわれは無視できない現実であります。したがって、これらの暴力に対処する必要最小限の防衛力は日本においても必要であり、国際的に通用している常識的な平和維持の体制を日本もとるべきであります。

しからば、その限界はどうであるかという御質問でありましたが、日本国憲法の命ずるところによりまして、明らかに日本の自衛行為や自衛力には限界があると思います。日本国憲法では自衛権は認められております。また、自衛権を保障するに必要な自衛力も認められております。したがって、自衛隊は合憲であります。しかし、文民優位を徹底するということ、それから非攻撃性の装備でなければならないということ、徴兵を行なわないということ、海外出兵を行なわないということ、これらは日本国憲法の命ずるところであると解します。





昭和45年03月11日 衆議院 予算委員会第二分科会
[387]
外務大臣 愛知揆一
それからその次に、憲法の問題にお触れになりましたが、憲法はしばしば総理大臣が言明しておりますように、憲法改正ということは考えておりません。したがって徴兵だとか、海外派兵だとか、あるいはこれはその点に触れると、またいろいろ法律的論議がありましょうが、非核三原則ということを守り抜いていく、こういうことは現内閣の一番かたく持していきたい方針であることも、いまさら申し上げるまでもありません。





昭和45年03月17日 衆議院 予算委員会第二分科会
[316]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
質のいい日本の青年に自衛隊にできるだけ多く入っていただこうと考えておりますが、私は質の悪いのまで採ろうとは思いません。この間の北海道の3人の1人は、知能指数等を見るとかなり程度の低い人である。名前は言いませんが、そういう事実があったのでありまして、そういう質の悪い人を採るということに努力するということより、ほかのいい人を入れる方向に集中していきたいと思います。

それから有事に集められるというような考えは持ちません。また徴兵はいたしません。これは前から申し上げたとおりです。やっぱり一番大事なことは、現代青年にとっては待遇とか魅力という問題であると思いますので、そういう点をこれから逐次改善していきたいと思います。

それから、やはり精神的要素もあるのでありまして、自衛隊員として胸を張って町を歩けるような社会的雰囲気ができることがまた非常に大事な点であります。そういう点についてもわれわれも努力しますが、どうぞ御指導をお願いいたしたいと思います。





昭和45年03月26日 衆議院 本会議
[039]
公明党 鬼木勝利
自衛隊18万体制をさらに増強するならば、もはや徴兵制をしく以外にないと判断するものでありますが、長官は、この18万体制をあくまで強行しようとするのか、徴兵制をしく考えは全くないとお考えになっておるのか、貴職の見解を明確に御答弁願いたい。

最後に、わが国の安全保障の基盤は、国民生活の向上、政治的、経済的、社会的な安定と発展であり、社会保障の充実等を基盤としない自衛力は、真の安全保障力とはなり得ないということをわが党は強く主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)

[041]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
予備自衛官につきましては、いま予備自衛官の充足率は100%でございまして、このやり方が賢明であると思います。

国民皆兵であるがゆえに徴兵するのではないかという御質問がありましたが、現憲法下徴兵はできないことでありまして、徴兵はいたしません。

さらに、国民生活の安定、社会保障の重要性を御指摘なさいましたが、まさに同感でありまして、社会保障とのバランスも十分に考えてやっていく予定でございます。(拍手)





昭和45年03月30日 衆議院 予算委員会
[187]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
そこでいろいろ問題が多うございますけれども、総理にお伺いをいたしておきますが、一体憲法第9条が許容していないと明確に考えられるもの、つまりそういう意味では歯どめになっているもの、これは徴兵制度、自衛隊の海外派兵以外に具体的に何があるでしょうか。総理にお伺いをしたい。

[188]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
やはり核兵器、特に攻撃的、戦略的核兵器、それから攻撃的兵器の中でたとえばB52のようなもの、あるいはICBM、あるいは中距離弾道弾、このように他国の領域に対して直接脅威を与えるものは禁止されていると思います。





昭和45年04月13日 衆議院 決算委員会
[046]
日本社会党(社会民主党) 田中武夫
したがって、欠員が充足するまでは増員の法律案は出さない、現に出しているのは撤回する。そうでなければ、入れものばかり大きくしていって、昨年なんかでも、言いたくはないけれども、強行採決で押し切ってまで入れものをふやしたんでしょう。そして実際人が寄らぬ。

だんだん入れものが大きくなって、人がますます寄りにくいとなれば、結局何を考えるか。言うまでもなく、一番安易な方法、徴兵制度の復活を頭の中で、机の上で考えていかねばならないような事態になることをおそれます。そういうことをも含めて、時間がございませんが、的確なひとつ中曽根長官の決意をお伺いいたします。

[047]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
徴兵制度の復活などはいたしません。

現在、陸の充足率は約87%、それから海が94.何%、空が96%ぐらいでありまして、空、海は、充足率としては非常にいい状態にあるのです。それで、陸につきましては、もう当分定員をふやす必要はないと思います。そのかわり内容を充実させるということが非常に重要であると思います。空、海につきましては、自衛力の整備に応じまして、まだ定員を若干ふやしていく必要があるだろうと思います。

しかし、いずれにせよ、この70年代を見ますと、自衛官の充員ということは、景気の上昇等も考えてみまして、非常に苦労があることであると考えます。それには、やはり青年諸君に、一つは国を守るということの大事なことを御認識いただくように、われわれとしても大いに努力する必要がある、と同時に、待遇やその他につきましてももっと改善して、民間産業の従業員にそうひけをとらないような待遇を与えていくということも、また大事であるだろうと思います。

一つの例を申し上げますと、警察予備隊が発足いたしましたときに、2年間つとめれば6万円の退職金をやるということでございました。今日は、2年間つとめましても7万円ぐらいになるだけです。当時の6万円では東京都内で、目黒ぐらいで100坪の土地が買えたわけでありますが、今日の7万円では1坪も買えないぐらいの段階になっておるわけであります。

こういう面から見ましても、待遇その他につきましてやはり考えなければりっぱな青年は来ない、そのように思います。しかし、単にそういう物質的な問題だけでなくして、そういう点も改良いたしますけれども、魅力のある自衛隊になり、また、われわれ自体が誠心誠意りっぱな青年を育てるつもりで教育していくようにならなければいけないだろうと思っております。





昭和45年04月15日 衆議院 内閣委員会
[253]
日本社会党(社会民主党) 大出俊
いまのこの世論調査の中で、長官、これは20代の人に対する世論調査でございますが、98%が、ほとんどの人たちが自衛隊の募集というふうなことについて見たり聞いたり読んだりしているわけですね、この世論を見ると。98%、ほとんどの人たちが見たり聞いたりしている。大体ポスターが80%である、こう書いてありますけれども、そうすると、これはほとんどの方々が自衛隊募集という現実を、あるいは文書にしたものを――相当金をかけています。昨年で広報費その他入れますと4億4000万ですね。たいへんな金です。

私、1カ所調べてみたのですけれども、若い方々を集めてものを言って募集するのでありますが、戦車が出てくる、あるいは装甲車が出てくるとか、軍楽隊が出るとか、いろんなことをやっておられるわけですね。しかも歌手伊東ゆかり君などを連れてきて歌を歌わせて、どうも私はふしぎだと思うのですよ、これは。4億4000万もの金を使って一体何をやっているんだろうか、観点が違うような気がするのですけれども、それにしても、そういう努力までやって、あとは日産、トヨタその他の会社のいろんな広告の中に入れてやって、月に小づかいをこれこれもらえますとか、4年で100万貯金が残ります、いいベターハーフを何とかすることができます、というようなことまで言って、しかも信用があるから大会社が優先採用するからとまで言って、みなさんやっておられてこの状態ということになると、これは好むと好まざるとにかかわらず、これ以上陸上自衛隊のほうに金を使うことが――努力すればふえるとおっしゃるけれども、これは無理な話だ。物理的にこの辺が限度である、こういうことになると私は思うのであります、徴兵とでも言わぬ限りは。この辺のところいかがでございますか。

[254]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
若年労働者層の人口増が低減していくという情勢を見たり、それから大学進学率がもっとこれ以上伸びていくという情勢を見ますと、確かに困難は増してくるとは思いますけれども、しかしわれわれのほうでもできるだけ待遇を改善するとか、あるいは国家を守るということの重要な使命感を青年諸君に知ってもらうとか、あらゆる努力を尽くしまして、募集に遺憾なきを期していきたいと思っておるわけです。





昭和45年04月20日 参議院 決算委員会
[011]
内閣総理大臣 佐藤榮作
まず、あるいは答弁が逆になるかわかりませんが、私が軍国主義的な方向に動いておる――国内でよもやさような疑問を持たれる方はないだろうと思います。もし国内でさような疑問を持たれるなら、たいへん私の説明が足らないことだと、かように思っております。

これはもう予算委員会を通じ、またその他の機会を通じ、わが国の平和に徹した基本方針はよく伝えてありますし、自衛隊をさらに再軍備するという、そういう方向でない、徴兵制度を採用するというようなことでもないし、また憲法改正などは考えないというはっきりしたことを申しておりますから、よもや国内にさような議論があろうとは思いません。





昭和45年05月11日 参議院 議院運営委員会
[074]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
私は憲法第9条に関しましては、憲法調査会におきます最終結論の各自の意見表明の際に、9条はそのまま維持するほうが適当であろう、ただし、自衛隊は認めるということ、海外出兵はしないということ、徴兵は行なわないということ、そういうことを条件として国民的合意で維持していくことが賢明であろう、そういうことを結論としても公表しております。現在でもそういう考えは変わっておりません。





昭和45年11月26日 衆議院 本会議
[011]
公明党 浅井美幸
また、徴兵制が憲法違反であり、わが国は今後一切徴兵制をとることはあり得ないことを明らかにしていただきたいのであります。

[014]
内閣総理大臣 佐藤榮作
なお、わが国の安全を確保するため、必要最小限の自衛力を整備することは、私は当然と考えますが、徴兵制はとらないことは申すまでもありません。この点は、はっきり申し上げておきます。





昭和46年01月26日 衆議院 本会議
[012]
日本共産党 不破哲三
さらにこの問題で重視をしなければならないのは、安保条約下に軍事力の増強が進めば進むほど、憲法改悪あるいはその他の手段によって徴兵制や海外派兵への障害を取り除き、軍国主義の全面的な復活への障害を取り除こうという動きが、アメリカと日本の支配層の間に一段と強まりつつあることであります。先日の財界の代表の憲法改正についての発言、あるいはニクソン大統領のフォーリン・アフェアーズ誌での論文、これらはその最も端的なあらわれであります。





昭和46年02月16日 衆議院 本会議
[016]
日本社会党(社会民主党) 大出俊
第6に、徴兵制度について承りたい。

白書は、英連邦諸国が志願兵制度であり、他はほとんど徴兵制度をとっているとして、その必要を強調しておいて、原案にあった徴兵制度は行なわないの文章を削除しているのであります。

昨年10月28日の内閣委員会におきまして、私の質問に高辻法制局長官が答えて、「徴兵制度は、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度である、すなわち、軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるもの」、「このような徴兵制度は、憲法の条文のどこに当たるか、憲法第18条「その意に反する苦役に服させられない。」という規定か、少なくとも憲法第13条、個人的な存立条件の尊重の原則に反する、そのいずれかの議論の余地はあるが、いま申したような徴兵制度は憲法の許容するところではない」、「つまり、わが国憲法のもとでは許されない」と答えております。

いまだかつて憲法上徴兵制度は許されないという政府見解は出されておりませんでした。したがって、総理から、政策としてではなく、憲法上徴兵制度は許されないというこの高辻長官の答弁を、あらためて再確認を願いたいと存じますが、御所見をいただきたいと存じます。(拍手)

[017]
内閣総理大臣 佐藤榮作
また、徴兵制度についていろいろ言われますが、現行憲法のもとにおいていわゆる徴兵制をとらないことは、すでに再三申し述べたとおりで、この答えに毛頭変わりはございません。





昭和46年02月19日 衆議院 予算委員会第二分科会
[007]
日本社会党(社会民主党) 田中武夫
たとえばただいまの説明を聞きましても、本年度は自衛官が合わせて1311人増員せられる。それではこの1311人を完全に充足する見込みがあるのか。どのような採用についての方針を持っておられるのか。

さらに、入れものばかりを大きくするが中身が集まらない。言うならば定員を先取りしておる。そうしておいて人が集まらない。こういうことがたび重なってくると、つい頭をもたげてくるのが安直な方法によって人を集めること、すなわち徴兵制度あるいは赤紙、いま直ちにそれを行なうとは、長官、何が何でも言えないと思います。しかし、そういう道につながるのではなかろうかと思います。このようなことについての御答弁をお願いします。

[008]
国務大臣(防衛庁長官) 中曽根康弘
徴兵制度を行なわないということは前から申し上げておるとおりでございます。

要員充足につきましては、われわれは全力をふるってその目標達成に努力してまいりたいと思います。具体的な内容は政府委員より答弁させます。

[009]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 江藤淳雄
まず募集の見通しでございますが、確かに昨年12月までは成績が悪かったわけでございますけれども、1月に入りまして成績は相当上向きまして、現在、募集に対して約500人程度の穴があいております。しかしながら、2月に入りましてもかなり好調のようでございます。さらに新規に高等学校を卒業する者の新しい希望者も昨年に比べまして比較的ふえておるようでございますので、本年度3万2000名の募集はおおむね可能であろうというふうに確信いたしております。





昭和46年02月24日 参議院 本会議
[007]
日本社会党(社会民主党) 上田哲
第2に、いわゆる軍国主義の考え方について伺います。

総理は、さきの委員会で、「核兵器がすべての問題を解決するような時期になってくると、核を持つ、持たないということは一つの大きな問題だろうと思います。また同時に徴兵制がしかれておるかおらないかという、これは一つの大きな具体的な事例だろうと思います。私は、この二つの事例から、このことをもって、いわゆる軍国主義化した日本と言われるものでない、国民自身も大手を振って」云々と言われております。私は、いまわしい軍国主義への道を歩まないためには、為政者は有効で抽象的でない歯どめの指標を立て、広く論議を成熟させるべきだと思います。

そこで総理は、今後とも核を持たない、徴兵制をしかないということを非軍国主義の重要な指標とされるかどうかを伺いたいと思います。あるいはこの機会に、軍国主義とは何かについてじっくり御見解を承りたいと思います。

[008]
内閣総理大臣 佐藤榮作
次に、軍国主義というのは、一般に軍事が国民生活の中で最高の地位を占め、政治、外交、経済、教育、文化を支配するような行動のしかたを言うものと私は考えております。日本国民は、悲惨な戦争の体験によって、軍国主義化の道を二度と歩まないと固く決意しているものと信じます。

御指摘のように、私はさきに核を持たない、徴兵制をとらないことが、その具体的な例であると申し上げましたが、この考えに変わりはもちろんありません。





昭和46年05月14日 衆議院 内閣委員会
[142]
公明党 伊藤惣助丸
自民党さんのおっしゃっている憲法改正の中に、国際的な平和をうたうとか、それから現在の自衛隊を省に昇格するとか、あるいはまた自衛権としても、まあこれは法律になるかどうかわかりませんけれども、何らかの方法でやはり徴兵制度ということも、その憲法解釈の中から可能な方向の改正のしかた、こういったものが盛り込まれているわけですよ。





昭和46年05月17日 衆議院 本会議
[017]
公明党 伊藤惣助丸
第2は、自主防衛の名のもとに、いまや戦争放棄、戦力不保持をうたった平和憲法をどこまで尊重するのか、はなはだ疑問であります。一昨年の日米共同声明における大きな情勢変化と、武器輸出を求める近年の財界の動き、さらに自主防衛という名のもとに一次防から四次防へ軍備拡大をする中で、5月10日、佐藤総理は、平和憲法の精神を踏みにじり、憲法改悪を推進する重大な発言をいたしているのであります。このことは、政府の憲法改悪、さらに徴兵制、再軍備への布石として糾弾せらるべきであります。

(中略)

第4に、徴兵制への危険性についてであります。当面四次防は、陸上18万体制を維持するものといわれているが、これは人が集まらないためであって、現在でも2万人以上の欠員があり、やむを得ずその穴埋め策として3万6000人の陸上予備自衛官を6万人にふやし、有事の際の警備連隊として活用しようとしているのであります。完全編成の兵力を確保するということになれば、もはや徴兵制への危惧を伴うことは必然であります。





昭和46年12月13日 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会
[193]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
私はこの際、ひとつ総理に第2点目としてお願いしたいのは、防衛力増強の限界ということが叫ばれて久しい。なかなかその限界が明確に示されない。この点は、私は与党の皆さんだって、これは明確にする必要があるとお考えだと思うのです。この明確のしかたはいろんなアプローチの方法がある。1つは、いわゆるあなた方のお好みの財政上の問題から、経済上の問題から、あるいはたとえば社会保障費との均衡の問題からというアプローチもある。あるいはまた装備の面からありましょう、防衛白書にあるように、B52とかあるいはICBMとか攻撃型空母とか。

しかし、私はこの際、憲法及び関連の法規、主として自衛隊法、この面から行動上の歯どめとして、行動上の限界として、以下の3つは総理の御答弁の形で、宣言と申しますか、これは国際的に宣言する意味を込めて――まず1つは非核三原則です。これが1つです。2番目は海外派兵をしないということ。3番目は国防白書で削られておった徴兵制度をしかないということ。この3つだけは、憲法あるいは関連法規上の限界として、三原則としてここで宣言できないか、この2点を最後にお承りをしたいと思います。

[194]
内閣総理大臣 佐藤榮作
そこで、さらにあわせて徴兵制、さようなものをこの際考えておるのじゃないか、こういうお尋ねでございますが、――そこまではおっしゃらなかったですが、この機会に徴兵制、これは採用しないことをはっきり明確に厳粛に、政府は考えてなければそのとおりを声明しろ、こういうお話でございますので、徴兵制は考えていない。このこともはっきり申し上げておきます。

また非核三原則、同時に核の持ち込み等につきましては、過日の衆議院本会議における決議、それに対して政府の所信を厳粛に声明したばかりでございます。これもあらためてこの機会に申し上げる筋はないかと思っておりますけれども、この点も御記憶にとめていただきたい、かように思います。

以上、お答えいたします。





昭和47年02月29日 衆議院 本会議
[016]
国務大臣(防衛庁長官) 江崎真澄
実は、この点について、緊張が緩和されつつあるのに、軍国主義のそしりを受けるのではないかという御指摘でありまするが、わが国はすでに、この国会においても決議をいたしましたように、また、しばしば歴代内閣が合意としてこの態度を堅持しておりまする非核三原則がございます。また、憲法の解釈上絶対海外派兵はしないという根本方針を持っております。また、自衛隊はあくまで志願制度、徴兵制はとらないということも、歴代内閣がしばしば声明をいたしておるとおりであります。マンパワーに限界があるということは、これは軍国主義などには絶対つながるものではないことは、申し上げるまでもないと思います。

つて日本が被害を与えた国が心配されるそのことばには、謙虚に耳を傾ける必要があると思いまするが、現存の自衛隊は絶対軍国主義的なものでないことは、はっきりお答えを申し上げておきたいと思います。(拍手)





昭和47年03月01日 参議院 本会議
[016]
国務大臣(防衛庁長官) 江崎真澄
それから自衛隊の徴募の方法といたしまして、徴兵制はとらない。この人員に徴兵制はとらないということで限界を置くということは、これはまさに大きな私は一つの限界である、こういうふうに考えております。

日本で軍国主義の疑いを持たれておるではないかという御指摘でありまするが、かつて日本が侵略をいたしましたその当時被害を受けた国が、日本の将来というものを心配して、軍国主義化しないようにということを念願される、また、それを言われるとするのであるならば、これは私は謙虚に受けとめて反省をする必要があると思います。しかし、いま申し上げたように、非核三原則を堅持し、しかも海外派兵は絶対しない、徴兵制はとらないというこの日本の自衛隊のどこが軍国主義的なのか、これは私は世界に向かって十分説得できる可能性のある論拠だと、かように考えております。





昭和47年03月07日 衆議院 予算委員会
[189]
国務大臣(防衛庁長官) 江崎真澄
いま御指摘になりました海外派兵をしない、これは憲法上厳然たる一つの規定でありまして、歴代内閣がとってきたところであります。

それからまた、徴兵制はしかない、これも歴代内閣の鉄則として表明をしてまいったところであります。この徴兵制をとらないということは、私は人員に限界がある。たとえば制海、制空を第一義に考えると言ったあの10年を視点とする中曽根防衛庁長官当時の原案なるものに見ましても、いまなくなったわけですが、それに見ましてもやはり人の問題ということには限界があるということで、人をふやしておりません。このマンパワーにしっかりとした限界があるということは、私は、やはり専守防衛の大きな歯どめである、徴兵制をとらないということは、今後とも続けていくことだというふうに信念的に考えております。

それから非核三原則、これはあらためて申し上げるまでもなく、国会の決議にもあるとおり、佐藤首相もしばしば繰り返して言明をしておられるところであります。

GNPについては、三次防当時から一つの不文律として、大体GNPの1%以下、1%程度ということでこれを国の安全保障費、これに振り向けよう、こういうことで来ておりまするが、だんだんこのGNPが、いまの段階ではむしろスローダウンが予定されるわけでありまするが、GNPが大きくなればなるほど、その1%というものは総金額においては大きくなる。はたしてこれが歯どめであろうかという議論があることは、私もよく承知をいたしております。

それらをあわせ考えてみまするときに、やはり一番大事な点は徴兵制をとらないということ、そして同時に専守防衛、攻めもするが守りもするといういわゆる世界の軍隊と自衛隊が違うところはここだと思うのですね。相手が不正の侵略をしない限りは断じて外に出るということはない。これ以上私は防衛力としての大きな限界といいまするか、一つの国としてのけじめをはっきりうたったものは、よその国にあまり見られない日本の特徴であるというふうに考えるものであります。こういったことをしっかり押えながらいく。そして攻撃的な兵器は今後といえども持たない。これは歴代内閣のとってきたこれまた方針であります。





昭和47年03月30日 衆議院 予算委員会
[184]
内閣総理大臣 佐藤榮作
他国に脅威を与えてはならない、与えるようなものであってはならない、これはもうお説のとおりです。御指摘になりましたとおりです。だからこそ国会においてすら非核三原則の決議をいたしました。また私どもは、外国に派兵をしない、自衛隊にしろ、外国に行くわけにはまいりません。また同時に、徴兵制も採用しない、こういうことをかたく誓っておるはずであります。こういう事柄が、ただいまの限度に非常にはっきりした具体的な問題ではないか、かように思います。





昭和47年04月19日 参議院 予算委員会
[217]
日本社会党(社会民主党) 杉原一雄
そこで、ぼくらは機密文書はなかなか手に入らぬものですから、さまざまなマスコミ、週刊誌等を手に入れて勉強しているわけですが、「週刊ポスト」の4月14日号でございますが、「徴兵で連合赤軍を生まずにすむか」というテーマ、つまり教育上のテーマですが、このテーマの中で自民党の偉い方がお2人お話をしておられるわけですね。1人は賀屋興宣――これは省略します。いま1人は参議院の源田さん。「18歳から20歳までの青年を男女の別なく、厳しい規律のもとで、1年半から2年間、集団訓練させることは必要だね。そのうちのある者は自衛隊で、ある者は公共奉仕などで規律訓練させる。そして、それを終えたら選挙権を与えるんですな。とにかくいまの青年たちの生活にはシメくくりがない。だから徴兵はそういった人生に一つのシメくくりをつける意味で必要なんだ。あの連合赤軍のごとく、自分で自分にシメくくりをつけるわけだな」こういうことなんです。これはここに署名入りで書いてありますからうそとは言えないと思いますから、これを根拠にしてお話するのはまずいのですけれども……。

そこで、文部大臣、あなたは教育行政を担当しておられて、この源田さんの発言をひっくり返すと、いまの教育ではだめだということなんです。その辺のところを大臣として、いまの教育ははたしてだめかどうか、あなたは最高責任者とすればそんなことは納得できないと思いますが、何か言い分がありましたらまずお聞きします。

[218]
文部大臣 高見三郎
たいへんな文書が出たものでありますが、私は実は読んでおりません。読んでおりませんが、少なくとも日本に徴兵制度をしくとかというようなことが適当でないことは申し上げるまでもないことであります。

ただ源田さんのおっしゃった気持ちを私が推測いたしますると、一つのけじめをつける意味においての集団訓練というものは必要じゃないかという意味でならば、私もこれは同感だと申し上げたいのであります。ただ私は、それが軍事訓練でありまするんでなくて、社会共同体の奉仕者としての共同活動という意味でならばむしろ私は賛成であると、かように申し上げておきたいと思います。



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