徴兵制 9 ~ 鈴木善幸内閣(864日)

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日本国憲法 第3章 国民の権利及び義務

第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第18条
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。





昭和55年11月20日 参議院 内閣委員会
[200]
日本社会党(社会民主党) 矢田部理
時間がそろそろ来ましたので、幾つかの質問を留保して終わりたいと思いますし、また、準備したものが3分の1ぐらい残ってしまったわけでありますが、防衛庁長官に特にやっぱり強く期待、希望しておきたいのは、アメリカのさまざまな要求がある。レーガン政権下でそれが風圧としてさらに強まる可能性も高いと見なきゃなりません。

これは財界自身も、やっぱり軍需産業の拡大、さらにはこの武器輸出に対する、抑えるための禁輸の三原則があります。等々を乗り越えてやっぱり財界の強い動きが出始めている。その前段としてさまざまな軍事力増強に対する発言なども、徴兵制を含めてうるさくなってきているわけであります。

加えて、ソビエトからの脅威ということが意図的に宣伝をされて、言うならば防衛力増強キャンペーンの重要な一翼を担っている。それだけにやっぱり防衛庁長官の対応といいますか、見識といいますか、きわめて重要な時期に来ていると思うんです。

私どもは自衛隊を根本的に認めるものではありませんけれども、さっきからの状況を聞いておっても、相当なやっぱり防衛費を抱え込んでしまった。事実上たとえばシビリアンコントロールの機能さえ空洞化されてしまっている。それだけに、長官としてのこれからの役割り、責任はきわめて重いと思うんです。

特に最近は役人が少しそういうものに踊らされて、勝手な放言といいますか、個人的な認識を含めて、たとえば朝鮮民主主義人民共和国が脅威だとか、これもできる、あれもできると言って、いわば憲法で定めた枠というのは、われわれ認めておりませんけれども、いままで政府が解釈してきた必要最小限度性、専守防衛の議論すら飛び越えようとしているのが現実なんです。なかなか兵器、装備等に対する知識がないから抑えるのがむずかしいというだけではもう済まされないような事態にどんどん立ち至っている。





昭和55年11月25日 参議院 内閣委員会
[082]
日本社会党(社会民主党) 片岡勝治
いまも、いみじくもお答えになったように、これからますます若年の士の募集というものがむずかしくなるだろう。それは、高齢化社会に入っていく、若年労働者が非常に少なくなる、しかし昔の軍隊、いまは自衛隊ですけれども、どうしても若年の自衛官というものを性格上必要とする、お年寄りにはなかなかできない、年寄りは旗ばかり振って自分は自衛隊に行かない。そういうことですけれども、そういう点でますます苦しくなる。しかもだんだん高度の技術を必要としてくる、しかし自衛官は逼迫をしてくる。こういう状態が現にあるものですから、そろそろ徴兵制にしなければなんという言葉が私は出てくると思うんです。

それから、実際に自衛官になって4年ですか、任期といいますか。その間ずいぶんやめていきますね。満期――満期という言葉はいま使っているんですかね。いま何と言っているかわかりませんが、通称満期4年ですか、4年勤めるのは大体何%ぐらいですか、士で。

[083]
政府委員(防衛庁人事教育局長) 佐々淳行
任期制隊員につきましては2年1任期でございますが、なるべく1任期でやめないように魅力化対策等を行いまして2任期、3任期まで勤めていただくよう努力をしておるところでございます。しかしながら、1任期2年を終えたところでおおむね3分の1弱程度がやめていく、こういう状況でございます。

[084]
日本社会党(社会民主党) 片岡勝治
そういう傾向は今後ますます私は強くなると思いますよ。これから日本経済はどう発展するかいろいろ不透明のこともありますけれども、一般的に言えば社会のいろんな条件というものは洋の東西を問わず段々向上していくのが通常ですから、そういう点からすれば自衛官の充足率というものはなかなかむずかしくなる、こういうことを私は指摘しておきたいと思うわけであります。





昭和55年11月28日 参議院 本会議
[040]
日本社会党(社会民主党) 野田哲
私たちが反対の理由として指摘しなければならない第1の点は、政府・与党内に急速に台頭しつつある改憲論と軍備増強論が一体のものであり、きわめて危険な内容のものである点であります。

自由民主党が自主憲法期成議員同盟の名によって地方自治体にまで持ち込んで進めている改憲運動の目標の1つが、現行憲法の基本理念の1つである第9条を否定しようとするものであることは明らかであります。

1950年、アメリカが朝鮮半島で引き起こした侵略戦争の必要性から、日本国憲法を無視し、当時のマッカーサー司令官による一片の指令で法律の裏づけもなく発足をした警察予備隊が、その後保安隊から自衛隊となり、30年の間にアメリカの要請と政府・自民党の強化策によって漸次その機能を質的にも量的にも拡大して、ついに自衛隊合憲論者をもってしても現行憲法ではおさまり切らない存在になろうとしているのであります。すでに政府及び自由民主党とその周辺からは、自衛隊の持つべき役割りとして、国連軍に名をかりた海外派遣、双務的日米安保条約への改定論から、さらに徴兵制の声すら起こってきています。

憲法第9条によって「他国に脅威を与えるような兵器は持てない」とする憲法上の政府見解が、今日では、憲法上持てない兵器は「もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器」というように、政府の憲法解釈が年とともに変わってきております。このように、改憲論と表裏一体の形で進められている自衛隊の増強を認めることは、日本国憲法が高く掲げる平和主義の理念をみずから放棄し、戦争への道を開く改憲論にくみすることに通じるものであり、われわれの断じて相入れないものであります。





昭和56年02月02日 衆議院 予算委員会
[033]
日本社会党(社会民主党) 武藤山治
去年の6月の総選挙以降、自民党が圧倒的多数をとった以降、自民党内部のタカ派とハト派の発言の数は、完全にタカ派が圧倒的な勢いで軍備増強、軍備増強ですね。ハト派の声はほとんどかき消されている状態ですね。ですから、当初、防衛庁関係あるいは国防議員関係の諸君は9.7の伸び率を要求して、初めは大蔵大臣も乗っかってしまうかなどうかなと心配をしていたが、最後は鈴木総理が9.7はいかぬと言って、ちょっとダウンさせる。まさに自民党内のタカ派と良識派の論争が日本を滅ぼすような結果になるのじゃないかという心配すら私は受けるのですよ。今回、鈴木総理のあの予算編成のときの、9.7をちょっとでもおろさせようとした努力は、私は率直に評価いたしますよ。しかし、いままでより見たら伸び率はかなり大きいので、7.61というのはがまんなりませんけれども、とにかくいま肝心なことは、国内はもう核武装しろという論調が出たり、評論家や学者の中で核武装すべきだ、あるいはきょうの自衛隊の統幕議長なんかどうですか、GNPの3%程度予算を組まなければアメリカとうまくいかなくなるというようなことを言っておるのですよ。日米間に不信感が出てくる、危険だ、3%。あるいはまた、専守防衛なんというのは日本の国内で戦争することなんで、そんなことをやったら、その前に爆弾を落とされて、とてもそれは守れるものじゃありません、専守防衛という方針はおかしいという意味のことを言っているんですよ。徴兵制のことまで言っているんだよ。何が文民統制が行われていますか。こういう制服がどんどんどんどん発言を強化したときに、自民党の諸君も恐らく軍部の権威に恐れて物を言えなくなる。ハト派がみんな物を言えなくなってくる。そのときだ、日本が危ないのは。そういう時代が、このまま推移すると来るね。



[037]
日本社会党(社会民主党) 武藤山治
どんどん取っ払って、中期業務見積もりを4年で実施しようという意見がどんどん出ているんでしょう。あるいは専守防衛なんというのはだめだ、制服を着た軍人がそう言っているんだから。そんなのがどんどん勢力を伸ばしてきたら、歯どめがないじゃないですか。大体、こういう政府の方針と反するようなことを統幕議長が言うに至っては論外だな。直ちに懲戒処分にすべきだよ、こんな統幕議長は。

平和憲法の精神を守り、軍事大国にならない、専守防衛に徹するという総理大臣の言明が国会を通じて再三行われている。それに真っ向から挑戦するようなことを文章に書いて一般国民に見せるような統幕議長は、直ちに罷免すべきですよ。懲戒だ。

まず、総理大臣の見解を伺いたい。

[038]
国務大臣(防衛庁長官) 大村襄治
総理の前に所管大臣から、ただいまのお尋ねの点につきましてまずお答えさせていただきます。

竹田統合幕僚会議議長の雑誌における発言の内容につきましては、いまだ詳細に承知しておりませんが、報道されるところによりますと、個人的見解である旨述べていると聞いております。

(武藤(山)委員「個人的だって。制服を着ていて何だ」と呼ぶ)

統幕議長という立場上、意見を外部に発表する場合にはおのずから節度がなければならないということは言うまでもございませんが、基本的には自衛官にも表現の自由が当然認められていることでありますから、個人的見解を自由に述べることまで許されぬものではないとは考えております。

また、その発言の真意は本人からもよく聞いてみたいと考えておりますが、(「何を言ってもいいのか」と呼ぶ者あり)たとえば徴兵制に関する発言も、政府の方針を否定しようとしたものではなく、自衛隊の崇高な使命を強調したかったものと聞いております。(発言する者あり)

いずれにいたしましても、自衛隊は政府の、あるいは防衛庁長官の決定した方針に厳格に従い、防衛庁長官たる私の指揮命令に服しており、シビリアンコントロール上問題はないと考えております。(発言する者あり)

いずれにいたしましても、本人からよくその真意を確かめてみたいと考えるわけでございますが、私といたしましては、現在、基本的にはいま申し上げたように考えておるわけでございます。



[115]
自由民主党 小宮山重四郎
先ほど社会党の武藤山治君から、竹田統合幕僚会議議長の「宝石」に載った記事について、あるいはけさの朝刊に載った記事についていろいろな話がございました。私、その記事をいま見ておりますと、この中で「国を守るというのは、崇高な使命であり、奴隷的拘束や苦役を禁止した憲法18条を、徴兵制を認めないという理由にするのは心外だ」と申しております。

これは昨年の8月15日に政府見解が出ているはずであります。そのように、憲法第13条、第18条によって徴兵制を禁止して、やらないということを法制局はおっしゃったのでしょうか。その点お伺いしておきます。

[116]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
昨年8月15日の政府答弁書におきましては、徴兵制度について一定の定義をした上で、このような徴兵制度は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと考える。ということを述べております。

このような見解は昨年初めて申し上げたわけではございませんで、従来から繰り返し申し上げているところであります。そこでは、このような徴兵制度は13条、18条などの規定の趣旨から見て許容されないと言っているだけでありまして、自衛隊の任務に従事することがそれ自体、憲法18条に言う奴隷的拘束あるいは苦役に該当すると言っているわけでは決してございません。

なお、若干説明を加えさせていただきますと、憲法第3章では、御承知のようにもろもろの基本的人権の保障を定めておりますが、第13条、18条の規定は両者相まって、答弁書でも申し上げているように、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められない役務の提供を強制してはならないという考え方を基本としていると思います。

そういう考え方の趣旨に従って言えば、徴兵制度は憲法上許されない、こういうことを述べているだけでございます。

[117]
自由民主党 小宮山重四郎
国民にはなかなかわかりにくい話であります。もう少しかみ砕いて簡単に、徴兵制度はやらないと総理からはっきり言っていただく方が、これは決意であります、また政策であります、そういうことをはっきりもう一度言っていただいた方が国民にはわかりやすいのだと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

[118]
内閣官房長官 宮澤喜一
私から申し上げます。

簡単に申しますと、わが国の憲法のもとでは、何人も自己の意に反して苦役を受けたり何かをしろと言われることはない。大原則でございます。しかし、公共の福祉との関係では、一定の場合にこれがあり得るということを13条で述べております。その次に、わが国の憲法の全体から見て、公共の福祉のために徴兵制を行うというようなことはあり得ないことであろう、それが結論になっております。

したがいまして、第1に、小宮山議員のお尋ねに対しては、わが国の憲法は徴兵制を必要とするようなたてまえをとっていない。第1点。

第2点は、自衛隊の方々のやっておられることは、これは18条、13条に言うところに当たらないのであって、御本人方と国との随意の契約のもとに行われていることでございます。それだけのことになります。

[119]
自由民主党 小宮山重四郎
総理、もう一度はっきり、徴兵制度はわが国ではやりませんと、御明確にしていただきたいと思います。

[120]
内閣総理大臣 鈴木善幸
いま法制局長官並びに宮澤官房長官から申し上げましたような憲法の趣旨からいたしまして、政府としては徴兵制はとらない、明確に申し上げておきます。

[121]
自由民主党 小宮山重四郎
よくわかりました。わかった上に、もう一度こういうことは念を押しておいた方がよろしいかと思います。



[206]
日本社会党(社会民主党) 石橋政嗣
そこで、最初に確認しておきたいと思うのですが、あなたは憲法を改正する意思はない、ないとおっしゃっている。いまの憲法のもとにおいてはこれだけはできません、絶対にできませんというものをもう一回、ここではっきりおっしゃってください。

[207]
内閣総理大臣 鈴木善幸
具体的にお聞きを願いたいのでございます。

[208]
日本社会党(社会民主党) 石橋政嗣
いままであなた方がおっしゃってきたことをここで、それじゃまず確認しましょう。

一つは、俗に言う攻撃的な兵器、これは憲法上持てない。性能の面から見ても、もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためのみに用いられる兵器、こういうふうに言っておるようですが、そういうものを持ったり使ったりすることは、いまの憲法上許されない。

それから徴兵制がだめ、集団的自衛権がだめ、海外派兵がだめ、戒厳令がだめ、これは間違いないですね。

[209]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
憲法9条の解釈といたしまして、政府が従来から繰り返して申し上げているとおり、憲法9条におきましては、わが国は自衛のため必要最小限度の武力行使しかできない。同時にまた、それに見合うものとして自衛のため必要最小限度の実力しか保有できない、こういうふうに申し上げております。

ただいま石橋委員が御指摘になったような海外派兵あるいは他国に壊滅的な打撃を与えるような兵器、そういうものは無論持てない、徴兵制度も先ほど申し上げたように持てない、こういうことでございます。

[210]
日本社会党(社会民主党) 石橋政嗣
具体的に挙げろと言ったから挙げたのだけれども、全部あなたも答えなさいよ、集団的自衛権も戒厳令も。

[211]
内閣総理大臣 鈴木善幸
ただいま法制局長官をして答弁さしたとおりでございます。

[212]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
大変失礼いたしました。集団的自衛権は行使できない、それから戒厳令もできない、こういうふうに考えております。徴兵制は先ほど申しました。

[213]
日本社会党(社会民主党) 石橋政嗣
ほかにもまだあるのですけれども、一応従来の政府の答弁で明確になっている部分について私は質問を進めてみたいと思うのですが、軍事力によって日本の安全を確保することは、いまの憲法のもとにおいても認められている。ただし、それは防衛に限る。専守防衛だ。これも憲法の規定によって揺るがすことのできない原則であることを御確認になりますね。

[214]
内閣総理大臣 鈴木善幸
そのとおりでございます。

[215]
日本社会党(社会民主党) 石橋政嗣
ところが、こんな手かせ足かせではおれたちは身動きできぬ、ユニホームは聞かないのですよ、結局。守る専門なんというのは成り立たない、栗栖さんも言いました。今度また、問題になっている竹田統幕議長もそういうことを言っている。ユニホームは納得していないのですよ。専守防衛なんて成り立たない、守る専門なんて成り立たない。それから軍事力だって、GNPの1%以内なんて、そんなことはとんでもない。少なくとも同盟国のレベルくらいまではふやすべきだ。具体的な数字を挙げれば、大体NATO加盟国が3%か4%ですね、その辺までは防衛費に支出すべきである。今度新たに徴兵制についてまで、そんなことでは承服できないという意見がまた出てきた。あなた方がどんなに憲法上できません、できませんとおっしゃっても、彼らは納得していない。承服しない。そんなことではおれたちは守れない、その立場を一貫して貫いている。

いままでは、2年前まではユニホームを脱いでからそのことを言っておったが、栗栖統幕議長の時代からはユニホームを着たまま言うようになった。今度は、やめる寸前に言っている。少なくとも現職。何かあしたの閣議で交代が決まるんだそうですが、ユニホームを脱ぐのは16日か17日ですか、とにかくまだ現職の統合幕僚会議議長であることは間違いない。その人物が挑戦しているのですよ。

しかし、考えてみれば、さっきから申し上げているように、軍事力によって日本の防衛を全うすべしという方針をあなたたちは打ち立てているんだ。そうすると、彼らがあなたたちのこのような手かせ足かせを承服できないと言うのも当然になってくるんじゃないですか。少なくとも軍事力の保持を認めるならば、そんな手かせ足かせを憲法が加えるはずがないですよ。憲法は軍事力の保持を認めていないんだ。その矛盾がはっきり、いよいよどうにもならぬ形で出てき始めているのです。そうするとどうなりますか。一つには、憲法なんかくそ食らえ、既成事実をどんどん積み上げていく、こういう形になるんです。そして、どうしてもいまの憲法解釈の拡大や歪曲ではカバーできなくなったら、憲法改正にいこうという準備も始まるのです。いまがその時期なんですよ。

第一、考えてみてください、この竹田という人。徴兵制は憲法18条やそんなもので何で禁止されているということになるんだ。冗談じゃない。去年政府が責任を持って、しかも文書で出したものに対して公然と挑戦しているじゃないですか。

しかし、彼らの言い分はこういうことなんでしょう。日本を守るために軍隊が要るというときに自衛隊だけで守れ、そんなばかなことがあるか、こう言いたいんでしょう、ユニホームの諸君は。いまでさえ定員を充足することができないのです。26、7万の定員をただの一回だって充足したことはない。陸上自衛隊はいまたしか86%くらいでしょう。どうしても人が集まらない。何とかしてもらいたい。こんなことじゃ全うできぬ。ましてや、その有事、あなたたちの言う有事に自衛隊だけで守れ、そんなことができますか。26、7万のうちの主力になる部分、戦闘部隊というものは全部じゃありませんよ。何割かが決定的な打撃を受けたらどうなるんです。それでおしまいですか。あとの補充は一切なし、そんなことでどうしておれたちだけに戦えと言えるかというのが彼らの論法でしょう。

シビリアンコントロールというものには、私は少なくとも3つの条件が必要だと言っているのです。1つは政治家の識見、能力。コントロールするに値する識見、能力。1つは制度の確立です。これは人事の掌握なり予算の把握なりというものも含めて私は言います。もう1つは、これはやはり妥当な理論です。理屈なしに従えなんと言ったって聞きますか。ここであなた方は負けているのです、ユニホームとの論争で。

徴兵制、これは禁じられておらぬ、何言っているんだという挑戦に対して、絶対に禁じられているというなら、これを放置しない毅然たる態度をおとりになったらどうですか。いかがです。

[216]
国務大臣(防衛庁長官) 大村襄治
いろいろ憲法との関係で御指摘がございまして、また、シビリアンコントロールとの関係でお尋ねがございましたので、ただいまお話の出ました竹田統幕議長の雑誌の問題午前中に武藤議員から御質問があり、総理大臣から調査するというお答えがございましたが、その調査しました結果をまず御報告させていただきたいと思います。

御指摘の統幕議長インタビューにつきましては、関係資料について事務当局に検討させるとともに、早速事務次官をして本人より事情を聴取させました。その結果は次のとおりでございます。

統幕議長の発言は、徴兵制を行うべしとの意見でもなく、憲法批判でもありません。ただ個人的見解とはっきり断わった上で、政府見解の理由づけだと、あたかも現在の自衛隊の仕事が一般から奴隷的拘束や苦役であるかのように誤解されはしないかとの懸念を表明したものであります。

専守防衛については、制服としては専守防衛の政策の枠内で最善を尽くすのが当然でありますが、軍事技術上は、万一の場合には国土での戦闘は避けられず、本土にも爆弾が落ちてきたり、一部を占領されることになる可能性があるということを述べ、その点についての国民の理解と協力を求めた趣旨のものであります。

防衛費については、パーセントについてよりも中身が重要であるという考えを述べ、パーセント偏重の議論が行われるのはおかしいという趣旨のことを述べたものであります。

以上の事情でありますので、竹田統幕議長の発言は、シビリアンコントロールに反して政府の政策を公的に批判したものとは解されませんので、本人に対し、規律違反として懲戒処分することは考えられないわけでございます。先生よく御存じのとおり、隊員を懲戒処分するためには法的な根拠が必要であり、それは自衛隊法第46条に規定されております。3項ほど挙げられておりますが、そのいずれかに該当しなければ懲戒処分はできないのでございます。現在までの調査の結果におきましては、そのいずれにも該当しないと判断するわけでございまして、武藤議員から懲戒処分に処すべしという御発言も午前中にあったわけでございますが、その点につきましては、懲戒処分には該当しないというふうに考えておるわけでございます。

とりあえず、総理から調査を命ぜられましたので、その点を御報告申し上げる次第であります。





昭和56年02月04日 衆議院 予算委員会
[183]
民社党 塚本三郎
昨年7月25日、社会党の稲葉議員の方から、徴兵制問題に関する質問の主意書が出されました。総理の名前で御答弁が8月15日にありました。平時と有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨から見て、徴兵制は許容されるものではないと考えると答弁しておられます。

私は、13条は妥当だと思います。そしてまた、民社党は徴兵制には賛成いたしておりません。しかし、なぜ18条の条文を適用しておられるのか。この条文は、自衛隊員が奴隷的拘束とか苦役に服していると見ておられるのかとの疑問を抱くではありませんか。これは自衛隊員の愛国心や国家に対する献身の魂を傷つけておりはしないか。この点のお考えはどうでしょう。

[185]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
昨年8月の徴兵制度についての政府の答弁書の趣旨というものは、徴兵制度についての定義を述べた後、徴兵制度は、結論だけ申し上げますと、憲法13条、18条などの規定の趣旨から見て許容されるものではないというふうに述べております。

確かに18条を引用してはおりますけれども、その考え方というものは、現在の自衛隊の任務に従事することは、これは明らかに志願制による隊員の自由意思に基づくものでありまして、憲法18条に規定する「奴隷的拘束」「その意に反する苦役」に該当しないことは言うまでもございません。したがって、憲法18条を引用したからといって、現在の志願制の自衛隊の任務に従事することを直ちに「奴隷的拘束」「その意に反する苦役」と政府答弁書が見ているということは、全く当たらない批評であると考えます。

徴兵制度をしくことは憲法上許されないと、結論において政府答弁書は述べておりますが、その場合にも「奴隷的拘束」に当たるとは、私どもは全く考えておりません、「奴隷的拘束」というのは、非人道的な、人格を無視した自由の拘束を指すものであると解されております。いかなる場合においてもそういうものに当たるとはとうてい考えられないと思います。

ただ、「その意に反する苦役」に当たるかどうかといいますと、それは苦役という言葉の解釈いかんによるわけであります。語感の上から申しますと、苦役というのは非常に苦痛のはなはだしい労務の提供というふうにとられますけれども、これは制憲議会のときからいろいろ問題になりまして、政府としてはそのときの答弁ではっきり申し上げておりますが、苦役というのは労務の強制ということであって、決して苦痛の程度の非常に高いものだけではないという答弁をしております。

それを受けてお答えをいたしますと、徴兵制度というのは強制的な労務の提供ですからそれに当たると言えます。しかし、決してそうではないということを申し上げておきたいと思います。





昭和56年02月05日 衆議院 予算委員会
[032]
国務大臣(科学技術庁長官) 中川一郎
竹田統合幕僚会議議長の発言の趣旨は3点ございます。

第1番目には、専守防衛というものは非常に犠牲の伴うものである。これは軍隊の犠牲のみならず住民の犠牲も伴う、こういうことが第1点でございます。

第2点は、徴兵制度を政策的にとらないということはいいにしても、憲法18条等からいって支障があるということになれば、これは自衛隊の士気といいますか、そのものにも関係することである。

第3番目は、防衛費がGNP1%に対して3%ぐらい必要である、こういう趣旨であろう。

こういういずれの点も、現場を預かる者としてはそういう気持ちを持つことはあっていいのではなかろうか。ただし、そこがわが国ではシビリアンコントロールによって、現場を預かる者に任せないで、それをどう政治的に組み入れるかあるいは退けるかという判断の問題だけであって、意見を言ったからといってにわかに46条によって処分すべきものではない。ただ、言うべき場所あるいは時期等に問題があるとすれば内部において注意するということはあっていいのではないかということでございまして、これはきのう民社党の塚本委員も指摘しましたように、シビリアンコントロールはシビリアンがコントロールしていくところにうまみがあるのであって、だからといって制服組が意見を言えないという性質のものではない、こう判断したからそういう趣旨の発言をいたしたわけでございます。



[058]
日本社会党(社会民主党) 大出俊
昨日、塚本さんの質問がございまして、けさ各紙が取り上げておりますけれども、昨年の8月に私どものところの稲葉さんの質問に政府が答弁書をお出しになったわけでありますが、この答弁書で、徴兵制度にかかわる、つまり13条、18条を引用いたしまして、前提にもちろん憲法そのものあるいは9条があるのでありますけれども、18条、13条というところに触れて、現行憲法のもとではそういうことは許容しない、許容できない、つまりできない、こういうことに内容はなっておるわけであります、簡単に申し上げれば。これを13条だけでいいじゃないかという御質問だったと思います。もちろん、おのおの政党にはそれぞれの主張、色彩がございまして、栗栖さんをお推しになっておられた民社党さんと、私どもは立場は違いますけれども、実はこの件は、かって45年でございますけれども、私が内閣委員会で、それ以前の数々のやりとり、議事録等を調べまして、時の高辻法制局長官を詰めた結果初めて――憲法そのものが前提にあるのだけれども、つまり徴兵制度は現行憲法は許容しないのだけれども、さて、憲法のどの条章を適用すればいいかという点で長い間検討してきた結果として、18条の適用が一番妥当性があるのではないかと思う、こういう意味の実は私の質問、私の詰めた結果として初めて13条プラス18条という、18条が出てきたわけでありまして、これには大変歴史がございます。

当時の議事録も私ここに持っておりますけれども、実は林法制局長官、佐藤達夫法制局長官――佐藤さん、林さんとこうなんですが、林さんは自衛隊法をおつくりになった中心人物、佐藤さんは人事院総裁をおやりになっておりましたから、個人的にもずいぶん何回もお話をしたことがございます。何で一体、徴兵制度についてきちっとした憲法の条章に触れての結論が出せないのかと私はここで申し上げておりますが、昭和28年、第19回国会、このときは佐藤達夫さんが法制局長官でございました。このときに、大体の傾向としては、現憲法のもとでは徴兵制度はむずかしい、できない、こういう学説の方がわれわれの目に触れております。つまり学説としては、現行憲法ではできない、こういうことなんです。だが、一体具体的にどこの条章でということになると、目下明確でないから、勉強中なんだから、勉強さしてくれということだったですね。これから何年も勉強中じゃ困るじゃないかということで、45年の10月28日に私が内閣委員会で、法制局長官の方々、歴代の方の所論を踏まえまして、高辻さんにお聞きをした。

ここに議事録がございますが、これは高辻さんの答弁でございますけれども、「一般に兵役といわれる役務の提供は、わが憲法の秩序のもとで申しますと、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものと社会的に認められるわけでもないのに義務として課される点」義務、ここに問題がある。「義務として課される点にその本質があるように思われます。」これは当然です。「このような徴兵制度は、憲法の条文からいいますとどの条文に当たるか、多少論議の余地がございますが、関係のある条文としては憲法18条「その意に反する苦役に服させられない。」という規定か、あるいは少なくとも憲法13条の、国民の個人的存立条件の尊重の原則に反することになる」つまり、ここで初めて18条と13条が出てまいりまして、戦後、新憲法のもとで許容しないと言いながら、どこの条章にということで、ずっと学界でも議論がございました。政治の分野でもございました。法制局も勉強すると言っておりまして、ようやくここで出した結論、こういう歴史がございます。

それだけに、きのうのやりとりを承っておりまして、それなりにおっしゃる意味もわかりますけれども、一遍お出しになっている答弁書、これをにわかに変更するがごとく聞こえるが、これは私の誤解だと思うのであります。私自身の誤解だという気がするのでありますが、きのう聞いておりまして、法制局長官の答弁も宮澤さんの答弁も、直ちにどうこうという意味じゃないというふうに受け取りましたが、まして、総理もそうだと思いましたが、大変に大きな記事にもなっておりますから、念のために、当時この答弁を引き出した私、責任者でございますから、かつまた、こういう議論、問題の後でございますだけに、一方の側から何か言ってきたらまたどっちの方かにぐらぐらっとこうなったという印象も、私はやはり考えなければならぬ点もある、こう思っておりますので、もう一遍ひとつこの点について、きのうの総理、官房長官、法制局長官の御答弁はどうだったのかという点を明確にしていただきたい、こうお願いをいたします。

[059]
内閣官房長官 宮澤喜一
この問題につきましての今日までの経緯は、ただいま大出委員の御指摘になりましたとおりでございます。そして、昭和45年に大出委員のお尋ねがありまして、当時の高辻法制局長官が、どの条文ということになれば多少論議がございますけれども、18条あるいは13条、こういうふうにお答えいたしましたことも事実でございます。昨年、政府が質問書に対しましてお答えをしたその中で13条、18条を引用いたしましたのもそのような経緯を踏まえてのことでございまして、法律的に申せば、まずこれが完全な答えと申しますか、いままでのいきさつをも踏まえた正式なお答えであることは間違いないと思います。

それで、及びこの18条について、何人も奴隷的拘束を受けないという規定は、個人の自由の選択で職業を選ぶということと全く無関係な規定であることは、法律的に考えますと問題がないところだと思いますけれども、そういうことを離れまして、この18条を引いたために、あたかも自衛隊の職責がその18条に書いてあるもののごとくに短絡的に解釈をされる、短絡的な解釈が起こる危険が現にあるわけでございます。それでございますから、そのことも考えながら、いままでの解釈をもちろん変えるというのではありませんで、法律的には完璧な解釈でございますが、短絡的な誤解を起こさないように、今後その問題を検討していく必要があるだろう、こう申し上げたわけでございます。





昭和56年02月10日 衆議院 予算委員会
[049]
日本共産党 野間友一
まず、昨年の8月15日付の政府の答弁書、これは稲葉議員に対する答弁書でありますけれども、これは官報の号外で、すべての国民に明らかにされたものです。

これを見ますと、徴兵制度とは、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるものをいうと理解している。このような徴兵制度は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと考える。これは宮澤官房長官も、法律的には完璧で、間違いのないものであるということを、何度もおっしゃっておるわけであります。

まず、総理に最初にお伺いをしたいのは、この答弁書は鈴木内閣のもとにおいてつくられたものでありますけれども、すべての閣僚は何の異議もなしにこのような答弁書に署名されておつくりになったということだと思いますけれども、その点、いかがでしょう。

[050]
内閣総理大臣 鈴木善幸
閣議において了承されたものでございます。

[051]
日本共産党 野間友一
そこで、竹田統幕議長が注意処分というような非常に軽い形で処理をされておるのですけれども、総理、「宝石」3月号ですが、竹田発言は全部お読みになったでしょうか。

[052]
内閣総理大臣 鈴木善幸
要点は承知しております。

[053]
日本共産党 野間友一
要点は承知しておるとおっしゃいますけれども、やっぱり十分これはお読みにならなければならないのじゃないかというように、僣越でありますけれども私思うわけです。といいますのは、これは大変な中身を含んでおると思うのですね。

1つは、こういうことを言っていますね。「徴兵をやらないというのは政策だと思いますから、それはそれでいいんです。しかしそれを憲法にひっかけて言うことは、隊員の、後ろを見たら誰もおらんということに関係してきます。」云々、「全然、次元が違うことなんです。」ということを言っているわけです。これが第1点。

したがって、徴兵をしないということは単なる政策の問題であって、憲法にひっかけて言うことは次元が違う、こういう発言があるんですね。これは明らかに徴兵制度が合憲だというようなことになるわけです。いかがでしょうか、総理大臣、こういうようなことを統幕議長が言っておるわけですね。どういうお考えでしょうか。

[054]
内閣官房長官 宮澤喜一
統幕議長の真意はわかりませんが、ただいまおっしゃったことだけからは、徴兵は合憲であるというふうに言っておるとはとれません。

[055]
日本共産党 野間友一
官房長官、どうしてでしょうか。この文章を読んだら、そういうふうにとれるのじゃないでしょうか。「徴兵をやらないというのは政策だと思います」「憲法にひっかけて言うことは、」いろいろありまして、「全然、次元が違う」、こう言っているでしょう。つまり、徴兵はあくまで政策の問題だということでしょう。憲法じゃないと言っておるのでしょう。官房長官、なぜあなたのような答弁が出るのか、一遍教えていただきたいと思うのですが、なぜそうなりましょうか。

[056]
内閣官房長官 宮澤喜一
それはその中にも出てまいりますように、たとえば憲法18条との関連について話が進んでいくわけですが、そういうことを頭に置いて発言をされたものと思いますので、確かに1つは政策の問題でありますが、1つは憲法の問題であると思います。

[057]
日本共産党 野間友一
いや、それはおかしいですよ。官房長官、もうだれが考えても、正確にこの文章を読めば、徴兵制度はいまの憲法でも合憲だというふうに読まざるを得ないと思うのですよ。どうしてそういうふうに官房長官お読みになるのか、大変理解に苦しむわけです。

要点だけを総理大臣お読みになったということでございますけれども、総理大臣、お読みになって、いま私が申し上げた点についてどういうふうに判断されましょうか。

[058]
内閣総理大臣 鈴木善幸
徴兵制度はわが国の憲法からいたしまして許容されるところではございません。竹田統幕議長が、18条の問題と関連いたしまして、現在の自衛隊の士気に悪い影響を与えるというような、そういう点をおもんぱかって言っておるのが趣旨であると考えております。

[059]
日本共産党 野間友一
これはしかし、そういうふうにお読みになるから注意処分というようなことでお茶を濁される。正確に読めばこれは大変なことを言っておるというふうにとるのは、総理、これは当然な話ですよ。これは文字どおり読めばそうですよ。だれが読んだってそういうふうに読まざるを得ないわけですよ。

もう1つ、いまも官房長官言われましたけれども、こういうことを言っていますね。「私、心外に思っていることがあるんです。社会党の稲葉誠一先生と自民党の森清先生が憲法に関連して徴兵問題を質問されたことがある。そのときの政府答弁というのが、徴兵はやらせないと……。それはいいんです。徴兵をやることがいいかどうかは別問題ですが、その理由がね、憲法13条、18条に違反するからやらんと言うんです。13条は国民の個人的存立条件の尊重、18条は奴隷的拘束、苦役は本人の意思によらなくてはやらないということでしょう。こんな理由は筋違いでしょう。」こう言っておるのですね。

官房長官、どうですか。政府答弁は閣議においてこれを決められた。しかも長官は何度も、法律的には完璧なものだ、間違いない、こうおっしゃっておる。ところが、いま私が正確に読んだところ、長官もお持ちだろうと思いますけれども、これは13条、18条を引いて、そして徴兵制は憲法違反だという答弁は、こんな理由は筋違いだ、こう言っていますよね。

長官、いかがでしょうか。これは政府がせっかく考え抜いて閣議で決めた政府見解、これに真っ向から挑戦をする、こういうようなことでしょう。いかがでしょうか。

[060]
内閣官房長官 宮澤喜一
そうではないのだと思います。つまり、徴兵制というものは憲法のもとで認められておらないということは、政府は長く以前から言ってきたわけでありますが、その後になりまして、ことに最近、それならば憲法何条に照らしてそう考えるかというお尋ねがございまして、昨年の8月15日の答弁書はまさにそれに答える答えでございますが、御承知のように、憲法の条文には徴兵制を論じている条文はないわけでございます。

その問題について答えておる条文がございません。政府としては、憲法全体から考えてこれは認められていないという見解を従来とってまいりましたから、どの条文に照らしてそう思うかということについて従来お答えをしていなかった。それを言えという質問書でございますから、それで、関係した条文から言えば、たとえば13条であるとか18条であるとかいうものがまあ関係のある条文でございましょう、しかしこれは徴兵制を規定している条文ではない、御承知のとおりでございます、関係と言えばそういうことでございましょう、こういうのが8月15日の答弁書でございますが、それに対して竹田統幕議長は、18条と言えば、それは奴隷的拘束等々言っておるのであるから、いかにも政府がそう言えばそれが自衛隊の職務を奴隷的云々と言っておるごとくではないか、これがここに言っておることでございますね。

申すまでもなく、自衛官になるということは、職業選択の自由に基づいてなるのでございますから、18条が適用されるわけはないのでありますけれども、18条に関連があるという答弁から何かそこを短絡的に考えやすい、そういうことを理由にされるのは自分たちとしては不本意である、こういうことを言っておられるのだと思います。

[061]
日本共産党 野間友一
どうも私の質問に対してかみ合ってないと思うのですね。政府答弁は、現憲法秩序のもとでは、いろいろ書いて、その本質があり、そして具体的な憲法の規定からすれば13条、18条などから許容されるものではないと、明確に13と18を引いておられるわけでしょう。ところが、この竹田統幕議長は、その理由について「政府答弁というのが、徴兵はやらせないと……。それはいいんです。」ところが、「徴兵をやることがいいかどうかは別問題ですが、その理由がね、憲法13条、18条に違反するからやらんと言うんです。」最後に「こんな理由は筋違いでしょう。」こう言っているわけでしょう。

そうしますと、政府が鈴木内閣のもとでせっかくつくられた答弁、これを否定して、13条、18条を引くのはおかしい、筋違いだ、こう言っているわけですね。官房長官、これは素直に読めば、だれが考えたってそうでしょう。どうでしょうか。

[062]
内閣官房長官 宮澤喜一
もともと、13条、18条は、徴兵制について述べた条文ではございません。これは野間委員が御承知のとおりでございます。ですから、そのことからすぐ徴兵制の問題になってくるんじゃなかろうということが、恐らく竹田さんの言っておられることであろうと思います。それは政府といえどもよく承知していることであって、ですから従来、憲法全体から見て徴兵制というものは許されないと考える、こう申し上げてまいりました。

そこで、最近になって、それに関連のある条文はどれこれかというお尋ねですから、それは申せば13条、18条ということになりましょう。しかし、これが徴兵制について規定している条文でないことはお互いによく知っていることでございます。





昭和56年02月12日 参議院 予算委員会
[371]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
徴兵制違憲の根拠について衆議院の方で何かいろいろ問題になっているようですが、ごく簡単にずばっと聞きます。志願制は18条に該当をしますか。する、しないでいいです。

[372]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
志願制というのは自分の意思に基づいてという意味だと思いますが、それは憲法18条には違反しません。

[373]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
徴兵制は該当しますか。

[374]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
簡単に申し上げますと大変誤解を生ずると思いますが、先日の衆議院で申し上げたことを繰り返して申し上げますが、昨年の幾つかの政府答弁書で申し上げたような意味における徴兵制度は、憲法13条、18条等の規定の趣旨に照らして憲法上許されないと、こういうことでございます。

[375]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
簡単も何もないんです。志願制は18条に該当しますかと。しません。徴兵制は該当しますかと。しますとかしませんで言ってください。

[376]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
憲法18条には、徴兵制という、制度という文字はないわけでございます。したがって、それに該当するというおっしゃり方がよくわからないので、憲法上許されない、その趣旨は憲法18条の規定の趣旨に照らし合わして許されないと、こういうふうに申し上げております。

[377]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
ですから、許されないというのは該当するということですね。苦役、奴隷的拘束に該当するということですね。

[378]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
私どもは、徴兵制度といえども18条の奴隷的拘束に該当するというようなことは申したことはございません。

[379]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
だから、徴兵制は苦役、奴隷的拘束に当たるかと聞いているんです。

[380]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
ちょっと説明が長くなるんですが、よろしゅうございますか。

[381]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
私は簡単に答えてもらう方がいいんです。

[382]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
いや、簡単では非常に誤解を生ずるので、私ども衆議院でそのために大変誤解を与えたわけでございますから、とても簡単には申し上げられない。

それでは結論だけ申し上げますが、憲法18条に規定する奴隷的拘束というものは、これは非人道的な方法による自由の拘束を意味するものというふうに解されております。その意味では、自由な人格者であることとおよそ両立をしないようなそういうものが奴隷的拘束になると思います。したがいまして、どんな場合でも徴兵制度というものがそういうものに達するほど人格の自由を認めない制度であるというふうには私どもは考えておりません。その点が1つであります。

それから、その次の18条に、「その意に反する苦役」という言葉がございます。この言葉は、衆議院でも申し上げましたけれども、苦役という言葉は、非常に苦痛の高い労役というふうに日本語としては解されがちでございますけれども、この点につきましても制憲議会のときから、「その意に反する苦役」というのは、一息に読んで、そしてそれは要するに強制的な役務の提供であるというふうに解すべきであるというのが政府の見解でございます。徴兵制度は一定の兵役に強制的に従事させるわけでございますから、そういう意味ではその意に反する苦役に当たるわけでございます。

これはしかし、だからといって現在の自衛隊というものが奴隷的拘束その意に反する苦役に当たるというわけではございませんし、その上、仮に徴兵制を――仮にでございます、しいた場合でも、普通の意味でその仕事が非常に苦痛を伴う苦痛度の高い仕事であるというふうには私どもは考えておりません。ただし、その意に反するという点、強制的であるという点は、これはもう徴兵制度は強制的であることは間違いないと思います。

[383]
日本社会党(社会民主党) 志苫裕
長々言うからわかりにくいのであって、徴兵制は強制的苦役に当たるということを、あなた、言ったらそれでいいんですよ。ごたごたすることはないわけです。





昭和56年02月16日 衆議院 予算委員会
[008]
日本共産党 東中光雄
そこで、次の問題に入りたいのですが、徴兵制の憲法問題についてであります。

徴兵制度は日本国憲法上許されないのだという昨年の8月15日の政府答弁書でありますが、これについて宮澤官房長官は、法律的には間違っておりません、内容も違っておらないと存じます、法律的に申せば、まずこれが完全な答えと申しますか、いままでのいきさつをも踏まえて正確なお答えであることは間違いないと思います、いままでの解釈をもちろん変えるというものではありません、こういうふうに言われております。総理は奥野法務大臣の発言に関連して、憲法は厳格、明確に解釈するのだというふうに言われたわけであります。

ところで、この答弁書をめぐりまして憲法13条、18条、そして18条が徴兵制度違憲の法的根拠になるのかならぬかということがずいぶん論議されてきたのでありますが、いま言論界でも、学者の間でも、徴兵制違憲の一番の根拠になるのは憲法9条だ、あるいは第1の根拠は憲法9条だということが新聞等でもいろいろ言われておるわけであります。

その点に関連して私はお聞きしたいのですが、答弁書は完璧なものである、間違っていないと言われている答弁書は、全体を読みますと、いままで国会で議論になっておったのはその一部であります。「徴兵制度は、我が憲法の秩序の下では、」云々ということがありまして、「平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではない」こういうふうに言われているわけです。だから、いままで議論されているのは、法制局長官が結論的に言えばということで13条、18条を言われているのです。結論的にじゃなくて全体的に言えば、「我が憲法の秩序の下では、」憲法前文があり、憲法9条があって「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」という規定がある。そういう憲法秩序のもとにおいては、平時であると有事であるとを問わず、憲法13条、18条などの規定の趣旨から許されない、こう書いてあるわけであります。だから、前提として「憲法の秩序の下では、」とわざわざ答弁書に書いてある。その趣旨は、憲法前文及び憲法9条の、日本国憲法の他国の憲法と違う、そういう憲法秩序のもとでということだと思うのですが、法制局長官、どうですか。

[009]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
いま御指摘のように、徴兵制が憲法上許されないという根拠として、憲法9条を引用する説が確かに学界にもございます。ただ、この点につきましては昭和53年の10月に、参議院の予算委員会で当時真田法制局長官が御答弁申し上げておりますが、いわゆる9条説というのは自衛のためにも一切の実力組織をわが国が保有することを憲法上認めない、そういう説が前提になっております。ところが、毎回申し上げているように、政府としてはそういう説をとっていないわけでございます。したがいまして、9条というものを引用して徴兵制が憲法違反であるという説は政府としてはとり得ないところであります。

ところで、さらに御指摘の「我が憲法の秩序の下」において云々ということを確かに答弁書で申し上げております。これは、私どもがそういうことを書いた趣旨といたしましては、その後に書いてありますように、「社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課される」という、そこに理由があるわけであります。つまり、憲法の中には、基本的人権の尊重という考え方が憲法の根底にあると思います。そういう基本的人権の尊重という考え方を加味して考えますと、当然に負担すべきものとして社会的に妥当なものとは認められないというつもりでございます。したがって、ここで「憲法の秩序の下」においてはというのは、直接には基本的人権の尊重ということを非常に大きな柱としておる「我が憲法の秩序の下」、こういうつもりで書いたわけでございます。

[010]
日本共産党 東中光雄
私は、憲法9条のもとでは、徴兵制はもちろん、いま法制局長官の言われた実力を持つということも許されない、そういう解釈をしています。

しかし、私がいまここで言っているのは、私の解釈と同じように政府が立つべきだと言っているんじゃなくて、自衛隊合憲論だ、憲法9条から見ても許されるんだという政府と同じ立場をとっておる学者諸君が、それでもやっぱり憲法9条があるから18条、13条が生きてくるんだという趣旨に解しておると思うのですね。

日本国憲法の18条は、アメリカ憲法の修正13条と同じ趣旨でありますね。修正13条は、奴隷及び不任意の労役は、犯罪に対する刑罰として適法に宣告を受けた場合を除いては、合衆国内またはその管理に属するいずれの地にも存在してはならない。趣旨は全く同じであります、文言は違いますけれども。

このアメリカ憲法修正第13条の第1項は徴兵制を禁止する根拠にはなり得ないというのがアメリカの判決ですね。なぜアメリカではそうなるのかといえば、アメリカの憲法の第12項あるいは第13項によりますと、陸軍あるいは海軍を設けてこれを維持すること、はっきりそう書いてある。日本国憲法9条とは全く違うんです。あるいは民兵の編成、武装及び訓練並びに合衆国の軍務に服せらるべき民兵の一部についての統括に関する規定を設ける、こういう規定が憲法16項にある。だから、そういう憲法秩序のもとでは、修正13条があっても徴兵制は合憲だということになる。

同じ規定で徴兵制度は合憲でないという根拠は、日本国憲法は兵役の義務とか国防とかいうことは一切規定がなくて、逆に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」前文では、恒久平和主義が書いてある。それが前提でこそ18条、13条の解釈も出てくるんではないですか。論理的にするなら当然のことでしょう。だからこそ政府の見解も、わざわざ「我が憲法の秩序の下では、」ということで、先ほど長官が言われたようなことが書かれてある。単にぽこっと13条、18条だけだというふうにはしてないわけです。そうじゃないんですか。

[011]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
先ほども申し上げたとおりでございますけれども、私どもは、ここの「憲法の秩序の下」というのは、後に書いてあるように、13条、18条という条文を引用していることと対比して考えていただきたい。つまり憲法第3章に定める基本的人権の尊重ということがわが憲法の秩序である、こういう理解をしているわけでございます。

それから、先ほどアメリカの憲法をお引きになって御主張になりましたけれども、確かにアメリカの憲法では、徴兵制は修正憲法13条に違反しないというような解釈がされていることはおっしゃるとおりだと思います。しかし、アメリカの修正憲法13条というのは、まさに南北戦争の直後につくられた規定であり、そもそも憲法秩序全体がわが国とは違っていると思います。また、アメリカ憲法の解釈というものをたとえ比べて持ってくるにしても、日本の憲法について私どもは、直ちにそういう解釈が成り立つとは思いません。

それから、最後に申し上げますが、結局おっしゃいますことは、憲法9条において自衛のための実力組織の存在を認めてないという説をどうも前提にして御主張になっておられるように思います。無論そういう説があることは私どもは否定はいたしませんけれども、それは政府の説と違いますから、それは政府としては、そういう説を前提として徴兵制違憲ということの論拠とするわけにはいかないということを申し上げておきます。

[012]
日本共産党 東中光雄
そうすると、結局法制局長官の言われていることは、自衛隊は合憲であるという立場を政府がとっておるから憲法9条を引くわけにはいかぬのだ、しかし、アメリカの憲法秩序は日本の憲法秩序と違うから、そういうことですね。南北戦争直後のあの規定は、アメリカの憲法秩序が違うから、だから18条は徴兵制を禁止する根拠にはならないんだ、日本国憲法はアメリカの憲法と秩序が違うから、要するに9条が入っているから18条が生きてくるんだ、そういうふうにいま言われたわけですね。だから私は、そういうのを政治的解釈というのですがね。だって、自衛隊合憲を言うという立場に立っておるから、だから9条は言わないんだ。

自衛隊合憲だと言う立場の学者でも、それは違う、徴兵制が禁止される根拠にはやはり9条があることが前提だというふうに見なければ論理的に説明がつかぬじゃないかという趣旨のことを言っていますわね。厳格に、正確に、明快に解釈せにゃいかぬわけですから、日本国憲法の秩序というのは、9条があり、前文がある、そういう中での18条なり13条なりの解釈だということ、それを言うんじゃないですか。当然のことじゃないですか。

[013]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
アメリカ憲法のことは、御引用になりましたからお答えしたわけですが、アメリカ憲法の解釈と日本国憲法の解釈とは基本的に違うということをまず申し上げたかったわけであります。

次に、憲法9条なりあるいは前文というものがいわゆる平和主義というものを定めていることは、これはもう言うまでもないところであります。しかし、私どもは、憲法9条というものは、自衛のための実力組織の存在というものを認めているということまでは規定していると思いますが、それを充足するための手段としてどのような方法によるか、特に強制的な方法によるかどうかということは、9条自体から出てくるのではなくて、やはり18条とか13条から出てくるというふうに理解しておるわけであります。

[014]
日本共産党 東中光雄
自衛隊合憲論を言うために非常に論理的に合わないことを言われていると思うのですが、これは国民は納得しないということをはっきり申し上げておきます。憲法秩序の体系というのはそういうことだということをはっきりしておく必要がある。

同時に、自衛隊は自由意思によってその職務につくんだから18条に該当しない、憲法違反ではないという論をされておるわけですけれども、自衛隊は、その意に反する苦役に服さしめられない権利というのは、自由意思によって選択すると同時に、いつでも自由意思によってその選択した職業から離脱するという自由でなければいかぬと思うのですね。自衛隊は自衛隊法によって、たとえば防衛招集命令が出る、あるいは防衛出動命令が出る、治安出動命令が出る、そうしたら、その段階からは自由意思によって離脱できないようになっていますね。罰則がある。そしてその罰則は、陸海軍刑法時代よりもまだ重くなっていますよ。刑罰によって、自由に選択した職業であっても自由に離脱できないようになっておる、こういうのが自衛隊の実態です。ですから、それをさえ合憲だということを言わなければいかぬものだから、だから、徴兵制についてもあくまでも9条を引っ張ってこないという政治的解釈に貫かれているということになると思うのです。

その点は、1点だけ聞いておきますが、自由意思によって職業を選択する自由がある、それは自由意思によって選択した職業から離脱する自由でもある、このことは認められますか。

[015]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
その点につきましては、東中委員は、もうすでに、予備自衛官の問題で当時の吉國法制局長官と論争をしておられますが、無論御承知のとおりだと思います。そのときにそういう御質問を同じようになさっておられるわけで、私が当時の吉國法制局長官と違ったお答えをするはずはないということは十分御承知だと思いますが、それは、自衛官になるに当たっては、当然、自衛官になることは自分の意思に基づいてなっているわけであります。かつ、自衛官の仕事というのは、国の防衛という非常に重要な仕事であります。したがいまして、合理的な理由がある場合に、その離脱に対して罰則をもって禁止をするといいますか、制限をするということも当然許されると思います。

なお、全く単純な私法上の雇用契約に基づいてある仕事についた場合に、それから、やめるというか離脱をする場合に、それは罰則でもって禁止をすることはできないというような解釈は、これは最高裁の判決にはございませんが、高裁判決にあることは御承知のとおりだと思います。

[016]
日本共産党 東中光雄
18条の、その意に反する苦役に服さしめられない権利というものは、職業選択の自由を保障する、しかし、自由意思によって離脱する自由も保障するものでなければいかぬということは認めておられるわけです。

しかし、自衛隊についてはそうじゃないんだ、一般の職業とは違うんだという、これはもう論理的にはむちゃくちゃな解釈だと、私はそう思いますので、そういう論理的にむちゃくちゃなことを維持するために徴兵制度についての違憲論をやはり論理的に曲げていく、これが政府の解釈、改憲の態度だ、私たちはそう思うわけであります。その点を指摘して次の問題に入りたいと思います。





昭和56年03月10日 参議院 予算委員会
[528]
日本共産党 沓脱タケ子
国民は何といいましても平和と暮らしの安定を願っております。男の子を持つ母親はいまどう言ってるかと言いますと、この国会における防衛論議、あるいはアメリカの相次ぐ軍事分担の要求、こういうものを見ておると、どんどん軍事費がふえて、やがては徴兵制が復活をされるのではないのかと、本当に背筋の寒い思いがするということを言っているわけです。





昭和56年03月11日 参議院 予算委員会
[345]
日本社会党(社会民主党) 寺田熊雄
これは法制局長官、やはりかつての総動員法の言うような徴用ですね。つまりいま自衛隊法では、医師とか運輸に従事する人間とか、それから建築関係の従事者に対しては、防衛出動のときには当該の一定の地域で当該の業務に従事させるように命令して、強制的に従事させることができるような規定になっていますね、103条の2項に。

これをさらに一般に拡大して、かつての国家総動員法のような徴用ですね、これもやはり徴兵と同じように違憲だとわれわれは考えるけれども、あなたとしてはどういうふうな御見解ですか。

[346]
委員長 木村睦男
寺田君、時間が参りました。

[347]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
そういうことは、もう政策的にもまたは現実の憲法上の可否の問題も含めて、一切検討したことはございません。





昭和56年03月25日 衆議院 法務委員会
[050]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
そこで、これは別のことで、法制局長官来られたので、そして大臣もおられるのでお聞きするのですが、私、また質問主意書を3、4日前に出しましたが、それとは別に徴用の問題、徴兵というか両方含めて、憲法と自衛隊法との関係でいま質問主意書を書こうと思っているところなんですが、それに関連をして前もってお聞きをしておきたいというふうに思うのです。

この前も私が徴兵のことについて質問主意書を出したときに、13条と18条を引かれましたね。18条の苦役を引かれたわけですが、その苦役というのは意に反して職につかせられることが苦役なのか、それからついた後のいろいろ仕事の内容がありますね、それも含めて苦役というのか、一体どういう考え方をとっておるわけですか。

[051]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
私どもとしては、苦役という言葉自体からすぐ受けるようないま先生が言われた仕事の内容ということについては、非常に苦痛の多い仕事もあるわけですが、同時に、それほど苦痛のない普通の仕事も含めて、内容というものにはポイントは置いてないわけです。

むしろ、第一段に言われました本人の意思にかかわらずその仕事につかせられる、しかも本人の意思にかかわらずその仕事は勝手にやめられない、そういうようなところにポイントを置いて「その意に反する苦役」という言葉をとらえているわけでございます。

[052]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
その点は学者の議論にも両方あるわけですね。内容も含めて苦役と言うんだという議論もあるし、まあいろいろありますが、いまのように承っておきましょう。

そうすると、この前も問題になりました自衛隊法の103条の2項の場合で、何か医療とか土木工事とか輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している業務と同種の業務で長官または政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができるというのが103条の2項ですね。これも本人の意思に反するわけですから、一応苦役というふうに理解してよろしいんですか。

[053]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
先ほど申し上げたような意味においては、およそ一定の役務の強制というものが行われる限り、それは一応憲法18条の「その意に反する苦役」に当たる。

したがいまして、いま103条2項を言われましたけれども、それ以外のいろいろな制度で何らかの形で役務の強制が行われる、たとえば国会や裁判所に証人として呼ばれるというのも非常に広い意味では役務の強制でございますから、そういうものも18条との関係においては一応問題になる。しかし、無論そういうものは憲法違反ではない、こういうふうなとらえ方をしております。

[054]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
いや、国会や何かに証人として呼ばれることは、それはちょっとおかしいな。それは別として、私の聞いているのは、主に消防法とか災害救助法とかの中に出ておる問題ですよ。それらも意に反してということになった場合には苦役ということになる、こう理解してよろしいわけですね。

そうすると、いまの災害救助法、消防法、それから自衛隊法の103条2項、これは苦役ではあるけれども憲法違反ではない。憲法違反のことを何も聞いていないのだが、あなたの方から先に答えるからですが、憲法違反でないという根拠はどこに求めるのか、これは13条にいくわけですか、どういうふうになってくるわけですか。

[055]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
これは基本的人権すべてについて同じような問題があると思います。私どもの解釈としては、憲法第3章に定められております基本的人権なりあるいは自由というものも絶対無制約なものではなくて、公共の福祉というかあるいは内在的制約というかは別として、合理的な理由がある場合はそれが制約をされるということも当然憲法上認められる、こう解しておるわけであります。

したがいまして、ただいま設例されました自衛隊法の103条2項であるとか災害救助法とか、そういうものは当然憲法上許されるグループに入るという意味で申し上げているわけでございます。

[056]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
憲法上許されるのはわかりますが、それは憲法13条の公共の福祉に合致をするということで、それで基本的人権が制限されても憲法違反にならない、こういう意味でしょう。

[057]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
13条というのはもとよりそういう意味でございますが、13条は、基本的には個人の権利を尊重しなければいけない、しかし、公共の福祉ということであればそれは制約できるという根拠でございますから、そういう意味で13条を申し上げているわけでございます。

[058]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
そこで、徴兵制の私の質問主意書に対して13条を引用されましたね。これは私よくわからないのですよ。どうして13条というものを引用する必要があるかということになってまいりますと、13条の解釈によっては、公共の福祉というふうなことの理解の仕方によっては基本的人権が制限されてもいいということになると、18条に合致はするけれども、13条で有事、まあいわゆる有事の言葉もはっきりしませんが、私は3、4日前の質問主意書に有事の定義を求めていますが、そういうような場合には徴兵制度をしいても憲法違反ではないという意味を込めているわけですか、それは。

[059]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
政府委員 まず一般論を先ほど申し上げたわけでございますか、結局、13条というものに照らしてみて、およそ基本的人権なり自由というものが、ある場合には許されるし、ある場合には許されないということになるわけであります。

その場合に、それでは具体的な徴兵制の問題につきましては、私どもは、ある場合には許されるという方には入らないのだ、つまり13条の目に照らしてみてもなお許されないものである、こういうつもりで13条を引用したわけで、いま言われましたように、場合によっては公共の福祉を理由として制限できる、言いかえれば徴兵制は憲法違反ではないということを言うために13条を引用したわけでは決してございません。

[060]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
そうすると、よく徴用という言葉が使われますね。これは現在の法律にはない言葉だと私は思うのですが、この徴用という言葉はどういう意味に理解をしたらよろしいのでしょうか。

[061]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
御指摘のように、徴用という言葉は現在の法律の上にはないわけでございます。したがいまして、現行法に即してその意義というものを明らかにすることは、これはできないわけでございます。まあ御案内のように、国家総動員法に基づく国民徴用令というものがありまして、過去においては徴用制度というものがあったわけであります。そこから類推をいたしますと、結局徴用というのは、政府が戦時または事変に際して法律で定める一定の公的な業務、あの場合は総動員業務というわけですが、そういう総動員業務に国民をして強制的に従事せしめること、こういうのが一応徴用の定義として考えられると思います。

[062]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
そこで、いま言った自衛隊法の103条の2項、この義務はどういう言葉で言ったら一番いいんですか。

[063]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
全体的にそういうことをまとめた言葉というのはないと思います。ただ、基本的な性格としては災害救助法や災害対策基本法と同じ範疇に属する制度であろう。そういう意味では従事命令の制度というふうに私どもは言っております。

[064]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
学者はこの103条の2項について防衛負担という言葉を使っていますね。これは杉村さんが使っていますが、防衛負担というのはこの場合に限定されるわけです。いまの災害救助なんかの場合は全然防衛負担じゃありませんからね。

そうすると、従事命令という言葉にあなたの方では統一する、こういうわけですね。そこで、あなたの理解は、従事命令の範囲内においては憲法違反ではない。それでは、従事命令に罰則がついた場合は一体どうなのですか。罰則をもって強制をするというふうな場合には、それは人権の抑圧となって憲法違反という疑いが出てくる、こういうふうなことになるのではないですか。ことに自衛隊法の103条の2項の問題に関連をして言えばそうなるのじゃないでしょうか。

[065]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
率直に申し上げまして、従事命令という名前のもとに呼ばれるいろいろな制度があるわけでございます。その中には罰則のついているものとついていないものとがございます。現在、言われました自衛隊法の103条の2項あたりは罰則がついておりません。それから、災害救助法の中でも罰則のついているものとついていないものがあります。そのほか、水防法とか消防法だとかいろいろな法律がありまして、これらは大体罰則がついておりません。

そこで、罰則がついたらどうか、憲法違反になるのじゃないかというお話でございますけれども、最初に申し上げたように、全体を見ましてそういうところまで実は深く研究しておりませんので、この段階で何とも申し上げられませんが、恐らく自衛隊法の立法当時に何らかの議論が行われたのではないかということで、私どもいま検討をしております。しかし、誤解のないように申し上げますが、それは無論そういうことを考えて検討しているのではなくて、先生から御質問があるということでございましたから昨日来検討をしているわけで、決して立法を予定しての検討ではございません。

[066]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
そうすると、この103条2項の場合に、いわゆる有事法制ということに関連をして、防衛庁ではこれに対しても罰則をつけようという動きがあるというように伝えられているのです。これは新聞などにも伝えられていますよ。そうなってくると、これは罰則がついた場合には状況が変わってきて、憲法違反という疑いも出てくるのではないでしょうか。私はそのことをお聞きしておるわけです。それはいま検討している段階だから、いますぐここで答弁するのはあれだということであれば、いずれ質問主意書を出しますから、そこでお答え願ってもどうでもいいし、それはゆっくり検討しなければならない課題であるかもわかりませんが、いずれにしてもその点はどうでしょうか。

[067]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
新聞報道につきましては私どもも承知しておりますけれども、具体的にそういうことについての御相談が防衛庁からあったわけではございませんし、また、そういう問題について政府として、少なくとも私どもの段階でそういうことを具体的な問題として考えるというようなことは全然ございません。したがいまして、そういうものをすぐ結論を出すための検討というような気持ちは現在ございません。

[068]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
そうすると、くどいのですけれども、なぜそういうことを聞くかというと、これにひっかけて、ひっかけてというかこれに関連して、自民党の森清代議士から質問主意書が出ておりますね。出ているでしょう。だから、私はこの罰則についてお聞きしているわけです。どうもこの当時罰則がつかなかったという理由は、そこまで検討しなかったのか。たとえば1項では政令なんかをつくることになっているけれども、政令なんか全然できていないわけですね。だから、そこまで考えなかったのか、あるいはそこまで考えたけれども、それはつけるとちょっと問題だぞ、現在の憲法では問題だぞということでつけなかったのか、そこら辺は一体どうなのかということはおわかりでしょうか。

[069]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
先ほどもお答え申し上げましたように、その辺の事情がさっぱりわかりませんので、実はそういうこともあわせて調べてみたいという気持ちを持っているわけでございます。

[070]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
そうすると、あなたのお答えは、結局、人の意に反して苦役というふうなものを法律で認められている場合がいろいろある。災害救助法もあるし、消防法もそうでしょう。いろいろある。それから自衛隊法もある。それで罰則があるものとないものとがある。だから、罰則がついたからといって一概にそれは憲法違反とは言えないけれども、罰則がつくことによって憲法違反になり得るものもある、こういうふうに理解をしてよろしいですか。

ケース・バイ・ケースで、ことに自衛隊法の場合はちょっと普通の場合と例が違うかもわかりませんけれども、それだけ罰則がつけば憲法違反になるということも場合によってはあり得るということに理解をしてよろしいですか。

[071]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
稲葉委員はもう御承知のとおりだと思いますけれども、場合によってはあり得るというところまでも私どもはまだ考えていないので、ちょっとその辺は私が口で言いますと誤解を生ずるおそれがあると思いますが、無論稲葉委員のおっしゃっている意味は私どもはよく理解しております。

[072]
日本社会党(社会民主党) 稲葉誠一
ぼくの言っている意味をよく理解しているといったって、それはどう理解しているのかよくわからないな。何もぼくはあなたのことをどうこうしようというのでそれを聞いているわけじゃないですよ。ただ、そういうことが新聞で報ぜられているのです。これは有事法制の研究の中にも入っているのだ。だからぼくは聞いておるので、有事法制研究ということ――有事というのもよくわからないのです、これは俗語で。ぼくもわからないから答弁書を求めています。

それで、罰則を設けることを検討しておって、何かいま言ったことで自衛隊法の103条の2項の問題で、これが合憲だというような回答を出したことに関連をして大村防衛庁長官は、これは戦時の徴用は合憲であるとする考え方がはっきりしたと受けとめておる、こういうふうに述べたと伝えられているのです。果たしてこう述べたかどうかわかりませんよ。恐らく防衛庁長官が戦時という言葉は使わないとぼくは思います。戦時なんという言葉は日本の法律にないわけですから。だから、そこら辺のところはよくわかりませんが、それによって罰則を設けることを検討しており、この種の政府見解、これはこの前の森清さんの質問に対する政府見解ですね、それに対して罰則規定の政令をつくる作業がさらに推進されるものと見られるというように新聞では報ぜられておるのです。新聞のことで質問してもおかしいのですが、一体政令で罰則がつくれるのか。そんなことはないでしょう。ぼくもこれを見て、そんなことを言っては悪いけれども、笑ったのですがね。政令で罰則をつくれるわけがないのでね。

そうすると、くどいようですけれども、現在の段階では、結論については、防衛庁からそういうふうな問題については相談はないということが1点と、それから自衛隊法について政令で罰則がつくれるわけはない、こういうことは第2点としてはっきり言えますか、どうですか。

[073]
政府委員(内閣法制局長官) 角田禮次郎
第1点については、そういう問題について防衛庁から相談を受けたことは全然ございません。新聞記事自体をとやかく申すのはあれですけれども、私が防衛庁長官と徴兵制の問題でお話ししたときにも、103条の話などは全然出ておりません。

それから次に、第2の問題の政令で罰則をつけるなんて、そういうことは絶対あり得ないことで、もし罰則をつけたいならば自衛隊法の改正が必要になるわけでございますから、そういうことは絶対ありません。





昭和56年04月27日 参議院 安全保障特別委員会
[152]
政府委員(防衛庁長官官房長) 夏目晴雄
まず、今回の有事法制の中間報告というのは、去る53年9月21日に出された防衛庁見解にありますように、私ども現在の憲法の範囲内、枠内でまず研究をしたということが第1点でございます。したがいまして、現在の憲法の枠を超えるような徴兵制であるとか戒厳令であるとか、いわゆる徴発令に関したものは一切検討をしていないということが第1点でございます。





昭和56年05月08日 衆議院 安全保障特別委員会
[126]
政府委員(防衛庁長官官房長) 夏目晴雄
国民の権利が最大限に尊重されなければならないことは論をまたないところでございまして、私どもとしては、そういった趣旨から、この53年9月の見解でも申し上げているように、たとえば現在の有事法制の研究というのは現行憲法の枠内でやるのだ、たとえば徴兵制であるとか、言論統制であるとか、戒厳令といったようなものは一切考えていないということを申し上げているわけでございます。

一方、国民の権利も公共の福祉とのバランスにおいてある程度の制約というものはある、しかし、その場合も無制限に認められるべきでなく、当然必要最小限度に限られるべきであるし、また一定の手続、正当な補償が裏づけされることは言うまでもないわけでございます。

1つの例を申し上げれば、現在の自衛隊法の103条の物資の収用、土地の使用、従事命令等については、国民の権利に影響のある規定でございますが、これは現在の103条という自衛隊法そのものが、国会の御審議を経て法律として認められているということでございまして、そういう意味合いにおいて、私どもとしては必要最小限度の範囲内において、一定の手続、正当な補償のもとで国民の権利もある程度制約といいますか、公共の福祉、いわゆる国の安全確保というために制約をしていただくということも必要であろうというふうに思っておるわけです。

[127]
日本社会党(社会民主党) 前川旦
文章の中に、「旧憲法下の戒厳令や徴兵制のような制度を考えることはあり得ない」、これはよろしゅうございますね、そのとおりですね。もう一遍確認していただきたいと思います。

もう1つは、「言論統制などの措置も検討の対象としない。」、これもそのとおり、確認してよろしゅございますか。

[128]
政府委員(防衛庁長官官房長) 夏目晴雄
そのとおりでございます。



[230]
公明党 市川雄一
そこで、法制局の方にお伺いしたいのですが、いわゆる国民徴用ということですね。辞書を調べますと、「徴用」というのは国家が強制的に国民を労務に服せしめて使うとか、そういう意味に使われておりますが、そういう国家が強制的に国民を徴用するということが、いまの憲法になじむのかどうか。その点はどうですか。

[231]
内閣法制局長官 角田禮次郎
旧国家総動員法には、御承知のようにいわゆる国民徴用制度というものがあったわけでございます。しかしながら、現在の法制のもとにおきましては国民の徴用というものが制度として定められていないわけであります。したがいまして、現行法に即してそういうことが憲法上可能であるかどうかということを直ちに議論するわけにはいかないわけでございますが、御質問の趣旨は、いま御引用にもなりましたように、国家が、公権力が法律で定める一定の要件のもとにおいて一定の公的な業務に国民をして強制的に従事せしめることが、どのような場合にそういうことが許されるかどうか、こういう問題であろうと思います。

そこで、こういうような役務の提供の強制が許されるかどうかは、結局は公共の福祉のために基本的人権がどういう場合に許されるかどうか、こういう問題に帰着するのでありまして、役務の提供を強制する目的とか、それから提供される役務の内容等に即して、それぞれの具体的ケースに応じて判断されるべきだと思います。

たとえば徴兵制度については、すでにそのような観点から、そういうことはわが憲法上許されないということを申し上げているわけでございます。

[232]
公明党 市川雄一
103条1項の「地域」というのは、自衛隊が出動した戦闘地域ですよ、非常に危険な地域です。その危険な地域で物資の保管を命令される、命令されて、それがある場合においては役務の提供も伴う。そうすると、その危険な地域で自衛隊に必要な物資、弾薬とかそういうものを保管する行為、これは言ってみれば兵に準ずる行為を強制的にさせられるわけですよ。

徴兵制度というのは憲法になじまない、しかし、こういう従事命令というのは憲法になじむという立場でお考えになっていらっしゃるのですか。兵に準じた行為を要求されるわけですよ、民間の人が。この点はどうですか。

[233]
内閣法制局長官 角田禮次郎
この点につきましては、先ほども申し上げました原理というものを適用して判断するほかはないと思います。

結局、まず第1に考えられることは、その目的が憲法の目から見て合理的な、公的な公共の福祉にかなった目的であるかどうかということ、さらに、強制的に課せられる負担の内容が当然問題になるわけであります。

それで御指摘は、第1項地域というのは確かに危険な地域を含んでいると思います。先ほど来お話に出ておりますように、保管命令というようなものを出した場合に、その保管命令を受けた者が履行すべき義務の態様というものはいろいろな場合があるわけで、必ずしも労務の提供ということだけではない、場合によっては、現地に必ずいなければならないというわけのものでもないと思います。先ほど官房長から御説明したようにいろいろな場合があるわけでございますから、それぞれの態様に応じて判断しなければならないと思いますけれども、先ほど来申し上げたようなことから、外部からの武力攻撃に際して、わが国を防衛するために必要があるということで防衛出動が下命されているという場合の対処措置でありますし、さらに自衛隊の任務の遂行上どうしても必要であるというようなことでありますから、当然そういう目的は合理的だと思いますし、また、先ほど申し上げました命令の内容によっていろいろ判断すれば、これが直ちに憲法に違反をするということではないと思います。

[234]
公明党 市川雄一
物資の保管命令、保管行為を命ぜられる、これに罰則を検討しているということですね。有効性とか必要性をこれから検討する、こう言っているのですが、罰則がつきますと完全に強制的な命令になるわけでしょう。

もう1つ、103条の2項地域におきましては、お医者さんとか看護婦さんとか土木業者、これは従事命令が出されるわけですね。

先ほど午前中の議論では、従事命令に違反した場合罰則を設けたらどうかなんという御意見もあったのですが、そうなってきますと、憲法18条で苦役の強制の禁止、徴兵制は18条を根拠にできない、こうおっしゃっているわけですね。そういう戦闘地域に、罰則を伴う法律でもってある一定の行為を要求される、これは言ってみれば兵に準じた行為を要求されるわけですね。

徴兵制は違憲だ、しかし、民間人をそういう形で強制的に使うのはいいという論理が18条から出てきますか、どうですか。

[235]
内閣法制局長官 角田禮次郎
物資の保管命令に違反した者に対して罰則をかけるという話は、防衛庁の中間報告の中において取り上げられている問題でありますけれども、中間報告でも書いてありますように、防衛庁では引き続き検討をするということになっているわけでございます。いまの段階で私どもに具体的な提案なり協議というものは全くございませんので、余り先走って私が意見を申し上げることは、本来は差し控えるべきことかと思います。

ただ、一応の考え方の筋を申し上げれば、先ほども話に出ておりましたように、保管命令を受けた者が現地において保管の業務に従事する必要がない、それで目的が達成されるというような場合に、保管命令に違反する者に対して罰則をつけることが仮にあるとしても、それはむしろ憲法18条との関係では問題にはならないと思います。

ただ、先ほども話が出ていましたように、現地で実際に保管業務に従事しなければ目的が達成されないという場合が、例外的ではあってもあり得ると思います。そういう場合に、それを罰則をもって強制をするということは、確かに御指摘のように103条第1項の地域というのはこれは相当危険な地域といいますか、「自衛隊の行動に係る地域」でございますから、危険な地域である場合があり得るわけでございます。

そういう場合にはやはり国民の基本的人権との調整ということは当然問題になるわけでございまして、そういう点については慎重な上にも慎重な検討が必要であろうというふうに私どもは考えております。

[236]
公明党 市川雄一
ですから、徴兵というのは兵を強制的に集めるという行為ですよ。これはできないと思います。しかし、民間人を兵に準じた行為を強制的にやらせることはできるというのは、どう考えても矛盾するわけですね、同じ憲法18条の点から考えても。

なぜこんな議論をしたかといいますと、防衛庁は憲法の枠内で検討していますと盛んにおっしゃるのですけれども、どうも法制局の方は全然相談にあずかっていない、こうおっしゃるし、防衛庁が勝手に何か枠内、枠内と思い込んでいらっしゃるようですが、決して枠内ではない。気がついたらもう枠の外で、憲法が事実上解釈が変えられていた、こういうことにもなりかねない非常に重大な問題ですから、あえてお伺いしたわけです。

さらに、この103条第2項の「地域」というのは、「行動に係る地域以外の地域」ということは日本全土を指しているわけですか、それとも、第2項の「地域」というのは線引きで決められるのですか、どうなんですか。

[237]
政府委員(防衛庁長官官房長) 夏目晴雄
103条第1項の「地域」というのは「自衛隊の行動に係る地域」、簡単に言いかえれば戦闘が行われている地域とその周辺ということで、おのずから限定されると思うわけですが、第2項の「地域」というのは、そういった戦闘地域あるいはその周辺地域以外の地域ということで、一応全部がそれに入ると思います。ただし、この103条の第2項に言うところのもろもろの従事命令であるとか保管命令、物資の収用、土地の使用等が行われる「地域」というのは、その中で総理大臣が特に公示した地域ということでございますから、それはそのときの態様によっておのずから決められるというものでございます。

[238]
公明党 市川雄一
その場合、総理大臣がお決めになった線引きした地域の中に、医療、土木建築工事または輸送に従事する者に適切な人が確保できないという場合に、これは広げてほかの地域から持ってくるという考えですか。

[239]
政府委員(防衛庁長官官房長) 夏目晴雄
いろいろな場合があろうかと思いますが、後方地域であれば民事契約によって確保できることもありましょうし、相当危険な地域であれば、そういうふうな要員がいないということから、自衛隊のみずからの力でやらなければならぬというふうな場合もあろうかと思います。いずれにしてもいろいろな場合があろうかと思いまして、必ずしもいま先生が御心配のような向きも全くなしとしないということでございます。

[240]
公明党 市川雄一
要するに、日本全国から何か強制的に集められる感じを受けるのですよね。





昭和56年10月27日 参議院 内閣委員会
[174]
日本社会党(社会民主党) 山崎昇
次に、私はこれは長官の見解だけきょうお聞きをしておきたいのですが、ことしの「法律時報」という法律の専門雑誌でありますが、これの5月号に公法学会員――憲法、行政担当者あるいは弁護士、判事、検事等々日本におきます公法学をやっておられる方々、会員が886名、そのうち873名にアンケートを求めまして回答が418名来たと報道されています。

そこで、第9条と自衛隊の関係について違憲か合憲かでアンケートを求めたところ、公法学会員の71.3%は違憲である。合憲は26.8%。続いて海外派兵は、違憲が88.5%。徴兵制をしいた場合どうか、88.8%が違憲。

憲法改正についてどうか、特に第9条、反対78.7、賛成18.9。天皇陛下の元首化、反対90.4、賛成6.2。こういう日本におきます、言うならば専門と称される公法学会員が回答を寄せられておりますね。

あなたのところとか、きょう法制局長官呼んでおりませんが、法制局長官は合法説をとっているわけですが、少数派ですね、公法学会から言えば。こういう専門家の見解について、防衛庁長官、どうお考えになりますか、この点だけきょうお聞きをしておきます。

[175]
国務大臣(防衛庁長官) 大村襄治
公法学会のメンバーに対するアンケートの結果についていま御指摘がございまして、私の所見を言えというお話でございますが、私の私見を申し上げますれば、9条について違憲か合憲かで違憲が大変多いという点はまことに遺憾だと考えております。

あと徴兵制、海外派兵につきましては違憲が多いという点は、必ずしも私どもの見解と異にするものでないという感想を持っておるわけでございます。

その他の点については、ちょっと所見を申し上げることを控えさしていただきます。



前略と後略は省略、旧字は新字に変換、誤字・脱字は修正、適宜改行、
漢数字は一部アラビア数字に変換、一部括弧と句点を入れ替えています。
基本的に抜粋して掲載していますので、全文は元サイトでご確認ください。



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