中核自衛隊 球根栽培法 栄養分析表 ~ 嘘と暴力の日本共産党史 3/4

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昭和27年05月06日 衆議院 本会議
[005]
法務総裁 木村篤太郎
去る5月1日、メーデー当日におきます騒擾事件の概況、被害状況、その後の取締り状態及び背後状態について申し述べたいと存じます。

わが国の独立回復後初めて迎えました去る5月1日メーデーに際しまして、労働者諸君の集会デモ等の諸行事が全国各地において挙行され、その数は520箇所、参加人員108万人を数えるに至つておりますが、良識ある労働者諸君の自覚のもとに、おおむね無事平穏裡に行事がとり行われたのでございます。

ところが、不幸にして東京都内を初め京都その他数箇所におきますところの、メーデー行事に便乗した一部極左的破壊分子の策動によりまして、前例を見ない、きわめて悪質な不祥事件の発生を見たことは、まことに遺憾にたえない次第であります。

まず東京都内における騒擾事件の概要について申し上げます。

今回の中央メーデーは、明治神宮外苑絵画館前を会場といたしまして、午前10時30分ごろから、いわゆる統一メーデーとして催され、きわめて盛大な行事が行われましたが、大会の中途において、石川島労組員約30名を初め、全学連、職安細胞員ら約100名が突如相次いで演壇に殺到し、不法にもスピーカーを占拠したのであります。しかして、参会者に対して実力をもつて人民広場へ行こうなどと激烈な口調で煽動し、一方、その間会場内外にあふれた参会者に対し、都学連傘下の学生その他極左分子等は数班にわかれて列車を縫い、人民広場に行こう、人民広場を力で取返せとアジリながらまわり、また「アカハタ」復刊第1号、「球根栽培法」「平和と独立」「平和と独立のために」等というパンフレツトを、資金カンパと称して販売するとともに、激烈な内容のビラ数10種類を散布いたしたのであります。

やがて大会終了の後、午後0時40分ごろ、5方面にわかれてデモ行進に移り、東部、西部及び北部方面のデモ隊は予定の解散地点に至り平穏裡に解散いたしましたが、日比谷公園を解散地点とする南部及び中部のデモ隊は、行進の途中、全学連、自由労組、在日朝鮮人らの一部極左分子の誘導によりましてジグザグ行進を行い、途中投石し、窓ガラスを破壊したり、あるいは外人記者に暴行を加える等のことがありましたが、午後2時20分ごろから日比谷公園に到着し、大多数の穏健な労働組合員等は予定通り逐次解散したのであります。

しかるに、全学連及び左翼系青年団体員を先頭に、朝鮮人、日雇い労務者らの極左的破壊分子約2500名は、スクラムを組み、日比谷公園正門を出て、都電交叉点において、警官の阻止するのを突破して北上し、途中第一相互ビル前に駐車中の外人自動車10数台に投石し、窓ガラス等を次々に破壞しつつ無許可デモ行進を続け……。
〔発言する者多し〕

[006]
副議長 岩本信行
梨木君(※梨木作次郎・日本共産党)、静粛に願います。

[007]
法務総裁 木村篤太郎
折から馬場先門を警備中の約30名の警官の警戒線をも突破して、遂に皇居前広場になだれ込んだのであります。

そのころ、二重橋前附近においては、すでに警察官約250名が警備しておりましたが、乱入した暴徒は、気勢を上げて、指揮者の号令のもとに、警察官に対し一斉に投石したり、あるいは持つておりましたところのこん棒を振い、竹やりでつつ込む等、寡勢の警察隊に対し執拗な攻撃を繰返し、警察隊側に負傷者続出し、警官の1名は内ぼりに突き落されるという事態に立ち至つたのであります。

そのため、警察隊は後退を余儀なくされ、二重橋前附近に移動をするうち、ようやく警察隊も増強され、約2500名となつたのでありますが、他方暴徒はさらにその数を増し、約6000各となり、その組織的な攻撃はますます熾烈となり、警察官隊のこれら暴徒鎮圧のため使用した催涙弾も遂にその効を奏せず、警官の負傷者激増し、生命、身体の危険を避けるため、やむを得ず拳銃を使用するに至り、暴徒はようやく後退を始めたので、警察隊は一挙に暴徒を祝田橋附近まで押し返し出したのであります。しかし、その際暴徒は警察官3名を捕え、こん棒にて殴打し、重傷を加えた上、これを祝田橋附近外ぼりに突き落し、はい上らんとする彼らに対し、さらに石ころを頭上に投下するなど、暴虐の限りを尽したのであります。

しかも、その間、暴徒の一隊約500名は、祝田橋附近を通行あるいは停車中の外人自動車等にこん棒、石ころを投げたり、その窓ガラスを破壊する等の暴行を続けたのであります。ここにおいて、警察隊はやむなく発砲して、盛んに攻撃する暴徒を祝田橋から日比谷公園北側電車通りに押し出したのであります。

暴徒は、電車通りに駐車中の外人自動車10数台を転覆させて火を放ち、炎上せしめ、これが消火に出動した消防車等にまで投石を続けるなど、破壊的行動の限りを尽し、首都中心地域一帯の静謐を著しく擾乱じたのでありますが、逐次増強された警察隊により追い散らされ、同日午後5時30分ごろに至つて、ようやく解散するに至つたのであります。以上が、今回の騒擾事件の概況であります。

次に被害状況について、申し述べます。現在までに判明いたしました被害状況は次の通りであります。警察官の負傷者は、重傷者83名、全治3週間以上、軽傷者678名、合計761名、外人の負傷者は合計12名……。
〔発言する者多し〕

[008]
副議長 岩本信行
御静粛に願います。

[009]
法務総裁 木村篤太郎
暴徒側負傷者は推定約200名、他に暴徒側に死亡者1名を出しているのでありますが、同人は検事の死体検視の際、ズホン右ポケット内に小石10数箇を入れているのを発見したので、騒擾事件現場において暴徒として重要な役割を演じた者と推定されるのであります。なお本件における警察官の発砲は、前述の通り、暴徒の襲撃によつて自己または他人の生命、身体に対する急迫不正の侵害に対する防衛のためなされたものと認められるのであります。

次に物的被害につきましては、警察側、オートバイの焼却が1台、米軍側、公用または外人所有自動車焼却が14台、米軍側、公用または外人所有自動車損壊101台、警察官所携の拳銃3挺を奪われたのであります。

次に事件の措置について申し上げます。本事件の暴徒関係者に対しては、当日現場において放火罪、公務執行妨害罪等の現行犯として8名を逮捕しましたが、検察庁におきましては、今次事件を騒擾事件と認定いたしまして、昨5日までに騒擾罪等の罪名のもとに逮捕した者は合計225名に達しております。目下引続き東京地方検察庁及び東京警視庁においては、国警本部、特別審査局等の協力のもとに事件関係者の徹底的究明に当つておりますので、逮捕者の数は今後相当増加する見込みであります。なお逮捕された者のうち日本共産党員または北鮮系朝鮮人等が多く、相当多数の極左分子のいることが判明しておるのであります。検察庁においては、目下全力をあけて右の事件の被疑者の確定逮捕、証拠の収集に当り、特にその背後関係、計画性の有無等、事件の全貌の究明に努めておるのであります。真相判明次第、断固として処断する所存であります。

次に本事件の性格を申し上げます。目下検察庁において捜査を続行中でありますので、ただいま確定的なことは差控えますが、今回のメーデー・デモの参加者の大部分を占める総評傘下の穏健なる労働組合員は、終始平穏裡に行事を行い、予定の解散地点においてそれぞれ無事解散したのでありますが、本件は、一部極左的破壊分子が、群衆の興奮を利用して、激越な煽動によつて行つた計画的、組織的な暴挙でありまして、彼らのいわゆる軍事委員会の指導による計画的軍事活動として実践されたものと考えられる節があるのであります。

実際騒擾に加わつたと思われる暴徒は、それぞれあらかじめ用意していた日本共産党地区委員会旗、同細胞旗、北鮮国旗等のほか、竹やり、くぎつけプラカード等を振りかざし、これを武器として使用していたのでありますが、その数およそ6000名、内訳、旧全労連系労組員及び自由労働組合員約1000名、全学連系左翼学生約2000余名、極左系朝鮮人2000数百名程度と推定されるのであります。

なお、今日までに騒擾罪容疑で検挙した者について年齢層をみまするに、30才未満の青少年が全体の約3分の2を占め、また学生、朝鮮人、自由労務者、日本共産党細胞員などの占める割合が比較的多いということは、この暴挙に参加した者が、特定の年齢層と、ある種の組織体に属する階層であることを推知せしめるものであります。

なお、今風のメーデーに際し、全国的な特異な事案といたしましては、東京以外では、京都における府庁、市役所、五条警察署及び派出所に対する襲撃、破壊活動の事件を初め、仙台、姫路、大津、八日市、名古屋、横浜、綾部等の各地において若干暴力事犯の発生を見ております。

京都における事件は、公務執行妨害等の罪名で63名を検挙し、目下捜査中でありますが、警察官側に重傷13名、軽傷332名、計345名の負傷者を出しておるのであります。

次に、今次事件の背後関係について申し述べます。今回の不祥事件の背後関係について見まするのに、本年2月21日の反植民地デーによる蒲田事件、同月23日の京都事件等と同様、その主体は一部極左的破壊分子であつて、彼らの企図する暴力革命の準備の実践の一環として行われたものと推定し得られるのであります。今次メーデーに際しましては、これら極左的破壊分子のメーデーを利用する策動に関する情報が入手されたのみならず、メーデー会場及び行進中において、人民広場へ参集せよ、実力で人民広場を闘いとろう等という内容のビラが多数散布されて、大衆を煽動するなどの行為が活発に行われました。

また日本共産党幹部岩田英一君が主要な役割を演じており、また京都においては、日本共産党の有力党員である府会議員、市会議員らが煽動行為をしているのも、ほぼ明らかになつている次第であります。

さらにまた、東京及び京都における破壊的暴力行為の手段方法は、彼らのいわゆるゲリラ的革命活動方針にのつとつて、計画的かつ組織的に行われたものであると推定されることなどから、今回の事犯が、その背後において明らかに一部破壊的な共産主義者らの組織を基盤とし、その指導並びに煽動のもとに行われたものであると推測し得られるのであります。

次に事前処置について申し述べます。特別審査局、国家地方警察本部及び東京警視庁においては、今回の不祥事件に関連する情報を事前に若干入手していましたので、治安機関において相互に連絡して対策を協議し、ことに東京警視庁当局といたしましては、中央メーデーの主催者側幹部に対し、数回にわかり厳重な申入れを行い、暴力的不法事犯の発生防止につき協力を求める等、十分な方途を講じたのでありまするが、一面において、主催者の統制力と、デモ参加者の自主的精神とに信頼し、いたずらに警察力の介入するがごときことなきよう慎重な態度を持していたことと、他面においては、メーデー大会散会後、デモ隊が5方面にわかれて行進したので、警備力を分散せざるを得なかつたため、遂に予想外の事態の発生を見るに至つたと認められるのであります。

今次事件に多数の重軽傷者を出しました事情につきまして申し述べます。ただいま申し上げましたように、警察のメーデーに対する取締りは、でき得る限り干渉と介入を避けることを本旨とし、不法事犯の発生の際は、もとより適宜処置することといたしておつたのでありますが、今回の暴徒の携えていたプラカード、指揮棒等は、それぞれ巧みにカムフラージしてあつて、いつでも竹やりまたはくぎつきこん棒として、攻撃武器として使用できるようにつくられてあり、さらに暴徒等は石、ガラスびん等を用意していたのみならず、現場には無数の石塊があり、これが投擲武器として使用されたことなどが、警察官に多数の負傷者を出した原因と思われるのであります。

また暴徒は、あるいは投石、殴打し、あるいはくつでけり、あるいはほり内に突き落し、はなはだしきは拳銃を奪う等、まつたく狂暴残忍をきわめ、警察官は生命の危険にもさらされたので、やむを得ず催涙弾や拳銃を使用したので、暴徒側にも死傷者を見ることとなつたものと考えられるのであります。身命を賭して暴徒鎮圧に挺身し、重軽傷を負つた警察官に対しては、でき得る限りの慰藉と報償とをもつて報いたいと思つております。

なお駐留米国軍人の自動車等に対して重大なる被害を與えたことは、国際信義上まことに遺憾しごくでありまして、政府といたしましては、陳謝の意を表し、十分調査の上、賠償等の処置を講ずるつもりであります。

新憲法下、基本的人権擁護の名に隠れ、口に平和、独立、自由を唱えながら、みずからは憲法を無視し、国法を否定して、暴力主義的破壊活動をあえてし、こうも恥ずることなき極左的破壊分子の存在と、その集団の実体について、この際国民一般があらためてその認識を深められ、これが対策に日夜奔走する治安当局の活動に対し積極的な御協力を与えられんことを、この機会に切望する次第であります。

健全な労働運動あるいは大衆運動は、もとよりこれを保護助長すべでおりますが、これに便乗して、陰に陽に治安を撹乱せんとする破壊分子に対しましては、治安機構の充実強化と、適量なる立法措置とによつて、この種事犯の防遏並びに処理に万遺憾なきを期する所存であります。(拍手)

終りに臨みまして、わが国が講和発効により独立を回復した直後に、しかも首都において、かかる不祥事態の発生を見、多数の人的及び物的の損害を生じ、あまつさえ地方の静謐を害しましたことについてば、重ねて遺憾の意を表したいと思います。政府といたしましては、今後この種の事態の再発を防止するため万全の措置を講じ、もつて国民の期待に沿いたいと存ずる次第であります。何とぞ御協力をお願いいたします。(拍手)





昭和27年05月07日 参議院 地方行政委員会
[003]
政府委員(国家地方警察本部警備部長) 柏村信雄
5月1日の第23回メーデーの状況について御説明を申上げたいと思います。

この第23回のメーデーは講和発効後初めての催しでありまするし、なお破防法反対のストの直後であることとか、統一メーデーが圧倒的に多いことなどのほか、独立によりまする解放感も反映いたしまして、一般的に活気のあるものであり、全国の実施個所も520カ所に及び、参加人員が約108万に達したのであります。

併しながら他方これに便乗いたしまして、極左系の学生、朝鮮人、自由労働者等は警察官とか米国へに対しまする極めて悪質な挑発的暴力行為による計画的撹乱を行いまして、遂に東京都皇居前広場での放火を含みまする騒擾事件、又京都におきましては、市役所、府庁、派出所等に対する襲撃を含みまする騒乱事件を惹起いたしたのでありまするが、全国的に見ますると、この東京と京都の場合を除くほかは一般に平静でございまして、特に御説明申上げるほどの事件は起つておらんのであります。

不法事件の起りました府県は小さいものも含めまして、青森、宮城、それから東京、神奈川、京都、滋賀、兵庫、愛知、奈良の9都府県でございまして、35件に上つております。これに対しまして現在まで容疑者の検挙400数十名を見ておる状況でございます。

東京都の騒擾事件につきましては昨日本会議において法務総裁からもかなり詳細に述べられましたし、本日警視庁からもお見えになつておりまして、後ほど御説明があると存じますので、東京の分につきましては事前の情報、又国警も参加いたしましての警察措置等について若干申上げ、主として私よりは京都における騒乱事件について詳細の御説明を申上げたいと存ずるわけであります。

東京におきまする騒擾事件につきまして、事前情報といたしましては日本共産党東京都委員会におきまして、3月21日付通達65号として、本年のメーデーに対する通達をいたしておるのでありまするが、ここで非合法中核自衛隊を広範囲に組織し、全面的統一指導権を取るように指示をいたしておるのであります。

又細胞会議でメーデー参加には竹槍の先に赤旗を付けよ、各人に催涙弾、目つぶしを携行せよ、PD工場及び工場の上級幹部の家族を襲撃せよというような情報も入手いたしておつたのであります。

又民戦では4月13日にメーデー当日は自労に働きかけ、共同闘争を行い、税務署、市町村役場、予備隊にデモを行い、デモ隊は2派に分れ、1隊は役場にデモをかけ、警備力を牽制し、他の1隊は税務署にデモする、予備隊には随時随所に平和署名、傭兵反対署名を強要し、場合によつては脅迫する、又デモには竹槍、火焔びんを準備せよというような指示をしたという情報が入つておるのであります。

なお当日日共の党本部におきましては、岩田英一氏が大会終了後皇居前広場に集結せよというような指示を出したという情報も入手いたしておるのであります。

次に警察措置でございますが、最近税務署又は警察とか、特審、検察庁等の治安関係機関に対しまする火焔びんその他の武器を使用しての暴力的破壊事犯が各地で頻発いたしておりまするし、又今回の第23回メーデーは昨年の分裂メーデーと異なりまして極左系のものをも含めましたいわゆる統一メーデーであり、29日には民戦系の朝鮮人メーデー中央対策委員会の参加をも認めておりまするし、講和の発効、国会での破防法及び出入国管理令等の審議をめぐつての反対闘争、更にその他全学連等をも含めて中央大会が混乱に導き入れられる虞れもありましたし、デモ解散後各地において無届デモとか、治安機関等に対する暴力事犯の発生も予想いたされましたのでありまするが、メーデーに対しましてはできるだけ干渉をしない、そうして主催者及び参加団体の幹部等によりまする自主統制に待つて不法行為の起らないようにする。又そうした場合に不法行為の起りましたときに必要な取締を加えるような態度を以て臨んでおつたわけであります。

警視庁におかれましてもしばしば中央実行委員会の人々を招致いたしまして尖鋭分子の撹乱工作についての警告をいたし、特に26日の前夜祭後の会見におきましては防衛工作の強化を促しておるわけであります。又28日に皇居前広場使用不許可処分につきまして東京地方裁判所におきまして使用禁止処分の違法の判決がありましたのでありますが、メーデー実行委員会としましては既定の方針通り神宮外苑の使用を再確認いたしておりましたので、警視庁としましては29日、30日と引続きまして、実行委員会と折衝して、事故防止についてしばしば警告を発しますると共に、不法事犯の発生に備えて警戒に万全を期するようにいたしたわけであります。大会の状況につきましては後ほど警視庁のほうからの御説明をお聞き願いたいと存ずるわけでございます。

次に京都市におきまする騒乱事件でございますが、先ず事前の動向について申しますると、京都地評におきましては3月20日に弾圧法規粉砕総決起大会に際しまして、民統系が協定を破る単独行為に出ることを非難して、一線を画し、はつきりこの単独行為に出ないということにしなければ、統一メーデーを行わないという方針であつたようでありますが、4月11日の第2回の実行委員会で種々議論をいたしました結果、総評側としても自労、学生、朝鮮人を含めた統一メーデーをするということにいたしたわけであります。

又開催の場所を御所前で強行するという決議をいたしておつたのでありますが、更に4月28日の許可申請書におきましては、場所を御所前にするという申請であつたのでありますが、京都市の公安委員会におきましては会場を二条城前にすることの声明を発表しまして態度を明らかにいたしますると共に、整理員とか、ジグザグ行進、解散時における交通警察官との協力、戎器、凶器の携帯禁止等について自主的統制によつて円滑に行うことを条件として許可をいたしたわけであります。実行委員会におきましては、更に4月30日最終会議におきまして、全官公系と激論の末、漸く二条城前を会場とすることに決定した模様であります。

このメーデー前夜祭といたしまして4月27日に自由労組の会合、4月30日の実行委員会傘下労組の円山音楽堂での集合等がございましたが、これらはいずれも平穏裡に終了いたしておりましたが、朝鮮人とか左派の学生、自労尖鋭分子の特異な動向として種々の、以下申上げまするような情報が入手されておつたようであります。

先ず朝鮮人につきましては、メーデー当日は一戦を交えることを予期いたし、白鉢巻、白襷をかけ、全員プラカード、目潰し、パチンコ、竹槍を作り、これに旗を付けておくように準備しておるというような情報、又極左系学生の間におきましては4月30日の学生大会の席上において、メーデー当日は警察無電カーに火焔びんを投げ付けようというような指令をいたしたというような情報、又自労関係におきましては目潰しを使用する。中闘の指令は、メーデー当日は50名くらいの犠牲者は出る覚悟である。今年は思い切つて暴れるというようなことを申しておるというような情報もあつたわけであります。

次に警察の措置でございまするが、京都市警におきましては以上のような状況から警察隊との正面衝突が予想されるようになりましたので、4月29日に緊急会議を開きまして、市警全員を動員して警備に当ることとし、制服隊2125名を4個連隊に編成、御所周辺、二条城前から府庁、市役所から河原町、四条の繁華街、円山公園を中心とする一帯に配置いたしまするほか、私服隊相当数を配置して警備に当ることといたしたわけであります。

次に当日の状況でございまするが、二条城前の広場の会場には午前10時頃から続々と詰めかけまして、1時30分頃には参加者約2万数1000名になつたと思いますが、そういうことで予定通り開会をいたしたいのでありまするが、極左系の妨害に統制が乱れまして議場が紛糾し、一部の尖鋭分子は壇上に駈け上つてマイク線を切るなどの混乱を生じ、議事が全く停頓するに至つたわけであります。こうしておる時に一部労組の間ではこの会議を見捨てて単独に行進を始めるというようなことに相成りましたために、大会は止むなく閉会としまして行進に移つたような状況でございます。

デモ隊の先頭は自労がとりまして3キロに亘る行進が開始されたわけでありまするが、共産党員10数名はトラツクに乗りまして終始行進の全列を廻つてアカハタの発刊とか、日共は大衆の先頭に立つて闘うという宣伝を行い、又朝鮮人は金日成の肖像画とか北鮮旗を掲げ、朝鮮人、学生等の赤旗の竿は竹槍様の先を尖らしたものであつたということであります。なお別働隊といたしまして、午前10時半頃立命館大学に集合いたしました学生約400名、京都大学内でデモを始めておりました学生約60名、人文学園の学生約200名は、いずれも府庁周辺で本隊のデモ隊に合流いたしておるわけであります。

次に騒乱の状況でございますが、先ず最初に起りましたのが府庁前の乱闘でございます。午後1時頃自労約700名を先頭に、学生隊約1300名が続き、府庁正面前に差しかかりますと同時にジグジグ行進に移りまして、国警隊長官舎前に停車したトラツクの上から大山郁夫、木俣秋水、梅林信一氏らがデモ隊に声援いたし、メーデー歌、赤旗、プラカードの波の中でデモがいよいよ高潮に達したのでありますが、かような状況下に学生隊に続きまして北鮮の金日成の肖像画を押し立てた北鮮旗数旒を靡かせて朝鮮人が約700名到着をいたしまして、青年行動隊と思われまする数10名の元気のいいものを先頭に、いずれも2尺余りの角棒を提げ、極端に熱狂化いたしまして無秩序な行動に出たわけでございます。そこで府庁前の広場で渦巻となりまして、暴徒的な様相を現わして参つたのでありますが、この時に同志社大学の学生たちも加わりまして喧躁を極めまして、警察隊がデモ隊を予定コースにのせ、御所のほうへの侵入を防止する警備態勢を布いておりましたのに対しまして、角棒を以て滅多打ちに殴り込みをかけ、或いはラムネの空瓶であるとか、小石等を投げたのでございます。これが約30分間に亘りまして波状的に繰返して来たのでありますが、警察隊はトラツク3台を持ちましてこの警戒線を補強したためにようやく平静化するに至つておるわけであります。この乱闘に際しまして警察側は6名、一般人側が1名負傷をいたしております。

次に民団本部の襲撃が行われたわけでありますが、午後1時30分頃でありまして、丸太町通りの民団京都府本部前に北鮮旗を掲げました朝鮮人団がジグザグ行進を始めたのであります。これを制止いたしました警察隊と押合いを始めまして学童が用意していた石を本部の建物に投げ付け、青年行動隊と思われるものを中心に約30名が事務所内に乱入して暴行を働きましたので、この際2名を検挙いたしております。こういうことのために同事務所は2階窓ガラス22枚、表入口の扉のガラス4枚、机2脚が破壊され、警察官7名がここで負傷をいたしておるわけであります。

次に鳥丸丸太町巡査派出所の襲撃でございますが、午後1時20分頃京大生約600名が突然デモの本隊から離れまして御所に向おうといたしましたので交通整理の巡査がこれを阻止しようといたしまして約15分間揉み合つたのでありますが、この混乱の際に民団襲撃事件被疑者2名を同派出所に連行して来たところ、朝鮮人約200名がこれが奪還のために襲撃をいたして参り、空びんを投げ込み又は竹槍、プラカードを以て攻撃し大乱闘と相成つたわけであります。約20分後にようやくこれを押返したわけでありますが、この際派出所窓ガラス、障子4枚を破壊されるほかサイド・カー1台が大破し、警察官10名が負傷をいたしております。

次に京都地方裁判所前の乱闘でありますが、烏丸丸太町派出所襲撃の余勢で興奮いたしました朝鮮人及び日共グループの一隊約250名は午後1時20分頃京都地方裁判所前で気勢を挙げまして裁判所構内に侵入しようといたしましたのでこれを押返しましたところ、返転いたしまして御所内になだれ込もうとする気勢を示して警察隊と衝突し約20分に亘つて乱闘となつたわけでありますが、御所内への侵入はこれを防止し得たわけであります。この際警察官約30名が負傷をいたしましたが、国鉄、自労のプラカード6本を押収いたしております。

次は市役所の襲撃でありますが、午後2時30分頃デモの先頭の自労学生、朝鮮人団体約2000名の集団となりましてジグザグ行進の端を作つたわけでありますが、折から警備態勢の手薄に乗じたと申しましようか、市庁舎に投石をいたしたり、或いはプラカードの柄や旗竿等で攻撃をいたしまして正面玄関扉の大きいガラス14枚、市長室ほか1、2階のガラス50数枚、そのほか電灯グローブ10箇、ブラケツト電灯2箇、丸型電気時計1箇を破壊し、玄関前に掲げてありました講和発効を祝う日章旗2旒を引倒して奪取いたしたわけであります。この際に国民救援会等の極左系のもののトラツクから投擲用の石つぶてを補給しておつたような状況も見られたわけでございます。

次に河原町通りの衝突でございますが、河原町通り三条、四条間は市内でも最も目抜きの繁華街でございますが、午後2時半頃自労に引続きまする学生隊がジグザグ行進を始め三条から四条に至る約400メーターは一時交通が全く杜絶する状態になりましたので、警察隊は予定のコースに戻すために道路の東側に向わせようといたしましたところ、デモ隊の一団は交通整理の警察官に投石をいたし、警察隊にプラカード、棒切れを振りかざして攻撃をいたして参り、一部警察官を捲き込んで暴行を加えるなどいたしたのであります。ここに約40分間を要しまして漸く正常に服したのでありますが、この際警察官42名が負傷をいたしております。この現場におきまして1名を逮捕し、日共の立大細胞の赤旗1旒を押収いたしております。

次が四条大橋巡査派出所の襲撃でございますが、午後3時25分頃木屋町附近で朝鮮人団体は四条大橋の警ら派出所に対しまして示威を行い、木屋町大橋間が歩車道の区別なく充満いたして一般の交通を阻止いたしましたので、警察隊がコース規制を行おうとするのに対しまして攻撃をして参り、派出所に向つて旗竿を投げ、投石する等の暴挙に出たわけであります。ここで6名の者を検挙いたしております。この際警察官12名の負傷者を出しておるわけであります。

次に祇園石段下の乱闘でございますが、午後3時半頃京大生を先頭といたしまする学生隊約1300名は解散地点の円山公園に入りまする祇園石段下に到着したのでありますが、学生隊中最も尖鋭な約50名が石段下の南側の東大路を遮断しておりました警察隊に突入いたしますると共に、自労の一隊が反転してこれに加わりまして警察隊と正面衝突となつたのでありますが、石段下からは朝鮮人を主力とする約30名が警察隊の背面から怒号、喊声を挙げまして迫り、更に朝鮮人の女、子供を主とする別働隊70名が石、棒切れ等を雨、あられのごとく投げつけ、数次に亘つて押しつ押されつ繰返しをいたしたわけでありますが、警察隊の一部も止むなく後退せざるを得ないような状況を呈したわけでございます。そこで警察としましては止むを得ず遂に催涙ガス筒2個を投擲しまして漸く暴徒を四散さしたのでありますが、この間交通は全く杜絶いたしまして約40台の市電が停車しておつたわけであります。この現場におきまして1名を検挙いたしましたが、警察側の負傷は124名の多きに達しまして、一般人1名もここで負傷をいたしております。又この渦中にありまして駐留軍の乗用車等も破壊をされているような状況でございます。

次に円山公園の紛糾でございますが、デモの解散地でありまする円山公園におきまする流れ解散の警戒のために警察官1個中隊が待機しておりましたところへ、午後4時頃デモ隊は陸続として到着し、いずれも疲労のため休息をとつておりましたが、突然自労、学生、朝鮮人を一団とする約1000名が警察隊に近接をして参りまして、これをアジリ始めましたので、たまたまこれら一団の模様を写真に撮影しようとした高等学校の生徒に対して暴行を加えようといたしました者を阻止しようといたしまして1個分隊を派しましたところ、派遣警察隊を包囲する気配が見えましたので、中隊全員が出動いたしたわけであります。ところがやにわに目つぶしを投げ攻撃を加え、背後の築山からはラムネの空びん、石、棒切れ等を投げつけ再び乱闘と相成りましたので、止むなく中隊長は銃を出せ、進めという号令をいたしまして威嚇いたしましたため、これに恐れて一団は約40メールほど後退をいたしましたが、警察の側におきまして発射しないということがわかりますると、再びラムネの空瓶、石、棒切れ等のあらゆる器物を投げかけまして反撃して参り、警察隊に負傷者を出し始めたわけであります。ここに止むなく催涙ガス筒4個を投擲して四散させたわけであります。このときに日共グループのほうにおきましてトラツクを公園内に入れましてスピーカーで催涙ガス弾使用を非難しておりましたが、彼等はガスの有効範囲の外に逃れまして警察官を遠巻きにして動きません。そういうことで対峙の姿勢にありましたが、中に入る者がございまして、解散をするからガス弾使用をしないようにというような申入れがあつたわけでありますが、徒らに時間が経過して解散の模様がない。そうして対峙の形が続きまするところから警察隊としてはいろいろ苦慮をいたしておつたのでありますが、そこに応援の警察官が漸く到着をいたしまして実力を以て押し出しまして漸く解散させることができたわけであります。この間約2時間ほど経過しておりますがこの現場におきまして2名の被疑者を逮捕いたしておるわけであります。

更に五条、七条の両所に対しまする検挙者奪還のための圧力をかけて参つた事実がございます。五条署におきましては河原町、四条大橋附近で検挙いたしました被疑者6名を取調べをいたしておつたわけでありますが、学生を中心としまする約50名が赤旗を掲げましてトラツクで押しかけると共に更に約300名の一団が同署に押し寄せまして乱入せんとする状態となりましたが、午後8時半頃漸くこれを解散さしております。この際7名を逮捕いたしておるわけであります。七条署におきましては河原町三条附近で検挙いたしました1名を取調べ中でありましたが、午後4時半頃立大法学部の教授の西村信雄ほか3名が参りまして釈放要求をしておりましたところへ、社大生約40名が押しかけまして署内に侵入いたしましたので、署員がれを阻止して午後6時過ぎ頃に漸く解散させたのでありますがこの際2名を逮捕いたしておるわけであります。

事後におきまする警察措置といたしましては午後6時半までには円山公園で実力解散させましたデモ隊もおおむね帰途につきまして、五条、七条署の釈放要求も午後8時半頃には大体解散いたしまして事態は平静に復しまとたので、午後9時半頃には警備態勢も解除いたしたのでありまするが、市民に与えた衝撃が少なくないと思われましたので、デモの沿線を中心とする一団を、パトロールカーによつて警邏し警戒のかたわら放送によりまして当日の実情を市民に知らしめる等の方法をとつた模様でございます。

被害の状況でございますが、人的被害としましては警察官の重傷13名、軽傷332名、合計345名ということになつております。なお本事件におきまして現場におきまして逮捕いたしました者は62名でございまして、そのうち証拠不十分な者等を釈放いたし、立件送致をいたしました者が12名でございます。

以上京都の事件について御説明を終ります。





昭和27年05月10日 衆議院 本会議
[035]
日本共産党 横田甚太郎
自由党よ、恥を知るなら、世界をすなおに見ろ。世界では、米国に対立し、自由党がきらう政権のもとにおいてこそ、ソ連、新中国の電源は開発され、河川は改修され、人民の自主権は回復され、国勢は隆々と盛り上つているではないか。

モスクワに建つた科学の殿堂、モスクワ大学のことを知つているか。平和と幸福のために自然を改造するスターリン共産主義大自然改造計画の偉容を知つているか。

蒋政権下、60億ドルの米資で動員されなかつた中国人民が、人民政権のもとでは、淮河治水に200数十万の動員に成功し、河は治まり、農工業は栄えつつある現状に眼をつぶるのか。

この人民政権と国富のもとに招く世界経済会議には参加させぬと、アメリカ政府と日本政府が共産主義者を監視続けていても、温厚篤実、日本の未来のために考える緑風会の高良氏と、改進党の宮腰氏や、実業界の帆足氏は、モスクワの空から、日本のメーデーに祝電を打つて来ているではないか。

現下日本では、治安を乱す人々と呼ばれ、中核自衛隊、パルチザン、ゲリラ、人民軍と悪く宣伝されている人々こそが、世界のどこかで政権をにぎつたとき、皮肉にも電気文化の花を咲かせ、アメリカの侵略を一歩も入れぬ驚異的治世をやつている事実のみが証明されているではないか。





昭和27年05月17日 衆議院 行政監察特別委員会
[005]
委員長 内藤隆
5月1日の皇居前広場騒擾事件に関しまして、事前の計画が3月の中ごろから立てられ、4月に入つてから具体的の準備が都内共産系の組織で進められていたといわれておりますが、特審局側では事前計画についてどのような情報を入手しておられましたか、その点をひとつお述べ願います。

[006]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。

5月1日、皇居前広場で行われた騒擾事件につきましては、私どもといたしましては、次のような事前の情報を得ていたわけでございます。その内容を簡単に申し上げますと、4月の中旬前後におきましては、一部の破壊的な左翼分子は、統一メーデーを強力に推進するとともに、このメーデー行事を機会として、あるいは東京都内の警察署あるいは交番等を襲撃するというような情報がありました。ところが4月の末ごろになりましてから、次のような情報が入手されたわけであります。メーデーに対しては、敵は消防隊をも動員、大がかりな弾圧の態勢を組むであろう。われわれはメーデーを防衛する強力な戦闘態勢を組む必要がある。1は労組大衆団体の大衆的扇動指導部の設立、2は機関としての指導部の確立、現地における指導その他について、そして3にはメーデー各参加団体に行動隊、自衛隊を大衆運動として組織させる。特に青年、学生、民戦、日鮮行動隊その他を結集して中央大会自衛隊、各地区自衛隊をつくるというような情報がありました。

さらに4月の30日になりまして、次のような情報が入手されたのであります。

大会終了後、日比谷公園にデモる。中央部隊は実力を行使して人民広場に行進を強行する。これには敵がある程度感づいて警備力を重点的に向ける気配がある、相当の犠牲が出ると思うが、敢行することにきまつた。実行の指導は党の軍事委員が当る。軍事委員会の連中は中部のデモに参加する組織に対し、中核自衛隊の編成に狂奔している。行動隊は今晩中に編制整備されよう。かような情報を入手したのであります。

[007]
委員長 内藤隆
あなたの証言中にもありましたが、全学連あるいは都学連、北鮮系の朝鮮人、これは祖防委員会といわれておりますが、この組織がメーデーに対する暴力計画をしておつたということは、大体において想像はつくのですが、こういう暴力計画等も、やはり情報を入手しておられたわけですね。

[008]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
ただいま申し上げた情報は、これらのものの中の破壊的な分子の動向を示すものと考えております。

[009]
委員長 内藤隆
さような情報が入つておる以上は、特審局としては、メーデーの事前において、警備を実施する機関と打合せをしておるか、あるいはその情報をこれら各種機関に流しておられたと思いますが、その間の事情を御説明願います。

[010]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答え申します。メーデー行事にからんで、一部の左翼破壊分子の動向につきましては、きわめて深甚な注意をもつて情報収集をいたしておりまして、ただいま申しましたような情報は、逐一関係治安機関に通達しております。特に4月30日の情報につきましては、私がこれを調査部長に命じまして、東京警視庁その他各治安機関に通達させました。



[012]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
さらに進みまして5月6日付の文書には、その末尾に、中核自衛隊の問題といたしまして、

(イ)といたしまして
「参加した大衆はプラカードの柄、旗竿で武装した、広場の石は堀り起され、一斉に武器の必要を訴え、現地での武装強化(ビンなど)に一致して発力した。」

(ロ)としまして、
「1時間半にわたる広場内の遊撃戦術で3回の突撃を行い、敵を翻弄した、敵の催涙弾を投げ返すなど大衆の勇散な創意性が発揮された。」

(ハ)としまして、
「風上にあたる唯一の入口祝田門は大衆とデモ隊が占領し続け、敵を広場の中へ包囲したこと。」

(ニ)としまして、
「公園を根拠地として約3時間にわたり市街遊撃戦を闘つたこと。新しい創意で高級自動車が次々とひつくり返され、1本のマッチで炎上させていること。占領軍ビルの攻撃、このすばらしい創意と経験、戦術能力は深く学ぶ必要がある。

味方の志気は旺盛で、敵はひるんでいたにもかかわらず、最も問題のあつたのは、行動の指導が立ち遅れたことである。中核行動隊はまだ訓練されていないために、最後まで隊として闘うことができなかつた。行動の統制は局部的にしかとり得ず、全体がすばらしい行動力を示しながら統制がとれなかつた。これが組織され訓練された行動中核隊を通じて系統的に指導されたならば、成果は飛躍的に拡大されたことは明らかである。

大衆は強固な組織を望み、掌握下に入るものである。大衆行動の指導に当る全党員は常にこの思想的、組織的準備を強化しなければならない。特に南部の民族独立行動隊の成果を生かし、明確な目的の意識のもとに強化拡大し、地区的結集をはかり、これが五・三〇の大衆行動の主体となる。

また大衆が疲れを見せ、敵の攻撃にひるんだとき、行動中核隊はその志気を鼓舞し、隊伍を整えるために大衆の勇気を振い起す宣伝、扇動の行動隊とならなければならない。宣伝、扇動の行動隊となつて闘争の政治的発展の中核となるためには、政治訓練の不足を克服する必要があり、実残的数育が計画される必要がある。」

というようなことが書き出されているのであります。

[013]
委員長 内藤隆
相当詳細に情報を得ておられるようですが、その情報を聞きますと、日本共産党は共産主義国家群の一環として、人民政府樹立を最終の目的として、あらゆる政治活動、軍事活動を開始しておるという情報なり実情が相当に入つておるのですが、今日のメーデーの騒擾事件は、その具体的な一つの事例として見ることができるかどうか、この点について御説明を願いたい。

[014]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。かような左翼破壊分子の団体的活動が行われている疑いはきわめて深いのでありまして、これにつきましては目下関係機関と協力して、その実態につき調査を進めている次第であります。

つまりこの破壊的な団体が、委員長御質問のような、日本共産党と関連性ありやいなやという点につきましても、われわれとしては関係機関と協力して調査を進めている次第であります。

[015]
委員長 内藤隆
調査を進めておるので、日本共産党との関係があるのかどうかということの的確な証言はできない、こういう意味ですな。

[016]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
疑いをもつて調査を進めておりますが、まだ最終の結論には達しておりません。

[017]
委員長 内藤隆
メーデーの騒擾事件にかんがみまして、情報の収集と、それから警備実施の有機的一元化につきまして、現行の機構並びに法規で、局長としてあなたは十分であるとお思いでしようか、その点について御説明を願いたい。

[018]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。私どもといたしましては、与えられた組織、態勢、機構を活用いたしまして、最大限度の能率を発揮しなければならないというために、国警、自警とも緊密な連絡をとりまして、その能率の向上に努めておるのでございます。現行の機構、態勢におきましても、さらに格段の能率を発揮し得る余地ありとは考えております。

[019]
委員長 内藤隆
この騒擾事件の主動をなしたと見られております全学連あるいは北鮮糸の朝鮮人の団体に対しまして、特審局としてはどういう処置、対策を考えておいでになりますか。

[020]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。目下これらの団体につきましては調査中でありまして、最終の結論は出ておりません。全学連につきましては、御承知の通り団体等規正令によりまして、都道府県単位以上の連合組織につきましては、政治団体として届出をさせまして、その動向はこれを監視いたしておる次第であります。一部破壊的な鮮人の団体的活動につきましては目下調査中であります。

[021]
委員長 内藤隆
調査中ということですから、あまり深くは聞かないことにしますが、要するに全学連というものは共産党の細胞組織であつて、しかも前衛的務めをしておる。それからまた北鮮系の鮮人も、広島なり京都なりのあの騒擾を見ますと、やはりその前衛隊としての活動をしておるのです。

かような破壊分子の団体的存在、あるいはそういう人々を国内に置くということは、日本の治安の上に重大な問題であると考えております。特審局としては全学連等に対して解散を命ずるの権限がないでしよう、あるいはまた北鮮系の鮮人に対してこれを強制送還するようなこともないでしようが、しかし特審局が調べたその材料を基礎として、それぞれの各機関に善処方を要望するお気持はあるかどうか、この点をお伺いいたします。

[022]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。委員長お尋ねの措置につきましては、政府最高首脳部の御決定になることであると思います。私どもといたしましては、その実体を的確に把握するということが何よりも必要である、この見地に立ちまして調査を進めておる次第であります。



[083]
改進党 椎熊三郎
実は私ども他の委員会で、これに関係した委員会が国会にはいろいろあるのですが、この方面で聞いておるところによると、終戦後密航した者の中に北鮮の軍籍を持つ者、軍事専門家が多数入つて来ておる、それらが入つて来て後、日共における軍事行動の指導というものが非常に活発になつて、それらの訓練等は、主としてこれらの手によつて具体的に行われておるということを聞いておるのです。

そういう事実が実際にあるのかどうか。またあなた方の調査の結果、あるいはまた実際に検挙した者の中に、そういう種類の者があつたかどうか。

[084]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答え申し上げます。現在日本におきましては、在日鮮人の組織として民戦、祖防の2つの団体がある疑いがあります。この祖防には中核自衛隊が結成されつつあり、非常に極端な過激な行動隊組織を持つ疑いがあります。

そしてただいま御質問のような、北鮮系の軍人が国内に潜入して、こういう運動の指導に当つているのではないか、これは情報がございます。調査中であります。

[085]
改進党 椎熊三郎
このごろいろいろ不穏当と思われる共産党の……。
〔発言する者あり〕

[086]
委員長 内藤隆
静粛に願います。

[087]
改進党 椎熊三郎
共産党の名によつてなされておる指令のようなものを、まま私ども証拠品として見せつけられておる。国会におる卑怯未練な共産党などは、これは日本共産党でないということを言いたがつておる。

私もこれらのような卑怯な――は、これには関係ないだろうと思う。

私思うのに、これらの人というものは、地下に潜行しておる日本共産党の本流を流れる、本質を行つておる者の手によつてなされておる指導であつて、こんな者がしておる指令ではないと思います。

しかしながらその地下に潜行しておる、本流を行つておる共産党の中に、8名からなるかつて共産党の指導者、幹部であつた者が、いまだ検挙されておらぬ。徳田球一、野坂參三等これらであります。それらがこの指令に関係しておると思われるような証拠があるかどうか。

[088]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
先般コミンフオルムの機関紙に……。
〔発言する者多し〕

[089]
委員長 内藤隆
答弁が聞えませんから、静粛に願います。

[090]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
コミンフオルムの機関紙に徳田球一名の論文が出ました。いわゆる五全協なるものの会議で決定したと称せられる新綱領の説明を述べております。かような事実からして、これらの諸君が、こういうような活動に関与されているのではないかという疑いを持つ根拠があるものと考えます。

[091]
改進党 椎熊三郎
大体私もそういうことを承つておつたので、明確に御証言を得たが、徳田球一の名によつて、そういうことは世界に公表せられておる。従つてこれらが潜行して、地下にあつて指令を出しておることは間違いない。

私ども議会から見ると、それらの行動こそは日本共産党の行動であつて、仮面をかぶつて、この辺をうろうろしておるのは、共産党と称する日本の国会議員ではあろうが、役に立たぬ――――だけが来ておるのであつて、追放になることもできぬような――が来ているのだと解釈しておる。

それですから、あなたはこの証言台に立たれましても、それらがままあなたの発言に批判を加えたり、妨害をしたりしても、そんなことでもしておかないと、党へ帰つて叱られる――なんですから、これを気にしないで、自由なる御発言を願いたいと思います。





昭和27年05月24日 参議院 法務委員会
[088]
政府委員(法務府特別審査局長) 吉河光貞
これはすでにお手許に御配付申上げておりますが、衆議院におきましても提出いたしました各般の客観的な文書資料の写しによつても明らかなところであります。又法務総裁の提案理由におきましても今日各所において行われている暴力主義的な事件の背後にこれを扇動したり或いはひいては武装暴動によりまして、日本の政府を顛覆させることの正当なことや、必要なことを主張宣伝するような文書、或いはかような武装行動の準備的な訓練として各種の暴力的な行動を扇動するような文書が広汎且つ組織的に配付されている疑いがあるのであります。

かような事実を基にして考えてみますときに、そこに暴力主義的な破壊活動を行う団体の存在を疑わざるを得ない。かような事態がこの法案を必要ならしめる理由であるというように法務総裁からも申上げた次第であります。



[106]
政府委員(法務府特別審査局長) 吉河光貞
次に大事件があつた前後にいろいろな情報が、資料が出るという点についてはどうかという御質問でございますが、先般行政監察委員会に、衆議院の行政監察委員会に私が喚ばれまして、メーデー事件に関するいろいろな問題につきまして委員の各位から御質問を受けました。そのときに私としては、事前には情報を得た。これは皇居前広場で集団デモをかける、而もいろいろな兇器を持つて行くというような情報もありました。こういう情報を得たということをはつきり申上げておきます。

又事後におきましては、Vノートという資料が手に入りました。そうしてそれが皇居前広場の事件について、あそこに中核自衛隊を入れて暴れさしたけれども、どうもうまく行かなかつた、まだ訓練が足りなかつたというようないろいろ細かなことを書いて、あの事件の批判をしているような文書が出ております。そういうような点につきましても御報告申上げたのであります。それは私どものほうで入手したものでございます。





昭和27年05月26日 参議院 法務委員会
[000]
会議録情報
本日の会議に付した事件
○破壊活動防止法案(内閣提出、衆議院送付)
○公安調査庁設置法案(内閣提出、衆議院送付)
○公安審査委員会設置法案(内閣提出、衆議院送付)



[003]
委員長 小野義夫
破防法を中心にいたしまして、破防法に関する先生の御意見を拝聴いたしたいと思います。委員各位それでよろしうございますか。

〔「結構でございます」と呼ぶ者あり〕



[078]
公述人(弁護士) 鈴木多人
私は単なる弁護士としてでなく日本弁護士協会の代表といたしまして発言したいと思うのであります。

60年の人権擁護に輝く伝統を持つ我が協会が数10回の調査研究の結果、ここに総合員の総意を体して大乗的見地から結論を見出して、4月の22日に賛成することを決議、これを公表いたしました。

私は30年の弁護士生活の体験と知識から、殊に弁護士の使命が基本的人権の擁護、社会正義の実現のために、先ず以て社会治安の維持と法律制度の改善に貢献すべく、衷情以て本問題を討議したいと思うのであります。

先ず本法は自由民主国家としての独立した日本が置かれておる現下の内外客観的情勢下、国家の健全な興隆を企図して、社会秩序を維持し、国民全体の公共の安全と福祉を確持し且つ保障するため緊急止むを得ない最小限度の立法だと思うのであります。

コミンフオルムの指導によるところの日共の中央委員会、軍事委員会等、最高司令部から幾段階かに分れた統率ある組織によつて中核自衛隊とか、或いは抵抗闘争パルチザンなど戦略戦術があたかも軍隊組織体制を整備されて、すでに破壊活動に着手し、暴力革命の推進に寧日なく、昨年2月の第四回全協、10月の五全協、これらによつて軍事方針が確立され、公共機関、公務員を対象として各所に武器の奪取、或いは権力反抗等々が行われております。

これら破壊活動はその行動態様において相共通するものがあることは見逃し得ません。この行動を憂慮し、人心の不安動揺をこのままで静観し得ましようか。

去る5月1日、メーデーの好機をつかまえて皇居前に無辜の国民さえ道連れにして、白昼公然而も各国人の環視の前に市街戦にひとしいあの破壊活動は、一体このままで手を拱いていていいでありましようか。第2、第3の不祥事が近きうちに起きないと何人が保証し得ましようや。この現実の炳たる事実にさえ彼らは反省の色がなく、ますます増長して反動政府、反動官憲がみずから計画実行したものと宣伝しておるのであります。

これらこそ無辜の而も純真な勤労大衆を扇動或いは教唆し、あの現場を見ました者の多くが一体これでいいのか、このままで日本の将来はどうなるのかと悲憤慷慨しないものがありますか。ここにおいてか抜本塞源の処置を講じねば社会不安の除去は困難であります。あの問題についても一部の者或いは同調者或いはためにせんとする者はいろいろな批判をしております。

この種の極左破壊活動の防止のためからいたしましても、被害の予防のためからいたしましても、本法の成立は誠に焦眉の急であります。

(後略)

[079]
日本社会党(社会民主党) 伊藤修
私は質問をするわけではありませんが、只今の公述人のかたが日本弁護士連合会を代表してという御意見でありましたのですが、当委員会は代表といたしまして島田武夫氏を御推薦申上げて明日公述を願うことになつているのですが。

[080]
公述人(弁護士) 鈴木多人
私は日本弁護士連合会とは申上げません。日本弁護士協会の会員の意を体してと申上げました、会が違うのであります。

[081]
日本社会党(社会民主党) 伊藤修
あなたは日本弁護士連合会ではなくて、日本弁護士協会の会員の意を体してと、こういうふうに伺つてよろしいのですか。

[082]
公述人(弁護士) 鈴木多人
はあ。もう少し具体的に申上げますれば、この決議案を作成した過程や何か申上げてもよろしいのですが、会が違います。





昭和27年05月28日 衆議院 行政監察特別委員会
[006]
日本共産党 山口武秀
中間報告書は、前に配付されましたのが、本日またあらためて訂正されたものとして配付されまして、これを十分に検討するに必要な時間的余裕を持ち得なかつたことを、きわめて遺憾とするものであります。

(中略)

さらに、この内容について申し上げますが、先ほど申しましたように、日共と事件というものを、何らの論理も証明もなくて、断定的に結びつけているということ。さらに、栄養分析表というような言葉を使つてありますが、栄養分析表が日本共産党の秘密出版物である、これは一体どこでこのような断定を下すのか。

かりにそうだとしても、当委員会がこのような断定を下していいものかどうか。もつと論拠を明確にする立場をとるべきじやないか。ほかの一切の政府の機関が不法なことをしようとも、当委員会としては、最も厳正な立場であるべきじやなかろうか。当委員会みずからが、そういうようなルールを破るということでは、当委員会のためにきわめて遺憾であるし、このようなことに反対せざるを得ない。

さらに、メーデー事件におきまして、人民広場の奪還という問題が、共産系の分子の目標だということを言つておりますが、これも独善もはなはだしい。メーデーの大会におきましては、人民広場の奪還ということは、参加者数10万の大衆が満場一致で決議している事項である。これを共産党だけを目標としてこね上げをするようなことに対して、これは意識的に政府の政策を守り、あるいはアメリカの支配を強化するというような目的からこの結論が書かれたのではないか、このように考えられるのであります。

(中略)

調査状況の一方的なでつち上げだということ、当委員会のあり方から見ましても、この問題は承服しがたいということ、そのような意味におきまして、さらにこれは中間報告でありますので、最終報告が出ると思いますが、私の討論は最終報告の際に本来のものは譲るといたしまして、それだけの理由をもちまして反対いたしておきます。

[007]
委員長 内藤隆
田渕光一君。

[008]
自由党(自由民主党) 田渕光一
ただいま日本共産党を代表して山口君から、(「代表してと言わんぞ」と呼ぶ者あり)代表じやないのか――代表でなく、山口君から反対の討論がございましたが、反対の理由として、当委員会が厳正公平の立場を欠いており、一方的な独断というような御論旨でありましたが、当委員会としては、最も厳正公平にあらゆる資料を集めて科学的に、論理的に進めた結果、中間報告ができたものであることは、数回の証人の取調べ、あるいは当委員会に出されたところの証拠物件等において明らかであります。

あたかも日本共産党が関係ないがごとき白々しいことを言つておりますが、これこそ盗人たけだけしいというものでありましてあの証拠物件中、日本共産党中野地区委員会というところの赤旗、あの赤旗の3メートル近いさおの先に30センチないし40センチの金具がつけられておつたことも事実であります。また暴行に用いられたところのあらゆる物件におきましても、日本共産党何々地区委員会というものがはつきりいたしております。

もちろん証人はいずれも治安当局の関係者であり、ことに事案がただいま取調べ中でありますから、疑つて調べているという以外に証言はできなかつたと思いますが、本年の1月21日札幌の白鳥事件以後ずつと全国的に起りました事件は、すなわち日本共産党の秘密出版物である「球根栽培法」さらに「栄養分析表」というものによつて、日本共産党の地区委員会がこれを指導し、地方細胞がこれによつて中核自衛隊を行動させていることは、明瞭になつておるのであります。

これを捜査過程において、治安当局の証人といたしまして、断定的なことは下されないのはもちろんであります。しかしながらわれわれが慎重に調べました結果、最も公平厳正の態度から、当委員会としての品位の保持上、あるいは権威上、こういう中間報告を作成いたしたのであります。かような意味で、決して共産党の反対するがごとき、人民広場を奪還することを数10万の者が決議をいたしておると申しておりますが、ただメーデー当日に外苑において、こんとんとしてマイクを奪取してしまつた、一般大衆に徹しないところにおいて、2、3の者がただ放言したにすぎないのであります。それがゆえに、あのデモ隊が、約20万と称せられておりますが、東、西、南、北、中央の5班にわかれて分散行動いたしまして、これが完全に終つておるということを見ましても、決して大衆は人民広場を奪還しようというようなメーデーでなかつたということは事実であります。ことに日比谷の解散後において、全学連並びに自由労組、北鮮系尖鋭分子の扇動によつてこれをやつたということは事実でありまして、中間報告の通りであります。

かような意味におきまして、山口君がいろいろ根拠なきことをもつてことさらに反対いたしておりまするが、数回の調査によつて明瞭でありまして、この委員会の中間報告に私は賛成いたすものであります。





昭和27年06月10日 衆議院 行政監察特別委員会
[236]
委員長 内藤隆
今年5月7日の夜にあなたの学校で起きました事件については、先ごろ来検察庁当局の話を大体お伺いしたのですが、当委員会の事務局の調べでは、大学側と警察側との見解の対立があるようでありまするが、学長としてこの事件に関する大学側の、検察庁側と違つておるような立場の御主張をお述べ願いたいと思います。

[237]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
5月7日の夜11時半ごろ、学生と警官2名とが衝突したことはこれは事実であります。それが、学校の入口から見れば一番奥深いところの東南端のやぶのそばで起きたことも、これも事実であります。それから学生が逃げて、しばらくして相当の学生が集まつて来て、今度は警官が逃げ、1人はつかまり、その後学校の補導部長がそのつかまつておる際に出かけまして、そういうことをしてはいかぬ、早く帰せということを諭告したがために、学生はさらにその巡査を食堂につれて行つて、あかりのかんかんした下において相当尋問し、つるし上げをして、謝罪文を書かせ、ピストル、手帳を取上げて帰したこと、これも大体その通りだと思います。そうしてその際に学生の方では、ある事情のためにそのやぶのそばにおいて張番をしていたということも、これも事実です。

しかしその張番した事情は、先生の住宅がちようどそばにありまして、一棟の建物の中に約6家族ぐらいの先生が住んでおりました。そこの住宅の一部を見張つておつた、こういう事情だつたのであります。なぜ学生がそのような張番をしたかということを確かめたところが、それは今年の2月以後3月にかけて、特審局の名古屋支局の支局員と思われる特審局の役人から、学校の学生が手紙でスパイを頼まれて、そうしてスパイをしておつた。この事情が、その学生が自供したために、自治会のある種の人に、学生の仲間にわかりました。そこで学校内において特審局のスパイが横行しているという事情がわかつたので、学生は非常にいらいらしておりました。そこへ事件の起きる10日くらい前から、そこの住宅に住んでいるところの学校の職員のところに、どうも特審らしい者が連絡に来るといううわさがあつたのであります。そのうわさがあつたために学生は、それでは今晩はちやんと張番をしてそれを見届けよう。いつもそれは夜の11時ごろ帰るといううわさですから、まず10時半からそこへ3人くらいの者が張つた、こういうことです。ところが11時半くらいになつても、何も出て来ない。それでは帰ろうかと思つておるとき、まつたく意外な方面から、住宅でないところの、ほかの馬場の方面から巡査が2名やつて来た。こういうので、その衝突は両方とも非常に意外だつたと思います。学生の張つた事情は、そういうわけであります。

しかるに警察側は、その巡査が来たのは犯人を追行して入つたのだ、学生側はそんな犯人を追行して入つたものではない。それは現にぶつかつた所は、学校の門から5町も離れた遠い所であります。その間にはいろいろな人もおりましたが、巡査が通行したことを認めた人がない。ちようどその時刻はその門は相当往復があつたわけです。それに夜間通行する唯一の門でありますから、非常に通行がはげしかつた。ことに柔道部は合宿をして練習をしておりました。その結果、10時半まで柔道の練習をして、そうして着物を着かえて、北門を通つて外のおふろに行く、こういう事態もあつた。また学校の校庭には、2人くらいの女の人がおりまして、湯上りにそこで涼んで見ておつた。その際庭を通行した人はない。学校の側においても、巡査が北門から入つたものではないと考えた。北門から入つたものでないとすれば、学校は全部垣根をもつて囲まれている、またその他の門は夜は閉鎖して、巡視をして巡回させている場所でありますから、巡査は不法に侵入したものと認めざるを得ない。従つてこの点において警察は謝罪あるいは遺憾の意を表すべきものだ、ということを事件直後に申し込んでおるというような事態でありました。

しかるに検察庁がその点についてどういうふうに考えておるか、私どもわかりません。ただ衝突した状況、その衝突したというのは、11時半からして12時まで約30分、その間巡査がけがしたとか傷害ということはあつても、それはばんそうこうを3日くらい張つたくらいでなおつております。翌日の勤務にもさしつかえないような状態であります。大したことはない。そういうようなことも、しかし厳重な法規的な意味からいえば、犯罪になるでしよう。そういう点の調査に重点を置いておる。学校側は、むしろどこから入つたかということについて重点を置いてもらいたい、こう考えておるわけであります。その点に関する注意を検察庁に申し込んだこともあります。

その後検察庁の方においては、検証をしたいということでありますから、なるべく摩擦のないようにさせたいと思いまして、学生にも、裁判所の令状のもとにおいて検証するような場合においては、抵抗してはいかぬということをよく諭告しておきました。学生の方はその際には、無抵抗の抵抗である。その意味は、無抵抗というのは物理的には抵抗しない、しかしかくのごとき弾圧的なものに対しては、極力憎むのだ、精神的に抵抗するのだ、こういう意味において無抵抗の抵抗という言葉を使つているようでした。その検証も無事に済みましたし、またその次の逮捕の場合においても、700人ばかりの警官がまわりを囲んで、宿舎に入つて来て逮捕したことはあるけれども、物理的な抵抗、そういうことを受けることなしに、無事に済みました。これは学校側としては、最初の晩すでに、国警も動員して、あそこは市警ですが、国警も動員して学校のまわりを囲み、学内においては歩哨を出すという非常に不穏な形勢でありましたが、私は12時ころ学校に行きまして、そういうことはいかぬ、手帳とピストルは返しなさいということを話して、午前3時ごろ警察署長に、ピストルと手帳はあした返させるからということを電話しておきました。その晩は両方とも興奮状態であつて、そんなことを詳しく調べ上げる余裕はなかつた。その後検察庁の方において逮捕状の執行がありまして、あとは勾留期間内にそれぞれ調査したと見えて、私はきのう参りましたのですがきのうそのうち5人か4人が起訴されたという話でした。大体の経過から行くと、こんな状態になつております。

その後、学校内及び学外にある先生の住宅を家宅捜索した事実があります。それはおとといでしたかと思います。これは学校内の住宅も学校外の住宅も、先生に対しては学校は住宅を与えておるのであつて、学校が管理しておる寄宿舎とは違う。寄宿舎はわれわれがいつでも行つて入ることができますが、学内の住宅でも、その人たちに貸してある住宅ですから、いずれもその人たちに捜査令状を提示して、適法に捜査したと思つております。その後のことはあまり聞きません。

私はこの事件に関して数点、大学と警察との衝突の問題として新しいケースがあるということを申し上げておきたい。その1つは、検察庁が犯罪捜査に関して協力を申し込まれたことがある。それに対して大学がどの程度に協力すべきかということは、問題であると思います。それに関しては正式に書面で返事しておりますから、十分教育界でその問題に関して批判をしていただくだろうと私は考えております。学校としては、あいつが怪しいだろう、これが怪しいだろうといつて、学生の名前を指示したり、そういうことをすべきじやない、確たる証拠もあるわけではないのに、検察庁や警察の手先ではないところの学校は、そういうことに対してどの程度に協力をすべきかということは、おのずから教育者の批判かあることと思つております。

第2の点は、東京においてしばしば学校と警察とが問題を起しておりますが、検察庁が進んで捜査の主体になつて捜査しておることはないと思います。それは早稲田の事件でも、犯罪として捜査するならば、捜査できるはずです。そういうこともしていない。ただ、いなかにある大学のために、上部機構がはなはだ薄い。そういう結果、暫く冷却期間を置いて、だれか話してくれればいいということが、一つの考え方でもあつたろうが、今度の場合は、検察庁が非常に大事件のように思つて、捜査の主体になつて捜査しておる。これは司法当局が、そういうような学校と警察の問題に対して、そういう態度をとることはどうであるかということも、1つの批判の対象になるのではないかと思つております。

第3点は、特審局がその学校の学生をスパイに使う。こういう問題は、学校の教育から見ると非常に困つた問題です。学生に対してスパイをするようなことははずかしいことであるとわれわれは訓育しているのに、国費をもつて誘惑してそういうものを出すようなことは、私は教育の立場にあるものとして非常に困つておる。のみならず、学校内において学生相互に非常に信頼心がなくなる、あれはスパイじやないか、真実を語り、思うところを語つて論議して、そして研究し合うというのが学園であります。しかるにその中においてスパイがある。ほんとうのことも語れない、こういうことをやろうということも言えない、こういう状態にさせられるということは、学校として特審局に対してはなはだ不満の意を表さなければならないというふうに思つております。この3つのことが、今度のケースにおいて各方面の批判を受けなければならない事案ではないか、こう考えております。



[320]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
さつき学問の自由で、教授がいかなる政党へ入つておろうが、学生がいかなる政党へ入つておろうが、またいかなる研究をしておろうが、学長としては容喙すべきところでないとおつしやるこれは私はたいへんごもつともだと思いまするが、学問のために研究するということと、共産党員として活動するということとには、たいへんな差異があるのではないか、こう思います。

ことに今日の共産党はいかなる指令を出し、いかなる行動をしておるか、この点は御承知であろうと思いまするが、御承知かどうか。御承知であつて、今の共産党の指令し、やりつつあることは危険なものでないとお思いになつておられるかどうか。日本の今日の現状において許すべきことだとお思いになつておるか、許すべからざることだとお思いになつておるか、この点をお聞きしたい。

[321]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
私は共産党は、学生それから教授に対してどんな指令を出しているか、ちつとも知りません。また知る方法がない。もしおありになつたら、ひとつぜひ見せていただきたい、そう私は思います。そういう参考資料があつたら、早いところ各学校に資料を提供するのが、政治家あるいは行政に関係する者の任務ではないかと思つております。私は知りません。そうして共産党を合法の政党として認めている以上は、共産党によつて活動するのは何も悪くないと私は思つております。

[322]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
それはどうもまことに遺憾ですが、球根栽培法というものが、アカハタの後刊紙として、名前は球根栽培だが、実際は暴力革命の指令書である。これは文部省であなた方の方へそういうものを見せなかつたということは、私は非常に遺憾だと思うが、そこで中核自衛隊とは何ぞやというたら、暴力革命をやる中心活動体で、かようなものをやれと言つておる。

かようなものを現実に行えば、これは危険だとはお思いになりませんか。しかも暴力革命をやるときの非合法の手段をみな教えておるのです。御承知ないならばやむを得ない。もしそうであつたら、あなたは危険でないとお思いになりますか。

[323]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
私は球根栽培法というのは新聞で見ただけで、実物は見たことがないのです。もしおありだつたらみな配布していただきたいと思いますが、見たことはないのです。これは実際見たことないからなんで、うそではありませんから……。

それから暴力革命を正当とするというようなことは、私は一つも見ておりませんし、また今でも決して賛成しているわけではない。だからおそらく見てそういうことが書いてあれば、こんなことはいかぬということは言えるでしようけれども……。

[324]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
中核自衛隊というのは、暴力革命の第一線隊なんです。そして実行すべきことなんです。その実行はすべて非合法手段なんです。そして火炎びんを投げることから、敵の武器をとれとか、警官からピストルをとつてこれでやれということがみな書いてある。これは間違いありません。

あなたはこれだけのことを聞けば、そういうことをやろうとすれば、学生及び教授の身分でやるとすれば、容赦のならぬこととお思いになりますか、それとも自由だからいいとお思いになりますか。

[325]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
それは学生としてはいかぬと思います。それから教授としてもそういう暴力的なことをするというようなことは、もちろんいかぬことだと思います。

けれども私はそういうよう内容については、初めて聞いたことですから……。

[326]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
そこで、そこまでお思いになれば、あなたにひとつ特別懇意だから私は申し上げるのですが、あなたは先ほどから一党一派に入つたからといつて悪いことはない。しかしそれが行動として悪いものに現われればとめるとおつしやる。なるほどあなたの前へ現われればそれはおとめになりましようが、あなたの知らぬ間にさようなことを計画しているとすれば、あなたはさしつかえないとおつしやるが、はたから見ればすこぶる危険なものだと思うのです。この点はどうお思いになりますか。

[327]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
それはそういうふうなことを準備しているとすれば、はなはだ危険だからそれはいかぬことだと思いますが、私どもから考えるならば、もし共産党がそんなことを指令し、やつているなら、なぜ議会において共産党を否認するような法案でもつくつて、共産党否認の態度をとられないのか。われわれは法律のできるのを待つて見ているんですから、ここでもつてそれだけわかつているなら、共産党を認めなければいい。そういう共産党を認めておいて、党員が何かするというのを学校でばかりとめろと言つたつて、それは無理な話で、むしろここでおとめになつたらいいじやないですか。

[328]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
立法上の問題はおつしやる通りで……。

[329]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
私は立法を見て、いろいろ考えてやつておるのです。

[330]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
破壊活動防止法というのは、大体そういう目的でやつております。ただ私が申し上げるのは、あなたの学校のことを申し上げるのです。あなたはそうおつしやるが、あなたの学校には共産党の中核自衛隊の設立のある疑いが濃厚なんです。あなたはそれをどう思います。それを私は申し上げておるのです。

[331]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
私は中核自衛隊が学校の中にあるなどとは思つておりません。そんなことを初めて聞いた。火炎びんなど見たこともない。それから何もそんなようなものを見たことがない。学校の中で火炎びんをこしらえておるとかいうことがあるなら、なるほどそうかと思いますけれども、自衛隊を認めるというのは、何を根拠としてそんなふうに言われるのですか。もし材料があるなら伺つて、さつそく帰つて調べてみますから……。

[332]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
私はこれ以上あなたと議論するつもりもないし、私はあなたのために申し上げるのです。これはあなたは私のところの学生は、純真なものであるから、そういうことはないのだ。共産党へ入つたつてそういうことをしない。中核自衛隊も御承知ないというのであるから、ごもつともだと思うが、それでは日本の現実とあなたの目とはちよつと離れておる。これははなはだ言い過ぎかもしれませんが。もしそうだとすれば、これはあなたとして重大だ。しこうしてあなたのおつしやるように、幸いにして、あなたの学校で現に疑われておることが、疑いだけで済めばまことにけつこうでありますが、現実に中核自衛隊が組織されておつたということになれば、すこぶる重大なことでありますから、さつそく、さようなことがあるかないかお調べになつて、もしあるとすれば、これに対しての対処、また今後起るようなことがあるなら、あなたとしての対処を希望して、私はこれ以上追究いたしません。

[333]
証人(愛知大学学長) 本間喜一
それは、もしそういうことがあつたら、署長なり何なりが私に言つてくれればいい。ところがこの間の騒動の際に、寄宿舎に竹やりをうんと準備しているということを電話をかけて検察庁に知らせた人がある。それで私はさつそく調べたが、そんなものは全然なかつた。だからもし火炎びんがあるとか何かあるというような例をあげて、署長なり検事正なり私に一言でも注意してくれれば、私みんな探します。





昭和27年06月12日 衆議院 行政監察特別委員会
[081]
日本共産党 山口武秀
先ほど学生運動についての説明があつたわけでありますが、その際共産党細胞関係につきまして申し述べられたが、この点は言われたことはわかります。

この学生運動の中に、ほかの政党の方でもあるのか。この点どんなものでしよう。

[082]
証人(法務府特別審査局次長) 吉橋敏雄
ほかの政党で、学内で支部を設けておるというのは、届出面においてはないようでございます。

[083]
日本共産党 山口武秀
他の政党がなくて日本共産党だけ存在するというのは、学生運動の中においてどういう意味を持つことです。

[084]
証人(法務府特別審査局次長) 吉橋敏雄
御質問の趣旨がよくわかりませんが。

[085]
日本共産党 山口武秀
学生運動の中で、共産党の届出だけはある。他の政党については学校内でつくられていない、特に共産党だけがあつてほかの政党がない、これは何を意味しておるのか、どのようなことで説明されるのか、こういうことを私はお尋ねした。

[086]
証人(法務府特別審査局次長) 吉橋敏雄
非常にむずかしい大きな問題のように思われるのですが、学生というものは、御承知のように非常に純真であると同時に、一面英雄主義的な面があり、また正義観が非常に強い、また一面われわれの学生時もそうでしたが、力のあるものに対して反抗しようという――これがいい悪いは別といたしまして、反権力的な意識もあるのであります。

さような点から、今の幾多の社会事象から見て、学生の一部が共産党細胞というものを結集される一つの原因になつているんじやないかというふうに、私の見解としては考えております。

[087]
日本共産党 山口武秀
そうしますと、学生の純真、英雄主義、正義観、それから権力に対する反抗、こういうものが基礎になつて共産党の細胞がつくられるということ、これは全体的の議論としてはどうか知らぬが、一面的にはそう言える。

そうすると、自由党とか、改進党とか、社会党というものは、学生にとつてはとるにたらざる、魅力のないものだ、このようなことになつておるわけですか。

[088]
証人(法務府特別審査局次長) 吉橋敏雄
その点は、私にはわかりません。



前略と後略は省略、旧字は新字に変換、誤字・脱字は修正、適宜改行、
漢数字は一部アラビア数字に変換、一部括弧と句点を入れ替えています。
基本的に抜粋して掲載していますので、全文は元サイトでご確認ください。