北朝鮮による拉致 5/5

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平成14年09月20日 衆議院 外務委員会
自由民主党 石破茂
私は、今回の総理の訪朝は日朝関係に新たな段階を開いたものだ、今回総理の御訪朝という決断がなければ、非常に悲しい、残念なことではあったけれども、拉致された人々の消息というものはわからなかった、そして、ミサイルにしても核にしてもあるいは工作船にしても、そのようなことについて新たな段階に入ることはできなかった、そう思っております。そういう意味で、今回の総理の御訪朝は大きな意味があったものだというふうに考えております。

(中略)

今回、金正日総書記・国防委員長から、拉致という事実を認め、おわびをするということがございました。私は、この問題は、単なる犯罪ではなくて国家主権の侵害としてとらえるべきものだというふうに理解をいたしております。すなわち、誘拐をされたということで、単なる犯罪としてとらえるのではなくて、これは明確な国家主権の侵害であるというふうに理解をしております。その点についての御認識を承りたい。それが1点です。

第2点、伝えられておりますように、亡くなられたとされる方、これは言葉を気をつけなきゃいかぬのですが、死亡が確認されたなどという言い方が当日なされたが、それは、北朝鮮が死亡という情報を伝えた、それが確認された方ということであって、まだ何ら確認はされているものではない。死亡が確認された方などという言葉は間違っても使うべきではないと申し上げておきます。



公明党 上田勇
それで、現在一番大きな問題になっている拉致問題についてでありますが、今回の、拉致された日本人に関する北朝鮮側からの報告、これは極めて耐えがたいものでありました。御家族の方々はもちろんのこと、日本じゅうが悲しみと怒りに今包まれているというふうに思っております。

報告では、先ほどの石破委員の質問の中にもありましたけれども、不自然な点が余りにも多いし、ましてや死亡年月日などが公表されて、まさに北朝鮮が一体何をしたんだろうというような疑惑は一層深まったというのが事実ではないかというふうに思います。

そういう意味で、この拉致事件について、これからの交渉の中で、いつ、どのように、だれの指令でだれが実行したのか、そうした全容の解明、あるいは、残念ながら亡くなられた方々、どういう原因で亡くなられたのか、そしてそれに至る経緯はどうであったのか、そういう全容の解明が正常化交渉の中での最優先課題であるというふうに考えております。



自由党 土田龍司
当然、この過去の清算のことが問題になるわけですね。そのときに、これまでの日朝交渉において、北朝鮮は補償とか賠償を求めてきた。日本は、それについては全く補償とか賠償はしない、交戦関係になかったんだというふうに言ってきた。そして、今回の共同宣言では、お互いの財産及び請求権も放棄するということを合意したわけですね。

さて、そうなってきますと、37年前に日韓で合意した経済協力、合計5億ドルの経済協力をしたわけでございますが、この性格について一度検証しておかなきゃならないというふうに思うんです。それと同時に、今後、北朝鮮に対して、賠償責任がないわけですから、それで財産権も放棄したということになると、果たして経済協力を行う目的があるかどうかということになってくるんじゃないかと思うんです。もちろん、今日本が行っている途上国におけるODAについて、そのレベルならわかりますけれども、そういった話し合いを前面からする必要があるのかどうか。この2つについてお答えください。



日本共産党 松本善明
拉致問題で北朝鮮側が事実を認め、遺憾なことでありおわびすると述べたことは、問題の真相解明の重要な一歩でありますが、これで済まされる問題ではもちろんありません。拉致問題の真相の全容を明らかにすること、責任者の厳正な処罰を行うこと、被害者への謝罪と補償を図ることなどを国交正常化交渉の中で提起し、解決を図ることが必要であると思いますが、外務大臣の見解を伺いたいと思います。





平成14年09月26日 参議院 決算委員会
自由民主党 三浦一水
工作船の問題について金総書記は、軍の一部が行ったものと思われる、最後に、今後更にそれを調査したい、このような問題が一切生じないような適切な処理を取るという表明をされたと伺っております。

工作船の出没は、北朝鮮によるスパイ活動や我が国に対する活動であります。拉致事件あるいは麻薬、覚せい剤の密輸事件など様々な犯罪のもととなっているんではないかと言われております。現に、昨年末の奄美大島不審船事件につきましては、勇敢に職責を果たした海上保安庁の3名が負傷をし巡視艦が損害を受けたという重大な犯罪であります。

政府は、今回の金総書記の発言で事件を終結したものとすることなく、引揚げに、工作船の調査を厳格に行うとともに、犯罪捜査、再発防止の観点から北朝鮮側に毅然とした対応を取るべきだと思います。また、損害賠償の要求をどのように進めるかも含め、見解をいただきたいと思います。



警察庁警備局長 奥村萬壽雄
警察といたしましては、これまで鋭意行ってきました一連の捜査結果を総合的に検討いたしました結果、北朝鮮による拉致の疑いのある事案は現在までのところ8件11名と判断しておりまして、更にこのうちの1件1名につきましてはよど号犯人のうちの一人の関与が明らかになりましたので、今般逮捕状の発付を得たところであります。

議員の御質問は、これらに拉致されたことが推定される者、これについて捜査をしているかどうかということでございますけれども、警察といたしましては、この8件11名以外の事案につきましても北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があると見ておりまして、現在捜査や調査を進めておるところでございます。



自由民主党 佐々木知子
新聞情報などによりますと、70人ぐらいいるのではないかというような推定もなされているようでございます。身元がない人をねらっていたということもございまして、なかなか捜査は難しいかもしれませんけれども、これは日本の主権が侵害されたということでございますし、人命の問題ももちろんございます。鋭意捜査を尽くして、その旨北朝鮮にそれをぶつけていただきたいというふうに思います。そして、調査、それから補償の交渉ということも、日朝国交正常化交渉の中で是非きっちりやっていただきたいと。この中で犯罪人引渡しを求めるということももう当然のことだというふうに私は付言させていただきたいというふうに思います。



日本共産党 小泉親司
私はやはり北朝鮮政府に対しまして、例えば17日に明らかにされました拉致事件での被害者の方々の名簿、これにとどまらないで、本当にこれがすべての、拉致問題のすべてであるのか、拉致犯罪を行った責任者は一体だれなのか、拉致被害に遭った方々が北朝鮮においてどのような扱いを受けたのか、そういった真相を全面的に究明する必要が私たちはあるというふうに考えております。



日本共産党 小泉親司
もう一つ。私たちは、17日に明らかにしたものが北朝鮮がかかわる拉致問題のすべてであるのかどうなのかということについての真相を究明すべきだというふうに思いますが、この点で田中局長はどのような感触といいますか、点をお持ちなのか、この点をもう一つお尋ねしたいと思います。





平成14年10月10日 衆議院 外務委員会
自由民主党 浅野勝人
9月20日の外務委員会で、「北朝鮮が死亡したと発表した8人は、いずれも病死または災害死と説明されています。本当はほかの死因ではないかと推定される、断片的ですが、信憑性の高い情報を入手しています。同じ日に2人が死亡したという不自然さを含めて、」どう分析をしておりますかと私は発言をいたしました。

その後、自殺者が判明したり、そのほかの死因が公然と議論されるようになりましたが、あの時点であえて指摘したのは、自決した人が何人かいるという、未確認とはいえ信憑性の高い情報をことし前半のある時期に入手していたからであります。

年月日までは不明ですが、かつて、拉致された日本人が再教育される場で、日本人がみんなで日本の歌、「故郷」を歌っていた。「兎追いしかの山」と涙ながらに繰り返し歌っていたが、そのことが先方をいたく刺激して、よくない状況を招いたようだというたぐいの具体的な情報を含めて聞いておりましたので、病死あるいは災害死という北朝鮮の当初の説明にあの時点で疑問を呈しました。

拉致を認めさせ、双方が交渉のテーブルに着くことは、北東アジアの平和と安全にとって極めて重要なこと、成果だと評価をいたしますが、日本の国土から多くの日本人が連れ去られたという重大事件をあいまいにしたまま交渉の進展はあり得ない、その基本方針だけは堅持するように求めておきます。副大臣の決意を伺います。



民主党(民進党) 木下厚
拉致問題について平壌宣言に書いてある、どこに書いてあるんですか。拉致あるいは謝罪、何もないですよ。ここにあるのは、今おっしゃったように、3項目めに「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」その後、「また、日本国民の生命と安全にかかわる」、このくだりがあるだけじゃないですか。



民主党(民進党) 木下厚
拉致や謝罪を認めたというのは、これは金正日総書記と小泉首相の会談のときだけでしょう。これは単に日本側がそう言っているだけなんですよ。北朝鮮側から見ても第三者から見ても、日本政府がそう発表していること以外、金正日総書記が謝罪をしたとか拉致を認めた、証拠としてどこにも残っていない。客観的な証拠がないんですよ。事実、北朝鮮では拉致や謝罪したなんという発表は、テレビあるいは国民に対して全く知らせていない。ただ我々だけが、日本だけが、いや、正日さん、拉致を認め謝罪したよと。

歴史的に見たら、こんなのは何の価値もないんですよ。なぜ文言の中に入れなかったんですか。



自由民主党 舛添要一
そして、今回帰ってこられる5人というのは、ある意味で北朝鮮にとっては衛生無害ですね。

例えば、田口八重子さん、これは李恩恵と言われている。それから横田めぐみさん、これは工作機関で教授をやったりしているわけですから、この人たちが生きて帰ってくるということになれば非常に北朝鮮のスパイも日本における大打撃を受けると。そういうことですから、北朝鮮もこれは非常によく考えた外交をやっていると思いますから、是非そういうことを踏まえて、ある意味でだまされないようにやっていただきたいと思いますが。

今回話題になっている件を含めて100件近くが拉致されたんじゃないかという疑惑が起こってきている。最初に警察庁の方に、現在、その後出てきた事例、その後各県警に問い合わせがあった事例を含めて、現在の捜査の進展具合について簡単に御説明願いたいと思います。



民主党(民進党) 木俣佳丈
私も異常な国家だと、独裁国家であると思っておりまして、例えば、今回の拉致、そしてまた亡くなったかもしれない、いや殺されたかもしれない、そしてさらにはまだ数10名の方が拉致されたということはまず間違いなく本当であろう。韓国からは300人を超えるような方々が拉致されたのも恐らくは事実であろうということを思っております。そしてまた処刑された方もあるということを私は伺っておりますけれども。

そういう、要は誘拐、殺人の犯人がそうですと言ったがゆえに、それじゃ仲良くするための話合いのテーブルに着きましょうと。こういう国家で私、いいのかなということを思いますね。



民主党(民進党) 佐藤道夫
拉致にかかわったと思われる北朝鮮の工作員というのは、10人20人じゃないわけですよ。50名100名も大勢おるわけで、しかも国家目的に沿って、彼らは彼らなりに日本に潜入してきて適当な人物を見付けて拉致していったと。国家のために頑張ったわけです。それを、その国家目的を否定する前に、何か日本が将来うるさくなるかもしらぬ、だれか一人処刑でもしておけと、そんなことで一人死刑にしましたと、いかな北朝鮮がでたらめな国家であってもそんなむちゃくちゃはやらないでしょう。北朝鮮の国民が怒りますよ、もしそんなことをしたとすれば。これは明らかにでたらめでしょう。私、法律家としてとても信じられないんですよ。

しかし、そういう説明をのみ込んで帰ってきたとすれば、やっぱりその問題を表に出して、どういう罪名で、どういう事実で、いつ、どこで裁判を開いてそして死刑にしたのか、本人はどんな弁解をしていたのか。おれは国家のために頑張ったんだと、死刑なんかになる覚えはないと、だれでもそう言うでしょう。そういう弁解をしていたのかどうなのか、その辺もとことん突っ込んで説明を求めてください。北朝鮮の工作員だからどうなってもいいじゃないかと、そんな問題じゃないんです。



内閣官房副長官 安倍晋三
今回明らかになった方々以外にも、私の子供はもしかしたら拉致されたんではないかという方々からの調査依頼がたくさん来ているわけでございまして、そうしたものについて警察当局が精査又は捜査をいたしまして、そしてその後、こうした人たちについて心当たりがあるかどうか、北朝鮮側に場合によっては、精査した後ですね、先方に、北朝鮮側に問い合わせをしていきたいと、こう思っております。





平成14年10月21日 衆議院 本会議
民主党(民進党) 鳩山由紀夫
北朝鮮問題について質問をします。

現在、北朝鮮による拉致被害者5名が一時帰国を果たし、24年ぶりに祖国の土を踏み、家族や友人との再会を果たしています。今回帰国を果たせなかった拉致被害者の方々やその御家族の方々も含め、余りにも長い道のりであり、私を含め政治に身を置くすべての者の責任を痛切に感じています。

また、北朝鮮の卑劣な行為に対し改めて非難をし、事件の完全解決と再発防止に全力を尽くすことをここに誓います。

総理、あなたは、所信表明演説の中で、国交正常化交渉を今月29日に再開すると明言されました。しかし、拉致問題の真相解明について北朝鮮の誠実な対応に確信が持てないまま、北朝鮮による核開発という事実を受け、なぜそのように国交正常化を急ぐのか、どのような成算を持っているのか、これらの点について明確に説明をしていただきたい。



公明党 太田昭宏
なお、北朝鮮と親密な関係を続け、結果として拉致の事実に重いふたをし続けてきた一部野党の対応にも言及しておきたいのであります。

社民党は、旧社会党時代から、拉致はないとして北朝鮮を擁護する姿勢をとり続け、最近まで、「新しく創作された事件」との論文をホームページに掲載し続けていました。





平成14年10月22日 衆議院 本会議
自由党 藤井裕久
ところが、日朝平壌宣言には、日本の植民地支配に対する謝罪と北朝鮮への経済協力は詳細に明記されているのに、北朝鮮が約束すべき、我が国及び日本国民の平和と安全に関する重要問題については一切、明記されていません。拉致、工作船、核兵器開発を認める言葉さえ書かれていません。既に日本を射程圏内におさめているミサイルの開発、実験、配備の中止も合意されていません。





平成14年10月24日 衆議院 予算委員会
社会民主党 横光克彦
まず最初に、北朝鮮による拉致問題について、冒頭おわびを申し上げたいと思います。

社民党は、今日までの拉致問題について、その真相解明のために、また真実の追及のために一体何をしてきたのかと厳しい批判を受けております。確かに、朝鮮労働党と友党関係にあり、日朝間の国交がない中、そのパイプ役を果たしてまいりました。そういった関係の中で拉致問題も追及してまいったわけでございますが、拉致など存在しない、あり得ないと頭から否定され続けるばかりであり、そういった中、さらなる追及が十分であったかといえば、率直に申しまして決して十分でなかったと思いますし、党の力不足を認めざるを得ません。

拉致の被害者の方々、そしてまた被害者の家族の方々に本当に申しわけないことをしたと思っております。心からおわびを申し上げます。

我が党は率直におわびを申し上げますが、何といいましても政党間交渉、政党間交流であり、そして御案内のように、独裁国家、あのような国家体制の中で限界があったこともこれまた事実でございます。そういった意味からいっても、拉致が発覚してから今日までの24年間、この24年間の歴代政府、そしてまた国会もひとしく私は謝罪をしなければならない課題ではなかろうか、このように考えております。

申すまでもありませんが、この拉致事件はまごう方なき国家犯罪であると私は思っておりますし、日本の国の主権の侵害、人権の侵害であると思っております。しかし、真相はすべて解明されたわけではありません。新たに拉致されたのではないかと思われる人たちも出てきておりますし、これらの人々の確認、また、亡くなられたと伝えられている人々の真偽も含めて、あらゆる情報が北朝鮮から開示されなければならない、拉致全体の真相解明が進められなければならない、このように思っております。これが第1でございます。

そしてまた、5人の拉致被害者の方々が帰国されている最中に、北朝鮮が核開発をしていることが明らかになりました。これは、94年の米朝合意違反でありまして、また、NPT、核不拡散条約に明らかに違反するわけであり、何よりも許しがたいのは、この国際社会を長年にわたってだまし続けてきた北朝鮮の態度であると私は思っております。政府は、北朝鮮が核開発を即時全面停止するよう厳しく対応すべきである、これが第2点でございます。

いよいよこの29日から日朝国交正常化が再開されるわけでございますが、今申し上げました核開発の中止、そしてまた拉致に関するすべての情報が明らかになるということ、これが大前提であろうと思いますし、これがなければいわゆる経済援助など到底今の国民感情から許されるものではないと思っております。





平成14年10月25日 参議院 予算委員会
自由民主党 松谷蒼一郎
いずれにしましても、北朝鮮はこれまで全部うそだったんですよね。拉致なんかしていない、行方不明者、それは分からない。分からないじゃなくてちゃんといたんですからね、ピョンヤンの近くに、市内ですか。そういううそばっかり言って、それで今度は平壌宣言で、日朝首脳会談ではきちっとした宣言文書に署名した。果たしてこれも実行するのかどうか。その辺は、やっぱりきちっとした外交交渉の中で北朝鮮に対してその実効を担保していく必要があるというように思います。





平成14年10月29日 衆議院 安全保障委員会
民主党(民進党) 前原誠司
認識をしていただいた上で、つまり、私がなぜこの覚せい剤の話をするかといいますと、国家が関与している可能性が高いわけです。先ほどの拉致の問題もしかりですけれども、あのように軍事独裁国家で、このような統一的な規格で、高純度で、覚せい剤を栽培そして精製して輸出をしているなんというのは、国家以外に北朝鮮では考えられないわけですよ、北朝鮮のような国では、軍事独裁国家では。

それについては今の段階では明言できないというのはそのとおりだと思いますけれども、やはりそういう問題も含めて国交正常化交渉で議論をしていただかないと、明らかでないことはほおかむり、しかし問題は垂れ流しということで、国交正常化交渉を拉致とそれから核の問題を最優先にということでありますけれども、今警察の方から、かなり組織的な背景があって北朝鮮からも来ている、こういう話ですから、国交正常化交渉にこの覚せい剤の問題も入れていただきたいと思いますが、いかがですか。





平成14年10月29日 参議院 内閣委員会
国務大臣(国家公安委員会委員長) 谷垣禎一
北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきましては、今般、北朝鮮が拉致の事実を認め、謝罪の意を表明しましたが、これは長期間にわたって日本国内外において行ってきた地道な捜査が正鵠を得たもので北朝鮮がこれを認めざるを得なかったということであり、警察では、引き続き事案の全容解明に向けて徹底した捜査を進めてまいります。





平成14年11月05日 参議院 内閣委員会
無所属 黒岩宇洋
まず、北朝鮮拉致問題について福田官房長官にお聞きします。

実は、私の伯母、私の父の姉ですけれども、戦前に朝鮮に渡りました。朝鮮人留学生と日本で結婚し、その後朝鮮に移り住んだんですけれども、朝鮮戦争後、運悪く伯母は北朝鮮の住人となってしまいました。私が子供のころまでは音信はありました。そのうち、手紙は届きますが、靴や傘など物品を送っても向こうに届かなくなりました。やがて伯父が他の女性と家から逃げたという手紙が私ども日本に届き、その後、手紙の内容がこちらから送った手紙の内容とそごを来すようになり、そして音信が途絶えました。私は、伯母は既に死んでいるのだろうと父から聞かされてきました。

私は、このたびの北朝鮮の拉致を認める発表を受けて、伯母は死んだのではなく殺されたのではないかという疑念に駆られて仕方がありません。そもそも移動の自由のない国で伯父が他の女性と家から逃げるなどということがあるのでしょうか。伯母の母親、すなわち私の祖母は、しようがない男に嫁がせてしまったと悔やんでいましたけれども、私はそうではなく、伯父すらもどこかに連行されたのではないかという気さえします。

今回の13人の方の拉致事件は悲痛極まりないものですけれども、それ以外にも拉致の疑惑がある方々や、また戦後の日本人妻、そして私の伯母のように戦前朝鮮に渡った日本人まで含めると、まだまだ解明しなければいけないことが北朝鮮には多々あります。私の伯母の2人の息子と1人の娘、私の3人のいとこたちですが、彼らの消息も是非突き止めてもらいたいものです。

さて、私の出身県新潟では、横田めぐみさんを始めとして多数の方が被害を被っていることから、拉致事件には大変に高い関心があります。先週、私は新潟市で開かれました被拉致日本人救出新潟の会の幹事会に、そこの会長の小島さんのお招きで出席してきました。この会は全国初の救う会です。救う会の皆さんは、毎年、横田めぐみさんの連れ去られた日、11月15日前後に集会等を企画しています。その打合せ幹事会の終了後、私はお集まりの幹事の方、20人程度の方お一人お一人から意見、要望をお聞きしてきました。

皆さんのお怒りは、北朝鮮に対してはもちろんなんですけれども、その一方、むしろ今までのこの問題への日本政府及び日本の政治家の取組、そして今回の首相訪朝後の決断やその後の対応への批判、大変続出しました。

まず、何であんな犯罪国家と国交正常化するのか、そんな必要性は我が国は全くないのではないかという意見が大勢を占めました。それには私は答えてきました。国交正常化というより、むしろ北朝鮮という国の正常化が求められているんだと。北朝鮮によって同じように苦しめられている北朝鮮の人々もいるわけですからと。そのために我が国のできることが我が国との国交正常化であると、私はこう答えてきました。そのほか、横田めぐみさんの小学校の校長先生、この方が副会長を務めているんですけれども、今まで拉致事件を認めてこなかった政治家に土下座して謝らせてくれとか、大変に厳しい御要望も受けてきました。まるで私が政府、政治家を代表するがごとく、ともすれば官房長官の身代わりのように、矢のように辛口の言葉を浴びせられてきまして、それらをすべて長官にお伝えしたいのですが、とても国会の委員会では適切ではない内容や表現もあるため控えさせていただきます。

それら要望の中でひとつどうしても長官にお聞きしたいのが9月17日当日の長官の被害者家族への対応です。

救う会の皆さんは拉致被害者の御家族とも大変親密なお付き合いですので、随時連絡を取られ、御家族の方の生の声、批判をお聞きになっています。そのお話によれば、当日、9月17日、御家族は、外務省の飯倉公館に移動後も随分待たされた挙げ句、長官から大変事務的な冷たい対応で被害者の生死を言い渡されたことに怒りを覚えているとのことです。特に、柏崎市の蓮池薫さんのお兄さんの透さんの話によれば、なぜこんなに待たされるのかという長官への抗議に対して長官は、あなたのところは生きているからいいではないか、黙って聞きなさいというこの趣旨のことを言われたと大変憤慨していたとのことです。

その後、御家族の小泉首相への5つの要望の中に家族と政府窓口を安倍副長官にしてほしいということが盛り込まれました。これは、安倍副長官への信頼ということもありますが、福田長官への不信感の表れではないかと私は考えています。

本日の委員会でも感情のこもった家族対応というものが議論になっています。そこで、あえて伺います。九月十七日の被害者の御家族への対応で長官自ら反省すべき点はなかったかどうか、蓮池透さんに対してさきに述べたような趣旨の長官の発言があったか否かについても併せてお答えください。



無所属 黒岩宇洋
まず、13人のお若い拉致被害者のうち8人が既に死亡、この北朝鮮の発表に不自然さを抱かない日本人はいないはずです。それでは、それがどのくらい不自然であるかを私はある数字を用いて一つの側面からですけれども解きほぐしてみました。日本統計年鑑で調べた毎年の我が国の年齢別人口がそれです。これは、5年ごとの国勢調査結果と、それを基礎とした推計人口によって成り立っています。

それによりますと、例えば横田めぐみさんの拉致された1977年、横田さんが拉致された日付は11月15日、そして当時13歳でしたが、誕生日は10月5日ですので、基準日付の10月1日現在は12歳。1977年10月1日に横田さんと同じ年の方は日本に179万6000人いました。では、その同い年の方が、横田さんの亡くなられたとされる年、1993年に何人生存しているかというと、175万9000人です。そうしますと、その16年の間に死亡したと推定できる方は約3万7000人、全体の2%です。

他の方も同じようにこの比率を求めますと、例えば、田口八重子さんで亡くなったパーセンテージが0.32%、市川修一さんの場合ですと0.18%。横田さんは拉致後、死亡とされるまで16年間ありますが、数値は高くなっていますが、他の方は皆さん1%未満。仮に1%と仮定しても、日本において無作為に今回の拉致被害者の拉致時の年齢の方13人を抽出し、その13人中8人が今回の発表どおりの年齢で亡くなり、そして5人が生存している確率は、零コンマの後にゼロが14個付いてやっと何%という数字が出ます。すなわち、これは統計学上あり得ないという結果になります。漠然と不自然ではなく、科学的にこの結果はあり得ないということになるんです。

日本ならたとえそうでも、北朝鮮とは食糧事情等が違うだろうという反論もあるでしょう。しかし、日本人拉致者は招待所で不自由ない生活を送っていたと帰国された被害者の方々はおっしゃっています。また、先ほどの統計は、単なるある年齢での生死という事実に基づいたものです。今回の北朝鮮の発表による死亡原因を見ると、それは余りにも異常です。交通事故死が2人、石炭ガス事故死2人、溺死が1人、自殺者が1人と、病死はたったの2人という結果です。

先日、テレビで、田口八重子さんが交通事故死を遂げたと言われる町の映像を流していました。しかし、そこには恐ろしいほど全く一台も通行する車はありませんでした。石岡さん、有本さんが石炭ガス事故死を遂げたという町にもテレビは入り込んでいましたけれども、石炭暖房は使用していないということ。溺死に至っては、死亡日とされるのは9月4日ですが、北朝鮮では9月には海水浴はもうしません。これらの要素と先ほどの日本であるという条件を複合的に勘案しても、先ほど示した数字は、たとえ補正を掛けても零コンマ以下のゼロを幾つか取れるか否かというもの、すなわち北朝鮮においても今回のような結果は科学的にあり得ないと言えるんです。

そして、次に、逆にこの同じ統計から、被害者の方が拉致されずに日本にいたらどのくらいの確率で13人の方が生存していたのかということも求めてみました。統計は2001年10月1日現在のものを使用しております。例えば、増元るみ子さんの場合ですと、拉致時の1978年24歳の方の、増元さんと同じ人口の方は166万5000人。対して2001年、増元るみ子さんが日本にいれば47歳になっているわけですが、その人口は165万4000人。実に99.34%の方が生存しています。有本恵子さんの場合で99.56%の方が生存。こうしますと、これら13人すべての数字を掛け合わせますと、13人全員生存している可能性は、日本にいたならば79.5%に上ります。ちなみに、拉致時43歳と他の方たちより若干高齢な原敕晁さんを除くと、その他12人の方の生存の確率は87.62%にも上ります。すなわち、13人の方が日本にいれば、十中八九生存しているわけです。この事実を見ると、いかに拉致というものが悲劇であったか分かります。

今、私が申し上げた統計学的な数値も御勘案され、今回の北朝鮮の13人中8人死亡という事実、そしてその死亡原因について、長官自らは事実であるとお考えですか。また、事実ではなさそうだとすると、真相はどのようなものであると考えられますか。長官の北朝鮮に対する知識と想像力をもって、真相として可能性のある事柄を述べてください。お願いします。





平成14年11月13日 衆議院 外務委員会
民主党(民進党) 前田雄吉
ヨーロッパで拉致されました松木さんの遺骨が別人のものであったということが判明いたしております。これに関して、昨晩、再調査を要請するということが上がっておりますけれども、私は、これは北朝鮮が拉致家族及び日本を冒涜することであると思っております。もっと強い姿勢で臨むべきではないかと思っております。



自由党 藤島正之
川口外務大臣は優しいものですから、北朝鮮が100%松木さんの遺骨ではないかもしれないけれどもとか、オブラートに包んでおっしゃっていますけれども、そんなものじゃないんだろうと思うんですよね。そんないいかげんなもので送ってきたものじゃないと私は思いますけれども。

私の言いたいのは、要するに、北朝鮮のやっていることは本当にでたらめ至極なので、余りまともに受けてやり合っていると、これは一体どうなるのかなという感じがするものですから、本当にそういうでたらめな国なんだということをよくよく見据えた上で、これからの交渉に当たってもらわぬといかぬじゃないかなということを申し上げたいわけなんですよ。



民主党(民進党) 今野東
政府は、拉致被害者の方々の思いを受けて厳しい交渉に臨んでいるわけですけれども、太平洋戦争中、我が国も朝鮮半島の方々を強制的に連れてきて、今人数を出していただきましたけれども、恐らくそれ以上の方々が、鉄道建設とかあるいは飛行場の建設とかさまざまな現場で、多くは重労働をさせてきたわけであります。日本から北朝鮮に拉致された人の数も正確なところはまだわかっておりませんが、今一部発表していただきましたけれども、恐らく我が国は、その数を大きく上回る20万人、30万人もの朝鮮半島の人たちにつらい思いをさせているわけです。韓国にも、また朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮にも、いまだに生死を知ることのできない家族の消息を待ちわびている人が大勢おられます。

しかし、その氏名等を我が国は明らかにしようとしておりません。その姿勢は、日本人拉致被害の解明を強く求める我が国の対応と比べますと矛盾しているのではないかと思うんですが、官房長官、どう考えていらっしゃるんでしょうか。





平成14年11月20日 衆議院 外務委員会
自由党 藤島正之
それでは、内容を幾つかちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、5人の家族がお帰りいただいたわけですけれども、このほかに70人から80人ぐらい拉致があったんじゃないかというふうに言われているわけです。この点については、大使はどのように認識した上で北朝鮮との交渉をされたのか、お尋ねしたいと思います。





平成14年12月02日 衆議院 予算委員会
民主党(民進党) 前原誠司
金正日総書記との話し合いの中で、相手側が初めて拉致を認めました。しかし、私は、その中身について、納得のできるような話ではないと思っています。なぜなら、自分は知らなかったんだ、軍の一部の特殊機関が妄動主義、英雄主義でやったことであって、そして自分は関与していなかったんだ、こういう言い方をしました。

今まさに、北朝鮮からの亡命者が多く、そしてかなり高位の方々も、手記や、あるいはインタビューに応じられたり、また本を出されたりしている中で、こんなことは絶対あり得ない、彼がすべてを決めるんだ、特にこういう重要なことについては。

総理にお尋ねしますけれども、金正日総書記のこの言葉、総理は信用されますか、それとも信用されませんか。

内閣総理大臣 小泉純一郎
今回、初めて金正日氏と会談し、拉致の問題が明らかになったわけであります。そういう面において、私は、日朝平壌宣言を誠実に履行するという面において、金正日氏のこの日朝関係を改善していきたいという姿勢を信用したいと思っております。

民主党(民進党) 前原誠司
いや、自分が会ってきて、その内容について評価するどうのこうのという質問をしているんじゃないんです。つまりは、おれは知らなかった、軍の一部が英雄主義、妄動主義に陥って勝手にやったことなんだ、この言葉を信じるかどうかという質問をしているんです。

内閣総理大臣 小泉純一郎
これは、今後、交渉の中で、わかる点、わからない点、あると思いますが、今の時点で私は、この問題については、拉致問題に対して、金正日氏初め北朝鮮側が誠実に日本側の努力に対してこたえてくれることを期待しております。

民主党(民進党) 前原誠司
ちゃんと質問に答えてください。つまりは、金正日総書記の、おれは知らなかった、軍の一部の英雄主義、妄動主義でやったことで知らなかったんだということで、問題をすりかえているわけですよ。そこの前提を是とするか非とするかですよ。

内閣総理大臣 小泉純一郎
それは今後の中で解明していく問題であって、今の時点で、信用しているか、信用していないかということについて直接答えることを避けたいと思います。これが私の答弁であります。



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