TBS、みのもんた、朝ズバッ!による捏造報道、不二家つぶし

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平成19年05月10日 衆議院 決算行政監視委員会
[145]
民主党(民進党) 枝野幸男
きょうは、総務省に対しまして、最近、報道、放送メディアが、間違った放送等によって社会的にも問題になっております。虚偽の放送による報道被害や国民生活への悪影響をしっかりと防止しなければいけない。ただ、その一方で、表現の自由、報道の自由というのは、これはまた、特に行政権限による過剰な介入を許しては絶対にいけないものである。この兼ね合いは大変難しいものでありますけれども、このあたりについて、直近の具体例を軸にしながら議論をさせていただきたいというふうに思っております。

最近問題になった2つの事例。

関西テレビ放送のいわゆる「あるある大事典」の放送に対して、菅総務大臣が、警告という形の行政指導を3月30日付で行っておられます。「8番組について、放送法第3条の2第1項第3号「報道は事実をまげないですること」及び同法第3条の3第1項に違反したものと認められる。」ということで警告をしております。

一方、「朝ズバッ!」のいわゆる不二家報道に関しましては、4月27日に総務省情報通信政策局長鈴木康雄さんの名前で、「事実に基づかない報道が行われたことは、放送法第3条の3第1項に抵触するものと認められる。」ということで、行政指導が行われております。

まず、この事実関係を確認させていただきます。

[146]
総務副大臣  田村憲久
ただいま枝野委員からお話がございましたとおり、関西テレビ「発掘!あるある大事典2」におきましては、本年3月30日に警告という形で行政指導を行いました。

そしてまた、東京放送「みのもんたの朝ズバッ!」でありますけれども、基本的にはこの番組だけではないんですが、何本かいろいろな問題がある中におきまして、これに対して厳重注意というようなことを行わせていただいた。これは4月27日であります。

[147]
民主党(民進党) 枝野幸男
そこで、主に「朝ズバッ!」についてお尋ねをさせていただきたいんですが、4月27日の厳重注意の行政処分によりますと、「1月22日放送の「みのもんたの朝ズバッ!」においても、事実に基づかない報道が行われたことは、」ということになっていますが、事実に基づかない報道というのは、具体的にどういうことを総務省としては認定をしているんでしょうか。

[148]
総務副大臣  田村憲久
「朝ズバッ!」の方でありますけれども、基本的に、今回、「朝ズバッ!」に関しましては、1つは、出荷されましたチョコレートが工場に戻るという部分がありましたけれども、これが証言者の伝聞でありまして、事実であることという確証を得ていないにもかかわらず放送をしたという部分、

それから、証言者の証言が10年以上前の事例であったことを明確に伝えておらず、最近のことと誤解されやすい内容であったこと、

さらには、チョコレートと牛乳をまぜ合わせるという点が、どうも、チョコレートと牛乳のようなものというふうな、そのような表現であったようでありまして、それを断定したというところが正確性を欠くというところでございまして、ここらを勘案した上でこのような形をとらせていただいたところであります。

[149]
民主党(民進党) 枝野幸男
果たして、1月22日前後の「朝ズバッ!」の放送内容の問題点が今の3つだけであるのかということについて、これは後ほど議論させていただきたいんですが、今の3点は、東京放送もみずから認めている話であります。

それから、「あるある大事典」の方についての警告の行政指導文書も、実はよく読みますと、「貴社の報告内容に基づき判断すれば、」ということで放送法違反のことを言っております。

いずれも、当事者、東京放送や関西テレビ放送が言っていることに基づいて処分をしたというふうに受けとめられるんですけれども、どういう根拠に基づきこういった事実認定をしたのかということをお答えください。

[150]
総務副大臣  田村憲久
放送法違反の可能性のある番組については、基本的に、当該事業者から事実関係に関する報告をいただきまして、それを踏まえた上で、違反が認められた場合に関しましては、それにのっとって行政処分を実施してきているところであります。

要は、今おっしゃられた部分というのは、多分、正直に放送事業者がこれをやりましたと報告をしてきたことに対してやったことであって、では、もし正直に言わない場合はどういうような方法があるんだということを含まれておられるんだと思うんですけれども、基本的に、全くもって捏造だ、当事者が何も言わなくても、これはどう見ても捏造だという場合はあると思います。これは、事実と全く違うことを意図的に放送したということが明らかにわかる場合ですね。

こういう場合は、当事者からの、捏造をしたという、もしくは放送法に触れたというような報告がなくても、当然のごとく何らかの行政的な措置をする場合はあると思いますが、灰色の部分に関しては、我々として、調査、捜査するわけにはいかないわけでありますから、そういう意味では、あくまでも電波法第81条等々にのっとった報告を求めたりだとか、また、自主的な報告をいただいた上において、それによって聞き取り等々を行いまして、判断をしていくという話になってこようと思います。

[151]
民主党(民進党) 枝野幸男
報道の自由、表現の自由ということを考えますと、今のその制度、つまり、行政権限をもって、行政庁が放送局に対して、例えば立入調査するとか、あるいは関係者に対する強制聞き取りを行うとか、そういう制度がないということは、これは適切なことだというふうに思います。

行政権限がそこに過剰に介入をするということになれば、放送の自由というものが害されることになるというふうに思います。このことは当然だと思います。

しかし、だからといって、だれが見ても黒という話と当事者が認めた話ということだけであって、果たして放送の信憑性、虚偽放送による報道被害等を防止することができるのかというと、そうではないわけでありまして、放送法あるいはその他の制度は、どういう形で、虚偽報道等があった場合について、その事実関係を解明するようなことを想定しておられるんでしょうか。

[152]
総務副大臣  田村憲久
ちょっと一点、訂正。行政処分というお話をしましたけれども、行政指導でございます。申しわけありませんでした。

今の点でありますけれども、なかなかセンシティブな話ではありますが、放送法というものの精神といいますか、基本的な考え方といいますのは、やはり、放送に携わられる放送事業者、公の電波を使って放送、報道をされる放送事業者というものは、基本的には、悪意の行為はそうは行わないであろうということが前提にあると思います。

ですから、そういう意味からいたしますと、我が方がそれに対して、表現の自由、報道の自由等々に関して不当に介入していくわけにはいかないというのが前提にある中において、では、いろいろな問題が起こったときに、多分、その行われたことの真実がいかにあるかというものをどう調査していくかということが担保されておるのかというふうなお話であったと思うわけであります。

基本的には、そのようなもとにおいて、例えば放送法で、一つは、番組準則という形で法律にのっとった部分をちゃんと行ってください。

それからもう一つは、番組基準というものを各放送事業者におつくりをいただいて、みずからこのようなことに対してやるべきことではないということをおつくりいただいておるということ。

さらには、放送番組審議機関というものを同法の3条の4、これにのっとってつくることを決めております。こういう機構において、例えば、いろいろな放送が適切に行われるようにそれぞれの審議等々をやっていただく、これは強制的ではありませんけれども、できるというふうになっております。

[153]
民主党(民進党) 枝野幸男
私もその最後のところが大事だと思っております。

放送法を見ていきますと、3条の4に放送番組審議機関を各放送事業者が置くということになっているわけでありまして、そこは放送事業者に対して意見を述べることができる、放送の適正を図るため必要な事項を審議するということでございますので、例えば番組基準などに、あるいは法令に適しているかどうか、適していないことをやっていないかどうかということを、自主的機関であるけれども第三者的側面を持った放送番組審議機関というところがチェックをちゃんとするであろう、したがって、行政権限が介入しなくても大丈夫なんですということを放送法は担保しているんだというふうに思います。

ただ、現実問題として、関西テレビ放送についての警告文書を見ますと、これに加え、貴社が調査を要請した外部有識者による調査委員会により公表された調査報告書によれば、他の8番組についても改ざんの疑いがあったということで、これは法令に基づく放送番組審議機関ではなく、つまり、そこが機能しなかったので、外部有識者による調査委員会をさらに別途つくって、そこで自主的にチェックをして、さらに8件新たに疑いのあるものが出てきましたね、こういう話だと思うんですね。

関テレの方は、こういう形で第三者的なチェックをしっかりと入れましたということに基づき、そして、それで出てきた報告された内容で警告を発しました。

では、東京放送の方はどうなんでしょうか。つまり、東京放送からこれこれこういうことがありましたと報告を受けて、それに基づいて行政指導をされているわけですが、では、事実関係等について、だれがどういうふうに内部的にはチェックしたんですか。こういうことについては、どういう報告を総務省としては受けて、この行政指導をしているんでしょうか。

[154]
総務副大臣  田村憲久
おっしゃられますとおり、この番審が、今回、関テレの場合でありますけれども、調査したわけでありませんでして、新たに弁護士を中心として内部調査機関をつくって、これでやられた。一応、組織をつくってやられたわけであります。

それに対して、TBSでありますけれども、これは内部調査機関もつくったわけではございませんでして、あくまでも弁護士に調査を、機関としてつくったわけではありませんでして、弁護士に調査を依頼して、その結果、このような形で報告を我々は聴取をさせていただいたということであります。

[155]
民主党(民進党) 枝野幸男
その調査に基づいて総務省に報告された内容が、真摯な調査に基づいて、そして、ああ、こういうところを間違えましたねということが報告されているのであるならばいいんですが、でも、逆にそうであるならば、行政指導までする必要があるのかなという話のまた新たな論点も、実は僕は個人的には出てくると思うんですが、きょうはそこはやりません。

では、実際はどうなんでしょうかということで、先ほど3点、行政指導の根拠になる事例、事実関係を申し上げましたが、実は、当事者あるいは準当事者とも言える不二家の信頼回復対策会議におきましては、この先ほどおっしゃられた3点以上に、カントリーマアムに関する証言をチョコレートに関する証言に流用した疑いという点。

それから、もう一点は、指導しているのは1月22日放送分についてなんですが、1月23日放送分では、はっきり言わせていただければ、古くなったチョコを集めてきて、それを溶かして新しい製品につくり直すような会社は、もうはっきり言って廃業してもらいたい、社長が交代したからといってね、メーカーとして存続していること自体がおかしいという放送を23日にしているんですね。

もちろん、事実に基づいてこういうことをおっしゃるのはそれぞれの御意見でありますが、その前提となる事実が、少なくとも、先ほどの話のとおり、事実と確認がとれないことを放送したと行政指導を受けるような状況であったことについて、そういうあいまいな根拠で、社会的に、従業員もいます、株主もいます、廃業してもらいたいとか存続していること自体がおかしいというような放送を公共の電波で堂々と言った。こちらのことについては何も対応をされていない。これは明らかにバランスを欠くし、正義に反するんではないかと思うんです。

まず、カントリーマアムに関する証言の問題について少し丁寧に申し上げますと、番組の中で、不二家平塚工場の元従業員によれば、賞味期限が切れたチョコレートの包装をし直したり、溶かし直したりして再利用していたというアナウンスに続いて、顔なし映像の女性が、賞味期限だからごみ箱の方に入れていたら怒られて、それをもう一度パッケージをし直すために裸にしてほしいんだと言われてと話している模様が放送をされる。これが捏造の疑いのある放送内容ではないかということで、不二家の信頼回復対策会議の最終報告書では問題にしています。

東京放送側も、カントリーマアムについて再利用、再包装をしていたという元従業員の証言があるということを認めています。しかし、この証言については放映をされておりません。そして、TBS、東京放送側が不二家に事実確認を行ったら、平塚工場ではカントリーマアムの製造は行っていないということで、平塚工場の元従業員がカントリーマアムについて再利用していたという放送は事実ではないということは、TBSも実は認めているわけですね。そういった証言があったこともTBSは認めているんですね。その映像は放送されていない。

そして、何についてということについては、放送上はカットされている。カントリーマアムについてなのか、チョコレートについてなのか、カットをされているけれども、平塚工場の元従業員によれば、賞味期限だからごみ箱に入れたら怒られて、もう一回パッケージし直すために云々という話が放映をされた。これは、平塚工場の元従業員と称する人物が虚偽の証言をして、カントリーマアムの製造についてそんなことを言ったんだけれども、カントリーマアムはそこで、工場ではつくっていなかったから、さすがにカントリーマアムについてこんなことをやっていましたとは放送できなくて、チョコレートについてにすりかえて放送をしたんではないかという濃厚な疑いがある。この濃厚な疑いについては、この信頼回復対策会議でも明確に外部に対して公表をしております。

もし、この事実が事実であれば、先ほどの行政指導は、放送法の3条の3、1項という内部で決めた放送基準に反しましたというものにとどまっているんですが、もしそうであるならば、この疑いが正しい疑いであるならば、むしろ「あるある大事典」と同様に、事実をねじ曲げて報道したいわゆる捏造に該当する。まさに大きな違いだと思うんですね。

この部分のところを、私もこの報告書などを見ましたが、特段の反証が挙がらない限りは、この疑いは濃厚であると私は判断をいたします。総務省としてはそういう判断をしなかったようでございますが、その根拠は、当事者からありませんと、そういうことはありませんと言ったことにすぎないとしか今までの話からは出てこざるを得ないんですけれども、どうなるんでしょうか。

[156]
総務副大臣  田村憲久
ちょっとまず、事実関係の説明をさせていただきます。

今回のTBSに対する行政指導でありますけれども、「みのもんたの朝ズバッ!」だけではありませんでして、実は、「人間!これでいいのだ」、平成19年2月3日放送分、それから「サンデー・ジャポン」、柳澤厚生労働相の発言等々町の人々の反応、こういうものを踏まえた上で、幾つか合わせわざで今回出させていただいておるということが一つあるということを御理解ください。

それは別の話にしておきまして、今のお話でありますけれども、不二家信頼回復対策会議、今お話がございました。この中で、委員がおっしゃられましたとおり、カントリーマアムに関する証言をチョコレートに関する証言に流用した疑い、これが指摘されている点につきましては、TBSからは、そのようなことはないというような報告を受けております。

でありますから、そういう意味からいたしますと、今回のことに関して、これに関しては我々は黒であるという認定はいたしておりません。ですから、そういう意味におきまして、これに関して何らかの行政指導をするというところには至っていないわけでございます。

いろいろと御不満もあろうと思いますけれども、事実はそういうところでございます。

[157]
民主党(民進党) 枝野幸男
私は、先ほど申しましたとおり、総務省に強制的な調査権限がないということは正しいことだと思っております。今後も維持されるべきだと思っております。それで、そういう制度に基づいて、総務省としては、それ以上できません、できない以上は認定できませんという答えになるのは、総務省の立場としては仕方がないかなと思わないではない。ここは私にも結論が出ていないところです。

ただ、この濃厚な疑いが、もし本当にこういった間違いをしでかしていたとすると、「発掘!あるある大事典」同様のいわゆる捏造に該当する話だと思います。そうすると、関西テレビと同様の悪質さがあるということになります。

関西テレビの方は、件数が多いということがあるし、そのことによってだまされて傷ついた人の被害者の数が多いということは言えるかもしれませんが、一方で、放送法に違反をしている話というのはダイエットの問題であって、もちろん、だから許されるということを言うつもりは全くありません。これでも許されないんですが、被害者は多いかもしれないけれども、一人一人の受けている被害の程度というのは、相対的には大きくないと思います。

こちらは、つまり、チョコレートを回収して、溶かして再利用している、そんな会社は廃業してもらいたい、存続していること自体おかしいとまで言っているんですよ。従業員も株主もある一企業、もちろん、間違ったことをしてそのことの社会的な制裁としてつぶれることがある、それは当然だと思いますが、それにしても、ここで間違ったことをやったから、全然関係のないこっちのことで、事実と違うことでつぶれろだなんて言われていいはずはありませんよね。そういうことであった疑いが濃厚にあるわけですよ。

もしこの疑いが本当だとしたら、「あるある大事典」以上の大問題であると政治家として思われませんか。もしそうだとしたら。

[158]
総務副大臣  田村憲久
今委員が言われました、はっきり言わせていただければ、古くなったチョコを集めてきて、それを溶かして新しい製品につくり直すような会社は、もうはっきり言って廃業してもらいたい、社長が交代したからといってね、メーカーとして存続していること自体おかしいと。

この言葉は、私は、一政治家として答えろというお話でございましたが、かなり過激であるな、これが与える影響というものは、いろいろな影響で、意味のある影響でありますけれども、大きいというふうには思います。思いますが、ただ一方で、これの言っているところは、非常に悪い会社だねというような意味合いを言っているんだと思います。

ですから、その部分をとらえて、もし放送法にのっとって何らかの行政指導等々という話になれば、これはまた今やっている議論とは若干違う話、表現の自由とも絡むかもわかりません。そういう話になってくるんだろうと思います。

ただ、ここで言われておるその前段の部分というのは、前日に報道がある事実誤認の可能性がある部分、ここを持ってきて言っておる部分でありますから、この部分に関してはやはり何らかの問題はあるんであろう。ただ、そうはいいながらも、それは前日の部分で今回行政指導をやっておりますから、それに合わせわざで行政指導の部分として今回対象にしておるということであります。

[159]
民主党(民進党) 枝野幸男
ごめんなさい、僕の聞き方が正確でなかったかもしれませんが、まず、私が先ほど聞いたのは、これについて行政指導しろという話ではなくて、つまり、もしもその疑いが濃厚であるというこの疑い、つまり、カントリーマアムについての証言をチョコレートの証言に流用したということが本当にそうだったとしたら、関テレ以上に悪質だと思いませんか、関テレ以上に問題だと思いませんか、このことについては指導するとかしないとかという行政権限の問題と離れて、一般常識としてどう思いますか。このことについてお聞きをしたいんです。

[160]
総務副大臣  田村憲久
仮定の話ですから、仮定に対して行政としてお答えするのは難しいんですが、一政治家として答えるとするならば、それは、これはまさに捏造でありますから、非常に重いといいますか、大変厳しい、行政指導等々されても仕方がないような案件になるであろうなというふうに思います。

[161]
民主党(民進党) 枝野幸男
そうなんですよね。関テレの方は民放連というのを除名されたりまでしているわけで、どっちが重大なのかというのは、これはいろいろな評価はあるかもしれないけれども、関テレ以上に重大かもしれないような話なんですが、結局は、少なくとも今の仕組みの中で、総務省としては、当事者である東京放送からの報告に基づいてしか対応できません。そのこと自体は仕方がないことです。それは、報道の自由を考えれば、私もそれ以上の権限を逆に総務省に持たせるというのは危ないからやめた方がいいというふうに思います。

では、どうしたらいいんだろうかなという問題になるわけでありまして、これは、では、このままでいいのか。関テレの方は、内部の自主的第三者的機関も設けて、出てきていないものまで洗いざらいちゃんと出しましたということで、処分を受けているわけですから、本来は東京放送もそういうことをするべきなんだと思うんですよ。自主的に第三者的機関をつくって、あるいは新たな機関じゃなくても、東京放送の放送番組審議機関というところが独立性とか専門知識とかそういったことについて十分なものであるならば、そこを動かしてもいいし。

いずれにしろ、そういったことを、これは総務省はそうすべきだなんて言わないでくださいね。総務省、行政が言うと、これは逆に問題になることですから、立法府の人間だから言っていい話だと思っているんですが、本来は、自主的にそういうことをやるべきだというふうに思っているんです。

その前提に立って、4月27日に行政指導を受けた東京放送は、では、行政指導を受けて、こうしましたとか、こうしますとか、そういうことは総務省に対して何か言ってきているんでしょうか、あるいは外に向かっても何か言っているんでしょうか。

[162]
総務副大臣  田村憲久
4月27日に行政指導を受けた上で、東京放送でありますけれども、今後このようなことがないように、社会的責任にかんがみ、厳重に注意をするとともに、再発防止に向けた取り組みを我々としては要請したものでありまして、それを受けて井上社長の方から、厳重注意を真摯に受けとめ、再発防止に努めるというような意思表明をいただいております。





平成19年06月20日 衆議院 決算行政監視委員会
[008]
参考人(桐蔭横浜大学法科大学院教授・コンプライアンス研究センター長) 郷原信郎
桐蔭横浜大学の郷原です。

私は、さまざまな分野の企業、官庁などのコンプライアンスの問題について研究、啓蒙活動などをしております。

その一環として、不二家の信頼回復対策会議の議長を務めまして、信頼失墜の原因等についていろいろ調査を行いました。

その中から、TBSの「朝ズバッ!」の虚偽、捏造疑惑の問題をこれに関連して取り上げまして、報告書で問題提起をいたしました。そして、先ほど広瀬会長もおっしゃっていたBPOの今回新しくつくられました検証委員会の方にこの「朝ズバッ!」の問題について審理を要請いたしましたところ、先ごろ審理入りという決定がなされたというふうに伝えられております。

この「朝ズバッ!」の問題に関連して、この委員会で、5月の10日でしたか、放送のあり方という観点から質疑が行われたということで、この議事録を事前に送っていただいて読んでまいりました。枝野委員と田村副大臣との間で、非常に深い、真剣な議論が行われているということに私は大変感銘を受けました。本日は、そういう議論の延長上で意見を申し上げる機会を得ましたことを大変ありがたいと思っております。

(中略)

こういったことを前提にして、不二家問題についてちょっとお話をしてみたいと思います。

不二家をめぐる一連の問題、世の中でどのように受け取られたかというと、この資料にも書いています2点に象徴されます。消費期限切れの牛乳を原料として使用した、不衛生なものを原料として使用した、そういう食品メーカーとしてけしからぬことをやった不二家が、それが明らかになってばれたら大変だといって隠ぺいした、このような事実として不二家問題は報道されたわけです。

しかし、実態は大きく異なります。

不二家が原料として使った牛乳は、確かに形式的には1日消費期限切れでした。しかし、客観的には、食品衛生上も品質保持上もほとんど問題はありません。そして、隠ぺいという点についても、雪印の二の舞といって隠ぺいしたということが言われていますが、この言葉は、不二家の社内で書かれた、つくられた文言ではありません。不二家が委託した外部のコンサルタント会社がこのような文言の報告書を経営幹部が集まる場にぶつけて、殊さらにセンセーショナルにこの問題を取り上げようとした、その文書が事もあろうに外部に流出したという問題です。

このような問題であるにもかかわらず、不二家は大きな誤解を受け、そして激しいマスコミのバッシングにさらされました。その過程では、不二家側の対応の問題もいろいろありました。それによってマスコミの側が誤解をしたということもいろいろありました。しかし、そういった一般的な誤解や無理解の問題を超えて、非常に意図的に不二家の名誉、信用を毀損したんじゃないかと思えた番組がTBS「朝ズバッ!」でした。

この「朝ズバッ!」がどのように不二家問題を報道してきたか、5ページの上のスライドに書いております。1月中だけで合計3時間40分、1日平均15分にわたって連日連日不二家をたたく報道をしてきました。

その中では、何の根拠があるのかわかりませんが、粉飾決算をしているとか株価が暴落しているというふうなことをみのもんた氏が公言したり、そして問題になった1月22日のチョコレートの再利用疑惑報道、そして1月31日には、もうこれは異物というより汚物だねというような、食品メーカーに対して絶対に言ってはならない言葉まで言っています。

こういった一連の不二家報道の中で起きたのが、1月22日から23日にかけてのチョコレート再利用疑惑です。詳細はここに書いております。そして、資料として、信頼回復対策会議の報告書の別紙としてつけたペーパーを用意しておりますので、こちらの方をごらんください。

要するに、この中で我々が一番注目したのは、不二家に対してTBS側が事実確認してきた内容がこの6ページの上のスライドに1、2ということで書いています。返品されてきたチョコレートを再び溶かして使用していたんじゃないか、平塚工場の従業員が証言しているぞ、もう一つは、カントリーマアムについて、消費期限が切れていたので捨てようとしていたら上司に怒られ、それを再度新しいパッケージに入れて製品としていたというような証言をしているんだけれども、どうかということをTBS側が不二家に確認してきました。それに対して、そういった事実はない、そしてカントリーマアムは平塚工場では製造していないというふうに答えたわけです。

そうしたら、実際の放送で、2の事実確認の文言とほとんど同じ内容の、チョコレートに関する証言が放映されたわけです。これを我々は、この類似性から考えて、カントリーマアムという平塚工場でつくってもいないクッキーに関する証言、いわば無価値な証言です、それをチョコレートに関する証言として再利用して流用した疑いがあるということを指摘し、先ほどのBPOの検証委員会の審理入りの決定に至ったわけです。

ここで我々が問題にしたいのは、事の真偽ですね。放送した内容が正しかったのか、間違っていたのかという点ももちろん重大ですけれども、それ以上に重大だと思っておりますのは、この不二家問題に関するTBS側のコンプライアンスの問題です。

不二家は大変なバッシングを受けて、本当にほとんど反論すらできない状態にあったんですが、この1月22日の放送だけは許せなかったということで、その日のうちに直ちに電話でTBS側に抗議をしております。そして、翌日には書面で調査と訂正を申し入れています。それに対するTBS側の対応を6ページの下の方に書いておりますが、まともに取り合っていない。逆に、いろいろ言ってくる。恫喝的なことを言って、それならこういうことに答えてみろというようなことを言っていたのが実情です。

そして、3月に至って、信頼回復対策会議の議長として私が、TBSのコンプライアンス室長の方に、チョコレート再利用疑惑が事実無根だ、コンプライアンス室として調査をしていただきたいということを要請して、それ以降、ここに書いたような経過のやりとりがありました。

その中で注目していただきたいのは、資料として添付しております電話メモです。これを見ていただければわかります。ほとんど、コンプライアンス室長の対応というのは、番組内容がうそでないということを取り繕うために、その場その場の弁解を繰り返しているというに等しいものです。

そういった経過を経て、我々は、これはもう事実無根の報道だというふうにほぼ確信して、3月30日には信頼回復対策会議の報告書の中でこの問題を取り上げたわけです。そして、その前後でのTBS側の対応、これは7ページの下の方に書いております。前に言っていることを平気でひっくり返すということを続けています。

そして、報告書公表の際の記者会見で私が、余りにそれまでの経過が不誠実で、まさにうそばかり言っているということを、これは公益上重大な問題だと判断してTBS側と不二家との間の会議のテープを公表したのに対して、それが道義、モラルにもとるというような批判をしてまいりました。それに対して私は、全く道義、モラルに反しないということの理由を詳細に述べて、TBSの井上社長あてに公開質問状をぶつけましたが、現在に至るまで何の回答もありません。

そして、4月18日には謝罪放送らしきことがこの「朝ズバッ!」の放送の中で行われました。3点について、誤解を招きかねない表現があったというふうに言っております。8ページの上の方です。しかし、この中で、みの氏がミルキーをほおばったり、たくさん不二家のお菓子を並べて思い切り不二家の宣伝をして、その一方で、誤解を招きかねないというふうな話が出ているんですが、一体何をどう誤解したのか、さっぱりわかりません。事実について何も明らかにしないまま、単に不二家の無償広告をしたというのがこの日の放送ではなかったかと思います。

このようなTBS側の対応のために、不二家は大変な営業上の損害をこうむったことは間違いないと思います。しかし、8ページの下の方に書いておりますが、その後も、謝罪らしき放送をした、一応それを不二家側が受け入れた格好になったにもかかわらず、TBSの社長は、賞味期限切れのチョコレートを再利用したとの証言者の根幹部分については信用性が高いと考えているというような発言までしているわけです。これが現在までの経過です。

結局のところ、この問題についてのTBSのコンプライアンスが全く機能していない、これは極めて憂慮すべき事態ではないかと思います。こういった現状のもとで、これから放送事業者の自浄能力をどのようにして高めていくのかということが当面の重要な問題ではないかと思います。放送法の改正というのは、放送に対する公的介入として私は決して許されるべきものではないと確信しております。そうであるがゆえに、こういった問題について放送事業者の自浄能力の発揮が強く求められているのではないかと思います。

以上です。(拍手)



[044]
民主党(民進党) 枝野幸男
民主党の枝野でございます。

参考人の皆さんには、お忙しいところをありがとうございます。

まず、郷原参考人にお尋ねをいたします。

不二家・「朝ズバッ!」報道の件で、企業は複雑でいろいろな人たちで構成されているということで、不二家の経営者の立場からの声というのは大体聞こえてきておりますが、従業員、あるいは、この不二家の場合はフランチャイズシステムですから、フランチャイズの皆さん、こういった関係者の皆さんがこの「朝ズバッ!」報道についてどういう受けとめをされているのか、御存じの範囲で教えてください。

[045]
参考人(桐蔭横浜大学法科大学院教授・コンプライアンス研究センター長) 郷原信郎
先ほど申しましたように、この件だけは不二家の側も許せないということで直ちに反応したということからいたしましても、いかに、不二家の従業員そしてFC店の関係者などにとっても、こういうありもしない話で廃業しろとまで言われたことが大きな衝撃だったかということがわかると思います。

私が聞いている範囲でも、FC店の関係の方、もういきなりのことで、この先どうなるかということが不安で眠れない状態だったところに、5時ぐらいまで起きていたら、あの「朝ズバッ!」の放送を見て大変な衝撃を受けて寝込んでしまった人がいるというふうにも聞いていますし、従業員などがどういう思いをしていたかということは、今回の問題がマスコミにまた取り上げられる過程で、例えば週刊文春がこの問題を取り上げましたが、この取材に平塚工場の従業員の人たちが物すごい協力をしたということからしても、非常に許せないという思いを持っていることはもうはっきりわかるんじゃないかと思います。

以上です。

[046]
民主党(民進党) 枝野幸男
もう一つ、この「朝ズバッ!」という番組のあり方、編成のあり方等についての御見解をお聞かせください。

[047]
参考人(桐蔭横浜大学法科大学院教授・コンプライアンス研究センター長) 郷原信郎
この「朝ズバッ!」という番組は、非常に特徴的なのは、みのもんた氏という司会者が言いたい放題なことを言う。これは視聴者の声を代弁しているような構成ではあるんですね。何か非常に素人的な観点から物を言っているようではあるんですけれども、そこに専門家として弁護士とかいろいろな評論家とか、あるいは政治家が出てきたり解説員が出てきたりする。そういう人たちが同意してうなずいたりすることで、何か社会全体で是認されたような、みの氏の発言がそういうふうに受け取られるというところに特徴があるんじゃないかと思います。やはり、そういう番組の編成自体に根本的な問題がありはしないか。

先ほど、従業員の側の反応、不二家の社員の側の反応ということからしますと、実は、みのもんた氏以上にあの人が許せないという声を私は聞いたことがあるんですけれども、弁護士です。弁護士のバッジをつけて、あそこで全く間違ったことを、食品衛生法に違反しているかしていないかとかいうことに関して間違ったことをたくさん発言している。それがいかに自分たちにとって大きな不利益になるかということを述べている人もいました。

そういう意味でも、番組の編成というのは、非常に気をつけないと、全体として誤ったことが権威づけられて大きな影響をもたらすということになりかねないんじゃないかと思います。



[057]
民主党(民進党) 枝野幸男
松原参考人にお尋ねをしたいんですが、松原参考人は、今回提起をされている放送法の改正については、先ほどのお話は、どちらかといえば肯定的な御見解というふうに承りました。

ただ、提起されている政府の放送法の改正の方向ですと、今回も一番大事な、事実関係がどうなのか、偽造、捏造があったのか、今回のこの「朝ズバッ!」問題でも、要するに、捏造なんかしていないしていないとTBS側はずっと言い続けていて、そこが食い違っているわけですね。

それで、提起されようとしている放送法の改正でも、結局はいろいろな権限をつけているけれども、逆にそこは報道の自由に対する配慮だと思いますが、合意の上と。つまり、テレビ局側が、放送局側がとことんしらを切り続ければ、どこか別にたまたま証拠が挙がらない限りは指導を受けない。正直に、内部で調査をして、事実関係はこうでしたと言ったところが処分をされる。

私は、今回の「あるある」と不二家・「朝ズバッ!」の関係も実は似たような関係があるんじゃないかと。「あるある」の方は外堀が埋められていましたから、やむなくというところもあったかもしれないけれども、「あるある」の方は、関テレ自体がみずから調査をして、こういうことでしたということをみずから認めました。これに対してTBSの方は、少なくとも現時点まで、みずからちゃんとした調査をしたとは思えない状況で、だから今回の指導も緩かった。

ここの部分のところをあいまいにして、なおかつ権限を与えるということは、非常に総務省の裁量の余地が広い、僕は、ある意味では最悪の介入の仕方であると。

明確な基準とルールが決まっていて、ここを超えたときは指導がありますとかなんとかということであるならば、まだ一定の検討のしようがあるかもしれないけれども、まさに裁量で、本人が認めたら指導ができる、処分ができる、本人がとことんしらを切ったら逃げられる、こういう仕組みは最悪だと思いませんか。





平成21年03月24日 衆議院 消費者問題に関する特別委員会
[036]
参考人(桐蔭横浜大学法科大学院教授・弁護士) 郷原信郎
不二家問題について、6ページにちょっと簡単にまとめております。

要するに、この問題、世の中の多くの人は、不二家という食品メーカーが、消費期限切れの原料を、牛乳を使ってシュークリームをつくったという食品メーカーにあるまじきとんでもないことをやって、それがわかって、これがばれたら大変だ、雪印の二の舞になるといって、箝口令までしいて問題を隠ぺいしようとしたという事案だというふうに思われていますが、そうじゃないわけですね。

この原料として使った牛乳というのは、食品衛生上も品質上も全く問題ありません。単なる形式的なコンプライアンス違反、社内基準違反にしかすぎません。そういった、実はそれだけの本当に軽微な問題なんですけれども、なぜそれがこんなに、雪印の二の舞などという言葉で、世の中から隠ぺい企業というふうに批判されたかといったら、実は、ここに書いていますように、この言葉、雪印の二の舞という言葉を考えたのは不二家の内部者ではないわけです。

不二家が委託した外部コンサルタント会社が、業務の見直しの過程でたまたまこの消費期限切れの牛乳の使用の問題を見つけ出して、言うことを聞いてくれない社内の人間にプレッシャーをかけようとして、これがばれたら大変だぞという内容の報告書をつくって、それを社内会議の場にいきなり出した、それが社外に流出して、不二家は大変な誤解を受けて、とんでもないバッシングを受けた。その中には、ここに書いていますように、その先鋒に立ってたたいたのはTBS「朝ズバッ!」、みのもんたの番組なんですけれども。

そういうようなことをほとんどの人が知らないんですね。消費者もわからないんです。消費者は単に、不二家という会社が不衛生なものをわざわざ使って、使った事実も隠ぺいした、そんなとんでもない企業だというふうに一方的に思わされて、そして、不二家のフランチャイズチェーンのうちの2割は廃業しました。その経営者も職を失いました。そういったことが生じているというのが現実なんですね。



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